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須黒 寿康; 能登屋 信; 西川 義朗*; 中村 亮将*; 澁谷 朝紀; 黒羽 光彦; 亀井 玄人
JNC TN8430 2004-004, 27 Pages, 2005/01
TRU廃棄物処分の安全評価上不可欠なプルトニウム(Pu)のセメント材料に対する収着データを取得した。処分環境として(1)還元的であり,(2)廃棄物に相当量の硝酸塩が含まれることを考慮し,極低酸素濃度(1ppm以下),還元条件でNaNO濃度を変数(0
0.5M)として普通ポルトランドセメント(OPC)に対するバッチ式収着試験を行った。プルトニウムの初期添加量として,2.84
10
Mの1ケース,液固比は100mL g$-1及び1000mL$g$-1の2ケースとした。温度25$pm$5$circC$,試験期間7,14,28日でいずれも振とうは行わなかった。その結果,PuのOPCに対する分配係数(Kd,mL/$g
)の値は,液固比100の場合50
1000mL g
,同様に1000mL g
の場合100
10000mL g
の範囲となった。これらのKd値については,試験期間の経過に伴い分配係数が上昇する傾向が示された。これらの結果に基づき,著者らはPuのOPCへの保守的なKd値として50を推奨する。
舘 幸男; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 油井 三和
Journal of Contaminant Hydrology, 47(2-4), p.171 - 186, 2001/02
被引用回数:36 パーセンタイル:66.72(Environmental Sciences)地層処分性能評価上の重要元素であるラジウムのベントナイト中における収着・拡散挙動についてデータ取得及びモデル化の検討を行った。収着試験ではpH,イオン強度、液固比をパラメータとしてバッチ法により分配係数を取得すると共に脱離試験を行った。分配係数がイオン強度に大きく依存すること、収着したラジウムの大部分がKClで脱離されることから、ラジウムの収着挙動はイオン交換反応に支配されることが示唆された。収着試験結果はイオン交換及び表面錯体反応を考慮した収着モデルによってモデル化でき、ラジウムに関する反応定数が取得された。拡散試験については密度及びイオン強度をパラメータとしてIn-diffusion法により行い、見かけの拡散係数は密度が高い程、イオン強度が高い程小さくなることが確認された。拡散モデルを用いて見かけの拡散係数から圧縮ベントナイト中での分配係数を導出すると共に、収着モデルの圧縮ベントナイ
油井 三和; 澁谷 朝紀; 柴田 雅博; Ochs, M.*; Rai, D.*
Radioactivity in the Environment, 1, p.159 - 174, 2001/00
第2次とりまとめにおけるPuの熱力学データベースおよび収着データベースは、処分環境条件を考慮して整備されている。Puの熱力学データベースは、データ選定手順に従い、国際的専門家の意見を取り入れながら整備した。整備されたPuの熱力学データベースをもとに、Puの溶解度および化学種を設定した。Puの収着データベースは、膨大な文献データをもとに整備した。収着係数は、人工バリアおよび天然バリアの各々に対して異なる方法で選定された(人工バリア:拡散試験結果に基づく収着係数、天然バリア(バッチ式収着試験結果に基づく収着係数)。
油井 三和; 澁谷 朝紀
Using Thermodynamic Sorption Models for Guiding Radioelement Distribution Coefficient (Kd) Investigations, 107 Pages, 2001/00
動燃における第2次取りまとめ(次期性能評価レポート)に向けた収着データベース開発の考え方、現状、問題点等について報告する。わが国においてサイトジェネリックな性能評価を実施していく上で、信頼性の高い分配係数の予測を行う為には、収着現象のメカニズムを明らかにし、モデル化した上で、収着反応(イオン交換、表面錯体反応)の基本定数を取得し、データベースをして整備する必要がある。このため動燃では、単純な陽イオン及び陰イオンであるCs、Seについてそれぞれイオン交換、表面錯体反応の平衡定数を整備すると共に、Pu、Amのベントナイトへの収着については、イオン交換によるモデル化を行い、圧縮系への適用性を確認した。更に、U、Np、Cm、Tcのベントナイト、花崗閃緑岩、凝灰岩への収着については、還元環境下でもバッチ試験及び分配係数の温度依存性試験を実施し、Cmを除き、表面錯体反応の平衡定数を整備した。
