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末吉 哲郎*; 上滝 哲也*; 古木 裕一*; 藤吉 孝則*; 千星 聡*; 尾崎 壽紀*; 坂根 仁*; 工藤 昌輝*; 安田 和弘*; 石川 法人
Japanese Journal of Applied Physics, 59(2), p.023001_1 - 023001_7, 2020/02
被引用回数:6 パーセンタイル:38.95(Physics, Applied)GdBaCuOy (GdBCO)コート超伝導体に対して、80MeV Xeイオンを異なる方向から照射することにより、異なる方向の柱状欠陥を一つの試料に対して導入した。その結果、45方向から照射することで導入される柱状欠陥は連続形状でかつ直径が大きく、一方でc軸方向(0方向)から照射することで導入される柱状欠陥は不連続形状でかつ直径が小さい、ということが分かった。柱状欠陥の形態が導入方向に依存することを利用すると、臨界電流密度を効果的に向上させることができる、ということが分かった。
神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 柳橋 亨*; 金正 倫計; 安田 裕一*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 34(2), p.021604_1 - 021604_10, 2016/03
被引用回数:3 パーセンタイル:14.94(Materials Science, Coatings & Films)J-PARC RCSビーム出射用キッカー電磁石の脱ガスを加速器のビームライン上で、すなわちで行うため手法を開発した。その手法とはヒーターと熱輻射遮蔽板をキッカー電磁石と真空容器間に設置し、熱束の多くをキッカー電磁石へ向けることで、真空容器の熱膨張を発生させずにキッカー電磁石を昇温、脱ガスする手法である。フェライトを120C以上へ昇温すること、及び真空容器の温度上昇を30C以下へ抑えることを目標としてヒーター導入式の脱ガス手法の開発を行った。まず、原理実験を行い、本手法で真空内のキッカー電磁石を昇温できることを確認した。その後、実機への適応を見据え、ヒーターの選択、昇温試験を行い良好な結果を得た。
末吉 哲郎*; 上滝 哲也*; 古木 裕一*; 浦口 雄世*; 甲斐 隆史*; 藤吉 孝則*; 嶋田 雄介*; 安田 和弘*; 石川 法人
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 25(3), p.6603004_1 - 6603004_4, 2015/06
被引用回数:11 パーセンタイル:50.61(Engineering, Electrical & Electronic)GdBCOコート線材に導入した不連続柱状欠陥による磁束ピン止め特性への影響を、連続柱状欠陥による影響と比較することによって明らかにした。具体的には、270MeV Xeイオン照射効果と80MeV Xeイオン照射効果を比較した。前者の場合、連続的な柱状欠陥を導入することができ、後者の場合不連続的な柱状欠陥が形成されることを、透過型電子顕微鏡観察により確認した。それぞれのイオン照射による臨界電流密度(Jc)の上昇を比較した結果、以下のことが分かった。前者の場合、柱状欠陥の導入方向と同じ方向に磁場が向いているときに、最もJcの上昇が顕著にみられ、磁場角度依存性曲線において未照射試料に見られなかったJcピークが現れた。この傾向は、後者の不連続柱状欠陥の場合にも同様に見られた。ただし、後者の場合には、柱状欠陥の導入方向以外の磁場角度においても、平均的なJcの上昇傾向がみられた。この傾向は、点状欠陥の場合でも見られており、不連続な柱状欠陥は、連続的な柱状欠陥と点状欠陥の影響を合わせ持つような効果を与えることが分かった。超伝導体の応用面からは、ある磁場角度に偏らない形でJcの大きな向上を図ることが望ましいため、不連続な柱状欠陥の導入は、材料設計上優れた手法であることが分かった。
保田 隆子*; 尾田 正二*; 浅香 智美*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦; 三谷 啓志*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 85, 2015/03
