Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Chen, J.*; 吉田 健太*; 鈴土 知明; 嶋田 雄介*; 井上 耕治*; 今野 豊彦*; 永井 康介*
Materials Transactions, 63(4), p.468 - 474, 2022/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いてその場電子照射により、アルミニウム-銅(Al-Cu)合金のフランクループの発達を0.12nmの原子スケールの空間分解能で視覚化した。FCC-Al格子の[110]方向に沿ったその場HRTEM観察では、固有の積層欠陥の境界となるフランク部分転位は、純Al参照サンプルの場合とは異なり、112
方向に沿って非対称の上昇を示した。この時の弾き出し損傷率は0.055-0.120dpa/sであった。分子動力学シミュレーションによって、この部分転位の非対称上昇はギニア-プレストンゾーン(GPゾーン)でのCu-Cu結合によるピン止め効果として説明された。
高見澤 悠; 端 邦樹; 西山 裕孝; 外山 健*; 永井 康介*
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153203_1 - 153203_10, 2021/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)原子炉圧力容器鋼における中性子照射脆化に及ぼすシリコンの影響を明らかにするため、三次元アトムプローブにより、高照射量領域まで中性子照射された監視試験片中の溶質原子クラスタを分析した。高Cu含有材では、Ni, Mn, Siがクラスタ中心のCu原子を囲むように凝集し、コアシェル構造を形成するのに対して、低Cu含有材ではNi, Mn, Siがクラスタ中を均一に分布していた。クラスタ内のCu原子の数はCu含有量の減少と共に減少したが、それを補うようにSi原子数が増加した。材料中の公称のSi含有量の増加とともに、クラスタのギニエ半径は減少し、数密度が増加した。結果として、クラスタの体積率は一定であった。延性脆性遷移温度移行量とクラスタの体積率とギニエ半径の積の平方根が良い相関関係を示すことから、脆化の主要因は、溶質原子クラスタを転位が切断するメカニズムによる硬化であることが示された。また、Si含有量の増加により、クラスタの体積率は一定のままギニエ半径が減少することで脆化の程度を減少させることが示された。
外山 健*; 鈴土 知明; 永井 康介*; 他9名*
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153176_1 - 153176_7, 2021/12
被引用回数:2 パーセンタイル:51.67(Materials Science, Multidisciplinary)電子照射と3次元アトムプローブ(3D-AP)を使用して、照射促進拡散(RED)の高精度測定を行った。高純度のFeとCuをベース材料としてCu-Fe拡散ペア試料を作成し、2MeVの電子照射を行った。CuのFeマトリックスへの拡散を3D-APを使用して原子レベルで観察し、フィックの法則を使用して拡散係数を直接取得した。その結果、REDが明確に観察され、照射下での拡散と熱拡散の比率が低温で大きくなった。反応速度論モデルを使用してREDを定量的に評価し、実験値は空孔のみを考慮したモデルと良好な一致を示した。これにより、REDが照射誘起空孔によって支配されていることが明らかになった。さらに、FeへのCuの溶解度に対する照射の影響に関する直接的な実験結果が得られ、照射下での溶解度は、熱時効下での溶解度よりも低いことがわかった。
Zhao, C.*; 鈴土 知明; 外山 健*; 西谷 滋人*; 井上 耕治*; 永井 康介*
Materials Transactions, 62(7), p.929 - 934, 2021/07
被引用回数:2 パーセンタイル:31.89(Materials Science, Multidisciplinary)Fe中のCuの拡散係数をこれまで測定されていなかった低い温度領域で測定することに成功した。拡散係数を測定する一般的な方法である拡散カップルは高温でしか適用できないため、本研究ではアトムプローブとCu析出の反応速度論を用いた。推定された拡散係数は、以前の研究で得られたものよりも信頼性が高いことが分かった。よって、アトムプローブによる推定がより高い精度をもたらしたと考えられる。さらに、この方法によって推定された拡散係数は、温度の低下に伴い多少オーバーエスティメイトされる傾向があることが、キネティックモンテカルロシミュレーションで明らかになった。
端 邦樹; 高見澤 悠; 北條 智博*; 海老原 健一; 西山 裕孝; 永井 康介*
Journal of Nuclear Materials, 543, p.152564_1 - 152564_10, 2021/01
被引用回数:8 パーセンタイル:93.05(Materials Science, Multidisciplinary)加圧水型軽水炉(PWR)または試験炉において0.3-1.210
n/cm
(E