澁谷 朝紀; 陶山 忠宏*; 柴田 雅博
JNC TN8410 99-051, 260 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性(地層処分研究開発第2次取りまとめ)における安全評価に用いるための放射性核種の岩石に対する分配係数を設定した。対象とした岩石は(1)花崗岩類(結晶質岩(酸性岩)), (2)玄武岩類(結晶質岩(中性塩基性岩)), (3)砂岩類(古期・新規堆積岩), (4)凝灰岩/泥岩類(古期・新期堆積岩)の4種類であり, 対象とした地下水は降水系高pH型地下水(FRHP), 海水系高pH型地下水(SRHP), 降水系低pH型地下水(FRLP), 海水系低pH型地下水(SRLP), 混合系中性pH型地下水(MRNP), 酸化性地下水(降水系高pH地下水; FOHP)の6種類とした。また、対象とした元素はNi, Se, Zr, Nb, Tc, Pd, Sn, Cs, Sm, Pb, Ra, Ac, Th, Pa, U, Np, Pu, Am, Cm の19元素とした。設定の根拠となるデータは、バッチ法によって得られた値から選定し、設定に当たってはその保守比を考慮した。
澁谷 朝紀; 小原 幸利*; 小田 治恵; 久保田 満*; 久野 義夫; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-066, 75 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価におけるベントナイト-地下水相互作用を把握するため、その主要構成鉱物であるNa型スメクタイトの物理化学的特性を評価するとともに、様々な濃度のNaCl溶液中でのH+との相互作用を評価した。Na型スメクタイトは、クニピアFから精製した。XRD測定を行った結果、若干石英(玉髄)の存在を示唆するピークが認められた。また、スメクタイト層間に介在する陽イオンは1価であり、均一に配列していること、全岩化学組成分析結果と合わせ、ほぼNa型であることが推定された。さらに、湿度制御およびエチレングリコール処理により、イライト化または緑泥石化されていない健全な膨張性を有するスメクタイトであることが分かった。アンモニウム酢酸塩を用いて測定した陽イオン交換容量は110.8meq/100gであった。N2-BET比表面積測定によるスメクタイトの表面積は5058m2/gであった。0.01、0.1および0.5MNaCl溶液中でのスメクタイトとH+との相互作用は、滴定法によって評価した。その結果、H+消費量は、pH
6ではNaCl濃度に強く影響を受けるが、pH
6ではNaCl濃度の影響をほとんど受けないことがわかった。また、溶液分析から、pH
4ではスメクタイト骨格の溶解に起因すると見られるFe、AlおよびMgの溶出が認められた。さらに、イオン交換モデルおよび表面錯体モデルを用いて0.1MNaCl溶液中でのスメクタイトに対するH+の収着のモデル化を試みた結果、スメクタイト結晶端におけるH+収着/解離反応およびスメクタイト層間におけるH+収着反応の平衡定数は以下のように得られた。
SOH+H+
SOH2+ logK(+)=5.674
SOH
SO-+H+ logK(-)=-7.916 ZNa+H+
ZH+Na+logK(ZH)=1.88 本データを用いて、0.01および0.5MNaCl溶液中のスメクタイトに対するH+収着量を計算した結果、計算結果は実験結果とほぼ一致することが確認された。本計算結果から、低pH側ではH+が層間に収着することによってH+収着量にイオン強度依存性が生じたものと考えられた。
佐藤 治夫; 舘 幸男; 澁谷 朝紀
サイクル機構技報, (4), p.75 - 85, 1999/09
