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草野 完也*; 一本 潔*; 石井 守*; 三好 由純*; 余田 成男*; 秋吉 英治*; 浅井 歩*; 海老原 祐輔*; 藤原 均*; 後藤 忠徳*; et al.
Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.159_1 - 159_29, 2021/12
被引用回数:6 パーセンタイル:47.66(Geosciences, Multidisciplinary)PSTEPとは、2015年4月から2020年3月まで日本国内の太陽・地球惑星圏に携わる研究者が協力して実施した科研費新学術領域研究である。この研究枠組みから500以上の査読付き論文が発表され、様々なセミナーやサマースクールが実施された。本論文では、その成果をまとめて報告する。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:44 パーセンタイル:96.99(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
Tang, T. L.*; 上坂 友洋*; 川瀬 頌一郎; Beaumel, D.*; 堂園 昌伯*; 藤井 俊彦*; 福田 直樹*; 福永 拓*; Galindo-Uribarri, A.*; Hwang, S. H.*; et al.
Physical Review Letters, 124(21), p.212502_1 - 212502_6, 2020/05
被引用回数:14 パーセンタイル:72.90(Physics, Multidisciplinary)中性子過剰核Fの構造が()反応で調査した。軌道の分光学的因子は1.00.3と大きいが、一方で残留核であるOが基底状態である割合は約35%,励起状態は約0.65%であることが明らかになった。この結果は、Fのコア核Oは基底状態とは大きく異なり、Oの軌道に陽子がひとつ加わることでOとFの中性子軌道が相当に変化していると推測される。これは酸素同位体ドリップライン異常のメカニズムである可能性がある。
Cui, Y.-T.*; 原田 慈久*; 丹羽 秀治*; 尾嶋 正治*; 畑中 達也*; 中村 直樹*; 安藤 雅樹*; 吉田 利彦*; 石井 賢司*; 松村 大樹
NanotechJapan Bulletin (インターネット), 11(4), 6 Pages, 2018/08
固体高分子形燃料電池の正極には白金ナノ粒子触媒が使用されているが、加湿によって活性化過電圧が発生して性能が低下することが知られている。この原因を解明し、低減する技術を確立することが、燃料電池の性能向上とコスト低減に向けた喫緊の課題となっている。しかしながら、従来の方法で測定した白金ナノ粒子触媒のX線吸収スペクトルでは、白金の内殻正孔の寿命によるスペクトル幅の広がりで微細な構造がぼやけてしまい、吸着に起因する電子状態の変化を捉えることが困難であった。そこで本研究では、非弾性X線散乱装置を利用した高分解能型の蛍光X線吸収分光法による測定を行った。結果、酸素が水と共存することにより、白金の酸化を促進することが明瞭に検出でき、実験的に初めて明らかにすることができた。本来、触媒である白金は反応前後で不変であるべきものであるが、この反応では、白金上で酸素が水と共吸着することにより安定化して反応の進行を遅らせた結果、過電圧がより大きく生じていると解釈できる。また、白金コバルト合金ナノ粒子についても調べたところ、酸素と水の共吸着による酸化促進効果がほとんど起こらないことを見出した。
Cui, Y.-T.*; 原田 慈久*; 丹羽 秀治*; 畑中 達也*; 中村 直樹*; 安藤 雅樹*; 吉田 稔彦*; 石井 賢司*; 松村 大樹; 陰地 宏*; et al.
Scientific Reports (Internet), 7(1), p.1482_1 - 1482_8, 2017/05
被引用回数:19 パーセンタイル:48.90(Multidisciplinary Sciences)In situ high energy resolution fluorescence detection X-ray absorption spectroscopy (HERFD-XAS) was used to systematically evaluate interactions of HO and O adsorbed on Pt and PtCo nanoparticle catalysts in different particle sizes. The systematic increase in oxidation due to adsorption of different species (HO adsorption O adsorption O + HO coadsorption) suggests that cooperative behavior between O and HO adsorptions is responsible for the overpotential induced by hydrated species in fuel cells. From the alloying and particle size effects, it is found that both strength of O/HO adsorption and their cooperative effect upon coadsorption are responsible for the specific activity of Pt catalysts.
Cui, Y.*; 原田 慈久*; 畑中 達也*; 中村 直樹*; 安藤 雅樹*; 吉田 稔彦*; 池永 英司*; 石井 賢司*; 松村 大樹; Li, R.*; et al.
