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出田 真一郎*; Johnston, S.*; 吉田 鉄平*; 田中 清尚*; 森 道康; 安齋 太陽*; 井野 明洋*; 有田 将司*; 生天目 博文*; 谷口 雅樹*; et al.
Physical Review Letters, 127(21), p.217004_1 - 217004_6, 2021/11
被引用回数:6 パーセンタイル:60.19(Physics, Multidisciplinary)Hybridization of Bogoliubov quasiparticles (BQPs) between the CuO layers in the triple-layer cuprate high-temperature superconductor BiSrCaCuO is studied by angle-resolved photoemission spectroscopy (ARPES). In the superconducting state, an anti-crossing gap opens between the outer- and inner-BQP bands, which we attribute primarily to interlayer single-particle hopping with possible contributions from interlayer Cooper pairing. We find that the -wave superconducting gap of both BQP bands smoothly develops with momentum without abrupt jump in contrast to a previous ARPES study. Hybridization between the BQPs also gradually increases in going from the off-nodal to the anti-nodal region, which is explained by the momentum-dependence of the interlayer single-particle hopping. As possible mechanisms for the enhancement of the superconducting transition temperature, the hybridization between the BQPs, as well as the combination of phonon modes of the triple CuO layers and spin fluctuations are discussed.
鈴木 喜雄; 大谷 孝之; 坂本 健作; 高倉 正博*; 桑原 康弘*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.287 - 294, 2020/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)システム計算科学センター(CCSE)高性能計算技術利用推進室では、JAEAでの研究開発成果の普及と研究開発効率の向上に向け、JAEAで開発されたコンピュータープログラム(CP)とデータベース(DB)の管理を担当している。これらCPおよびDBの情報は、我々が開発したPROgram and DAta base retrieval System (PRODAS)(https://prodas.jaea.go.jp)を利用して検索することができる。また、日本では、OECD NEAデータバンク(NEADB),米国の放射線安全情報計算センター(RSICC)、および国際原子力機関(IAEA)が保有する原子力分野のCPおよびDBを取得できる。本論文では、JAEA内で開発されたCPとDBの所蔵と配布の最近の状況と、国際的に原子力分野のCPとDBを入手・提供するためのフレームワークを紹介する。
太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.2164 - 2168, 2014/10
被引用回数:6 パーセンタイル:36.8(Nuclear Science & Technology)チタンは、核融合炉のトリチウム増殖候補材であるチタン酸リチウムの主成分であり、精度の高い核データが求められている。しかし、チタンの核データベンチマーク実験例は少ない。そこで、JAEA/FNSのDT中性子を用いてチタンの積分実験を行った。実験体系は、45cm45cm40cmのチタンの周りを厚さ5から10cmの酸化リチウムで囲んだもので、体系内に設置したニオブ,アルミニウム,インジウム,金,タングステンの箔の放射化から、ドシメトリー反応の反応率を測定した。また、マイクロフィッションチェンバーを用いて、U及びUの核分裂率を測定した。この実験をENDF/B-VII.0, ENDF/B-VII.1, FENDL-2.1, JEFF-3.1.2, JENDL-3.3, JENDL-4.0, JENDL-4.0uの核データファイルを用いてモンテカルロ中性子輸送計算コードMCNP5-1.40で解析し、実験データとの比較からチタンの核データの妥当性を調べた。
落合 謙太郎; 河村 繕範; 星野 毅; 枝尾 祐希; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 89(7-8), p.1464 - 1468, 2014/10
