Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
川崎 弘嗣; 青山 卓史; 佐久間 祐一
電気協会報, (1030), p.12 - 17, 2010/10
日本のエネルギー需給はほとんどが輸入に頼っていること、温室効果ガスの削減目標の提示など、エネルギー・環境問題の対応が迫られている中で、原子力の果たす役割は大きい。原子力機構の取組んでいるFBRサイクルシステムの開発は、エネルギー安定供給や温室効果ガスの問題を同時に解決できる発電システムであり、持続可能なエネルギーシステムといえる。これまで高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の設計,建設,運転を通してFBR実用化に向けた研究開発を着実に進めている。本年5月には「もんじゅ」の運転が再開された。そこで、高速増殖炉の開発意義や「常陽」,「もんじゅ」、そして実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の現状について紹介する。
立松 研二; 川崎 弘嗣; 根本 正博; 村上 正一
JAEA-Research 2009-007, 46 Pages, 2009/06
「2100年原子力ビジョン」は、二酸化炭素排出削減とエネルギー安定供給の両立を実現するための具体的かつ定量的な解決策を示し、われわれの暮らしに密接している、エネルギー環境問題への国民議論を喚起することを目的に公表した。本報告書では、当ビジョンを作成する際の土台となった、我が国の2100年に至るエネルギー需給推計に関する分析作業の詳細を述べる。分析に際して、二酸化炭素排出削減及びエネルギー安定供給を念頭に、最終エネルギー消費量を推計し、そこから一次エネルギー供給量を算出した。その結果、一次エネルギー供給量に占める化石燃料の割合を約1/3に縮小する一方で、再生可能エネルギー及び原子力の割合は現在の15%から70%に拡大するシナリオを得た。2100年における二酸化炭素排出量は現在の10%に削減され、要因別削減量の半分が原子力であることが明らかになった。ここで示した将来のエネルギー需給像は一つのシナリオに過ぎないが、二酸化炭素排出削減とエネルギー安定供給の両立を目指した低炭素社会実現の可能性を示すものである。
立松 研二; 川崎 弘嗣; 根本 正博
日本原子力学会誌ATOMO, 51(6), p.463 - 467, 2009/06
日本原子力研究開発機構は、我が国のエネルギー需給構造が原子力主体に移行することによって我が国の二酸化炭素排出量が大幅に削減する「2100年原子力ビジョン」を2008年10月に発表した。地球温暖化の議論が高まる中で、2100年までの超長期間での原子力の貢献度を具体的かつ定量的に推定し、地球温暖化問題の解決に対する原子力分野の潜在的ポテンシャルを顕示したものである。
長沖 吉弘; 名倉 文則; 阪口 友祥; 川崎 弘嗣; 菊地 晋
日本原子力学会誌ATOMO, 50(9), p.551 - 556, 2008/09
FBRサイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)が2006年から進められている。本研究では、2015年に実証施設及び実用施設の概念設計を提示するため、FBRサイクルの革新的技術にかかわる設計研究と試験研究が進められている。そして、その成果は2025年からの実証炉の運転開始につなげられる。研究開発は、高い性能を発揮するFBRサイクルに必須の革新的な技術の具体化に向けて、段階的に進められる。2010年までの研究開発の目的は、革新的技術の採否判断である。原子炉の開発を推進するため、プロジェクトのガバナンスが構築された。さらに、幾つかの研究開発は、GNEP, GIF, INPROといった国際協力の枠組みを用いて効率的に進められる。
