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須藤 彩子; 佐藤 拓未; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 9 Pages, 2025/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故において、注入された海水が溶融コリウムおよびコンクリートと反応した可能性がある。燃料デブリの取出しや保管方法を検討する上で、海水成分が燃料デブリ中の生成物の特性に与える影響を把握することが必要である。そこで、海水による燃料デブリの微細組織の変化を理解するため、温度勾配下での海水塩を加えた模擬コリウムとコンクリート反応試験を行った。その結果、海水塩成分のうち、硫黄は金属中に鉄硫化物を形成した。また、蒸発物の分析により、海水塩に含まれるClの大部分、およびNa、Kの一部は、模擬コリウムやコンクリートと反応せずに、加熱中に揮発することが示された。海塩に含まれるカルシウムと少量のMg、Na、Kは、模擬コリウム中のケイ酸塩ガラス中に残留したものと考えられる。
須藤 彩子; Msz
ros, B.*; 佐藤 拓未; 永江 勇二
JAEA-Research 2023-007, 31 Pages, 2023/11
東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所で形成された燃料デブリの臨界評価のためには、燃料デブリ中に含まれる成分の偏析傾向を把握することは非常に重要である。特に、燃料デブリ中で中性子吸収材としての役割を担うと考えられるFeおよびGdの分布状況は臨界性に大きな影響を与えると考えられる。本研究では炉心酸化物溶融物中の凝固過程におけるFeおよびGdの偏析傾向を解明するため、コールドクルーシブル誘導加熱法を用い炉心構成材料(UO、ZrO
、FeO、Gd
O
、模擬核分裂生成物(MoO
、Nd
O
、SrO、RuO
))、コンクリート主成分(SiO
、Al
O
、CaO)の溶融凝固試験を行った。本試験では、加熱中溶融試料を徐々に下部に引き抜くことによって、下部から上部に向かって凝固させることを実現した。元素分析の結果、Feは試験体中心付近で試験体下部の最大3.4倍濃縮することがわかった。FeOの初期組成、冷却速度、相分離の有無にかかわらず、すべての試験体でFeの試験体中心部付近への偏析が確認された。このことから、FeOは溶融物中で最終凝固領域に向けて偏析することが考えられる。一方、Gdは試験体中の試験体下部で試験体中心付近の最大2.6倍濃縮した。Gd
O
は初期組成1at.%以上の場合、冷却速度、相分離の有無にかかわらず、すべての試験体で試験体下部への偏析が確認された。このことから、Gd
O
は溶融物中に1at.%以上含まれる場合、初期に凝固する領域に偏析することが考えられる。一方、模擬核分裂生成物の顕著な偏析は確認されなかった。
墨田 岳大; 須藤 彩子; 高野 公秀; 池田 篤史
Science and Technology of Advanced Materials; Methods (Internet), 2(1), p.50 - 54, 2022/02
Despite a wide variety of its practical applications, handiness, and cost-effectiveness, the advance of lamp-based heating device is obstructed by one technical difficulty in measuring the temperature on a heated material. This difficulty originates in the combination of polychromatic light source and a radiation thermometer that determines temperature from radiation (i.e. light). A new system developed in this study overcomes this intrinsic difficulty by measuring exclusively the radiation from the heated material, allowing us to perform the direct and measurement of temperature in a light-based heating device (an arc image furnace). Test measurements demonstrated the reliability of temperature measurement using the developed system as well as its promising potential for the determination of emissivity at high temperature particularly in the infrared region.
