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清水 浩貴*; 小杉 晋也*; 田原 佑規*; 安永 和史*; 金田 保則*; 石川 法人; 堀 史説*; 松井 利之*; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 286, p.291 - 294, 2012/09
被引用回数:27 パーセンタイル:87.49(Instruments & Instrumentation)非磁性酸化物CeOへの高速重イオン(200MeV Xe)照射によって、強磁性が発現することを初めて突き止めた。照射量増加に伴い、系統的に飽和磁化が変化することがわかった。発現した強磁性の起源を推定するために、照射試料についてXRD(X線回折)測定,XPS(X線光電子分光)測定を行った。その結果、照射によってCeO中の酸素欠損が増加することが示唆された。酸素欠損の形成に伴って、CeがCeに変化することによって、Ceの局在化した4f電子が磁気モーメントに寄与するプロセスを提案し、合理的に現象を説明できることを示した。本研究は、原子力機構の施設供用制度に基づいて行われた成果である。
田原 佑規*; 清水 浩貴*; 石川 法人; 岡本 芳浩; 堀 史説*; 松井 利之*; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 277, p.53 - 57, 2012/04
可燃毒の添加による核燃料酸化物の照射影響の変化を調べることを目的として、核燃料模擬物質(CeO)にGdOを添加した試料にイオン照射し、照射後の局所構造変化を放射光X線分光法により評価した。GdO添加量の増加に伴い照射損傷が顕著になる傾向が見られ、Ceと異なる配意数を持つGdの添加による局所構造の乱れが耐照射性劣化を引き起こしていることが示唆された。
田原 佑規*; 清水 浩貴*; 石川 法人; 岡本 芳浩; 堀 史説*; 松井 利之*; 岩瀬 彰宏*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 277, p.53 - 57, 2012/04
被引用回数:11 パーセンタイル:63.41(Instruments & Instrumentation)核燃料のガドリニアのドープ効果と核分裂生成物元素の高エネルギー照射効果を、セリアを使い調べた。照射実験では、200MeVのXeイオンを照射し、照射効果を広域X線吸収微細構造(EXAFS)法を使いその影響を評価した。照射によって、第1近接Ce-OとCe-Ceの距離が長くなり、その傾向はガドリニアをドープしたもので顕著になった。デバイワーラー因子も照射により大きくなった。ただし、ガドリニアのドープによるデバイワーラー因子への影響は小さかった。
小杉 晋也*; 松井 利之*; 石川 法人; 伊藤 真義*; 桜井 吉晴*; 愛甲 一馬*; 清水 浩貴*; 田原 佑規*; 堀 史説*; 岩瀬 彰宏*
Journal of Applied Physics, 109(7), p.07B737_1 - 07B737_3, 2011/04
被引用回数:7 パーセンタイル:31.23(Physics, Applied)FeRh金属間化合物に高エネルギーイオン(200MeV Xe)照射することによって発現した強磁性状態の起源を調べるために、SPring-8において磁気コンプトン散乱のプロファイルを照射後試料について測定し、SQUID磁束計の磁気測定結果と比較した。磁気コンプトン散乱が電子スピンモーメントのみを検出することを考慮して解析した結果、イオン照射によって誘起される強磁性は、軌道磁気モーメント由来ではなく、スピン磁気モーメント由来であることがわかった。
藤本 加代子; 仲野 友英; 久保 博孝; 澤田 圭司*; 滝塚 知典; 川島 寿人; 清水 勝宏; 朝倉 伸幸
Plasma and Fusion Research (Internet), 4, p.025_1 - 025_7, 2009/08
