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甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 土田 秀次*; 伊東 佑真*; 横谷 明徳*
Communications Chemistry (Internet), 8, p.60_1 - 60_9, 2025/03
被引用回数:0放射線DNA損傷は、直接効果と間接効果から形成される。直接効果はDNAと放射線の相互作用であり、間接効果はDNAと放射線分解化学種との化学反応である。これまで、直接効果が関与すると、DNAの10塩基対以内(3.4nm程度)に複数の損傷が形成され、修復効率が低下し、生物影響が誘発されると考えられてきた。本研究では、間接効果のみにより誘発されるDNA損傷を定量的に評価した。その結果、生成される確率は1%未満であるが、DNA近傍の水に10数eVのエネルギーが付与されるだけで、複雑なDNA損傷が形成されることが分かった。つまり、放射線とDNAが直接相互作用することなく、DNAの極近傍の水にエネルギーを与えるだけで、後発の生物影響の可能性を排除できなくなる。本研究成果は、低線量放射線影響の理解に役立つ重要な知見の一つとなる。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
Scientific Reports (Internet), 14, p.24722_1 - 24722_15, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)放射線DNA損傷の直接・間接効果を推定するには、水の放射線分解に関する科学的知見が不可欠である。水の放射線分解により生じる二次電子は、この二つの効果に関与する。ここでは、第一原理計算コードを用いて、水への20-30eVのエネルギー付与の結果生じた二次電子のフェムト秒ダイナミクスを計算し、ナノサイズの極微小な空間領域に生成される放射線分解化学種の形成メカニズムを解析した。その結果から、水の放射線分解によって生成される化学種は、付与エネルギーが25eVを超えると数ナノメートルの極微小領域で高密度化し始めることを明らかにした。本研究成果は、細胞死のような生物学的影響を引き起こすと考えられているクラスターDNA損傷の形成について重要な科学的知見となる。
土田 秀次*; 手塚 智哉*; 甲斐 健師; 松谷 悠佑*; 間嶋 拓也*; 斉藤 学*
Journal of Chemical Physics, 161(10), p.104503_1 - 104503_8, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)高速イオンビームは、生体細胞内の水との相互作用によって生成される二次電子などの化学生成物によってDNAに損傷を与えるが、粒子線治療で用いられるブラッグピーク領域におけるこれらの化学生成物の生成過程は完全には理解されていない。この過程を調べるために、真空中の液体水ジェットにMeVエネルギーの炭素ビームを照射したときに生成される放射線分解物の収率を評価する実験を行った。さらに、放射線輸送モンテカルロコードを用いて、入射イオンと二次電子による水中の電離過程をシミュレーションした。その結果、水中でのイオン化の主な原因は二次電子であることがわかった。最後に、これらの素過程は、DNA損傷の形成機構を研究する放射線生物物理学や生化学の発展に寄与することを示す。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(46), p.32371 - 32380, 2023/11
被引用回数:3 パーセンタイル:26.32(Chemistry, Multidisciplinary)水の光分解・放射線分解の科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水へのエネルギー付与の結果生じる水和電子の空間分布(スパー)の形成メカニズムは未だ良く分かっていない。スパー内に生じる水和電子、OHラジカル及びHO
の化学反応時間は、このスパー半径に強く依存する。我々は先行研究において、特定の付与エネルギー(12.4eV)におけるスパー形成メカニズムを第一原理計算により解明した。本研究では付与エネルギーが11-19eVにおけるスパー半径を第一原理計算した。本計算のスパー半径は3-10nmであり、付与エネルギーが8-12.4eVにおける実験予測値(~4nm)と一致し、付与エネルギーの増加に伴いその半径は徐々に拡大することがわかった。本研究で得られたスパー半径は新たな科学的知見であり、放射線DNA損傷の推定などに幅広く活用されることが期待できる。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/03
