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内田 俊介; 端 邦樹; 塙 悟史
JAEA-Data/Code 2024-003, 119 Pages, 2025/01
軽水炉腐食環境評価解析コードWRAC-JAEAは、沸騰水型原子炉(BWR)冷却水を対象に開発された水の放射線分解(ラジオリシス)解析コードをベースに、加圧水型原子炉(PWR)にも適用できる様に開発された。すなわち、(1)高温pH算出機能、(2)ラジオリシス計算に及ぼす高温pHの影響解析機能、(3)混成理論に基づく腐食電位(ECP)解析機能、そして(4)ラジオリシスとECPの結合解析機能を付加した。軽水炉1次冷却系の腐食環境緩和は、系統を構成する機器、特に経年化原子炉の主要機器の信頼性確保のための有効な手段の一つである。しかし、BWRとPWRでは、冷却システムの差異のため腐食環境緩和のための水化学制御手法は大きく異なる。BWRでは、ステンレス鋼の粒界型応力腐食割れ(IGSCC)の抑制が、機器、配管の信頼性確保のカギを握っているが、直接サイクルを採用するため、pH制御が難しく、水素添加量が制約される中で、ラジオリシス解析コードとECP解析を組合せた緻密な腐食環境の解析と測定を併用しつつ、腐食環境の緩和および構造材の健全性確保が図られてきた。一方、PWRでは、高pHに維持し、十分な量の水素を添加することにより、水の放射線分解によって生成する酸素、過酸化水素などの腐食性生成種の濃度を、余裕をもって低く抑え、腐食環境を緩和することが可能であった。しかし、ニッケル基合金の1次冷却水応力腐食割れ(PWSCC)の発生と進展が水素によって加速される可能性が指摘され、水素添加量とECPの相関を定量化する必要性が高まってきた。BWR用に開発されたラジオリシス解析コードは中性水対象であり、高pH条件にはそのままでは対応が難しい。ECP解析も高pHでは異なる。このため、BWRでの経験を最大限に生かしつつ、PWR1次冷却系にも適用可能な腐食環境解析手法の確立が急務となっている。WRAC-JAEAは、BWRとPWRそれぞれの腐食環境評価に資するのみでなく、本コードによる評価を介して、両炉型での主要構造材の知見を相互評価し、構造材に生ずる腐食損傷に係る諸課題への対応に、それぞれの経験、知見を反映する重要な手段を提供することが期待できる。
丹羽 正和; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 中嶋 徹; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; et al.
JAEA-Review 2024-035, 29 Pages, 2024/09
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和6年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘; 内田 俊介
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(4), p.448 - 458, 2024/04
被引用回数:1 パーセンタイル:25.62(Nuclear Science & Technology)PWR一次冷却水中の腐食環境評価の1つの主要な目的は、主な構造材への悪影響を抑えつつ、PWSCCを抑制するための最適水素濃度を決定することにある。この目的に資するため、本研究ではラジオリシス解析と腐食電位(ECP)解析を併用したECP評価手法を提案した。この手法は元々BWRを対象に整備したものであるが、若干のプログラムやパラメータの修正を加えつつ、BWRとは異なる水化学パラメータ(pH、温度、線質)を考慮することにより、PWR用に拡張した。修正箇所には、線の影響やLi
とH
のアノード分極曲線への影響等を考慮した点が含まれる。本報告は、このうちPWR条件下(高pH、
線存在下)のラジオリシス解析結果について議論するものである。特にH
O
に着目し、水素添加量に対する挙動を計算した。解析の結果、ラジオリシス由来の水和電子が高pH環境下でH
O
の抑制に寄与することがわかった。ここで得られた解析結果を後続のECP評価に活用し、次報にてPWR環境下のECP評価を行う。
端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘; 内田 俊介; Lister, D. H.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.867 - 880, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:29.47(Nuclear Science & Technology)PWR一次冷却水中の腐食環境評価の1つの主要な目的は、主な構造材への悪影響を抑えつつ、PWRにおける一次冷却材応力腐食割れ(PWSCC)を抑制するための最適水素濃度を決定することにある。この目的に資するため、本研究ではラジオリシス解析と腐食電位(ECP)解析を併用したECP評価手法を提案した。前報では、ラジオリシス解析結果について報告した。この結果を踏まえて本報ではECP解析結果を報告する。ECP解析は混成電位モデルと酸化物層成長モデルを組み合わせたものであり、元々BWR用に開発したものである。本研究ではこれにLiとH
のアノード分極曲線への影響を取り入れ、PWR用に拡張した。解析結果を過去のINCAインパイルループでの実験結果やその他の実験結果と比較し、本解析により
100mVの誤差でECPを再現可能であることを示した。
端 邦樹; 内田 俊介; 塙 悟史; 知見 康弘; 佐藤 智徳
Proceedings of 21st International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors (Internet), 14 Pages, 2023/08
