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南川 卓也
Isotope News, (797), p.16 - 17, 2025/02
日本の漆技術は縄文時代から始まる長い歴史や伝統がある。漆は現在の石油製品より優れた耐性を持ち、何百年も姿を変えずに存在することが知られている。また漆器は様々な非常に美しい色を発する。このような漆の優れた物性は知られてはいるが、漆の構造測定が非常に困難であるため、物性発現のメカニズムを深く追求する人は少ない。本研究では、微量の鉄を添加した黒漆の黒色発現のメカニズムについて、色の違いを生じるナノ構造を量子ビームで解明した。
南川 卓也
色材協会誌, 98(1), p.2 - 6, 2025/01
日本の漆技術は縄文時代から始まる長い歴史や伝統がある。漆は現在の石油製品より薬剤や海水に対する優れた耐性を持ち、漆器は様々非常に美しい色を発する。また、漆の優れた物性は知られてはいるが、漆の構造や物性発現のメカニズムを深く追求する人は少ない。これは漆の構造測定が非常に困難であるためと考えられる。本研究では、茶色の生漆と、それに微量の鉄を添加した漆黒色の黒漆について、漆に含まれるウルシオール同士の相互作用に着目し、色の違いを生じるナノ構造の違いを量子ビームで解明したので、その研究を他の漆研究とともに紹介する。
高原 裕大*; 紅 裕介*; 関根 由莉奈; 南川 卓也; 深澤 倫子*
ACS Omega (Internet), 9(45), p.45554 - 45563, 2024/11
被引用回数:1 パーセンタイル:37.20(Chemistry, Multidisciplinary)凍結架橋CMCFハイドロゲルの蒸気膨潤と乾燥過程を明らかにすることを目的とした。O-HおよびC=O伸縮モードのシフトから、水とカルボキシメチルセルロース(CMC)の構造変化を解析した。結果、CMCFの非晶質領域と結晶質領域の親水性の違いにより、CMCFハイドロゲル中に2種類の結合水が存在することが示された。非晶質領域に吸着された結合水はCMCのO-HまたはC=Oと強い水素結合を形成するが、結晶領域に吸着された結合水は疎水性表面の局所的な親水基と弱い水素結合を形成した。2種類の結合水の水素結合強度の違いにより、CMCFハイドロゲル中の水の蒸気膨潤プロセスは4段階に分類された。乾燥過程では、CMCの親水基と強い水素結合を形成した結合水がCMCF構造に影響を与えることが明らかになった。
南川 卓也
化学, 79(8), p.48 - 52, 2024/08
漆は、耐水性・耐薬品性に優れた稀有な天然塗料である。生漆にごく微量の鉄を加えると、非常に美しい漆黒が作り出されることが古くから知られている。しかし現代でも漆の構造や反応はほとんど解明されておらず、鉄を加えると何故黒色になるかも明らかにされていない。本研究では、黒漆が黒色になる原因を性質の異なる量子ビームを用いることで分析した。その結果、黒漆は生漆と全く違うナノ構造を持ち、その構造の違いで色が変化することが明らかになった。この結果は、長年にわたって謎であった漆膜の構造解析が初めて成功した結果である。本解説では、この研究を解説するとともに、化学系の大学生を対象にしているため、この研究がどのように進められてきたのかなども説明するものである。
南川 卓也; 関根 由莉奈; 山田 鉄兵*
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 23(2), p.50 - 63, 2024/06
放射性廃棄物の削減や浄化には、放射性イオンの選択的分離が不可欠である。除去すべき放射性同位元素の中でも、Srは人の健康と環境に大きな脅威を与えている。しかし、Ca
から
Sr
を分離することが難しいため、環境廃水からの
Srの除去は依然として困難である。われわれは、多孔質構造を利用し、廃水から
Srを選択的に除去するために、シュウ酸塩とサマリウム(Sm)からツリウム(Tm)までの8種類のランタノイド(Ln)イオンからなる一連の等構造ランタノイド-シュウ酸塩骨格(LOF)を開発した。LOFはイオン交換可能な陰イオン細孔を有し、細孔の大きさはホストLn種によって段階的に変化した。LOFのホストLnがTbの場合、LOFは極めて高いSr
選択性を示し、Sr
とCa
の間のイオン半径の微妙な違い(0.2オングストローム)を区別することが可能であり、Sr
選択性はゼオライトAの3倍であり、これまでの報告されてきた吸着剤の選択性を上回るものであった。この結果は、LOFを構成するLn種を選択することにより細孔径をサブオングストロームで微調整可能であり、これにより非常に高い選択性が得られたことも示唆された。この新規な細孔サイズ制御方法は簡易であり、様々な分野でのイオン分離の可能性が開く可能性がある。
