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鹿園 直哉; 横田 幸彦*; 北村 智; 鈴木 智広*; 渡辺 宏; 田野 茂光; 田中 淳
Genetics, 163(4), p.1449 - 1455, 2003/04
高等植物におけるイオンビームの突然変異誘発効果を調べるため、シロイヌナズナにカーボンイオンを照射した。カーボンイオンは電子線に比べ胚発生致死及び葉緑素欠損突然変異体をそれぞれ高頻度(11倍,7.8倍)に誘発した。カーボンイオン照射後の突然変異体選抜の過程で2つの新しいフラボノイド突然変異体()を単離した。3系統ののうちの2系統では遺伝子内に小さな欠失をもつこと、残りの1系統では遺伝子を含む断片に大きな構造変化が起こっていることがPCR及び塩基配列解析からわかった。分離頻度を用いて突然変異率を算出したところ、カーボンイオンは電子線に比べ17倍突然変異率が高いことが明らかになった。新しい突然変異体が単離できたこと、及び突然変異率が高いことは、イオンビームが植物遺伝学において有用な変異原として利用できることを示唆する。
鹿園 直哉; 田中 淳; 横田 幸彦*; 渡辺 宏; 田野 茂光*
DNA Sequence, 9(3), p.177 - 181, 1998/00
シロイヌナズナのコロンビア系統からGLI遺伝子を単離し、その塩基配列を決定した。既に塩基配列が決定されていたgl1-2対立遺伝子と塩基配列を比較したところ、gl1-2では2箇所に変異を生じていることがわかった。1つはエキソン3での14塩基対の欠失であり、その変化がgl1-2変異体の変異形質の原因である可能性が高い。もう1つは遺伝子のS'上流域でのTCからCTへの塩基置換である。遺伝子発現に必要であるS'上流域での配列は正確に特定されていないため、このS'上流域での変異が変異形質の原因である可能性は否定できない。本研究で決定したコロンビア系統のGLI遺伝子の塩基配列を、シロイヌナズナの別のエコタイプであるWS系統のGLI遺伝子の塩基配列と比較したところ、幾つかの変化が見られた。これら2つのエコタイプでGLIタンパク質は同様に機能すると考えられるため、配列の変化はGLIタンパク質の機能及び発現に大きく影響しないと思われる。
鹿園 直哉; 横田 幸彦*; 田中 淳; 渡辺 宏; 田野 茂光*
Genes and Genetic Systems, 73(3), p.173 - 179, 1998/00
被引用回数:29 パーセンタイル:54.67(Biochemistry & Molecular Biology)植物におけるイオンビーム誘発突然変異の特徴を調べるため、カーボンイオン(220MeV)によって誘発されたシロイヌナズナの突然変異体をPCR及びサザンブロット法によって解析した。カーボンイオン照射後分離された突然変異体は、gl1突然変異体が2系統、tt4突然変異体が2系統である。これら4つの突然変異体のうち、1つは欠失、2つは転座もしくは逆位、1つは点突然変異であった。以上の結果から、イオンビームは植物において様々な種類のDNAの構造変化を誘発することが示唆された。イオンビームは、新しい突然変異原として、植物の遺伝学や育種学に非常に有用であると考えられる。
田中 淳; 田野 茂光*; T.Chantes*; 横田 幸彦*; 鹿園 直哉; 渡辺 宏
Genes and Genetic Systems, 72(3), p.141 - 148, 1997/06
被引用回数:52 パーセンタイル:72.97(Biochemistry & Molecular Biology)シロイヌナズナの乾燥種子に炭素イオンビームを照射し、照射種子1,488個に由来する11,960個体の自殖後代で、種皮にアントシアニン色素が多量に点在する、新しい突然変異体(anthocyanin spotted testa: ast)を得た。アントシアニンの蓄積量は開花後6日目で最大となり、野生株の5、6倍量に達した。また色素合成能が、異なった変異体tt7,ttgと交配した結果から、AST遺伝子は未熟種子の成熟過程において組織・時期特異的にアントシアニン合成を抑制する遺伝子であることが推測された。遺伝分析からこの変異は遅滞遺伝で単一劣性遺伝を示した。DNAマーカーを用いた染色体マッピングにより、AST遺伝子は第1染色体のnga280マーカーから約3.2cMの距離に座位すると考えられた。
田中 淳; 田野 茂光*; Chantes, T.*; 横田 幸彦*; 鹿園 直哉; 渡辺 宏
Genes and Genetic Systems, 72(3), p.141 - 148, 1997/00