被引用回数:5 パーセンタイル:36.8(Nuclear Science & Technology)原子力機構核融合中性子源FNSを用いて、核融合炉ブランケットに関するトリチウム回収実験を実施している。今回、水冷却セラミック増殖ブランケット模擬体系中に、候補増殖材であるチタン酸リチウムを70g設置し、照射を行った。水素ガスあるいは水蒸気を1%含むヘリウムガスを流し、チタン酸リチウムペブル中から放出されたトリチウムを照射中に水バブラーで捕集した。またチタン酸リチウムペブルは照射中、573K, 873Kと1073Kの温度に保持した。トリチウム測定はガス成分と水成分の分離測定が可能なよう機器の調整を行った。実験の結果、トリチウム回収総量は計算による値と測定誤差範囲内でよく一致し、回収されたトリチウムのガス成分と水成分の比は回収ガスの種類とペブルの温度に依存することが明らかになった。
今野 力; 太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.1889 - 1893, 2014/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)核データライブラリーは核融合炉の核設計の計算精度を左右する重要なデータの1つである。IAEAは核融合炉への応用のために核種毎に各国の核データから最も良いものを選定し編纂している。この核データがFENDLである。2008年に、現版のFENDL-2.1を改訂し、最大エネルギーを20MeVから60MeV以上にし、核種も180に増やすための研究調整プログラムをIAEAは開始した。この新しい版FENDL-3.0は2012年に公開された。そこで、我々は原子力機構FNSでの積分実験、阪大OKTAVIANでの飛行時間実験を使って、このFENDL-3.0のベンチマークテストを行った。このベンチマークテストではモンテカルロコードMCNP-5とIAEAが提供しているFENDL-3.0のACEファイルを用いた。また、比較のためにFENDL-2.1とJENDL-4.0を用いた計算も行った。その結果、FENDL-3.0はFENDL-2.1、JENDL-4.0と同等以上の精度を有することを確認した。
今野 力; 加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.606 - 609, 2014/04
2007年の核データ国際会議で、自己遮蔽にかかわるJENDL-3.3の非分離共鳴データの問題を指摘した。今回、この非分離共鳴データの問題がJENDL-4.0でどのように変わったかを簡単なテスト計算で調べた。その結果、JENDL-3.3で見られた非分離共鳴データの上限エネルギー付近での中性子スペクトルの段差は解消されていることがわかった。一方、上限エネルギー付近の中性子束は、非分離共鳴による自己遮蔽効果で、JENDL-3.3を用いた場合よりも大きくなり、これほどの自己遮蔽効果には疑問が残る。非分離共鳴による自己遮蔽効果の妥当性を検証するベンチマーク実験はこれまでほとんど行われておらず、今後、このような実験を行う必要がある。
加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.596 - 600, 2014/04
2010年に公開された核データライブラリJENDL-4.0の遮蔽、核融合分野でのベンチマークテストを進めている。今回、20年以上前に大阪大学強力14MeV中性子工学実験装置OKTAVIANで行われた種々の球体系からの漏洩中性子スペクトル測定実験の解析をJENDL-4.0を用いて行った。今回、JENDL-4.0で改定された核種を含むCF, Si, Ti, Cr, Mn, Co, Cu, As, Se, Zr, Nb, Mo, W実験の解析を、モンテカルロ中性子・光子輸送計算コードMCNP5及びJENDL-4.0を用いて行った。また、比較のために、JENDL-3.3, JEFF-3.1, ENDF/B-VII.0を用いた解析も実施した。その結果以下のことがわかった。(1)Si, As, Se, Mo, W実験:JENDL-3.3を用いた解析結果と比較し、全体的に実験との一致が良くなった。(2)CF, Ti, Co, Cu, Zr実験:JENDL-3.3を用いた解析結果とほぼ同じ。(3)Cr, Mn, Nb実験:JENDL3.3を用いた解析結果とほぼ同じであるが、一部、実験との一致は悪くなった。
太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 88(9-10), p.2160 - 2163, 2013/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)3次元モンテカルロ輸送計算コードは、放射線防護、遮蔽、臨界安全性、核分裂及び核融合炉設計や核計装など、広い分野で使われている。MCNPはその標準的な計算コードとして広く使われている。TRIPOLIはITER中性子工学計算コードの一つとして採用されているが、MCNPほど広く使われているわけではなく、特に日本における使用例は少ない。本研究では、TRIPOLIの基本性能を単純なモデル計算とJAEA/FNSにおけるDT中性子源を使用した鉄体系実験の解析を通して調べた。ほとんどの計算において、TRIPOLIによる計算結果はMCNPによる計算結果と良い一致を示した。しかしながら、一部の計算において、おもに非弾性散乱のデータの取り扱いによると見られる差異が生じることを示した。
金 政浩*; 永井 泰樹; 岩本 信之; 湊 太志; 岩本 修; 初川 雄一; 瀬川 麻里子; 原田 秀郎; 今野 力; 落合 謙太郎; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 82(3), p.034201_1 - 034201_8, 2013/03
