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岡村 正愛*; 中山 真義*; 梅基 直行*; Cano, E. A.*; 長谷 純宏; 西崎 雄三*; 佐々木 伸大*; 小関 良宏*
Euphytica, 191(1), p.45 - 56, 2013/05
被引用回数:28 パーセンタイル:78.11(Agronomy)液胞内アントシアニン凝集(AVI)によって特殊なdusky花色を発色するカーネーション系統がわずかではあるが知られている。特殊花色は非アシル化アントシアニンを含むAVIの存在と強く相関のある単一劣勢因子によって支配されることが遺伝様式から示唆されている。われわれは、カーネーションの特殊花色を多様化するため、交配育種によって新奇なメタリック花色を発色する青色系カーネーションを作出した。さらに、この系統にイオンビームを照射することにより、赤,赤紫及びクリムゾン系のメタリック花色系統を作出した。すべてのメタリック花色系統はアントシアニンマリル基転移酵素の転写産物を持たなかった。また、dusky花色のカーネーションと比べて、強く凝集したAVIと透明の液胞を持つ向軸側の表皮細胞を有していた。これらの結果から、(1)AVIを生成する因子はアントシアニンマリル基転移酵素の不活化によること、(2)向軸側表皮細胞のAVIがメタリック調花色を発色すること、(3)イオンビームがアントシアニン構造とAVIの凝集程度を変化することにより、メタリック花色の拡大に有用であることを示した。
秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; et al.
Planta, 234(6), p.1127 - 1136, 2011/12
被引用回数:43 パーセンタイル:75.80(Plant Sciences)Anthocyanin -methyltransferase (OMT) is one of the key enzymes for anthocyanin modification and flower pigmentation. We previously bred a novel red-purple-flowered fragrant cyclamen (KMrp) from the purple-flowered fragrant cyclamen "Kaori-no-mai" (KM) by ion-beam irradiation. Since the major anthocyanins in KMrp and KM petals were delphinidin 3,5-diglucoside and malvidin 3,5-diglucoside, respectively, inactivation of a methylation step in the anthocyanin biosynthetic pathway was indicated in KMrp. We isolated and compared
genes expressed in KM and KMrp petals. RT-PCR analysis revealed that
was expressed in the petals of KM but not in KMrp. Three additional
s with identical sequences were expressed in petals of both KM and KMrp. Genomic PCR analysis revealed that
was not amplified from the KMrp genome, indicating that ion-beam irradiation caused a loss of the entire
region in KMrp. In vitro enzyme assay demonstrated that CkmOMT2 catalyzes the 3' or 3',5'
-methylation of the B-ring of anthocyanin substrates. These results suggest that CkmOMT2 is functional for anthocyanin methylation, and defective expression of
is responsible for changes in anthocyanin composition and flower coloration in KMrp.
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 65, 2011/01
埼玉県では、シクラメンの栽培種と芳香性野生種の種間交雑と染色体倍加により、バラやスズランと同様の香気成分を持つ複二倍体の芳香性シクラメンを育成した。しかし、芳香性シクラメンは色や形が限定されているため、幅広い消費者の要望に応じるために、イオンビームによる突然変異育種を試みた。芳香性シクラメン「香りの舞い」に炭素イオンビームを2Gy照射して得られたM2個体の中から、花色変異体が得られた。「香りの舞い」の主要色素がマルビジン3.5-ジグルコサイドであるのに対して、変異体の主要色素はシクラメンでは今までに見いだされていないデルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。以上の結果は、変異体では、デルフィニジンの3'位及び5'位の水酸基のメチル化酵素をコードする遺伝子が、イオンビームの影響を受け、マルビジンへの代謝が阻害されていることを示唆している。
秋田 祐介; 石坂 宏*; 中山 真義*; 島田 明彦; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 田中 淳
Journal of Horticultural Science & Biotechnology, 85(5), p.437 - 443, 2010/09