体積再結合はダイバータ板への熱流速及び粒子束の減少に重要な役割を果たすため、非接触ダイバータプラズマにおける体積再結合の役割を解明することは、ITERや定常炉に向けた最重要研究課題のひとつである。本研究では、非接触ダイバータプラズマを2次元で計測することにより、電離及び再結合領域の空間構造を明らかにした。また、重水素バルマー系列線の発光強度を衝突放射モデルを用いて計算した発光強度と比較して、電子温度,電子密度及び原子密度を決定した。Lモードプラズマの非接触ダイバータプラズマを、約1cmの空間分解能で、2方向から92視線(縦60視線,横32視線)で分光計測した。分光器は350800nmの観測波長帯域を持ち、全バルマー系列線を同時に測定することができる。内側非接触ダイバータプラズマでは内側ストライク点上部の広い領域に再結合領域が存在し、外側ダイバータ板に沿って電離領域が存在することがわかった。また、両側非接触ダイバータプラズマでは内側ストライク点上部の狭い領域と外側ストライク点近傍に再結合領域が存在することを明らかにした。
仲野 友英; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 川島 寿人; 東島 智
Journal of Nuclear Materials, 390-391, p.255 - 258, 2009/06
被引用回数:22 パーセンタイル:80.43(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uの非接触ダイバータプラズマから放射される炭素イオンのスペクトル線強度を測定し、それらの強度比を衝突放射モデルを用いて解析した。その結果、プラズマからの放射パワーのうち、60%がCイオン、30%がCイオンによるものであること、及びCはCイオンの電離及びCイオンの体積再結合によってほぼ同程度で生成することが明らかにされた。また、生成したCは再結合によって損失するのではなく、放射領域から輸送によって損失することが示唆された。
仲野 友英; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏
AIP Conference Proceedings 1125, p.131 - 140, 2009/05
JT-60Uの非接触ダイバータプラズマから放射される炭素イオンのスペクトル線強度を測定し、それらの強度比を衝突放射モデルによって解析した。X点MARFEが発生した場合では、Cはほぼ同じ割合でCの体積再結合とCの電離によって生成されることを明らかにした。またX点MARFEの発生に伴い、Cの発光の空間位置がX点と内側ストライク点の間からX点上へと移動するが、発光位置でのプラズマパラメータはほとんど変化しないことを明らかにした。
仲野 友英; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 東島 智
Proceedings of 22nd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2008) (CD-ROM), 8 Pages, 2008/10
JT-60Uの主プラズマにおけるタングステンの蓄積及び非接触ダイバータプラズマにおける炭素イオンの放射過程の2つの研究内容をまとめた。プラズマ電流と反対方向にプラズマ・トロイダル回転速度が高くなるほど主プラズマにおけるタングステンの蓄積が顕著になることがわかった。蓄積の傾向はアルゴン、クリプトン、そしてタングステンの順に顕著になった。また、ガスパフを行った高密度放電ではタングステンの蓄積は観測されず、周辺プラズマによる遮蔽効果が顕著になったためと考えられる。X点MARFEを伴う非接触プラズマのX点付近からのとの発光を真空紫外及び可視分光器で観測した。はの体積再結合との電離で生成され、これらの和、すなわちはの生成は損失(の体積再結合及び電離)より二桁大きいので、これらの原子過程以外の過程、例えば輸送損失などでX点からが失われていると解釈した。
仲野 友英; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 木島 滋; 藤本 加代子; 川島 寿人; 東島 智
Nuclear Fusion, 47(11), p.1458 - 1467, 2007/11
被引用回数:20 パーセンタイル:57.66(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60UのX点MARFEを伴う非接触プラズマにおいて、4本のCイオンのスペクトル線を同時に2方向から空間分解能1cmで測定した。そのスペクトル線の強度比を衝突放射モデルで解析した結果、CイオンはCイオンと電子の体積再結合によって生成することを初めて明らかにした。コンピュータトモグラフィ手法により再構築されたCスペクトル線の発光の2次元空間分布から、この体積再結合はX点の直上で発生することが明らかにされ、そこでは電子温度及び電子密度はそれぞれ1.6eV及び1.610mと評価された。この体積再結合によって生成したCイオンからの放射パワーは全放射パワーの約20%を占めることが示された。
