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棚瀬 正和*; 藤崎 三郎*; 太田 朗生*; 椎名 孝行*; 山林 尚道*; 竹内 宣博*; 土谷 邦彦; 木村 明博; 鈴木 善貴; 石田 卓也; et al.
Radioisotopes, 65(5), p.237 - 245, 2016/05
Mo(
)
Mo反応で生成する
Moから高放射能濃度の
Tc溶液を得る方法として、
Mo/
Tcのアルカリ溶液からの
TcのMEKによる溶媒抽出、塩基性アルミナカラムによる精製、酸性アルミナカラムによる吸着、溶離により
Tc溶液を製品とする方法を提案した。本研究では、その基礎的検討として、
Tcの放射能として2.5
36.7TBqに相当する量の非放射性Reを代替元素として用い、Reの酸性アルミナカラムへの吸着およびその溶離特性について調べた。その結果、本試験条件のRe量において、短時間の操作時間で高い回収率を示し、JMTRで生成する15TBq規模での高濃度
Tcの製造でも、酸性アルミナカラムは十分適用可能であることが明らかになった。
石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 木村 明博; 西方 香緒里; 柴田 晃; 棚瀬 正和*; 小林 正明*; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; et al.
JAEA-Technology 2015-030, 42 Pages, 2015/11
照射試験炉センターでは、材料試験炉(JMTR)を用いた中性子放射化法((n,)法)によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する技術開発を行っている。(n,
)法による
Moは、核分裂法((n,f)法)と比べると比放射能が低く、得られるテクネチウム-99m(
Tc)溶液の放射能濃度も低くなる。この課題を解決するため、(n,
)法で製造した
Moから
Tcを回収する手法として、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目し、開発した
Mo/
Tc分離・抽出・濃縮試験装置による性能試験を行っている。本報告書は、
Mo/
Tc製造の試験体系の確立に貢献するため、高い
Tc回収率を得ることができるよう装置の改良を行い、京都大学研究用原子炉(KUR)で照射した高密度三酸化モリブデン(MoO
)ペレットを用いて、MoO
ペレット溶解及び
Tcの抽出を行い、得られた
Tc溶液の品質試験を行った結果をまとめたものである。
西方 香緒里; 木村 明博; 石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 棚瀬 正和*; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2014-034, 34 Pages, 2014/10
JMTR再稼働後の利用拡大の一環として、照射試験炉センターでは、医療用ラジオアイソトープ(RI)として用いられるモリブデン-99(Mo)/テクネチウム-99m(
Tc)の材料試験炉(JMTR)を用いた放射化法((n,
)法)による製造に関する要素技術開発を行っている。
Moは、一般的に核分裂法((n,f)法)で製造されているが、放射性廃棄物量及びコストの低減化や核不拡散上の観点から、(n,
)法による
Mo/
Tc製造に着目した。しかしながら、(n,
)法による
Mo/
Tc製造では、(n,f)法に比べ単位体積当たりの比放射能が低いという欠点がある。本報告書は、照射ターゲットの単位体積当たりの
Mo含有量を増加させるため、高密度MoO
ペレットの製造方法を確立し、得られた高密度MoO
ペレットの特性試験結果をまとめたものである。
椎名 卓也*; 渡辺 立子; 鈴木 雅雄*; 横谷 明徳
Journal of Radiation Research, 55(Suppl.1), p.i15 - i16, 2014/03
The object of the study is to reveal whether the induction process of an abasic site (AP site) and the clustered DNA damage which contain AP sites (AP cluster) depends on ionizing density of radiation. In order to clarify the relation between track structure of C ions and the induction processes of an AP site or AP cluster, we measure the yield of AP using Nfo protein as an enzymatic probe, which converts an AP site to detectable single strand break. Several scavenging capacities in the samples are tested to estimate the effect of OH radicals. We compare those experimental yields with theoretical ones that are obtained from Monte Carlo track simulation to develop a model of AP site induction by irradiation. The yields of AP sites analyzed by the simulation are in good agreement with experimental ones. As a result, we newly determined the branching ratio of induction of the AP the site in the simulation.
