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中川 清子*; 岡 壽崇; 藤井 健太郎*; 横谷 明徳*
Radiation Physics and Chemistry, 192, p.109884_1 - 109884_5, 2022/03
被引用回数:3 パーセンタイル:39.15(Chemistry, Physical)L-alanine-3,3,3-d3およびL-alanine-d4の結晶中に生成したラジカルを、1.5keVの軟X線照射中に電子スピン共鳴(ESR)法で観測した。L-アラニン-3,3,3-d3では、水素交換反応によるCHCD3COOHから
CDCD3COOHへのスペクトル変化が直接観測された。軟X線を照射して得られたESRスペクトルの線幅は、硬X線を照射した場合の線幅の1.5倍であり、ラジカル密度が高いとわかった。一方、ラジカル収量の効率は
線照射による収量に対して10
と低かった。軟X線照射では、低エネルギー光子の高LET性のため、重イオンによる高LET照射と同様にラジカルの密度が高く、その結果、効率的なラジカル-ラジカル再結合によって多くのラジカルが失われたとわかった。
Barucci, M. A.*; Reess, J.-M.*; Bernardi, P.*; Doressoundiram, A.*; Fornasier, S.*; Le Du, M.*; 岩田 隆浩*; 中川 広務*; 中村 智樹*; Andr, Y.*; et al.
Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.211_1 - 211_28, 2021/12
被引用回数:25 パーセンタイル:85.89(Geosciences, Multidisciplinary)MMX赤外線分光計(MIRS)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のMMXミッションに搭載されているイメージング分光計である。MIRSは他の4つのフランス研究所との協力、フランス国立宇宙研究センター(CNES)の協力と財政支援、およびJAXAと三菱電機(MELCO)との緊密な協力によりパリ天文台で開発されている。この装置はMMXの科学的目的を完全に達成するべく設計されている。MIRSはフォボスとダイモスの表面組成の分析およびサンプリングサイトの選択時に使用される組成診断スペクトル機能を含む近赤外線スペクトルマップ機能をリモートで提供する。MIRSはまた、火星の大気、特に雲,塵,水蒸気などの空間的時間的変化についても観測を行う予定である。
山崎 篤志*; 藤原 秀紀*; 橘 祥一*; 岩崎 大昌*; 東野 勇志*; 吉見 千秋*; 中川 広野*; 中谷 泰博*; 山神 光平*; 荒谷 秀和*; et al.
Physical Review B, 94(11), p.115103_1 - 115103_10, 2016/11
被引用回数:18 パーセンタイル:58.95(Materials Science, Multidisciplinary)軟X線角度分解光電子分光を用いて、Ruddlesden-Popper型イリジウム酸化物SrIr
O
の3次元バンド構造を調べた。その結果、IrO
面構造の次元性の増加と共に発現する金属-絶縁体転移に関する直接的な証拠を得た。この転移は、スピンー軌道結合により生じた
= 1/2バンドがフェルミエネルギーを横切ることにより生じる。入射光エネルギーを350eV以上走査することにより、SrIrO
の3次元フェルミ面形状及び、Sr
Ir
O
の
依存した光電子強度の振動を明らかにした。本手法は、電子状態の全体像の理解において非常に有効である。
松本 吉弘; 境 誠司; 圓谷 志郎; 高木 康多*; 中川 剛志*; 楢本 洋*; Avramov, P.; 横山 利彦*
Chemical Physics Letters, 511(1-3), p.68 - 72, 2011/07
被引用回数:5 パーセンタイル:15.39(Chemistry, Physical)C-Co化合物/Niの二層構造の電子・スピン状態についてX線磁気円二色性(XMCD)を用いた分光解析を行った。結果としてNi(111)表面上のC
-Co化合物(数nm厚)では、Niの残留磁化のみで、局在スピン(Co dスピン)由来の強いXMCD信号が観測された。これはNi界面から3nm程度のC
-Co化合物領域が、恐らく層間の電荷移動に関係のあるC
分子を介した間接的交換相互作用により、下地のNiと強磁性的にカップリングしていることを指し示している。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; Akiba, Y.*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; Aoki, K.*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review D, 84(1), p.012006_1 - 012006_18, 2011/07
被引用回数:33 パーセンタイル:75.82(Astronomy & Astrophysics)重心エネルギー200GeVでの縦偏極陽子陽子衝突からのジェット生成のイベント構造と二重非対称()について報告する。光子と荷電粒子がPHENIX実験で測定され、イベント構造がPHYTIAイベント生成コードの結果と比較された。再構成されたジェットの生成率は2次までの摂動QCDの計算で十分再現される。測定された
は、一番低い横運動量で-0.0014
0.0037、一番高い横運動量で-0.0181
0.0282であった。この
の結果を幾つかの
