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北山 彩水; 谷口 直樹; 三ツ井 誠一郎
Materials and Corrosion, 72(1-2), p.211 - 217, 2021/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)Current designs for the geological disposal of high-level radioactive wastes in Japan use carbon steel overpack containers surrounded by a mixed bentonite/sand buffer material, which will be located in a purpose built repository deep in the underground. There are suitable sites for a repository in Japan, however coastal areas are preferred from a logistics point of view. It is therefore important to perform the long-term performance of the carbon steel overpack and mixed bentonite/sand buffer material in the saline groundwaters of coastal areas. In the current study, the passivation behavior and initial corrosion rates of carbon steel with and without mixed bentonite/sand were tested as a function of pH in representative saline groundwaters. The main findings of the current study indicate that passivation of carbon steel with buffer material will be difficult in a saline environment, even at high pH = 12 conditions, and that the corrosion rate of carbon steel was more strongly affected by the presence of buffer material than by the concentration.
小川 裕輔*; 鈴木 覚*; 谷口 直樹; 川崎 学*; 鈴木 宏幸*; 高橋 里栄子*
Materials and Corrosion, 72(1-2), p.52 - 66, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:15.52(Materials Science, Multidisciplinary)鋳鋼は、炭素鋼オーバーパックのレファレンス材料とされている鍛鋼の代替材料のひとつである。本研究では実規模の鋳鋼オーバーパックを試作するとともに、鋳造欠陥の検査を行った。また、このオーバーパックから切り出した試験片を用いて腐食速度と応力腐食割れ感受性に関する腐食試験を行い、鍛鋼との比較を行った。ふたつの腐食試験より、鋳鋼の耐食性は鍛鋼と同等であることがわかった。
藤本 愼司*; 土谷 博昭*; 小川 壮馬*; 飯田 芳久; 谷口 直樹
Materials and Corrosion, 72(1-2), p.333 - 338, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:15.52(Materials Science, Multidisciplinary)ベントナイト中の純銅の応力腐食割れ(SCC)を低速ひずみ速度試験(SSRT)により調べた。ベントナイトを純水又は0.05M及び0.1MのNHを含む水溶液で膨潤させたところ、銅表面に厚い腐食膜と微粒子状の析出物が形成された。膨潤ベントナイト中の純銅表面には、NH
を添加した場合と添加していない場合とで、典型的な変色破断型SCCが発生した。き裂進展速度はNH
により向上した。塑性変形の際に銅上に厚い酸化物層が形成され、その結果として、変色き裂型SCCが発生することが確認された。また、表面に観察された多くの微粒子堆積物は、Cu
が急速に溶解して変形部位に多孔質のCuOを形成した結果として形成されたものと考えられる。
杉田 裕; 谷口 直樹; 牧野 仁史; 金丸 伸一郎*; 奥村 大成*
日本原子力学会和文論文誌, 19(3), p.121 - 135, 2020/09
使用済燃料を直接処分するための処分容器の一連の構造解析を実施して、処分容器の必要な耐圧厚さの予察的な検討結果を示した。直線,三角形,正方形に配置された2, 3, 4体の使用済燃料集合体を収容するように処分容器を設計した。処分容器の胴体部分および蓋部分の必要な耐圧厚さを評価するため、使用済燃料集合体の収容スペースの離間距離をパラメータとした。この検討では、応力評価ラインの設定の妥当性や解析におけるモデル長の影響など、解析に関する技術的知識も得られた。そして、これらは、さまざまな条件下で同様の評価を実行したり、より詳細な評価を進めたりするための基盤として参考となるものである。
中山 雅; 雑賀 敦; 木村 駿; 望月 陽人; 青柳 和平; 大野 宏和; 宮川 和也; 武田 匡樹; 早野 明; 松岡 稔幸; et al.
