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論文

Change in mechanical properties by high-cycle loading up to Gigacycle for 316L stainless steel

直江 崇; Harjo, S.; 川崎 卓郎; Xiong, Z.*; 二川 正敏

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061009_1 - 061009_6, 2020/02

J-PARCの核破砕中性子源に設置されている316L鋼製の水銀ターゲット容器は、陽子及び中性子照射環境により損傷する。照射損傷に加えて、陽子線励起圧力波により期待される設計寿命である5000時間の運転中に、約4.5億回の繰返し応力を受ける。これまでに容器構造材のギガサイクルまでの疲労挙動を調査するために、超音波疲労試験を実施し、疲労後の残強度を測定するなかで、繰返し硬化及び軟化現象を観測した。本研究では、ギガサイクルまでの繰返し硬化/軟化について調査するために、物質・生命科学実験施設(BL-19匠)で中性子回折により繰返し負荷後の試料の転位密度を測定した。その結果、受け入れ材は負荷の繰返し数の増加と共に転位密度が増加した。一方、照射による転位導入を模擬した冷間圧延材は、負荷の繰返し過程において転位の消滅と再蓄積が確認された。ワークショップでは、ターゲット容器構造材のギガサイクルまでの疲労試験の進捗と中性子回折の測定結果について報告する。

論文

Effect of artificial defects on the very high cycle fatigue behavior of 316L stainless steel

Xiong, Z.*; 直江 崇; 二川 正敏

Metals, 9(4), p.412_1 - 412_11, 2019/04

AA2019-0011.pdf:2.4MB

 被引用回数:8 パーセンタイル:41.69(Materials Science, Multidisciplinary)

本研究では、316L容体化処理材(SA)及び冷間圧延材(CW)の超高サイクル疲労挙動に及ぼす表面欠陥の影響について調査することを目的として、ビッカース圧子を用いたインデンテーションにより人工欠陥を付加した試料に対して超音波法による疲労試験を実施した。その結果、SA材では本研究で実施した応力範囲では疲労強度に影響する欠陥深さの下限値は40$$mu$$mであり、経験式で評価した結果と一致した。一方、20%CW材では、圧痕深さ80$$mu$$m以下で欠陥の影響が見られず、経験式で評価した値を上回った。これは、圧痕付加による圧痕周囲のマルテンサイト変態や残留応力に起因すると考えられる。

論文

Temperature measurement for in-situ crack monitoring under high-frequency loading

直江 崇; Xiong, Z.*; 二川 正敏

Journal of Nuclear Materials, 506, p.12 - 18, 2018/08

BB2016-1012.pdf:0.95MB

 被引用回数:7 パーセンタイル:57.22(Materials Science, Multidisciplinary)

J-PARCの核破砕中性子源では、SUS316L製の水銀ターゲット容器は陽子及び中性子による損傷を受けると同時に、水銀中の陽子線励起圧力波により繰返し応力が負荷される。ターゲット容器は、1MW条件で2500時間という設計寿命中にひずみ速度約50s$$^{-1}$$で2億回を越える繰返し負荷を受ける。これまでに、SUS316L材のギガサイクルの疲労強度を調べるために超音波疲労試験を実施し、疲労き裂が発生し、試験片の共振周波数が変化する直前に表面温度が急激に300度程度増加する現象を観測した。本研究では、この温度上昇現象のメカニズムを知るために、サーモグラフィを用いた試験片表面の温度分布を計測した。その結果、温度上昇はき裂先端周囲の局所的な領域で生じ、最高温度点がき裂の進展と共に移動することを確認した。さらにLS-DYNAにより非線形構造解析を実施し、要素のひずみエネルギーから温度上昇を導出した結果、き裂の摩擦による温度上昇よりもき裂先端の塑性変形による温度上昇が支配的であることを明らかにした。

論文

Gigacycle fatigue behaviour of austenitic stainless steels used for mercury target vessels

直江 崇; Xiong, Z.; 二川 正敏

Journal of Nuclear Materials, 468, p.331 - 338, 2016/01

BB2014-2666.pdf:0.65MB

 被引用回数:18 パーセンタイル:85.32(Materials Science, Multidisciplinary)