ECS Transactions, 72(8), p.131 - 136, 2016/10
被引用回数:1 パーセンタイル:48.47(Electrochemistry)The electronic structures of Pt and Pt-Co nanoparticles with O adsorption and O/HO co-adsorption were investigated by in situ hard X-ray photoelectron spectroscopy (HAXPES) and in situ high resolution fluorescence detection X-ray absorption spectroscopy (HERFD-XAS) to clarify the effects of water adsorption on fuel cell cathode catalysis surface. The experimental results suggest that under the pressure of 1 mbar, the adsorption of HO hinders the successive O adsorption on Pt surface, while under the pressure of 1 bar, the adsorption of HO enhances the adsorption of O on Pt surface. This water effect is found to be more significant on Pt surface than on Pt-Co surface. These results would be helpful to understand how the water affects the fuel cell performance and why Pt-Co nanoparticles show higher oxygen reduce reaction (ORR) activity than Pt nanoparticles.
坂本 文徳; 大貫 敏彦; 香西 直文; 山崎 信哉; 吉田 善行*; 難波 謙二*
日本原子力学会和文論文誌, 12(4), p.257 - 266, 2013/12
福島第一原子力発電所事故により投下した放射性セシウムの植物中の局所的な分布をオートラジオグラフィー法で解析した。その結果、事故後1年程度では事故以前に生育した枝葉には粒子状の分布が得られたが、事故後に生育た枝葉には放射性Csはほとんど検出されなかった。一方、22ヶ月経過した試料では、事故後に生育した枝葉に検出された。このことは、放射性セシウムは年オーダーの速度で新しい枝葉に分布することを示している。
大貫 敏彦; 香西 直文; 坂本 文徳; 鈴木 義規*; 吉田 崇宏*
Energy Procedia, 39, p.175 - 182, 2013/00
被引用回数:3 パーセンタイル:84.48(Energy & Fuels)微生物の有するアクチノイドなどの濃集機能を検討した。水溶液中に溶解したU(VI)及びCe(III)の化学状態変化への有機酸の影響を調べた結果、有機酸の存在により微生物により還元されたU(IV)は可溶化すること、並びに鉄キレート有機酸がCe(III)を酸化して、ランタノイド系列内でCeの吸着能異常として現れることを明らかにした。これらの微生物の元素濃集機能のCs除染能についても紹介する。
大貫 敏彦; 吉田 崇宏*
Chemistry Letters, 41(1), p.98 - 100, 2012/01
被引用回数:9 パーセンタイル:33.97(Chemistry, Multidisciplinary)希土類元素(REE)-DFOB錯体と蛍光菌及びアルミナとの相互作用を調べた結果、固体へのREEの吸着が高いのが、蛍光菌では低いpH溶液で、アルミナでは高pHで得られた。一方、Ceの吸着が隣のREEよりも小さくなる負の吸着異常は、両固体ともpHが大きくなるほど大きくなった。これは、DFO-B希土類元素錯体の安定性に依存するためである。
坂本 文徳; 大貫 敏彦; 香西 直文; 五十嵐 翔祐*; 山崎 信哉; 吉田 善行; 田中 俊一*
日本原子力学会和文論文誌, 11(1), p.1 - 7, 2012/01
福島県内で採取した植物,土壌などをオートラジオグラフィ解析を行い、樹木については事故以前に生育した葉や枝にほとんどの放射性Csが存在すること、及び地表植物では根部ではなく茎と葉にほとんどの放射性Csが分布していることを明らかにした。これらの結果は、樹木や植物が放射性Csの移行を遅延する働きが顕著であったことを示している。
飛田 健次; 西尾 敏*; 榎枝 幹男; 中村 博文; 林 巧; 朝倉 伸幸; 宇藤 裕康; 谷川 博康; 西谷 健夫; 礒野 高明; et al.
JAEA-Research 2010-019, 194 Pages, 2010/08
発電実証だけでなく、最終的には経済性までを一段階で見通しうる核融合原型炉SlimCSの概念設計の成果を報告する。核融合の開発では、これまで、1990年に提案されたSSTR(Steady State Tokamak Reactor)が標準的な原型炉概念とされてきたが、本研究はSSTRより軽量化を図るため小規模な中心ソレノイドを採用して炉全体の小型化と低アスペクト比化を図り、高ベータ及び高楕円度(グリーンワルド密度限界を高めうる)を持つ炉心プラズマにより高出力密度を目指した。主要パラメータは、プラズマ主半径5.5m,アスペクト比2.6,楕円度2.0,規格化ベータ値4.3,核融合出力2.95GW,平均中性子壁負荷3MW/mとした。この炉概念の技術的成立性を、プラズマ物理,炉構造,ブランケット,超伝導コイル,保守及び建屋の観点から検討した。
飛田 健次; 西尾 敏; 榎枝 幹男; 川島 寿人; 栗田 源一; 谷川 博康; 中村 博文; 本多 充; 斎藤 愛*; 佐藤 聡; et al.
