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小林 慶規*; 佐藤 公法*; 山脇 正人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 鷲尾 方一*
Radiation Physics and Chemistry, 202, p.110590_1 - 110590_6, 2023/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.2(Chemistry, Physical)陽電子とポジトロニウムは、その電荷状態が異なるため、高分子中での挙動が全く異なる。正電荷を帯びた陽電子の挙動は、静電相互作用に強く影響される。ポリエチレンのような無極性高分子では、エネルギーを持った陽電子はポジトロニウムを形成しない場合は非局在化状態に陥る。これらの陽電子は、極性基があれば敏感に捕捉される。一方、電荷的に中性なポジトロニウムは、高分子の化学構造に関係なく自由体積に局在する。本研究では、さまざまな高分子における陽電子とポジトロニウムの挙動と消滅特性について、その違いを強調しつつ議論する。
平出 哲也; 古田 光*; 鳥養 佑二*; 藤村 由希; 満汐 孝治*
JJAP Conference Proceedings (Internet), 9, p.011106_1 - 011106_7, 2023/00
低エネルギー重水素プラズマに暴露した多結晶タングステン(ITERグレード)試料を、Naを陽電子源として用い、陽電子消滅寿命測定を実施した。重水素プラズマのエネルギーは低いため、その効果は表面付近のみに現れると予測された。しかしながら、プラズマに暴露した試料の陽電子消滅平均寿命は暴露処理していない試料よりも長くなった。さらに、試料が2mm程度の厚みであるにもかかわらず、プラズマを暴露した面ではない反対側の面の測定を実施しても、表面とほぼ同じ結果が得られた。タングステン中に水素や重水素が存在することで欠陥が導入されるという報告は今までにないが、この結果は試料内部において重水素の影響で欠陥が導入された可能性を示している。
小林 慶規*; 佐藤 公法*; 山脇 正人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 鷲尾 方一*
Applied Physics Express, 15(7), p.076001_1 - 076001_4, 2022/07
被引用回数:1 パーセンタイル:59.23(Physics, Applied)高分子およびシリカガラス中の短寿命パラポジトロニウムのエネルギー損失について検討した。陽電子消滅ガンマ線のドップラー広がりを示すパラメータ(511keVの消滅ガンマ線のエネルギースペクトルのピーク全体のカウント数に対する中心付近のカウント数の割合)を、陽電子消滅寿命・運動量相関測定の結果から決定した。
パラメータを自由体積に捕捉された熱化した
-Psの予想値と比較したところ、フッ素系高分子やシリカガラスでは
-Psは熱化せず、過剰エネルギーを持つことがわかり、フッ素やシリコンなどの比較的重い元素を含む物質ではPsがエネルギーを失うことが困難であることが示唆された。
平出 哲也; 満汐 孝治*; 小林 慶規*; 大島 永康*
Chemical Physics Letters, 795, p.139507_1 - 139507_4, 2022/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)N,N,N-Trimethyl-N-propylammonium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide (TMPA-TFSI)中において三重項ポジトロニウム(オルトーPs)消滅寿命の温度依存性を、産業技術総合研究所に整備されている垂直型陽電子ビームを用いて150Cまで測定した。TMPA-TFSI液体試料表面から表面近傍とバルク中での測定を行うために、2keVと12keVのエネルギーで陽電子を入射した。融点よりも130
C高い150
Cにおいても表面の構造による違いが見られた。また、どちらの入射エネルギーでも高温ほど寿命は短くなった。同様の現象は水中においてのみ、オルトーPsと放射線分解生成物であるOHラジカルなどとの反応によって見出されていた。TMPA-TFSIにおける温度依存性においても、オルトーPsの化学反応の存在を示していると考えられた。
平出 哲也; 満汐 孝治*; 小林 慶規*; 大島 永康*