椎名 卓也; 渡辺 立子; 白石 伊世; 鈴木 雅雄*; 菅谷 雄基; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
Radiation and Environmental Biophysics, 52(1), p.99 - 112, 2013/03
被引用回数:23 パーセンタイル:63.72(Biology)Plasmid DNA was irradiated with carbon ions or X-rays in solutions containing several concentrations of Tris (0.66-200 mM) to determine the yield of abasic (AP) sites and the effect of scavenging capacity. The yield of AP sites, detected as single strand breaks (SSB) after digestion with E. coli endonucrease IV (Nfo), was compared with that of SSB and base lesions. At higher concentrations of Tris, the yields of single or clustered AP sites were significantly lower than those of single or clustered base lesions. The dependence of the yield of AP sites on scavenging capacity was similar to that of prompt strand breaks. These results indicate that the reaction of water radiolysis products, presumably OH radicals, with the sugar-phosphate moieties in the DNA backbone induces both AP sites and SSB with similar efficiency.
豊川 琢也; 宇佐美 浩二; 椎名 秀徳; 小野澤 淳
Proceedings of 49th Conference on Hot Laboratories and Remote Handling (HOTLAB 2012) (Internet), 6 Pages, 2012/09
The power ramp test will be performed at Japan Materials Testing Reactor (JMTR) in Japan Atomic Energy Agency (JAEA) to study the safety margin of high burnup fuels. The commercial fuel rods irradiated in Europe (approx. 70 GWd/t) will be refabricated as the test rods with the several instrumentations to observe the fuel behavior under the transient condition. One of the important parameters to be measured during this test is the center temperature of the fuel pellet. For this measurement, a thermocouple is installed into the hole bored at the pellet center by the center boring device, which can fix the fuel pellet with the frozen CO gas(dry ice) during its boring process. At the Reactor Fuel Examination Facility (RFEF) in Tokai Research and Development Center, several improvements were applied for the previous boring device to upgrade its performance and reliability. The major improvements are the change of the drill bit, modification of the boring process and the optimization of the remote operability. The improved boring device was installed into the hot cell in 2010, and the mock-up test was performed with the dummy pellets to confirm the benefit of the improvements.
渡辺 立子; 椎名 卓也*; 横谷 明徳
no journal, ,
これまでに放射線飛跡構造シミュレーションを手段としてDNAの初期損傷のスペクトルの推定を行ってきた。この結果を用いて致死等の細胞応答と初期DNA損傷の関係に対するモデルの提案を目指している。しかし、そのためには、細胞核内構造領域レベルでのクラスターDNA損傷間の位置関係に関する情報も必要であると考えられる。そこで、細胞核内でのDNA損傷推定の精度向上を図りDNA構造モデルやスペクトル解析法に改良を行ったシミュレーションシステムを用い、DNA損傷のタイプ別の収率(損傷スペクトル)、細胞核内染色体領域サイズレベルでの放射線の飛跡に沿った各タイプのDNA損傷の生成位置について解析した結果について示す。この中で、特に線など低LET放射線においては、低線量域で生じる線量分布の不均一性に着目した解析結果についても示す。これらのシミュレーションにより得られるDNA損傷スペクトル・損傷間の相互関係に関するデータについては、おもにLETの関数として、実験で得られた細胞生存率曲線から見積もった致死損傷量と比較して議論する。
椎名 卓也; 菅谷 雄基; 白石 伊世; 渡辺 立子; 横谷 明徳; 鶴岡 千鶴*; 鈴木 雅雄*
no journal, ,