被引用回数:8 パーセンタイル:62.64(Chemistry, Multidisciplinary)水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。
松宮 正彦*; 土田 裕介*; 木下 了磨*; 佐々木 祐二
Journal of the Electrochemical Society, 168(7), p.076508_1 - 076508_6, 2021/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Electrochemistry)Ptの抽出精製プロセスにおける2次廃液を削減するため、溶媒抽出-電解回収プロセスの開発は重要である。そこで、電気化学水晶振動子マイクロバランス(EQCM)を使って、イオン液体に抽出されたPtの電析を調査した。本研究で、Pt(IV) + 2e(-)Pt(II)が-0.53V、Pt(II) + 2e(-)
Pt(0)が-1.65Vで起こることを確認した。さらに、Alamine336を抽出剤として、イオン液体へのPt抽出と電析を10サイクル行い、95.1%以上の抽出率と6サイクルまで85.8%以上の電流効率で回収が可能であることを確認した。なお、電析したPtはXPSのスペクトルにより、金属相であることを確認した。
松宮 正彦*; 野水 大輝*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二
Journal of the Electrochemical Society, 168(5), p.056502_1 - 056502_7, 2021/05
被引用回数:1 パーセンタイル:2.54(Electrochemistry)ビストリフルオロメチルスルフォニルアミドカリウム塩(K[NTf])中のDyの配位数をラマン分光で調査した。その結果、2価のDyで配位数4.12で、3価のDyで5.09と理解された。電気化学分析法により、このイオン液体中のDyがおよそ+0.81Vで0価に電析することを明らかにした。併せて、K[NTf
]中のDyの電解挙動を定電位電解法を用いて調査した。さらに、XPS法で大部分のDyが0価として金属析出することを確認した。
松宮 正彦*; 木下 了磨*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二
Journal of the Electrochemical Society, 168(5), p.056501_1 - 056501_6, 2021/05
被引用回数:9 パーセンタイル:40.61(Electrochemistry)カリウムベースのイオン液体([P][NTf
])中へのIrの溶媒抽出と電解還元について調査した。ボルタモグラムを用いる電気化学分析で、Ir(IV)からIr(0)への還元はIr(IV)
Ir(III)とIr(III)
Ir(0)の2つのステップがあることを確認した。Ir(IV)の拡散係数は温度範囲、298-373Kの条件下2つの方法で調査し、結果は一致した。Irの抽出と電解を10サイクル連続して実施し、定量的な抽出-電析を達成し、XPS法でIrの金属相を確認した。
松宮 正彦*; 野水 大輝*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二
Hydrometallurgy, 199, p.105539_1 - 105539_8, 2021/02
被引用回数:5 パーセンタイル:28.99(Metallurgy & Metallurgical Engineering)D2EHPA(A)とMIDPA(B)を用いる希土類元素のイオン液体中へ協同抽出が検討された。D2EHPAまたはMIDPAを単独で抽出に用いる際には、その抽出種は[LnAHA]か[LnB
HB]であった。錯形成定数から、協同抽出錯体である[TbHA
B
]や[DyHA
B
]は単独抽出剤による[LnA
HA],[LnB
HB]等の錯体種より安定であることが確認された。分離係数を考慮すると、協同効果を用いてDyをPrやNdからの分離が可能であることを確認した。