川崎 弘嗣
RIST News, (42), p.22 - 34, 2006/10
高速増殖炉(FBR)サイクル研究開発を将来の実用化に向けて推進していくため、投資に対する便益を評価し、事業計画の妥当性を検討する一つの手段として、FBRサイクル研究開発投資効果の評価を実施した。FBRサイクルを世界規模で導入した場合の投資効果を評価するため、世界のエネルギー需給シナリオにおいて、将来、原子力エネルギーが一定のシェアを持つことを前提に、そのシェアが徐々に軽水炉発電からFBR発電に置き換わっていくことを想定した。その場合の経済的効果を将来に渡って得られる効果額として試算した。本報告では、将来FBRサイクルを実現することにより、研究開発投資を上回る経済効果が期待できることを述べる。
川崎 弘嗣; 安松 直人*; 久保田 貞衣*; 塩谷 洋樹; 小野 清
JAEA-Research 2006-001, 60 Pages, 2006/02
FBRサイクル研究開発を将来の実用化に向けて推進していくため、投資に対する便益を評価し、事業計画の妥当性を検討する一つの手段として、FBRサイクル研究開発投資効果の評価を実施した。FBRサイクルの研究開発投資効果を世界規模で評価(世界の評価ケース)するため、将来、世界のエネルギー需給シナリオにおいて原子力エネルギーが一定のシェアを持つことを前提に、そのシェアが徐々に軽水炉発電からFBR発電に置き換わっていくことを想定した。その場合、軽水炉がFBRにリプレースされたことにより得られる効果に加え、リプレースされない軽水炉発電部分にも天然ウラン燃料価格の上昇を抑制する効果が得られる。このような経済性向上効果を将来に渡って得られる効果額として試算するため、割引率を用いて現在価値換算して評価した。「世界の評価ケース」のリファレンスケースとして、例えば、FBRの導入時点を2050年として軽水炉と同等の発電コストを想定した場合は、ウラン燃料価格上昇に伴う発電コスト上昇を回避できることにより、約44兆円の効果が期待できるという試算結果を得た。全世界のFBRサイクル研究開発費(投資額)は、今後の国際共同開発による費用分担の程度にも依存するが、総額で数兆円と見込まれている。よって、FBRサイクルを実現することにより、研究投資を上回る経済効果が期待できるという試算結果が得られた。
大道 正雄; 川崎 弘嗣; 遠藤 康志*; 仲井 悟
JNC TN9410 2002-004, 100 Pages, 2002/03
将来国内において、高速炉プラントの廃炉あるいはナトリウム試験施設の解体等に伴う大量の放射性ナトリウム処理に備え、安全で効率的、かつ経済的に処理するための技術開発を実施している。海外で実機レベルでの大量ナトリウム処理の実績がある苛性ソーダ処理法を採用し、これを国内で適用する上での基礎的な処理方法の確立を目指し、研究開発を開始した。 そこで、ナトリウムと苛性ソーダとの基礎的な反応特性の把握とその転換処理システムの最適仕様決定を目的とした「ナトリウム転換基礎試験装置(Sodium Conversion Test Apparatus:SCOT)」を設計・製作した。本装置のシステム機能を確認し、少量の反応試験を実施した結果、以下の知見と課題を得た。 (1)本試験装置のもつ各設備の機能試験においては、各機能及び制御性について、設計性能を十分満足した。 (2)苛性ソーダ濃度計の校正試験では、超音波音速値と苛性ソーダ濃度、温度との相関データを、従来より拡張された条件範囲で取得し、重回帰分析により校正曲線を得た。 (3)ナトリウムを苛性ソーダに微量注入する反応試験においては、反応現象あるいはプロセス挙動等に安全上の問題は認められなかった。しかし、本試運転では、ノイズ影響によるナトリウム流量計指示の変動、スプレーノズル部の閉塞、苛性ソーダ循環ラインへのアトマイジングガス巻き込み等、いくつかの問題が生じた。今後、抽出されたいくつかの課題について、装置改造及び運転要領の両面から対策する。
