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Pohl, T.*; Sun, Y. L.*; Obertelli, A.*; Lee, J.*; Gmez-Ramos, M.*; 緒方 一介*; 吉田 数貴; Cai, B. S.*; Yuan, C. X.*; Brown, B. A.*; et al.
Physical Review Letters, 130(17), p.172501_1 - 172501_8, 2023/04
大きなフェルミ面非対称性を持つ陽子過剰なO原子核からの100MeV/nucleonでの陽子による陽子・中性子除去反応について報告した。この結果は、quasi-freeノックアウト反応、非弾性散乱、核子移行反応を含む複数の反応機構の定量的寄与を初めて示すものである。このようなエネルギー領域では通常無視される非弾性散乱と核子移行の寄与が、弱束縛陽子と強束縛中性子の除去反応断面積にそれぞれ約50%と30%寄与していることが示された。
水野 崇; 鈴木 庸平*; Milodowski, A. E.*; 岩月 輝希
Applied Geochemistry, 150, p.105571_1 - 105571_11, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.03(Geochemistry & Geophysics)地下水中における嫌気的メタン酸化(AOM)は、地下水の酸化還元条件と炭素循環の両方に影響を及ぼすものの、地層処分の母岩となりうる結晶質岩を対象とした研究例は少ない。そのため、本研究では、日本の中央部に分布する土岐花崗岩の割れ目に産出する二次鉱物である方解石を対象に、炭素と酸素の安定同位体組成に着目した古水理地質学的研究を実施した。その結果、酸素同位体組成(O
: -32.7‰
-0.59‰)から、方解石を析出させた地下水は熱水由来の地下水、地表から浸透した淡水、海進時に侵入した海水であることが明らかとなった。一方、炭素同位体組成
C
: -56.6‰
+6.0‰)は、熱水,淡水,海水由来のDICの炭素同位体組成の範囲(-25‰
+2‰)より広い範囲に分布していた。-25‰より軽い
C
を持つ方解石はAOMから供給されたDICを起源として沈殿したと考えられ、+2‰より重い
C
を持つ方解石はメタン生成時に
Cが濃縮したDICを起源として沈殿したと考えられる。北欧における先行研究とは異なり、瑞浪のAOM方解石は淡水環境で沈殿したものであり、結晶質岩の深部では様々なプロセスによりAOMが生じる可能性があることが示された。このような幅広い環境下での炭素循環を理解することは、地層処分システムの長期的な安全性を評価する上で重要な知見を提供できると考えられる。
湯口 貴史*; 伊藤 大智*; 横山 立憲; 坂田 周平*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 八木 公史*; 井村 匠*; 甕 聡子*; 大野 剛*
Lithos, 440-441, p.107026_1 - 107026_14, 2023/03
本研究は、花崗岩質プルトンのジルコン成長過程を解明するために、3次元立体的なカソードルミネセンス(CL)パターン,U-Pb年代,チタン濃度,Th/U比の変動に基づく新しいアプローチ方法を提案するものである。また、本研究では、九州中央部に位置する大崩山花崗岩(OKG)のジルコン成長過程に着目し、この方法を用いて花崗岩質プルトンの形成に至るマグマ溜まりでの結晶化プロセスの解明を目的とした。大崩山花崗岩体は黒雲母花崗岩(BG),角閃石花崗岩(HG),角閃石花崗閃緑岩(HGD)の3つの岩相から構成されている。まず、ジルコン結晶の3次元内部構造と成長様式を明らかにするため、試料の多断面についてCL観察を行った。同時に、試料の中心部のジルコンのU-Pb年代とチタン濃度も測定した。CLパターンから確認できるオシラトリーゾーニングの3次元分布からは、結晶核を決定することができる。花崗岩試料のジルコンU-Pb年代とTi濃度の同時測定は、花崗岩マグマが固化するまでの時間-温度(t-T)履歴を示すものである。BG, HG, HGDの温度履歴はマグマ溜り内での類似した冷却挙動を示し、16Maから10Maの間にジルコン結晶化温度から黒雲母K-Ar系の閉鎖温度まで急速に冷却されたことがわかった。また、Th/U比の温度に対する変化も、約670Cの境界で異なる傾向を示した。マグマ溜まりでの分別結晶は670
C以上で著しく進行し、670
C以下では結晶化が緩やかになり、マグマ組成の変化が小さくなっていたことが示された。BG, HG, HGDの温度に対するTh/U比の変化は共通の傾向を示し、すなわち大崩山花崗岩体の3つの岩相の分別結晶化の進行は同じ挙動を示し、マグマ溜り全体で同じ挙動を示すことが示された。