JAEA-Research 2019-013, 276 Pages, 2020/03
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。原子力機構の第3期中長期計画では、本計画について、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証に重点的に取り組む。また、平成31年度末までに研究終了までの工程やその後の埋戻しについて決定する。」としている。本稿では、第3期中長期計画期間のうち、平成27年度から令和1年度までの地下施設での調査研究段階(第3段階)における調査研究のうち、原子力機構改革の中で必須の課題として抽出した(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証、の3つの研究開発課題について実施した調査研究の成果を取りまとめた。
谷口 直樹; 中山 雅
材料と環境, 67(12), p.487 - 494, 2018/12
高レベル放射性廃棄物の地層処分における炭素鋼オーバーパックについて、深部地下環境における腐食挙動のモニタリング手法と測定事例の現状を概説する。交流インピーダンス法を用いた室内試験による腐食モニタリングに関する研究事例より、電極配置などの測定系の代表例を紹介する。また、地下研究施設における工学的スケールでの原位置試験において腐食モニタリングが試みられており、その方法と現状の測定結果について述べる。
春名 匠*; 宮瀧 裕貴*; 廣畑 洋平*; 柴田 俊夫*; 谷口 直樹; 立川 博一*
材料と環境, 67(9), p.375 - 380, 2018/09
本研究では、酸化剤含有沸騰45mass% NaOH水溶液(424K)中においてFeの浸漬試験を行い緻密な皮膜を形成させる浸漬時間の探索を行うこと、ならびに形成した皮膜に対する室温でのDOの浸透挙動を明らかにすることを目的とした。その結果、以下の知見が得られた。酸化剤含有沸騰NaOH水溶液中に0.4ks以上浸漬したFe表面にはFe
O
が検出され、21.6ksまでは浸漬時間の増加とともに皮膜厚さが放物線則に従って増加した。酸化剤含有沸騰NaOH水溶液中にFeを1.2ksもしくは3.6ks浸漬して形成したFe
O
皮膜にD
O浸透試験を行った結果、いずれの皮膜に対しても、浸透時間が1000ksまでは、浸透時間の増加とともにD
O浸透量が増加し、それ以上の浸透時間ではD
O浸透量が定常値を示した。また3.6ks浸漬して形成した皮膜に対する定常D
O浸透量の方が大きい値を示した。D
Oの浸透時間と浸透量の関係をFickの拡散方程式に基づいて解析した結果、1.2ksおよび3.6ks浸漬して形成したFe
O
皮膜に対するD
Oの拡散係数がそれぞれ5.1
10
cm
・s
および9.9
10
cm
・s
と算出されたため、本Fe
O
皮膜に対するD
Oの拡散係数は5.1
10
9.9
10
cm
・s
の範囲に存在すると推定された。
谷口 直樹
材料と環境, 65(9), p.363 - 364, 2016/09
本稿は腐食防食学会発行の学術専門誌の巻頭言として投稿するものである。地層処分におけるオーバーパック研究者の立場から数値モデル化、腐食モニタリングについて腐食防食技術向上への期待を述べた。
湯川 卓司*; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 岩瀬 彰宏*; 谷口 直樹; 立川 博一*
材料と環境2016講演集(CD-ROM), p.359 - 362, 2016/05
線照射下における模擬地下水溶液中でのチタンの全面腐食速度への溶液pHの影響を検討することを目的として、pHの異なる微量(50mM)の塩化物イオンを含む炭酸水素塩/炭酸塩水溶液中で、
線照射下で純チタン試料の浸漬試験を行い、試験後の溶液中のTiの分析結果から純チタンの腐食速度を測定した。その結果、溶液のpHの増加とともに照射後の溶液中の過酸化水素濃度が増加した。また、過酸化水素濃度の増加に応じて純チタンの腐食速度は増加した。pH12ならびに13の溶液中での照射下での腐食速度は非照射下と比較し5から10倍程度大きかった。
春名 匠*; 山本 達也*; 宮入 洋志*; 柴田 俊夫*; 谷口 直樹; 坂巻 景子; 立川 博一*