藤本 加代子; 仲野 友英; 久保 博孝; 澤田 圭司*; 滝塚 知典; 清水 勝宏; 川島 寿人; 朝倉 伸幸
Plasma and Fusion Research (Internet), 2, p.S1121_1 - S1121_4, 2007/11
ダイバータ板への熱負荷軽減に有効な非接触ダイバータでは電離・再結合プラズマが2次元分布している。本研究では非接触ダイバータプラズマのエネルギー損失過程や原子分子過程の理解に向けて、JT-60Uダイバータプラズマの2次元分光測定を行った。電離・再結合プラズマの情報は重水素のバルマー系列線を観測することで得られるため、本研究ではCCD検出器を持つ広帯域分光測定装置を用いてJT-60Uダイバータ領域を2方向から分光測定した。得られた線積分計測値から2次元発光強度分布をコンピュータ・トモグラフィー手法(最大エントロピー法)を用いて導出した。しかし、2方向データによる2次元分布の導出は計算や測定による誤差が大きく、滑らかな画像が得にくいという難点があった。本研究では計算メッシュを正方形(正方形メッシュ)から視線に沿った四角形(視線方向メッシュ)に変化させることで誤差を小さくすることを考えた。その結果、正方形メッシュより視線方向メッシュのほうが誤差が少なく、また滑らかな2次元分布を得ることができた。
久保 博孝; 佐々木 明; 森林 健悟; 東島 智; 竹永 秀信; 清水 勝宏; 仲野 友英; Whiteford, A.*; 杉江 達夫
Journal of Nuclear Materials, 363-365, p.1441 - 1445, 2007/06
被引用回数:6 パーセンタイル:42.5(Materials Science, Multidisciplinary)トカマク型核融合研究では、重不純物の輸送の解明や熱制御の確立のために、キセノンをプラズマに入射する実験が行われてきた。これらの実験では、高温プラズマ中の高電離キセノン・イオンが放射する真空紫外スペクトルを解析することが本来必要であるが、そのような研究報告は今までにほとんどない。JT-60Uでは、負磁気シア・プラズマにキセノンを入射し、4.0-7.0nmの波長域で高電離Xeのスペクトルを測定した。不純物輸送コード,原子構造コード及び衝突放射モデルを用いた計算結果から、4.4-7.0nmの波長域に観測されたスペクトルは、36-43価のキセノン・イオンの3s-3p, 3p-3dの遷移によるスペクトル線であることがわかった。6.0-7.0nmの波長領域では観測されたスペクトルは計算でよく再現できた。しかし、4.4-5.5nmの波長域では観測されたスペクトルは、計算結果よりも4.8nm付近を中心に集中して分布していた。これは、計算(Multiconfiguration Dirac-Fock法)で得られた波長が0.1nm程度実験と異なることが原因と考えられる。
仲野 友英; 朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 久保 博孝; 清水 勝宏; 川島 寿人; JT-60チーム
Journal of Nuclear Materials, 363-365, p.1315 - 1322, 2007/06
被引用回数:11 パーセンタイル:61.1(Materials Science, Multidisciplinary)Hモード放電では放電の前半で良好な閉じ込め性能が得られた場合でも、後半ではその閉じ込め性能が劣化する。閉じ込め性能の劣化はダイバータ室の中性粒子圧力の上昇と良い相関を持つことが示された。粒子バランスの解析結果から、中性粒子圧力の上昇は第一壁・ダイバータ板での粒子吸収率が低下することが原因であると考えられる。粒子吸収率が正味ゼロの状態でもダイバータ排気によるプラズマの密度は制御可能であることを示した。
久保 博孝; 仲野 友英; 朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 都筑 和泰; 大山 直幸; 川島 寿人; 清水 勝宏; 浦野 創; 藤本 加代子; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
