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町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; 山口 隆司; et al.
RIST News, (69), p.2 - 18, 2023/09
福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年度より2年間に渡り、放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間で実施可能とするためのデジタル技術の研究開発を実施してきた。本記事では、上記プロジェクトの成果(以下、前期プロジェクトと呼び、その2年間の研究開発の成果)を紹介する他、令和5年度4月より、新たに開始した継続プロジェクト(以下、後期プロジェクトと呼ぶ)の計画についても報告する。前期プロジェクトにて当初予定していた機械学習技術(LASSO)については、建屋内の複雑な構造情報と汚染源の性質を反映した一つの派生版手法へと結実させた成果を報告する他、実際の原子炉施設での検証結果を示す。更に、開発技術を集約したプラットフォームとしての機能を持つソフトウエア:3D-ADRES-Indoorを紹介し、継続して実施する予定の後期プロジェクトの研究開発計画も紹介する。
町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; Malins, A.; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; et al.
RIST News, (68), p.3 - 19, 2022/09
福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題の解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年6月より放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間にて実施するためのデジタル技術及びその関連技術の研究開発を開始した。本記事では、上記技術のコアとなる概念(逆推定に用いるLASSO: Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)を紹介するとともに、開発技術を集約したプラットフォーム機能を持つソフトウエア: 3D-ADRES-Indoorの開発進捗と、その活用の際に重要な役割を果たす放射線量の可視化技術等の研究開発の進捗について報告する。
長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.
JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08
2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。
小林 恵太*; 奥村 雅彦; 山田 進; 町田 昌彦; 青木 秀夫*
Physical Review B, 94(21), p.214501_1 - 214501_7, 2016/12
被引用回数:59 パーセンタイル:89.13(Materials Science, Multidisciplinary)平坦バンドが超伝導性を示す可能性を探るために、平坦バンドを形成する最も単純な準一次元系の一つであるダイアモンド鎖上の斥力相互作用するフェルミオン系について調べた。厳密対角化法と密度行列繰り込み群法を用いて調べた結果、フェルミエネルギーに近い空の平坦バンドと相互作用する分散バンドが満たされる1/3フィリングよりも少しだけ小さなフィリングで、長い相関距離を持つクーパー対が有意な束縛エネルギーを持つことがわかった。さらに、この対相関関数は、ダイアモンド鎖の外側のサイトに存在するフェルミオン対によるものであることを明らかにした。また、厳密に1/3フィリングの時、系は絶縁体になり、ダイアモンド鎖の外側のサイトに存在するフェルミオンがトポロジカルに区別可能なエンタングル状態を形成していることがわかった。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.706 - 708, 2015/09
サイクロトロンのビームエネルギー幅を狭くすることは、ビーム引出し効率の改善やマイクロビーム等のビーム応用に必要である。一般にサイクロトロンでは、ビームの位相幅を狭くすることでビームのエネルギー幅を狭くでき、そのためには位相制限スリットによるビーム位相幅の制限が有効である。そこで、幾何軌道解析モデルを構築してビーム位相幅の制限に必要な半径方向のビーム位置と位相の関係を定式化した。このモデルの正しさを実証するため、JAEA AVFサイクロトロンにおいて、位相制限スリットの半径方向の位置と通過したビームの位相分布の関係を測定し、モデル計算の結果と比較した結果、両者はほぼ一致した。これにより、加速ハーモニックス()1ではスリット位置に依存してビーム位相とその幅が変化するが、=2では最初の加速の位相差による電圧差でビーム位相幅が圧縮する位相バンチング効果が生じてスリット位置の変化に伴うビームの位相とその幅の変化が小さくなることが分かった。ビーム位相幅を狭くするためには、毎に位相制限スリットの半径方向の位置とビーム位相分布の関係に基づいてスリット位置を変更する必要があることが判明した。
柏木 啓次; 宮脇 信正; 倉島 俊; 奥村 進
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.703 - 705, 2015/09