被引用回数:33 パーセンタイル:80.98(Physics, Multidisciplinary)分子イメージングと核医学治療に期待されている放射性同位体CuとCuの生成断面積を14MeVの加速器中性子を用い測定した。この結果とZn同位体の断面積評価値を用いて、40MeVで5mAの重陽子ビームによるC(d,n)反応からの速中性子を用いて生成されるCuとCuの量を計算した。Cuの生成量は、12時間照射で175gのZnについて1.8テラベクレルであり、Cuの生成量は2日間の照射で、Zn(n,p)Cu反応では184g Znに対して249ギガベクレルであり、Zn(n,x)Cuでは186g Znに対して287ギガベクレルである。以上より、Cuの生成には、極微量不純物放射性同位体しか生成しないZn(n,x)Cu反応を新しく提唱した。また、Cuの生成には、Zn(n,p)Cu反応が期待できる反応であることを示した。
枝尾 祐希; 河村 繕範; 落合 謙太郎; 星野 毅; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 岩井 保則; 山西 敏彦; 今野 力
JAEA-Research 2012-040, 15 Pages, 2013/02
核融合中性子源施設FNSにおいて、トリチウム増殖材のLiTiOに中性子を照射して生成したトリチウムを回収する実験を行った。核融合炉ブランケットを模擬するため、LiTiO充填容器の周囲をBeブロック及びLiTiOブロックで覆った。トリチウム生成量計算による予測値と実験値はほぼ一致した。照射容器は300Cに加熱し、パージガスとしてヘリウム,水素添加ヘリウム,水蒸気添加ヘリウム,水素及び水蒸気添加ヘリウムを選択した。生成トリチウムはHT及びHTOとして放出され、パージガス条件を変えることによりその割合が変わった。水蒸気添加ヘリウムパージでは、98%がHTOで放出された。水蒸気及び水素添加ヘリウムでは80%がHTOで放出され、このHTO放出は水蒸気との同位体交換反応により起こると考えられる。乾燥ヘリウムでは、トリチウムはほとんど放出されなかった。水素添加乾燥ヘリウムでは、6070%がHTとして放出され、このHT放出は水素との同位体交換反応により起こると考えられる。水素添加により起こる水分生成反応によって生じた水蒸気とトリチウムが交換反応を起こすため、水素添加ヘリウムでもHTOが放出された。LiTiO表面が水素による還元状態にある場合はHTOの放出は起こりにくかった。LiTiOからのトリチウム放出化学形はパージガス成分に依存し、LiTiO表面状態の影響を強く受けることが明らかになった。
加治 芳行; 三輪 幸夫*; 柴田 晃; 中野 純一; 塚田 隆; 高倉 賢一*; 仲田 清智*
International Journal of Nuclear Energy Science and Engineering, 2(3), p.65 - 71, 2012/09
JMTRにおいて288C、BWR模擬水質で照射したコンパクトテンション(CT)試験片を用いてき裂進展試験を実施した。腐食電位が高い条件で応力拡大係数が10から30MPamの範囲では、2dpaまでは中性子照射量が増加するにしたがって、き裂進展速度が増加するが、2から10dpaの範囲ではほぼ同じ値となる。ミクロ組織観察や析出物周辺の局所ひずみ測定などにより、き裂進展速度に及ぼすミクロ組織の影響を調べた。本論文では、き裂進展速度とミクロ組織,照射硬化,照射誘起偏析の関係について議論した。
今野 力; 和田 政行*; 近藤 恵太郎; 大西 世紀; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2682 - 2685, 2011/10
被引用回数:4 パーセンタイル:32.48(Nuclear Science & Technology)2010年春、日本の核データライブラリJENDLは大改訂が行われ、JENDL-4.0として公開された。今回、JENDL-4.0の鉄データの詳細ベンチマークテストとして、原子力機構FNSのDT中性子入射鉄積分ベンチマーク実験を、JENDL-4.0を用いてMCNP4Cコードで解析した。その結果、JENDL-3.3の 鉄データで指摘されていた問題点(例えば、Feの第1励起非弾性散乱断面積,Feの弾性散乱の角分布)がJENDL-4.0の鉄データでは適切に修正されていることがわかった。JENDL-4.0の鉄データはENDF/B-VII.0やJEFF-3.1の鉄データと比べても遜色ないだけでなく、部分的には凌駕していると言える。
今野 力; 高倉 耕祐; 和田 政行*; 近藤 恵太郎; 大西 世紀*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.346 - 357, 2011/10
2010年の春、日本の核データライブラリJENDLは大改訂が行われ、JENDL-4.0として公開された。今回、遮蔽分野,核融合分野でのJENDL-4.0のベンチマークテストの一つとして、原子力機構FNSで以前実施した種々のDT中性子入射積分ベンチマーク実験(体系内実験,飛行時間法実験)を、JENDL-4.0を用いてMCNP4Cコードで解析した。解析は、JENDL-3.3からJENDL-4.0で改訂された核種(ベリリウム,炭素,ケイ素,バナジウム,銅,タングステン,鉛)を含むFNSの積分実験を対象にした。解析の結果、JENDL-4.0ではJENDL-3.3の問題点の多くが修正され、ENDF/B-VII.0やJEFF-3.1と比べても遜色ないことがわかった。
初川 雄一; 永井 泰樹; 金 政浩; 瀬川 麻里子; 原田 秀郎; 岩本 修; 岩本 信之; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 今野 力; et al.
