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口頭

大面積イオンビームスパッタ装置による高性能中性子スーパーミラーの開発

丸山 龍治; 山崎 大; 海老澤 徹*; 日野 正裕*; 曽山 和彦

no journal, , 

中性子スーパーミラーは、研究用原子炉や核破砕型パルス中性子源で発生する中性子を効率的に実験装置まで輸送し、さらに必要な位置で分岐及び集束させるうえで重要となる中性子光学素子である。J-PARCにおける大強度パルス中性子源等で用いられる中性子光学機器の製造のために、0.2m$$^{2}$$の成膜可能面積をもつ大面積イオンビームスパッタ装置が導入され、これを用いてスーパーミラーの開発を行っている。スーパーミラーの高臨界角化においてはNiの全反射臨界角の6.7倍のミラーが、高反射率化においてはNiの3倍の臨界角のもので反射率85%以上のミラーがそれぞれ得られたので、これらの開発方法及び実験結果について報告する。

口頭

中性子局所ドーピングに向けた$$^{30}$$Si同位体濃縮薄膜

山田 洋一; 山本 博之; 大場 弘則; 笹瀬 雅人*; 江坂 文孝; 山口 憲司; 鵜殿 治彦*; 社本 真一; 横山 淳; 北條 喜一

no journal, , 

シリコン同位体$$^{30}$$Siは中性子照射により$$^{31}$$Pに核変換することからドーパントとして機能することが知られている。本研究ではこの現象を応用し、原子力機構において開発された高効率な同位体濃縮法により得られた$$^{30}$$Si濃縮SiF$$_{4}$$($$^{30}$$Si:$$sim$$30%)を原料として$$^{30}$$Si濃縮薄膜を作製し、高精度ドーピング手法の開発を目指した。作製した薄膜の質量分析の結果から原料とほぼ同じ同位体組成であることを明らかにした。これらの結果と併せて薄膜及び界面の構造,中性子照射に伴う電気特性の変化についても議論する。

口頭

茨城県生命物質構造解析装置における中性子光学系の設計

大原 高志; 栗原 和男; 日下 勝弘; 細谷 孝明; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.

no journal, , 

茨城県生命物質構造解析装置は、J-PARCの物質生命科学実験施設に設置される単結晶回折計で、生体高分子及び有機低分子の構造解析を目的とする。本装置は中性子線源からの距離が40mあり、中性子を効率的に輸送する光学系が必要不可欠である。今回、本装置の中性子光学系として、スーパーミラーガイド管を設計した。ガイドの形状のうち、水平方向には曲率半径4300mのカーブドガイドを用いることで高エネルギーの$$gamma$$線及び中性子線を除去し、さらに先端部のテーパードガイドで中性子を集光する。一方、垂直方向は多段階のテーパードガイドを組合せることでミラー表面での中性子の反射回数を減らし、反射による中性子の減少を抑えた。McSTAS及びIDEASを用いたモンテカルロシミュレーションによって試料位置での中性子の強度などを評価したところ、ストレートガイドを用いた場合と比較して0.7$AA $で2倍、1.0$AA $でも1.6倍のゲインが得られた。

口頭

JRR-3に建設された多目的単色熱中性子ビームポート「武蔵」

目時 直人; 金子 耕士

no journal, , 

平成18年度よりJRR-3ガイドホールのT2-3ビームポートに建設された多目的単色熱中性子ビームポート「武蔵」の目的,ビームポートの概要,装置の現状,今年度の実績について報告する。「武蔵」は2本のビームポートを持ち、長期の準備を要し、技術的に困難な実験に潤沢な中性子ビームを割り当てるとともに、J-PARCの建設に必要な検出器,中性子光学デバイスの開発,残留応力解析など産業利用-トライアルユースに使用される。本年度は低角高角二本のビームポート及び付属回折計が順調に立ち上がり、極端条件実験が開始された。また、多くの種類の検出器のテスト、開発、校正などにもビームを提供した。さらに付属回折計を残留応力解析装置RESA-IIとして提供し、施設供用、トライアルユースも開始された。来年度以降も多くのユーザーからの積極的な提案に、中性子ビームをふんだんに提供していきたいと考えている。