関根 由莉奈; 南川 卓也; 杉田 剛; 永川 栄泰*; 柴山 由樹; 元川 竜平; 深澤 倫子*
Nanoscale, 16(19), p.9400 - 9405, 2024/05
被引用回数:3 パーセンタイル:62.71(Chemistry, Multidisciplinary)凍結架橋法により強靱なカルボキシメチルセルロースナノファイバー(CMF)/ジルコニウム(Zr)複合ハイドロゲルを開発した。本ハイドロゲルは、Zrを含むHCl溶液を凍結CMFに添加し、それを解凍することによって調製した。作製したハイドロゲルはフッ化物に対して高い吸着性を示した。本研究により、ハイドロゲルと金属の複合体の開発に有用な知見を得た。
関根 由莉奈; 南川 卓也; 廣井 孝介; 大場 洋次郎*; 永川 栄泰*; 杉田 剛; 柴山 由樹; 深澤 倫子*
Carbohydrate Polymers, 327, p.121538_1 - 121538_11, 2024/03
被引用回数:11 パーセンタイル:88.68(Chemistry, Applied)セルロースの結晶転移とその後の凍結架橋反応によってナノセルロース(NC)から形成された、無毒で強靱なNCゲルを開発した。低濃度のNaOHの使用と凍結を併用すると、凍結濃縮によりセルロースIからIIへのNCの結晶相転移が誘導されることを見出した。結晶相転移後、凍結濃縮層(FCL)内のNCとCA間の架橋により、強力なNCネットワーク構造が形成され、高い機械的強度を備えたNCハイドロゲルが形成した。凍結架橋したNCハイドロゲルは、NC-NaOHゾルと粉末吸着剤を混合することにより吸着剤を内部空間に容易に保持し、高い重金属除去効率を示した。この結果は、機能性材料の開発における化学修飾されていないセルロースの多用途性を示し、実用化の可能性を示すものである。
南川 卓也; 関根 由莉奈; 松村 大樹; 廣井 孝介; 高田 慎一; 神谷 嘉美*; 本多 貴之*
Langmuir, 40(11), p.5725 - 5730, 2024/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)鉄と漆の化学反応を利用して、古くから黒漆が作られている。しかし、鉄と漆の反応については、ほとんど知られていない。本研究では、黒漆中のFeイオンの化学状態を、XANES, EXAFS、SAXS, SANSおよびFT-IRを使用して調査した。Fe(II)またはFe(III)を生漆に添加し、空気乾燥,加熱、またはUV照射により黒漆フィルムを作成した。これらのサンプルのXANESスペクトルの測定結果から、最初に添加したFeの酸化状態に関係なく、サンプル内のFeイオンが3価の状態で存在していることが明らかとなった。また、すべてのフィルムサンプルのEXAFSスペクトルは同様の形状であったが、ピーク強度は、空気乾燥UV照射
加熱の順に減少した。この結果は、加熱やUV照射により黒漆中のFeの配位構造が不均一になり、加熱が最も不均一になったことを示している。サンプルのFT-IRスペクトルの変化は、ウルシオールの重合挙動が空気乾燥,加熱、およびUV照射下でも異なり、漆中での反応により、Feの配位構造が不均一になることが明らかとなった。このような結果から、XANESやEXAFSスペクトルは、黒漆の情報を簡易に得る手法として有用であり、貴重な文化財の黒漆の非破壊分析に特に有効である。
関根 由莉奈; 南川 卓也
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 96(10), p.1150 - 1155, 2023/10
被引用回数:4 パーセンタイル:16.62(Chemistry, Multidisciplinary)凍結中に起こる氷の結晶と溶質および結合水の相分離は、ハイドロゲルの階層構造を制御するための反応場として使用できる。本論文では、固体-準液相分離を使用して形成されたカルボキシメチルセルロースナノファイバー(CMCF)ハイドロゲルの研究を紹介する。CMCFハイドロゲルは、凍結したCMCFにクエン酸を加え、混合物を解凍するだけで形成された。凍結架橋CMCFの圧縮強度は、従来の架橋法で形成したCMCFハイドロゲルに比べて20万倍向上した。氷結晶が溶ける前の凍結濃縮層では、水素結合を介したCMCF構造の再配列が進行していることがわかった。凍結濃縮下では、CMCFと結合水が高濃度に閉じ込められる。このような独特な空間での架橋反応により、機械的強度の高いCMCFハイドロゲルが形成された。凍結架橋CMCFハイドロゲルのゲル化挙動と特性、およびその応用について説明する。
