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浦野 創; Saibene, G.*; 大山 直幸; Parail, V.*; de Vries, P.*; Sartori, R.*; 鎌田 裕; 神谷 健作; Loarte, A.*; Lnnroth, J.*; et al.
Nuclear Fusion, 51(11), p.113004_1 - 113004_10, 2011/11
被引用回数:10 パーセンタイル:40.14(Physics, Fluids & Plasmas)JET及びJT-60Uにおいてトロイダル磁場リップルのスキャン実験を実施し、トロイダル磁場リップルによる周辺ペデスタル構造への影響を評価した。トロイダル磁場リップルは赤道面外側のセパラトリクス上で定義した。JT-60Uではフェライト鋼導入によってトロイダル磁場リップルはからに低減し、一方JETではコイル電流の調整によってからまで変化させた。JT-60Uではフェライト鋼導入によってペデスタル圧力に大きな差異は見られなかった。同様にJETでもペデスタル部の密度・温度に差異が見られなかった。しかし両装置ともに周辺トロイダル回転速度はリップルの増大とともに逆方向にシフトした。JT-60UではELM周波数がリップルとともに増大したが、JETでは変化が観測されなかった。この装置間比較実験の結果から、以下のトロイダル磁場リップルは周辺ペデスタル構造に大きな影響を与えないことが示された。しかし、ITERのような低衝突周波数領域での影響については今後の課題である。
Sips, A. C. C.*; Casper, T.*; Doyle, E. J.*; Giruzzi, G.*; Gribov, Y.*; Hobirk, J.*; Hogeweij, G. M. D.*; Horton, L. D.*; Hubbard, A. E.*; Hutchinson, I.*; et al.
Nuclear Fusion, 49(8), p.085015_1 - 085015_11, 2009/08
被引用回数:54 パーセンタイル:87.14(Physics, Fluids & Plasmas)ITERにおける放電の時間発展に関して、実験的に検証した。すなわち、着火から電流立ち上げ,電流フラットトップ,電流立ち下げである。着火に関しては、JETのような大型トカマクではECRFによる補助なしで、またECRFによる補助が有る場合にはすべての装置でITERの要求である一周電界0.35V/mでの着火を確認できた。立ち上げ時には、早期にダイバータ移行し大きなプラズマ断面を早くに形成することによりインダクタンスをよく制御できることがわかった。フラットトップでの種々の特性、特にH-mode遷移後と逆遷移後のインダクタンスの変化についてデータが得られた。
Jacquinot, J.*; Albajar, F.*; Beaumont, B.*; Becoulet, A.*; Bonicelli, T.*; Bora, D.*; Campbell, D.*; Chakraborty, A.*; Darbos, C.*; Decamps, H.*; et al.
Fusion Engineering and Design, 84(2-6), p.125 - 130, 2009/06
被引用回数:24 パーセンタイル:81.69(Nuclear Science & Technology)ITER用電子サイクロトロン波(EC),イオンサイクロトロン波(IC),中性ビーム(NB)、そして低域混成波(LH)について、その物理と工学の両面の進展を2007/2008年にレビューした。全体仕様の変更はないものの、以下のような設計変更があった。第一に、DTフェーズの前に全パワーである73MW入射をルーティンに入射可能となるように調整すべきこと。第二に、NBを水素フェーズにもフルパワー入射が可能となるように対向壁を用意する、IC用によりロバスト名アンテナ2式を用意する、またECには2MW容量の伝送系を用意して、増力を容易にする。さらにRF源と計測及び加熱用ポートプラグの試験施設となる付属建屋を用意する。第三に、LHのようにITERの長パルス運転時に適した電流駆動システムを開発するための計画の必要性が認識された。
栗原 研一; Lister, J. B.*; Humphreys, D. A.*; Ferron, J. R.*; Treutterer, W.*; Sartori, F.*; Felton, R.*; Brmond, S.*; Moreau, P.*; JET-EFDA Contributors*
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.959 - 970, 2008/12