Acta Physica Polonica A, 137(2), p.109 - 112, 2020/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)最近、室温イオン液体中におけるポジトロニウム(Ps)バブルは通常の分子性液体中とは非常に異なる状態であることが報告されている。これらの現象は徐々に理解されつつあり、陽イオンと負イオンによる相互作用により形成されている構造が、融点よりも高い温度でも存在していることが示されている。この構造が融点近くで起こるPsバブルの振動の原因であることがわかってきた。三重項Ps(オルトーPs)のピックオフ消滅寿命から見積もられたPsバブルの大きさの温度依存性は、高い温度でもこのイオン間の相互作用による構造が残っていることを示している。オルト-Psのピックオフ消滅寿命は室温イオン液体中に存在するナノサイズの構造の研究における重要な手法となりえる。
兵頭 俊夫*; 和田 健*; 望月 出海*; 木村 正雄*; 峠 暢一*; 設楽 哲夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 飯田 進平*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012003_1 - 012003_8, 2017/02
被引用回数:3 パーセンタイル:77.44本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設(SPF)で得られた最近の成果を報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)実験では、ルチル型TiO(110)(
)表面、Cu(111)およびCo(0001)基板上のグラフェン、Al(111)基板上のゲルマネンの構造を明らかにした。ポジトロニウム負イオン(Ps
)ステーションでは、Ps
の共鳴状態の観測に成功した。ポジトロニウム飛行時間測定(Ps-TOF)ステーションでは、ポジトロニウムの生成効率の増大とポジトロニウム生成・放出過程におけるエネルギー損失を観測した。陽電子ビームラインにパルスストレッチングセクションが導入され、陽電子ビームのパルス幅が1.2
sから20msまで可変になった。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; 深谷 有喜; et al.
European Physical Journal D, 66(2), p.37 - 40, 2012/02
被引用回数:37 パーセンタイル:86(Optics)本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。はじめに、低速陽電子ビームを生成するためのコンバータ・モデレータアッセンブリの改良を行った。具体的には、コンバータ・モデレータのフレームをタンタルで作製し、モデレータ内部ではタングステン薄膜を井桁状に2セット組み、2段に配置した。この改良により、低速陽電子のビーム強度が以前のものに比べて一桁増大するに至った。この高強度陽電子ビームを用いて、二つの新たな研究が進展した。一つは、ポジトロニウム負イオンの光脱離実験を行い、レーザーによるポジトロニウムの中性化に成功した。二つ目は、反射高速陽電子回折(RHEPD)装置を開発し、これまでの線源法に比べて5-10倍の反射強度を得ることに成功した。今後、両実験のさらなる発展が見込まれる。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 鈴木 亮平*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; et al.
no journal, ,
KEK低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。はじめに、低速陽電子ビームを生成するためのモデレーター・コンバーターの交換を行った。コンバーターとモデレーターのフレームをタンタルで作製した。モデレーターは、25m厚のタングステン薄膜を井桁状に2セット組み、2段に配置した。モデレーター・コンバーター交換前後の低速陽電子ビームの強度を比較したところ、毎秒7
10
個に増大した。続いて、陽電子ビームを用いた物性研究として、以下の2つの実験が進展した。ポジトロニウム負イオンの実験に関しては、アルカリ金属を蒸着したタングステン表面から、ポジトロニウム負イオンが高い効率で生成することがわかった。さらに、短パルス陽電子ビームとレーザーを用いて、ポジトロニウム負イオンの光脱離実験を行い、エネルギーが揃ったポジトロニウムを取り出すことに成功した。また、KEK低速陽電子実験施設のビームラインに反射高速陽電子回折(RHEPD)実験装置を設置し、RHEPD実験を開始した。Si(111)-7
7表面超構造の陽電子回折パターンの観察に成功し、ばらつきが非常に小さいロッキング曲線の測定にも成功した。現状で、5-10倍の反射強度を得ている。今後は、さらなるビーム強度の増大及び実際の表面超構造物性の研究に展開させる。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; et al.
