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中野 正博*; 山口 雄司; 古田 稔将*; 魚住 祐介*
Physical Review C, 110(6), p.064620_1 - 064620_5, 2024/12
先行研究において核子及び重陽子誘起反応に対して拡張してきた核内カスケード(INC)模型に基づき、アルファ誘起全反応断面積を記述する。先行研究と矛盾しないパラメータを用いることで、INC模型の計算はC、Si、Ca、Pb標的の実験データをよく再現する。本研究では、離散準位制約とクーロン効果がアルファ誘起全反応断面積の記述において重要であり、それらの寄与が入射エネルギーと標的に依存することを示す。離散準位制約は軽い標的に対して特に重要であり、クーロン効果はPbにおいて支配的である。このような傾向は、陽子及び重陽子誘起全反応断面積の記述と矛盾しない。
沖田 将一朗; 櫻井 辰大*; 工藤 涼兵*; 都木 克之*; 中野 貴之*; 日野 正裕*
KURNS Progress Report 2023, P. 97, 2024/07
BGaN semiconductor neutron detectors are currently under development at Shizuoka University as promising compact and high-temperature resistant neutron detectors. In this experiment, we observe the pulsed detection signals for thermal neutron beams irradiated to the BGaN semiconductor neutron detectors installed on a high-temperature hot plate wih ambient temperatures of 300 Celsius degree. This experiment is performed in the cold neutron beam line (CN-3) in KUR, which has relatively low background noise and can irradiate low-energy neutrons for sensitive detection. As a result, clear pulsed detection signals were successfully found several times per hour for both detectors. These results suggest that BGaN semiconductor neutron detectors demonstrate the operability at around 300 Celsius degree at least.
近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
被引用回数:20 パーセンタイル:95.45(Multidisciplinary Sciences)非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにてFからの1陽子ノックアウト反応によってOを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.
Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08
被引用回数:3 パーセンタイル:71.80(Astronomy & Astrophysics)Neからの1中性子除去反応を用いて、Neの詳細な線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。
中野 正博*; 山口 雄司; 魚住 祐介*
Physical Review C, 106(1), p.014612_1 - 014612_8, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)核内カスケード(INC)模型を拡張して、重陽子入射反応の弾性外散乱断面積を記述する。陽子と中性子が弱く結合した重陽子の分解,捕獲反応を自然に記述できるようにINC模型に対して陽子,中性子,標的核の三体の枠組みを導入する。この枠組みには陽子-標的核,中性子-標的核,陽子-中性子間の相互作用が含まれ、陽子-中性子間の相互作用は、重陽子を構成する二核子の振動運動を引き起こすため、重陽子の分解反応や陽子、中性子の捕獲の記述において重要である。拡張したINC模型による計算結果は、核子入射反応の先行研究で決めたパラメータとほぼ同様のものでC, Ca, Ni, Pb標的の実験データをよく再現する。
中野 政尚; 中田 陽; 金井 克太; 永岡 美佳; 小池 優子; 山田 椋平; 久保田 智大; 吉井 秀樹*; 大谷 和義*; 檜山 佳典*; et al.
JAEA-Review 2021-040, 118 Pages, 2021/12
本報告書は、原子力規制関係法令を受けた「再処理施設保安規定」,「核燃料物質使用施設保安規定」,「放射線障害予防規程」,「放射線保安規則」及び茨城県等との「原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」,「水質汚濁防止法」並びに「茨城県条例」に基づき,令和2年4月1日から令和3年3月31日までの期間に日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所から環境へ放出した放射性排水の放出管理結果をとりまとめたものである。再処理施設,プルトニウム燃料開発施設をはじめとする各施設からの放射性液体廃棄物は、濃度及び放出量ともに保安規定及び協定書等に定められた基準値を十分に下回った。
佐藤 智徳; 小松 篤史; 中野 純一*; 山本 正弘*
材料と環境, 70(12), p.457 - 461, 2021/12
福島第一原子力発電所(1F)の原子炉格納容器(PCV)は、事故後、放射線照射下で海水成分を含むような腐食環境にさらされることになった。このような環境では、溶存酸素のほかに、水の放射線分解(ラジオリシス)により過酸化水素が生成される。過酸化水素の生成量はラジオリシス解析により推測可能である。ガンマ線照射環境下での炭素鋼の腐食試験が実施された。その結果より、PCVで実施されているN2パージはガンマ線照射下での炭素鋼腐食の抑制にも効果的であることが確認された。また、実験結果をラジオリシス解析をもとに整理した。その結果、ガンマ線照射下での炭素鋼の腐食は、非照射下での酸素、過酸化水素の共存環境下での炭素鋼の腐食と同様に、酸素と過酸化水素の各拡散限界電流の和で決定されることが確認された。
中野 政尚; 藤井 朋子; 永岡 美佳; 小池 優子; 山田 椋平; 久保田 智大; 吉井 秀樹*; 大谷 和義*; 檜山 佳典*; 菊地 政昭*; et al.