短時間放電では、第一壁が水素を吸収することにより、排気の役目を担っている(壁排気)。短時間放電ではこの壁排気はプラズマの密度制御に有効であるが、将来の長時間放電では壁の水素蓄積量が飽和に達するため壁排気が効かなくなると考えられている。JT-60では、30秒間のELMy Hモード放電を繰り返し行うと、放電中に壁飽和が観測された。この壁飽和状態における粒子制御及び粒子挙動に関して報告する。JT-60Uでは、壁が飽和し壁排気が有効でない場合、さらにはダイバータ板の温度上昇によりダイバータ板からガス放出がある場合において、ダイバータ排気を用いることにより高密度ELMy Hモードプラズマの密度制御が可能であることを実証した。粒子挙動に関しては、第一壁に水素が蓄積し飽和する過程,ダイバータ板の温度上昇によりガスが放出される過程,プラズマ壁相互作用の変化により壁からの粒子の入射と放出が変化する過程に関して議論する。
仲野 友英; 久保 博孝; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏; 木島 滋; 藤本 加代子; 川島 寿人; 東島 智
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
MARFEを伴う非接触ダイバータプラズマで、Cと電子の体積再結合により、Cが生成されることが初めて観測された。CからCへの再結合束はCからCへの電離束と同程度であることに加え、2次元分光計測の結果をもとに発光の空間分布をコンピュータ・トモグラフィーを用いて再構築したところ体積再結合が発生するのはX点直上で、電離が発生する場所の直下であることがわかった。この結果から、ダイバータプラズマの放射パワーの6割から8割を占める、Cは体積再結合によりおもに生成される。
藤本 加代子; 仲野 友英; 久保 博孝; 川島 寿人; 清水 勝宏; 朝倉 伸幸
Fusion Science and Technology, 51(2T), p.247 - 249, 2007/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)ダイバータ板への熱負荷の低減には非接触ダイバータプラズマが有効である。非接触ダイバータプラズマでは電離及び再結合プラズマが隣接して複雑な空間分布を形成するため、非接触ダイバータプラズマにおける原子分子過程やエネルギー損失過程の研究にはこれらの2次元空間分布計測が必要である。本研究では両過程の解明を目的にJT-60Uダイバータプラズマの水素原子発光強度の2次元分布を導出した。電離及び再結合プラズマの診断には重水素バルマー系列線(365656nm)を同時観測する必要があるため、観測波長領域が350800nmの広帯域可視分光器を用いて測定を行った。またダイバータプラズマは約1cmの空間スケールで変化することが解っている。本研究ではダイバータ部を92視線(縦60視線,横32視線)を用いて約1cmの空間分解能で計測した。観測結果をトモグラフィー手法により水素原子発光強度の2次元分布に再構成し、ダイバータ部における再結合プラズマの2次元空間分布を取得した。
朝倉 伸幸; 川島 寿人; 清水 勝宏; 櫻井 真治; 藤田 隆明; 竹永 秀信; 仲野 友英; 久保 博孝; 東島 智; 林 孝夫; et al.
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 31F, 4 Pages, 2007/00
JT-60SAでは最大41MWの入射パワーで100秒間の運転を予定して設計を進めている。一方、炭素繊維材を使用した強制冷却ダイバータ板への最大熱流負荷は15MW/mであり、現在のトカマク装置を超えた大きな熱流を低減するダイバータ設計が必要となった。さらに、重水素運転を行うため、すべてのダイバータ要素をカセットに納められるよう小型化する必要がある。本発表では、おもに、ITER相似の主プラズマ配位で実験を行うため設計された下側ダイバータの物理設計についてシミュレーション結果を中心に述べる。一般に外側ダイバータへの熱流束が大きいため、ダイバータ板の角度を垂直にするとともにドーム部の排気溝の位置を高くした「V型形状」にすることにより、ストライク点付近の中性ガス圧が増加し非接触プラズマが生成しやすい設計とした。ガスパフを行うことによりダイバータ板への最大熱負荷は8MW/m程度まで低減できる。さらに、ガスパフを増加し放射損失が増加した場合、V型形状ダイバータでは、ストライク点を高くすることにより非接触ダイバータを接触ダイバータへ戻す制御が可能であることを示した。
二宮 博正; 秋場 真人; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 林 伸彦; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井上 信幸; et al.