口頭

J-PARCの新材料解析装置の概念設計

Harjo, S.; 盛合 敦; 白木原 香織; 鈴谷 賢太郎; 鈴木 裕士; 高田 慎一; 森井 幸生; 新井 正敏; 友田 陽*; 秋田 貢一*; et al.

no journal, , 

J-PARCのMLFにおいて、材料科学や工学に関する、応力・ひずみ及び結晶学的な構造などを含めたさまざまな問題を解決するために、原子力機構が主体となって工学応用回折装置である新材料解析装置の建設・整備を進めている。本装置はデカップル・ポイゾンH$$_{2}$$モデレータをのぞみ、適用波長範囲では良い対称性と狭い幅の回折プロファイルを実現する中性子を利用する。本装置のL1及びL2はそれぞれ40m及び2.0mで、主検出器を90deg散乱角に設置する。長いフライトパスによるビーム損失と速中性子や$$gamma$$線からのバックグラウンドを低減させるために、湾曲中性子ガイド管を上流部に取り入れ、下流部に上下エリプティカル・テパードの直導管を取り入れる。本装置の最適化はモンテカルロシミュレーションMcStasを用いて行い、5.0mm以下のゲージ幅の試料に対して、0.2%以下の分解能を確保できる。本装置は応力・ひずみ測定だけでなく、微小領域の粉末回折実験や製造プロセスでの回折実験にも適用することが十分に可能である。本装置の測定効率はRESAに比べて1-2桁程度と予想され、SNS-VULCANと十分競争することができる。

口頭

TOF回折データシミュレーションによるJ-PARC茨城県生命物質構造解析装置の設計パラメータ最適化

日下 勝弘; 大原 高志; 田中 伊知朗*; 新村 信雄*; 栗原 和男; 細谷 孝明; 尾関 智二*; 相澤 一也; 森井 幸生; 新井 正敏; et al.

no journal, , 

茨城県が原子力機構の協力のもとJ-PARC, MLFに建設を開始した生命物質構造解析装置(BIX-P1)は最大格子長約150$AA $の単結晶試料の回折データが測定可能で、現存する最高性能の生体高分子用中性子回折計BIX-3,4(JAEA)の100$$sim$$150倍の測定効率を目指している。本装置はこの高い測定効率を実現するため、結合型減速材を配するビームラインに設置される。しかし、結合型減速材からの中性子ビームはパルス時間幅が広く、隣接する反射が時間・空間方向に重なりを示すことが予想される。よって、装置設計パラメータはこのブラッグ反射の重なりとその分離を考慮し決定しなければならない。そこで、われわれは回折計の設計パラメータをもとにTOF回折データをシミュレーションする3つのプログラムを独自に開発し、(1)反射重なりシミュレーションによる光学系パラメータと試料-検出器間距離の検討,(2)ブラッグ反射の収率シミュレーションによる最適な検出器配置と高効率な測定方法の検討,(3)ブラッグ反射の時間方向のプロファイルシミュレーションによる反射分離方法の考察を行った。本発表ではそれぞれの検討・考察の結果を報告する。

口頭

ホイスラー型Ni$$_2$$MnGa系単結晶における磁場誘起マルテンサイト変態と温度依存性マルテンサイト変態の比較

井上 和子*; 山口 泰男*; 石井 慶信; 山内 宏樹; 平賀 晴弘*

no journal, , 

ホイスラー型off-stoichiometric合金Ni$$_{2.16}$$Mn$$_{0.78}$$Ga$$_{1.06}$$の単結晶について、磁場誘起マルテンサイト変態と温度下降による通常の熱弾性型マルテンサイト変態の様子を比較検討した。この合金は、293K付近に熱弾性型マルテンサイト変態点とキュリー点を合わせ持ち、マルテンサイト相(低温相)では強磁性,母相(高温相)では常磁性となっている。293K, 10Tまでの磁場下測定を日本原子力研究開発機構の三軸分光器TAS-2で、293K-130K、無磁場での温度変化測定をJRR-3ガイドホールの三軸分光器AKANEで行った。どちらの場合も母相であるcubic構造0,2,0周りの$textit{h}$,$textit{k}$,0逆格子面上で$textit{q}$-scan を行った。293Kにおける10Tの磁場と、293Kよりも14K低い温度279Kは、ほぼ同じ散乱パターンが得られた。また、cubic 0,2,0のまわりに新しく現れた強いピークは、低温相orthorhombic構造の2,0,0及び0,0,2に対応することがわかった。さらに、orthorhombic構造の0,2,0ピークはcubic 0,2,0とほぼ同じ位置にある。これらの実験結果から、マルテンサイト変態に対する磁場の効果は、温度下降とほぼ同じ効果を持つことが明らかとなった。