Proceedings in Radiochemistry, 1(1), p.327 - 329, 2011/09
核医学において最もよく用いられているTcの供給は危機に面しており、新たな製造プロセスの開発は喫緊の問題である。本研究はTcをFNSより発生される14MeV高速中性子を用いて効率よく製造することを提案するものであり、試験的に作成したチタン酸ゲルを用いたTc/Moジェネレータについても併せて発表を行う。
田中 照也*; 佐藤 聡; 近藤 恵太郎; 落合 謙太郎; 村田 勲*; 高倉 耕祐; 佐藤 文信*; 加田 渉*; 飯田 敏行*; 今野 力; et al.
Fusion Science and Technology, 60(2), p.681 - 686, 2011/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.7(Nuclear Science & Technology)Li/V合金ブランケット設計における核計算精度を調べるため、内部に5cm厚のV合金層を設けた465151cmの固体Liブロック体系に対する14MeV中性子照射実験を実施した。体系内にはNb, Ni, In, Au箔、及びLi濃縮(Li: 95.5%), Li濃縮(Li: 99.9%)LiCOペレットを設置し、Nb(n,2n)Nb, Ni(n,p)Co, In(n,n')In, Au(n,)Au反応の反応率とトリチウム生成率を測定した。測定結果はMCNP5, JENDL-3.3, JENDL/D-99を用いた中性子輸送,反応率計算結果と比較した。Nb, Ni, In箔の反応率についての比較は、高速中性子輸送に関しておおむね10%以内で実験と計算が一致していることを示した。Au箔の反応率についてはV合金層表面において15%程度計算値が過小となり、過去に指摘されているVの4keV付近の弾性散乱断面積の問題に起因している可能性がある。トリチウム生成率についてはLi濃縮,Li濃縮LiCOペレットで各々、2-8%及び1-4%で計算値と実験値は一致した。
落合 謙太郎; 近藤 恵太郎; 大西 世紀; 高倉 耕祐; 佐藤 聡; 阿部 雄一; 今野 力; 鈴木 ちひろ*; 八木 貴宏*
Journal of the Korean Physical Society, 59(2), p.1953 - 1956, 2011/08
被引用回数:4 パーセンタイル:33.65(Physics, Multidisciplinary)鉛は核融合炉ブランケットの中性子増倍材として重要な候補材料の一つである。われわれはDT中性子源施設である原子力機構FNS施設で、DT中性子による鉛のベンチマーク実験を実施し、鉛の評価済み核データの妥当性検証を実施した。45.3cm立方体の鉛体系に距離20cmの位置からDT中性子を照射した。鉛体系内の中性子場の評価として、Al(n,)Na, Nb(n,2n)Nb, Zr(n,2n)Zr及びIn(n,n')In反応による放射化箔法と2MeV以上の中性子スペクトル測定を行った。検証した核データはJENDL-3.3, ENDF/B-VII.0, JEFF-3.1及びFENDL-2.1で、モンテカルロコードMCNPを用いて、上記の反応率と中性子スペクトルを計算し、実験値との比較を行った。その結果、ENDF/B-VII.0, JEFF-3.1及びFENDL-2.1による計算結果は実験と良い一致を示した。一方、JENDL-3.3を用いた計算結果は実験と明らかな不一致があり、JENDL-3.3の(n,2n)及び非弾性散乱断面積データがこの不一致に大きく寄与していることを明らかにした。
永井 泰樹; 初川 雄一; 金 政浩; 橋本 和幸; 本石 章司; 今野 力; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 佐藤 裕一*; 河内 幸正*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 80(8), p.083201_1 - 083201_4, 2011/08