The coupled code of water radiolysis and electrochemical corrosion potential (ECP) calculations (WRAC-JAEA) has been proposed for evaluating ECP both for boiling water reactor (BWR) and pressurized water reactor (PWR) systems. In the present study, some updates, such as pH control based on boron (B) and lithium (Li) concentration, were carried out. The calculated ECP were compared with the measured results in the INCA in-pile loop in the Studsvik R2 reactor for validation of the code. It was confirmed that the calculated ECP agreed with the measured ones in the INCA loop. The suitable rate constant set for water radiolysis calculation is also discussed. In particular, the rate constants for the chemical reaction of hydroxyl radical and molecular hydrogen and its backward reactions were carefully examined to evaluate the effects of pH and hydrogen concentration on hydrogen peroxide concentration. Moreover, the polarization curves were calculated, and the effects of Li and the other species on ECP were estimated. In order to apply the code for both type of reactor systems, verification and validation (V&V) procedures of the code are proposed.
村瀬 清華*; 片岡 龍峰*; 西山 尚典*; 西村 耕司*; 橋本 大志*; 田中 良昌*; 門倉 昭*; 冨川 喜弘*; 堤 雅基*; 小川 泰信*; et al.
Journal of Space Weather and Space Climate (Internet), 12, p.18_1 - 18_16, 2022/06
被引用回数:3 パーセンタイル:30.02(Astronomy & Astrophysics)巨大な太陽フレアによってもたらされる太陽風により磁気圏内にエネルギーが溜まり、そのエネルギーが一気に解放されるサブストームが発生する。そのサブストームが発生する際、高エネルギー電子が大量に中間圏まで降り注ぐ事象(EEP)がしばしば観測されるが、その詳細な発生メカニズムは解明されていない。本研究では、あらせ衛星により観測された2つのEEPに対して、3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)シミュレーションや放射線挙動解析コードPHITSを使った解析によりその発生メカニズムを検討した。その結果、カレントシート散乱とwave-particle散乱がEEPの初期及びサブストーム発生後に重要な役割を果たしていることが示唆された。
端 邦樹; 内田 俊介; 塙 悟史; 知見 康弘
Proceedings of International Symposium on Contribution of Materials Investigations and Operating Experience to LWRs' Safety, Performance and Reliability (Fontevraud 10) (Internet), 11 Pages, 2022/00
Stress Corrosion Cracking (SCC) is one of the key phenomena to determine material degradation in nuclear power plants, and the electrochemical potential (ECP) is known as an environmental factor of SCC initiation and propagation. In the PWR primary coolant, the low ECP level is maintained due to H injection. On the other hand, material degradation attributed to H
attack was also reported. Thus, the optimization of H
concentration has been still discussed. In JAEA, an ECP analysis method has been developed. This method was originally prepared for BWR primary coolant, but it is improved to apply to PWR primary coolant. In the recent study, this ECP analysis method was modified by introducing pH adjustment based on boron-lithium combined control, and ECP calculation for stainless steels and Ni-based alloys were carried out. ECP calculation assuming a reactor core region and a steam generator region was also tried and the optimal hydrogen concentration without any serious adverse effect was discussed.
