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杉浦 佑樹; 陶山 忠宏*; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2021-017, 58 Pages, 2022/03
放射性廃棄物地層処分の性能評価において、放射性核種の緩衝材(ベントナイト)、岩石及びセメント系材料中での収着現象は、その移行遅延を支配する重要な現象の一つである。これらの収着現象の理解、信頼性の高い収着データを集約したデータベース、及び現象論的モデル/評価手法の開発は、性能評価において様々な地球化学条件を考慮して信頼性の高い核種移行パラメータ設定を行う上で重要となる。この目的のために、日本原子力研究開発機構では、ベントナイト、岩石及びセメント系材料を対象として、収着パラメータに関するデータベース開発を進めている。この収着データベース(SDB)は、第2次取りまとめを契機として最初のデータベースを整備し、ホームページでの公開を進めてきた。さらに、今後の性能評価におけるニーズへ対応するため、データベースに含まれるデータの信頼度評価、及び実際の地質環境に対するパラメータ設定におけるデータベース適用等に着目して、データベースの改良・更新を継続的に実施してきた。今回、性能評価における収着分配係数(Kd)設定のための統合的手法の構築の基礎として、収着データベース(JAEA-SDB)のデータ拡充を行った。本報告では、はじめにJAEA-SDBのデータベースの構造と内容の概要を確認したうえで、幅広く文献収集を行ったKdデータと信頼度情報の拡充について報告する。今回の更新において、上記の3つの系に関連した70の文献から8,503件のKdデータとその信頼度情報が追加され、JAEA-SDBに含まれるKdデータは79,072件となり、全データのうちの約75.4%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、今後の性能評価における収着パラメータ設定に向けて、有効な基盤情報を提供するものと期待される。
杉浦 佑樹; 陶山 忠宏*; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2019-022, 40 Pages, 2020/03
放射性廃棄物地層処分の性能評価において、放射性核種の緩衝材, 岩石及びセメント系材料中での収着現象は、その移行遅延を支配する重要な現象の一つである。今回、性能評価における収着分配係数(K)設定のための統合的手法の構築の基礎として、収着データベース(JAEA-SDB)のデータ拡充を行った。本報告ではK
設定や収着モデル開発の最近の取り組みにおいて課題として抽出された以下に示す3つの系(粘土, 堆積岩及びセメント系材料)に着目して実施した、K
データと信頼度情報の拡充について報告する。今回の更新において、60の文献から6,702件のK
データとその信頼度情報が追加され、JAEA-SDBに含まれるK
データは69,679件となり、全データのうちの約72%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、今後の性能評価における収着パラメータ設定に向けて、有効な基盤情報を提供するものと期待される。
舘 幸男; 陶山 忠宏*; 三原 守弘
JAEA-Data/Code 2019-021, 101 Pages, 2020/03
TRU廃棄物や高レベル放射性廃棄物の地層処分を対象とした性能評価において、人工バリアであるセメントやベントナイト、天然バリアである岩石中での核種の収着現象は、核種の移行遅延を支配する重要な現象の一つである。収着の程度は一般的に収着分配係数(K)によって表され、バリア材や環境条件に応じて大きく変動するため、それぞれの条件でのK
データを取得し、性能評価解析では関連する不確実性も考慮して収着パラメータ値を設定する必要がある。TRU廃棄物の処分システムでは、高レベル放射性廃棄物で検討されるベントナイトや岩石に加えて、バリア材として利用されるセメント系材料への収着や、一部の廃棄物に含まれる硝酸塩等の化学物質が地下水に溶解して収着に影響を及ぼすことなどを考慮する必要が生じる。本報告書では、このようなTRU廃棄物の処分において考慮すべきバリア材料や、硝酸塩等の影響物質、評価対象核種の組み合わせを対象として、K