1MeV)の範囲で中性子照射された原子炉圧力容器鋼(リン含有量: 0.007-0.012wt.%)について、粒界リン偏析量をオージェ電子分光分析により測定した。粒界リン偏析量は照射量に依存して増加した。速度論に基づくシミュレーションでも同様の粒界リン偏析量の増加を確認した。また、リン含有量が0.015wt.%(現在の国内原子炉圧力容器鋼の最大値相当)の材料では、1.0
10
n/cm
まで照射した場合、粒界に偏析するリンの割合は10%程度増加することが予測された。PWR及び試験炉での照射材の結果を比較したところ、明確な照射速度効果は確認されなかった。文献データも含めたリン含有量0.026wt.%(海外炉のA533B鋼の中でも比較的高いリン含有量)までの材料に対して、粒界リン偏析量、照射硬化、延性脆性遷移温度(DBTT)シフトの各関係について調べたところ、照射硬化とDBTTシフトの間に直線関係が確認された。この直線関係は、このようなリン含有量の高い材料においてもDBTTの上昇は照射硬化で説明することができること、すなわち非硬化型脆化である粒界脆化の顕在化の可能性が低いことを示している。
鈴土 知明; 高見澤 悠; 西山 裕孝; Caro, A.*; 外山 健*; 永井 康介*
Journal of Nuclear Materials, 540, p.152306_1 - 152306_10, 2020/11
被引用回数:8 パーセンタイル:82.09(Materials Science, Multidisciplinary)熱時効したFe-Cr合金はスピノーダル分解によって硬化を引き起こし、これはいわゆる475C脆性の直接的な原因である。スピノーダル分解が原子的相互作用によってどのように硬化を引き起こすのかを示すため、数値シミュレーションと実験を実施した。数値的な結果では、硬さが短距離秩序(SRO)パラメーターと比例することを示され、実験でもこの関係を統計誤差内で再現した。どちらの結果も、隣接するCr-Cr原子ペアが本質的に硬化を引き起こすことを示唆した。なぜなら、SROがそのようなペアの出現確率に一意的に依存しているからである。硬化の主な原因がそのようなCr-Crペア付近を通過する転位のピン止め効果であることが示唆されたが、このアイデアはさらなるモデリング研究により裏付けられた。
Du, Y.*; 吉田 健太*; 嶋田 雄介*; 外山 健*; 井上 耕治*; 荒河 一渡*; 鈴土 知明; Milan, K. J.*; Gerard, R.*; 大貫 惣明*; et al.
Materialia, 12, p.100778_1 - 100778_10, 2020/08
長期に原子炉圧力容器の健全性を確保するためには、照射が材料に及ぼす影響を理解する必要がある。本研究では我々が新規開発したWB-STEMを用いて、中性子照射された原子炉圧力容器試験片を焼鈍中、照射誘起転位ループの観察を行った。焼鈍温度を上げるとループの割合が増加していることが確認された。また、2つの
ループが衝突して
ループになる現象の観察に初めて成功した。転位に転位ループがデコレートする現象も観察され、分子動力学シミュレーションによってそのメカニズムが説明することができた。
高見澤 悠; 清水 康雄*; 井上 耕治*; 野沢 康子*; 外山 健*; 矢野 史子*; 井上 真雄*; 西田 彰男*; 永井 康介*
Applied Physics Express, 9(10), p.106601_1 - 106601_4, 2016/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)The effect of phosphorus (P) and boron (B) doping on arsenic (As) diffusion in polycrystalline silicon (poly-Si) was investigated using laser-assisted atom probe tomography. In all samples, a high concentration of As was found at the grain boundaries, indicating that such boundaries represent the main diffusion path. However, As grain-boundary diffusion was suppressed in the B-doped sample, and enhanced in the P-doped sample. In a sample co-doped with both P and B, As diffusion was somewhat enhanced, indicating competition between the effects of the two dopants. This can be explained by the pairing of P and B atoms. The results suggest that grain-boundary diffusion of As can be controlled by varying the local concentration of P and B dopants.