Harjo, S.; 川崎 卓郎; 土田 紀之*; 諸岡 聡; Gong, W.
鉄と鋼, 107(10), p.887 - 896, 2021/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Metallurgy & Metallurgical Engineering)In situ neutron diffraction measurements of two low-alloy TRIP steels and a 304-type stainless steel during tensile and creep tests were performed at room temperature. Changes in the diffraction pattern, the peak integrated intensities of austenite () and the peak positions of
were analyzed and discussed to understand a relationship between intergranular stress in
and the occurrence of martensitic transformation during deformation. From tensile loading, it was found that the susceptibility of martensitic transformation depended on
-(
) grains, in which
-(111) grains underwent martensitic transformation at the latest. The
-(
) dependence in the susceptibility of martensitic transformation was found to be controlled by the shear stress levels in
-(
) grains, which were affected by the intergranular stress partitioning during deformation.
Harjo, S.; 川崎 卓郎; 土田 紀之*; 諸岡 聡; Gong, W.*
ISIJ International, 61(2), p.648 - 656, 2021/02
被引用回数:10 パーセンタイル:46.82(Metallurgy & Metallurgical Engineering) neutron diffraction measurements of two low-alloy steels and a 304-type stainless steel during tensile and creep tests were performed at room temperature. Changes in the diffraction pattern, the integrated peak intensities of austenite (
), and the peak positions of
were analyzed and discussed to elucidate the relationship between intergranular stress in
and the occurrence of martensitic transformation during deformation. Tensile loading experiments revealed that the susceptibility to martensitic transformation depended on the
-(hkl) grains, where
-(111) grains underwent martensitic transformation at the latest. The
-hkl dependence of the susceptibility to martensitic transformation was found to be controlled by the shear stress levels in
-(hkl) grains, which were affected by the intergranular stress partitioning during deformation.
片岡 龍峰*; 西山 尚典*; 田中 良昌*; 門倉 昭*; 内田 ヘルベルト陽仁*; 海老原 祐輔*; 江尻 省*; 冨川 喜弘*; 堤 雅基*; 佐藤 薫*; et al.
Earth, Planets and Space (Internet), 71(1), p.9_1 - 9_10, 2019/12
被引用回数:11 パーセンタイル:39.78(Geosciences, Multidisciplinary)2017年6月30日22時21分から26分(世界時)にかけて、昭和基地にあるPANSYレーダーによってオーロラ爆発時の中間圏における過渡電離が観測された。通常、中間圏における過渡電離は100keV以上の高エネルギー電子が中間圏まで到達することにより引き起こされるが、同時間帯においてあらせ衛星が観測した100keV以上の電子フラックスは有意な上昇を示していなかった。このことから、本イベントは、10keV以下の低エネルギー電子が大量に熱圏に降り注ぐことにより発生したX線による電離であるとの仮説を立てた。この仮説の妥当性を検証するため、粒子・重イオン挙動解析コードPHITSを用いて様々なエネルギースペクトルを持つ電子が大気上空に進入した場合の電離分布を計算した。その結果、10keV以下の電子でも中間圏において十分な電離を引き起こすことが可能であることが分かり、仮説の妥当性が証明された。