原子力機構高崎量子応用研究所では、AVFサイクロトロンの加速可能位相空間領域(アクセプタンス)に入射ビームの位相空間領域(エミッタンス)を重ね合わせて加速ビーム電流を最大にする入射調整のために、エミッタンスとアクセプタンスを計測する装置を開発した。本装置による測定結果を基にしたビーム入射調整が加速ビーム電流の増加に有効であることを確かめるため、測定したエミッタンスとアクセプタンスを2台のステアリング電磁石を用いてそれぞれ位相平面上で平行移動させ、エミッタンスの高輝度部にアクセプタンスの高透過率部を重ね合わせて加速ビーム電流を測定する試験を行った。具体的には、まず任意位置への平行移動を可能にするため、エミッタンス・アクセプタンス測定位置の直前・直後の2台のステアリング電磁石の励磁電流とエミッタンス及びアクセプタンスの位相平面座標の変化を測定し、位相平面上の軌道及び偏向角と励磁電流の関係を明らかにした。次に、この関係を用いて、測定したエミッタンスの高輝度部とアクセプタンスの高透過率部を重ね合わせるようにステアリング電磁石の励磁電流を設定し微調整を行った。その結果、加速ビーム電流を調整前と比べて有意に増加(約30%)させることができた。以上より、エミッタンス・アクセプタンス測定結果を基にした調整が有効であることを確認した。
湯山 貴裕; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 石坂 知久; 千葉 敦也; 山田 圭介; 横山 彰人; 薄井 絢; 宮脇 信正; et al.
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.302 - 304, 2015/09
日本原子力研究開発機構のイオン照射施設TIARAでは4台の加速器により、材料・バイオ技術の研究開発への利用を主として、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。本発表では2014年度のTIARAの稼働状況、保守・整備及び技術開発を報告する。保守・整備及び技術開発の主要な内容を以下に示す。サイクロトロンの高周波系において、ショート板用接触子に焼損が発生したため、接触子の交換及び焼損箇所の研磨を行うことで復旧させた。原因調査の結果、経年劣化によりフィードバックケーブルが断線しかかっていたため、不必要な高電圧が印加されたことが原因と判明した。サイクロトロン制御システムに関して、サポートが停止されたWindows XPをWindows 7に変更し、これに伴い制御システムを更新するとともに、トレンドグラフのログデータ保存機能、操作画面上の制御対象一括選択機能の付加など、各種機能を向上させた。Cイオンビームの計測に関して、複雑な二次荷電粒子を生成するCイオンビームの正確な電流測定のために、サプレッサー電極の構造を改良することで二次荷電粒子を十分捕集するファラデーカップを開発した。
宮脇 信正; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 福田 光宏*
Proceedings of 13th International Conference on Heavy Ion Accelerator Technology (HIAT 2015) (Internet), 3 Pages, 2015/09
Phase bunching in the central region of the JAEA AVF cyclotron for heavy ion acceleration in the third-harmonic mode ( = 3) was studied using both calculation with a simplified geometric trajectory model and measurement of an internal beam phase distribution. The phase bunching for = 3 was compared with that for = 2, where the geometric condition of the central region differs from that for the former. The result of measurement shows that the phase bunching for = 3 was equivalent to that for = 2 when a beam buncher was not used before the acceleration. When the beam buncher was active, however, the phase width for = 3 was larger than that for = 2. The analyses using both the calculation and the measurement indicates that, in order to enhance the phase bunching for = 3, it is necessary to modify the geometric condition of the central region and to increase the ratio of a peak dee-voltage to an extraction voltage of an ion source, which is one of the parameters determining the phase bunching performance.
倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 奥村 進; 田口 光正; 福田 光宏*
Review of Scientific Instruments, 86(7), p.073311_1 - 073311_8, 2015/07
被引用回数:14 パーセンタイル:49.59(Instruments & Instrumentation)2台のビームチョッパーを用いた原子力機構TIARAのサイクロトロンのシングルパルスビーム形成技術について、ビームの高品位化や高強度化を目的とした改良を実施した。具体的には、マルチターン取り出しに起因する不要ビームパルスを減らすために、ビーム位相幅制御や加速位相を高精度に制御する技術を導入するとともに、正弦波電圧型と鋸歯状波電圧型のビームバンチャーを組み合わせて使用することで、シングルパルスビームの強度を2倍以上に増強することに成功した。その結果、高強度のメインビームパルス以外の不要ビームパルスの混入による質の低下は0.1%以下に抑制され、TIARAサイクロトロンの110の非常に高い磁場安定度と相俟ってこれまでは実現できなかったユーザへの長時間のシングルパルスビーム提供が可能になった。このシングルパルスビームの実用化は、シンチレータの時間プロファイルの解明や中性子の飛行時間計測など、各種実験の精度を向上することに貢献している。
百合 庸介; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 吉田 健一; 石堀 郁夫; 奥村 進
Proceedings of 6th International Particle Accelerator Conference (IPAC '15) (Internet), p.236 - 238, 2015/06
A formation/irradiation technique of large-area uniform ion beams based on nonlinear focusing of multipole magnets has been developed for advanced research and efficient industrial applications at the AVF cyclotron facility of TIARA. The procedure of the uniform-beam formation is established as follows: First, an ion beam extracted from the cyclotron is multiply scattered with a self-supporting thin foil to smooth out the transverse beam intensity distribution into a Gaussian-like one, which is prerequisite to the formation of a highly uniform ion beam. Then, the tail of the distribution is folded into the inside by the nonlinear force of octupole magnets and the distribution is made uniform on a target. We have realized various uniform beams (over 100 cm in area) of H, C, Ar, and Xe ions with a typical uniformity below 10%. Such large-area uniform beams enabled the suppression of local target heating and efficient low-fluence irradiation, and are applied to a radiation degradation test of space-use solar cells and a study on functional materials to date.
北村 哲浩; 操上 広志; 山口 正秋; 小田 好博; 齋藤 龍郎; 加藤 智子; 新里 忠史; 飯島 和毅; 佐藤 治夫; 油井 三和; et al.
Nuclear Science and Engineering, 179(1), p.104 - 118, 2015/01
被引用回数:8 パーセンタイル:53.98(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故に伴い環境に放出されその後地表に降下した放射性物質の分布を予測することは重要で、速やかに進めて行く必要がある。このような予測を行うために、放射性物質として特に放射性セシウムに着目し、現在複数の数理モデルを開発している。具体的には、土壌の表層流出に伴う放射性セシウムの移行については土壌流亡予測式を用いた流出解析、河川における核種移行については河川解析コードTODAM・iRICを用いた移行解析、河口域における土砂堆積については3次元解析コードROMS等を応用した堆積解析を行っている。また、セシウムと土壌の吸着メカニズムについては分子原子レベルの分子挙動計算法を用いた解析を開始しており、最終目標として吸着係数等の把握を目指している。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 767, p.372 - 378, 2014/12
被引用回数:4 パーセンタイル:26.35(Instruments & Instrumentation)A new technique was developed for evaluating the phase bunching performance in the central region of a cyclotron. The performance in the JAEA AVF cyclotron was evaluated by measurements of the internal beam phase distribution with the beam buncher phase. The developed phase distribution measurement system for the internal beam comprised of a newly-developed radial probe with a plastic scintillator and the signal-processing modules. The small plastic scintillator with 6-mm width and 5-mm height had sufficiently high time resolution of 45 ps full-width at half-maximum for evaluating the phase bunching performance. The internal beam phase width was compressed to less than a half of the injected beam phase width in the acceleration harmonic number = 2 for a 260-MeV Ne beam, and the phase bunching effect was observed. On the other hand, the internal beam phase width was larger than the injected beam phase width in = 1 for a 107-MeV He beam and no evidence of the phase bunching effect was observed. These results were consistent with the calculation result of the theoretical geometric trajectory analysis.
