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大窪 貴洋*; 武井 滉洋*; 舘 幸男; 深津 勇太; 出口 健三*; 大木 忍*; 清水 禎*
Journal of Physical Chemistry A, 127(4), p.973 - 986, 2023/02
被引用回数:1 パーセンタイル:56.86(Chemistry, Physical)粘土鉱物へのCsの吸着サイトの特定は、環境化学の分野で研究されてきた。核磁気共鳴(NMR)実験によって、吸着されたCsの局所構造を直接観察することが可能である。固体NMR実験から得られたCsのNMRパラメータは、吸着されたCsの局所的な構造に敏感である。しかしながら、NMRデータだけからCsの吸着位置を決定することは困難であった。本研究では、機械学習と実験的に観察されたケミカルシフトを組み合わせることにより、粘土鉱物に吸着されたCsの吸着位置を特定するためのアプローチについて提示する。原子配置の記述子とNMRによるケミカルシフトの第一原理計算結果を関連付けて評価する機械学習の線形リッジ回帰モデルを構築した。これにより、原子配置の構造データからCsのケミカルシフトを高速で計算することが可能となった。機械学習モデルによって、実験的に観察された化学シフトから逆解析を行うことにより、Cs吸着位置を導き出すことが可能になる。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
明午 伸一郎; 武井 早憲; 松田 洋樹; 百合 庸介*; 湯山 貴裕*
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.515 - 519, 2019/07
J-PARCセンターで進めている核変換実験施設では、標的に入射する大強度陽子ビームの形状を測定するために、発光型のプロファイルモニタの開発を行っている。このため、量子科学技術研究開発機構の高崎量子応用研究所のTIARA施設において、アルミナ発光型のプロファイルモニタの試験をArビーム(エネルギ150MeV)を用いて行った。アルミナ発光体は、加速器施設における実際の使用状況を考慮し、溶射によりアルミからなる母材に塗布し、密着性を有していることを試験により確認した。耐放射線性型のファイバイメージスコープを用いてビーム形状を測定したところ、明瞭な形状が得られることが確認された。さらに、発光体のビームに起因する発光強度の劣化をスペクトロメータを用いて測定した。その結果、700nmより長波長領域では2.5時間程度の照射時間で20%程度の発光強度の劣化が観測された。一方、700nmより短波長領域では著しい劣化が無いことが確認されたため、測定に用いる波長領域の選択により劣化の影響を緩和できることがわかった。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:259 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
明午 伸一郎; 武井 早憲; 松田 洋樹; 百合 庸介*; 湯山 貴裕*
Proceedings of 15th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1035 - 1039, 2018/08
大強度陽子加速器を用いた加速器駆動型核変換システム(ADS)が原子力機構(JAEA)及び中国等で提案され、ADSにおいて標的に適切なビームが入射されていることを確認するプロファイルモニタの開発が重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では炭化ケイ素(SiC)のマルチワイヤからなるプロファイルモニタを用いており、これまでの0.5MW運転では問題ないものの、今後の定常的な大強度運転ではワイヤの損傷劣化が進むことが予想されるため、ワイヤの損傷評価を定量的に行う事が重要となる。このため、量子科学技術研究開発機構(QST)のTIARAにおいて運動エネルギ105MeVのアルゴンビームを用い、プロファイルモニタのビーム試験を実施した。この結果、1MWの強度の半年間のビーム運転に対し、SiCワイヤによる測定信号は劣化を生じないことがわかった。マルチワイヤによる測定ではビームの二次元のプロファイルを得ることができないため、蛍光現象を用いたプロファイルモニタの開発を行った。一般的な蛍光体を用いる場合にはビームに起因する蛍光劣化が著しいものの、酸化クロムの含有量を抑えたアルミナを蛍光体として用い、更に短波長領域の光の観測により、蛍光劣化を大幅に改善できることが判明した。