no journal, ,
本講演では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。本実験施設は、専用LINAC(55MeV)を有し、高強度のパルス低速陽電子ビームを供している。エネルギー可変(最大35keV)である低速陽電子ビームは、グランド電位のビームラインを磁場輸送され、コンパクトな分岐ユニットを用いて実験ホールに振り分けられる。現在、約100台のコイル電源を制御するために、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を用いたパソコンによる一括操作システムを導入中である。ビームラインの真空度は、1-510
Paである。本実験施設は、KEKの放射光共同利用実験審査委員会(PF-PAC)の承認を受けたユーザーに開放されている。最近、低速陽電子の発生部であるコンバータ/モデレータアセンブリを改良し、ビーム強度が一桁(ロングパルスモードで
e
/sec)増大した。この増強された低速陽電子ビームを用いて、ポジトロニウム負イオン(Ps
)の光脱離、反射高速陽電子回折(RHEPD)、ポジトロニウム飛行時間(Ps-TOF)の3つの実験が現在進行中である。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 祐樹*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 諏訪田 剛*; 古川 和朗*; 白川 明広*; et al.
no journal, ,
本講演では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。本施設では、2010年夏に、低速陽電子ビーム生成のためのコンバータ・モデレータユニットを改造し、ビーム強度が一桁増大した。増大したビーム強度を生かして、ポジトロニウム負イオンの分光実験、反射高速陽電子回折(RHEPD)実験、ポジトロニウム飛行時間測定実験を展開してきた。2012年春には、RHEPD実験用に新たにタングステンモデレータを用いた透過型輝度増強ユニットを導入し、質・強度ともに大幅に向上した平行ビームを生成することに成功した。この高強度・高輝度陽電子ビームを用いて、Si(111)-77表面からのRHEPDパターンを測定したところ、従来の
Na線源を用いたビームでは捉えることができなかった、表面超構造に由来する高次の回折スポットを観測することに成功した。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; 古川 和朗*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設では、ライナックベースの低速陽電子ビームを共同利用に供している。近年成果が上がっている、反射高速陽電子回折(RHEPD)実験とポジトロニウム負イオン分光実験を次の段階に進めるために、多数のコイル用電源を移動して新しいビームラインの分岐を整備するとともに、装置の移動を行った。また、低速陽電子回折(LEPD)実験装置開発のための予備実験を行い、装置設計を進めている。平成24年度秋のビームタイムより共同利用が再開したポジトロニウム飛行時間測定装置における実験成果の紹介も行う予定である。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; 古川 和朗*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設では、ライナックベースの低速陽電子ビームを共同利用に供している。2012年度春に、日本原子力研究開発機構の河裾グループの協力を得て、反射高速陽電子回折用に透過型の輝度増強ユニットを導入した。磁場で輸送した15keVの低速陽電子ビームを非磁場領域に解放した後、10kVに印加した厚さ100nmのタングステン薄膜に磁気レンズを用いて収束し、数段からなる引き出し電極と磁気レンズを用いてアース電位の試料に導く。輝度増強ユニット導入前と比べて、ビームのエネルギー広がりが1桁以上狭くなるとともに、反射強度が約4倍向上した。また、これまで使用できなかったポジトロニウム飛行時間(Ps-TOF)測定装置を、東京理科大学長嶋グループの協力を得て再整備し、同装置を用いる共同利用の募集を開始した。2012年度秋より3課題のPs-TOF測定装置を用いた共同利用が開始された。2009年度まで行われていた透過型陽電子顕微鏡実験で用いた輝度増強チャンバーを生かし、東京大学物性研究所高橋グループ及び千葉大学藤浪グループの協力を得て、低速陽電子回折実験装置の開発を開始した。最近予備実験として、このビームライン分岐におけるビーム試験と、輝度増強ユニットの動作試験を行った。以上の施設の整備状況について報告するとともに、最近の共同利用の成果の紹介を行う。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 濁川 和幸*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設では、ライナックベースの大強度低速陽電子ビームを共同利用に供している。2012年春に、日本原子力研究開発機構の協力を得て、反射高速陽電子回折(RHEPD)用に透過型の輝度増強ユニットを導入した。これにより、Naベースの陽電子ビームと比較して、ビームの輝度が約3600倍上がり、ビーム強度は約60倍向上した。この輝度増強ビームを用いてSi(111)-7