JAEA-Review 2020-070, 120 Pages, 2021/02
本報告書は、原子力規制関係法令を受けた「再処理施設保安規定」、「核燃料物質使用施設保安規定」、「放射線障害予防規程」、「放射線保安規則」及び茨城県等との「原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」、「水質汚濁防止法」並びに「茨城県条例」に基づき、平成31年4月1日から令和2年3月31日までの期間に日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所から環境へ放出した放射性排水の放出管理結果をとりまとめたものである。再処理施設,プルトニウム燃料開発施設をはじめとする各施設からの放射性液体廃棄物は、濃度及び放出量ともに保安規定及び協定書等に定められた基準値を十分に下回った。
Wang, H.*; 大津 秀暁*; 千賀 信幸*; 川瀬 頌一郎*; 武内 聡*; 炭竃 聡之*; 小山 俊平*; 櫻井 博儀*; 渡辺 幸信*; 中山 梓介; et al.
Communications Physics (Internet), 2(1), p.78_1 - 78_6, 2019/07
被引用回数:9 パーセンタイル:55.81(Physics, Multidisciplinary)陽子(あるいは中性子)過剰核の効率的な生成経路を探索することは、原子核反応研究の主な動機のひとつである。本研究では、Pdに対する核子当たり50MeVの陽子および重陽子入射による残留核生成断面積を逆運動学法によって測定した。その結果、重陽子入射ではAgやPd同位体の生成断面積が大きくなることを実験的に示した。また、理論計算による解析から、この生成断面積の増大は重陽子の不完全融合反応に起因することを示した。これらの結果は、陽子過剰核の生成において重陽子のような弱束縛核の利用が有効であることを示すものである。
佐藤 雄二*; 塚本 雅裕*; 菖蒲 敬久; 山下 順広*; 山縣 秀人*; 西 貴哉*; 東野 律子*; 大久保 友政*; 中野 人志*; 阿部 信行*
Applied Physics A, 124(4), p.288_1 - 288_6, 2018/04
被引用回数:18 パーセンタイル:62.00(Materials Science, Multidisciplinary)レーザーコーティングによる高品質な金属膜生成をめざし、本研究ではシンクロトロン放射光実験により、レーザー照射により溶融したチタンの動態を調べた。濡れ性の指標として、レーザ照射中を30keVのシンクロトロンX線により、Ti64ベースプレートとTi球との接触角を測定した。その結果、ベースプレートの温度が上昇すると接触角は低下し、ベースプレートの温度が500Cのときに接触角度は28度まで減少することを確認した。そして予熱をした状態でレーザーコーティングを行うとスパッタリングが少なく、表面粗さも少ない高品質な金属膜の生成に成功したが、この要因として濡れ性の改善が大きく関与していることを明らかにした。
山本 正弘; 小松 篤史; 佐藤 智徳; 中野 純一; 上野 文義
Proceedings of 17th Asian Pacific Corrosion Control Conference (APCCC-17) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2016/01
福島第一原子力発電所では、事故後の廃止措置が鋭意進められているが、最終的には30年以上の時間がかかると考えられている。その間、燃料などを内含する格納容器の健全性を維持することは非常に重要である。格納容器は炭素鋼でできているが、現在は窒素ガスを注入しているため腐食は大幅に緩和されている。しかしながら、格納容器内には多くの放射性物質が内包されており、これらからの線による腐食の影響が懸念される。そこで、炭素鋼の腐食への放射線影響を評価するために、線照射試験と実験室での電気化学試験で腐食量の予測を試みた。その結果、炭素鋼の腐食は、放射線分解で生成する酸素と過酸化水素量で推定できること、腐食速度は試験初期には大きいが時間経過後には定常値に近づき、その値を元に予測可能であることが明らかになった。
加藤 千明; 佐藤 智徳; 中野 純一; 上野 文義; 山岸 功; 山本 正弘
日本原子力学会和文論文誌, 14(3), p.181 - 188, 2015/09