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S428 - S432, 2006/12
現在検討が進められているJT-60のコイルを超伝導コイルに置き換える計画(トカマク国内重点化装置計画)の概要について述べる。本計画はITER及び原型炉への貢献を目指しているが、その位置づけ,目的,物理設計及び装置設計の概要,今後の計画等について示す。物理設計については、特に高い規格化ベータ値を実現するためのアスペクト比,形状因子及び臨界条件クラスのプラズマや完全非誘導電流駆動のパラメータ領域等について、装置については物理設計と整合した設計の概要について示す。
仲野 友英; 朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 久保 博孝; 三浦 幸俊; 清水 勝宏; 木島 滋; 正木 圭; 東島 智; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 46(5), p.626 - 634, 2006/05
被引用回数:21 パーセンタイル:57.27(Physics, Fluids & Plasmas)長い時間スケールにおけるプラズマ・壁相互作用を理解するため、放電時間を15秒から65秒に、中性粒子ビーム加熱時間を10秒から30秒に伸張した。長時間Hモード放電の後半ではダイバータ板が粒子飽和することが確認された。放電中にダイバータ板での粒子吸収が徐々に減少し、その後、粒子を吸収しない状態に達した。この壁飽和現象によって、ダイバータ排気を有効にしているにもかかわらず中性粒子ビーム以外の粒子供給がなくても主プラズマの密度が上昇した。また、総入力エネルギーが350MJに達したが、カーボンブルームと呼ばれる急激な炭素不純物の発生や、主プラズマの不純物による希釈は観測されなかった。
菊池 満; 玉井 広史; 松川 誠; 藤田 隆明; 高瀬 雄一*; 櫻井 真治; 木津 要; 土屋 勝彦; 栗田 源一; 森岡 篤彦; et al.
Nuclear Fusion, 46(3), p.S29 - S38, 2006/03
被引用回数:13 パーセンタイル:41.76(Physics, Fluids & Plasmas)トカマク国内重点化装置(NCT)計画は、大学における成果を取り込みつつJT-60Uに引き続き先進トカマクを進めるための国内計画である。NCTのミッションは発電実証プラントに向けて高ベータ定常運転を実現するとともに、ITERへの貢献を図ることである。高ベータ定常運転を実現するために、装置のアスペクト比,形状制御性,抵抗性壁モードの帰還制御性,電流分布と圧力分布の制御性の機動性と自由度を追求した。
竹永 秀信; 仲野 友英; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 木島 滋; 清水 勝宏; 都筑 和泰; 正木 圭; 田辺 哲朗*; 井手 俊介; et al.
Nuclear Fusion, 46(3), p.S39 - S48, 2006/03
被引用回数:18 パーセンタイル:52.46(Physics, Fluids & Plasmas)長時間放電におけるグローバルな壁飽和機構を解明するために、第一壁での局所的な壁飽和時間を評価した。局所的な壁飽和時間は、第一壁への粒子束とそこでの吸収率及び最大粒子吸収量により評価可能である。第一壁への粒子束は、中性粒子輸送解析コードDEGAS2を用いて評価した。その際、プラズマパラメータは2次元流体ダイバータコードUEDGEで評価した。D発光強度分布が実験と合うようにDEGAS2で評価した壁へのイオン束と中性粒子束を用いて、壁での吸収率を10%、壁での最大粒子吸収量を110m(実験室データをもとに評価)とし、局所的な壁飽和時間を評価した。その結果、ダイバータ領域では1秒以内に壁飽和に達していることが明らかになった。また、バッフル板は10秒程度、主プラズマまわりの壁は100秒程度で壁飽和に達すると評価された。バッフル板での粒子吸収は、10秒程度の時間スケールでグローバルな壁飽和が観測された実験結果と関連していると考えられる。一方、主プラズマまわりの壁での粒子吸収は、放電を繰り返すことによりグローバルな壁飽和状態に近づいていくことと関連していると考えられる。これらの結果をもとに、動的な粒子吸収特性を示す領域と静的な特性を示す領域によりグローバルな壁飽和が起こるというモデルを提唱した。