材料と環境, 64(5), p.201 - 206, 2015/05
オーバーパック候補材料である炭素鋼の酸素欠乏地下水中での腐食速度を推定するための基礎研究として、Feを高温酸化することで作製した酸化皮膜中のDOの拡散係数を決定することを試みた。Fe板を大気中で573K, 723Kまたは873Kで高温酸化させて酸化皮膜を作製した。X線回折およびSEM観察による皮膜性状を確認した後、皮膜にD
Oを接触させ、5184ksまでの種々の時間保持することでD
Oを浸透させた。D
Oを浸透させた試料に昇温脱離ガス分析試験を行い、皮膜中の浸透D
O量を測定した。573Kおよび723Kで酸化させた試料にはFe
O
単層皮膜が、873Kで酸化させた試料にはFe
O
とFe
O
の二層皮膜が確認された。また、D
O浸透量がD
O浸透時間の平方根に対して直線関係を示すこと、ならびに長時間浸透させるとD
O浸透量が定常値を示すことがわかった。Fickの第二法則に基づいて推定された各種酸化皮膜中のD
Oの拡散係数は、Fe
O
皮膜では9.7
10
cm
s
、Fe
O
皮膜では5.5
10
cm
s
から2.2
10
cm
s
であった。
柴田 俊夫*; 渡邊 正敏; 谷口 直樹; 清水 亮彦*
材料と環境, 62(2), p.70 - 77, 2013/02
酸素欠乏還元性環境中性水溶液中の炭素鋼はHOと反応してH
を発生し表面に腐食皮膜を生成する。腐食速度は腐食に伴って生成する腐食皮膜中を反応物質が拡散する速度によって決定される。腐食プロセスに関与する幾つかの拡散種の拡散定数は文献から知ることができた。しかしながら鉄酸化物中のH
Oの拡散定数は見いだすことができなかったので、適切な仮定を用いて推定した。物質移動論モデルによって炭素鋼の腐食速度をシミュレーションした。腐食皮膜ポア中をH
O及びFe
イオンが液相拡散するモデル、及び腐食皮膜中のH
O固相拡散モデルについて、表計算ソフトのExcelを用いてシミュレーションを行った。腐食電流密度と腐食減肉厚さの時間的変化やそれらのpH依存性及び温度依存性を検討した。シミュレーション結果を実測値と比較した結果、腐食皮膜中のH
O固相拡散が酸素欠乏環境における炭素鋼の腐食速度を決定していることが示唆された。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 早野 明; 三ツ井 誠一郎; 谷口 直樹; 小田 治恵; 北村 暁; 大澤 英昭; et al.
JAEA-Research 2012-032, 298 Pages, 2012/09
原子力機構(JAEA)と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて、原子力機構が蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定するとともに、必要な開発課題と今後の計画を明らかにすることを目的として、2011年度に共同研究を実施した。実施テーマと概要は以下の通り。(1)対象母岩の選定に関する検討:母岩特性のうち水理に着目し、母岩特性を評価するための項目、及び地下水移行時間の評価手法について、地質環境の調査・評価と関連付けたうえで整理した。(2)シナリオの構築に関する検討:シナリオ構築手順を具体化するとともに、ガラス固化体の溶解と核種の浸出、オーバーパックの腐食、緩衝材の長期変遷について、現象理解に関する最新の知見を構造的に整理した。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討:緩衝材の分配係数と拡散係数、母岩の分配係数を対象として、パラメータ設定の方法論を検討し、その方法論に従った試行を行った。(4)知識情報の品質確保に関する検討:知識情報の品質を確保するための考え方や手法を、(2)シナリオの構築で検討した状態設定に対する論拠に関する情報を例として検討した。
谷口 直樹; 鈴木 宏幸; 川崎 学; 内藤 守正; 小林 正人*; 高橋 里栄子*; 朝野 英一*
Corrosion Engineering, Science and Technology, 46(2), p.117 - 123, 2011/04