百合 庸介; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 石堀 郁夫; 奥村 進
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.862 - 865, 2014/10
高崎量子応用研究所のイオン照射施設TIARAのAVFサイクロトロンでは、多重極電磁石を用いた非線形集束によって形成した均一ビームを照射利用に供するため、効率的なビーム形成技術の開発や利用環境の整備を進めている。照射条件に応じて2次元の大面積均一ビームや細長いリボン状の均一ビームを効率的に形成するため、主としてターゲット直前の2連四重極電磁石や多重極電磁石の磁場を調整するビーム形成手順をビーム光学計算に基づいて確立した。これに基づく実験により、これまでに陽子,ヘリウム,アルゴン,キセノン等の313MeV/uのビームで100cmを超える均一照射野が得られた。さらに、様々な利用形態に対応できるターゲットチェンバーを整備するとともに、大口径の薄膜窓を設置して大気中での均一照射を可能にした。本ビームは、照射野全体を同時に照射できるという、従来のスキャン方法では困難であった特長を持つことから、それが最大限活用できる機能性材料創製等の新たな量子ビーム応用研究での利用を開始した。
柏木 啓次; 宮脇 信正; 倉島 俊; 奥村 進
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1186 - 1188, 2014/10
高崎量子応用研究所では、AVFサイクロトロンのビーム透過率を最大にするための入射調整のツールとして、入射ビームのエミッタンスとサイクロトロンのアクセプタンスを計測する装置を開発している。アクセプタンスは、ビームを位相平面上の微小な領域に区切ってサイクロトロンに入射し、引出部直前の電流モニターで検出することで測定される。この微小なビームは、2組のスリットによって入射ビームの位置と角度範囲を制限して形成される。しかし、入射ビームのエミッタンスはアクセプタンス全体の領域をカバーしていないため、これまで計測されたアクセプタンス領域はその一部のみであった。そこで、アクセプタンス全体を計測するため、ビームのエミッタンスを実効的に拡大して計測範囲を広げる方法を開発した。本方法ではソレノイドレンズによってビームを位相平面上の位置方向に広げ、ステアリング電磁石によってそのビームを角度方向に走査することによりエミッタンスを実効的に広げる。様々な形状のエミッタンスに対して最適な走査を行うために、ステアリング電磁石のビーム偏向角は、それぞれ実測したエミッタンス形状を基に算出する方法を採用した。本方法の実証試験の結果、エミッタンスを実効的に12倍に拡大し、全アクセプタンスを測ることに成功した。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 柏木 啓次; 奥村 進; 荒川 和夫*; 神谷 富裕
Proceedings of 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1179 - 1181, 2014/10
JAEA AVFサイクロトロンの中心領域の位相バンチング効果(数RF度の加速位相幅内にビームを縮小する効果)の大きさを調べるために開発したビーム位相分布測定システムの性能評価を目的として、その時間分解能を調べた。本測定システムはイオンビームをプラスチックシンチレーターで検出して、その発光の時間分布からビーム位相を導出するため、分解能にはビームそのものの時間的空間的広がりの影響が含まれる。そこで、パルスレーザーを用いてビームによるシンチレーション光を模擬し、また、シンチレーター中の光路差による時間差を計算により求め、システム固有の分解能を求めた。具体的には、長さ6mmのシンチレーター先端の軸方向からレーザーを入射し、その出力信号とレーザーのトリガー信号の時間差を測定した。その結果、本システムの時間分解能は44.3psFWHM以下であった。これは、最高加速周波数22MHzの1RF度に相当する126psより小さいため、必要性能を満たすことを確認した。また、光ケーブル内の光路差による分解能への影響を評価するため、レーザーの入射角を軸に対して数度ずらした測定を行った。その結果、光路差によって時間差の幅が最大1.5倍になることから、光路差を減少させるため光ケーブルと同径のシンチレーターの使用が適切であることがわかった。
横田 渉; 佐藤 隆博; 神谷 富裕; 奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 吉田 健一; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; et al.