パルス核破砕中性子源の水銀ターゲット容器は陽子及び中性子による照射損傷に加えて、陽子線励起圧力波により繰返し衝撃荷重を受ける。J-PARCの水銀ターゲット容器では、ひずみ速度約50s$$^{-1}$$で2億回を超える衝撃荷重を受ける。本研究では、高ひずみ速度下における超高サイクル領域の疲労強度について調べるために、容器構造材であるSUS316L(SA材)及び照射効果を模擬したSUS316Lの冷間圧延材(CW材)に対して、10$$^9$$回までの疲労試験を超音波疲労試験法により実施した。その結果、SA, CW材共に高ひずみ速度では通常の疲労疲労試験と比較して疲労強度が高くなることが分かった。また、10$$^7$$回以上の超高サイクル領域では、通常の疲労限度以下の荷重で疲労破壊が生じることを明らかにした。

論文

Mechanical property change in the region of very high-cycle fatigue

Xiong, Z.; 直江 崇; Wan, T.; 二川 正敏; 前川 克廣*

Procedia Engineering, 101, p.552 - 560, 2015/03

BB2014-3103.pdf:0.47MB

 被引用回数:2 パーセンタイル:76.11(Engineering, Multidisciplinary)

核破砕中性子源の構造材料として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lの超高サイクル疲労挙動について、ひずみ速度10$$^2$$s$$^{-1}$$の超音波疲労試験により調べた。超高サイクルの繰返し応力負荷に伴う硬化及び軟化を調べるために、溶体化処理材及び冷間圧延材に対して、疲労試験後の試験片断面の硬度分布、引張り試験による残強度測定、非線形超音波による転位密度変化の計測を実施した。その結果、溶体化処理材では、10$$^7$$回以上の超高サイクル領域で繰返し硬化が観測された。冷間圧延材では、10$$^7$$回以下では、繰返し軟化が観測された一方、10$$^7$$回以上では、繰返し硬化が観測された。

論文

Very high cycle fatigue in pulsed high power spallation neutron source

Xiong, Z.*; 二川 正敏; 直江 崇; 前川 克廣*

Advanced Materials Research, 891-892, p.536 - 541, 2014/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:94.55(Engineering, Mechanical)

核破砕中性子源水銀ターゲットの容器構造材として用いられているオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lの陽子及び中性子照射環境における超高サイクルの疲労強度について調べるために、SUS316L及び照射による硬化を模擬したSUS316Lの冷間圧延材を用いて、水銀ターゲット容器で生じるひずみ速度10$$^2$$S$$^{-1}$$に相当する高ひずみ速度での負荷が可能である超音波疲労試験を実施した。その結果、通常の疲労試験(10$$^{-3}sim$$10s$$^{-1}$$)と比較して、ひずみ速度効果により疲労強度が2割程度上昇すること、疲労過程で発生する複数の閉じた微小亀裂の周囲で生じる熱弾性効果により、破断直前に急激な温度上昇(約300$$^circ$$C)が生じることを明らかにした。また、微小亀裂が生じた試料の残強度を確認した結果、受け入れ材と同等の残強度があることを確認した。

口頭

水銀ターゲット容器のギガサイクル疲労強度評価

直江 崇; Xiong, Z.*; 二川 正敏

no journal, , 

J-PARCの核破砕中性子源のSUS316L製水銀ターゲット容器は、陽子及び中性子照射による損傷を受けると同時に、水銀中に発生する陽子線励起圧力波により繰返し応力が負荷され、1MWで2500時間という設計寿命中に2億回を越える繰返し負荷を受ける。近年、1千万回を上限とした疲労試験により評価された疲労限度以下の応力において、ギガサイクル領域では破壊が生じることが報告されている。本研究では、超音波疲労試験法を用いて、SUS316L及びその溶接材に対して10$$^9$$回までの疲労試験を実施した。その結果、SUS316L材では、10$$^7$$回以上の領域では、通常の疲労限度以下の荷重でも試験片表面からのき裂伝ぱによる疲労破壊が生じ、10$$^9$$回までの試験では明確な疲労限度が現れないこと確認した。一方、溶接材では、溶接ビードを除去した平滑材で母材以上の疲労強度が得られたが、溶接ビードを残した試料では、止端部での応力集中により疲労強度が母材以下に低下することを確認した。

口頭

Very high-cycle fatigue behavior in mercury target vessel for high-power pulsed spallation neutron source

