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津旨 大輔*; 坪野 孝樹*; 三角 和弘*; 佐久間 一幸; 恩田 裕一*
Pure and Applied Chemistry, 16 Pages, 2024/00
被引用回数:0福島第一原子力発電所(F1NPS)事故から12年が経過したが、Csの放射能濃度は事故前のレベルまで低下していない。これは、敷地からの直接放出と陸上に堆積したCsの河川流出によるものである。複数の河川流出と直接放出の影響を理解するためには、沿岸域の拡散過程を考慮する必要がある。この目的のために、直接放出と河川流出を考慮した海洋拡散シミュレーションを行い、観測データの年平均値と比較した。河川から海洋に流出した懸濁態Csは、凝集・沈殿の後、速やかに再浮遊・再溶出し、Csは全て分散すると仮定した。懸濁態Csの河川流出を2013年から2016年の間、F1NPS付近を除く全ての地点で考慮することにより、結果の再現性が向上した。すなわち、河川から流出した懸濁態Csは、比較的短期間に海洋表層放射能濃度の結果に影響を与えることがわかった。F1NPSに隣接して観測されたCs放射能濃度については、直接放出の影響が支配的であり、直接放出の推定に用いられた。
入澤 歩*; 佐久間 一幸; 竹内 幸生*; 谷口 圭輔*; 恩田 裕一*
KEK Proceedings 2023-2, p.29 - 33, 2023/11
昨今の地球温暖化に伴う気象災害の激甚化など、河川を取り巻く環境が変化すると考えられるが、それが放射性セシウム流出量に与える影響の有無については必ずしも自明ではない。そこで、IPCC第5次報告書に基づく複数のシナリオを用いた降水量を入力条件として、河川から海洋に流出するセシウムを迅速に算出できる計算モデルMERCURYを用いた流出量予測計算を行った。対象流域は福島県阿武隈川二本松地点とした。気候変動シナリオは、RCP2.6、RCP4.5、RCP8.5の3つとし、近未来(2031年7月31日から2049年8月1日まで)と未来(2081年7月31日から2099年8月1日まで)のそれぞれのシナリオにおける日降水量と日平均気温を用いた。年間平均土砂流出量は近未来と未来あるいはシナリオごとに大きな差は見られなかった。放射性セシウム流出量(Bq)は、最新データ以降の河川水中放射性セシウム濃度変化を物理学的半減期のみの減衰として計算したところ、2031-2049年および2081-2099年の期間の年間平均流出量は、それぞれ初期沈着量に対し0.05%、0.02%程度となった。
伊藤 健司; 近藤 哲緒; 中村 保之; 松野 広樹; 長沖 吉弘; 佐久間 祐一
デコミッショニング技報, (63), p.1 - 26, 2022/05
新型転換炉原型炉ふげんは、平成20年2月に廃止措置計画の認可を受け廃止措置段階に移行した。高速増殖原型炉もんじゅは、平成30年3月に廃止措置計画の認可を受け廃止措置段階に移行した。平成30年4月に敦賀地区の廃止措置業務を統括する敦賀廃止措置実証本部を新設し、ユニークな2つの原子炉の廃止措置を安全かつ着実に進めている。本報告では、「ふげん」及び「もんじゅ」における廃止措置計画の概要及び廃止措置工事等の実施状況について紹介する。
川崎 弘嗣; 青山 卓史; 佐久間 祐一
電気協会報, (1030), p.12 - 17, 2010/10
日本のエネルギー需給はほとんどが輸入に頼っていること、温室効果ガスの削減目標の提示など、エネルギー・環境問題の対応が迫られている中で、原子力の果たす役割は大きい。原子力機構の取組んでいるFBRサイクルシステムの開発は、エネルギー安定供給や温室効果ガスの問題を同時に解決できる発電システムであり、持続可能なエネルギーシステムといえる。これまで高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の設計,建設,運転を通してFBR実用化に向けた研究開発を着実に進めている。本年5月には「もんじゅ」の運転が再開された。そこで、高速増殖炉の開発意義や「常陽」,「もんじゅ」、そして実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の現状について紹介する。
佐久間 祐一
N-current, 3-2(13), P. 1, 2010/06
高速増殖原型炉もんじゅは、平成7年12月の2次主冷却系ナトリウム漏えい事故後、14年近く停止していた。原子力機構は、「もんじゅ」の運転再開を機構における最大,最優先のミッションと位置づけ、安全確保を第一に機構の総力を挙げ改善活動に取り組んだ。その結果、平成22年5月6日に待望の運転再開を果たし、5月8日に臨界に達した。「もんじゅ」の性能試験は、プラントを14年間という長期間停止していたこと、さらに燃料が長期間保管状態にあることを踏まえ、「炉心確認試験」,「40%出力プラント確認試験」,「出力上昇試験」と段階的に出力を上げながら確実に進めていく計画である。今後は、7月下旬まで炉心確認試験を行い、その後、一つ一つステップを踏んで安全確保を最優先に、着実に性能試験を実施していく予定である。そして、これらの性能試験や引き続く本格運転を通じて、高速増殖炉の発電プラントとしての信頼性の実証,ナトリウム取扱技術の確立を目指すとともに、得られる貴重なデータは高速増殖炉の実用化に反映していく。
東條 寛; 波多江 仰紀; 佐久間 猛; 濱野 隆; 伊丹 潔; 江尻 晶*; 平塚 淳一*; 山口 隆史*; 高瀬 雄一*
no journal, ,
JT-60SAでの電子温度と電子密度はトムソン散乱計測によって計測される。YAGレーザー(約3 J)を赤道面上でトロイダル接線方向に入射させ、複数の集光光学系を利用することによって、プラズマ径方向全域の分布計測が可能となる。しかし、従来のプラズマ中心部計測用集光光学系の設計は、直径400mmの大型レンズを9枚組合せたものであり、製作が困難なことが判明した。製作が容易な小型(直径200mm)の高屈折率材質レンズを3枚組合せることで、集光効率が同等となる新たな光学系を考案した。JT-60SAでは厳しい放射線環境による光学部品の劣化から、透過率変化が起き、電子温度の誤評価を招く問題点がある。本発表では、ダブルパス散乱計測を用いた透過率変化に影響されない電子温度評価手法とその原理実証実験結果についても報告する。さらに、集光光学系を収納するポートプラグに設置予定のシャッターやヒートシンクの構造についても報告を行う。