被引用回数:9 パーセンタイル:47.95(Materials Science, Multidisciplinary)炭素鋼は高レベル放射性廃棄物地層処分におけるオーバーパック候補材料の一つに選定されている。炭素鋼の腐食は全面腐食と局部腐食の二つに分類される。本研究では酸化性雰囲気における炭素鋼の浸漬試験によって全面腐食と局部腐食の進展挙動を調べた。浸漬試験結果,腐食進展速度は環境条件と鋼種に大きく依存した。しかし、孔食係数(最大腐食深さと平均腐食深さの比)の上限はおよそ平均腐食深さのみから決定されることがわかった。実験データと文献データに基づき、Gumbel分布を用いた極値統計解析を適用することによって平均腐食深さからオーバーパックの最大腐食深さを推定する経験的モデルを提示した。
小林 正人*; 横山 裕*; 高橋 里栄子*; 朝野 英一*; 谷口 直樹; 内藤 守正
Corrosion Engineering, Science and Technology, 46(2), p.212 - 216, 2011/04
被引用回数:4 パーセンタイル:29.71(Materials Science, Multidisciplinary)炭素鋼オーバーパックの長期健全性を予測するため、還元条件下での炭素鋼溶接部の腐食挙動が調べられた。本研究で用いた試験片は3つの溶接方法(GTAW, GMAW, EBW)から作成された。各試験片には全面腐食が観察され、溶接部における腐食速度は母材と同等かそれ以下となった。浸漬期間中に吸収された水素量は3年間で2.4810
mol kg[Fe]
(0.05ppm)以下であり、水素脆化の影響がほとんどない値となった。水素脆化感受性は母材で最も大きく、溶接による悪影響はほとんどないことが示された。溶接された炭素鋼オーバーパックは還元条件下で期待される寿命期間中耐食性を有すると考えられる。
藤田 朝雄; 谷口 直樹; 松井 裕哉; 棚井 憲治; 前川 恵輔; 澤田 淳; 牧野 仁史; 笹本 広; 吉川 英樹; 柴田 雅博; et al.
JAEA-Research 2011-001, 193 Pages, 2011/03
本報告書では、堆積岩で塩水系地下水を対象とした幌延深地層研究計画において段階的に得られる地質環境条件を一つの適用例として、第1段階である地上からの調査で得られた情報をもとに処分場の設計技術や性能評価技術それぞれの適用性について論じるとともに、必要に応じて実施した技術の改良や代替技術の開発状況を取りまとめた。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
材料と環境, 59(11), p.418 - 429, 2010/11
低酸素の濃度下、圧縮ベントナイト中において10年間に渡る炭素鋼の浸漬試験を行った。XRD, XPSにより、ほとんどの条件で腐食生成物として2価鉄の炭酸塩化合物が確認された。炭酸塩濃度の高い溶液中では10年間の試験期間を通して他の条件よりも腐食量は小さくなった。また、50Cの条件では初期の腐食速度は80
Cよりも小さいが、数年後にはむしろ大きくなった。これら炭酸塩濃度と温度による長期的な腐食速度への影響は鉄炭酸塩の沈殿・溶解挙動が関連していると推察された。また、初期腐食量と皮膜の保護性の関係を調べると、高炭酸塩溶液を除き初期腐食量の大きいほど皮膜の保護性も高くなる傾向が認められた。実験結果の外挿により炭素鋼の長期的な腐食量を推定すると、推定値の範囲と考古学的鉄製品の腐食量の範囲はおおむね一致した。
谷口 直樹; 鈴木 宏幸*; 内藤 守正
JAEA-Research 2009-068, 31 Pages, 2010/03
腐食現象は材料と環境の相互作用であり、地層処分環境における炭素鋼オーバーパックの腐食挙動は環境因子の影響だけでなく、材料因子による影響を受ける可能性がある。本研究では炭素鋼中に一般的に含まれる主要な不純物であるC, Si, Mn, P, Sに着目し、炭酸塩水溶液と人工海水を用いて、これらの元素が電気化学的挙動と低酸素濃度下での腐食速度に及ぼす影響を調べた。その結果は以下のようにまとめられる。(1)0.01M炭酸塩(pH10)溶液中での不動態化電流,不動態保持電流に及ぼす不純物元素の影響は小さいことが確認された。(2)Si濃度が比較的高い0.73%と0.97%の条件では不動態皮膜の破壊やアノード溶解の促進が観察された。(3)0.01M炭酸塩(pH10)溶液の飽和した緩衝材共存下では不動態化せず、アノード分極挙動への不純物元素の影響も小さいことが確認された。(4)人工海水中,低酸素濃度下での腐食速度は不純物元素濃度が大きいほど腐食速度は大きくなる傾向があり、P, Mnによる影響が比較的大きくなった。(5)Si, Mn, Pの添加による腐食速度増加はカソード反応である水素発生反応の促進によるものと推察された。