シクラメンの花色合成遺伝子に関する解析のために、紫色の花を有するシクラメン野生種(,gra6)とその白花変異体(gra50)を用いて、花色成分とその合成にかかわる遺伝子群の比較解析を行った。gra6の花の色素は、アントシアニンのマルビジン3,5ジグルコシドであった。一方、gra50の花ではアントシアニンが確認されず、その前駆物質であるフラボノールの蓄積が確認された。花色合成にかかわる酵素遺伝子群をgra6より単離し、その発現をgra6とgra50で解析したところ、二つのdihydroflavonol-4-reductase(DFR)遺伝子(
,
)のうち、
の発現がgra50で減少していた。
を含む他の遺伝子群には大差がみられなかったことから、
が
における花色に重要であり、その発現抑制によってアントシアニンの合成が進まず、白花に変異したと考えられた。
の発現が減少した理由として、遺伝子発現にかかわるプロモーター領域の変異が大きな候補として挙げられた。本研究は、シクラメン花色合成に関する選抜マーカーとして
遺伝子が一つの候補であることを示した。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
Plant Biotechnology, 26(5), p.565 - 569, 2009/01
被引用回数:36 パーセンタイル:68.34(Biotechnology & Applied Microbiology)香りシクラメンシリーズのバリエーションの増加のために、紫の花が咲き、主要アントシアニンとしてマルビジン3,5-ジグルコサイドを含む香りシクラメン品種(
)「香りの舞」の黄化葉柄に320MeVの炭素イオンビームを0
16Gyの強さで照射した。M1植物の自家受粉により得られたM2植物から変異体が選抜された。そのうち、2Gyを照射して得られたM2植物68個体中9個体は、これまでの紫の花と葉は異なる赤紫の花が咲いた。その花の色素を抽出し液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析したところ、その主要アントシアニンは、デルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。花の形態や香り成分等、花の色以外の要素はこれまでのシクラメン品種とは大差がなかったことから、この変異体は花の色素合成にかかわる遺伝子にのみ変異が生じたと考えられる。デルフィニジン3,5-ジグルコサイドを主な色素として持つシクラメンはこれまで報告されておらず、この変異個体は商業的な価値があるだけでなく、シクラメンの貴重な遺伝子資源としても有用である。
梅田 浩司; 大井 貴夫; 大澤 英昭; 大山 卓也; 小田 治恵; 亀井 玄人; 久慈 雅栄*; 黒澤 英樹; 小林 保之; 佐々木 康雄; et al.
JAEA-Review 2007-050, 82 Pages, 2007/12
本報告書は、2006年度(平成18年度)の地層処分技術に関する各々のプロジェクトにおける研究開発の現状とトピック報告を示した年度報告書である。
中山 信太郎*; 山県 民穂*; 秋宗 秀俊*; 藤原 守; 伏見 賢一*; Greenfield, M. B.*; 原 圭吾*; 原 かおる*; 橋本 尚信*; 市原 かよこ*; et al.
Nuclear Physics A, 731, p.355 - 362, 2004/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Nuclear)450MeV(He,
)反応によって
Li原子核クラスター構造が研究された。励起エネルギー21MeVの共鳴から二体崩壊t+
Heが観測された。分岐比は0.8
0.2でほぼ100%近くt+
Heに崩壊することがわかった。したがってこの共鳴はt+
Heの3粒子クラスターからなる共鳴で、その崩壊パターンから、18MeVの領域は
P状態、22MeVの領域は
P状態であると結論した。
秋宗 秀俊*; 山県 民穂*; 中山 信太郎*; 有本 靖*; 藤原 守; 伏見 賢一*; 原 圭吾*; 大田 雅久*; 塩川 敦子*; 田中 正義*; et al.
Physical Review C, 67(5), p.051302_1 - 051302_4, 2003/05
被引用回数:28 パーセンタイル:80.05(Physics, Nuclear)t+tの分子的構造を持つ共鳴がLi(
Li,
Be
)
H反応で発見された。励起エネルギーは18
0.5MeVで、幅は7.7
1.0MeVであった。崩壊分岐比としては90
10%でほぼ100%がt+tに崩壊していることがわかった。
杉本 昌義; 今井 剛; 奥村 義和; 中山 光一*; 鈴木 昌平*; 三枝 幹雄*
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1691 - 1695, 2002/12
被引用回数:2 パーセンタイル:16.45(Materials Science, Multidisciplinary)国際核融合材料照射施設(IFMIF)は核融合炉用材料開発のための加速器ベースの強力中性子源である。施設には2台の加速器があり、それぞれ最大40MeV/125mAの重陽子ビームを発生する。過去に350MHzにおける7MeV/100mAの陽子加速に成功した例はあるものの、IFMIF仕様の175MHz重陽子加速を実証することが重要であり、次期フェーズの技術実証期間において基本性能を実証する予定である。特に重要な設計パラメータである加速器間のビーム受け渡しエネルギーや高周波源特性等はプロトタイプ用に最適化する必要がある。このようなプロトタイプ設計に必要な基本要素技術(イオン源,FQへのビーム整合,高周波システム要素等)について現在、実施中の試験について目標と現状を述べるとともに、日本から提案中のプロトタイプの概念構成を示す。
中山 信太郎*; 山県 民穂*; 秋宗 秀俊*; 大東 出*; 藤村 寿子*; 藤田 佳孝*; 藤原 守; 伏見 賢一*; Greenfield, M. B.*; 郡 英輝*; et al.