鈴木 元*; 石川 徹夫*; 大葉 隆*; 長谷川 有史*; 永井 晴康; 宮武 裕和*; 義澤 宣明*
Journal of Radiation Research (Internet), 63(6), p.796 - 804, 2022/11
被引用回数:1 パーセンタイル:55.98(Biology)2011年の福島第一原子力発電所事故による被ばく線量と甲状腺がんの関係を明らかにするために、小児の甲状腺等価線量(TED)を評価する必要がある。これまでに、行動調査データと大気拡散モデルにより構築した放射性物質の時空間分布データベースを組み合わせたTED再構築手法について報告した。本研究では、この手法をさらに精緻化し、原発周辺16市町村における3256人の行動調査データに基づき、小児のTEDを評価した。TED評価結果は、いわき市,川俣町,飯舘村,南相馬市の小児1080人の測定データと近い値であった。1歳児のTEDの平均値は伊達市の1.3mSvから南相馬市小高地区の14.9mSvの範囲であり、95パーセンタイル値は伊達市の2.3mSvから浪江町の28.8mSvの範囲であった。本研究成果は、今後の甲状腺がんの調査に有効活用される。
髭本 亘; 横山 淳*; 伊藤 孝; 鈴木 泰雅*; Raymond, S.*; 柳瀬 陽一*
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(49), p.e2209549119_1 - e2209549119_6, 2022/11
量子臨界点近傍においては様々な量子状態が出現し得る。特に非通常型の超伝導の対形成には量子臨界揺らぎが重要な役割を担っているものと考えられている。本論文ではミュオンと中性子を用いて観測したCeCo(InZn
)
の超伝導状態について報告している。
=0.03付近から超伝導状態において磁気秩序が発達する様子が観測され、量子相転移が起こっていることを示している。さらにその転移点において超伝導磁場侵入長の増大が見られており、これらの結果は量子臨界性と超伝導電子対形成の強い相関を示している。
青木 慎也*; 青木 保道*; 深谷 英則*; 橋本 省二*; 金森 逸作*; 金児 隆志*; 中村 宜文*; Rohrhofer, C.*; 鈴木 渓
Proceedings of Science (Internet), 396, p.332_1 - 332_7, 2022/07
高温QCDにおける軸性U(1)異常の振る舞いはQCDの相図を理解するために重要である。JLQCD Collaborationによる以前の研究では、ドメインウォール・フェルミオンや(再重み付け法によって得られる)オーバーラップ・フェルミオンのような動的なカイラルフェルミオンを用いて2フレーバーQCDの高温相のシミュレーションを行った。本研究では、このシミュレーションを2+1フレーバー動的クォークを含む系へと拡張する。ここで、アップ、ダウン、ストレンジクォークは物理点近傍の質量をとし、2+1フレーバーQCDの擬臨界温度近傍、あるいはやや高い温度でシミュレーションを行う。本講演では、このシミュレーションから得られたディラックスペクトル、トポロジカル感受率、軸性U(1)感受率、ハドロン相関関数の結果を報告する。
湯口 貴史*; 山嵜 勇人*; 石橋 梢*; 坂田 周平*; 横山 立憲; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 三戸 和紗*; 井村 匠*; 大野 剛*
Journal of Asian Earth Sciences, 226, p.105075_1 - 105075_9, 2022/04
被引用回数:2 パーセンタイル:68.05(Geosciences, Multidisciplinary)LA-ICP質量分析法によりジルコンのシングルスポットからU-Pb年代とチタン濃度を同時に取得することで、花崗岩質マグマの時間-温度履歴を解明するのに必要なジルコンの結晶化年代と結晶化温度を推定することができる。黒部川花崗岩体は、苦鉄質火成包有物(MMEs)を多量に含む岩体である。本研究では、このMMEsに対してジルコンのU-Pb年代とチタン濃度を同時に取得する方法を適用した。MMEs及び母岩について共通の冷却過程が認められ、この冷却は150万年前から50万年前に生じたことが明らかとなった。また、ジルコンの結晶化温度から黒雲母K-Ar系の閉鎖温度にかけての冷却は、100万年以内に急冷したことが分かった。本研究によって得られた時間-温度履歴と母岩の岩石学的記載から、マグマチャンバーを通じたMMEsの浮揚、移動、拡散が150-50万年前に停止したことが示唆され、また、それ以降に大規模な温度上昇が生じていないことから、この時期に黒部川花崗岩体が定置したと考えられる。
朝倉 和基; 下村 祐介; 堂野前 寧; 阿部 和幸; 北村 了一; 宮越 博幸; 高松 操; 坂本 直樹; 磯崎 涼佑; 大西 貴士; et al.