須藤 彩子; 佐藤 拓未; 多木 寛; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(4), p.473 - 481, 2021/04
被引用回数:7 パーセンタイル:61.36(Nuclear Science & Technology)ex-vessel debrisから冷却水へのSrおよびBa溶出挙動の把握は、福島第一原子力発電所における二次的ソースターム評価のため重要である。このメカニズムを理解するためには、ex-vessel debris中のSrおよびBaの分布状態に関する知見が必要となる。模擬コリウムとコンクリートの反応試験の結果、凝固したサンプル中に二層構造((A)上部表面領域のケイ酸ガラス相(((Si,Al,Ca,Fe,Zr,Cr,U,Sr,Ba)-O)リッチ層、(B)内部領域の(U,Zr)O相リッチ層)が観測された。SrおよびBaは(A)層に濃集した。((B)層の約1.7倍)熱力学解析により、(U,Zr)O
相が、コンクリートを主成分とする液相中で2177
C付近で凝固することが予測された。その後、残りの液相がケイ酸ガラスとして凝固し、SrおよびBaはケイ酸ガラス相に優先的に溶け込むことがわかった。試験中、(U,Zr)O
粒子はその高い密度により液相中で下方に沈み、ケイ酸ガラス相は表面層で凝固したことが考えられる。一方、SrおよびBaを含むケイ酸ガラスは水に溶けにくく、化学的に安定していることが予測される。
須藤 彩子; Meszaros, B.*; Poznyak, I.*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝
Journal of Nuclear Materials, 533, p.152093_1 - 152093_8, 2020/05
被引用回数:4 パーセンタイル:34.76(Materials Science, Multidisciplinary)For a criticality assessment of the fuel debris generated by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, knowing the segregation of neutron absorber materials, , Gd, B, and Fe, in the fuel debris is necessary. Although B may mostly evaporate during melting, Fe and Gd are expected to remain in the molten corium. To understand the redistribution behavior of Gd and Fe during the solidification of the molten corium, solidification experiments with simulated corium (containing UO
, ZrO
, FeO, and Gd
O
with a small amount of simulated fission products such as MoO
, Nd
O
, SrO, and RuO
) were performed using a cold crucible induction heating method. The simulated corium was slowly cooled from 2,500
C and solidified from the bottom to the top of the melt. An elemental analysis analysis of the solidified material showed that the Fe concentration in the inner region increased up to approximately 3.4 times that in the bottom region. This suggested that FeO might be concentrated in the residual melt and that, consequently, the concentration of Fe increased in the later solidification region. On the contrary, the Gd concentration in the periphery region was found to be approximately 2.0 times higher than that in the inner region, suggesting the segregation of Gd in the early solidified phase. No significant segregation was observed for the simulated fission products.
須藤 彩子; 水迫 文樹*; 星野 国義*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝
日本原子力学会和文論文誌, 18(3), p.111 - 118, 2019/08
炉心溶融物の凝固過程での冷却速度の違いは燃料デブリ構成成分の偏析に大きく影響する。偏析傾向を把握するため、模擬コリウム(UO, ZrO
, FeO, B
C, FP酸化物)の溶融/凝固試験を行った。模擬コリウムはAr雰囲気化で2600
まで加熱し、2つの冷却速度での降温を行った。(炉冷(平均744
C/min)および徐冷(2600
C
2300
C:5
C/min、2300
C
1120
C:平均788
C/min)元素分析により、炉冷条件および徐冷条件両方の固化後の試料中に3つの異なる組成を持つ酸化物相および1つの金属相が確認された。炉冷条件、徐冷条件ともにこれら3つの酸化物相へのFeO固溶度はおおよそ12