7表面におけるRHEPD実験を行ない、全反射臨界角以下の領域で、最表面原子層からのみの明瞭な回折像を観測することに成功した。近年成果が上がっている上記RHEPD実験とポジトロニウム負イオン分光実験を次の段階に進めるために、地下1階部分の多数のコイル用電源を実験と干渉しないスペースへ移動して、より広い実験スペースを確保した。ロングパルスモードを使用するRHEPD実験は地下1階で、ショートパルスモードを使用するポジトロニウム負イオン実験とポジトロニウム飛行時間測定実験を地上1階で行うよう、ステーションの再配置を行った。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 濁川 和幸*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設で得られた最近の成果について報告する。本施設では、専用ライナック(55MeV)を有しており、高強度のパルス低速陽電子ビーム(510
e
/s: ロングパルスモード)を共同利用に供している。低速陽電子ビームは、高圧(35kVまで)に印加された発生部で生成され、磁場を用いて接地されたビームラインを輸送され、各実験ホールに振り分けられる。現在、3つの実験(ポジトロニウム負イオン分光,ポジトロニウム飛行時間測定,反射高速陽電子回折(RHEPD))が進行中である。今回、RHEPDの最新の成果について取り上げる。陽電子における結晶ポテンシャルは、電子の場合とは逆のプラスであり、陽電子は、低視射角入射で全反射を起こす。最近、Si(111)-7
7表面におけるRHEPD実験を行い、全反射臨界角以下の領域で、最表面原子層からのみの明瞭な回折像を観測することに成功した。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 濁川 和幸*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設では、専用電子線形加速器(linac)を用い、高強度のパルス低速陽電子ビームを提供している。低速陽電子の生成ユニットは35kVまで印加可能である。陽電子ビームは接地されたビームライン中を磁場輸送され、各実験ホールに振り分けられる。現在、3つの実験ステーションが稼働中である。ポジトロニウム負イオン(Ps)では、エネルギー可変(0.3-1.9keV)のポジトロニウム(Ps)ビームの発生に成功している。Psビームは、絶縁体の表面回折実験に利用される予定である。ポジトロニウム飛行時間(Ps-TOF)測定では、表面状態の情報を得ることができる。反射高速陽電子回折(RHEPD)は、最表面構造を決定することができる。RHEPDは、反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。電子の場合とは対照的に、陽電子の結晶ポテンシャルは正であるため、ある臨界角以下の視射角で入射した場合、陽電子は物質表面で全反射される。最近、Si(111)-
表面からの全反射陽電子回折パターンが最表面原子のみの情報を含むことが分かった。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 満汐 孝治*; 寺部 宏基*; 飯田 進平*; 長嶋 泰之*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設(SPF)では、専用LINAC(55MeV)を用い、高強度のパルス低速陽電子ビームを供している。陽電子はTaコンバーターに打ち込まれた高エネルギー電子の制動放射による対生成により発生する。Taコンバーターから放出された陽電子はW薄膜内で熱化し、それらの一部が負の仕事関数により薄膜表面から再放出される。得られた単色陽電子は35keVまでの任意のエネルギーに加速され、低速陽電子ビームとして実験ステーションに磁場輸送される。現在、ポジトロニウム負イオン(Ps)の光脱離、ポジトロニウム飛行時間(Ps-TOF)、反射高速陽電子回折(RHEPD)の3つの実験ステーションが稼働中である。Ps
実験ステーションでは、静電加速されたPs
の光脱離によりエネルギー可変のPsビームを発生させる。Ps-TOF実験では、Ps放出を通して表面状態に関する情報を与える。RHEPDは反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。電子の場合とは対照的に、陽電子の結晶ポテンシャルが正であるため、視射角がある臨界角より小さいとき、陽電子は物質表面で全反射する。陽電子ビームを高輝度化するために、100nm厚のW薄膜を持つ透過型のリモデレーターを導入した。その結果、Si(111)-
超構造からの鮮明な分数次スポットの観測に成功した。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 設楽 哲夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 満汐 孝治*; 寺部 宏基*; 飯田 進平*; et al.
