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佐藤 薫; 古田 琢哉; 佐藤 大樹; 津田 修一
PLOS ONE (Internet), 19(10), p.e0309753_1 - e0309753_26, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)これまでに、放射線事故や医療被ばくの線量評価を目的とした数値ファントムとして、標準日本人体型の成人男性(JM-103)及び成人女性(JF-103)のボクセルファントムを開発した。しかし、JM-103及びJF-103は記述形式や解像度の制約により、被ばく時の姿勢を考慮した線量評価に対応できない課題があった。そこで本研究では、JM-103及びJF-103をベースとして、柔軟な変形が可能なポリゴンメッシュ形式の成人日本人ファントム(男性:JPM、女性:JPF)を開発した。JPM及びJPFには、1mm厚以下の微小な放射性感受性領域を有する皮膚及び水晶体の詳細モデルが組み込まれている。光子または電子を外部から前方照射する場合について、実効線量、皮膚及び水晶体(全領域及び放射性感受性領域)の線量を計算した結果、皮膚及び水晶体の全領域の計算結果について、JPM及びJPFはJM-103及びJF-103及びICRP等の文献値と矛盾しないことを確認した。さらに、これまで計算できなかった放射線感受性の高い微小な部位における線量を計算するとともに、その入射エネルギー依存性評価が可能となった。今後、構築したJPM及びJPFに現在開発中の姿勢変形技術を適用することによって、被ばく時の姿勢を考慮した、個人に対する詳細な線量評価手法を開発する予定である。
佐藤 大樹; Petoussi-Henss, N.*
PLOS ONE (Internet), 19(9), p.e0310552_1 - e0310552_15, 2024/09
被引用回数:2 パーセンタイル:53.22(Multidisciplinary Sciences)環境に存在する放射性核種に対する線量評価において、核種の放射能濃度を外部被ばく線量率に換算する線量率係数は極めて重要である。国際放射線防護委員会(ICRP)は、土壌中の様々な深さに分布している97元素1252核種に対する線量率係数を整備し公開している。しかし、ICRPのデータは、放射性壊変によって生成される系列核種の線量寄与は含まれず、土壌中に一様分布する体積線源にも未対応であったため、公衆の長期被ばくで問題となっている自然起源放射性物質(NORM)を含む埋立地土壌での線量評価に適用できなかった。そこで本研究は、ICRPのデータと手法に基づき、土壌中で実効的な無限深さまで一様に分布した核種に対して、新たに線量率係数を整備した。さらに、NORMに含まれるトリウム系列およびウラン系列の核種に対してもデータ提供した。得られた結果は、過去研究にある幾つかの核種に対する結果と比較され、約10%以内で一致することを確認した。これにより、ICRPのデータおよび手法に基づき、一様体積線源に対する系統的なデータ整備に成功した。本成果はNORMによる公衆の長期被ばくの線量評価に大いに貢献する。
永井 晴康; 中山 浩成; 佐藤 大樹; 谷森 達*
第52回可視化情報シンポジウム講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2024/07
原子力施設の事故により放出された放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するための革新的モニタリング手法を提案し、その解析手法の実現可能性を仮想データを用いた試験により示す。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線分光イメージングとドップラーライダーによる3次元気流場測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションの組合せである。ETCCは、対象とする放射性プルーム中の特定の放射性核種からの直達ガンマ線の入射方向分布画像を取得できる。放射性プルームの3次元分布は、対象の周囲複数個所に設置したETCCの直達ガンマ線画像とリアルタイム大気拡散シミュレーションによるプルームの濃度分布予測を融合した逆解析により再構築される。解析手法を試作し、大気拡散と放射線輸送の数値シミュレーションにより生成された仮想的なデータを用いて試験を行った。
永井 晴康; 古田 禄大*; 中山 浩成; 佐藤 大樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1345 - 1360, 2023/11
被引用回数:3 パーセンタイル:46.61(Nuclear Science & Technology)放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するとともに放射性核種の放出量を推定する革新的なモニタリング手法を提案し、その実現性を予備的な試験により確認した。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線画像分光測定とドップラーライダーによる3次元風速測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションを組み合わせている。複数箇所に設置したETCCで測定された放射性プルーム中の個々の放射性核種からのラインガンマ線画像とリアルタイム大気拡散計算による大気中濃度分布情報を融合した逆解析により、放射性核種ごとの3次元濃度分布を再構成する。大気拡散シミュレーションと放射線輸送計算で生成した仮想的な実験データを用いた試験により、試作した解析手法が十分な性能を有することを示した。
