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前田 佳均; 西村 健太郎*; 中島 孝仁*; 松倉 武偉*; 鳴海 一雅; 境 誠司
Physica Status Solidi (C), 9(10-11), p.1884 - 1887, 2012/10
被引用回数:4 パーセンタイル:88.47(Materials Science, Multidisciplinary)炭素ドープによる-FeSiからの固有フォトルミネッセンス(PL)の増強を報告する。平均サイズが14nmのナノ結晶に適切な量のCイオンを注入すると、PL強度が260%増大し、炭素ドープしていないナノ結晶に比べると励起子の束縛エネルギーが1.8meV大きくなった。さらに、PL強度の増大と励起子の束縛エネルギーの増大の間にはっきりと相関があることを見いだした。この結果は、シリサイドの格子中にドープされた炭素原子が等電子トラップとして振る舞い、理論的に予測されているような安定状態を持つ束縛励起子をおそらく形成することを示唆している。このように-FeSiのナノ結晶についてPL強度増大の新しいメカニズムを発見した。
前田 佳均; 西村 健太郎*; 中島 孝仁*; 松倉 武偉*; 鳴海 一雅; 境 誠司
Physica Status Solidi (C), 9(10-11), p.1888 - 1891, 2012/10
被引用回数:3 パーセンタイル:83.25(Materials Science, Multidisciplinary)準安定な-FeSiから-FeSiへの相転移を利用して形成した相ナノ結晶のフォトルミネッセンス(PL)特性を系統的に調べ、二重焼鈍過程の条件を最適化することにより、PL強度を増大させることに成功した。PLを増大させるためには、800Cでの二次焼鈍の時間を、相の量に関連する400Cあるいは500Cでの予備焼鈍の時間に応じて決めればよいことを明らかにした。幾つか可能性のある要因について議論した結果、Si(111)面上でのナノ結晶の析出の際に各相間の結晶学的な関係Si(111)//(111)//(202)/(220)が保持されることから、本研究で観測されたPLの増大は主としてナノ結晶とSiの界面条件の改善によるものではないかと推測した。
松倉 武偉*; 中島 孝仁*; 前田 佳均; 鳴海 一雅; 寺井 慶和*; 佐道 泰造*; 浜屋 宏平*; 宮尾 正信*
no journal, ,
本研究では、鉄ホイスラー合金薄膜/Ge(111)エピタキシャル界面での低温イオンチャネリングを行い、軸上での原子変位=動的変位(熱振動)+静的変位(格子不整合など外因変位)への温度の影響を検討した。200C以下で行う低温分子線エピタキシャル(MBE)成長によってホイスラー合金薄膜FeMnSi(111)(50nm膜厚)をGe(111)上に成長させた。軸配向性を評価する最小収量:,臨界角は、2MeV Heイオンを用い、後方散乱角165で測定したGe111軸チャネリングディップ曲線から求めた。これまでの研究から、FeMnSi/Ge界面での軸配向性は格子不整合によって支配されていることが示唆されている。測定温度が低下するにしたがってが減少し、が増加し、軸配向性が改善されることが明らかになった。FeMnSi/Ge界面の熱膨張による格子不整合の変化は0.27%@300K, 0.15%@110K, 0.10%@40Kと低温で大きく減少することから、これらの軸配向性の変化(改善)は熱膨張による格子不整合の緩和(減少)によるものであると考えられる。
松倉 武偉*; 鳴海 一雅; 境 誠司; 浜屋 宏平*; 宮尾 正信*; 前田 佳均
no journal, ,
われわれはMBE成長させたFe系ホイスラー合金:DO-FeSi(111), L2-FeMnSi(111)/Ge(111)へテロ界面の結晶軸配向性をイオンチャネリングによって系統的に評価し、その支配因子について研究してきた。本研究では、原子の占有サイトが異なるFeCoSi, CoFeSi(111)/Ge(111)の結晶軸配向性について検討した。200C以下で行う低温分子線エピタキシャル(MBE)成長によってFeCoSi, CoFeSi(111)薄膜(膜厚50nm)を成長させた。Ge111軸での2.0MeV Heチャネリングを後方散乱角165で測定した。FeとCo原子からの散乱スペクトルは、分離できないために同一チャネルとして評価した。測定は熱振動の影響の少ない40Kで行った。薄膜のエピタキシャル成長の軸配向性の評価に重要な軸チャネリングの最小収量()はそれぞれ3.2%と2.0%、チャネリング半値角()は0.91と0.92であった。最小収量()付近のばらつきは、FeCoSi, CoFeSi格子中の各サイトを占有するCo(A, C)とFe(B)原子の乱れによるものと推測される。講演では、(, )とDebyeモデルとBarrette-Gemmellモデルから計算した原子の静的変位を用いて両者の違いを議論する。
松倉 武偉*; 中島 孝仁*; 西村 健太郎*; 鳴海 一雅; 境 誠司; 前田 佳均
no journal, ,
FeMnSi/Ge界面での相互拡散挙動とMn組成について検討した。低温MBEで作製したFeMnSi/Ge(111)試料(x=0.36, 0.72, 0.84)を、真空中450Cでアニールした。ラザフォード後方散乱法から得た組成の深さ分布をもとに、拡散流束,俣野界面の形成位置とその組成を求めた。FeMnSi/Ge拡散対では、Ge基板に向かうFe, Mnの正拡散流束と逆向きのGeの負流束がバランスした相互拡散が支配的で、Siの正流束は非常に小さいことがわかった。これは、FeSi/Ge拡散対で得られた拡散挙動と同様である。3種類の組成いずれも、2時間アニール後、界面組成はFeGe, MnGe, Geの三相領域へと大きく変化し、さらにアニール時間を24時間まで長くすると、それぞれの原子の拡散流束が非常に小さくなり(近平衡状態)、FeGe-MnGe化合物相平衡線に接近していくことがわかった。FeSi/Geでは、FeとGeの相互拡散が支配するためFeSi-FeGe化合物相平衡線に接近した。この結果とFeMnSi/GeでのFeGe-MnGe相平衡線上への拡散経路はよく整合している。
中島 孝仁*; 西村 健太郎*; 松倉 武偉*; 鳴海 一雅; 境 誠司; 前田 佳均
no journal, ,
-FeSiナノ結晶への炭素ドープによる固有発光Aバンド(@0.803eV)の発光増強機構の解明を目指して、ナノ結晶以外の結晶組織へのCイオン注入を行い、その結晶の発光挙動を検討した。試料の作製には鉄イオンビーム合成法を用いた。多結晶薄膜からナノ結晶などの結晶組織はドーズを10ions/cmを一定にして、イオン注入エネルギーを100200keVで変化させて作製した。-FeSi結晶へのCドープは60keV, 10ions/cmの条件でCイオン注入して行った。フォトルミネッセンス(PL)スペクトルは514.5nm-Arイオンレーザで励起し、32cm分光器とGe検出器を用いて測定した。Cドープした-FeSiナノ結晶の場合は、顕著なAバンドの発光増強が起こる。一方、-FeSi多結晶薄膜の場合は、ドープによってAバンド付近の発光増強は起こらないことが明らかになった。ドープ効果の結晶組織による顕著な違いは、発光の性質に起因している。炭素ドープは励起子発光のみに物理的効果を示し、よって、ナノ結晶におけるようにAバンド増強のみが起こると仮定すれば、多結晶組織では発光全体へのAバンドの寄与がもともと小さく、欠陥起因発光の寄与が大きいため、発光増強が顕著にならなかったと理解することができる。