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町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; 山口 隆司; et al.
RIST News, (69), p.2 - 18, 2023/09
福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年度より2年間に渡り、放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間で実施可能とするためのデジタル技術の研究開発を実施してきた。本記事では、上記プロジェクトの成果(以下、前期プロジェクトと呼び、その2年間の研究開発の成果)を紹介する他、令和5年度4月より、新たに開始した継続プロジェクト(以下、後期プロジェクトと呼ぶ)の計画についても報告する。前期プロジェクトにて当初予定していた機械学習技術(LASSO)については、建屋内の複雑な構造情報と汚染源の性質を反映した一つの派生版手法へと結実させた成果を報告する他、実際の原子炉施設での検証結果を示す。更に、開発技術を集約したプラットフォームとしての機能を持つソフトウエア:3D-ADRES-Indoorを紹介し、継続して実施する予定の後期プロジェクトの研究開発計画も紹介する。
大澤 崇人; 長澤 俊作*; 二宮 和彦*; 高橋 忠幸*; 中村 智樹*; 和田 大雅*; 谷口 秋洋*; 梅垣 いづみ*; 久保 謙哉*; 寺田 健太郎*; et al.
ACS Earth and Space Chemistry (Internet), 7(4), p.699 - 711, 2023/04
被引用回数:4 パーセンタイル:92.07(Chemistry, Multidisciplinary)小惑星試料中の炭素をはじめとする主要元素の濃度は、地球上の生命の誕生や太陽系の進化について非常に重要な情報を与えてくれる。ミュオンX線を用いた元素分析は、固体物質の元素組成を決定する最も優れた分析方法の一つであり、特にバルク試料中の軽元素濃度を非破壊で測定できる唯一の方法である。我々は、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから回収した貴重な微小試料中の炭素などの主要元素の濃度を測定するために、ミュオンX線を用いた新しい分析システムを開発した。この分析システムは、ステンレス製の分析チャンバー、クリーンな環境で小惑星サンプルを操作するためのアクリル製のグローブボックス、分析チャンバーを囲むように配置されたGe半導体検出器から構成されている。測定に重要なバックグラウンドレベルを含め、分析装置の性能は初期から後期まで大幅に向上した。フィージビリティスタディの結果、最新型のミュオンX線分析装置は、「はやぶさ2」のサンプルモデル中の炭素濃度を6日間の測定で10%以下の不確かさで決定できることがわかった。
吉田 雅幸*; 西端 樹*; 松田 朋己*; 伊藤 佑介*; 杉田 直彦*; 城 鮎美*; 菖蒲 敬久; 荒河 一渡*; 廣瀬 明夫*; 佐野 智一*
Journal of Applied Physics, 132(7), p.075101_1 - 075101_9, 2022/08
被引用回数:5 パーセンタイル:64.66(Physics, Applied)This study aims to investigate the influence of the pulse duration on the mechanical properties and dislocation density of a aluminum alloy treated using dry laser peening. The results of the micro-Vickers hardness test, residual stress measurement, and dislocation density measurement demonstrate that over a pulse duration range of 180 fs to 10 ps, the maximum peening effects are achieved with a pulse duration of 1 ps. Moreover, the most significant dry laser peening effects are obtained by choosing a pulse duration that achieves a laser intensity that simultaneously generates the strongest shock pressure, suppresses optical nonlinear effects, and realizes the least thermal effects, which weaken the shock effects.
淵田 知希*; 浦田 泰成*; 松山 嗣史*; 村上 昌史; 吉田 幸彦; 植田 昭彦; 町田 昌彦; 佐々木 紀樹; 辻 幸一*
X線分析の進歩,53, p.77 - 87, 2022/03
蛍光X線(XRF: X-ray fluorescence)分析法はX線を試料に照射し、発生した蛍光X線を検出することで試料の元素分析を行う手法である。試料を走査しながら連続的なXRF分析を行うことで、二次元の元素分布像の取得が可能である。本研究では、ベルトコンベア上を連続的に移動する試料に対して、二次元の元素分布像を迅速に取得するためのXRF分析装置を開発した。元素分布像の測定は、X線を広範囲に照射したベルトコンベアを横切る方向に、コリメーターを取り付けた検出器を走査することにより実施し、この方法における試料や検出器の移動方向の空間分解能や検出限界を検証した。また、2種類の金属試料について同時に元素分布像を測定し、開発した装置により多元素同時イメージングが実施できることを実証した。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:44 パーセンタイル:97.1(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
目黒 義弘; 富岡 修; 今井 智紀*; 藤本 成孝*; 中島 幹雄; 吉田 善行; 本多 忠*; 高野 文夫*; 北村 昶*; 和田 隆太郎*; et al.