被引用回数:52 パーセンタイル:72.78(Biochemistry & Molecular Biology)シロイヌナズナの乾燥種子に炭素イオンビームを照射し、種子色に変異のある突然変異体のスクリーニングを行った。150~200Gyの照射種子1,488個に由来する11,960個体の自殖後代で種皮にアントシアニン色素が多量に点在する、新しい突然変異体(anthocyanin spotted testa:ast)を得た。アントシアニンの蓄積量は開花後6日目で最大となり野生株の5、6倍量に達したが、完熟種子、幼苗、本葉、つぼみでは高い蓄積量は見られなかった。このことから、この遺伝子は未熟種子の成熟過程において組織・時期特異的に色素合成を制御する遺伝子であることが推測された。遺伝分析から、この変異は遅滞遺伝で単一劣性の遺伝を示し、またDNAマーカーを用いた染色体マッピングにより、AST遺伝子は第1染色体のnga280マーカーから約3.2cmの距離に座位すると考えられた。なお、ASTは新しい遺伝子名として登録された。
田中 淳; 鹿園 直哉; 横田 幸彦*; 渡辺 宏; 田野 茂光*
International Journal of Radiation Biology, 72(1), p.121 - 127, 1997/00
重イオンビームの植物に対する影響をシロイヌナズナの発芽率、生存率を指標として調べた。重イオンとして、17~549keV/mのLETを有するHe,C,Ne,Arを用いた。生存率では、用いた2系統でともにLET252keV/m付近で電子線照射に対してのRBF(生物効果比)が11~12と最大になり、重イオンのDNA損傷に対する効果が大きく、またイオンのLETによってその効果が異なることを明らかにした。一方、発芽率では用いた2系統で重イオンに対する感受性が異なり、DNAの損傷以外の要因が発芽に大きな影響を及ぼすことを示唆できた。さらに生存曲線で観察される生存率低下のしきい値(生存曲線の肩)に対する重イオンの効果の解析から、生存曲線の傾きと同様に、生存曲線の肩もDNAの回復能力に依存することを示唆した。
田中 淳; 田野 茂光*; 渡辺 宏; 鹿園 直哉; 横田 幸彦*
育種学雑誌, 46(SUPPL.1), 60 Pages, 1996/00
イオンビームによる突然変異の誘発は、低LET放射線等の変異原によるものとは質的に異なる可能性がある。そこで今までに報告のない、紫外線(UV-B)に抵抗性を示す突然変異の作出をシロイヌナズナを用いて試みた。野性株の種子に220MeVの炭素イオンを150、200Gy照射し、後代(M)種子を得た。一次選抜として、UV-Bを10~13kJ/m/day照射することによって生育のよい27個体を得た。その自殖によって得られるM~Mを通常環境下で展開すると供に、一部の種子を用いてさらに選抜を行った。その結果、1280M種子由来の後代から4つの異なった紫外線抵抗性株を作出することができた。照射後の根の伸長測定から、選抜した4系統は光回復と暗回復のうち、少なくともいずれかの能力が高まっており、紫外線照射によるDNA損傷の修復能が野性株より高くなっていることが示唆された。
田中 淳; 横田 幸彦*; 渡辺 宏; 鹿園 直哉; 田野 茂光*
GSI-95-10, 0, p.87 - 90, 1995/00
シロイヌナズナの種子にイオンビームを照射し、発芽率と生存率への効果を調査した。用いたイオンビームは、2種類のエネルギーのHe及びC、Ne、Arの5種類であり、LETは17~549keV/mである。LETに対するRBEをプロットした結果、生存率は用いた2系統の種子共に、LET200~250keV/mにRBEのピークを示し、単細胞系での結果と類似した傾向を示した。一方、発芽率では、RBEのピークがなく、LETの増加に伴いRBEが増加した。このことは、発芽率抑制のターゲットがDNA以外にも存在することを意味する。一方、線量に対する生存率曲線の中で、Neイオンでの生存曲線は、シロイヌナズナで通常見られる肩がなく、また傾きが他のイオンビームと比較して、緩やかな指数関数的減少を示した。このことは、イオン種間で生物効果が異なることを示唆しており、またLETだけでは説明し得ないイオンビームの効果を示す。
田中 淳; 横田 幸彦*; 鹿園 直哉; 渡辺 宏; 田野 茂光*
Radiation Research 1985-1995, Congress Proc., Vol. I, 0, 445 Pages, 1995/00
シロイヌナズナの種子にイオンビームを照射し、発芽や生存への効果及び誘発された突然変異について調べた。生存率のRBEはLET200~250keV/mでピークを示したのに対し、発芽率のRBEはLETの増加に伴って増加した。またNeイオンを用いた生存率曲線は肩がなく、指数関数的に減少する特徴的な曲線を示した。以上から、イオンビームは低LET放射線とは量的に異なった効果を与えるばかりでなく、質的にも異なることが示唆された。一方、突然変異スペクトルは、対照とした電子線と比較し、矮化植物体や色素変異体がイオンビームにより多く誘発されるとともに、線量依存性があることも示唆された。また、今までに報告されていない変異体も誘発され、イオンビームが新しい植物遺伝子資源を作出する可能性を持つことを示した。