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理に用いた使用済み吸着塔の局部腐食発生条件に関する基礎的検討として、線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験を行った。ステンレス鋼の自然浸漬電位は線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従いその定常自然浸漬電位が上昇した。一方、ゼオライト共存系では線照射下の電位上昇が抑制された。この電位上昇は、主に放射線分解で生じるHO濃度の増加によるものであることを明らにした。ゼオライトは線照射により生成するHOを分解し、その電位上昇が抑制されることを明らかにした。ステンレス鋼の局部腐食発生電位は、照射の有無、ゼオライトの種類や接触により大きく変化しないことから、ゼオライト共存は線照射下において定常自然浸漬電位を低下させ、局部腐食発生リスクを低減できることが期待できることを明らかにした。
山本 正弘; 佐藤 智徳; 小松 篤史; 中野 純一; 上野 文義
Proceedings of European Corrosion Congress 2015 (EUROCORR 2015) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2015/09
福島第一原子力発電所では、廃炉に向かう取り組みが進められているが、これは30年もかかる事業である。原子炉の健全性をこの期間中保つためには、一部で使用されている炭素鋼の腐食劣化が大きな課題である。核燃料デブリなどの放射線の影響下での腐食を明らかにするためにCoを用いた線照射下での腐食試験を実施した。試験より、放射線の線量率の上昇に伴い炭素鋼の腐食量が増加し、同様に酸化剤の生成量も増加することが分かった。この結果をもとに、放射線下での炭素鋼の腐食速度予測手法を提案した。
山本 正弘; 中野 純一; 小松 篤史; 佐藤 智徳; 塚田 隆
Proceedings of 19th International Corrosion Congress (19th ICC) (CD-ROM), 6 Pages, 2014/11
福島第一原子力発電所事故対応において、圧力容器や格納容器の腐食が重要な課題である。現状不確定な要因としてこれらの金属の腐食に対する放射線の影響がある。そこで、線照射下でのこれらの金属の腐食試験を実施した。また、試験後の酸素や過酸化水素量も測定した。試験結果より、放射線の影響で腐食量が増加すること、また腐食と酸素や過酸化水素の量が対応していることが明らかになった。さらに、電気化学的試験より、過酸化水素の拡散係数は酸素の0.75倍であり、酸素と過酸化水素量より腐食速度が予測可能であることが分かった。
中野 純一; 加治 芳行; 山本 正弘; 塚田 隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(7-8), p.977 - 986, 2014/07
被引用回数:4 パーセンタイル:29.41(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所(1F)の1、2および3号機では、海水が炉心に注入された。原子炉容器鋼の腐食が進行することが懸念されている。原子炉容器鋼耐久性を評価するために、50Cでの希釈海水中で腐食試験を線照射下で行った。10mg/Lおよび100mg/L NHを希釈海水中に添加した。NH無添加の希釈海水中において、0.2kGy/hで照射された鋼材の重量減少は非照射のそれと同等であり、4.4kGy/hで照射された鋼材の重量減少は非照射鋼材の約1.7倍まで増加した。NHを含む希釈海水中で照射された鋼材の重量減少はNH無添加の希釈海水中でのそれと同等であった。フラスコの気相をNで置換した場合、鋼材の重量減少、および希釈海水中のOおよびHO濃度は減少した。
中野 純一; 山本 正弘; 塚田 隆
日本原子力学会和文論文誌, 13(1), p.1 - 6, 2014/03
東京電力福島第一原子力発電所(1F)の1, 2および3号機では、海水が炉心に注入された。炭素鋼と低合金鋼の腐食に及ぼす線照射の影響を調べるために、50Cでの希釈海水中で腐食試験を4.4kGy/hと0.2kGy/hの線量率の線照射下で行った。加えて、ヒドラジン(NH)を希釈海水中に添加した。NH無添加の希釈海水中において、0.2kGy/hで照射された鋼材の重量減少は非照射のそれと同等であり、4.4kGy/hで照射された鋼材の重量減少は非照射鋼材のそれの約1.7倍まで増加した。NHを含む希釈海水中で照射された鋼材の重量減少はNH無添加の希釈海水中でのそれと同等であった。線照射試験中、Nをフラスコの気相に導入した場合、鋼材の重量減少は減少した。
中野 純一; 佐藤 智徳; 加藤 千明; 山本 正弘; 塚田 隆; 加治 芳行
Journal of Nuclear Materials, 444(1-3), p.454 - 461, 2014/01