Proceedings of International Waste Management Symposium 2004 (WM '04) (CD-ROM), 8 Pages, 2004/03
硝酸-TBP錯体を反応剤として含む超臨界二酸化炭素を用いる超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法を、放射性固体廃棄物からのウランの除去に適用した。海砂,焼却灰,アルミナ製多孔質ブロックを母材とする模擬試料及び、実焼却灰試料,実耐火レンガ試料を用いた。模擬試料及び実廃棄物試料からウランを高効率に除去することができた。実廃棄物からの除染効率の方が、模擬試料からのそれよりも小さかった。10gの実焼却灰試料及び37gの実耐火レンガ試料からそれぞれ1g及び37mgのウランを回収した。
吉田 英一; 油井 三和; 澁谷 朝紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(8), p.803 - 812, 1994/00
被引用回数:9 パーセンタイル:60.14(Nuclear Science & Technology)本論文は、地層科学研究の一環として行った地層中の物質移行特性に関する研究成果について取りまとめたものである。特に東濃ウラン鉱床から採取した岩石・地下水サンプルを用いた試験・研究によって把握された地層中の物質移行特性について報告する。
吉田 英一; 油井 三和; 澁谷 朝紀
PNC TN7410 91-061, 26 Pages, 1991/11
東濃ウラン鉱床は、日本最大の砂岩型ウラン鉱床である。その成因は、鉱床分布地域の基盤花崗岩中のウランが、地下水によって溶出/運搬され、基盤花崗岩を覆う第三紀堆積岩中に濃集されたものと考えられている。これまでの地質学的及び地球化学的研究により、東濃ウラン鉱床中のウランは、強還元環境下での難透水帯中に黄鉄鉱や黒雲母、あるいは炭化した植物繊維と密接に係わって産することが認められている。本論文では、このような特性を持つ鉱床中でのウラン濃集に係わる影響因子を評価するために、ウラン(U-233)を用いた雰囲気制御下でのバッチ式収着試験とトランジェントパルス法及び定水位法による透水試験を実施し、堆積岩の持つ化学的・構造的要因によってもたらされる核種保持性能についての考察を行った。その結果として;1.化学的核種保持力による影響よりも、地質構造による地下水の透水性がウランの濃集に強く影響を及ぼしていると考えられること2.ウランの濃集値が、ウラン濃集の母岩である第三紀堆積岩のウラン保持能力を示している可能性のあること3.堆積岩中では、砕屑物である鉱物粒間とそれらの鉱物中の微小割れ目が、ウランの移行経路及び濃集場所として重要な役割を果たしていることが示された。
吉田 智喜*; 土井 英雄*; 相田 美砂子*; 河野 秀俊; Kumar, S.*; Gromiha, M. M.*; 皿井 明倫*
no journal, ,
蛋白質がどのように配列特異的にDNAに結合するか明らかにするために、20種類のアミノ酸残基と塩基対において、相互作用の自由エネルギー地形を計算した。配列を変えたオリゴDNAをある座標系に固定し、アミノ酸残基をその周囲に配置させ、相互作用エネルギーを計算した。マルチカノニカルモンテカルロ法でアミノ酸残基の位置及び構造を効率的に変えながら、エンタルピー,エントロピー,自由エネルギー地形を描いた。得られた地形は、蛋白質-DNAの複合体構造に見られる相互作用をよく再現した。
淵田 知希*; 松山 嗣史*; 村上 昌史; 吉田 幸彦; 植田 昭彦; 町田 昌彦; 佐々木 紀樹; 辻 幸一*
no journal, ,
移動する廃棄物の迅速な元素識別に向けて、動的試料の元素分布像を取得可能な蛍光X線イメージング装置を開発した。開発した装置は、X線管,シリコンドリフト検出器を搭載したCNC (Computerized Numerical Control)ルーター,ベルトコンベア及び検出器とCNCルーターの制御器で構成される。ベルトコンベア上を移動する台形状の銅板の元素分布像をリアルタイムで取得し、装置の性能評価を実施した結果を報告する。
町田 昌彦; Shi, W.*; 山田 進; 宮村 浩子; 沼田 良明*; 佐藤 朋樹*; 飛田 康弘*; 吉田 亨*; 柳 秀明*; 古立 直也*; et al.
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所(以下「1F」)における燃料デブリ取り出し作業の本格的な実施に先立ち、線量率の高い原子炉建屋(以下「R/B」)内でのアクセスルート構築を、安全,効率的に行うための環境改善が必要であり、このための除染・遮へい戦略の検討をサイバー空間上で柔軟に実施できるシステムの開発を実施している。本報告では、上記システムの中核を成す、線源逆推定・線量率推定・可視化を担当する各エンジンの役割や研究開発計画とその進捗について報告する。