澤邊 祐希*; 石山 達也; 高橋 大輔; 加藤 裕子; 鈴木 隆洋*; 平野 耕一郎; 武井 早憲; 明午 伸一郎; 菊澤 信宏; 林 直樹
Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.647 - 651, 2016/11
J-PARCでは実機の安定運転に必要なビームスクレーパ照射試験およびレーザ荷電変換試験を実施するために3MeVリニアックを再構築した。3MeVリニアックは、セシウム添加高周波駆動負水素イオン源(RFイオン源)から負水素イオンビームを取り出し、高周波四重極型リニアック(RFQ)で3MeVまでビームを加速する。3MeVリニアックを制御するには、加速器およびレーザから人への安全を確保する人的保護システム(PPS)、加速器構成機器を保護するための機器保護システム(MPS)、各機器の同期をとるタイミングステム、およびEPICSを用いた遠隔制御システムが重要となる。本発表では、これらの3MeVリニアック用制御システムについて報告する。
竹井 敏*; 大島 明博*; 大山 智子; 伊藤 健太*; Sugahara, Kigen*; 柏倉 美紀*; 古澤 孝弘*; 田川 清一*; 花畑 誠*
Japanese Journal of Applied Physics, 53(11), p.116505_1 - 116505_7, 2014/11
被引用回数:10 パーセンタイル:41.38(Physics, Applied)電子線(EB)及び極短紫外(EUV)リソグラフィ用レジストとしての直鎖状天然多糖類の応用を検討した。天然多糖類はウェハ上へのスピンコートや現像過程に水を使うことができるため、有機溶媒を必要とせず、環境にやさしい次世代のデバイス製造に利用可能である。開発したレジストは重量平均分子量83,000、70mol%のヒドロキシ基を有する。200mmウェハへのスピンコートが可能であり、100-400nmのピラーパターン描画時の電子線への感度が10C/cmと高く、シリコン系中間層を用いた場合CFプラズマエッチング時の十分な選択比を持つことを確認した。また、これらの実験結果から、EUV領域へも高い感度を有することが予測された。
竹井 敏*; 大島 明博*; 市川 拓実*; 関口 敦士*; 柏倉 美紀*; 古澤 孝弘*; 田川 精一*; 大山 智子; 伊都 将司*; 宮坂 博*
Microelectronic Engineering, 122, p.70 - 76, 2014/06
被引用回数:24 パーセンタイル:76.82(Engineering, Electrical & Electronic)環境に配慮した電子線リソグラフィ技術を確立するため、バイオマス由来の糖レジストを開発した。石油由来ではなく、また、アルカリ水溶液や有機溶媒を用いて現像する既存のレジストと違い、水で現像できることが大きな特徴である。75keVの電子線描画装置を用いて加工特性を評価したところ、50-200nmのライン加工に要する照射線量は約7C/cmと低く、化学増幅型レジストと比較しても非常に高い感度を示すことが分かった。開発した糖レジストは23Cの室温環境で純水に60秒浸漬することで現像でき、ドライエッチング耐性(CFガス)も十分にあることが確認された。
Smirnova, O.*; 東 正樹*; 熊田 伸弘*; 草野 圭弘*; 松田 雅昌; 島川 祐一*; 武井 貴弘*; 米崎 功記*; 木野村 暢一*
Journal of the American Chemical Society, 131(23), p.8313 - 8317, 2009/05
被引用回数:125 パーセンタイル:91.93(Chemistry, Multidisciplinary)水熱合成によって得られたBiMnO(NO)の中性子回折とFT-IR解析を行い、平坦なNO層と二枚のPbSbO的ブロック層が交互に積層した新しい構造を有することを明らかにした。Mn(=3/2)は規則的なハニカム格子を構成し、帯磁率は2次元磁性を示す。また、ワイス温度が257Kと高いにもかかわらず、磁気長距離秩序が0.4Kまで観測されなかった。これは、最近接と次近接相互作用の間の競合に起因する磁気フラストレーションによるものであると考えられる。
武井 奈帆子; 中村 幸治; 牛込 雅裕*; 鈴木 隆博; 相羽 信行; 武智 学; 飛田 健次; 高瀬 雄一*; 福山 淳*; Jardin, S. C.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 49(3), p.335 - 345, 2007/03