5at%であった。この結果はUO
-ZrO
-FeO状態図におおよそ一致している。一方、徐冷条件での試料中に、Zrリッチ相の大粒形化が確認された。この相の組成は液相の初期組成と一致しており、遅い凝固中で液滴の連結が起こり、凝集したと評価した。
須藤 彩子; 西 剛史; 白数 訓子; 高野 公秀; 倉田 正輝
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(10), p.1308 - 1312, 2015/10
被引用回数:16 パーセンタイル:73.95(Nuclear Science & Technology)BWRのシビアアクシデントでの制御棒ブレードの崩落進展理解のためには、燃料破損データベースを構築する必要がある。しかし制御棒の主成分であるFe-B-C系の相状態は、特にB, Cリッチな領域において未だ不確実な点が多い。本研究では制御棒ブレード崩落解析の基礎データとして、制御棒ブレードの溶融開始に影響すると考えられる共晶点付近の組成領域のFe-B-C合金3種を作製し、1073K, 1273Kの相状態解明のための試験を行った。XRD及びSEM-EDXの結果は、FeB
C
の領域ではJAEA熱力学データベース(JAEA-DB)とは異なり、1273KでFe成分を多く含む相を持つことが明らかとなり、1273KでのCementite相の固溶範囲の再評価が必要であるとの知見を得た。また、溶融開始温度の測定結果から、熱力学解析では3種の合金の間で融解温度に約40Kの差が出ると予想されたが、本実験では、3種の合金すべてが約1400Kで溶融が開始したため、JAEA-DBではCementite相の生成自由エネルギーが過大評価されている可能性があることを明らかにした。
須藤 彩子; Poznyak, I.*; 永江 勇二; 中桐 俊男; 倉田 正輝
no journal, ,
溶融コリウムの凝固プロセスにおいて固化時の引け巣形成挙動、デブリ主成分の偏在、Gdの濃度分布等の情報を得るため、模擬U-Zr-Gd-O系コリウムの溶融試験を行った。炉心溶融物材料であるUO, ZrO
, Gd
O
粉末を69:29:2(wt%)で混合し、コールドクルーシブ誘導加熱炉に設置し、誘導材料として6gの金属Zrを添加後、空気中で溶融させ、急冷条件(J1)および徐冷条件(J2)での凝固を行った。加熱試験終了後、試料の詳細な凝固生成物の分析のため、XRDでの相同定およびSEM/EDXでの元素分析を行った。J1で得られた試料は固化後4.8cmの高さとなり、試料下部は結晶化しており加熱中も溶融していなかったと推測できる。J2に関しては、構造はJ1とおおよそ一致しているものの、上部クラスト真下に引け巣の形成が確認できた。この引け巣は遅い凝固速度での固化時に容積の収縮により形成したと考えられる。また、J1, J2両方の試料中で、Gdは試料中央部に若干濃縮していることが明らかとなった。
須藤 彩子; 水迫 文樹*; 星野 国義*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝
no journal, ,
In order to obtain the knowledge on the phase relationship and stratification behavior of oxide debris under the slow solidification condition, liquefaction/solidification tests of simulated oxide debris were performed by using a high frequency induction furnace. As the oxides components from the core melt and structural materials, sintered pellets of UO-ZrO
-sim-FPs and powder of FeO and B
C were prepared. The powder mixture and crashed sintered oxides were heated to 2600
C in Ar atmosphere in the first step (partial liquefaction), and then solidified at two different cooling rates; furnace cooling (No.1) and slow cooling (5
C /min, No.2). For the corium microstructure study, solidified samples were subjected to elemental analysis by SEM/EDX. Cross sectional images of both samples showed that the oxide layer and metallic layer were separately solidified. EDX analysis of oxide layer of No.1 sample revealed four phases; (U
Zr
Fe
)O
, (Zr
U
Fe
)O
, ZrO
and Fe metal. The tendency of re-distribution of oxide elements observed in No.2 was similar to that of No.1, however, the grain-growth of (Zr,U)O
phase occurred at the bottom region of the oxide layer. In these results, the phases detected in both samples were in reasonable accordance with those evaluated by the UO
-ZrO
-FeO phase diagram.