松川 義孝*; 武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 鈴土 知明; 渡辺 英雄*; 阿部 弘亨*; 外山 健*; 永井 康介*
Acta Materialia, 116, p.104 - 113, 2016/09
被引用回数:64 パーセンタイル:95.82(Materials Science, Multidisciplinary)673Kで等温時効したフェライト相中のG相(NiSi
Mn
)析出に関し、溶質原子クラスタが母材と結晶学的に区別可能となる成長段階を見出すため、アトムプローブトモグラフィ(APT)と透過電子顕微鏡法(TEM)を組み合わせた解析を行った。その結果、G相の形成は、まず自発的に溶質原子が集まって直径2.6nm程度の臨界サイズとなった後に、組成が変化し閾値にまで達するという複数の成長段階を経ることを明らかにした。また、電子回折パターンの計算機シミュレーション結果から、しきい値の組成はNi
Si
(Fe,Cr)
Mn
と見積もられることが分かった。
鈴土 知明; 永井 康介*; Schwen, D.*; Caro, A.*
Acta Materialia, 89, p.116 - 122, 2015/05
被引用回数:12 パーセンタイル:54.58(Materials Science, Multidisciplinary)モンテカルロ法および分子動力学法を用いて、Fe-Cr二元合金のスピノーダル分解を計算機で模擬し、相分離現象によって引き起こされる降服応力の上昇と原子配置の統計的パラメターの間の関係を解析した。その結果、我々は既に実験的に発見されている、硬さとvariationパラメター(V)の間の比例関係を再現することができた。また、このパラメターは硬化の経験的な指標として限界があることがわかった。すなわち、このパラメターは硬化に影響する近距離の原子配置を統計的にうまく表現できていないことがわかった。我々は近距離原子秩序パラメターがこの現象のより包括的な指標となりえると考える。
武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 松川 義孝*; 野沢 康子*; 外山 健*; 永井 康介*; 西山 裕孝; 勝山 仁哉; 山口 義仁; 鬼沢 邦雄; et al.
Journal of Nuclear Materials, 452(1-3), p.235 - 240, 2014/09
被引用回数:36 パーセンタイル:95.1(Materials Science, Multidisciplinary)400Cにおいて100時間から10,000時間まで熱時効した原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッド鋼の微細組織と固さについて、アトムプローブ及びナノインデンテーション法を用いて調べた。
フェライト相において、スピノーダル分解によるCrの濃度変調は100時間時効までに急速に進展する一方、NiSiMnクラスタは2,000時間時効で数密度が増加し10,000時間時効においては粗大化した。
フェライト相の硬さは時効初期において急速に上昇し、NiSiMnクラスタの形成ではなくCr濃度変調の程度と良い相関にあった。これらの結果から、
フェライト相の硬化の主因がスピノーダル分解によるCr濃度変調であることが示唆された。
武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 松川 義孝*; 野沢 康子*; 外山 健*; 永井 康介*; 西山 裕孝; 勝山 仁哉; 山口 義仁; 鬼沢 邦雄
Journal of Nuclear Materials, 449(1-3), p.273 - 276, 2014/06
被引用回数:18 パーセンタイル:82.58(Materials Science, Multidisciplinary)照射量7.210
cm
(E
1MeV)、照射速度1.1
10
cm
s
、照射温度290
Cで中性子照射した原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッドの微細組織変化と硬さを、アトムプローブ法及びナノインデンテーション法により測定し、硬化に対する微細組織の影響を調べた。照射材は、
-フェライト相においてCrの濃度変調が増大するとともに、300
Cで照射時間と同じ時間の熱処理をした時効材では見られないようなSiの濃度変調の増大も観察された。一方で、硬さは照射材と時効材の両者とも増加したが、前者においてはCr濃度変調から予測されるよりもさらに大きく増加していた。この結果から、クラッド照射材の