三浦 大輔*; 関根 由莉奈; 南川 卓也; 杉田 剛; 大場 洋次郎; 廣井 孝介; 大澤 辰彦
Carbohydrate Polymer Technologies and Applications (Internet), 4, p.100251_1 - 100251_9, 2022/12
凍結架橋により形成されたカルボキシメチルセルロースナノファイバー(CMCF)ゲルの反応機構を調べた。異なる反応時間で調製されたCMCFヒドロゲルの物性評価により、凍結架橋反応中の階層構造変化の観察に成功した。凍結架橋CMCFヒドロゲルは、従来の方法で形成された通常のゲルとは異なり、オングストロームからマイクロメートルスケールまでの特徴的な階層構造を示し、その特異的構造が飛躍的な力学強度の向上に寄与していることを明らかにした。
南川 卓也; 関根 由莉奈; 山田 鉄兵*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 95(5), p.825 - 829, 2022/05
被引用回数:4 パーセンタイル:29.12(Chemistry, Multidisciplinary)環境を浄化するためには、排水中から有害金属を除去する技術が不可欠である。本研究ではワンポット水熱法によって合成されたTbシュウ酸塩フレームワーク(TOF)を利用して、Pb選択的吸着剤を開発した。TOFは、層間空間がイオン交換可能サイトとして機能する2次元シート構造を持つ。Pb, Cd
, Mn
, Co
, Ni
, Cu
, Na
, K
, Mg
、およびCa
を含む混合イオン溶液にTOFを添加した吸着試験では、TOFが他の金属イオンの中でもPb
に対して高い選択性を示した。Pb
に対するTOFの飽和吸着容量は276mg g
であり、従来の鉛吸着剤よりも高い吸着性能を示した。さらに、TOFは可逆的な鉛吸着/脱着を示し、繰り返しの使用可能である。TOFはPb
を除去するための吸着剤として優れた可能性を持っており、廃水浄化の有望な材料でもあることが明らかになった。
南川 卓也; 関根 由莉奈
Isotope News, (778), p.34 - 35, 2021/12
廃棄骨を炭酸水素ナトリウムで処理することにより、非常に簡便に高性能な吸着剤を合成することに成功した。またこれは、非常に安価で供給力の高い素材であるため、広範囲の除染や有害金属の除去に使える可能性がある。
関根 由莉奈; 南川 卓也; 山田 鉄兵*; 松村 大樹; 根本 善弘*; 竹口 雅樹*; 杉田 剛; 下山 巖; 香西 直文; 諸岡 聡
Journal of Environmental Chemical Engineering, 9(2), p.105114_1 - 105114_12, 2021/04
被引用回数:12 パーセンタイル:44.55(Engineering, Environmental)有害金属除去は安心安全社会構築のために必要な技術である。本研究では、骨の有するイオン交換能を最大限に活用して廃材を用いた有害金属除去材料の開発を行った。炭酸塩水溶液に骨を浸漬することで高炭酸含有ナノアパタイトが形成することを見出した。この材料は、通常の骨、また合成アパタイトに比べて約250、4500倍高いストロンチウム吸着性能を示した。本材料は廃材を利用していることから、低コストかつ高性能な吸着剤として活用が期待できる。
関根 由莉奈; 南川 卓也
Chem-Station(インターネット), 1 Pages, 2021/03
廃棄豚骨を原料とした高効率な有害金属吸着剤を開発した研究について、実験結果及び着想に至った経緯について解説する。
関根 由莉奈; 南川 卓也; 柚木 俊二*; 杉田 剛; 中川 洋; 山田 鉄兵*
ACS Applied Polymer Materials (Internet), 2(12), p.5482 - 5491, 2020/12
被引用回数:63 パーセンタイル:94.22(Materials Science, Multidisciplinary)凍結濃縮を利用した架橋法を開発し、高い圧縮強度(80MPa)と高い圧縮回復性を備えた新しいタイプのカルボキシメチルセルロースナノファイバー(CMCF)ハイドロゲルを開発した。ハイドロゲルは、クエン酸(CA)の水溶液を凍結したCMCFゾルに添加し、次にそのゾルを解凍することによって調製した。凍結濃縮されたCMCFとCA間の反応により、氷結晶構造を反映する剛直な多孔質構造が形成された。圧縮評価により、架橋構造が圧縮応力に対して高い安定性を持つことを明らかにした。凍結架橋の前にベントナイトをCMCFゾルに追加することにより、CMCFヒドロゲルに簡易に固定することに成功した。CMCF-ベントナイトゲルは、化学染料に対して高い吸着性を示した。物理的に架橋されたCMCFヒドロゲルは、毒性がなく、金属を含まず、調製が簡単であるため、さまざまな分野で持続可能な材料として役立つ。