松宮 正彦*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二; 小野 遼真*; 中瀬 正彦*; 竹下 健二*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 327(1), p.597 - 607, 2021/01
被引用回数:4 パーセンタイル:36.46(Chemistry, Analytical)軽,重希土類元素とAmの3分割法を達成するため、有機酸からTODGAを使ったバッチ式多段抽出法が検討された。マロン酸は水への溶解度が高く、水相の主成分として利用された。マロン酸からNd/Am分離比と、マロン酸+硝酸からLa/Am分離比はいずれも30程度であり、これらの水溶液を用いた。La+Ceは1Mマロン酸+0.05M硝酸、Amは3Mマロン酸、中,重希土類元素は0.1M TEDGAの水溶液で分離した。これにより、95%以上のAmを回収でき、希土類元素の共存量は16%以下であることを確認した。
松宮 正彦*; 野水 大輝*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二
Solvent Extraction and Ion Exchange, 39(7), p.764 - 784, 2021/00
被引用回数:5 パーセンタイル:26.85(Chemistry, Multidisciplinary)ジケトンの一種である、Htta(テノイルトリフルオロアセトン)又はHbfa(ベンゾイルトリフルオロアセトン)とTOPOを用いてNd-Fe-Bマグネットから4つの希土類元素のイオン液体への抽出を試みた。期待される共同抽出が起こり、7回の連続抽出によって、TbとDyをその他の希土類元素から分離することができた。
佐々木 祐二; 松宮 正彦*; 土田 裕介*
Analytical Sciences, 36(11), p.1303 - 1309, 2020/11
被引用回数:6 パーセンタイル:26.95(Chemistry, Analytical)バッチ式多段抽出による希土類元素相互分離を行った。用いた抽出剤はTODGAで、希土類元素に高い抽出性と分離性を示している。多段抽出法は相互分離に有効な方法であるが、基礎データがすくない。計算結果と実測値の一致性を確かめたのち、バッチ式多段抽出法によるDy/Nd分離試験を行った。計算で求めた最良の分離条件を使って、10倍濃度の高いNdからDyを97%回収し、Ndは検出限界以下にすることができた。
土田 秀次*; 甲斐 健師; 北島 謙生*; 松谷 悠佑; 間嶋 拓也*; 斎藤 学*
European Physical Journal D, 74(10), p.212_1 - 212_7, 2020/10
被引用回数:5 パーセンタイル:34.82(Optics)水中における生体分子と重イオンの相互作用による基礎研究は、放射線生物影響の初期段階の解明へ向けて重要な知見を与えることが期待される。その中で、生体環境を模擬した真空中の液滴標的への重イオン照射実験が進められ、液滴から真空中に飛び出した生体分子グリシンの正イオン及び負イオンの生成収量が計測されているが、その生成メカニズムは未解明であった。そこで、PHITSのイオン飛跡構造解析モードを利用し、重イオンが真空から水に侵入した界面におけるエネルギー付与量を評価し、グリシンの正イオン及び負イオン分子が生成されるメカニズムを解析した。その結果、重イオン照射により発生した2次電子が関与する電離・励起、及び解離性電子付着の誘発量は、生成されたグリシンの正イオン及び負イオンの生成収量と相関があることを見出した。本成果は、放射線生物影響の初期段階の解明へ向けて、新たな科学的知見となるものである。
松宮 正彦*; Song, Y.*; 土田 裕介*; 佐々木 祐二
Separation and Purification Technology, 234, p.115841_1 - 115841_8, 2020/03
被引用回数:19 パーセンタイル:55.08(Engineering, Chemical)溶媒抽出と沈殿回収の開発は2次廃棄物低減に重要である。ここでは、メチルイミノ-ジオクチルアセトアミドを用いてアセトフェノン,ジクロロエタン,オクタノール中に抽出したPdの有機溶媒からの直接沈殿を調べた。その結果、Pdは-2.38から-3.4Vの間での0価への還元が見られ、黒色沈殿として回収できた。
土田 駿*; 広瀬 雄介*; 関川 卓也; 大野 義章*; 摂待 力生*
no journal, ,
励起子絶縁体は、結晶中で電子と正孔が結合し、それらが集団的に振る舞うことで結晶全体が絶縁体化する性質を有し、新規物性として注目され始めた。本研究では、励起子絶縁体の候補物質の一つであるが合成自体が困難で物性解明が進んでいないTaNiSe