生島 一樹*; 柴原 正和*; 河尻 義貴*; 沖見 優衣*; 内田 友樹*; 秋田 貢一*; 鈴木 裕士; 諸岡 聡
日本船舶海洋工学会論文集, (30), p.123 - 130, 2019/12
本研究では、コンター法を用いてビードオンプレート試験片の残留応力分布を測定した。測定した残留応力分布を中性子回折法で測定した残留応力分布と熱弾性塑性有限要素法で計算した残留応力分布を比較した。その結果、これら3つの方法で得られた残留応力分布は良好に一致していることがわかった。また、実構造物の測定で想定される非対称切削における残留応力を測定するためのコンター法では、切削面上の反力の平衡を考慮した。提案手法をマルチパス溶接継手の残留応力測定に適用した。測定結果から、提案手法は非対称試験片におけるマルチパス溶接継手の残留応力分布を測定できることが示した。
礒崎 尚彦; 森本 憲次; 古川 竜一; 坪井 雅俊; 矢田 祐士; 三好 竜太; 内田 豊実; 池澤 和美*; 黒澤 健二*
日本保全学会第16回学術講演会要旨集, p.225 - 228, 2019/07
東海再処理施設では、使用済燃料の再処理の過程で発生した高放射性の廃液をガラス固化するまで貯蔵している。貯蔵に当たっては不溶解残渣等の沈降を防ぐために、定期的に槽内の液を圧縮空気により脈動させて撹拌している。撹拌を行うために三方弁やボール弁が設置されているが、これらの弁を保全のために交換する際に作業員の放射線被ばくが高くなる問題があったことから被ばく低減に取り組んだ内容を報告する。
内田 俊介; 知見 康弘; 笠原 茂樹; 塙 悟史; 岡田 英俊*; 内藤 正則*; 小嶋 正義*; 木倉 宏成*; Lister, D. H.*
Nuclear Engineering and Design, 341, p.112 - 123, 2019/01
被引用回数:7 パーセンタイル:53.80(Nuclear Science & Technology)原子力プラントでは、リスク基準保全(RBM)にサポートされた信頼性基準保全(RCM)に基づくプラント信頼性向上策が採用されつつある。RBMは主要な材料に生じつつある欠陥をその進展過程で予測し、検査、保全を最適に組合せて実施されるものである。プラント全体にわたり、IGSCCを早期検出することにより、水化学制御などの適切な対応策の適用が可能となる。腐食環境とき裂進展の予測を組合せ、IGSCC決定因子である腐食電位、材料のSCC感受性、残留応力の不確実さが余寿命予測に及ぼす影響を定量的に評価した。結論として、(1)予測による重点検査箇所の効率的な選定、(2)検査による予測精度の向上、を結合させることによりプラントの信頼性向上に貢献できることを示した。
内田 俊介*; 塙 悟史; 内藤 正則*; 岡田 英俊*; Lister, D. H.*
Corrosion Engineering, Science and Technology, 52(8), p.587 - 595, 2017/10
被引用回数:4 パーセンタイル:18.77(Materials Science, Multidisciplinary)電気化学に対する静的解析と酸化皮膜成長に対する動的解析を組み合わせたECP評価モデルを開発した。このモデルで得られた主な結論は以下の通り。過酸化水素及び酸素のECPへの影響は、酸化皮膜の性状変化によるものとして説明できた。水化学条件の変更に起因するECPのヒステリシスを評価することができた。ECPに対する中性子照射効果として、酸化皮膜中の照射誘起拡散をモデルに導入することで、中性子照射によるアノード電流密度の低下に起因したECPの低下を予測した。
塙 悟史; 内田 俊介; 端 邦樹; 知見 康弘; 笠原 茂樹*; 西山 裕孝
Proceedings of 20th Nuclear Plant Chemistry International Conference (NPC 2016) (USB Flash Drive), 11 Pages, 2016/10
腐食電位(ECP)は、金属表面に形成される酸化被膜の性状で変化するため、ECPを解析的に評価する際の取扱が課題である。現在、周囲の水環境に応じた酸化被膜性状変化を計算し皮膜の電気的抵抗変化として取り扱う方法、水環境に応じた異なるアノード分極曲線を扱う方法の二つが提案されている。本研究では、後者の取扱をしたECP計算プログラムを構築し、試験炉であるハルデン炉で取得された照射環境下におけるECP測定データで検証した。その結果、水の放射線分解で発生する酸素及び過酸化水素が混在する照射環境下においても、構築したECP計算プログラムが適用できることを確認した。
塙 悟史; 内田 俊介; 端 邦樹; 知見 康弘; 笠原 茂樹*; 西山 裕孝
Proceedings of 20th Nuclear Plant Chemistry International Conference (NPC 2016) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2016/10
腐食電位(ECP)評価における放射線の影響は理論的には想定されるが具体的な検証は行われていない。われわれは、酸化皮膜への中性子照射効果を取り入れたECP解析コードを開発し、中性子の照射により酸化皮膜の電気的抵抗が低下すること、それによりECPが低下すること、ECP低下の程度は中性子線束に依存することを解析的に示した。材料試験炉(JMTR)は、照射環境下での水化学試験に適した照射ループを有していることから、JMTRで照射した場合のECPへの照射影響を解析で予測した。その結果、JMTRの照射ループを用いれば、ECPへの照射影響は十分に捉えられることを確認した。
Qiu, Z.*; Li, J.*; Hou, D.*; Arenholz, E.*; N'Diaye, A. T.*; Tan, A.*; 内田 健一*; 佐藤 浩司*; 岡本 聡*; Tserkovnyak, Y.*; et al.