割れ目からマトリックス部への核種の拡散と間隙特性との関係について、釜石鉱山の栗橋花崗閃緑岩に見られる割れ目を対象に調べた。割れ目は、主に割れ目充填鉱物、変質部、未変質部から構成され、イオン電荷をパラメータに、各岩石に対してNa, Cs
, HTO, Cl
, SeO
の実効拡散係数(De)および見掛けの拡散係数(Da)を取得した。
佐藤 治夫; 舘 幸男; 澁谷 朝紀; 油井 三和; 太田 久仁雄; 天野 健治
Nuclear Technology, 127(2), p.199 - 211, 1999/08
被引用回数:28 パーセンタイル:86.42(Nuclear Science & Technology)本研究では、釜石鉱山において見られる単一割れ目から岩石のマトリックス方向への間隙特性と核種の拡散挙動との関係を実験的に調べた。釜石鉱山亀裂部より採取した岩石(未変質部(花崗閃緑岩)、変質部、割れ目充填鉱物部)の間隙率、細孔径分布、間隙内比表面積、密度を測定すると共に、拡散実験を行い、Cs、Na、HTO、Cl、Seの実効拡散係数、見掛けの拡散係数、分配係数を取得した。Cs、Na、HTO、Clは大気下にて測定し、Seのみ雰囲気制御グローブボックス(O21ppm)で行った。また、バッチ法によりCs及びSeの分配係数を測定した。間隙率および密度は、水中飽和法により測定し、間隙率、細孔径分布、間隙内比表面積、密度は、水銀圧入法により測定した。間隙率は、両測定結果とも、割れ目充填鉱物部
変質部
未変質部の順となった。細孔径分布は、未変質部および変質部で100A
0.2mmの範囲であった。一方、割れ
能登屋 信; 澁谷 朝紀; Okazaki, M.*; 乾 真一*; 黒羽 光彦; 油井 三和
JAERI-Conf 99-004, p.643 - 653, 1999/03
本研究では、炭酸共存下におけるPuの溶解度試験を行った。試験に用いたPuは、同位体比として239-Pu(91%)を含有しており、初期濃度は10-6Mであった。試験は、0.1MNaNO3中で過飽和側から行い、pH領域は2から13であった。試験液中の炭酸濃度は、10-3、10-2、10-1MのNaHCO3により調整され、大気下・室温(約25)で、試験期間は48日から137日とした。試験終了後、限界ろ過(10000MWCO)によって固相と液相を分離し、液相中のPu濃度の測定を行った。その結果、Puの溶解度は、炭酸濃度の増加にともない増加する傾向を示した。また、pH10まではpHの増加にともないPuの溶解度が増加する傾向となったが、pH10から12では減少する傾向となった。添加したPu溶液の色が濃茶色であったことから、溶液中のPuは+IV価であると推定されたが、pH10以上の領域ではPu(VI
澁谷 朝紀; 澁谷 早苗
PNC TN8410 98-082, 97 Pages, 1998/06
高レベル放射性廃棄物の地層処分性能評価研究においては、核種移行解析の基礎データとして信頼性の高い、充実した熱力学データが必要とされる。本報告では、熱力学データの基礎となるプルトニウムの熱力学的特性および既存のプルトニウムの熱力学データについてまとめることを目的とし、特に高レベル放射性廃棄物地層処分に関わる性能評価計算の基礎となるプルトニウムの酸化還元反応、水和反応、炭酸錯体生成反応、硫酸錯体生成反応、リン酸錯体生成反応、硝酸錯体生成反応、フッ化物錯体生成反応、塩化物錯体生成反応に関わる熱力学データベースの整備を行った。本報告書を作成するに当たっては、既存の文献を調査し、信頼性の高い文献を選択し、得られている熱力学データを抽出した。また、データの信頼性を補完するために、すでに国際的に信頼性が高いと考えられているU,Am等の熱力学データとを比較することによって個々のデータの妥当性を確認した。整備された熱力学データについては、実験系への適用の可否を検討するために実験条件の明確な文献を用いて確証計算を行った。
澁谷 朝紀; 澁谷 早苗; 油井 三和
PNC TN8410 98-052, 18 Pages, 1998/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの性能評価においては、元素の溶解度を熱力学計算により評価している。この計算には信頼性の高い熱力学データベースが必要とされる。本報においては、プロトアクチニウム(Pa)についての熱力学データ整備を行ったので報告する。整備においては、まずPaの固相と水溶性化学種についての熱力学データを文献より収集した。収集されたデータについては、科学的信頼性について検討され、動燃の熱力学データベース(PNC-TDB)全体との整合性についてもチェックされた後、PNC-TDBに取り込まれた。更新されたPNC-TDBを用いて計算したPaの溶解度は、実験値よりも高くなったが、地層処分安全評価においては、保守的な評価となるため、適当なデータセットと判断された。