本研究では、卵殻が透明で発生までの全過程を生きたまま詳細に観察可能なメダカ胞胚期に重イオン照射を行い、その後の発生を詳細に観察した。メダカ胞胚期に炭素線をブロードビーム照射した結果、10Gyでは体軸形成不能、5Gyでは体軸形成異常、2Gyでは器官形成異常が観察され、全て早期胚死となり孵化には至らなかった。次に、炭素線マイクロビーム(ビーム径120および180m)を用いて胚盤(約500m径)中央を局部照射し、胚盤全体をブロードビーム照射した試料と比較した。その結果、局部照射した試料では、発生遅延や、眼組織における器官形成異常が観察された。一方、孵化率では、全体照射した試料では2Gyでほとんどの胚が孵化できなかったが、炭素イオンマイクロビームで胚盤中央部のみを50Gyで局部照射した試料では約半数の胚で正常な孵化が観察された。
西原 健司; 山岸 功; 安田 健一郎; 石森 健一郎; 田中 究; 久野 剛彦; 稲田 聡; 後藤 雄一
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(3), p.301 - 307, 2015/03
被引用回数:17 パーセンタイル:81.12(Nuclear Science & Technology)2011年3月11日に起こった福島第一原子力発電所事故の後、タービン建屋並びにその周辺において多量の放射性核種を含む滞留水(汚染水)が発生した。本稿では、炉心に含まれている放射性核種のインベントリを計算すると共に、東京電力から公開された滞留水分析結果をまとめ、炉心から滞留水への放射性核種の放出率を評価した。なお、本評価は、2011年6月3日までに得られている情報に基づいている。トリチウム,ヨウ素、そしてセシウムの放出率は数十%であり、一方、ストロンチウムとバリウムはそれよりも一桁から二桁小さかった。これらの放出率はTMI-2事故と同程度であった。
西原 健司; 山岸 功; 安田 健一郎; 石森 健一郎; 田中 究; 久野 剛彦; 稲田 聡; 後藤 雄一
日本原子力学会和文論文誌, 11(1), p.13 - 19, 2012/03
2011年3月11日に起こった福島第一原子力発電所事故の後、タービン建屋並びにその周辺において多量の放射性核種を含む滞留水(汚染水)が発生した。本稿では、炉心に含まれている放射性核種のインベントリを計算するとともに、東京電力から公開された滞留水分析結果をまとめ、炉心から滞留水への放射性核種の放出率を評価した。なお、本評価は、2011年6月3日までに得られている情報に基づいている。
塚田 和明; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦*; 笠松 良崇; 西中 一朗; 市川 進一; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ; et al.
Radiochimica Acta, 97(2), p.83 - 89, 2009/02
被引用回数:20 パーセンタイル:77.78(Chemistry, Inorganic & Nuclear)105番元素ドブニウム(Db)及び周期表上同族の5族元素ニオブ(Nb),タンタル(Ta),擬5族のプロトアクチニウム(Pa)のフッ化水素酸水溶液中における陰イオン交換挙動を観測した。実験にはタンデム加速器施設に設置したオンライン自動迅速イオン交換分離装置を利用し、Cm+F反応で生成するDb(半減期34秒)を対象に13.9Mフッ化水素酸水溶液におけるイオン交換樹脂への分配係数を測定した。上記元素とDbの溶離挙動を比較すると、Dbの分配係数は5族元素Nb及びTaに比べて小さく、その傾向はむしろ擬5族のPaに近いという結果を得た。この結果は超アクチノイド元素であるDbのフッ化物陰イオン錯体が同族元素と異なるという興味深いものである。
山崎 千里*; 村上 勝彦*; 藤井 康之*; 佐藤 慶治*; 原田 えりみ*; 武田 淳一*; 谷家 貴之*; 坂手 龍一*; 喜久川 真吾*; 嶋田 誠*; et al.
Nucleic Acids Research, 36(Database), p.D793 - D799, 2008/01
被引用回数:51 パーセンタイル:71.25(Biochemistry & Molecular Biology)ヒトゲノム解析のために、転写産物データベースを構築した。34057個のタンパク質コード領域と、642個のタンパク質をコードしていないRNAを見いだすことができた。
羽場 宏光*; 塚田 和明; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 秋山 和彦; 西中 一朗; 平田 勝; 矢板 毅; 市川 進一; 永目 諭一郎; et al.