川崎 弘嗣
サイクル機構技報, (8), p.29 - 39, 2000/09
FBRの余寿命評価法開発に際し、構造材料中に生じるクリ-プ疲労損傷機構を解明する一つの手段として、非破壊的な計測法によりミクロ損傷を検出する基礎的方法を検討した。超音波検出法は、クリ-プ疲労試験による材料損傷及び熱過渡の繰り返し試験による構造物損傷に対して、損傷量に対応した信号変化を示した。その信号変化からの損傷程度の評価は、特に寿命初期の損傷に対して、超音波エコ-波形のウェ-ブレット解析方法により可能であった。また、ミクロ領域の計測が可能な微小硬さ試験法は、粒界損傷の程度を硬さ変化として計測するのに適用できた。本計測法は、実機適用化の検討が必要とされるが、ミクロ損傷機構解明のための非破壊検出法として適用できる。
榎 学*; 岸 輝雄*; 川崎 弘嗣; 青砥 紀身
JNC TY9400 2000-010, 138 Pages, 2000/03
本研究では構造物および材料におけるき裂の発生、伝播を検出するシステムについての検討を行った。まず、プラント機器のように過酷な環境で適用することを考慮して、レーザー干渉計を用いて非接触で破壊を検出・評価することを試みた。He-Neレーザーを用いたヘテロダイン型の干渉計により、材料中を伝播してきた弾性波を検出できることを確かめ、この干渉計を4チャンネル用いる非接触AE波形計測システムを構築した。このシステムをアルミナコーティング材の熱応力破壊に適用した。試験片の冷却時に界面近傍に発生する微視割れによるAE波形を検出でき、また逆問題解析を行うことにより、微視割れの発生時刻、発生位置、大きさおよび破壊モードが評価可能となった。このように、レーザー干渉計によるAE波形定量評価システムが開発でき、その有効性が確かめられた。次に、き裂発生を予測するため、ミクロき裂が発生する以前の損傷変化を検出することを試みた。繰り返し熱過渡負荷を受けた構造物を用いて、超音波検出試験とその波形解析、およびき裂の発生した近傍の微小硬さ計による硬さ測定を行った。超音波エコーのウェーブレット解析により得られた音速は、き裂発生以前の損傷を検出できた。また、粒界上の微小硬さ変化から、き裂発生を推定できる見通しがある。
川崎 弘嗣; 菅谷 全*
JNC TN9400 2000-018, 37 Pages, 2000/03
熱過渡の繰り返し負荷を受けた構造物の損傷を評価するため、超音波法により基礎的な検討を実施した。き裂発生以前からの損傷状態を検出するため、超音波エコー波形の解析法としてウェーブレット解析を適用した。ウェーブレット変換による時間-周波数解析を行い、超音波パラメータの評価を行った。その結果、超音波エコーの解析にいくつかの基本ウェーブレット変換を適用した結果、Gaborウェーブレットが適切であった。Gaborウェーブレット変換を用いて輝音波エコー波形を解析した結果、エコーの周波数特性において、ピーク周波数より高周波成分で音速の低下と損傷量との対応が得られた。超音波エコーの周波数解析から、2つの底面エコーB1およびB2のそれぞれのピーク周波数fpに対してその差分fpを取ることにより、損傷量に対応したパラメータとして評価できた。損傷量に対して、微小硬さと超音波音速特性はよい相関関係が得られ、計測方法の相互利用が可能である。本研究より、超音波エコーの波形解析方法として、ウェーブレット解析が有効であり、その方法を用いてき裂発生以前の損傷状態を検出できる見通しが得られた。
川崎 弘嗣
日本機械学会論文集,A, 66(642), p.355 - 360, 2000/02
