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松永 武; Tkachenko, Y.*
日本原子力学会誌ATOMO, 53(10), p.684 - 688, 2011/10
チェルノブイリ事故・大気圏内核実験影響の関連研究を参照し、河川における放射性核種の移行の特徴をまとめた。福島原子力発電所の損壊により大気中に放出された放射性核種は、地表面の広域汚染をもたらしている。地表面土壌に沈着した放射性核種の一部は河川系に移行する。河川での放射性核種の移行は長期的である一方、降雨時の短期変化も重要であり、さまざまな時間スケールを伴っている。また、放射性核種ごとの挙動の相違も大きい。ドニエプル川水系におけるチェルノブイリ事故起因のCsでは、地表蓄積量の0.1-0.7%/yが河川で移行し、経年的に大きく低下する。これに対し、
Srでは2.9-4.3%/yであり、経年的な低下は小さい。遠方への流下挙動は核種ごとに特徴的である。
Cs,
Puでは多くが浮遊粒子で運ばれ、河川内滞留と移動を繰り返す。
Srは希釈を受けながら、遠方下流まで運ばれる。河川の放射性汚染対策として、放射性核種の摂取にかかわる段階での対策が現実的には最も有効であると考えられている。種々の対策の効果を比較するシステムが開発されており、対策のメリット・デメリットを総合的に評価するために有用と考えられる。
松永 武; 長尾 誠也*; 上野 隆; 武田 聖司; 天野 光; Tkachenko, Y.*
Applied Geochemistry, 19(10), p.1581 - 1599, 2004/10
被引用回数:37 パーセンタイル:55.84(Geochemistry & Geophysics)溶存有機物(腐植物質)濃度の高いチェルノブイリ事故地域の河川水・湖沼水において、Sr,
Pu,
Amと水中のコロイドとの結びつきを実験的に研究した。「限外ろ過」とよばれる手法でコロイドサイズの浮遊粒子を分別して、核種分析を行った。この結果、60-80%の
Pu,
Amは分子量相当サイズ10000daltonを超えるコロイド成分に偏在する一方、
Srは1000dalton以下の成分にその90%以上が見いだされた。コロイド成分の元素分析,有機炭素分析,分光特性分析の結果は、Pu, Amと結びついている大きな分子量サイズのコロイドが、腐植物質であることを強く示唆している。一般に、腐植物質に含まれるフェノール基等と放射性核種が錯体をつくることが知られている。この錯体形成反応をモデル化した計算を行った結果、チェルノブイリ地域で見いだされた上記の実験結果を説明することができた。また、腐植物質の濃度が低い国内河川環境でも溶存するPu, Amの多くは腐植物質と結びついた状態となることが推定された。以上の結果、腐植物質を主成分とする有機物コロイドが表面水系におけるアクチニドの存在形態を定めるという役割を一般的に有することが明らかとなった。
上野 隆; 松永 武; 天野 光; Tkachenko, Y.*; Kovalyov, A.*; Sukhoruchkin, A.*; Derevets, V.*
JAERI-Data/Code 2002-024, 414 Pages, 2003/01
本報告書は、RADEK(The State Enterprise for Region Monitoring of Environment and Dosimetric Control of Ukraine)による環境モニタリングから得られたデータの一部と日本原子力研究所とCHESCIR (Chernobyl Science and Technology Centre for International Research)間の研究プロジェクト(1992年から1999年)で実施された野外観測から得られた環境特性の記録を編集したものである。これらのデータは、特に原子力事故後の陸上及び水環境へ放出された放射性核種の移行を調査するために実施されたプロジェクトの研究項目(Subject-3)で得られた成果の基礎をなすものである。
眞田 幸尚*; 松永 武; 柳瀬 信之; 長尾 誠也; 天野 光; 高田 秀重*; Tkachenko, Y.*
Applied Radiation and Isotopes, 56(5), p.751 - 760, 2002/04
被引用回数:15 パーセンタイル:66.93(Chemistry, Inorganic & Nuclear)原子力施設の事故時に放射性核種が環境中に放出された場合の、長期的な環境影響を評価するために、チェルノブイル原子力発電所を中心とする汚染地域で放射性核種の水系における移行挙動を実地に研究した。チェルノブイル原子力発電所近傍のプリピアチ川において、チェルノブイル事故に起因する放射性核種により河川堆積物が高度に汚染された地点を見いだした。その堆積物中の放射性核種(Cs-137,Sr-90,Pu-239/240,Am-241)について、鉛直分布と存在形態分析を行った。その結果、Cs-137,Pu,Am同位体は堆積物の中で強い固定相に存在することがわかった。一方、Sr-90はより緩い結合相に存在するため、堆積物からのSr-90の溶出可能性を長期的な影響評価のうえで考慮すべきことが、野外試験により実際に明らかになった。
松永 武; 柳瀬 信之; 眞田 幸尚; 長尾 誠也*; 上野 隆; 佐藤 努*; 磯部 博志*; 天野 光; Tkachenko, Y.*
no journal, ,
Puの環境中挙動を系統的に把握することを目的として、チェルノブイリ発電所近傍の土壌・水中懸濁物・堆積物・河川水・湖沼水について事故起因のPuの濃度と物理的・化学的存在形態を調べた。発電所周辺の汚染土壌から、縦貫するプリピァチ川への事故起因Puの年間移動率は最大で約0.1%(1986年、事故発生年)であり、その後は約0.01%(2000年)まで低減したと推定される。Puは、土壌,水中懸濁物のいずれでも、有機物相並びに難溶解相(粘土鉱物等)に大部分が見いだされた。事故発電所下流10kmのプリピァチ川堆積物でもPuは難溶解相に集中的に存在し、Sr-90と対照的であった。このことは、土壌における難移動性,水中における難溶解性を意味している。Puが事故地域近傍の河川水により運ばれる物理的な形態は、60-80%が懸濁物に含まれた粒子態、10-20%がコロイド態、残る10-20%が低分子量の溶存成分であることが見いだされた。この運搬形態は、施設起因のPuについてローヌ川等で得られた結果とよく一致している。