データをバッチ式収着試験により取得した結果を報告する。バリア材としては、普通ポルトランドセメント硬化体、通水で劣化させた普通ポルトランドセメント硬化体、凝灰岩を対象とし、液性については、蒸留水や模擬海水とバリア材料との平衡液に加え、硝酸塩やアンモニウム塩を含む液性条件を対象とした。元素は、C(有機形態),C(無機形態),Cl,I,Cs,Ni,Se,Sr,Sn,Nb,Am,Thを対象とした。ここで報告する収着データの一部は、TRU廃棄物処分技術検討書の性能評価における核種移行解析に用いたパラメータである核種移行データセット(RAMDA: Radionuclide Migration Datasets)の一部として取得・報告されているものであり、ここでは、これらのデータ取得の方法, 条件, 結果の詳細を報告する。
杉浦 佑樹; 陶山 忠宏*; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2017-016, 54 Pages, 2018/03
放射性廃棄物地層処分の性能評価において、放射性核種の緩衝材(ベントナイト)、岩石及びセメント系材料中での収着・拡散現象は、その移行遅延を支配する重要な現象である。これら収着・拡散現象の理解、信頼性の高い収着・拡散データを集約したデータベース、並びに現象論的モデル/評価手法の開発が、性能評価において、様々な地球化学条件を考慮して信頼性の高い核種移行パラメータ設定を行う上で重要となる。本報告は、性能評価におけるK設定のための統合的手法の構築の基礎として、収着データベース(JAEA-SDB)の更新の現状について報告する。はじめにJAEA-SDBの開発の現状として、データベースの構造と内容の概要をまとめる。K
データと信頼度情報の更新については、K
設定や現象論モデル開発との関連に着目して実施した。今回の更新において、30の文献から4,256件のK
データとその信頼度情報が追加され、JAEA-SDBに含まれるK
データは約63,000件となり、全データのうちの約69%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、収着データベースから利用可能な関連データ群の速やかな抽出、K
設定の際に参照すべきデータの適切な選定が、一層の効率性、追跡性、透明性をもって可能となると考えられる。
浜本 貴史*; 松原 竜太*; 澁谷 早苗*; 陶山 忠宏*; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2017-014, 31 Pages, 2018/03
現在、原子力発電環境整備機構(NUMO)と原子力機構(JAEA)の双方で、地層処分の安全評価手法の開発を進めている。これら安全評価に資するため、国内外の最新の知見を踏まえたパラメータ設定手法の構築を、NUMOとJAEAで共同研究として実施している。本報では、この共同研究の一環として実施した、収着・拡散データベースの拡充のための国内外の最新の収着・拡散データの調査と信頼度評価の結果を報告する。今回の調査では、堆積岩とセメント系材料を中心に調査と信頼度評価を行い、収着データとしては、文献数19件、データ数1、746件、拡散データとしては、文献数25件、データ数593件分について、収着・拡散データベースの中で利用可能な形式でデータを整備した。
舘 幸男; 陶山 忠宏*; 澁谷 早苗*
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 24(2), p.109 - 133, 2017/12
性能評価解析において、収着分配係数Kは、地球化学条件の変動範囲や不確実性を含む具体的な性能評価条件を考慮して設定する必要がある。性能評価のための岩石へのK
設定手法を、(i)収着データベースから抽出されるデータ群の直接的利用、(ii)データ取得条件と性能評価条件の差異を補正する半定量的条件変換手法、(iii)熱力学的収着モデルの3つを組み合わせることにより構築した。この設定手法の適用性を評価するため、これら3つの手法を適用して、花崗岩に対するCs及びAmのK
値と不確実性の導出と比較を行った。その結果、データやモデルについて十分な情報が利用可能な場合、異なる手法間で整合的な設定値を導出可能であることを確認した。この手法間の比較を踏まえ、性能評価対象の25元素を対象に、実測データ群に基づく分配係数と不確実性の設定を試み、最近の海外の性能評価プロジェクトにおけるK