の分布を仮定した理論予想と比較する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review C, 83(6), p.064903_1 - 064903_29, 2011/06
被引用回数:193 パーセンタイル:99.41(Physics, Nuclear)200GeVと62.4GeVでの陽子陽子の中心衝突からのの横運動量分布及び収量をRHICのPHENIX実験によって測定した。それぞれエネルギーでの逆スロープパラメーター、平均横運動量及び単位rapidityあたりの収量を求め、異なるエネルギーでの他の測定結果と比較する。また
や
スケーリングのようなスケーリングについて示して陽子陽子衝突における粒子生成メカニズムについて議論する。さらに測定したスペクトルを二次の摂動QCDの計算と比較する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:10 パーセンタイル:51.34(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; Akiba, Y.*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; Aoki, K.*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review D, 83(5), p.052004_1 - 052004_26, 2011/03
被引用回数:181 パーセンタイル:98.29(Astronomy & Astrophysics)RHIC-PHENIX実験で重心エネルギー200GeVの陽子陽子衝突からの,
,
と
中間子生成の微分断面積を測定した。これらハドロンの横運動量分布のスペクトルの形はたった二つのパラメーター、
、のTsallis分布関数でよく記述できる。これらのパラメーターはそれぞれ高い横運動量と低い横運動量の領域のスペクトルを決めている。これらの分布をフィットして得られた積分された不変断面積はこれまで測定されたデータ及び統計モデルの予言と一致している。
曽根 智之; 中川 明憲; 小山 勇人; 郡司 清; 野中 一晴; 佐々木 紀樹; 田代 清; 山下 利之
JAEA-Technology 2009-023, 33 Pages, 2009/06
水蒸気改質処理法は、有機廃棄物を過熱水蒸気で分解・ガス化させ、ウラン等の非揮発性の放射性核種を有機物と分離したのち、ガス化した有機物を高温空気で酸化分解するものである。ウランを含有する約2500Lの廃TBP/n-ドデカンの処理を実施し、長時間処理における装置性能を評価した。この結果、長期処理においても、装置内温度が設計通りに制御されること,排ガス中のCO濃度及びNOx濃度は規制値未満に制御されること,排ガス処理系へのウラン移行率及び廃TBP/n-ドデカンのガス化率は短時間処理と同等の性能を維持すること等が確認された。水蒸気改質処理法は廃TBP/n-ドデカンの長時間処理に対して安定した運転が可能で減容効果も高い処理技術であることが示された。
松本 吉弘; 境 誠司; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*; 島田 敏宏*; 三谷 誠司*; 楢本 洋*; 前田 佳均
Chemical Physics Letters, 470(4-6), p.244 - 248, 2009/03
被引用回数:17 パーセンタイル:49.40(Chemistry, Physical)X線吸収分光(XAS)、及び磁気円偏光二色性(MCD)分光により巨大トンネル磁気抵抗(TMR)効果を示すC-Co薄膜の電子・スピン状態解析を行った。結果として薄膜中のC
-Co化合物中に局在するスピン偏極状態(C
分子の
軌道とCo原子の3d軌道間の混成由来)の存在を明らかにした。また同局在スピンの温度に対する磁化方向の変化と、C
-Co薄膜で観測された温度による磁気抵抗比の大きさの変化が良い一致を示した。これはC
-Co化合物のスピン偏極状態がTMR効果発現に寄与していることを明確に示す結果である。
金子 房恵*; 田中 真人*; 成田 悟*; 北田 朋*; 松井 貴弘*; 中川 和道*; 安居院 あかね; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.291 - 294, 2005/06
被引用回数:19 パーセンタイル:63.59(Spectroscopy)宇宙空間など固相アミノ酸に紫外線や軟X線が照射された場合アミノ酸がたんぱく質へと化学進化するかどうか調べるためグリシン及びフェニルアラニン薄膜に軟X線を照射した。軟X線照射によりグリシン二量体,フェニルアラニン二量体が生成することがわかった。また、グリシン薄膜に860eVの軟X線を照射した場合でも同様に二量体が生成された。
中川 和道*; 金子 房恵*; 大田 佳実*; 田中 真人*; 北田 朋*; 安居院 あかね; 藤井 健太郎; 横谷 明徳; 渡辺 一寿*; 山田 亨*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.271 - 273, 2005/06
被引用回数:13 パーセンタイル:51.68(Spectroscopy)円偏光と物質の相互作用の研究は、シンクロトロン放射の発展によって新たな発展の時期を迎えている。アミノ酸は鏡像体が容易に入手可能でありそれらが互いに反対の符号の円二色性を示すはずであるので、実験的にも理論的にも手堅い研究を可能にする研究素材である。われわれは、アミノ酸蒸着膜を試料として産総研TERASではVUV領域で、SPring-8では窒素・酸素K殻領域で円二色性測定を試み、SPring-8では、軟X線領域での円二色性検出に初めて成功した。産総研NIJI-2では固相で初めて不斉分解反応の検出に成功した。