JAEA-Technology 2014-018, 103 Pages, 2014/09
日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)では、イオンビームを利用する主要な研究課題である生物細胞放射線影響評価研究と宇宙用半導体耐放射線性評価研究を推進するため、TIARAのサイクロトロンで加速した数百MeV重イオンビームを磁気レンズで集束させて直径1m以下のマイクロビームに形成する技術を世界で初めて実現した。更に、これを用いて1個のイオンをビーム径の空間精度で照準するシングルイオンヒットを可能にした。この過程で、TIARAの静電加速器で完成した数MeVイオンのマイクロビーム形成・シングルイオンヒット技術を活かしたビーム集束装置、ビーム照準・計測技術や、1mへの集束に必要なエネルギー幅の狭い数百MeV重イオンビームを加速するためのサイクロトロンに特有な技術を開発した。また、開発途中に利用研究の実験に試用することにより、本技術の適用性を適宜評価しその改良を行うことで、利用研究の試用実験を軌道に乗せることができた。本報告書は、およそ10年に亘るこれらの技術・装置開発の過程及び成果を、試用実験における評価とともにまとめたものである。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進
放射線, 40(2), p.99 - 103, 2014/06
サイクロトロンではイオンの加速に数十MHzの高周波電圧を用いるため、加速後のビームは時間構造が同じ周波数の連続パルスである。放射線化学におけるパルスラジオリシスの実験や、ターゲットから発生する二次粒子の飛行時間計測実験などでは、マイクロからミリ秒の繰り返し周期の長いパルスイオンビームが求められる。サイクロトロンの上流側と下流側に設置した2台のビームチョッパーを併用してビームパルス数を大幅に間引き、シングルパルスビームを形成するためには、サイクロトロンのマルチターン取り出しの回数を従来よりも削減する技術が必要であった。そこで、加速位相の高精度制御や磁場高安定化などの技術開発を行い、マルチターン取り出しの回数をパルスビーム形成に必要な5回以下まで削減することに成功した。この技術開発の結果、プロトンから重イオンビームまで様々なイオンビームについてシングルパルスビームをユーザへ定常的に提供することが可能となった。
小林 恵太; 奥村 雅彦; 太田 幸宏*; 山田 進; 町田 昌彦
JPS Conference Proceedings (Internet), 3, p.016006_1 - 016006_6, 2014/06
光学格子中の冷却原子気体では固体中の電子状態と同様の状態を作り出すことができることから、量子物性のシミュレーターとして注目されている。近年では多軌道を持った光学格子中の原子気体が実現しており、遷移金属などが示すさまざまな強相関電子物性を光学格子中で実現することが可能になると考えられている。本発表では多軌道を持つフェルミ原子気体が示す強磁性状態に対し、密度行列繰り込み群法を用いた解析を行った。得られた結果として、原子が金属的な状況にある場合に強磁性が発言することを示した。また、Haldane相と強磁性相が共存して現れることも明らかにした。強磁性相はHaldane相のedge状態と結合して現れ、強磁性自体がedge状態と同様の特性を持つという興味深い結果を得ることができた。
百合 庸介; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 石堀 郁夫; 奥村 進
Plasma and Fusion Research (Internet), 9(Sp.3), p.4406106_1 - 4406106_4, 2014/06
The transformation and uniformization of the transverse beam intensity distribution by means of nonlinear focusing were investigated systematically for better understanding of the nonlinear focusing mechanism. In the theoretical analysis, the change in the on-target beam radius was derived when the Gaussian beam is focused with the octupole force. In the particle tracking simulation, the octupole-force dependence of the beam uniformity was revealed. It was also shown that a more uniform distribution was formed by a combination of the octupole and dodecapole forces. The present results are practically helpful for the design and operation of a uniform-beam irradiation system using multipole magnets. In the experiment at the JAEA AVF cyclotron, large-area square-like and elongated ribbon-like uniform intensity distributions were actually achieved for different utilization by adjusting the nonlinear beam optics including two octupole magnets.