Physical Review Letters, 87(12), p.122502_1 - 122502_4, 2001/09
被引用回数:23 パーセンタイル:71.22(Physics, Multidisciplinary)Heと
He原子の高励起E1励起準位が(
Li,
Be)反応により研究された。30MeVの励起エネルギーに巨大共鳴があり、この共鳴がE1励起であり
-クラスターの波動関数を持つであろうと推定された。
中山 信太郎*; 山県 民穂*; 秋宗 秀俊*; 大東 出*; 藤村 寿子*; 藤田 佳孝*; 藤原 守; 伏見 賢一*; 猪俣 享*; 郡 英輝*; et al.
Physical Review Letters, 85(2), p.262 - 265, 2000/07
被引用回数:73 パーセンタイル:88.79(Physics, Multidisciplinary)He原子核におけるソフト二重極共鳴が励起エネルギー4Mevのところに見つかった。この発見は
Li(
Li,
Be)核反応を用いて観測された。
Krasznahorkay, A.*; 藤原 守; Van Aarle, P.*; 秋宗 秀俊; 大東 出*; 藤村 寿子*; 藤田 佳孝*; Harakeh, M. N.*; 猪俣 享*; Jnecke, J.*; et al.
Physical Review Letters, 82(16), p.3216 - 3219, 1999/04
被引用回数:190 パーセンタイル:96.59(Physics, Multidisciplinary)原子核の中性子スキンを測定する新しい手法を原子核反応(He,t)を用いて提案した。安定原子核であるスズアイソトープを用いた荷電交換反応(
He,t)を測定し、その可能性を実証した。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 栗原 康*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン(
)の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行いM2集団より変異体を選抜した。この変異体の色素と香気成分を解析する。222個のM1個体に形態的変異は認められず、そこから271個のM2開花植物体を育成した。その中で、2Gy照射の68個体から9個の花色突然変異体を選抜した。これらの突然変異体は、花の形、大きさ、葉色及び香りは変化していなかったが、花の色が赤紫色に変異していた。"香りの舞い"のスリップの主要色素はマルビジン3,5-ジグルコシドであり、花色突然変異体9個体の主要色素はデルフィニジン3,5-ジグルコシドであった。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 栗原 康*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン(
)"孤高の香り"の変異を拡大するためにイオンビーム照射による変異体の作出を行い、得られた変異体の解析を行う。239の葉片にイオンビームを照射し、100個の植物体を再生させた。そのうち、34個のM1個体が開花したが、形態的変異は認められず、すべての形質が"孤高の香り"と同様であった。M1個体の自家受粉により74粒のM2種子を採取し、71個の植物体を育成した。その中から6個体の白色の花色突然変異体を選抜した。"孤高の香り"のアイとスリップの主要アントシアニンはマルビジン3,5-ジグルコサイド(Mv3,5-dG)であり、フラボノールとしてケルセチン(Que)とケンフェロール(Kae)が検出された。白色の変異体からMv3,5-dGは検出されず、QueとKaeのみが検出された。変異体によってQueとKaeの量に違いがあり、"孤高の香り"よりも有意に増加した変異体が見られた。
亀有 直子*; 中山 真義*; 近藤 恵美子*; 栗原 康*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメン"香りの舞い"(
)の花色を変えるためにイオンビーム照射による突然変異育種を試みた。変異体を効率よく選抜するためには半数体の利用が有効であるため、葯培養により半数体を育成した。その上で半数体へのイオンビーム照射により変異体を獲得し、花色及び香気成分の分析を行った。77個の葯を培養した結果、123個の幼植物体が再分化した。この中から54個の幼植物体を用いてDAPI蛍光強度を測定した結果、53個体が指標個体と同じゲノムサイズを持つ半数体であると判断された。確認した個体を照射材料として、2,863の切片にイオンビーム照射を行い、照射集団の中から形態観察により花弁の色が赤紫色となった変異体を選抜した。赤紫色変異体は、赤紫色の花と半数体と同様の紫色の花が同時に咲くキメラであった。花弁の主要色素はスリップ,アイで共通であり、半数体がマルビジン3,5-ジグルコサイド、変異体がマルビジン3-グルコサイドであった。半数体と変異体の花弁の形態及び香気成分に大きな変化は見られなかった。以上のような特徴を持った赤紫色変異体は、アントシアニンの結合糖が欠損したことにより得られたと考えられた。
秋田 祐介*; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成*; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 田中 淳
no journal, ,
現在市販されている芳香シクラメンについては、花色が制限されている。そこで、更なる花色を有する芳香シクラメンを作出することを目的に、芳香シクラメンにおけるアントシアニン合成遺伝子の同定を行った。他方、様々な花色変異体や花色変異系統における色素成分を分析・比較し、それらの系統における変異遺伝子の同定を進めた。更に、今回新たに同定した色素遺伝子を活用し、花色変異のマーカーへの利用について検討した。
岡村 正愛*; 長谷 純宏; 梅基 直行*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 鳴海 一成; 田中 淳
no journal, ,