芦田 敬; 小原 幸利*; 澁谷 朝紀; 油井 三和
PNC TN8410 98-014, 30 Pages, 1998/03
実高レベル放射性廃棄物ガラス固化体から放出されるCsの複合挙動および圧縮ベントナイト中の移行挙動を調査するため、蒸留水で飽和されたナトリウム型圧縮ベントナイトを用いた移行実験を室温において実施した。これらの試験条件下では、Csのガラス固化体からの浸出や圧縮ベントナイト中の拡散および収着過程は同時に起こるであろう。Csの移行挙動は地球化学および移行モデルを用いて評価した。モデル計算に必要な入力データは、それぞれの挙動を独立させた個別の実験およびモデルから導いた。浸出挙動は、浸出液中のSi濃度が飽和に到達するまではSiとの調和溶解を、飽和後はBとの調和溶解を仮定することにより推定された初期浸出速度および残存溶解速度を与えた。ベントナイト間隙水中の拡散係数は、ベントナイト表面に対する電気化学反応モデルにより評価した。また、分配係数の評価には、イオン交換モデルを用いた。さらに、それぞれのモデルには、溶液化学、ベントナイトの微小構造や表面特性および固液比が考慮され、圧縮ベントナイトに適用された。モデルを用いた計算結果は実測値とほぼ一致するものであった。
舘 幸男; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 油井 三和
Journal of Contaminant Hydrology, 35, p.77 - 89, 1998/00
被引用回数:37 パーセンタイル:69.85(Environmental Sciences)凝灰岩中のSeの収着・拡散挙動に関する研究を行った。収着挙動に関しては、Seの凝灰岩及びその主要構成鉱物への収着試験をバッチ法により行い、収着率のpH依存性を取得した。Seの凝灰岩への収着率は、pH8以下では90%以上と高く、pH8以上ではpHの増加に伴い30%まで減少した。主要構成鉱物への収着率のpH依存性との比較から、鉄鉱物がSeの凝灰岩への収着に大きく寄与していることが示唆された。拡散挙動に関しては、Seの凝灰岩中のThrough-diffusion試験をpHを2点に振って行い、実行拡散係数及び分配係数を取得した。両pHで得られた実効拡散係数は同程度であった。一方、分配係数は低pH側の方が高く、バッチ法により得られたpH依存性に対応した傾向となったが、拡散試験により得られた分配係数は、バッチ法により得られた値よりも1オーダー低くなった。両試験に用いた試料の比表面積の違いを考慮しても
佐藤 治夫; 油井 三和; 澁谷 朝紀
Proceedings of Migration '97, 0 Pages, 1997/10
高レベル放射性廃棄物地層処分における性能評価の信頼性を上げるために、圧密ベントナイト中の重要核種の収着特性を解明することが重要な課題として挙げられている。従来の研究から、ベントナイトに対するU(VI)およびSe(IV)の収着は、鉄含有鉱物の酸化によるゲーサイトへ選択的に収着されるとして解釈されている。しかしながら、ベントナイトに於ける収着サイトは、ゲーサイトのみならず、アルミノール基等のスメクタイト成分のエッジサイトへの収着も考えられる。本研究は、これら2つのサイトの収着に及ぼす影響を評価する目的で行った。ゲーサイト及びスメクタイトへのU(VI)及びSe(IV)のバッチ法による収着試験を行った。スメクタイトに対するSeの収着挙動は、広いpH範囲に渡って余り認められなかった。一方、ゲーサイトに対しては、pH8では強い収着性(Rd
960ml/g)を示し、pH
8で除々に減少する傾向が見ら
澁谷 朝紀
PNC TN8600 97-005, 168 Pages, 1997/06