に着目し、まずキャリアドープを目的とした元素置換試料(Ta
M
)
NiSe
(M = Ti, Hf)の育成を行い、圧力効果を調べた。結果、(Ta
M
)
NiSe
はx=0.08の試料の高圧領域で超伝導が観測された。超伝導転移温度は圧力の増加に伴い上昇することが明らかになった。本研究で示した相転移は、励起子絶縁体と超伝導の関係に関する新たな知見となりうる。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 伊東 祐真*; 横谷 明徳*
no journal, ,
生体への放射線照射は極まれに生物影響を誘発する複雑なDNA損傷を形成する。この複雑なDNA損傷はクラスター損傷と呼ばれ、実験により検出することは非常に困難である。そこで本研究では、DNA損傷を解析するための物理コードと化学コードを開発し、クラスター損傷の形成メカニズム解明に取り組んでいる。今回、DNAにエネルギーが付与され、二次電子が放出されるシンプルな体系における計算結果を解析した結果、クラスター損傷の形成メカニズムはDNAに付与されるエネルギーに強く依存することが示された。この科学的知見はDNA損傷の修復機構の解明に貢献し、放射線生物影響の解明に繋がることが期待される。
土田 裕介; 松宮 正彦*; 佐々木 祐二; 赤間 健*; 有田 裕二*
no journal, ,
本研究はSドナー, Nドナーを有する市販化合物から、抽出剤として用いることができる化合物を探索し、塩酸もしくは硝酸溶液から、白金族元素, 金、及び銀の溶媒抽出を行った。また、それらの化合物と金属イオンの関係についてDFT計算を実施し、計算化学的手法から各種パラメータと抽出の傾向について考察した。本研究により、Sドナーを持つ抽出剤による金の抽出性能が比較的高いこと等が分かった。
佐々木 祐二; 金子 政志; 伴 康俊; 野水 大輝*; 土田 裕介*; 松宮 正彦*; 中瀬 正彦*; 竹下 健二*; 下坂 隆裕*; 鈴木 達也*
no journal, ,
化学挙動の類似した3価アクチノイド(An)とランタノイド(Ln)の分離比拡大のために、溶媒抽出において水溶性配位子の利用を検討している。本研究では、水溶性配位子として10種類のアミド及びカルボン酸系配位子を水相に添加した系においてTODGAによる溶媒抽出を行い、マスキング効果の比較を行った。注目すべき結果として、pH 2以下の条件で同じ中心骨格ならばアミドのLn錯形成能力はカルボン酸より高い。ここでは、Ln14元素をLa-Nd, Sm-Gd, Gd-Ho, Er-Luに分類してそれぞれの錯形成反応の違いや、Anの反応がどのLnグループの反応と一致するかについて言及する。
土田 駿*; 広瀬 雄介*; 関川 卓也; 大野 義章*; 摂待 力生*
no journal, ,
励起子絶縁体は、結晶中で電子と正孔が結合し、それらが集団的に振る舞うことで結晶全体が絶縁体化する性質を有し、新規物性として注目され始めている。本研究では、励起子絶縁体の候補物質の一つであるが合成自体が困難で物性解明が進んでいないTaNiSe
に着目し、まずキャリアドープを目的とした元素置換試料(Ta1-xMx)
NiSe
(M=Ti, Zr, Hf)の育成に成功した。さらにチタンをタンタルと置換した場合(M=Ti)において、組成比xが0.06未満の試料の電気抵抗率は半導体的であるが、x=0.06以上では高温相の電気抵抗率が金属的に振る舞うことを明らかにした。本研究で示した相転移は、励起子絶縁体を実現するための新たな知見となりうる。
土田 駿*; 広瀬 雄介*; 関川 卓也; 大野 義章*; 摂待 力生*
no journal, ,
励起子絶縁体は、結晶中で電子と正孔が結合し、それらが集団的に振る舞うことで結晶全体が絶縁体化する性質を有し、新規物性として注目され始めた。本研究では、励起子絶縁体の候補物質の一つであるが合成自体が困難で物性解明が進んでいないTaNiSe
に着目し、まずキャリアドープを目的とした元素置換試料(Ta1-xMx)
NiSe
(M=Ti, Zr, Hf)の育成に成功した。M=Ti, Zr, Hfにおいては置換によって低温での電気抵抗が母物質より5、6桁ほど電気抵抗が小さくなる。さらにチタンをタンタルと置換した場合(M=Ti)において、組成比xが0.06未満の試料の電気抵抗率は半導体的であるがx=0.06以上では高温相の電気抵抗率が金属的に振る舞うことを明らかにした。本研究で示した相転移は、励起子絶縁体を実現するための新たな知見となりうる。