no journal, ,
最近、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設では、反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である反射高速陽電子回折(RHEPD)装置を導入した。専用電子線形加速器(55MeV)を備えた低速陽電子実験施設では、高強度のパルス低速陽電子ビームを供している。陽電子ビームは、高圧(35keVまで)に印加された発生部で生成され、接地されたビームラインを磁場輸送され、各実験ステーションに振り分けられる。陽電子ビームは、非磁場領域に解放された後、輝度増強され、回折実験に用いられる。ポジトロニウム負イオンの光脱離により生成したエネルギー可変ポジトロニウムビームとポジトロニウム飛行時間(Ps-TOF)実験の最近の結果についても報告する。
平出 哲也; 満汐 孝治*; 小林 慶規*; 大島 永康*
no journal, ,
液体中ではポジトロニウム(Ps)はバブルを形成し、高温では表面張力が小さくなることでバブルは大きくなり、その結果、o-Ps寿命は長くなる。室温イオン液体では、バブルが通常と異なり、イオンのクーロン力によって構成されている構造に依存している可能性が示されている。今回、o-Ps寿命が高温でも長くならなかったことから、新しいPsバブルの存在状態の存在がさらに明らかとなった。
後藤 亜紀*; 田川 雅人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 山下 真一*
no journal, ,
宇宙機が周回する地球低軌道には残留大気が存在し、その主成分は原子状酸素(AO)である。宇宙機の周回速度は約8km/sであり、これを相対速度としてAOに衝突される。宇宙機を構成する熱制御材料など高分子材料は、AOとの相互作用によってその表面が酸化および浸食され、機械特性や熱光学特性が低下するため、地球低軌道を模擬したAO照射環境における高分子材料の劣化予測や防護技術の確立が不可欠である。本研究では、ポリエチレンなどの高分子材料にAOを照射し、微視的突起構造の形成と、照射に伴なう表面近傍での高分子の自由体積の変化を調べたところ、突起構造形成と自由体積サイズの減少の関連が示唆された。
後藤 亜紀*; 丹司 尊*; 田川 雅人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 山下 真一*
no journal, ,
宇宙機が周回する地球低軌道に存在する残留大気の主成分である原子状酸素(AO)によって、宇宙機を構成する熱制御材料など高分子材料の機械特性や熱光学特性が低下することが知られているが、AO照射による表面形状の変化、特にナノ-マイクロスケールの突起物の形成メカニズムが未だ解明されていない。そこで、高分子材料にAOを照射して系統的に変化を調べたところ、形成された突起構造は照射温度の上昇とともに大きくなるが数は減ったことから、高分子鎖の熱的な運動が表面形状に影響をおよぼしていると推察された。
後藤 亜紀*; 丹司 尊*; 田川 雅人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 山下 真一*
no journal, ,
宇宙機が周回する地球低軌道には残留大気が存在し、その主成分は原子状酸素(AO)である。宇宙機を構成する熱制御材料など高分子材料は、時速8km/hでAOと衝突することで表面が酸化および浸食され、表面にナノスケールの突起構造を形成する。突起構造の形成を支配する要因を調べるため、結晶性と熱物性を評価した各種高分子材料に対してAOを照射し、SEMおよび陽電子消滅寿命測定法で表面を観察した。その結果、高分子の自由体積空孔および熱運動性がAOの侵入深さを左右し、その結果、突起構造のサイズや数密度を変化させるとわかった。