須藤 彩子; Poznyak, I.*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝
no journal, ,
溶融燃料凝固過程の解析モデル妥当性評価のため、U-Zr-Gd-Fe-O系模擬溶融コリウムの凝固試験を実施した。炉心溶融物の構成材料として、UO, ZrO
, Gd
O
, FeOの粉末試薬を用いた。No.1ではさらに小片の金属モリブデンを加え、No.2では模擬FP酸化物(MoO
, NdO
, SrO
, RuO
)の粉末試薬を加えた。(重量
900g)模擬コリウム試料は最大出力60kWのコールドクルーシブル誘導加熱炉を用い、金属Zrを誘導体とし空気中で加熱した。溶融プール出現後、試料表面温度は約2400
Cまで達し、その後試料ステージを徐々に発熱源より下降させることにより徐冷した。固化後、No.1では266.3g、高さ2.8cmのインゴットとして、No.2では757.8g、高さ3.2cmのインゴットとして得られた。固化後インゴットを上部から下部にかけサンプリングを行い、元素分析を行った。Fe濃度を固化後試料の高さ方向で比較したところ、No.1では最終凝固位置に近いと予測される試料中心部(1.5cm)で最大となり(0.8wt%)、上部クラスト部分(2.5cm)で最小となった(0.2wt%)。一方、No.2では試料上部(3.0cm)で最大となった。No.2はNo.1に比べ溶融物の量が多く、最終凝固位置が2.0cm
2.5cm付近である考えられ、上部がより最終凝固位置に近かったためと考えられる。
須藤 彩子; 西 剛史; 白数 訓子; 高野 公秀; 倉田 正輝
no journal, ,
BWRのシビアアクシデントでは初期に制御棒ブレードが崩落するため、ブレードの溶融開始はその後の燃料集合体の崩落進展に大きく影響すると考えられている。本研究では制御棒ブレード崩落解析の基礎データとして、制御棒ブレードの溶融開始に影響すると考えられる共晶点付近の組成領域のFe-B-C合金3種を作製し、1073K, 1273Kの相状態解明のための試験を行った。XRD及びSEM-EDXの結果は、JAEA熱力学データベース(JAEA-DB)から解析したFe-B-C状態図の結果とおおよそ一致しているが、FeB
C
の領域ではJAEA-DBとは異なり、1273KでFe成分を多く含む相を持つことが明らかとなり、1273KでのCementite相の固溶範囲の再評価が必要であるとの知見を得た。また、溶融開始温度の測定結果から、熱力学解析では3種の合金の間で融解温度に約40Kの差が出ると予想されたが、本実験では、3種の合金すべてが約1400Kで溶融が開始したため、JAEA-DBではCementite相の生成自由エネルギーが過大評価されている可能性があることを明らかにした。
高野 公秀; 西 剛史; 須藤 彩子
no journal, ,
福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに向けた性状把握研究の一環として、デブリの主要成分である(U,Zr)Oの焼結体試料(U含有率7種)を作製し、物性と高温酸化挙動のデータを取得した。投下熱量計により測定した比熱とレーザーフラッシュ法により測定した熱拡散率から、1073Kまでの熱伝導率の温度依存性と組成依存性を評価した他、室温でのマイクロビッカース硬度計による微小硬さと高抵抗率計による電気抵抗率を取得し、それぞれの組成依存性を整理した。一方、デブリ生成時の炉内酸素分圧による酸化挙動を評価するため、焼結体試料を3種の酸化条件下で等温保持し、生成相とO/(U+Zr)比を分析した。(U,Zr)O
となる超化学量論組成領域では、U含有率が高い程O/(U+Zr)比は大きくなるが、固溶体中のO/U比は一定でU含有率及び結晶系に依存しないことを見いだした。一方、斜方晶のU
O
が生じるような高酸化条件下では、U
O
とZrO
の固溶体の他に2種類の斜方晶(U含有率0.4及び0.15)が生成するすることを新たに見いだし、これら3相が安定に存在する条件を明らかにした。
須藤 彩子
no journal, ,
MCCI生成物の性状評価のため、コンクリート上でステンレス鋼, ZrO, Zr, (U,Zr)O
等の炉心材料を局所集光加熱により溶融させ、コンクリートとの界面付近での反応生成物と熱劣化の状態を調べた。コンクリート上で(U
Zr
)O
粉末の成型体を加熱したところ、先ず成型体の溶融が始まり、次いで伝熱により溶融したコンクリートと液相で混ざり合った。固化後に縦方向に切断し、断面を金属顕微鏡及びSEM/EDXで観察したところ、成型体部分は概ね元の形状を保っているものの、溶融固化した(U,Zr)O
粒子とケイ酸ガラスの2相から成っていることがわかった。前者にはCaO及び微量のFe及びMg酸化物が固溶していた。後者のガラス中には少量のZrとUが溶け込んでいた。一方、元の成型体の下端に相当する部分は、(U,Zr)O
の破砕粉は溶融していないものの、UとZrを含有したケイ酸ガラスが上部から下部へと下がってきていることを確認した。なお、コンクリートの溶融界面より下は、セメント部分の脱水により非常に脆くなっていた。