口頭

強誘電体氷の生成と構造; 中性子回折実験

深澤 裕; 井川 直樹; 山内 宏樹; 石井 慶信

no journal, , 

JRR-3に設置されている中性子回折装置(HRPD及びHERMES)と米国オークリッジ国立研究所のHFIRに設置されている回折装置(WAND)を用いて、氷のプロトンが秩序化して強誘電体の構造へと変化する現象を研究した。各々の回折装置の特色を生かして、プロトンの配置の詳細,秩序過程のカイネティクス,高い秩序度を発生させるために要する温度条件等、これまで不明であったプロトンの挙動の全容を調査した。特に、秩序化を促す要因として、水酸化物,酸や塩等の不純物,$$gamma$$線照射等の効果を分析し、イオン欠陥や水素結合上のプロトンの欠陥(L欠陥等と呼ばれる)と秩序化の関係を調べた。これらの研究結果に基づくと、冥王星に代表される氷天体群は、自然にプロトンの配置が秩序化した強誘電体氷である可能性が高いものと考えられる。この強誘電体氷の存在の有無は、近い将来、冥王星探査機による調査から明らかになるだろう。

口頭

電気分極を示す電荷・スピンフラストレート積層三角格子物質LuFe$$_{2}$$O$$_{4}$$の中性子散乱研究

加倉井 和久; 池田 直*; 永井 聡*; 松田 雅昌; 石井 慶信; 大和田 謙二; 稲見 俊哉; 吉井 賢資; 村上 洋一*; 鬼頭 聖*; et al.

no journal, , 

電荷秩序したLuFe$$_{2}$$O$$_{4}$$における異常磁気秩序過程が改3号炉に設置されたTAS-1及びTAS-2を使用した中性子散乱実験により明らかにされたので、報告する。この物質では鉄イオンが六方称の二重層を構成する。鉄イオンが三角格子の配列を持つにもかかわらず、フェリ磁性的な成分を持つ強い2次元的反強磁性相関が存在し、T$$_{N}$$=242K以下で3次元秩序を起こす。さらにT$$_{f}$$=177Kで層間の秩序が崩れ、新しいスピン凍結状態を示唆する磁気散乱が観測される。T$$_{f}$$における磁気秩序変化は顕著なヒステレジスを示すことが明らかにされた。またc-軸方向に磁場をかけると、T$$_{f}$$が低温に変化し、3T以上の磁場ではこの異常が消失することが観測された。

口頭

中性子小角散乱実験用動的核スピン偏極装置の開発

熊田 高之; 橋本 竹治; 小泉 智

no journal, , 

高分子生体物質などのソフトマターと呼ばれるものの多くは、水などの溶媒環境により形を変えその形に応じた機能を発揮する。中性子小角散乱法を用いてソフトマターの構造を研究するうえで最も重要となるのが、溶質であるソフトマターと溶媒との間で中性子散乱長の差(コントラスト)を設けることである。従来は溶媒もしくは溶質の一部の軽水素原子を中性子散乱長の異なる重水素に置換することでコントラストを得てきた。しかしながら、重水素置換はどのような物質でも容易に行えるものではなく、生体物質のような複雑物質でそれを行うのは非常に難しい。今後、中性子小角散乱法を用いてより多くのより複雑な物質の構造を決定するうえで、新たなコントラストを得る手法を確立することは重要である。水素原子に対する中性子散乱長は、中性子と水素原子核間の相対的なスピンの向きに強く依存する。われわれは低温・強磁場に磁気共鳴の技術を組合せた核スピン偏極装置を製作し、偏極中性子ビームと選択的に核スピン偏極された測定対象部位との散乱からその構造に対する知見を得ようとするものである。