APサイトが他の損傷とクラスターを構成することでその後の修復過程に大きく影響することが多くの合成クラスター損傷を含むオリゴヌクレオチドを用いた実験により明らかにされつつある。われわれは、スキャベンジャー濃度をさまざまに変えたプラスミドDNAを試料として用い、これに異なる線質及び異なるLETの放射線を照射した際に生じるAPサイトとこれを含むクラスターDNA損傷の収率の違いを調べている。APサイトは、AP lyaseの一つである大腸菌由来のEndoculeaseIV (Nfo)で処理することで、鎖切断として検出した。試料中のスキャベンジャー濃度を変えることで、APサイト生成に果たす直接効果と間接効果の違いについても調べた。その結果、線質及びLETの違いによってNfo認識サイトの収率に差が見られた。本研究では、X線及びHIMACから得られる炭素イオンビーム(290MeV/nucleon, LET 13, 60keV/m)の照射により生じるAPサイト及びこれを含むクラスターDNA損傷の収率を定量し、鎖切断や塩基損傷の収率に関する従来のデータと比較することで、APサイトの生成プロセスが他の損傷、特に塩基損傷の場合と異なる可能性を見いだした。
白石 伊世; 椎名 卓也; 菅谷 雄基; 鹿園 直哉; 横谷 明徳
no journal, ,
クラスターDNA損傷は、SSBや塩基損傷,APサイトなどから構成されるため、これらに対する細胞応答において異なる修復系が同時にあるいは逐次的に関与することが予測される。最初に作用する修復タンパク質によりクラスター損傷の性質が変化するため、作用する修復系の順序がその後の生物応答に大きな違いをもたらす可能性がある。本研究では、クラスターDNA損傷に対する塩基除去修復酵素の作用機序の違いがクラスターDNA損傷の難修復特性にどのようにかかわるかを明らかにすることを目的とした。高LETのイオンビームを照射したプラスミドDNA(pUC18)をNthとFpgの2種類のグリコシレースで処理し、酵素活性を生じたニック(SSB)量としてpUC18の立体構造変化としてゲル電気泳動法により定量した。この際、2種類の酵素の処理の順番をさまざまに変えた時に、ニッキング活性にどのような差が見られるのかについて調べた。C6+イオンビームを照射した場合はFpgを先に処理したものの方が、同時処理やNthを先に処理したものより損傷を持たない閉環型分子の線量あたりの残存量が約5%小さい傾向にあった。講演では収量の差をもたらす原因としてのクラスター損傷の構造について議論する。
椎名 卓也; 菅谷 雄基; 白石 伊世; 渡辺 立子; 鈴木 雅雄*; 横谷 明徳
no journal, ,
今まで明らかにされていなかったAPサイト及びAPクラスターの誘発過程と炭素イオン(290MeV/n, LET13, 60keV/um)、あるいはX線のトラック構造との関係を明らかにするため、放射線照射したpUC18プラスミドDNAの酵素処理により放射線誘発性APサイトの収率を定量した。幾つかのスキャベンジャー能のサンプルでAPサイトの誘発について拡散性OHラジカルの間接効果を評価した。その結果、これまでの研究で明らかにされていた鎖切断や塩基損傷と同様のスキャベンジャー能依存性を示した。さらに、調べた放射線のすべてでAPサイトと鎖切断のスキャベンジャー能依存性の挙動が一致したことから、鎖切断とAPサイトが同様の生成過程を経ており、塩基損傷の生成過程とは異なることが示唆された。この結果をモンテカルロシミュレーションから得られた損傷収率と比較,検討する予定である。
菅谷 雄基; 椎名 卓也; 白石 伊世; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
no journal, ,
酸素のK殻イオン化を引き起こすと、塩基損傷収率が窒素のK殼イオン化の収率と比べ急激に増えることがわかっている。本研究では、軟X線を照射したDNAに生成される鎖切断や塩基損傷,APサイトを定量し、内殻励起やイオン化が選択的損傷生成に果たす役割を明らかにすることを目的とする。試料にはプラスミドDNAを用い、SPring-8のBL23SUを使用して照射を行った。ピリミジン塩基損傷及びプリン塩基損傷,APサイトの検出は、それぞれNth, Fpg, Nfoの3種類のDNAグリコシレースで処理しSSB(single strand break)に変え、アガロース電気泳動法によって定量した。その結果、予想に反しDNA中の酸素を1sからへ選択的に励起を引き起こす軟X線を照射すると、DNA損傷収率が大きく減少することがわかった。これは、励起により生じた1価の陽イオンは、イオン化による2価の陽イオンに比べ、損傷誘発に大きくは寄与しない可能性を示している。本国際会議では、酸素のK殼イオン化エネルギー領域についてのDNA損傷の収率変化を報告し、それらがDNA損傷の選択的な生成機構に寄与するかについて議論する。
白石 伊世; 椎名 卓也; 菅谷 雄基; 鹿園 直哉; 横谷 明徳
no journal, ,
In a living cell, a multiply damaged site in DNA is thought to be processed by several different pathways simultaneously or sequentially. Under this situation the cellular response to the lesion cluster might depend on the order of repair processes because the configuration of the lesions will be modified by the reaction of initial repair protein, affecting the DNA-binding or lesion-excision activities of latter repair proteins. Plasmid DNA (pUC18) irradiated with C ion is treated with two base excision repair enzymes, Nth and Fpg, which convert pyrimidine and purine lesions to a SSB, respectively. Obtained results show that the amount of enzymatically induced SSB is very slightly less in DNA sample treated with Nth first and then Fpg than that of other treatments. These results indicate that the configurational change of the cluster by the first enzymatic treatment does not significantly influence the activity of secondary enzyme.