岩元 大樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 八島 浩*; 西尾 勝久; 杉原 健太*; elik, Y.*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 544, p.165107_1 - 165107_15, 2023/11
被引用回数:4 パーセンタイル:73.39(Instruments & Instrumentation)入射陽子エネルギー200MeV以下の中性子生成に関する二重微分断面積(DDX)データの不足は、加速器駆動核破砕システム(ADS)の研究開発などの技術応用における核破砕モデルの検証を妨げている。本研究では、このエネルギー領域におけるADS核破砕ターゲット材料のDDX実験データを取得し、解析予測との比較を通じて核破砕モデルに関する課題を明らかにすることを目的とした。実験は、京都大学のFFAG加速器を用いて行った。100MeV領域のPbと
Biの陽子入射核反応に対するDDXを飛行時間法を用いて30
から150
の角度範囲で測定した。得られたDDXをモンテカルロ法に基づく種々の核破砕モデル及び評価済み核データライブラリによる計算結果と比較した。DDXの測定値と核破砕モデル及び評価済み核データライブラリに基づく解析値を比較した結果、CEM03.03モデルが実験値に最も近い一致を示した。さらに、100MeV領域における陽子入射中性子生成DDXの再現性向上のために対処すべき複数の課題を明らかにした。
中山 浩成; 佐藤 大樹
日本原子力学会誌ATOMO, 65(10), p.621 - 624, 2023/10
局所域高分解能大気拡散・線量評価システムLHADDASは、現実気象条件下で建物影響を考慮した放射性物質の大気拡散の詳細評価が可能なLOHDIM-LES、建物遮蔽効果を考慮して迅速に空間線量率評価が可能なSIBYL、及び都市大気拡散の即時解析が可能なCityLBMの計算コードを統合したシステムであり、ユーザの目的に応じて計算コードの柔軟な選択が可能である。このため、LHADDASは、原子力施設の立地審査のための従来手法に代わるより現実的な事前解析、原子力緊急時対応のための対策立案や影響評価、都市市街地拡散テロにおける即時解析など局所域大気拡散の様々な課題の解決に活用できる。応用事例として、警察庁科学警察研究所との共同研究「LHADDASを用いた放射線テロ対策シミュレーション」の実施内容を紹介する。
佐々木 道也*; 古川 恭治*; 佐藤 大樹; 嶋田 和真; 工藤 伸一*; 高木 俊治*; 高原 省五; 甲斐 倫明*
Journal of Radiation Protection and Research, 48(2), p.90 - 99, 2023/06
本論文では、日本保健物理学会で設立した「放射線被ばくに伴うがんリスク推定コードの開発専門研究会(2020-2021年度)」の活動成果である計算コードについて報告する。当該専門研究会では、放射線被ばくに伴うがんリスク推定研究の促進を目的に、計算に使用したアルゴリズムやパラメータを含めてソースコードを明らかにし、コードの改変や再配布を許可するライセンスのもと公開することとした。計算コードはSUMRAYと名付けられ、2種類のコンピュータ言語(RおよびPython)でコーディングされた。本コードは、モンテカルロ法を用いて積算過剰リスクを95%信頼区間とともに計算できる。計算条件を合わせて、SUMRAYの結果とソースコード非公開の既存コードの結果とを比較したところ、信頼区間の範囲内で合理的に一致することを確認した。オープン・ソース・ソフトウェアであるSUMRAYは、放射線被ばくに伴うがんリスク推定研究の共通基盤として利用されることが期待される。
渡辺 幸信*; 定松 大樹*; 荒木 祥平; 中野 敬太; 川瀬 頌一郎*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01041_1 - 01041_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)医療用RIの製造や核融合材料の照射損傷、放射性廃棄物の核変換などの研究において重陽子加速器を用いた高強度中性子源が提案されている。そのような中性子源の設計には重陽子を様々な標的に照射した際の中性子生成データが必要である。しかし、重陽子入射中性子生成二重微分断面積などの実験データは十分でない。そこで本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において幅広い原子番号の標的に対する200MeV重陽子入射中性子生成二重微分断面積の系統的な測定を実施した。