被引用回数:15 パーセンタイル:65.21(Physics, Multidisciplinary)加速器で生成される中性子を酸化モリブデン100に照射して、Mo(,2)Mo反応で生成したMoから放射性の不純物を除去してTcを分離抽出すること、そして、Tc-MDP標識化合物を合成することに、世界で初めて成功した。親核のMoは、原子力機構の核融合中性子源施設で、トリチウムに重陽子を照射して得られる14MeVの中性子を用いて、Mo(,2)Mo反応で生成した。そして、Tcは、昇華法でMoから分離抽出し、その放射核純度は、99.99%以上であることを、分光で確認した。また、Tc-MDP標識率は、99%以上であることを、薄膜クロマト法で確かめた。これらの値は、米国薬局方が高濃縮ウランの核分裂反応で生成されるMoに対する要請値を超えるものである。そのため、本方法で生成するMoは、核分裂法の代替えとして有効であり、我が国の安定かつ信頼性の高いMo供給に寄与するであろう。
加治 芳行; 近藤 啓悦; 青柳 吉輝; 加藤 佳明; 田口 剛俊; 高田 文樹; 中野 純一; 宇賀地 弘和; 塚田 隆; 高倉 賢一*; et al.
Proceedings of 15th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors (CD-ROM), p.1203 - 1216, 2011/08
引張特性と照射誘起応力腐食割れ進展挙動に及ぼす中性子照射速度の影響について検討するために、304ステンレス鋼を用いたき裂進展(CGR)試験,引張試験,微細組織観察を実施した。試験片は、JMTRにおいて沸騰水型原子炉模擬高温水中で2つの照射速度で約1dpaまで照射した。照射硬化は照射速度に伴い増加するが、CGRに及ぼす影響は小さい。降伏応力の増加はフランクループの数密度の増加に起因する。粒界における照射誘起片析挙動に及ぼす照射速度の効果は小さい。さらに、結晶塑性シミュレーションにおけるき裂先端近傍の局所塑性変形挙動に及ぼす照射速度効果も小さいことがわかった。
今野 力; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 大西 世紀; 近藤 恵太郎; 和田 政行*; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 85(10-12), p.2054 - 2058, 2010/12
被引用回数:1 パーセンタイル:9.96(Nuclear Science & Technology)前回のISFNTで、原子力機構FNSで実施したベリリウム積分実験の再解析を発表し、JENDL-3.3, FENDL-2.1, JEFF-3.1とENDF/B-VII.0を用いたすべての計算が、低エネルギー中性子に関する実験値を過大評価すること、JEFF-3.1を用いた計算で得られた漏洩中性子スペクトルの12MeV付近に奇妙なピークがあらわれることを報告した。今回、この2つの問題の原因を詳細に調べた。その結果、JEFF-3.1の公式ACEファイルMCJEFF3.1がJEFF-3.1と整合性がとれておらず、そのため、12MeV付近に奇妙なピークがあらわれることがわかった。また、計算で得られた熱中性子ピークが大きすぎたために低エネルギー中性子に関する実験値を過大評価したと推察し、計算結果をもとに熱中性子散乱則データの干渉弾性散乱断面積が大きすぎるせいである可能性を指摘した。
高倉 賢一*; 田中 重彰*; 中村 友美*; 茶谷 一宏*; 加治 芳行
Proceedings of 2010 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2010) (CD-ROM), 10 Pages, 2010/07
照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、高経年化軽水炉の炉内構造物の劣化現象のうち、最重要課題の一つである。原子力安全基盤機構(JNES)は、高経年化軽水炉の管理,保全の観点から安全研究開発の一環として、IASCCに関連するプロジェクトを実施しており、本プロジェクトの結果に基づいて、JNESは「BWRの炉内構造物におけるIASCC評価ガイド」を提案した。本論文は、IASCC評価ガイドの背景、特に照射済みステンレス鋼を用いたき裂進展速度試験の結果についてまとめたものである。