田中 真人*; 中川 和道*; 安居院 あかね; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
Physica Scripta, T115, p.873 - 876, 2005/00
SPring-8のBL23SUに挿入されている偏光可変アンジュレーターを用いて軟X線領域における分子の酸薄膜の自然円二色性(NCD)を世界で初めて測定した。試料として、フェニルアラニン,セリンなどのアミノ酸薄膜を用いた。その結果、フェニルアラニン薄膜,セリン薄膜ともにL体D体で符号対称な円二色性スペクトルが観測された。また、KTP結晶などを用いた線二色性測定についても報告する。
田中 真人*; 中川 和道*; 古結 俊行*; 安居院 あかね; 横谷 明徳
Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.1009 - 1011, 2001/03
アミノ酸分子は固相中ではいわゆるツイッターイオン状態として存在するため、その蒸気圧は極めて低いことが知られている。この性質は、X線微細吸収構造(XANES)測定において必要とされる超高真空下での実験を可能とする。最近、炭素のK吸収端近傍でのアミノ酸のXANES研究が、実験と理論の両面から行われた。本研究において、われわれは酸素のK吸収端におけるアミノ酸XANES測定を行った。アミノ酸分子中では、酸素原子は多様な化学的状態をとるため、XANES構造を調べることは興味深い。例えば炭素を含むカルボキシル基が-COO-のようなアニオンとして存在するのに対して、側鎖のカルボキシル基は-COOHである。さらにいくつかのアミノ酸では、OH基としても存在する。このような化学的環境に特有の化学シフトが、XANESスペクトル上に現われることが予想される。われわれはグリシン,アラニン,セリン,アスパラギン酸,チロシンの各アミノ酸のフィルムを試料として用い、XANES測定を行った。得られたスペクトルを、分子軌道計算(DV-X
)の結果をもとにその詳細を議論した。
境 誠司; 松本 吉弘; 圓谷 志郎; 菅井 勇*; 高梨 弘毅; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*; 島田 敏宏*; 楢本 洋*; et al.
no journal, ,
本研究では、グラニュラーC-Co薄膜中のC
-Co化合物/Coナノ粒子界面におけるスピン偏極状態を調べる目的で、ナノ積層構造を有するCPP型のグラニュラーC
-Co素子を作製して、トンネル磁気抵抗特性を調べた。素子の電流-電圧特性から高次トンネル過程の次数を見積もることができ、同過程による磁気抵抗率の増長効果を考慮することで、界面のスピン偏極状態を反映したトンネル電子のスピン偏極率を求めることができた。スピン偏極率の大きさが75%以上であることが明らかになり、同結果から界面に完全スピン偏極に近い高スピン偏極状態が存在することが明らかになった。
境 誠司; 松本 吉弘; 大伴 真名歩; 圓谷 志郎; Avramov, P.; 楢本 洋*; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*
no journal, ,
本講演では、C-Co化合物/強磁性金属界面の電子・スピン状態を解明するために行った、C
-Co化合物/Ni(111)二層膜のX線吸収・磁気円二色性分光の結果を報告する。単独の状態にあるC
-Co化合物の磁気的性質について、これまでの研究でCo原子に局在するd電子スピンに起因する常磁性を示すことがわかっている。本研究の結果、Ni層と界面で接するC
-Co化合物の薄膜は単独の状態とは著しく異なる磁性を示すことが明らかになった。すなわち、C
-Co化合物中のCo原子は界面から数分子層の範囲でNi層と交換結合し、一方向に磁化された局在d電子スピンによる強磁性を示すことが明らかになった。さらに、交換結合の発現領域と一致する範囲内でNi層からC
-Co化合物層への電荷移動が生じることも見いだされた。以前の研究でC
-Co化合物/強磁性金属界面を含む素子のトンネル磁気抵抗効果から明らかになった、C
-Co化合物/強磁性金属界面における伝導電子の高スピン偏極率は、上記のような界面近傍における電子的・磁気的相互作用が複合的に関与して生じることが推測される。
境 誠司; 松本 吉弘; 大伴 真名歩; 圓谷 志郎; Avramov, P.; 楢本 洋*; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*
no journal, ,
講演者らは、これまでに、C-Co化合物とCoナノ結晶からなるナノコンポジット薄膜が、
C-Co化合物/Co結晶界面における伝導電子の高スピン偏極率に起因する巨大なトンネル磁気抵抗効果を示すことを明らかにした。今回、
C-Co化合物/強磁性金属界面において高スピン偏極状態が発現する電子・磁気的要因を解明することを目的に
C-Co化合物/Ni(111)二層膜のX線吸収・磁気円二色性分光実験を行った。本実験の結果、Ni(111)上の
C-Co化合物はNi薄膜と一致する強磁性的な応答を示すことがわかった。さらに、磁気的応答の膜厚依存性を検討し、Ni(111)上の
C-Co化合物は界面から3nmの範囲でNiと強磁性的な交換結合を生じることを明らかにした。界面における伝導電子の高スピン偏極状態は、上記のような磁気的結合と界面を介したNiから
C-Co化合物への電荷移動が複合的に作用する結果として発現することが考えられる。
境 誠司; 松本 吉弘; 圓谷 志郎; 菅井 勇*; 高梨 弘毅; 高木 康多*; 中川 剛志*; 横山 利彦*; 島田 敏宏*; 楢本 洋*; et al.