須藤 彩子; 高野 公秀; 小野澤 淳
no journal, ,
MCCI生成物の性状評価のため、炉心材料に、模擬FP, 可燃性毒物, 海水塩を加えた試料をコンクリート上で局所集光加熱により溶融させ、コンクリートとの界面付近での反応生成物と熱劣化の状態を調べた。コンクリート上に少量の海水塩を敷き、その上に(U,Zr
)O
/Zr/SUS316L/B
C/GdO
/PGMの成型体を設置し加熱したところ、先ず成型体の溶融が始まり、次いで伝熱により溶融したコンクリートと液相で混ざり合った。固化後に縦方向に切断し、断面を金属顕微鏡及びSEM/EDXで観察したところ、完全に溶融した上層部分では、ケイ酸ガラス中に(U,Zr)O
がデンドライト状に固化した組織が観察され、(U,Zr)O
には希土類(Gd)及びコンクリート由来のCaが固溶するほか、微量のFe, Cr, Mg, Alが固溶していた。一方ケイ酸ガラス中には炉心成分のU, Zr, Gd, Fe, Cr等が溶解していた。さらに、酸化せずに残存した粒子状金属の析出も確認できた。この粒子はFe-Ni-Mo-Ru-Rh-Pd系合金が2
3相できており、SUS由来のCrが全量酸化するような酸化条件化でも、Moと白金族元素はFe, Niとの合金として比較的安定に残存していることがわかった。海水塩成分は、大部分は蒸発してベルジャー内面に付着したが、合金粒内にFeS型の硫化物生成が確認された。
高野 公秀; 小野澤 淳; 須藤 彩子
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で生成した、炉心溶融物とコンクリートの反応生成物(MCCI生成物)の取出しに向けた性状把握のため、アーク溶解の手法により実験室規模で種々の模擬MCCI生成物を調製し、断面の生成相と凝固組織を観察・分析するとともに、各生成相の微小硬さデータを取得した。出発物質として、ステンレス鋼, 炭化ホウ素, 金属ジルコニウム, (U,Zr)O, 希土類酸化物, 白金族合金等の炉心成分とコンクリートの粉末を用いた。アーク溶解により、模擬MCCI生成物は酸化物部分と金属質部分に大きく分離する傾向を示し、生成する各相の傾向は、初期混合物中のコンクリート/Zr比で整理できることが分かった。これは、主要な酸化要因がコンクリートの熱分解で放出される水分である一方、金属ジルコニウムが強力な還元剤として作用するためである。各生成相の硬さは、コンクリート由来のケイ酸ガラスが7GPa程度、(U,Zr,Gd,Ca)O
コリウムが13-15GPa程度であるのに対し、最も硬いのは、ホウ素が酸化されずに残存した際に金属質部分に析出するホウ化物で、最高で25GPa程度であった。
須藤 彩子; Poznyak, I.*; 永江 勇二; 中桐 俊男; 倉田 正輝
no journal, ,
溶融コリウムの凝固プロセスに関する知見を得るため、模擬コリウムU-Zr-Gd-Oを用いた予備的な凝固試験を実施し、その溶融固化状況を観察した。模擬炉心溶融物材料として、wt.70%UO+30%ZrO
に2%のGd
O
を添加した粉末900gを、コールドクルーシブ誘導加熱炉に設置し、誘導材料として6gの金属Zrを添加後、空気中で溶融させた。固化後の試料は外観観察を行った後、試料の詳細な凝固生成物の分析のため、SEM/EDXでの元素分析を行った。また、様々な凝固条件下での溶融コリウムの性状評価のため、炉冷条件・徐冷条件2パターンの試験を行った。炉冷条件で行った試料(J1)は固化後4.8cmの高さとなり、試料下部は結晶化しており加熱中も溶融していなかったと推測できる。徐冷条件で行った試料(J2)に関しては、構造はJ1とおおよそ一致しているものの、上部クラスト真下に引け巣の形成が確認できた。この引け巣は遅い凝固速度での固化時に容積の収縮により形成したと考えられる。また、J1, J2両方の試料中で、Gdは試験後期で凝固した試料中央部に濃縮していることが明らかとなった。
須藤 彩子; 白数 訓子; 西 剛史; 倉田 正輝
no journal, ,
BWRのシビアアクシデントでは初期に制御棒ブレードが崩落し、その後の燃料集合体の崩落進展に大きく影響する。本研究では制御棒ブレード崩落解析の基礎データとして、知見が十分に得られていない組成領域のFe-B-C合金3種を作製し、1073K, 1273Kの相状態の検討を行った。XRD及びSEM-EDXの結果から、FeB
C
は1073K, 1273Kともにセメンタイト相(Fe
(B,C))が主相であることがわかった。Fe
B
C
は1073KでFe:B:C=89:5:6(at%)の組成比からなる化合物の単相、1273KではFe
(B,C)が主相に変化した。Fe
B
C
は1073KでFe
(B,C)
が主相であり、1273Kで主相がFe
(B,C)に変化した。また、調製した全ての合金において融解温度は1400K付近であることを確認した。解析上では3種の合金の間で融解温度に約40Kの差が出ると予想されているが、本実験では、3種の合金すべてが1400K付近で溶解したため、融解温度近傍での熱力学データベース改良の指針を得ることができた。