被引用回数:7 パーセンタイル:25.84(Physics, Fluids & Plasmas)NB電流駆動を停止すると間欠的に圧力崩壊を繰り返すJT-60U非誘導・負磁気シア放電について、プラズマの電流拡散と輸送改善を含む磁気流体シミュレーションによってその発生機構を調べた。電流駆動停止の後誘起された「リターン電流」が輸送障壁部に拡散し極小安全係数を低下させる結果、輸送障壁部に局在化したn=1kink-ballooningモードが不安定化し、これによって放電そのものは生き残る小規模なベータ崩壊が発生する。その後、自発電流が増大するにつれて強い輸送障壁構造が回復し、またベータ崩壊が発生する繰り返し現象が起きることを明らかにした。
武井 奈帆子; 牛込 雅裕*; 鈴木 隆博; 中村 幸治; 高瀬 雄一*
Europhysics Conference Abstracts (CD-ROM), 30I, 4 Pages, 2006/00
国際熱核融合実験炉ITERの定常運転モードとして有望な負磁気シアプラズマではMHD不安定性が起き易く、小規模なMHD変動と自律的な回復を繰り返すマイナー・ディスラプション現象がしばしば観測されている。JT-60Uの負磁気シアプラズマでは、外部駆動電流が消失した後、メジャー・ディスラプションには至らなかったものの小規模なMHD変動と自律的な回復を繰り返す未解明な現象が観測されている。このようなプラズマ内部で強い分布構造を持つ非誘導的な自発電流と外部駆動電流挙動を明らかにすることは、特に、ディスラプションを回避しながらプラズマ電流を立ち下げる際の制御手法を検討するうえで重要となってくる。本研究では、プラズマの輸送改善モデルや外部導体との電磁相互作用を組み込んだMHDシミュレーションによって、外部駆動電流が消失した後の非誘導電流駆動プラズマ挙動を考察する。
武井 奈帆子; 牛込 雅裕*; 鈴木 隆博; 武智 学; 相羽 信行; 中村 幸治; 高瀬 雄一*
no journal, ,
国際熱核融合実験炉ITERの定常運転モードに類似の凹状電流分布のJT-60U非誘導電流駆動プラズマにおいて、外部電流駆動を停止した直後、プラズマが不安定になり内部崩壊するもののプラズマ温度・密度が自律回復する繰り返し現象が観測されている。本研究では、自律性の強い核燃焼プラズマを長時間、安定に維持する観点から、この繰り返しマイナー・ディスラプション現象の発生機構を実験とシミュレーションとの比較考察によって明らかにする。このため、非誘導電流駆動プラズマの輸送,真空容器などの周辺電磁構造体、さらに、制御コイルや電源をも含めた電磁流体モデルを構築するとともに、MHD安定性解析を通じてプラズマ挙動と不安定性を詳しく議論する。
武井 滉洋*; 大窪 貴洋*; 舘 幸男; 深津 勇太
no journal, ,
天然の岩石や土壌中の放射性核種の移行を評価するうえで、風化生成物として含まれる粘土鉱物への放射性核種の吸着・固定は重要な現象のひとつである。放射性廃棄物の地層処分の安全評価や福島の環境中へ放出された核種の挙動評価において、重要な放射性核種であるCsは、主に粘土鉱物によって吸着・固定化される。岩石や土壌に含まれる代表的な粘土鉱物であるバーミキュライトはCsを強く吸着することが知られておりCsの移動挙動を支配する物質の一つである。バーミキュライトへのCsの吸着・脱着試験より、バーミキュライトは複数のCs吸着サイトが存在することが示唆されているが、その詳細なメカニズムについては解明されていない。そこで本研究では、Csが吸着したバーミキュライトの133Cs固体NMR実験とモデル構造によるシフト計算により、バーミキュライトに吸着したCsのケミカルシフトと構造の関係を調べた。
Takir, D.*; 北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; et al.
no journal, ,
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機・サンプルリターンミッション「はやぶさ2」は、地球近傍小惑星Ryuguに到着した。この小惑星は、原始的な炭素質天体に分類される。ここでは、「はやぶさ2」探査機に搭載された近赤外線分光器(NIRS3)の最近の観測結果を報告する。この観測は、リュウグウの表面組成の直接測定と、リターンサンプルのコンテクストを提供する。NIRS3は、観測された表面全体に2.72マイクロメートルを中心とする弱く狭い吸収特性を検出した。この吸収特性は、OHを含む鉱物の存在に起因する。また、NIRS3の観測により、リュウグウは探査機による近接観測で最も暗い天体であることが明らかになった。OHの強度と低いアルベドから、熱衝撃変成された、あるいは炭素に富む宇宙風化した始原的な水和炭素質コンドライトと一致する。