被引用回数:3 パーセンタイル:22.70(Materials Science, Multidisciplinary)沸騰水型原子炉(BWR)の運転温度よりも低い温度において、ステンレス鋼(SS)の応力腐食割れ(SCC)に及ぼす過酸化水素(HO)の影響を評価するため、HOを含む561423Kの高温水中でき裂進展試験を行った。小型コンパクト・テンション(CT)試験片を熱鋭敏化304SSから作製した。100ppbのHOを含む561Kの高温水中での試験では、CT試験片のサイドグルーブ近傍に粒界型SCC(IGSCC)の小さな領域が認められたにもかかわらず、423及び453KではCT試験片の中央部までIGSCC領域が拡大した。SCCに及ぼすHOの影響はBWR運転温度よりも低い温度で著しく現れた。き裂中の環境を評価するため、破面及び疲労予き裂上の外層酸化物分布をレーザーラマン分析により調べるとともに熱平衡計算を行った。
中野 純一; 佐藤 智徳; 加藤 千明; 山本 正弘; 塚田 隆; 加治 芳行
Journal of Nuclear Materials, 441(1-3), p.348 - 356, 2013/10
被引用回数:2 パーセンタイル:17.87(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼(SS)の応力腐食割れ(SCC)進展形態に及ぼすすきま構造と過酸化水素(HO)の関係を評価するため、HOを含む高温水中でき裂進展試験を行った。異なる疲労予き裂長さを有する小型コンパクト・テンション(CT)試験片を作製し、20300 ppb HOを561Kの高温水中へ注入した。粒界型SCC(IGSCC)がCT試験片のサイドグルーブ近傍にのみ観察された。予き裂の短縮により、IGSCCの領域はCT試験片の中央部まで拡大した。SSに及ぼすHOの影響は高レベルのHOに曝された表面近傍に強く現れた。HOの残存率の計算はき裂の両側から流れ込んだHOの影響がき裂開口部を通して流れ込んだそれらよりも明瞭であることを示した。
中野 純一; 佐藤 智徳; 加藤 千明; 加治 芳行; 山本 正弘; 塚田 隆
Proceedings of 2012 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2012) (CD-ROM), 9 Pages, 2012/09
過酸化水素(HO)を含む高温水中でのステンレス鋼の腐食挙動は、Oのみを含むものと異なることが報告されている。HOの応力腐食割れ(SCC)に及ぼす影響を評価するため、HOを注入した高温水中でのSCC進展試験を行った。561K, 100ppb HOの環境では、粒界型SCC(IGSCC)が、CT試験片のサイドグルーブ近傍の領域に狭い範囲で認められた。しかしながら、453K, 100ppb HOの環境では、一様にSCCが進展し、CT試験片の板厚全体にIGSCCを示した。HOの熱分解が減少したため、SCC進展挙動に及ぼすHOの影響が低温でより強く示された。さらに、き裂内の環境状態を推定するため、CT試験片のき裂に形成した酸化皮膜の外層酸化物を調べ、熱力学平衡計算を行った。
山本 正弘; 加藤 千明; 佐藤 智徳; 中野 純一; 宇賀地 弘和; 塚田 隆; 加治 芳行; 辻川 茂男*; 服部 成雄*; 吉井 紹泰*; et al.
JAEA-Review 2012-007, 404 Pages, 2012/03
我が国の軽水炉は運転開始から20年以上経過したものが多くを占め、経年劣化に対応した技術を確立して安全に運転していくことが望まれている。特にSCCについては、これまでに幾つかのトラブル事象が報告されており、対応技術やメカニズムに関する数多くの研究例がある。今回、それらをできるだけ広く集めて整理し、体系的にレビューした。具体的には、軽水炉に発生したSCC事例とその評価の現状、SCC発生・進展因子に関する評価法の研究と知見の現状、SCC・腐食環境のモニタリング技術の現状等について調査を行った。調査した結果は、炉型(BWR, PWR),材料(ステンレス鋼,Ni基合金)及びSCC評価法(ラボと実機)について、横断的かつ総合的に検討を行い、それらの共通点,相違点を理解しやすい図表として整理し、相対的な比較を行いやすいようにまとめた。これらの整理した結果を元に、今後検討すべき課題を抽出し、また実機において留意していくべき事象に関してまとめた。ラボ試験における加速条件の評価においては、最新の解析技術を駆使したミクロな解析と統計的な手法を含めた計算機的な予測やモデル化技術が今後重要になることを示した。また、実機の状況を運転中に把握し、SCCが顕在化する以前の兆候をモニタリングする手法の重要性を示し、今後実用化を含めた検討が必要であることを示した。