須藤 彩子; 水迫 文樹*; 星野 国義*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 倉田 正輝
no journal, ,
With a view to investigating the tendency of segregation of constituents of fuel debris, liquefaction/solidification tests of simulated corium (UO, ZrO
, FeO, B
C and sim-FP oxides) were performed. Simulated corium was heated up to 2600
C under Ar atmosphere and then cooled down with two different cooling processes; furnace cooling and slow cooling. Cross sectional images of both samples showed that the oxide layer and metallic layer were separately solidified. EDX analysis of oxide layer of samples revealed three oxide phases and Fe metal. Solubility of FeO in these oxide phases was mostly fixed to be 12
5at% in all phases, which is in reasonable accordance with the value estimated from UO
-ZrO
-FeO phase diagrams. The tendency of re-distribution of oxide elements observed in the sample with slow cooling was similar to that of quick cooling, however, the grain-growth of one oxide phase, rich in Zr-oxide, occurred at the bottom region of the oxide layer. The composition of this Zr-oxide phase is comparable to the initial average composition. The condensation is considered to be caused by the connection of remaining liquid agglomerates during slow solidification.
須藤 彩子; 高野 公秀; 渡邉 大輔*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故において、炉心溶融物とコンクリートが界面付近で完全に溶融混合した状態を模擬した模擬廃棄物を調製し、フッ化試験へ供給した。模擬廃棄物として、(U,Zr)O, Zr, SUS316L, Gd
O
, コンクリートの混合粉末成型体を調製した。金属Zrの含有率を変化させ、2種類の混合組成を定めた(Zr高濃度の還元側条件: 試料A、Zr低濃度の酸化側条件: 試料B)。成型体をアーク溶解法により、溶融・固化させた。固化後の試料断面に対し、断面観察および元素分析を行った。試料Aの断面を観察したところ、白色の金属,灰色の酸化物が確認できた。酸化物の主要構成物は(U,Zr)O
であり、これに少量のCa, Al, Gdが固溶していた。コンクリート中のSiO
が全て還元されて金属側に移行した結果、ケイ酸ガラスは形成せず、(U,Zr)O
の粒界には主にAlとCaからなる酸化物が検出された。金属については、酸化物原料からSi, U, Alの一部が還元されて移行し、(Fe,Cr,Ni)-Si-Zr系の棒状結晶と、(Fe,Cr,Ni)-Si-Al-Mo-(Zr,U)系合金が確認された。一方、Bの酸化物領域は、ケイ酸ガラス中に(U,Zr)O
が析出した組織であった。金属については、Zrは全て酸化物側に移行し、CrとFeの一部も酸化することで、この2元素の含有量が低下したSUS構成元素の合金単相であった。以上の結果から、MCCIにおける生成相は、金属融体中のZr含有率に大きく影響を受けることが示唆される。
高野 公秀; 須藤 彩子; 渡邉 大輔*
no journal, ,
フッ化試験に供するため、コンクリート片上にUを含む炉心構成材料を置いて集光加熱により温度勾配下で溶融・固化した後、切断面の生成相を分析した。その結果、(U, Zr)OにはFe, Cr, Ca, Al等が固溶していること、コンクリートからの脱水によりCrと大部分のFeが酸化しケイ酸ガラス中にFeCr
O
スピネルとして析出していることを確認した。