Xiong, Z.; 直江 崇; 二川 正敏; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 前川 克廣*

no journal, , 

J-PARCのパルス核破砕中性子源で使用するSUS316L製の水銀ターゲット容器は、陽子線入射圧力波により積算で10$$^8$$回以上(超高サイクル)の繰返し応力負荷を受ける。超高サイクル領域では、通常の疲労試験によって決定された疲労限度以下の応力で破断する場合がある。繰り返し応力に加えて、ターゲット容器の先端部は、最大50s$$^{-1}$$の高ひずみ速度で変形する。本研究では、SUS316L及び照射硬化を模擬した冷間圧延材を用いて、試験片の表面温度を制御した超音波法により超高サイクルの疲労試験を実施した。その結果、10$$^9$$回までの試験では、明確な疲労限度は確認されなかった。さらに、ターゲット容器先端部で想定される最大温度250$$^circ$$Cでは、室温と比較して75%程度疲労強度の低下が観測された。

口頭

Change in mechanical properties of austenitic stainless steels due to very high cycle fatigue

Xiong, Z.; 直江 崇; 二川 正敏; 前川 克廣*

no journal, , 

オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS316Lは、核破砕中性子源の水銀ターゲット容器構造材として使用されている。ターゲット容器は、陽子及び中性子照射環境に曝されるのに加えて、50 1/S程度の高ひずみ速度で、2$$times$$10$$^8$$以上の繰り返し応力負荷を受ける。本研究では、SUS316L、及び照射による転位導入を模擬した10%冷間圧延材について、室温中における超高サイクル領域の疲労強度を超音波疲労試験法により調べた。さらに、疲労過程における力学特性変化について、疲労試験後の硬度及び残強度測定により評価した。その結果、転位導入により疲労限度が1.5倍程度向上することを確認した。また、受け入れ材では、繰り返し負荷による転位蓄積に起因すると考えられる、硬度及び最大引張り強さの上昇が観測された。一方、冷間圧延材では、10$$^6$$回以下では、繰り返し負荷による軟化が生じ、その後、硬度が上昇する傾向が見られた。

口頭

Investigation on HIP diffusion bonding of invar alloy and stainless steel

涌井 隆; 石井 秀亮*; 直江 崇; Wan, T.*; Xiong, Z.*; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 二川 正敏

no journal, , 

J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器を分割型にする検討をしている。分割部に用いるフランジには熱ひずみが発生する。このフランジは、高いシール性が必要とされるため、フランジに低熱膨張係数を有するインバー合金を適用する。しかし、インバー合金の水銀に対する耐食性等が明確ではないため、ステンレス鋼でインバー合金を覆う提案をした。フランジは、板厚が厚く、汎用の溶融溶接では接合できないため、一般では行われていない熱間等方圧加圧法(HIP)によるインバー合金とステンレス鋼の拡散接合を試みた。これらの異材の拡散接合の実現性と、HIP処理の最適温度を調べるため、HIP処理を1173, 1373および1473Kの各温度で行った。その結果、拡散接合が実現できたので、さらに拡散接合の評価試験を行った。引張試験では、各処理温度での接合材はいずれもインバー合金側で破断し、処理温度が上昇すると強度は低下した。引張強さと平均結晶粒径の相関を調べると、HIP処理温度が高くなるに伴い、特にインバー合金の結晶粒が粗大化し強度が低下した。本研究から、HIP処理温度は1173Kが最適であると結論した。

口頭

Investigation on HIP diffusion bonding of invar alloy and stainless steel

石井 秀亮*; 涌井 隆; 直江 崇; Wan, T.; Xiong, Z.*; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 二川 正敏

no journal, , 

J-PARCにおける核破砕中性子源の水銀ターゲット容器を分割型構造にする検討が行われている。陽子ビーム入射に伴う水銀の温度上昇により、分割フランジに熱変形が生じる。このフランジには高いシール性能が必要とされるので、インバー合金をフランジに適用し、熱変形を低減させることを提案した。一方、インバー合金の水銀に対する耐食性や、陽子や中性子の照射に対する抵抗性が明確でないため、熱間当方加圧法(HIP)の拡散接合を用いて、ステンレス鋼でインバー合金を覆う接合手法を検討した。しかし、インバー合金とステンレス鋼の拡散接合の例はなく、接合の実現性と適正なHIP処理温度を調べるために、処理温度の異なる異材拡散接合を試みた。処理の結果、いずれの温度でもインサート金属なしで接合が実現し、次に、拡散接合部の組織評価、EDXによる元素分析、引張試験などを行った。引張試験ではいずれの処理温度でもインバー合金側で破断した。インバー合金の平均結晶粒径と引張強さの相関を調査した結果、処理温度が上昇することで、インバー合金の平均結晶粒径は大きくなり、強度が低下した。これらの結果から最適な処理温度は1173Kと結論付けた。

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