被引用回数:26 パーセンタイル:82.91(Nuclear Science & Technology)ITER建設が開始され将来の核融合発電炉に向けて一歩前進した現在、既存の大型中型トカマク装置は、残された重大な課題である「高性能プラズマ(高圧力,高自発電流割合)の生成と定常維持及び不安定性の完全回避」の方策を見いだすことが求められている。さらにその方策をITERにおける燃焼プラズマ実験で検証されることが必要である。これらの課題が発電炉への主たる障害であることはいわば共通認識であるので、ITERにおけるプラズマ制御システムは、既存のトカマク実験で得られた経験を外挿できる機能と、将来の新たな知見に柔軟に適応できる構造(制御システムの進化)という重要な2面を合わせ持たなければならない。このような趣旨から、まず現在稼働している装置におけるプラズマ制御システムの特徴や機能をソフト/ハード両面からレビューする。次にITERのCODAC設計から要求事項をサーベイする。さらに、プラズマ制御システムにおける柔軟構造の意味を、将来の要求を想定しながら議論する。最後に、将来のプラズマ制御システム像を描き出す。
Sips, A. C. C.*; Casper, T. A.*; Doyle, E. J.*; Giruzzi, G.*; Gribov, Y.*; Hobirk, J.*; Hogeweij, G. M. D.*; Horton, L. D.*; Hubbard, A. E.*; Hutchinson, I.*; et al.
Proceedings of 22nd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2008) (CD-ROM), 8 Pages, 2008/10
ITERにおける放電の時間発展に関して、実験的に検証した。すなわち、着火から電流立ち上げ,電流フラットトップ,電流たち下げである。着火に関しては、JETのような大型トカマクではECRFによる補助なしで、またECRFによる補助が有る場合にはすべての装置でITERの要求である一周電界 0.35V/mでの着火を確認できた。立ち上げ時には、早期にダイバータ移行し大きなプラズマ断面を早くに形成することによりインダクタンスをよく制御できることがわかった。フラットトップでの種々の特性、特にH-mode遷移後と逆遷移後のインダクタンスの変化についてデータが得られた。
de Vries, P. C.*; Salmi, A.*; Parail, V.*; Giroud, C.*; Andrew, Y.*; Biewer, T. M.*; Cromb, K.*; Jenkins, I.*; Johnson, T.*; Kiptily, V.*; et al.
Nuclear Fusion, 48(3), p.035007_1 - 035007_6, 2008/03
被引用回数:48 パーセンタイル:85.26(Physics, Fluids & Plasmas)JETにおいてトロイダル磁場リップルがトカマクプラズマの性能に与える影響を調べた結果、トロイダル磁場リップルがプラズマの回転に大きな影響を及ぼすことがわかった。回転速度を熱速度で規格化したマッハ数(M)は、トロイダル磁場リップル強度の関数として減少する。プラズマ中心部のMは、JETの通常の運転におけるリップル率0.08%におけるM=0.4-0.55に対し、0.5%ではM=0.25-0.40、1%ではM=0.1-0.3と減少する。プラズマ電流と同じ方向の中性粒子ビーム入射を用いる通常の実験では、プラズマ電流と同じ方向にプラズマが回転する。しかし、トロイダル磁場リップルが大きい場合(1%)、プラズマ中心部ではプラズマ電流と同じ方向に回転するものの、プラズマ周辺部ではプラズマ電流と逆方向に回転することがわかった。
大山 直幸; Saibene, G.*; 鎌田 裕; 神谷 健作; Loarte, A.*; Lnnroth, J.*; Parail, V.*; 坂本 宜照; Salmi, A.*; Sartori, R.*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 123, p.012015_1 - 012015_13, 2008/00
被引用回数:8 パーセンタイル:90.12(Physics, Fluids & Plasmas)JETとJT-60Uにおいてトロイダル磁場リップルと周辺トロイダル回転がHモード・ペデスタル性能やELM特性に与える影響を調べた。JT-60Uでは、フェライト鋼の設置により平均磁場リップルを約1.2%から約0.5%に低減することができた。一方、JETでは、コイル電流を変えることでリップル率を能動的に変化できる。どちらの装置も、リップル率を増やすとプラズマ電流方向(co方向)のトロイダル回転が減少する。しかし、同じリップル率0.5%で比較しても、JETの回転よりJT-60Uの回転は小さい。一連のパワースキャン,密度スキャンの結果、小さいリップル率か大きなco方向回転が高いペデスタル性能と閉じ込め性能には適していることがわかった。ELM特性に関しては、大きなco方向回転がELMによるエネルギー損失を増加させると考えられる。
Saibene, G.*; 大山 直幸; Lnnroth, J.*; Andrew, Y.*; la Luna, E. de.*; Giroud, C.*; Huysmans, G. T. A.*; 鎌田 裕; Kempenaars, M. A. H.*; Loarte, A.*; et al.