200MeVの重陽子ビームをビームスウィンガーマグネット内の薄い標的に照射し、放出される中性子を大きさの異なるEJ301検出器(直径及び厚さが2inchと5inch)を7m、20mの位置にそれぞれ設置し、測定した。測定角度は0度から25度までの5角度とし、中性子エネルギーは飛行時間法で決定した。それぞれの測定データは入射エネルギーの半分あたりに特徴的な幅広なピークを示しており、ピークの収量は標的の質量数に従って単調に増加した。DEURACSとPHITSを用いた理論モデル計算との比較の結果、DEURACSの計算結果はPHITSのものよりも実験値に対してより良い一致を示した。加えて、得られたLi, Be, Cの結果を用いてJENDL/DEU-2020とTENDL-2017の核データライブラリのベンチマークを行った。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01023_1 - 01023_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄,鉛及びビスマスに対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された標的試料に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学によりTTNY及びDDXを求めた。実験で得られたTTNY及びDDXを、モンテカルロ輸送計算コードPHITSによる計算と比較し、PHITSに組み込まれた核反応モデル及び評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEの妥当性を検証するとともに、PHITSによる計算の予測精度を評価した。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:4 パーセンタイル:53.26(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。
中山 浩成; 小野寺 直幸; 佐藤 大樹
Isotope News, (785), p.20 - 23, 2023/02
LHADDASは、現実気象条件下で建物影響を考慮した放射性物質の大気拡散の詳細評価が可能なLOHDIM-LES、建物遮蔽効果を考慮して迅速に空間線量率評価が可能なSIBYL、及び都市大気拡散の即時解析が可能なCityLBMの計算コードを統合したシステムであり、ユーザの目的に応じて計算コードの柔軟な選択が可能である。このため、LHADDASは、原子力施設の立地審査のための従来手法に代わるより現実的な事前解析、原子力緊急時対応のための対策立案や影響評価、都市市街地拡散テロにおける即時解析など局所域大気拡散の様々な課題の解決に活用できる有用性を有する。LHADDASは、放出率・気象データ・地理情報データ・線量率寄与応答関数の入力ファイルの処理や計算条件等の入力データの設定を行うプリプロセス、LOHDIM-LES・CityLBMによる大気拡散計算のためのソルバー、SIBYLによる空間線量率空間分布を詳細評価するポストプロセスの3つのパートにより構成されている。計算シミュレーションに必要な入出力ファイルを整合させ、それらを公開データから生成可能とすることで、簡易工程でシミュレーション実行が可能な統合システムを完成させた。
岩元 大樹; 明午 伸一郎; 中野 敬太*; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.404 - 409, 2023/01
加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発に資するため、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用い、核データを取得する実験的研究プログラムを開始した。ADSの核設計及び京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)における未臨界実験体系の解析で重要となる、鉛及びビスマスの陽子入射中性子収量及び核分裂に関する核データを対象とした。中性子の飛行時間(TOF)測定で要求される短パルスビームの技術開発を行い、その要求値となるビーム幅10ns以下を達成するとともに、107MeV陽子入射による厚い標的中性子収量TTNY及び中性子生成二重微分断面積DDXをTOF法により測定した。TTNY及びDDXの測定には、小型シンチレータと光電子増倍管から構成される中性子検出器を用いた。測定で得られた結果をADSの核設計で用いられるPHITSによる解析値と比較した。さらに、マイクロチャンネルプレート(MCP)と多芯線比例計数管(MWPC)を組み合わせにより、107MeV陽子入射のPb核分裂反応から生成される核分裂片の質量数分布を測定した。本プログラムの最終年度となる令和4年度は、
Biに対する核分裂片の質量数分布と核分裂で生じる核分裂中性子の測定を実施するとともに、
Np核分裂計数管を用いて、陽子と標的との核反応で形成される中性子場の測定を実施する予定である。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; 西尾 勝久; et al.