熱過渡の繰り返し受けた構造物のミクロき裂発生を計測する方法として、微小硬さを用いる方法を検討した。押し込み荷重49mlN(5gf)として結晶粒界に発生したミクロき裂付近の微小硬さ特性を調べた結果、き裂の発生している所とき裂先端近傍において顕著な差を示すこと、この微小硬さ値の変化は、き裂先端近傍でのひずみの蓄積で増加し、き裂発生部でのひずみの解放で減少すると推測されること、結晶粒内よりも粒界近傍の方が微小硬さ値は大きく、粒界き裂の発生する前兆を微小硬さの変化で計測可能なこと、き裂の発生していた領域は、クリープ疲労損傷の計算値Dがほぼ1以上であり、き裂による微小硬さ値の低下と対応が得られることがわかった。したがって、微小硬さ計を用いて結晶粒界の微小硬さを計測することにより、き裂発生の前兆からミクロき裂を計測することが可能である。
川崎 弘嗣
JNC TN9400 99-062, 50 Pages, 1999/03
FBRプラントの運転に伴う損傷劣化を計測する手法の基礎的な検討を実施した。熱過渡の繰り返しを受けて構造物中に発生するミクロき裂を計測する方法として、ミクロな領域の計測が可能な微小硬さ計の適用性を検討した。結晶粒界に発生したミクロき裂付近の微小硬さ特性を調べた結果、(1)微小硬さ特性値は、き裂の発生していない板厚中央部と比べて、構造物表面から発生しているき裂部分で急激に低下し、き裂先端近傍で大きな値となり、顕著な変化を示すこと、(2)結晶粒内よりも粒界近傍の方が微小硬さ特性値は大きく、粒界き裂の発生する前兆を微小硬さの変化で計測可能なこと、(3)微小硬さ特性値の変化により、疲労損傷やクリープ損傷の支配的な損傷を知る手がかりが得られることがわかった。したがって、微小硬さ計を用いたミクロき裂計測方法は、結晶粒界の微小硬さを計測することができれば、クリープ疲労損傷の計測やき裂発生の前兆からミクロき裂を計測する方法として有望である。
川崎 弘嗣
PNC TN9410 96-288, 32 Pages, 1996/10
FBRプラントの余寿命診断法の開発にあたり,寿命初期の段階から余寿命を評価するため,クリープ疲労による材料の損傷をミクロレベルから非破壊的に検出する方法を開発している。このため,損傷に支配的と考えられるキャビティを模擬して作製した空孔模擬材とクリープ疲労損傷を受けた試験片に関して,周波数特性変化の検出に有効と考えられるバースト波を用いた超音波検出を行い,クリープ疲労損傷の検出可能性と検出された信号に対して損傷を有効に評価できるパラメータについて検討した。得られた結果は以下の通りである。(1)キャビティ発生を模擬してミクロ空孔発生量を変化させた3種類の空孔模擬試料に対し,空孔面積率が10以下になると超音波音速の変化量は捉えにくいことがわかった。(2)底面エコーの周波数解析からパワースペクトルのピーク周波数を評価した結果,50MHzセンサーの測定において空孔発生量に相関して顕著な相違が検出できた。(3)クリープ疲労寿命途中でいくつかの段階における損傷材に対して超音波検出を行った結果,損傷の進行に相関したパワースペクトルのピーク周波数変化が検出できた。(4)底面エコーのフーリエスペクトルの周波数帯域面積をパラメータとして評価した結果,空孔発生量の増加やクリープ疲労損傷の進行に対して低下することを確認し,寿命前後での損傷量変化を評価できる見通しを得た。
阪本 善彦; 川崎 弘嗣
PNC TN9410 96-287, 40 Pages, 1996/10