Journal of the American Chemical Society, 126(16), p.5219 - 5224, 2004/04
被引用回数:43 パーセンタイル:72.51(Chemistry, Multidisciplinary)Cm(O,5n)Rf反応で生成する104番元素ラザホージウム(Rf)のフッ化物錯体のイオン交換挙動を単一原子レベルで明らかにした。Rfの陰イオン交換挙動は、周期表同族元素であるジルコニウム(Zr)やハフニウム(Hf)の挙動とは明らかに異なることがわかり、Rfのフッ化物形成に相対論効果が寄与している可能性を指摘した。
安田 良; 仲田 祐仁; 松林 政仁; 原田 克也; 畠山 祐一; 天野 英俊
Journal of Nuclear Materials, 320(3), p.223 - 230, 2003/08
被引用回数:15 パーセンタイル:69.06(Materials Science, Multidisciplinary)本稿においては、水素濃度が既知な標準試料を用いて、照射済燃料被覆管を模擬した試料の水素分布を定量的に評価した。被覆管断面全体に渡っての水素濃度分布が得られ、その空間分解能は、画像上の画素(0.10.1mm)に一致する。さらに、イメージングプレート像に及ぼす酸化膜の影響を、酸化膜のみ、または酸化膜及び水素化物の両方を形成した被覆管を用いてしらべた。その結果、酸化膜に相当する領域は画像上において確認できなかった。また、画像数値解析によっても酸化膜の有意な影響は確認できなかった。上記の結果から、中性子イメージングプレート法により、水素分析を行う際においても、酸化膜の影響は小さく、考慮する必要がないと考えられる。
金谷 佑亮*; 佐藤 哲也; 浅井 雅人; 塚田 和明; 豊嶋 厚史; 佐藤 望; 大江 一弘; 宮本 ユタカ; 安田 健一郎; 二宮 和彦; et al.
no journal, ,
茨城県北部を中心に、栃木県東部及び福島県と千葉県の一部について土壌サンプルを採取し、ゲルマニウム半導体検出器で線を測定して内部に含まれる放射性核種の同定と定量を行った。放射性Csの分布は均等ではなく地域ごとに差が生じており、福島・栃木・茨城県境付近において比較的大きな値が測定され、そこから南に進むにつれて値は下がっていくが、茨城県霞ヶ浦近辺で数値はわずかながら再び上昇するという分布が得られた。
金谷 佑亮*; 佐藤 哲也; 浅井 雅人; 塚田 和明; 豊嶋 厚史; 佐藤 望; 大江 一弘; 宮本 ユタカ; 安田 健一郎; 二宮 和彦; et al.
no journal, ,
2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により、原子炉由来の放射性物質が環境中に飛散した。広い範囲に飛散した放射性物質の一部は、現在も土壌表面に留まっている。放射線防護の観点から、放射性物質の飛散状況について把握することが必要である。われわれのグループでは、茨城北部を中心に採取した土壌サンプル中に含まれる放射性物質を線測定によって同定・定量した。これにより、対象地域土壌における放射性物質の分布について明らかにしたので、報告する。
保田 隆子*; 尾田 正二*; 日比 勇祐*; 漆原 祐介*; 三谷 啓志*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子; 池田 裕子; 小林 泰彦
no journal, ,
原子力機構・高崎量子応用研究所TIARAの重イオンマイクロビーム細胞照射装置を用いて、メダカ胚の脳のさまざまな部位を特異的に狙って照射し、重粒子炭素線照射後の影響を、whole-mountアクリジンオレンジ染色により調べたところ、炭素線マイクロビーム照射によって、胚の脳に照射された部位にのみ放射線誘発アポトーシスが誘発される結果から、メダカ後期胚期の狙った部位にのみ照射することが可能であることが示された。しかしながら、脳の中央部に照射した場合、その部位のみではなく、脳全体に放射線誘発アポトーシスが観察され、照射野と放射線誘発アポトーシスの起こる部位が一致しないという、予想外の結果が得られた。この結果は、脳中央部に存在する脳下垂体のホルモンが脳全体へ影響を及ぼす可能性が予測された。
尾田 正二*; 保田 隆子*; 浅香 智美*; 三谷 啓志*; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 舟山 知夫; 小林 泰彦
no journal, ,
原子力機構・高崎TIARAの重イオンマイクロビーム装置を用いて炭素イオンマイクロビームでメダカの稚魚および成魚の精巣を選択的にin vivo照射することに成功した。体躯が透明なふ化直後の稚魚の照射では、生殖細胞特異的にGFPを発現するトランスジェニックメダカを用い、蛍光で特定した清掃の所在にマイクロビームで照準照射したところ、精巣の蛍光が消失した。また、体躯が不透明であるメダカ雄成魚に対しては麻酔下にて腹腔内の精巣の位置を正確に推定し、精巣の形状に沿ってマイクロビームを重ならないよう多重照射し、精巣を選択的に照射する手法を開発した。この方法を用いて照射したp53ノックアウト雄メダカでは、放射線照射によって精原細胞が卵細胞に異常分化・増殖する精巣卵が顕著に誘導され、これを放射線照射の指標として用いることで精巣選択的なin vivo照射が可能であることが示された。
尾田 正二*; 保田 隆子*; 日比 勇祐*; 浅香 智美*; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 舟山 知夫; et al.