JAEA-Conf 2022-001, p.129 - 133, 2022/11
加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄に対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された鉄標的に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学により鉄標的に対するTTNY及びDDXを求めた。
中山 浩成; 小野寺 直幸; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(10), p.1314 - 1329, 2022/10
被引用回数:5 パーセンタイル:61.74(Nuclear Science & Technology)放射性物質の大気放出に対して、放出点から数km以内の局所域スケールでの放射性物質の複雑な大気濃度分布及び沈着分布を計算するとともに、それらからの放射線について建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える解析システム(LHADDAS)を開発した。本システムは、個々の建物の影響を考慮して詳細に拡散計算が行える局所域高分解能大気拡散計算コード(LOHDIM-LES)、都市域に対して迅速に拡散計算が行えるリアルタイム都市大気拡散計算コード(CityLBM)、建物の遮蔽効果を考慮した3次元体系で放射線の挙動を迅速に計算できる線量評価コード(SIBYL)及び計算に必要となるデータベースと入力作成プログラムから構成されている。本解析システムは、原子力施設の安全審査における風洞実験に代わる現実的な評価手法、原子力事故時の施設内外作業員の被ばく線量評価、都市域での放射性物質拡散テロに対する汚染状況把握と被ばく線量評価など、幅広い活用が期待できる。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(8), p.1047 - 1060, 2022/08
被引用回数:11 パーセンタイル:87.32(Nuclear Science & Technology)実験により取得した中性子スペクトルの絶対値を決定する際、測定に広く利用される液体有機シンチレータの中性子応答と検出効率を精度よく評価することが重要となる。本研究では、汎用放射線挙動解析コードPHITSへ中性子検出効率評価コードSCINFUL-QMDの手法を組み込み、任意形状の液体有機シンチレータの中性子応答解析を可能とした。さらに、最新の評価済み核データを参照して、PHITSにおける中性子と水素及び炭素原子核との断面積データベースを更新した。その結果、改良したPHITSの計算により、実験データを従来よりも正確に再現することを確認した。また、100MeV以下の入射中性子エネルギーにおいて、改良したPHITSで計算される中性子検出効率の不確かさは15%未満であることを示した。本成果により、これまでのSCINFUL-QMDでは計算不可能であった複雑なエネルギー分布を持つ中性子源に対する検出効率の評価も可能となり、有機シンチレータを用いた中性子測定を行う研究者に広く活用されることが期待できる。
中山 浩成; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 寺田 宏明
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(9), p.949 - 969, 2021/09
被引用回数:9 パーセンタイル:71.62(Nuclear Science & Technology)局所域高分解能大気拡散モデルLOHDIM-LESに、原子炉建屋などの建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える計算手法を導入した。線量計算においては、放射線輸送計算コードPHITSにより、大気拡散モデルの計算格子ごとに地表面沈着・大気中の放射性核種から地上の評価点への線量寄与を計算して整備した応答行列のデータベースを用いた。精度検証として、六ヶ所再処理工場においてアクティブ試験により大気放出された放射性核種の局所域拡散シミュレーションを行った。敷地内のモニタリングポストにおいて得られた空間線量率と比較したところ、良好に一致することを確認した。これにより、詳細線量計算手法を導入したLOHDIM-LESは、建物影響を考慮して空気中濃度や線量を詳細に評価できることを実証した。
岩元 洋介; 吉田 誠*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 薮内 敦*; 嶋 達志*
Materials Science Forum, 1024, p.95 - 101, 2021/03