データセットと比較した。本手法によって、実際のサイト条件への適用を含む段階に応じた分配係数及び不確実性を設定することが可能となる。
舘 幸男; 陶山 忠宏
JAEA-Data/Code 2015-028, 60 Pages, 2016/03
放射性廃棄物地層処分の性能評価において、放射性核種の緩衝材及び岩石中での収着・拡散現象は、その移行遅延を支配する重要な現象である。この目的のために、原子力機構(JAEA)では、緩衝材及び岩石を対象として、収着・拡散パラメータに関するデータベース開発を進めている。今後の性能評価におけるニーズへの対応を念頭に、データベースの改良・更新を継続的に実施してきた。本報告は、性能評価におけるKd設定のための統合的手法の構築の基礎として、収着データベースの開発と更新の現状について報告する。はじめにJAEA-SDBの開発の現状として、データベースの構造、内容、今回拡充した複数のパラメータ依存性の評価手法を含む機能、さらには、操作方法並びに性能評価への適用法等の概要をまとめる。Kdデータと信頼度情報の更新については、Kd設定や現象論モデル開発との関連に着目して実施した。今回の更新において、81の文献から11,206件のKdデータとその信頼度情報が追加され、JAEA-SDBに含まれるKdデータは約58,000件となり、全体に対して約60%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、収着データベースから利用可能な関連データ群の速やかな抽出、Kd設定の際に参照すべきデータの適切な選定が、一層の効率性、追跡性、透明性をもって可能となると考えられる。
舘 幸男; 陶山 忠宏
JAEA-Data/Code 2015-027, 40 Pages, 2016/03
放射性廃棄物地層処分の性能評価において、放射性核種の緩衝材(ベントナイト)及び岩石中での収着・拡散現象は、その移行遅延を支配する重要な現象である。日本原子力研究開発機構では、ベントナイト及び岩石を対象として、収着・拡散パラメータに関するデータベース開発を進めている。本報告は、今後の性能評価における最新の知見に基づく拡散パラメータ設定に資するため、拡散データベース(JAEA-DDB)に対する最新データの導入・更新について報告する。はじめにJAEA-DDBの現状として、データベースの構造、これまでに拡充してきたデータの分析評価に係る機能拡充等の概要をまとめる。今回の更新において、主にベントナイト, 花崗岩, 泥岩系を中心とした国内外の221の文献から約3,500件の拡散データ(De, Da)が追加され、JAEA-DDBに含まれる拡散データは約5,000件となった。今回更新されたJAEA-DDBによって、国内外の最新の拡散データを含む実測データ群から、拡散パラメータ設定の際に参照すべきデータの適切な選定が、一層の効率性, 追跡性, 透明性をもって可能となると考えられる。
舘 幸男; 陶山 忠宏; 四辻 健治; 石井 康雄; 高橋 宏明*
CMS Workshop Lectures, Vol.21, p.241 - 250, 2016/00
放射性廃棄物地層処分の安全評価において粘土質岩石中の核種の収着・拡散挙動は把握すべき重要なプロセスである。幌延深地層研究所における泥岩試料中のNi(II), Am(III), Se(IV)の拡散・収着挙動を、実験とモデルの両面から調査した。透過拡散試験によって得られた実効拡散係数は、先行研究の結果も含めて、Cs, Ni
, HTO, I
, Se(SeO
), Am(Am(CO
)
)の順に低下する傾向となった。一方で、拡散試験から得られた収着分配係数は、バッチ収着試験によって取得された値との整合的であった。これらの結果は、粘土成分(スメクタイトとイライト)の寄与を仮定した収着モデル、電気二重層理論と単純化された間隙モデルを考慮した拡散モデルとを組み合せた、粘土を主体としたモデル化手法によって解釈された。この粘土を主体としたモデルによって、一連のデータを概ね説明することが可能であり、この手法が多様な核種に対して適用可能と評価された。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 三ツ井 誠一郎; 北村 暁; 吉川 英樹; 小田 治恵; 石寺 孝充; et al.