-相における硬化は、Crの濃度変調のみならずSi濃度変調や照射欠陥に由来することが示唆された。
武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 松川 義孝*; 野沢 康子*; 永井 康介*; 西山 裕孝; 勝山 仁哉; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
Journal of Nuclear Materials, 443(1-3), p.266 - 273, 2013/11
被引用回数:16 パーセンタイル:78.73(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、約90%のオーステナイトと10%のフェライトの相分率である原子炉圧力容器オーバーレイクラッドについて、溶接後熱処理の後にJMTRにおいて290
Cで7.2
10
n/cm
まで中性子照射をして、3次元アトムプローブ法でミクロ組織変化を観察し、元素濃度分布や析出状態を評価した。その結果、
フェライト相では、照射によってCr及びSiの濃度揺らぎが上昇しており、新たにNi及びMnの濃度揺らぎが生じていた。オーステナイト相では、
'(Ni
Si)様のクラスターが形成していた。一方、われわれが過去に行った400
C
10,000h時効材では、
フェライト相でCrの濃度揺らぎが大きく上昇するとともにG相(Ni-Si-Mn)が形成していたが、オーステナイト相ではミクロ組織変化は観察されなかった。
武内 伴照; 亀田 純*; 永井 康介*; 外山 健*; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄
Journal of Nuclear Materials, 415(2), p.198 - 204, 2011/08
被引用回数:33 パーセンタイル:92.28(Materials Science, Multidisciplinary)原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッドにおける熱時効によるミクロ組織変化をアトムプローブを用いて調べた。試料には90%体積率のオーステナイト母相に10%体積率のフェライト相を含むクラッド材を用い、400
C
10,000hの熱時効を行った。その結果、フェライト相において、熱時効によってスピノーダル分解によるCr濃度変調の程度が増大し、Ni:Si:Mn比が16:7:6となるG相と呼ばれる析出物が形成されることがわかった。さらにフェライト相は、熱時効によって硬度が大幅に上昇していた。オーステナイト相では熱時効前後のミクロ組織や硬度の変化は起こっていなかったことから、これらのミクロ組織変化がフェライト相の硬度上昇の原因であると考えられた。スピノーダル分解と硬度との相関の解析結果から、スピノーダル分解が硬度上昇の主因であることが示唆された。
武内 伴照; 蔵本 明*; 亀田 純*; 外山 健*; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 義家 敏正*; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄
Journal of Nuclear Materials, 402(2-3), p.93 - 101, 2010/07
被引用回数:56 パーセンタイル:96.34(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した原子炉圧力容器鋼でのミクロ組織変化と硬化との関係を、3次元アトムプローブ,陽電子消滅,ビッカース硬度測定を用いて調べた。試料には不純物濃度を変じた2種のA533B-1鋼を用い、材料試験炉(JMTR)において照射速度はほぼ一定に揃えつつ照射量を大きく変じた(0.329.9
10
n cm
(E
1MeV))加速照射を行った。その結果、低照射量領域における急激な硬化はおもにマトリックス損傷の形成によるものであり、中照射量
高照射量領域における緩やかな硬化は、不純物濃度の高い鋼材中では銅富裕クラスター(CRCs)、低い鋼材ではSi-Mn-Ni富裕クラスター(MNSCs)の形成によるものであることがわかった。ラッセルブラウンモデルにより見積もられた、CRCs及びMNSCsが転位の運動を阻害する強さはほぼ同じであった。また、最も高い照射量において、不純物濃度の高い鋼材においてもMNSCsが形成することが示された。
伊藤 賢志*; 岡 壽崇*; 小林 慶規*; 白井 泰治*; 和田 健一郎*; 松本 昌高*; 藤浪 真紀*; 平出 哲也; 誉田 義英*; 細見 博之*; et al.