桑原 彬; 相羽 祇亮*; 山崎 信哉*; 南川 卓也; 松井 信*
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 33(7), p.1150 - 1153, 2018/07
被引用回数:8 パーセンタイル:48.07(Chemistry, Analytical)放射性廃棄物等の分析において、試料の化学的な前処理を省略できる手法として、レーザーアブレーション等の高温プラズマを用いる手法が開発されてきた。しかしながら、高温プラズマ中では各同位体のドップラー広がりにより、スペクトルが干渉し、微量同位体を検出することができない。本研究においては、超音速プラズマ風洞の断熱膨張を用いてプラズマを低温まで冷却することにより、スペクトル分解能を向上する手法を開発した。結果として、キセノン安定同位体のデモンストレーションにおいて、180Kまで冷却できることを明らかにし、従来の分解能に比して10分の1程度まで向上できる手法を開発した。
桑原 彬; 相羽 祇亮*; 南川 卓也; 松井 信*
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 33(5), p.893 - 896, 2018/05
被引用回数:7 パーセンタイル:43.82(Chemistry, Analytical)原子力施設の安全な運転及び保守管理において、核燃料または放射性廃棄物の同位体組成は、把握しなければならない重要な要素である。本研究においては、試料の前処理及びメンテナンスを要しない迅速分析を目的として、アークプラズマ風洞と半導体レーザー吸収分光法を基盤とした同位体分析法を開発した。主流として用いたアルゴンの吸収ライン(826.45nm)を用いて、超音速ノズル上流及び下流の温度を計測した。また、キセノンガスを分析試料として、キセノン原子の準安定状態からの吸収ライン(823.16nm)を用いて、開発した分析法の精度及び検出感度を明らかにした。
石崎 学*; 秋葉 沙依*; 大谷 麻子*; 星 祐二*; 小野 健太*; 松葉 茉優*; 富樫 貴成*; 金井塚 勝彦*; 坂本 政臣*; 高橋 顕*; et al.
Dalton Transactions, 42(45), p.16049 - 16055, 2013/12
被引用回数:195 パーセンタイル:99.56(Chemistry, Inorganic & Nuclear)福島第一原子力発電所の事故を受けて、プルシアンブルー(PB)をベースにした高性能セシウム(Cs)吸着剤を開発するために、PBへのCsイオンの吸着の基本メカニズムを明らかにした。Csイオン吸着能に関して2種類のPBナノ粒子を比較したところ、4Feと3[Fe
(CN)
]
から合成された典型的なPB-1では、市販のPB-2よりも効率的に吸着することを明らかにした。この違いが、PB上に形成される欠陥の数で決まることを突き止めることができた。
鈴木 義規*; 南川 卓也; 大貫 敏彦
Chemistry Letters, 42(8), p.888 - 890, 2013/08
被引用回数:1 パーセンタイル:6.61(Chemistry, Multidisciplinary)リン酸基を修飾したITO電極を用いてU(VI)の還元挙動を調べた。その結果、リン酸基に吸着したU(VI)の還元電位がUイオンの電位よりも高いことが分かった。
Chen, R.*; 田中 寿*; 川本 徹*; 浅井 幸*; 福島 千賀子*; Na, H.*; 栗原 正人*; 渡邉 雅之; 有阪 真; 南川 卓也
Electrochimica Acta, 87, p.119 - 125, 2013/01
被引用回数:113 パーセンタイル:94.44(Electrochemistry)銅(II)ヘキサシアノ鉄酸(III)を用いた今までにない電気化学的吸着システムによる廃液からのセシウムの選択的除去法が提案された。このシステムは余分な化学薬品を使用することなく、濾過処理も必要としないセシウムの分離法として利用できる。セシウムの取りこみと脱離は、電気化学的に適当な電位を陽極、陰極間にかけるスイッチングにより制御可能である。バッチ実験の速度論的研究結果は、粒子間拡散方程式によく合致し、急こう配な上昇とそれにつづくプラトーを二段階過程方程式として反映している。他の共存アルカリ金属イオンがあっても、高い分配係数(5
10
mL/g以上)を与え、効率的なセシウムの除去がpH0.3から9.2までの広い範囲で可能で、放射性廃液処理に有効な方法であると考えられる。