JAEA-Research 2014-030, 457 Pages, 2015/03
原子力機構(JAEA)がこれまで蓄積してきた技術やノウハウを、原子力発電環境整備機構(NUMO)が今後行う精密調査地区の選定等の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定すること等を目的として、2011年度よりJAEAとNUMOは以下の3つのテーマについて共同研究を進めている。(1)水理の観点からみた母岩の適性を評価する方法に関する検討: 水理地質構造モデル構築手法の事例調査に基づいて、得られた知見を評価ツリーとして整理し、モデルの不確実性やそれらの評価項目への影響等についての検討を行った。(2)シナリオの構築方法に関する検討: 状態設定手順を実務的な観点から、さらに見直すとともに、セメント影響とガラス溶解挙動について、知見の体系的な整理と不確実性の影響について解析的検討を行った。(3)核種移行パラメータの設定方法に関する検討: 母岩の分配係数を対象に、国内外の事例調査をもとに複数の設定手法を整理し、堆積岩及び花崗岩への適用を通じ妥当性や課題を確認した。溶解度について、溶解度制限固相の決定を含む設定手法を検討し、主要核種への適用を通じ妥当性や課題を確認した。
舘 幸男; Ochs, M.*; 陶山 忠宏
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(10), p.1177 - 1190, 2014/10
被引用回数:13 パーセンタイル:67.22(Nuclear Science & Technology)ベントナイト中の放射性核種の長期移行挙動を評価するために、統合収着・拡散モデルを開発した。この統合モデル開発において、粘土の表面化学と核種収着を整合的に記述するため、双方で比較的単純なモデルとパラメータを一貫して用いた。特に圧縮ベントナイトへ適用する観点から、1サイトの静電補正を考慮しない表面錯体モデルと1サイトのイオン交換モデルを組合せた単純なモデルを選定した。このモデルの基本パラメータは、精製モンモリロナイトの酸塩基滴定データに基づき評価した。さらに、Np(V), Am(III), U(VI)を対象に、pH, イオン強度, 炭酸濃度といった地球化学条件をカバーする収着データセットを抽出し、収着反応の基本定数を導出した。これらの核種の収着データは、溶存化学種の変化との整合も念頭に、炭酸系化学種を含む一連の表面化学種を考慮することによって、定量的に再現することができた。
舘 幸男; 四辻 健治; 陶山 忠宏; Ochs, M.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(10), p.1191 - 1204, 2014/10
被引用回数:23 パーセンタイル:84.17(Nuclear Science & Technology)圧縮ベントナイトに対する統合収着・拡散モデルを、間隙水化学モデル, 熱力学的収着モデル, 電気二重層に基づく拡散モデルを整合的に組合せることにより構築した。この統合収着・拡散モデルは、複雑な化学形をとるアクチニド(炭酸錯体が形成される条件下でのNp(V), Am(III), U(VI))を対象に、公開された拡散・収着データ(,
,
)の部分モンモリロナイト密度依存性に対し適用が検討された。その結果、以前に報告している1価の陽イオン(Cs
, Na
)や陰イオン(Cl
, I
, TcO
)と同様に、実測データとモデルとの整合性が確認された。以上より、統合収着・拡散モデルは、圧縮ベントナイト中の複雑な化学種の収着・拡散挙動の評価にも適用することが可能であるといえる。
舘 幸男; Ochs, M.*; 陶山 忠宏; Trudel, D.*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1665, p.149 - 155, 2014/09
岩石への核種の収着(K)は地球化学条件に大きく依存し、実際の性能評価条件に対応付けて設定される必要がある。具体的な地質環境条件に対するK
設定手法について、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルといった条件変換手法に着目して開発を進めてきた。本報告では、幌延深地層研究所の泥岩環境におけるCs, Ni, Am, Thを対象に、K
設定と不確実性評価を試行した。これらのK
設定の結果は、実測されたK