本会議は、放射性廃棄物処分の観点から,現象論的吸着モデル(イオン交換モデル,表面錯体モデル等)の有効性について検討を行うために開催された会議で,13か国38機関から合計53名が参加して行われた。本会議は,大きく6つのセッションから構成され,性能評価のための吸着データ(Kd)の予測および設定したKdの信頼性を補完するために用いる現象論的吸着モデルの現状,最新の吸着現象の研究及び現象論的吸着モデルに関する知見を中心に,核種の吸着挙動における現象論的モデルの性能評価への適用性について各国の研究開発に関するアプローチ,現象論的吸着モデルの現状,Kdの予測,Kdの信頼性,Kdの原位置条件への適用性の問題点について議論し,今後の研究の方向性の検討を行った。動燃事業団では,本会議で現象論吸着モデルの性能評価への適用性に関する発表を行い,現象論的吸着モデルを用いることによって,バッチ法による吸着実験で得られたKdを説明することが可能であるが,拡散実験から得られたKdについては,本モデルだけで説明することが困難であることを示した。発表では,この原因として,核種の移行経路,空隙構造に起因する遅延効果の評価が現段階では困難であることを指摘した。これらの結果から,現象論的吸着モデルは,性能評価で用いるKdを直接算出するために用いるのではなく,設定したKdの信頼性の補完,環境の変化に伴うKdの変動幅の推定に用いるべきとの動燃事業団としての見解を示した。本発表で示した圧縮ベントナイト中でのUのKdおよびモデル化については多くの議論が得られ,その手法,結果については妥当であるとの意見が出された。Uについては,近年現象論的吸着モデルを用いた多くの研究がなされており,本結果が確証研究のケーススタディーになりうるとのコメントも出された。現象論的吸着モデルについては従来から電気二重層モデルを中心とした研究が行われてきたが,スイスのPSIからは,スメクタイトへの核種の吸着挙動を正確に研究した例が紹介され,スメクタイトについては電気二重層を考慮しないモデルがむしろ妥当であるという結論を導き注目を集めた。この結果については専門家から電荷の高い核種についても検討を行った上で結論を出すべきとのコメントが出された。現象論的吸着モデルの性能評価への適用性に関する議論では,本モデルを用いて推定したKdは直接性能
舘 幸男; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 油井 三和
Proceedings of Migration '97, 0 Pages, 1997/00
性能評価上の重要元素であるSeの凝灰岩中における収着・拡散挙動に関する研究を行った。収着挙動に関しては,Seの凝灰岩及び主要構成鉱物への収着試験をバッチ法により行い,収着率のpH依存性を取得した。Seの凝灰岩への収着率は,pH8以上では,90%以上と高く,pH8以上ではpHの増加に伴い減少する傾向となり,Seの主要構成鉱物への収着率のpH依存性との比較から,鉄鉱物がSeの凝灰岩への収着に大きく寄与していることが示唆された。拡散挙動に関しては,pHを2点に振ってSeの凝灰岩中のThrough-diffusion法試験を行い,実効拡散係数及び分配係数を取得した。両pHにおいて得られた実効拡散係数は同程度であった。一方,分配係数は低pH側の方が高くバッチ収着試験に対応した傾向となったが,拡散試験により得られた分配係数は,バッチ収着試験により得られた値よりも12桁低くなった。各試験に用いた試料
天野 健治; 佐藤 治夫; 澁谷 朝紀; 舘 幸男
Proceedings of Migration '97, 0 Pages, 1997/00
釜石原位置試験場に分布する花崗閃緑岩中の水みちとなる割れ目を対象にマトリックス拡散の場の広がりや空げき構造を明らかにするための原位置調査,試験を実施した.水みちとなる割れ目には,割れ目充填鉱物とその両側に熱水変質した母岩が認められる.238U系列核種の放射非平衡調査の結果から,変質部においてマトリックス拡散が起きている場所と起きていない場所の存在が示され,さらに,レジン注入試験から物質移行に寄与しない空げきの存在が明らかになった.詳細な岩石学的調査の結果,これらの空げきの分布は割れ目充填鉱物の配列やサイズおよびマトリックス中の屈曲度の高い空げき構造を有する鉱物に強く支配されている可能性が示された.この結果をもとにマトリックス拡散に寄与する空げき構造を三次元的にイメージ(モデル)化する.