棚瀬 正和*; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 藤崎 三郎*; 河内 幸正*; 木村 明博; 西方 香緒里; 米川 実; 石田 卓也; 加藤 佳明; et al.
no journal, ,
JMTR再稼動に向けた取り組みとして、(n,)法による
Mo-
Tc製造に関する技術開発を行っている。JMTRで製造される
Moから高放射能濃度の
Tcを得るための手法として、メチルエチルケトン(MEK)による抽出・分離法とアルミナカラムによる精製・濃縮法を組合せた方法を考案した。本研究では、考案した方法の装置化を目的とした予備試験を行った。予備試験としてTcの同族体であるReを用いた抽出・分離・濃縮試験を行った。その結果、98%の回収率でRe濃縮液を得ることができた。今後、本試験結果をもとに、
Mo/
Tc抽出・分離・濃縮装置を開発し、実証試験を行う。
柴田 晃; 石田 卓也; 椎名 孝行*; 小林 正明*; 棚瀬 正和*; 加藤 佳明; 木村 明博; 太田 朗生*; 山本 朝樹*; 森川 康昌*; et al.
no journal, ,
Moの娘核種である
Tcは放射線医薬品として広く使われている。日本は、
Moの全量を海外からの輸入に依存している。このため、核不拡散及び廃棄物管理の観点から、(n,
)法による
Mo国産化に向けた研究開発をJMTRで行っている。本研究は、京都大学研究用原子炉(KUR)で照射した高密度三酸化モリブデンペレットを用いて、
Tcの回収率向上のための
Mo/
Tc製造試験を行った。
Mo/
Tc水溶液から
Tcを抽出する方法はMEKを用いた溶媒抽出法で行い、最終的に80%以上の回収率を得ることができた。また、品質試験により、抽出した
Tc溶液中の不純物が十分に少ないことが分かった。これにより、当該方法により得られた
Tc溶液は放射線医薬品原料として適切であることが確認された。
石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 鈴木 善貴; 柴田 晃; 西方 香緒里; 木村 明博; 棚瀬 正和*; 小林 正明*; 佐野 忠史*; et al.
no journal, ,
Tcは放射性医薬品として最も使われる放射性同位元素の一つであり、親核種である
Moから生成される。(n,
)方法による
Mo/
Tc製造技術開発を行っているが、本法で得られる
Moの比放射能は、核分裂方法((n, f)方法)に比べると低く、抽出された
Tc溶液の放射能濃度も低いことが欠点である。本研究では、
Tc溶液の高い放射能濃度を得るため、
Mo/
Tc分離/抽出/濃縮試験を行った。試験手順として、(1)京都大学原子炉(KUR)で高密度MoO
ペレットの照射、(2) MEKを用いた溶媒抽出による回収、(3)
Tc溶液の精製・濃縮、及び(4)
Tc溶液の品質検査を行った。その結果、照射済みMoO
ペレットを6M-NaOH溶液で溶解し、
Mo/
Tc溶液からの
Tc回収率は目標値である80
5%を達成した。さらに、得られた
Tc溶液の放射性核種純度、放射化学的異物等の検査は、基準値を満足した。
椎名 章; 山下 卓哉; 渡辺 智夫; 今井 義之*; 大野 孝一*
no journal, ,
蒸気発生器伝熱管の高温の環境下におけるECT法とRF-ECT法の伝熱管体積検査への適用性を評価した。センサは検査期間中にわたり耐熱性を維持し、高温でも欠陥検出性能を確保できることからFBR実用炉への適用に見通しを得た。
菅谷 雄基; 白石 伊世; 椎名 卓也; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
no journal, ,