JAEA-Review 2021-020, 42 Pages, 2021/10
原子力の研究開発施設から発生する放射性廃棄物の処理処分は、取り扱う核燃料物質や材料が多種多様なこと等を踏まえ、放射能濃度を求める必要がある。大洗研究所は、廃棄物を処理する施設のみならず、廃棄物を発生させる施設も含め、埋設処分を見据えた検討に着手している。本報告書は、大洗研究所内で発生する放射性廃棄物の埋設処分に向けて、主要課題のひとつである放射能濃度評価手法について、令和2年度の検討結果を取りまとめたものである。
広島 隆司*; 鈴木 弘
第58回全国建設業労働災害防止大会研究論文集(CD-ROM), p.333 - 336, 2021/10
幌延深地層研究計画の地下研究施設整備(第II期2次)工事おいて大成・大林・三井住友特定建設工事共同企業体が実施している安全管理・現場管理について記載するものである。主な内容は(1)日常から実施している「ルールブック(当作業所の大深度かつ狭隘な作業環境を反映して作成)」を用いた安全管理・現場管理の概要、(2)IT・AIを活用した現場管理・安全管理、について紹介する。特に(2)については、監視システムと坑内・地上Wi-Fi環境の構築による地下施設各所を中央監視室による現場管理、「AIを搭載した人体検知・自動運転システム」を搭載した重機等の具体的事例を列挙する。
伊奈川 潤; 北辻 章浩; 音部 治幹; 中田 正美; 高野 公秀; 秋江 拓志; 清水 修; 小室 迪泰; 大浦 博文*; 永井 勲*; et al.
JAEA-Technology 2021-001, 144 Pages, 2021/08
プルトニウム研究1棟では、施設廃止措置計画に従い管理区域解除に向けた準備作業を進めており、その一環として実施した施設内に貯蔵する全ての核燃料物質の搬出を、令和2年12月のプルトニウム等核燃料物質のBECKYへの運搬をもって完了させた。今後計画されている他施設の廃止措置に活かすため、一連の作業についてまとめ記録することとした。本報告書では、運搬準備から実際の運搬作業の段階まで、核燃料物質使用許可の変更申請のための保管室の臨界評価、運搬容器の新規製作と事業所登録、運搬計画の立案・準備作業及び運搬作業等に項目立てして詳細を記録した。
鈴木 慎太郎*; 田久保 耕*; 久我 健太郎*; 髭本 亘; 伊藤 孝; 冨田 崇弘*; 志村 恭通*; 松本 洋介*; Bareille, C.*; 和達 大樹*; et al.
Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023140_1 - 023140_12, 2021/05
本論文では常圧において転移温度が20Kに達するYb化合物の発見について報告している。価数揺動物質-YbAlB
のAlサイトをMnに置換することで、反強磁性転移温度が極めて高くなるだけでなく、重い電子状態から近藤半導体に近い抵抗の大きな金属状態へと変わることが見出された。
高橋 温*; 千葉 美麗*; 棚原 朗*; 相田 潤*; 清水 良央*; 鈴木 敏彦*; 村上 忍*; 小荒井 一真; 小野 拓実*; 岡 壽崇; et al.
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.10355_1 - 10355_11, 2021/05
被引用回数:5 パーセンタイル:51.81(Multidisciplinary Sciences)The Fukushima-Daiichi Nuclear Power Plant (FNPP) accident released substantial amounts of radionuclides into the environment. We collected 4,957 deciduous teeth, from children living in Fukushima and reference prefectures. Radioactivity was detected in most of the teeth examined and was attributed to the presence of natural radionuclides, including K and daughter nuclides in
U and
Th series. Additionally, artificial radionuclides,
Sr and
Cs, were detected in the teeth obtained from children from Fukushima and the reference prefectures. However, these radionuclides were not believed to have originated from the FNPP accident. Because the teeth examined in the present study were formed before the FNPP accident occurred, the aforementioned findings may serve as important control data for future studies regarding the radioactivity of teeth formed after the FNPP accident.
三浦 大輔*; 熊田 高之; 関根 由莉奈; 元川 竜平; 中川 洋; 大場 洋次郎; 大原 高志; 高田 慎一; 廣井 孝介; 森川 利明*; et al.