澁谷 朝紀; 油井 三和; 黒羽 光彦
Proceedings of Migration '97, 0 Pages, 1996/00
本研究では、Pu含有ガラス固化体の浸出および溶解度実験を行い、Pu濃度のpH依存性を調べると共に、Pu含有ガラス固化体表面でのPuの溶解度制限固相を推定した。浸出実験は、MCC-3法に準拠して行い、試験期間は151日340日で、定期的にpH調製を行った。溶解度実験は、0.1MNaNO3溶液にPuを過飽和になるように添加し、HNO3とNaOHを、用いてpHを4
12に調製した。試験期間は42
233日で行った。いずれの実験も大気下、室温で行い、固液分離は分画分子量10000の限外ろ過膜を使用した。Pu濃度は
スペクトル分光分析装置を用いて測定した。浸出実験で得られたPu濃度は、pH4-6で10^6mol/lのオーダーでほぼ一定の値となり、pH6-10にかけて10^-6から10^-9mol/lに減少した。Pu含有ガラス固化体からのPuの浸出挙動は、pH4-6では、溶解度制限とは考えられない
澁谷 早苗; 澁谷 朝紀; 吉川 英樹; 油井 三和
PNC TN8410 95-204, 24 Pages, 1995/09
高レベル廃棄物地層処分システムにおける核種移行評価においては、信頼性の高い熱力学データを整備することが重要となる。我々は、地層処分条件下における核種の溶解度を評価するために、処分条件を模擬した系における溶解度測定を行うことによって熱力学データを取得してきた。本研究においては、高レベル廃棄物中に核分裂生成物(FP)として大量に含まれるサマリウムについて、水酸化物の熱力学データを求めることを目的として溶解度測定試験を行ったので、結果を報告する。溶解度測定試験条件は以下のとおりである。雰囲気:Ar、99.99%以上(CO/分圧
1ppm,O
/分圧
1ppm)雰囲気制御グローブボックス中温度:24
27
C、平衡期間:14
100日(未飽和側)、28
106日(過飽和側)、イオン強度:I=0.1(NaClO
により調整)、pH範囲:pH4
12、溶解度測定結果から推定された水酸化サマリウムの加水分解反応とその平衡定数は以下のとおりである。Sm(OH)
(cr) + 3H
Sm
+ 3H
O ;log K=16.4 Sm
+ H
O
SmOH
+ H
;log K=-7.2 Sm
+ 2H
O
Sm(OH)
+ 2H
;log K=-21.7 Sm
+ 3H
O
Sm(OH)
(aq) + 3H
;log K=-24.9
澁谷 朝紀; 西川 義朗*; 乾 真一*; 内館 信幸*; 油井 三和
PNC TN8410 94-395, 41 Pages, 1994/10
本研究の目的は,深部地下環境下で陰イオンとして存在すると考えられるSeの岩石および鉱物への吸着係数を取得し,吸着メカニズムに基づいたモデル化を行うことである。Seの岩石および鉱物への吸着率のpH依存性を取得し,表面錯体モデルを用いた解析を行った。また,一部の岩石の表面分析を行い,表面変質層の分析を行った。Seは,ベントナイト,花崗閃緑岩,モンモリロナイト,アルバイト,カリウム長石,石英にはほとんど吸着しなかった。しかし,黒雲母,緑泥石,-FeOOH,黄鉄鉱,Al(OH)3ではpH8以下で高い吸着率が確認された。黄鉄鉱の表面変質層をESCAで測定したところ,表面に
-FeOOHが確認された。
-FeOOH,Al(OH)3黒雲母の表面特性を用いてSeの吸着サイトを
-FeOOHと仮定し,表面錯体モデルでの解析を行った結果,計算値は実験値をよく説明できることが分かった。今回の実験結果から,Seの岩石および鉱物への吸着挙動が表面錯体モデルを用いて説明できることが分かった。今後はインディフュージョン法による岩体中のSeの拡散試験を行い,表面錯体モデルの適用性を確認する予定である。