谷口 直樹; 川崎 学; 内藤 守正
JAEA-Research 2009-067, 29 Pages, 2010/03
応力腐食割れは一般に割れを伴わない腐食に比較して進展速度が大きく、腐食しろによって貫通を防ぐことは困難である。したがって、オーバーパック材料として銅を適用する場合には応力腐食割れの生起可能性や生起条件を明らかにする必要がある。銅及び銅合金はアンモニアを含む環境において、条件によっては応力腐食割れに対して感受性を示すことが知られている。本研究では、アンモニア溶液中及びアンモニウムイオンを含む地下水を用い、酸化性条件において無酸素銅の低歪速度試験(SSRT)を実施し、応力腐食割れ感受性を検討した。その結果、0.05M及び0.1MのNHOH水溶液中では大気平衡における自然電位条件で割れの発生は認められなかった。アンモニウムイオンを含む幌延の地下水条件では-144mV vs. SCEにおいて脆性的な破面と亀裂が観察された。亀裂の形態は粒界割れのほか、浅い粒内割れ、粒界割れから枝分かれした粒内割れが観察された。これらの条件では表面及び亀裂内部において強く密着した腐食生成物が観察されており、変色皮膜破壊機構による応力腐食割れが示唆された。幌延地下水が飽和した緩衝材中では、最大応力、破断伸びなど機械的特性はシリコンオイル中と同程度であり、試験片表面にも応力腐食割れに起因する明瞭な割れは認められなかった。
谷口 直樹; 鈴木 宏幸*; 内藤 守正
JAEA-Research 2009-066, 18 Pages, 2010/03
炭素鋼は高pH環境において不動態化し、条件によっては孔食,すきま腐食などの局部腐食を受けることが知られている。一般に局部腐食の進展速度は全面腐食の場合よりも大きく、炭素鋼オーバーパックに局部腐食が生じた場合には短期破損をもたらす可能性がある。孔食・すきま腐食は塩化物イオンに代表される不動態皮膜破壊型の化学種の共存下において発生することが知られている。処分環境では、海水系地下水のような塩化物イオンを含む地下水が人工バリア周辺に施工されるコンクリート構造物中のセメント材料と地下水が接触してそのpHが上昇し、炭素鋼オーバーパックに孔食やすきま腐食をもたらす場合などが想定される。本研究では海水系地下水の一例として幌延の模擬地下水を用い、コンクリートと接触させて高pH化させた条件で孔食,すきま腐食の進展挙動を調べた。その結果、孔食係数(最大腐食深さと平均腐食深さの比)は中性アルカリ性環境や種々の天然水環境で得られた過去のデータの範囲内にあることが確認された。実験データの極値統計解析によりオーバーパックにおける最大腐食深さを推定した結果、推定値はいずれの条件でも従来の孔食・すきま腐食進展に関する経験モデルにより算出される値を超えないことがわかった。
谷口 直樹; 中村 有夫*
JAEA-Data/Code 2009-022, 56 Pages, 2010/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分におけるオーバーパックには所定の期間、地下水とガラス固化体の接触を確実に防ぐ機能が要求されている。現時点ではオーバーパックの設計寿命を1000年間とし、オーバーパックの設計手法,製作技術等の整備や設計・製作に反映させるための試験,長期信頼性向上のための試験研究等が行われている。これらの成果は、検討を実施した機関により報告書等の形で取りまとめられてはいるものの、実際の処分サイト条件に対応したオーバーパック設計,オーバーパックにかかわる規格や基準の制定のほか、汎用的な用途として有効に活用させていくためには、これらの成果を体系的にとりまとめ、実用的な知識ベースとして整備する必要がある。データベースの基本構造については昨年度検討を行った。現在、主要な試験データである、オーバーパックの腐食データ及び溶接・検査試験データについて集約、入力を進めている。本報では提示内容を検討するとともに、これまでに入力を終了したデータを添付した。