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小林 慶規*; 佐藤 公法*; 山脇 正人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 鷲尾 方一*
Radiation Physics and Chemistry, 202, p.110590_1 - 110590_6, 2023/01
被引用回数:5 パーセンタイル:72.25(Chemistry, Physical)陽電子とポジトロニウムは、その電荷状態が異なるため、高分子中での挙動が全く異なる。正電荷を帯びた陽電子の挙動は、静電相互作用に強く影響される。ポリエチレンのような無極性高分子では、エネルギーを持った陽電子はポジトロニウムを形成しない場合は非局在化状態に陥る。これらの陽電子は、極性基があれば敏感に捕捉される。一方、電荷的に中性なポジトロニウムは、高分子の化学構造に関係なく自由体積に局在する。本研究では、さまざまな高分子における陽電子とポジトロニウムの挙動と消滅特性について、その違いを強調しつつ議論する。
小林 慶規*; 佐藤 公法*; 山脇 正人*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 鷲尾 方一*
Applied Physics Express, 15(7), p.076001_1 - 076001_4, 2022/07
被引用回数:2 パーセンタイル:22.29(Physics, Applied)高分子およびシリカガラス中の短寿命パラポジトロニウムのエネルギー損失について検討した。陽電子消滅ガンマ線のドップラー広がりを示すパラメータ(511keVの消滅ガンマ線のエネルギースペクトルのピーク全体のカウント数に対する中心付近のカウント数の割合)を、陽電子消滅寿命・運動量相関測定の結果から決定した。パラメータを自由体積に捕捉された熱化した-Psの予想値と比較したところ、フッ素系高分子やシリカガラスでは-Psは熱化せず、過剰エネルギーを持つことがわかり、フッ素やシリコンなどの比較的重い元素を含む物質ではPsがエネルギーを失うことが困難であることが示唆された。
山脇 正人*; 上杉 直也*; 岡 壽崇; 長澤 尚胤*; 安藤 太一*; O'Rourke, B. E.*; 小林 慶規*
Japanese Journal of Applied Physics, 59(11), p.116504_1 - 116504_5, 2020/11
15mから2000mの厚みを持つポリエチレンの陽電子消滅寿命測定を行った。試料厚がNa-22からの陽電子の飛程よりも薄い場合、陽電子はポリエチレン試料を突き抜けてしまい、精確な陽電子寿命測定が行えない。そこで、試料の裏にアニールしたSUS基板を配置し、SUS基板中で消滅した陽電子を計測することで、薄膜ポリエチレン試料中での陽電子消滅を分析する手法を開発した。この手法を延伸ポリエチレン試料に適用したところ、延伸に伴う自由体積空孔のサイズの減少と、自由体積空孔内で消滅する陽電子の割合の増加が測定できた。
小林 慶規*; 山脇 正人*; 岡 壽崇; 佐伯 誠一; Mohamed, H.*; 服部 兼久*; 渡邊 吉弘*
Materials Science Forum, 733, p.147 - 150, 2013/00
被引用回数:3 パーセンタイル:79.74(Materials Science, Multidisciplinary)陽電子消滅寿命測定法は非破壊に材料中の空孔構造を分析可能な手法であり、広く使用されている。しかし、2種類の全く同じ測定用試料を材料から切り出す必要があるため、必ずしも「非破壊」であるといえなかった。そこで、われわれは試料を切り出すことなく、文字通り「非破壊」で陽電子消滅寿命測定を行う手法を開発した。本研究では、新規開発した非破壊陽電子消滅寿命測定法を用いて、線照射を行った超高分子量ポリエチレンの陽電子寿命と力学特性の関係を調べた。超高分子量ポリエチレン内でのポジトロニウム形成割合は、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンと同じように、低線量の線照射によって著しく抑制された。通常、ポリエチレンに打ち込まれた陽電子は、陽電子によって形成されたブロッブ内の電子と対消滅するが、線を照射した場合、照射によって形成された空隙に陽電子がトラップされてしまうためにポジトロニウムを形成し難くなったと考えられる。また、延伸した超高分子量ポリエチレンの陽電子寿命は破断強度と伸びに相関することが明らかになった。
安藤 太一*; 山脇 正人*; 平出 哲也; 秋吉 優史*
no journal, ,
陽電子寿命計測法(PALS)は金属, 半導体などのナノメートルサイズの空孔欠陥を評価する上で有用な手段である。特に核融合炉や原子炉の材料開発において、放射線による損傷挙動の解明は重要な課題であり、PALSが注目されている。しかし、PALSにおいては試料の形状、数の制約により測定方法が制約されてきた。現在、照射場が非常に限られており、また放射化による放射能低減のため、測定試料の微小化が強く求められているが、この制約はPALS適用の大きな妨げになっている。本研究では、任意の形状の試験片1枚で陽電子寿命計測が可能な測定システムの開発を行った。試験片周囲をシンチレータで取り囲み試験片に入射されなかった陽電子をシンチレータの発光で検知し、排除処理(アンチコインシデンス)することにより試料中におけるPALS計測を試みた。その結果、従来の測定手法と概ね一致しているスペクトルを得ることに成功した。
安藤 太一*; 山脇 正人*; 平出 哲也; 秋吉 優史*
no journal, ,
陽電子寿命計測法(PALS)は金属, 半導体などのサブナノメートルサイズの空孔欠陥を評価する上で有用な手段である。PALSは線計測により行う手法であり、中性子照射試料などでは放射化の影響が問題となる。そこで、微小試験片1枚で計測を行うことを可能とする陽電子寿命計測装置の開発を行っている。微小試験片では試料以外の部分で消滅した陽電子の情報を取り除くことが必要となり、試料周囲をシンチレータで囲み、取り除くイベントを抽出することを試みており、その発光によりアンチコインシデンス手法を用い20%程度取り除くことに成功した。
住谷 正人; 池田 幸喜; 薗田 暁; 新里 忠史; 見掛 信一郎; 阿部 寛信; 井上 誠; 江口 和利; 小澤 政千代; 照沼 章弘; et al.
no journal, ,
原子力機構では、福島県において環境修復に向けた除染活動にかかわる取組みを実施している。本報告では、福島県内の各市町村が中心となって除染計画を策定し、除染を実施する区域(以下、「除染実施区域」という。)における除染計画策定協力や除染活動にかかわる技術指導・支援などの自治体支援の実績とそこから得られた教訓のうち、除染で発生した除去土壌等を一時保管するための仮置場を国有林に設置する際に行う除染関係ガイドラインとの整合性確認等について紹介する。
安藤 太一*; 山脇 正人*; 平出 哲也; 秋吉 優史*
no journal, ,
陽電子寿命計測法(PALS)は金属、半導体などの物質中のナノメートルサイズの欠陥を評価する上で有用な手段である。しかし、PALS測定では陽電子源の両側に2枚の平らな試験片が必要であったため、1つの複雑な形状の小さな試験片にPALSを適用することは困難であった。本研究の目的は、複雑な形状を有する1つの小さな試料に適用可能なPALS手法を開発することであり、1つの試料でPALSスペクトルを測定することに成功した。