Nuclear Fusion, 49(7), p.075029_1 - 075029_10, 2009/07
被引用回数:139 パーセンタイル:97.75(Physics, Fluids & Plasmas)最近の核融合原型炉SlimCSに関する設計研究では、おもに、ブランケット,ダイバータ,材料,保守を含む炉構造の検討に重点を置いている。この設計研究における炉構造の基本的考え方とそれに関連する課題を報告する。楕円度のついたプラズマの安定化と高ベータ化のため、セクター大の導体シェルを交換ブランケットと固定ブランケット間に設置する構造とした。また、ブランケットには、加圧水冷却,固体増殖材を採用することとした。従来の原型炉設計で検討していた超臨界水冷却を利用するブランケット概念に比べ、トリチウム自給を満足するブランケット概念の選択肢はかなり絞られる。ダイバータ技術やその材料について考慮すると、原型炉のダイバータ板での熱流束上限は8MW/m以下とすべきであり、これは原型炉で取り扱うパワー(すなわち、アルファ加熱パワーと電流駆動パワーの和)に対して大きな制約となりうる。
大貫 敏彦; 吉田 崇宏*; 尾崎 卓郎; 香西 直文; 坂本 文徳; 南川 卓也; 鈴木 義規; Francis, A. J.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 46(1), p.55 - 59, 2009/01
被引用回数:8 パーセンタイル:49.29(Nuclear Science & Technology)モデル解析により、Pu(VI)の微生物と粘土鉱物との混合物への濃集過程におけるPu(IV)の還元挙動を検討した。モデル解析と実験結果を比較した結果、Pu(VI)は微生物細胞表面で電子を受け取りPu(IV)に還元されると仮定した場合に両者に良い一致が見られた。一方、Pu(V)の不均化反応を仮定した場合にはモデルによる予測は実験結果と異なった。これらの結果から、Pu(VI)のPu(IV)への還元には微生物が関与することがわかった。
大矢 恭久*; 広畑 優子*; 中畑 俊彦*; 須田 泰市*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; 田辺 哲朗*
Fusion Science and Technology, 52(3), p.554 - 558, 2007/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで用いられた第一壁グラファイトタイル表面の水素同位体蓄積挙動を評価するために、SEM, TDS, XPS及びSIMSを用いて、主要なタイルの堆積・損耗分布及び水素同位体蓄積量を調べた。その結果、第一壁上側は厚いボロン膜に覆われていた。一方、第一壁下側ではボロンと炭素の混合膜が形成していた。ポロイダル方向の重水素分布は比較的均一であることがわかったが、TDSによる重水素脱離挙動はタイルの位置により大きく異なっていた。第一壁上側では厚いボロン膜に覆われており、重水素TDSスペクトルは第一壁下側のボロン濃度が低い膜中の重水素脱離温度と比べて低い温度で放出ピークが観測された。また、第一壁タイルにおけるD/H比はダイバータタイルで測定されたD/H比よりも明らかに大きく、第一壁へのNBIによる高エネルギーの重水素の打ち込みによる影響が考えられた。さらに、ダイバータと比較して第一壁では放電実験中の温度が573Kと低いため、打ち込まれた重水素の脱離が少なく、D/H比が高くなったと推察された。
大貫 敏彦; 吉田 崇宏*; 尾崎 卓郎; 香西 直文; 坂本 文徳; 南川 卓也; 鈴木 義規*; Francis, A. J.
Environmental Science & Technology, 41(9), p.3134 - 3139, 2007/05
被引用回数:32 パーセンタイル:56.84(Engineering, Environmental)Pu(VI)の微生物、カオリナイト及びそれらの混合物への吸着をバッチ実験により検討した。Puの吸着量は時間とともに増加した。酸化数を測定した結果、Pu(VI)は微生物へ及び混合物との接触により溶液中ではVに、吸着したPuはIVに還元した。一方、カオリナイトとの接触ではPu(VI)のままであった。試薬溶液による脱離実験及び電子顕微鏡による分析からPuは混合物中の微生物に選択的に吸着したことがわかった。以上の結果から、Pu(VI)が微生物による還元により、混合物中で微生物に選択的に濃集したことを明らかとなった。
片山 寿人*; 北村 治滋*; 森 真理*; 中川 淳也*; 吉田 貴宏*; 河合 敏彦*; 長谷 純宏; 田中 淳
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 94, 2007/02
滋賀県では、窒素による琵琶湖の富栄養化が重大な問題となっており、そのうち16%が農業排水からの流入と見積もられている。本研究では、イオンビーム突然変異技術を利用した少肥栽培向き水稲育種を目指し、水稲玄米に炭素イオンビームを照射した個体における生育への影響を調査した。供試材料は、滋賀県で育成した水稲品種「秋の詩」及び「大育1743」を用いた。イオンビーム照射区では、茎長と穂数に変化が認められたが、大きな形態変異が認められなかったことから、限定的な遺伝子の変異であると考えられた。今後は、穂数を指標にして変異体を選抜し、さらに窒素吸収能や窒素利用率が高い変異体を選抜する予定である。