Journal of Applied Crystallography, 54(2), p.454 - 460, 2021/04
被引用回数:1 パーセンタイル:25.93(Chemistry, Multidisciplinary)山形大学が原子核物理実験用に開発した結晶試料の核スピン偏極技術を、スピンコントラスト偏極中性子回折測定法に展開し、水素核偏極化されたグルタミン酸を用いて粉末結晶試料中の水素の配向および凝集・分散などの構造情報を抽出できることを実証した。
青木 慎也*; 青木 保道*; Cossu, G.*; 深谷 英則*; 橋本 省二*; 金児 隆志*; Rohrhofer, C.*; 鈴木 渓
Physical Review D, 103(7), p.074506_1 - 074506_18, 2021/04
被引用回数:8 パーセンタイル:73.98(Astronomy & Astrophysics)本研究では、格子QCDシミュレーションを用いて190-330MeVの温度領域における2フレーバーQCDの軸性アノマリーの性質を調べる。厳密なカイラル対称性を保つための格子フェルミオンとして、メビウス・ドメインウォール・フェルミオンや再重みづけ法によって構成されるオーバーラップ・フェルミオンを採用する。格子間隔は先行研究より小さい0.07fm程度であり、有限体積効果を正しく制御するために複数の体積でシミュレーションを行う。測定量として、トポロジカル感受率,軸性
感受率,メソン/バリオン相関関数における
パートナー間の縮退などの振る舞いを見る。臨界温度以上のすべての結果は、軸性
対称性の破れが統計誤差の範囲でゼロと無矛盾であることを示唆している。クォーク質量依存性の結果は、
カイラル対称性の破れと同程度に軸性
対称性が回復していることを示唆している。
川崎 浩平; 品田 健太; 岡本 成利; 影山 十三男; 江田 考志; 岡崎 日路; 鈴木 弘道; 山本 和也; 小田部 隼
JAEA-Technology 2020-025, 80 Pages, 2021/03
プルトニウム燃料第三開発室は、高速実験炉「常陽」及び高速増殖原型炉「もんじゅ」のMOX燃料製造を目的に昭和63年に運転を開始した施設であり、非密封の核燃料物質を大量に取り扱う大型のグローブボックスが設置された。これらのグローブボックス窓板には「使用施設等の位置、構造及び設備の基準に関する規則」の施行(平成25年12月)以降に設置するものを除き、アクリル(可燃性)が用いられている。グローブボックス内の火災に対しては、建設当初からハロゲン化物消火設備による自動消火システムを導入しているが、グローブボックスの外側からの火災に対して、アクリルの直接的な対策が課題であった。そのため、可能な限りグローブボックスの外側からの火災に対するグローブボックス窓板への影響を軽減する火災対策シートを開発、最終的には難燃性のシートを実装した。開発の着眼点は、不燃又は難燃シートに粘着材を塗布した複合材で不燃又は難燃性を有していること。また、使用環境(核燃料物質からのガンマ線、蛍光灯からの紫外線)で劣化が著しくないこと、グローブ作業での作業員の視認性を確保できる透明なシートであること等とした。これらの火災対策シートを貼り付けたアクリル板の火災損傷防止試験及び火災対策シートを用いた使用環境影響試験を行い、良好な結果を得た。一方、火災対策シートの貼り付け作業等における外部被ばくを低減する観点から、プルトニウム燃料技術開発センター内にワーキンググループを立ち上げ、施工試験等で効率的な施工を実現する方法を検討・試行し、作業の標準化を図り、基本手順書にまとめた。本報告書は、グローブボックス窓板用火災対策シートに係る火災損傷防止試験及び使用環境影響試験と、施工性試験等を通じて得られた知見を取りまとめたものである。
豊田 智史*; 山本 知樹*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 鈴木 哲*; 横山 和司*; 大橋 雄二*; et al.