と比較され、十分なデータとモデルが利用可能な場合には、収着の定量的な評価が可能なことが確認された。ここで示したような複数の条件変換手法や実測データとの比較検討は、K
設定の信頼性を高めるうえで有効であり、データや現象理解の状況を踏まえながら、複数の条件変換結果から、注意深く値を選択することが重要である。
Ochs, M.*; 舘 幸男; Trudel, D.*; 陶山 忠宏*
JAEA-Research 2012-044, 130 Pages, 2013/03
地層処分性能評価における信頼性の高いパラメータ設定に資するため、原子力機構では具体的な地質環境条件に対する収着パラメータ(Kd)の設定手法の開発を進めている。この設定において、実験条件から性能評価条件におけるKdを評価するため、専門家の判断、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルといった条件変換手法が重要となる。本報告では、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルを用いたKd設定と不確実性評価を、具体的な設定を試行しつつ検討した。対象とした系は、複数の幌延泥岩環境に対するCs, Ni, Am, Thの4核種のKd設定である。本検討を通じ、実際の環境条件に対する分配係数設定手法を提示することができ、同時に、既存のデータや現象理解に関する重要な課題を抽出することができた。さらに、これら分配係数設定手法を、花崗岩など他の岩種に適用する際の課題についても議論された。
陶山 忠宏; 舘 幸男
JAEA-Data/Code 2011-022, 34 Pages, 2012/03
本報告では、TRU廃棄物等を含む多様な低レベル放射性廃棄物の処分、さらには今般の福島第一原子力発電所の事故にも関連した表層環境中の核種移行評価への活用も念頭に、セメント材料系,土壌系の分配係数データを中心にデータの拡充を行った。セメント系と土壌系については既往のデータベースも活用しつつ、JAEA-SDBのデータベース構造に整合させつつ導入を図った。また、ベントナイト系,粘土鉱物系や岩石系など、従来より進めているパラメータ設定やモデル開発と関連する最新データの拡充も併せて行った。今回の更新において、334の文献から約16,000件のKdデータを追加し、JAEA-SDBに含まれる文献数は684, Kdデータ数は約46,000件となった。今回更新されたJAEA-SDBによって、より多様な放射性廃棄物等の処分検討において、有効なデータの抽出や核種移行パラメータの設定が可能となると考えられる。
舘 幸男; 陶山 忠宏; Ochs, M.*; Ganter, C.*
JAEA-Data/Code 2010-031, 168 Pages, 2011/03
原子力機構では、地層処分性能評価の重要パラメータである緩衝材や岩石中の収着データを集約した収着データベース(JAEA-SDB)の開発を進めている。本報告では、性能評価におけるKd設定のための統合的手法の構築の基礎として、JAEA-SDBの開発と更新の現状について報告する。JAEA-SDBの現状として、データベースの構造,内容,今回拡充した複数のパラメータ依存性の評価手法を含む機能、さらには、操作方法並びに性能評価への適用法などをまとめる。Kdデータと信頼度情報の更新については、Kd設定や現象論モデル開発との関連性に着目して実施し、その結果、JAEA-SDBに含まれるKdデータは約28,540件となり、全体に対して約39%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、収着データベースから利用可能な関連データ群の速やかな抽出、Kd設定の際に参照すべきデータの適切な選定が、一層の効率性,追跡性,透明性をもって可能となると考えられる。
Ochs, M.*; 舘 幸男; Ganter, C.*; 陶山 忠宏; 油井 三和
JAEA-Research 2010-052, 59 Pages, 2011/02
地層処分性能評価における信頼性の高いパラメータ設定に資するため、原子力機構では、ベントナイト系を対象として、統合された収着・拡散モデル(ISDモデル)及びデータベースの開発を進めている。この現象論的モデル/データベース開発の主要な目的は、収着・拡散パラメータの整合的な説明と予測,不確実性評価のためのツールを提供することである。本報告は、Niのモンモリロナイト/ベントナイトへの収着を例として、モデル概念や表面化学種の選定を含む熱力学的収着モデルの開発、並びに不確実性の取り扱いに焦点をあてる。熱力学的収着モデルの不確実性の定量化のため、(1)最適化手法と統計的手法から計算される熱力学収着モデルパラメータの不確実性,(2)収着分配係数のモデル化結果と実測データとの直接的な比較により評価される包括的な誤差の2つの異なった手法を検討、両者の比較を行った。ISDモデル/データベース開発におけるモデルの不確実性の定量化法としては、後者の包括的誤差評価が、現時点での最良の手法と評価された。