Nature Communications (Internet), 7, p.12670_1 - 12670_6, 2016/08
被引用回数:158 パーセンタイル:97.07(Multidisciplinary Sciences)Spin fluctuation and transition have always been one of the central topics of magnetism and condensed matter science. Experimentally, the spin fluctuation is found transcribed onto scattering intensity in the neutron-scattering process, which is represented by dynamical magnetic susceptibility and maximized at phase transitions. Importantly, a neutron carries spin without electric charge, and therefore it can bring spin into a sample without being disturbed by electric energy. However, large facilities such as a nuclear reactor are necessary. Here we show that spin pumping, frequently used in nanoscale spintronic devices, provides a desktop microprobe for spin transition; spin current is a flux of spin without an electric charge and its transport reflects spin excitation. We demonstrate detection of antiferromagnetic transition in ultra-thin CoO films via frequency-dependent spin-current transmission measurements, which provides a versatile probe for phase transition in an electric manner in minute devices.
内田 俊介; 塙 悟史; Kysela, J.*; Lister, D. H.*
PowerPlant Chemistry, 18(1), p.6 - 17, 2016/01
原子力発電所の信頼性維持のため、各プラントにはそのシステム,材料,運転履歴に基づくプラント固有の最適水化学制御が必要とされる。電気化学は腐食に係る問題の重要課題の一つである。FAC, IGSCC, PWSCCなど、腐食に係る問題は、ECP,導電率, pHなど電気化学指標に基づいて理解される。ECP,金属表面状態,浸漬時間,その他の環境条件の相関に基づき、電気化学と酸化被膜成長モデルを連成したECPと鋼の腐食速度を評価するためのモデルを開発した。連成モデルに関して得られた結論は以下の通りである。(1)FACによる減肉速度に及ぼす水化学の改善と編流による質量移行係数の影響は本モデルにより適切に評価することができた。(2)ECPに及ぼすHO
, O
の影響は本モデルで評価でき、浸漬時間の影響は酸化被膜の成長による結果として適切に説明できた。(3)中性子照射によるECPの低下は酸化膜の照射誘起拡散により説明できた。
内田 俊介; 塙 悟史; Lister, D. H.*
PowerPlant Chemistry, 17(6), p.328 - 339, 2015/12
原子力発電プラントでは、放射線照射が構造材と水化学の相互作用に照射が作用するため、相互作用が火力プラントに比べてはるかに複雑となる。限られた数の水化学データに基づいて水化学を制御するだけでは、プラントの安全かつ信頼の高い運転を維持することは難しい。このため、測定された水化学データを必要な箇所での値に外挿し、構造材と水化学の相互作用の将来像を予測できる計算機モデルの適切な補助を受けて水化学を制御することが求められる。本論文では、プラントシミュレーションモデルにより決定されるパラメータに基づく水化学制御のプラントへの適用法についてまとめる。
眞田 幸尚; 森 愛理; 石崎 梓; 宗像 雅広; 中山 真一; 西澤 幸康; 卜部 嘉; 中西 千佳; 山田 勉; 石田 睦司; et al.
JAEA-Research 2015-006, 81 Pages, 2015/07
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。本報告書には、平成26年度に実施した航空機モニタリングの結果についてまとめた。