FBRの余寿命診断法の開発を行うために、材料の経年劣化を非破壊的に検出する手法の一つとしてバルクハウゼンノイズ(以下、BHNと記述)法による非破壊検出法の開発を実施している。本研究ではオーステナイト鋼中のフェライト量とBHNとの相関を知ること、およびNa接液面におけるフェライト層の検出可能性を検討することを目的として、BHN検出システムにより、フェライト含有量の異なる試料を用いた試験、およびSUS304のNa浸漬試験片を用いた試験を実施し、以下の結論を得た。(1)フェライト量の既知の試料としてMod.9Cr-1Mo鋼(F4ヒート)およびフェライトスコープ標準試料を用いたBHN検出試験から、BHN最大振幅値および周波数帯域面積をパラメータとして整理することによりフェライト量に対応した値が得られた。(2) BHN最大振幅をパラメータとして整理した場合は、フェライト量が10%以下になると試料をセンサーに当てていない状態でのノイズレベルとほぼ同じ値となり、検出は難しいことが分かった。周波数帯域面積をパラメータとして整理すると、10%以下のフェライト量でも相違が検出できた。(3) SUS304のNa浸漬試験片においてBHNが顕著に検出された部分が存在した。SEMおよびEDS分析により、その部分に表面から数mのNi溶出によるフェライト化した層が観察された。これらの結果から、BHN法は表面に分布したフェライト層の検出に有効であることが分かった。
青砥 紀身; 小峰 龍司; 上野 文義; 川崎 弘嗣; 和田 雄作
Nuclear Engineering and Design, 153(1), p.97 - 110, 1994/12
被引用回数:57 パーセンタイル:96.45(Nuclear Science & Technology)大型高速炉の蒸気発生器用構造材料として非常に有望視されている Mod.9Cr-1Mo(NT)鋼のクリープ疲労評価法に関する報告。動燃が従来より提案している時間消費型クリープ疲労評価法の同鋼へ適用の妥当性を中心に報告する。欧州を中心に検討されている延性損耗則に従った複数の工学的評価法との比較を行い、彼我の違いや共通する点について議論することで、動燃型時間消費型評価法の予測性の良さ、時間外挿の妥当性を主張する。また、同鋼のクリープ疲労評価において問題となる圧縮側ひずみ保持による寿命低下についても破断試験片の工学的観察結果を踏まえて議論する。
渡士 克己; 川崎 弘嗣; 拝野 寛; 片岡 一; 月森 和之; 冨田 直樹; 礒崎 和則
PNC TN9410 92-131, 90 Pages, 1992/05
本報告書は,これまでに当事業団で展開されて終了した配管ベローズ継手の成立性研究に引き続いて,実験炉「常陽」を用いた配管ベローズ継手の実証試験について検討した結果をまとめたものである。本件はPROFIT推進会議第1分科会の所掌であり,分科会の下に配管ベローズ継手炉内実証試験検討ワーキング・グループが設置され,実験炉部・技術開発部・機器構造開発部からPROFIT推進会議事務局によって選任されたワーキング・グループ委員が当該事項を検討した。検討内容は,「常陽」主冷却配管系を用いた実証試験の意義・目的,方法,工程,期待される成果および必要経費である。検討結果は第1分科会,PROFIT推進会議,技術会議に報告され,審議された結果,2次主冷却配管系に12インチ口径内圧型縦置き配管ベローズ継手を設置して,開発部と実験炉部の業務として実証試験を実施することが決められた。
小峰 陲司; 川崎 弘嗣; 青砥 紀身; 吉田 英一; 一宮 正和; 和田 雄作
PNC TN9410 92-089, 61 Pages, 1992/03