no journal, ,
本研究では、重イオンマイクロビームを用い、メダカ胚および成魚に対し、特定組織を狙って照射する技術を開発した。照射で精巣卵が形成されることが知られているp53遺伝子を欠失したメダカ系統の精巣に、炭素イオンマイクロビームによる組織照準照射を行ったところ、照射1週間後に生じた精巣卵が全身照射した場合と較べ少なくなることが明らかになった。また、発生2日目のメダカ胚中脳の左あるいは右側の一方のみに照射を行ったところ、照射部位のみならず、体幹や尾部においてもアポトーシスの誘導が観察された。この内分泌系, 自律神経系, 免疫応答による全身効果は、メダカ成魚においても観察されるものであるが、本研究により発生過程の胚においても誘導されることが明らかとなった。
小西 蓮*; 奥津 賢一*; 木野 康志*; 佐々木 喬祐*; 中島 良太*; 山下 琢磨*; 宮下 湖南*; 安田 和弘*; 岡田 信二*; 佐藤 元泰*; et al.
no journal, ,
負ミュオンが重水素分子イオン(D)様のミュオン分子ddを作ると、核間距離が小さくなり、核間の波動関数がクーロン障壁をトンネル効果ですり抜けて、強い相互作用が働く距離で有意な値を持ち、重なり、その結果としてミュオン分子内で核融合が起こる。核融合後に放出されるミュオンは、高品質なミュオンビーム源として期待されているが、その挙動が不明であった。そこで、本研究ではPHITSコードを用いて、超低速ミュオンの固体水素薄膜中における振る舞いを調べた。厚さ0.11mで変化させた固体水素に110keVの単色ペンシルミュオンビームを打ち込んだところ、10keVの場合、1mではほとんどのミュオンが停止し、厚さ0.5mで70%、厚さ0.4mより薄いところでは99%のミュオンが固体水素薄膜を通過するなどがわかった。
小西 蓮*; 奥津 賢一*; 木野 康志*; 佐々木 喬祐*; 中島 良太*; 宮下 湖南*; 安田 和弘*; 山下 琢磨*; 岡田 信二*; 佐藤 元泰*; et al.
no journal, ,
重水素薄膜標的にミュオンを入射すると、ミュオン分子を形成する。分子内核融合後に放出されたミュオン(再生ミュオン)は、低速ミュオンビーム開発にとって重要である。本研究では、同軸輸送管を利用して再生ミュオンを輸送する実験に対応して、散乱ミュオン,減速後ミュオンのエネルギー分布、及び崩壊電子による制動放射線や中性子によるバックグラウンド放射線を数値シミュレーションによって解析した。
小西 蓮*; 奥津 賢一*; 木野 康志*; 佐々木 喬祐*; 中島 良太*; 宮下 湖南*; 安田 和弘*; 山下 琢磨*; 岡田 信二*; 佐藤 元泰*; et al.
no journal, ,
電子と同じ電荷、電子の207倍の質量を持つミュオンを固体水素薄膜に照射し、ミュオン触媒核融合によって薄膜表面から放出される再生ミュオンを観測することを試みている。再生ミュオンを検出する際の主なバックグラウンド要因は、加速器からのミュオンが標的などで再生ミュオンと同程度までに減速された散乱したミュオンと、装置構成材において発生する制動放射線であり、これらのエネルギーと角度分布をPHITSで計算した。その結果、固体水素内での散乱は少なく、固体水素標的上流にあるAl箔での減速が支配的であることがわかった。X線検出位置での制動放射線のエネルギー分布についても報告する。