Nuclear Fusion, 47(8), p.969 - 983, 2007/08
被引用回数:36 パーセンタイル:74.74(Physics, Fluids & Plasmas)JETとJT-60Uにおいて、プラズマ形状を一致させてプラズマの比較を行う実験を行った。この配位は、安全係数,非円形度,三角度,小半径が両装置でほぼ等しく、大半径はJT-60Uの方が15%大きい。このとき、無次元パラメータが両装置で一致するためには、同じペデスタル密度のプラズマに対してJT-60Uのペデスタル温度が約20%高いことが要求されるがJT-60Uのペデスタル圧力はJETより低い値に留まった。両装置で大きく異なっているものがトロイダル磁場リップルとトロイダル回転速度であることに着目し、JETでは接線方向のNBIの代わりに垂直入射NBIもしくはICRHを使用した実験を、JT-60Uでは垂直NBIの代わりに負イオン源を用いたCO方向NBIを用いた実験を行った。その結果、JETではペデスタル圧力が低下し、JT-60Uではペデスタル圧力の上昇が観測された。JT-60Uではペデスタル圧力の上昇と同時にELMの周波数や振幅,圧力勾配も変わっている。ペデスタル圧力の改善は見られたが、プラズマ全体の閉じ込めは依然としてJETよりも低く、コアプラズマの性能は別の機構により制限されていると思われる。
Maggi, C. F.*; Groebner, R. J.*; 大山 直幸; Sartori, R.*; Horton, L. D.*; Sips, A. C. C.*; Suttrop, W.*; ASDEX Upgradeチーム; Leonard, A.*; Luce, T. C.*; et al.
Nuclear Fusion, 47(7), p.535 - 551, 2007/07
被引用回数:63 パーセンタイル:87.96(Physics, Fluids & Plasmas)ASDEX Upgrade(AUG)装置,DIII-D装置,JET装置,JT-60U装置において、改善閉じ込めモードと通常のHモードについて、ペデスタルやグローバルなプラズマパラメータを比較した。加熱パワーの増加とともにペデスタル圧力も上昇しており、通常のHモードから改善閉じ込めモードへは連続的に変化しているように見える。AUG装置では、改善閉じ込めモードでペデスタル圧力が上昇する際に密度と温度がともに上昇するのに対し、DIII-D装置ではおもに温度の上昇によってペデスタル圧力が上昇する。JET装置の1.4MAで行われたハイブリッドモードでは、加熱パワーと三角度の上昇によってペデスタル部の蓄積エネルギー上昇により、全体の蓄積エネルギーが上昇する。JT-60Uでは、安全係数と三角度の高い高ベータポロイダルHモードではペデスタル部の蓄積エネルギー上昇により全体の蓄積エネルギーが上昇しているが、負磁気シアHモードではコアプラズマの蓄積エネルギー上昇によるものが大きい。どの装置でも、全体のポロイダルベータ値が上昇するに連れてペデスタル部の安定性が改善している。また、ペデスタル部のポロイダルベータ値の上昇に伴い、閉じ込め改善度も上昇する。
神谷 健作; 朝倉 伸幸; Boedo, J. A.*; Eich, T.*; Federici, G.*; Fenstermacher, M.*; Finken, K.*; Herrmann, A.*; Terry, J.*; Kirk, A.*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 49(7), p.s43 - s62, 2007/07
被引用回数:78 パーセンタイル:91.89(Physics, Fluids & Plasmas)世界各国のトカマク型装置における周辺局在化モード(ELMs)についての実験研究に関する現状と課題についてオーバービューを行う。特に、以下の4つのトピックスに着目した発表を行う。(1)種々のELMsのタイプとスケーリング,(2)小規模ELMsの発生条件と大振幅ELMsの緩和手法,(3)ELMsによるフィラメント構造の形成と伝搬,(4)ダイバータ部及び第一壁への熱負荷。本講演では近年の計測技術の向上による高速及び高空間分解能測定の結果に着目した世界各国におけるELM研究の最新のトピックスを網羅しつつ、それらの問題点等について議論を行う。
Doyle, E. J.*; Houlberg, W. A.*; 鎌田 裕; Mukhovatov, V.*; Osborne, T. H.*; Polevoi, A.*; Bateman, G.*; Connor, J. W.*; Cordey, J. G.*; 藤田 隆明; et al.