Vacuum and Surface Science, 64(2), p.86 - 91, 2021/02
X線光電子分光法における時空間的な測定・解析技術を開発した。はじめに、NAP-HARPES (Near Ambient Pressure Hard X-ray Angle-Resolved Photo Emission Spectroscopy)データにより、ゲート積層膜界面の時分割深さプロファイル法を開発した。この手法を用いて時分割ARPESデータからピークフィッティングとデプスプロファイリングを迅速に行う手法を確立し、4D-XPS解析を実現した。その結果、従来の最大エントロピー法(MEM)とスパースモデリングのジャックナイフ平均法を組み合わせることで、深さ方向プロファイルを高精度に実現できることがわかった。
乙坂 重嘉*; 神林 翔太*; 福田 美保*; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 鈴木 崇史; 青野 辰雄*
Environmental Science & Technology, 54(21), p.13778 - 13785, 2020/11
被引用回数:11 パーセンタイル:61.35(Engineering, Environmental)2015年から2018年にかけて、福島周辺の沿岸域から採取した海水,海底堆積物,間隙水中のCs濃度を調査し、福島第一原子力発電所事故によって海底に沈着した放射性セシウムの海水中への放出の効果を評価した。間隙水中の
Cs濃度は33から1934mBq L
で、海底直上水(海底から約30cmまでの間の海水)の10から40倍であった。多くの観測点で、海底直上水と間隙水との間には
Cs濃度に正の相関がみられた。間隙水と堆積物間の見かけの分配係数は、0.9-14
10
L kg
であり、採取年による差は見られなかった。これらの結果は、間隙水と堆積物間での
Csの平衡が比較的短期間で成立された後、間隙水中の
Csが海底上に徐々に拡散することが示唆された。これらの観測結果に基づく海底付近での
Csの収支計算から、堆積物中の
Csの約6%が一年間に脱離・拡散すると推定された。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; Sugiharto, U.*; Saengkorakot, C.*; 鈴木 崇史; 國分 陽子; 藤田 奈津子; 木下 尚喜; 永井 晴康; et al.
JAEA-Technology 2020-012, 53 Pages, 2020/10
近年急速に進行する温暖化をはじめとした地球環境の変化は、陸域生態系(とりわけ森林生態系)における炭素循環に変化をもたらし、その結果、温暖化や環境変化の進行に拍車をかける悪循環が懸念されている。しかしながら、その影響の予測には大きな不確実性が伴っており、その主たる要因は、土壌に貯留する有機炭素の動態とその環境変化に対する応答についての定量的な理解の不足にある。放射性炭素(C)や安定炭素(
C)同位体の陸域生態系における動きを追跡することは、土壌有機炭素の動態を解明するうえで有力な研究手段となりうる。本ガイドは、同位体を利用した土壌炭素循環に関する研究を、特にアジア地域において促進させることを目的としたものである。本ガイドは、土壌の採取、土壌試料の処理、土壌有機炭素の分画、
Cの同位体比質量分析法による測定及びその試料調製、ならびに
Cの加速器質量分析法による測定及びその試料調製に関する実践的手法を網羅している。本ガイドでは、炭素循環研究において広く用いられる
C分析結果の報告方法についても簡単に紹介する。さらに、同位体を利用した研究手法の実際的応用として、日本の森林生態系において実施した事例研究の結果についても報告する。本ガイドによって、同位体を利用した炭素循環研究に興味を持って参画する研究者が増加し、地球環境の変化の仕組みについての理解が大きく進展することを期待する。
奥平 琢也; 奥 隆之; 猪野 隆*; 林田 洋寿*; 吉良 弘*; 酒井 健二; 廣井 孝介; 高橋 慎吾*; 相澤 一也; 遠藤 仁*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 977, p.164301_1 - 164301_8, 2020/10
被引用回数:9 パーセンタイル:83.55(Instruments & Instrumentation)We are developing a neutron polarizer with polarized He gas, referred to as a
He spin filter, based on the Spin Exchange Optical Pumping (SEOP) for polarized neutron scattering experiments at Materials and Life Science Experimental Facility (MLF) of Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC). A
He gas-filling station was constructed at J-PARC, and several
He cells with long spin relaxation times have been fabricated using the gas-filling station. A laboratory has been prepared in the MLF beam hall for polarizing
He cells, and compact pumping systems with laser powers of 30 W and 110 W, which can be installed onto a neutron beamline, have been developed. A
He polarization of 85% was achieved at a neutron beamline by using the pumping system with the 110 W laser. Recently, the first user experiment utilizing the
He spin filter was conducted, and there have been several more since then. The development and utilization of
He spin filters at MLF of J-PARC are reported.
三輪 一爾; 小畑 元*; 鈴木 崇史
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(5), p.537 - 545, 2020/05
被引用回数:2 パーセンタイル:13.41(Nuclear Science & Technology)本研究では、チャクチ海, ベーリング海において人為起源の放射性核種であるIodine-129(I)の鉛直分布の観測を実施した。現在、
Iの主なソースはヨーロッパの核燃料再処理施設である。2013年6月から8月の観測結果よりチャクチ海, ベーリング海における
I濃度はフォールアウトレベルであった。ヨーロッパの核燃料再処理施設から海洋に放出された
Iを高濃度に含んだ海水の流入は確認できなかった。また、海洋の生物生産に重要な役割を果たしているヨウ化物イオンの鉛直分布をチャクチ海, ベーリング海にて初めて観測した。観測の結果、当海域においては海底付近でヨウ化物イオンの濃度が高くなる傾向が見られた。