特定の形質を狙ってその形質が変化した個体を多く得ることができれば、画期的な技術となる。春先に白いはずの花に赤い色素がさすことがよくある。これは光合成が増す一方で寒さも残り代謝産物が色素合成にまわるためと推定した。そこで糖処理により色素が誘導され状態でイオンビームを照射すれば、色素遺伝子が発現した状態でイオンビームが細胞に当てることができ色素遺伝子の変異が多く得られると洞察した。ペチュニア幼苗にショ糖溶液を与え茎や芽に色素を誘導した後に炭素イオンビームを照射した。この種子を播種し、葉緑素変異体及び花色変異体が分離したM2系統の頻度を調査した。独立した3回の試験のいずれでも、葉緑素変異の頻度は蔗糖処理に有無によらず同じであったのに対して、花色の変異は蔗糖処理区の頻度が無処理句に比較して2倍以上高く、照射前の蔗糖処理によって花色変異体の獲得頻度が有意に向上することが示された。以上の試験により、突然変異の方向性をある程度制御できることが示唆された。
秋田 祐介; 石坂 宏*; 中山 真義*; 島田 明彦; 北村 智; 長谷 純宏; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
To reveal the relationship between floral pigmentation and flavonoid biosynthesis genes in cyclamen ( species), we analyzed flower pigments from wild-type cyclamen (
) and its white-flowered mutant. Analysis with high performance liquid chromatography (HPLC) showed that major anthocyanins of the wild-type petal were malvidin 3,5-diglucosides. The white-flowered mutant possessed smaller amount of anthocyanins but higher amount of flavonols than the wild-type, suggesting the change of metabolic flow by disruption of anthocyanin biosynthesis. By degenerate-PCR with total RNAs from wild-type petals, we isolated some flavonoid biosynthesis gene. RT-PCR using a specific primer set for each gene demonstrated that the expression of
decreased in white-flowered mutant compared with wild-type, whereas the expressions of other genes did not appear to differ greatly. The genomic construction of
was not different between wild-type and white-flowered mutant, inferring that reduced expression of
correlates with white-flowered mutation. These results suggest that
is involved in anthocyanin biosynthesis pathway in
, and the white-flowered mutation could be caused by transcriptional regulation of
gene.
秋田 祐介; 石坂 宏*; 中山 真義*; 北村 智; 長谷 純宏; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
イオンビーム照射による植物の変異体作製は、線照射に比べて突然変異率が高く、新品種の作出に直結しやすいことから、増加傾向にある。我が国で最も栽培されている鉢植え植物であるシクラメンは、花色のバリエーションが少なく、その広がりが求められている。そこでシクラメンのイオンビーム照射による新しい花色を持つ変異体作製が進められているが、シクラメンは種子から開花までの期間が長く、有望な変異個体の効率的な選抜には花色の選抜マーカーの開発が必要である。しかしながら、シクラメンの花色に関する知見は少なく、選抜マーカー開発のためには、花色とそれにかかわる遺伝子との相関関係を明らかにすることが必須である。そこでシクラメンの花色とその生合成に関する遺伝子群との関連を調べるために、紫色の花色を有するシクラメン野生種とその花色が白色である変異体を用いて、それぞれの花弁における色素分析と色素生合成に関与する遺伝子群の比較解析を行った。
秋田 祐介; 石坂 宏*; 島田 明彦; 中山 真義*; 北村 智; 長谷 純宏; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
シクラメンの花色とその生合成に関する遺伝子群との関連を調べるために、紫色の花色を有するシクラメン野生種(C. graecum, 2n=4x=84)とその花色が白色である変異体を用いて、それぞれの花弁における色素分析とアントシアニン生合成に関与する遺伝子群の比較解析を行った。HPLCの結果、野生種(gra6)のアントシアニンはマルビジン-3,5-ジグルコシド(Mv3,5dG)であった。一方、白色変異体(gra50)ではアントシアニンがほとんど確認されず、フラボノールが、gra6と比較すると増加していた。このgra50における花弁の色素減少の原因因子を探るため、gra6よりアントシアニン合成関連遺伝子群の単離を試みた。その結果、フラボノール合成以降に関与する酵素遺伝子のホモログとして、フラボノイド3'5'-水酸化酵素を1種類(CgF3'5'H),ジヒドロフラボノール4-還元酵素を2種類(CgDFR1, CgDFR2),アントシアニジン合成酵素を1種類(CgANS)それぞれ単離した。それぞれの遺伝子の発現を解析したところ、CgF3'5'H, CgDFR1, CgANSの発現は、gra6, gra50のスリップでともに強い発現がみられ、2種間で大差がなかった。一方、CgDFR2の発現はgra6で強く確認されたが、gra50ではその発現は極端に減少していた。