Nuclear Fusion, 47(6), p.S18 - S127, 2007/06
本稿は、国際熱核融合実験炉(ITER)の物理基盤に関し、プラズマ閉じ込めと輸送に関する最近7年間(1999年に発刊されたITER Physics Basis後)の世界の研究の進展をまとめたものである。輸送物理一般、プラズマ中心部での閉じ込めと輸送,Hモード周辺ペデスタル部の輸送とダイナミクス及び周辺局在化モード(ELM)、そして、これらに基づいたITERの予測について、実験及び理論・モデリングの両面から体系的に取りまとめる。
鎌田 裕; Leonard, A. W.*; Bateman, G.*; Becoulet, M.*; Chang, C. S.*; Eich, T.*; Evans, T. E.*; Groebner, R. J.*; Guzdar, P. N.*; Horton, L. D.*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
周辺ペデスタル研究の進展とITERへ向けた予測について、最近の世界の研究をレビューする。周辺ペデスタル構造を決めるパラメータリンケージを明らかにするとともに、プラズマ過程と原子分子過程の両方がペデスタル幅を決定すること,周辺圧力勾配がピーリングバルーニング理論で系統的に説明できること,計測機器の進展によってELMの発展が明らかとなり非線形理論で説明可能であること,小振幅ELMの系統的同定がすすんだことなど、大きな発展があった。これらに基づいて、ITERのプラズマ性能の予測,ELMの小規模化等の検討が大きく進んだ。
Parail, V. V.*; Evans, T. E.*; Johnson, T.*; Lnnroth, J.*; 大山 直幸; Saibene, G.*; Sartori, R.*; Salmi, A.*; de Vries, P.*; Becoulet, M.*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
現在のトカマクやITERでのELM低減化手法としてトロイダル磁場リップルの増大と外部より供給するセパラトリックス近傍への共鳴磁場摂動(RMP)が検討されている。これらの手法は、異なる物理に基づいて輸送を増加しているが、この増加した輸送がプラズマダイナミクスやELM低減化へ与える影響は補完的、もしくは似たものである。本論文では、リップルやRMPによりもたらされる輸送に関する物理プロセスの理論解析の結果とともに予測モデルについて報告する。現在のトカマク装置での実験結果との比較も行う。
Maggi, C. F.*; Groebner, R. J.*; 大山 直幸; Sartori, R.*; Horton, L. D.*; Sips, A. C. C.*; Suttrop, W.*; ASDEX Upgradeチーム; Leonard, T.*; Luce, T. C.*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
ASDEX-U(AUG), DII-D, JET, JT-60U装置において、改善閉じ込めモードと通常のHモードについて、ペデスタルやグローバルなプラズマパラメータを比較した。加熱パワーの増加とともにペデスタル圧力も上昇しており、通常のHモードから改善閉じ込めモードへは連続的に変化しているように見える。AUG装置では、改善閉じ込めモードでペデスタル圧力が上昇する際に密度と温度がともに上昇するのに対し、DIII-D装置ではおもに温度の上昇によってペデスタル圧力が上昇する。JT-60Uでは、安全係数と三角度の高い高ベータポロイダルHモードではペデスタル部の蓄積エネルギー上昇により全体の蓄積エネルギーが上昇しているが、負磁気シアHモードではコアプラズマの蓄積エネルギー上昇によるものが大きい。JET装置の1.4MAで行われたハイブリッドモードでは、加熱パワーと三角度の上昇によってペデスタル部の蓄積エネルギー上昇により、全体の蓄積エネルギーが上昇する。どの装置でも、全体のポロイダルベータ値が上昇するにつれてペデスタル部の安定性が改善している。また、ペデスタル部のポロイダルベータ値の上昇に伴い、閉じ込め改善度も上昇する。
Roque, B.*; Gregg, R.*; Kilger, R.*; Laugier, F.*; Marimbeau, P.*; Ranta-Aho, A.*; Riffard, C.*; 須山 賢也; Thro, J. F.*; Yudkevich, M.*; et al.