関根 敏彦; 澤田 真一; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 鈴木 晶大*; 寺井 隆幸*; 吉田 勝
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 31(4), p.871 - 874, 2006/12
架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を基材とする電解質膜のメタノール透過特性を調べた。イオン交換容量(IEC)の高い膜ほどメタノール透過係数Pは大きくなり、これは膜が膨潤して親水性領域が広がるため、メタノールの拡散が促されたからだと考えられる。しかし、2.7meq/gと最大のIECを持つ膜においてもPはNafionよりも低く、このことは、架橋PTFE電解質膜は直接メタノール型燃料電池用電解質膜としての高い応用性を有することを意味する。また、IEC=1.2meq/gのときでは、PTFE主鎖の架橋密度が高くなるほどPは低下し、未架橋膜では1.110cm/sであったのに対して、400kGy架橋膜では0.310cm/sになった。膜の膨潤性は、架橋構造の付与,架橋密度の増加により低下し、Pと同様の挙動を示した。この結果から、主鎖骨格への架橋構造の付与により、メタノールの透過経路である親水性領域の拡大が抑制されたことが、Pが低減した理由であると考えられる。
鈴木 義規; 南川 卓也; 吉田 崇弘*; 尾崎 卓郎; 大貫 敏彦; Francis, A. J.; 津島 悟*; 榎田 洋一*; 山本 一良*
Radiochimica Acta, 94(9-11), p.579 - 583, 2006/11
被引用回数:20 パーセンタイル:78.89(Chemistry, Inorganic & Nuclear)クエン酸存在下、pH2-7におけるUOの還元挙動をカラム電極電解法を用いて調べた。UOは、pH2で1段階の還元反応により、pH3-5で2段階の還元反応によりU(IV)まで還元された。UOの還元電位は、pHが2から7に増加するのにしたがって低電位にシフトした。pH6-7では、-0.8V以下の電位でもUOは完全に還元されなかった。紫外可視吸収スペクトル分析及び化学種計算から、クエン酸存在下におけるUOの化学種は、pH2-3ではおもにUO, pH3-5でおもに[(UO)Cit], pH5-7では3量体以上の化学種であった。これらの結果から、UOは中性pH付近でクエン酸と多量体を形成し、還元されにくくなることがわかった。
尾崎 卓郎; 木村 貴海; 大貫 敏彦; 桐島 陽*; 吉田 崇宏*; 磯部 博志*; Francis, A. J.
Environmental Toxicology and Chemistry, 25(8), p.2051 - 2058, 2006/08
被引用回数:9 パーセンタイル:22.27(Environmental Sciences)正3価のf元素であるユウロピウム,アメリシウム及びキュリウムと天然ポリマー(セルロース,キチン,キトサン)との相互作用を調べた。バッチ実験により得られたポリマーへの各元素の吸着率と計算による各元素の化学種の推定結果から、上記ポリマーはいずれもアルカリ性溶液中で分解し、分解生成物はこれらの元素の環境中での易動性を高めることが示唆された。また、易動性を高める度合いの最も高いポリマーはセルロースであることがわかった。一方、レーザー分光法によりこれらのポリマー内でのユウロピウムの吸着状態を調べたところ、キチン,キトサン内ではそれぞれ内圏型及び外圏型の錯体として存在し、ユウロピウムとセルロース内の官能基との相互作用はキチン及びキトサン内でのそれよりも弱いことがわかった。これらの結果から、天然ポリマーが正3価のf元素の環境挙動に与える影響の推定には、元素とポリマー内の官能基との親和性の強弱だけでなく、ポリマーからの分解生成物との相互作用も考慮する必要があることが示された。
尾崎 卓郎; 鈴木 義規*; 南川 卓也; 吉田 崇宏; 大貫 敏彦; 木村 貴海; Francis, A. J.*
Journal of Alloys and Compounds, 408-412, p.1334 - 1338, 2006/02
被引用回数:47 パーセンタイル:87.11(Chemistry, Physical)Eu(III)と土壌微生物シュードモナス,リンゴ酸,クエン酸及びシデロフォア(DFO)との相互作用を調べた。リンゴ酸はEu(III)に対する存在比が極めて大きい場合のみ、錯生成によりEu(III)のシュードモナスへの毒性を軽減させた。クエン酸とEu(III)はシュードモナスによって分解されない1:1錯体を形成した。Eu(III)はDFOに高い親和性を示すが、DFOから解離した水和イオンとしてシュードモナスに吸着した。時間分解レーザー誘起蛍光分光法により、シュードモナス上のEu(III)は多座の内圏配位錯体として吸着することを明らかにした。