Materials Science Forum, 607, p.248 - 250, 2009/00
現在までに陽電子消滅寿命測定(PAL)の標準化が行われたことはない。標準がないと各々の研究室データの比較における信頼性の欠如に繋がる。そこで標準化への第一歩として、金属,高分子,シリカガラスの3種類の試料において合意した測定、及び解析手法で測定を行い、研究室間において比較を行った。金属試料では1寿命成分、それ以外では3寿命成分で解析を行った。陽電子寿命、及びオルソーポジトロニウム寿命に関して、研究室間における測定結果の違いが起こる原因について考察した。その結果、研究室ごとに使用している検出器の形状,配置などが異なり、コンプトン散乱された低エネルギーの線がもう一方の検出器に入ることで寿命スペクトル上にゆがみができるためと考えられた。検出器間に薄い金属板を挿入することで、各研究室間の違いが低減されることを確認した。
木村 晃彦*; 永井 康介*; 藤井 克彦*; 西山 裕孝; 曽根田 直樹*
日本原子力学会誌ATOMO, 50(10), p.630 - 633, 2008/10
近年、原子力材料研究の進展が極めて著しい。それを可能にしたのは原子力材料研究者による高度解析技術の開発であり、その技術開発を支えたのが分析機器,観察装置及び計算機の性能の向上である。本解説は、軽水炉圧力容器鋼の照射脆化のメカニズムの理解に不可欠であったナノスケールの照射欠陥などの微細組織の同定やその発達過程の解明において、その解決が困難とされていた学問的課題が高度解析技術により、いかに解決されてきたか、また、そのことが照射脆化予測に与えるインパクトについて記述したものである。西山は、原子炉圧力容器鋼の粒界脆化に関する部分を執筆し、不純物元素であるリン等の粒界偏析がなぜ粒界強度の低下を引き起こすかについて、実験データを示しながら第一原理計算によって明らかにできたことを解説した。
西山 裕孝; 鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀; Anderegg, J. W.*; 永井 康介*; 外山 健*; 長谷川 雅幸*; 亀田 純*
Acta Materialia, 56(16), p.4510 - 4521, 2008/09
被引用回数:62 パーセンタイル:91.95(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射した原子炉圧力容器鋼で、粒界のリン偏析と照射硬化が延性脆性遷移温度(DBTT)に及ぼす影響を、オージェ電子分光分析,局所電極型アトムプローブ、及び陽電子消滅法による組織分析を用いながら検討した。中性子照射により粒界のリン偏析が誘起されることを示した。また、材料中のリン含有率が高くなると照射硬化が大きくなることを示した。これは、照射によって生成した空孔によって安定化されたリン集合体によるものであることを明らかにした。粒界のリン濃度及び照射硬化とDBTTの関係、並びに破面観察から、中性子照射によって粒界におけるリンの脆化能が小さくなる現象を見いだし、脆化の主要因は照射硬化によることを示した。
伊藤 賢志*; 岡 壽崇*; 小林 慶規*; 白井 泰治*; 和田 健一郎*; 松本 昌高*; 藤浪 真紀*; 平出 哲也; 誉田 義英*; 細見 博之*; et al.
Journal of Applied Physics, 104(2), p.026102_1 - 026102_3, 2008/07
被引用回数:44 パーセンタイル:82.52(Physics, Applied)同一の溶融石英とポリカーボネートを試料に用い、陽電子消滅寿命測定及び解析を12の研究室において実施し、その比較を行った。各研究室で得られた陽電子寿命のばらつきは、測定方法と解析方法を統一することで、過去に報告されている、何も制約を与えずに行われた試験結果に比較して、小さくできることがわかった。
近藤 啓悦; 根本 義之; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 塚田 隆; 永井 康介*; 長谷川 雅幸*; 大久保 忠勝*; 宝野 和博*
JAEA-Research 2006-013, 39 Pages, 2006/12
沸騰水型軽水炉(BWR)炉心シュラウドなどにおいて低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)発生が報告されている。機構解明のためにBWR炉心シュラウドから採取されたサンプル(SUS316L)の3次元アトムプローブ分析を行った。その結果、粒内において偏析及び析出物生成,スピノーダル分解などに伴う溶質元素の不均一分布は観察されなかった。また、結晶粒界の分析の結果、粒界において原子層レベルでも明確なCrの欠乏層が存在しなかったことから、低炭素ステンレス鋼のSCCにはCr欠乏による耐食性劣化とは異なるき裂進展機構が存在することが明確に示された。他の溶質元素についてはMo及びSiが、粒界において従来のFE-TEM/EDSによって分析された濃度値よりも高濃度で濃縮している可能性が示唆された。