Proceedings of American Nuclear Society Topical Meeting on Physics of Reactors (PHYSOR 2006) (CD-ROM), 10 Pages, 2006/09
UOx燃料の核燃料サイクルのための燃焼計算国際相互比較第1フェーズの結果を、本論文で述べる。このベンチマーク問題は、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)の原子炉システムにおける科学的問題についてのワーキングパーティー(WPRS)で決められた。本ベンチマークの目的は、核燃料サイクルにとって重要な同位体とその物理量についての研究を行うことである。参加者間で、多数の同位体の組成計算結果は良い一致をみせた。しかし、燃料中の不純物から生成される放射化物の計算結果の一致は悪かった。また、中性子放出率については若干の不一致がみられたが、これは中性子放出に関係する同位体量の計算結果の差に起因する。全崩壊熱計算結果については良い一致が示された。
大山 直幸; Gohil, P.*; Horton, L. D.*; Hubbard, A. E.*; Hughes, J. W.*; 鎌田 裕; 神谷 健作; Leonard, A. W.*; Loarte, A.*; Maingi, R.*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 48(5A), p.A171 - A181, 2006/05
被引用回数:87 パーセンタイル:92.52(Physics, Fluids & Plasmas)Type I ELMを伴うHモード運転はITERの標準運転シナリオとして考えられているが、type I ELMによる瞬間的な熱・粒子束によるダイバータの損耗が懸念されている。近年、世界中のトカマク装置で振幅の小さなELMを伴うHモード放電の研究が進展しており、幾つかの新しい運転領域が発見されている。本論文は、Alcator C-Mod, ASDEX Upgrade, DIII-D, JET, JFT-2M, JT-60U and NSTX各装置で得られている小振幅ELM放電について、ペデスタル特性の観点から運転領域,周辺揺動,周辺部MHD安定性について比較・要約した結果を報告している。また、ITERプラズマへの適用に向けた研究課題についても議論している。
Stober, J.*; Lomas, P. J.*; Saibene, G.*; Andrew, Y.*; Belo, P.*; Conway, G. D.*; Herrmann, A.*; Horton, L. D.*; Kempenaars, M.*; Koslowski, H.-R.*; et al.