no journal, ,
本研究ではC60-Co薄膜の巨大トンネル磁気抵抗(TMR)効果の発現機構の追究を目的として、薄膜面直方向への伝導を検知するCPP(current perpendicular to plane)型の素子試料を作成し、電圧依存性など磁気伝導特性の詳細な評価を行った。CPP素子の電流-電圧特性から、グラニュラー薄膜においてTMR効果を増長し得る高次トンネル過程の次数(低温で3-7次)が見積られた。同次数から高次トンネル過程による磁気抵抗率(MR)増大の程度を見積りTMR効果の理論式と照らし合わせることで、トンネル電子のスピン偏極率の大きさを計算した。その結果、組成やデバイス構造が異なるすべての試料について、同様なスピン偏極率(ゼロ温度で75%)が得られた。本結果からC60-Co化合物/Co結晶界面に固有な状態として著しい界面スピン偏極状態が存在することが明らかになった。
松本 吉弘; 境 誠司; 圓谷 志郎; 中川 剛志*; 高木 康多*; 横山 利彦*; 永松 伸一*; 島田 敏宏*; 楢本 洋*; 三谷 誠司*; et al.
no journal, ,
C-Co化合物中にCoナノ粒子が分散するC
-Co共蒸着薄膜において、巨大トンネル磁気抵抗(TMR)効果の発現が明らかとなっている。C
-Co化合物中の
-d混成軌道に由来する局在スピンの働きによりCoナノ粒子間をトンネルする伝導電子のスピン偏極率が著しく増大することが効果発現の原因であると示唆されていることから、本研究ではC
-Co化合物の電子/スピン状態の分光解析を行った。実験は組成の異なるC
-Co化合物(C
Co
)を用いて行った。結果としてC
Co
の試料では吸収スペクトル中に幾つかの構造が見て取れたが、飽和組成(C
Co
)に近づくにつれてはっきりとしなくなる。光電子分光測定などから、化合物中のCo原子の価数が組成に応じてわずかながら減少していると考えられるため、XASスペクトルで観測された変化は
-d混成軌道の変化を反映しているものと推察される。また、X線磁気円二色性分光により組成に応じた局在スピン状態の変化を精査し、TMR効果に与える影響を検討した。
松本 吉弘; 境 誠司; 圓谷 志郎; 中川 剛志*; 高木 康多*; 横山 利彦*; 永松 伸一*; 島田 敏宏*; 楢本 洋*; 三谷 誠司*; et al.
no journal, ,
C-Co化合物中にCo結晶粒が分散したグラニュラー構造を持つC
-Co共蒸着薄膜において、巨大なトンネル磁気抵抗(TMR)効果の発現が明らかとなっている。本研究では、Coの組成比が異なるC
-Co共蒸着薄膜(C
Co
)に対してX線磁気円二色性(XMCD)分光解析を行い、TMR効果発現にかかわるスピン状態情報の獲得を行った。結果としてC
-Co化合物中の吸収スペクトル中に複数の構造が検出された。またC
-Co化合物が磁気円二色性を示すことも明らかとなった。この結果は、C
-Co化合物に局在するスピン偏極状態の存在を示している。さらにTMR効果の理論モデルに、磁場に対して常磁性的に振る舞う局在スピンが、Co粒子間をトンネルする伝導電子のスピン偏極率に影響を及ぼす過程を考慮すると、伝導電子のスピン偏極率が100%に近い場合に、磁気抵抗率の理論値が実験で得られた磁気抵抗率と一致することがわかった。以上の結果から、C
-Co化合物の局在スピンの影響により伝導電子のスピン偏極率が著しく増大することが、C
-Co薄膜で生じるTMR効果の原因であることが明らかとなった。