核破砕中性子源,加速器駆動システム等における材料の照射損傷の基礎研究、マクロな材料特性研究、機器設計等をまとめた書籍の中で、われわれが主導してきた照射損傷量の指標である原子あたりのはじき出し数(DPA)に関する最新の研究を提示する。本研究では、タングステンのDPAの計算値を検証するため、ギフォード・マクマフォン冷凍機を用いてタングステン線を冷却し、389MeVの陽子照射による、極低温(10K)下の照射欠陥に伴う電気抵抗増加の測定値からはじき出し断面積を導出した。はじき出し断面積の実験値と計算値を比較した結果、これまでの発表者らが銅を用いた実験による検証結果と同様に、従来の照射損傷モデルによる計算値に比べて、最新の非熱的な欠陥再結合補正を考慮した計算値が実験値を良く再現することを明らかにした。また、アニールに伴う照射後の欠陥回復の測定により、60Kでは約20%の欠陥が回復し、原子炉の中性子照射環境と同様の結果となる他、銅の測定結果と比べた場合、タングステンにおける欠陥の回復量が少ないこと等を示した。
Petoussi-Henss, N.*; 佐藤 大樹; Schlattl, H.*; Zankl, M.*; Spielman, V.*
Radiation and Environmental Biophysics, 60(1), p.93 - 113, 2021/03
被引用回数:2 パーセンタイル:16.88(Biology)環境中の天然及び人工放射性核種に対する公衆の外部被ばく線量評価に資する線量換算係数の整備を進めている。これまでの研究で、年齢別の標準体型人を対象とした線量換算係数データベースを構築した。本研究では、新たに妊婦及び胎児を対象としたデータ整備を実施した。放射性核種は土壌深さ0.5g cmもしくは大気に一様分布していると仮定し、土壌分布に対しては原子力機構の開発する放射線輸送計算コードPHITSを用いて放射線場を解析し、大気分布に対しては既存研究におけるYURIコードの解析結果を採用した。この放射線場中に、妊婦及び胎児の解剖学的構造を精密に再現した人体数値模型を配置し、電子・光子輸送計算コードEGSを用いて臓器吸収線量を計算することで線量換算係数を導出した。本研究で整備した線量換算係数を用いることで、環境に分布した放射性核種の放射能濃度の測定値から迅速に妊婦と胎児の臓器吸収線量を評価することが可能となった。
佐藤 大樹; 中山 浩成; 古田 琢哉; 吉廣 保*; 坂本 健作
PLOS ONE (Internet), 16(1), p.e0245932_1 - e0245932_26, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:20.79(Multidisciplinary Sciences)本研究では、大気および土壌に不均一に分布する放射性核種からのガンマ線による外部被ばく線量評価のための計算モデルSIBYLを開発した。SIBYLは、原子力機構が開発した局所域大気拡散モデルLOHDIM-LESに接続し、LOHDIM-LESが予測した放射性核種の分布に従い地表面での線量率分布を計算できる。原子力緊急時における利用で要求される計算速度と精度を実現するため、汎用放射線輸送計算コードPHITSを用いて膨大な計算資源を要する3次元放射線輸送計算を予め行い、その結果を線量計算に利用するデータベースとして整備した。また、SIBYLは、ビル等の障害物による減衰や地表面の標高変化を考慮した線量評価ができるという特長がある。そこで、排気塔からのKrの大気放出および都市部での
Csの拡散を想定した5ケースに対して、SIBYLで地表面の線量率分布を計算し、その結果をPHITSによる線量率分布の評価結果と比較して、SIBYLの信頼性と性能を検証した。その結果、評価地域の大部分で両者の評価結果は10%以内で一致し、かつSYBILはPHITSに対して約100倍以上高速に線量を評価し、緊急時にも適用可能であることを確認した。
Petoussi-Henss, N.*; 佐藤 大樹; 遠藤 章; Eckerman, K. F.*; Bolch, W. E.*; Hunt, J.*; Jansen, J. T. M.*; Kim, C. H.*; Lee, C.*; 斎藤 公明; et al.
Annals of the ICRP, 49(2), p.11 - 145, 2020/10
環境に分布する放射性核種からの外部被ばくに対する公衆の線量評価では、公衆を構成する各年齢における代表人の臓器線量および実効線量への換算に利用可能な線量係数の整備が重要となる。この目的のため、原子力機構では大気、土壌、水に分布する光子および電子放出線源による環境放射線場を汎用粒子輸送計算コードPHITSにより解析する手法を開発し、ICRPから提供された新生児、1歳、5歳、10歳、15歳および成人男女の人体数値模型を用いて臓器線量係数を評価した。さらに、Hanyang大学より提供された皮膚線量データおよびICRPの核種崩壊データを用いて、放射性核種毎の実効線量係数を評価した。整備した線量係数は、福島第一原子力発電所事故後の長期に渡った線量評価をはじめ、放射性核種の環境への流出による外部被ばく線量評価に利用可能である。