Mod.9Cr-1Mo鋼(NT)の許容ひずみ範囲は、平成元年度に材料強度基準等の高度化の中で、2・1/4Cr-1Mo鋼(NT)の値を代用して暫定値として与えてきた。これは、最適疲労破損式を定式化するためのMod.9Cr-1Mo鋼に対する疲労試験データが少なかったことと、2・1/4Cr-1Mo鋼(NT)の値を用いれば保守的に評価できるとの考え方からである。そこでMod.9Cr-1Mo鋼(NT)について、クリープ疲労評価法の高度化の一環として、低サイクル疲労試験ならびに低ひずみ速度疲労試験や高サイクル疲労試験を実施し、本鋼における最適疲労破損式の策定と許容ひずみ範囲lの暫定値を新たに提案した。(1)最適疲労破損式の策定は、温度依存性やひずみ速度依存性を考慮するため、Mod.9Cr-1Mo鋼と類似鋼種である2・1/4Cr-1Mo鋼の疲労特性が有効であると判断し、同鋼の最適疲労破損式をベースに、汎用回帰解析により当てはめ性や温度・速度依存性の記述性等の検討を行った。その結果、高サイクル側に到るまでMod.9Cr-1Mo鋼の疲労特性を適切に評価する最適疲労破損式が得られた。(2)Mod.9Cr-1Mo鋼に対する許容ひずみ範囲A,B,C線図(暫定値)を、新しい最適疲労破損式によって提案した。(3)今回提案する375のMod.9Cr-1Mo鋼の許容ひずみ範囲に対し、従来暫定的に用いられてきた低合金鋼に対する通商産業省告示の設計基準線は非常に控え目で、Mod.9Cr-1Mo鋼の疲労特性はこの基準線を大きく上回っていることがわかった。また、Mod.9Cr-1Mo鋼の設計疲労線図を告示で新たに規定する場合には、現在の低合金鋼に対する許容値よりもかなり高い値(10の6乗サイクルひずみ範囲にして約2倍)に改定できるものと考える。
川崎 弘嗣; 上野 文義; 青砥 紀身; 一宮 正和; 和田 雄作
材料, 41(4), p.1773 - 1778, 1992/00
本発表は、PNCの提案する線形損傷則に基づくクリープ疲労評価法に対して、長時間クリープ疲労データへの適用性を検討した結果について報告するものである。1万時間を越える長寿命領域クリープ疲労試験結果に関して、本評価法はファクタ3の予測を与え、クリープ効果が顕著でない温度領域(450500C)においても、低ひずみ長時間側で高温側と同等な予測結果を与える。弾性追従によってクリープ損傷が優位となったクリープ疲労試験結果は0.3-0.3の現行損傷ダイアグラムによって評価できる。クリープ疲労の寿命低下は、保持時間による依存度が大きい粒界キャビティの発生形態とその成長により影響を受ける。
木村 英隆; 菅谷 全*; 加藤 猛彦*; 川崎 弘嗣; 青砥 紀身; 和田 雄作
PNC TN9450 91-003, 28 Pages, 1991/03
高速炉構造用SUS316の高温強度特性やNa環境効果および中性子線照射効果等の試験が進展している。この結果,本鋼は優れた各種特性を有することが確認されてきており現在実証炉以降の炉容器,配管,中間熱交換器等の構造材料として採用される方向で作業が進んでいる。今後,本鋼を採用したプラントの検討や実際の設計では,本鋼のクリープ破断式とクリープひずみ式,および材料の損傷等を見積もるのに用いる材料評価法が必要となる。現在これらの特性式や評価法の策定に関して検討が行われており,暫定基準が策定されてきている。本報告では,今後必要となる本鋼の特性式や評価法の再検討・再策定に資するように,昨年クリープ破断式とクリープひずみ式の暫定基準策定に用いたクリープ破断データと,現在までに入手できた高温疲労およびクリープ疲労試験データをまとめた。
青砥 紀身; 小峰 龍司; 上野 文義; 川崎 弘嗣; 和田 雄作
第6回日独原子力工学セミナー, ,
大型高速炉の蒸気発生器用構造材料として非常に有望視されている Mod.9Cr-1Mo(NT)鋼のクリープ疲労評価法に関する報告。 動燃が従来より提案している時間消費型クリープ疲労評価法の同鋼へ適用の妥当性を中心に報告する。欧州を中心に検討されている延性損耗則に従った複数の工学的評価法との比較を行い、彼我の違いや共通する点について議論することで、動燃型時間消費型評価法の予測性の良さ、時間外挿の妥当性を主張する。また、同鋼のクリープ疲労評価において問題となる圧縮側ひずみ保持による寿命低下についても破断試験片の工学的観察結果を踏まえて議論する。