陶山 忠宏; Ganter, C.*; Kunze, S.*; 舘 幸男; Ochs, M.*
JAEA-Data/Code 2010-026, 72 Pages, 2011/02
放射性廃棄物の地層処分安全評価において、人工バリアであるベントナイトや天然バリアである岩石中での核種の収着現象は、核種の移行遅延を支配する重要な現象である。日本原子力研究開発機構(JAEA)では、バッチ法収着試験によって得られた収着分配係数を公開文献から抽出・整理して、収着データベース(JAEA-SDB)として整備を進めてきた。将来の性能評価におけるニーズへの対応を念頭に、データベースに含まれるKdデータの信頼度評価、実際の地質環境に対するKd設定におけるデータベース適用に着目して、データベースの改良・更新を継続的に実施してきている。本報告書では、JAEA-SDBに含まれる重要核種(Th, Np, Am, Se, Cs)のKdデータのうち、地質環境に広く存在する凝灰岩系岩石を対象として、これまで報告してきた信頼度評価手法に従って評価を実施した。その結果として、560のKdデータに対して、新たな信頼度情報が付与された。この信頼度評価手法は、収着データベースから利用可能な関連データ群を速やかに抽出し、Kdデータ設定の際に参照すべきデータを適切に選定するうえで、有効な手法となると考えられる。
舘 幸男; 中澤 俊之*; Ochs, M.*; 四辻 健治; 陶山 忠宏; 清田 佳美; 山田 憲和*; 油井 三和
Radiochimica Acta, 98(9-11), p.711 - 718, 2010/11
被引用回数:29 パーセンタイル:86.31(Chemistry, Inorganic & Nuclear)放射性廃棄物地層処分の安全評価において重要となる圧縮ベントナイト中の核種の収着・拡散挙動を把握・評価するため、圧縮モンモリロナイト中のNp(V)の収着・拡散挙動に及ぼす炭酸濃度と塩濃度の影響を、実験とモデルの両面から調査した。密度800kg/mの圧縮モンモリロナイト中のNp(V)の実効拡散係数(
)と分配係数(
)が、塩濃度(0.05, 0.5MのNaCl)と炭酸濃度(0, 0.01MのNaHCO
)の異なる4種類の条件下で取得した。炭酸が存在しない系では
は塩濃度とともに減少し、炭酸共存系では逆の傾向を示した。
は炭酸が共存する系で1桁減少する結果が得られた。これらの収着・拡散挙動は、地球化学平衡計算,イオン交換と表面錯体反応を考慮した収着モデル,狭隘間隙中の電気二重層を考慮した拡散モデルによって解釈された。現象論収着・拡散モデルが、圧縮系での複雑な化学種の収着・拡散挙動の予測評価に有効であることを示した。
舘 幸男; 四辻 健治; 陶山 忠宏; Ochs, M.*; 油井 三和
JAEA-Research 2009-069, 83 Pages, 2010/03
地層処分安全評価に資することを目的とした、ベントナイト/モンモリロナイトを対象とした統合収着・拡散モデル及びデータベースのプロトタイプ(ISD2009)を構築した。熱力学的収着モデルは、1サイト表面錯体(拡散層)モデルと1サイトイオン交換モデルを組合せた比較的単純なモデルを適用し、表面化学及び核種収着に関するモデルパラメータを、pH,塩濃度,炭酸等の主要な環境条件の依存性を含む信頼性の高い既往文献データに基づき、一貫性のある方法で構築した。さらに、均質な間隙構造と電気二重層に基づく拡散モデル,収着モデルとの統合化モデルを構築し、圧縮モンモリロナイト中の塩濃度や炭酸影響を含む信頼性の高い収着・拡散データへ適用することで検証を行った。収着/拡散/統合モデルのそれぞれにおいて、随伴鉱物の溶解反応等を含むベントナイト間隙水化学モデルを考慮しつつ、モンモリロナイト系で構築したモデル/パラメータをベントナイト系へ適用し、その妥当性を確認した。ここで検討対象としたCs, Np(V), Ni, Am等の核種に対する一連のモデル/パラメータを、ISD2009データベース/評価ツールとして構築し、今後の安全評価における活用法を提示した。