DNA分子中の酸素の1sイオン化閾値以下の共鳴準位エネルギー(532.8eV)とその前後(530.0及び534.9eV)を照射し、鎖切断,塩基変異及びAPサイトの定量を行った。試料には、プラスミドDNA(pUC18)を用い、乾燥させたDNAフィルムに対して真空中で軟X線照射を行った。ピリミジン塩基損傷,プリン塩基損傷及びAPサイトの検出は、それぞれNth, Fpg, Nfoの3種類のDNAグリコシレースで処理することでSSB(single strand break)に変換した後、アガロースゲル電気泳動によるコンフォメーション変化の観察を行った。閉環状構造のプラスミドDNAは、SSB, DSBの生成によりそれぞれ開環状構造、直鎖状構造へとコンフォメーションが変化するため、泳動後のゲル上のバンド濃度として簡便に定量することが可能である。得られた結果は、いずれのエネルギーにおいてもSSB収率がイオン化閾値以上(560eV)の既報値とほぼ一致したのに対し、Nth, Fpg, Nfoで検出される塩基損傷、APサイトの収率はイオン化閾値以上で得られている値と比較して極めて低かった。塩基変異の生成に、DNAあるいは配位水の酸素の完全なイオン化が必要であることが示唆された。
菅谷 雄基; 椎名 卓也; 白石 伊世; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
no journal, ,
本研究では、軟X線を照射したDNAに生成される鎖切断や塩基損傷,APサイトを定量し、内殻励起やイオン化が選択的損傷生成に果たす役割を明らかにすることを目的とする。試料にはプラスミドDNA(pUC18)を用い、SPring-8のBL23SUを使用して照射を行った。ピリミジン塩基損傷及びプリン塩基損傷,APサイトの検出は、それぞれNth, Fpg, Nfoの3種類のDNAグリコシレースで処理しSSB(single strand break)に変え、アガロース電気泳動法によって定量した。その結果、酸素のK殻電子の6励起では各損傷の収率は他のエネルギーにおける照射と比較して、小さいことが明らかになった。この理由として、試料に含まれる塩類の酸素の内殻吸収は損傷生成に寄与していない可能性が示唆された。
菅谷 雄基; 成田 あゆみ; 椎名 卓也; 白石 伊世; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
no journal, ,
緩衝液の塩を含まないプラスミドDNA(pUC18)のみの薄膜を作成し、この薄膜に対して酸素XANES領域の軟X線を照射したときに生成されるDNA鎖切断や塩基損傷、APサイトを定量した。軟X線照射は、SPring-8のBL23SUから得られる高分解能の単色軟X線を利用した。作成したDNA薄膜をAFMにより観察すると、リング状に広がった膜であった。AFM像から推定した厚みは200nmであり、酸素K殻XANES領域のX線は充分透過することがわかった。ピリミジン塩基損傷及びプリン塩基損傷、APサイトの検出は、それぞれNth, Fpg, Nfoの3種類のDNAグリコシレースで処理しSSB(single strand break)に変え、アガロース電気泳動法によって定量した。得られた結果は、酸素の1sイオン化閾値を超えた場合と比較し、1sから反結合軌道への励起によりDNA損傷収率は大きく減ることが明らかになった。またイオン化閾値以上では、特にピリミジン塩基損傷の収率が増大することも明らかになった。酸素XANES領域近傍のエネルギーで、さまざまな損傷の収率の絶対値や損傷間の相対値が、軟X線のエネルギーに大きく依存することが結論される。
渡辺 立子; 椎名 卓也*; 横谷 明徳
no journal, ,
生体が放射線照射されて生じるDNA損傷は、そのほとんどは修復機能により修復されるが、中には、完全に修復されずに残ってしまう損傷があり、細胞死や突然変異などの原因となると考えられる。その実態は完全に明らかにされてはいないが、DNA2本鎖切断の一部に加えて、鎖切断と塩基損傷がごく近傍に生じたようなnon-DSBタイプのクラスター損傷も重要であるとされている。われわれは、DNA損傷生成過程のモデル化とシミュレーション計算によりさまざまな放射線によるDNA損傷のスペクトルを推定してきた。本発表では、より精度の高いシミュレーションを目指し、最近蓄積しつつあるnon-DSBタイプのクラスター損傷の実験データを考慮に入れ、塩基損傷の生成モデルについて検討した結果を示す。その結果を反映し、さまざまな放射線に対するDNA損傷スペクトルをLETだけではなく、マイクロドジメトリ量を指標として解析する。