Nuclear Fusion, 45(11), p.1213 - 1223, 2005/11
被引用回数:43 パーセンタイル:76.86(Physics, Fluids & Plasmas)JET装置では、閉じ込めがよく、かつELMの小さな運転領域を開発している。ASDEX Upgrade装置におけるtype II ELM、Alcator C-mod装置におけるEDA H-modeそしてJT-60U装置におけるgrassy ELMを再現する実験をJET装置で行った。その結果、安全係数の高い領域でポロイダルベータ値を高くするという、JT-60U装置で開発されたgrassy ELMの運転シナリオを用いたときに、振幅の小さなELMを得ることに成功した。プラズマ電流の高い領域での試験はされていないが、この運転シナリオはITERに適用できる可能性を持っている。
Saibene, G.*; 波多江 仰紀; Campbell, D. J.*; Cordey, J. G.*; la Luna, E. de.*; Giroud, C.*; Guenther, K.*; 鎌田 裕; Kempenaars, M. A. H.*; Loarte, A.*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(5A), p.A195 - A205, 2004/05
被引用回数:10 パーセンタイル:31.68(Physics, Fluids & Plasmas)ITERにおけるHモードの周辺ペデスタル構造と周辺局在化モード(ELM)挙動の予測と制御手法の確立を目的とし、大型トカマク装置(JT-60及びJET(欧州))間の比較実験を初めて実施した。本論文は、その初期的な報告である。プラズマ断面形状、及びペデスタル部の輸送と安定性を支配する無次元量(ベータ値,規格化ラーマ半径,規格化衝突周波数)を一致させ、ペデスタル構造を比較した。ペデスタル部の幅に関しては、両装置でほぼ一致したが、周辺圧力及びその空間勾配は、JETがJT-60の約1.5倍であった。プラズマのアスペクト比が小さなJET装置での安定性が高い可能性がある。
Bcoulet, M.*; Huysmans, G.*; Sarazin, Y.*; Garbet, X.*; Ghendrih, P.*; Rimini, F.*; Joffrin, E.*; Litaudon, X.*; Monier-Garbet, P.*; An, J.-M.*; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 45(12A), p.A93 - A113, 2003/12
被引用回数:84 パーセンタイル:90.83(Physics, Fluids & Plasmas)炉心級のプラズマにおけるELMに関する実験的,理論的な研究の進展をレビューした論文である。最近の理論的なアプローチでは、線形MHD安定性解析だけでなく、ELMを含んだ非線形輸送モデルが提案されている。これらのモデルと高速なペデスタル圧力分布の崩壊,磁気揺動,スクレイプオフ層の輸送といった実験的観測との比較が行われた。現在得られているtype I ELMのスケーリングをITERに外挿するとダイバータ板への熱負荷が問題となる。近年、高三角度及び高密度領域において、高閉じ込めを維持したまま小さなELMが得られる領域が各装置で見つかっており、これら小振幅ELMの特徴とITERへの適用性に関して議論している。一方、内部輸送障壁とELMの両立性が幾つかの装置で問題になっているが、ELMの振幅を低減することで両立することが可能になった事例を報告している。さらに、周辺電流,ペレット入射,不純物入射,外部磁場摂動等を用いたELMの動的制御法の開発とITERへの適用性について議論している。
Loarte, A.*; Saibene, G.*; Sartori, R.*; Campbell, D.*; Becoulet, M.*; Horton, L.*; Eich, T.*; Herrmann, A.*; Matthews, G.*; 朝倉 伸幸; et al.
Plasma Physics and Controlled Fusion, 45(9), p.1549 - 1569, 2003/10
被引用回数:469 パーセンタイル:99.70(Physics, Fluids & Plasmas)Type I ELMによる熱流束はダイバータの損耗に大きく影響し、ITERの設計における大きな研究課題である。JET, DIII-D, ASDEX-U, JT-60Uから得られたType I ELM発生時の蓄積エネルギー,周辺ペデスタル部の温度,密度の変化のデータベースをもとに、ELM熱流(エネルギー損失量)のスケーリングを考察し結果をまとめた。(1)ELMによるエネルギー損失は、ペデスタルの衝突率の増加,磁場シアにより減少する。また粒子損失は、おもにELMにより影響される領域の幅に比例し増減する。(2)JETとDIII-Dにおいて、ELM発生時、ペデスタルでの温度の減少がない対流輸送的な小さなELM熱流が観測された。(3)ELM熱流束のダイバータへの照射時間は、ELM発生時間に依存せず、境界層でのイオン輸送時間に比例する。さらに、ELM熱流と粒子流のITERにおける予想について議論を行った。