口頭

J-PARC/MLFのデータ収集システム

中谷 健; 大友 季哉*; 新井 正敏

no journal, , 

日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は共同でJ-PARC/MLFの中性子実験装置の2008年実験開始に向けて整備を進めている。われわれのグループでは、昨年から中性子実験装置用データ収集システムのプロトタイプ開発を行い、制御方式や一次データ処理方式について検討を重ねてきた。今年度は、JAEAが建設する低エネルギー分光器と新材料解析装置の製作開始に伴ってそれぞれの装置の検出器の仕様が決定したので、それに合わせたデータ収集システムの要求性能を検討した。その結果、この性能を満足し、JAEAの装置のみならずその他の建設予定の装置にも応用が利き、J-PARCのフルスペック運転にも十分対応可能なデータ収集システムを製作できる目処が立った。今回の発表では、このデータ収集システムの基幹技術となるSiTCPを紹介するとともに、これをインターフェースとするデータ収集システムについての報告を行う。

口頭

フィラメントアクチン・ポリカチオン複合体の構造形成

増井 友美; 敷中 一洋*; Kwon, H.*; 小泉 智; 橋本 竹治; 岩瀬 裕希; 角五 彰*; Gong, J.*

no journal, , 

アクチン分子は生体内に最も豊富に存在する球状タンパク質であり、生体内のアクチン結合タンパク質と結合することで高次構造を形成し細胞運動を担う。このため、細胞運動のメカニズムを明らかにするために、アクチン分子が形成するコンプレックスの構造の研究は精力的に進められてきた。従来のアクチンの研究は蛍光顕微鏡手法により行われ、低濃度でのアクチンの構造形成が明らかになってきた。しかしながら、高濃度のアクチンの観測は、蛍光による背景光がノイズとなるためその振る舞いはほとんど調べられていない。一方、生体内のアクチン濃度は高く、高濃度領域のアクチンの構造形成を調べることは、細胞運動のメカニズムを明らかにするうえで大変重要となる。そこで、本研究では中性子超小角散乱法を利用し、蛍光標識なしかつ高濃度といったより生体内に近い実験条件下でのアクチンコンプレックスの構造を追跡した。その結果、顕微鏡実験の濃度ではコンプレックスを形成しない条件でも、高濃度のアクチンではコンプレックスを形成すること、また、低濃度のアクチンのコンプレックス形成とは異なる経路で構造を形成していくことを明らかにした。

口頭

Mn$$_3$$Cu$$_{1-x}$$Ge$$_x$$Nの磁気体積効果

飯久保 智; 竹中 康司*; 樹神 克明; 高木 英典*; 社本 真一

no journal, , 

Mn$$_3$$Cu$$_{1-x}$$Ge$$_x$$Nのx$$sim$$0.5では、昇温とともに格子定数が減少する、負の熱膨張が観測された。室温付近の広い温度範囲で観測されることから、ゼロ膨張材料の作成など広く熱膨張抑制剤として注目されている。われわれは、磁性と結晶格子が結合して起こる磁気体積効果の起こるメカニズム、さらにはブロードニングを起こす要因を明らかにする目的で、中性子回折によりMn$$_3$$Cu$$_{1-x}$$Ge$$_x$$Nの磁気構造,結晶構造を詳しく調べた。x$$>$$0.15では結晶構造が立方晶を維持し、かつ$$Gamma^{5g}$$型の反強磁性秩序が起きていることがわかった。同様の磁気構造は、大きな磁気体積効果を示すMn$$_3$$ZnN, Mn$$_3$$GaNでも観測されており、この系では$$Gamma^{5g}$$型の反強磁性秩序は磁気体積効果を増大させると考えられる。またx=0.5のブロードニングの起きている温度領域では、散乱強度の単純でない温度依存性が観測されている。$$Gamma^{5g}$$型反強磁性秩序と他の相との競合が起きている可能性が示唆される。

口頭

中性子小角散乱と紫外可視分光の同時測定によるリビングアニオン重合過程のその場観察

宮元 展義; 井上 佳尚*; 小泉 智; 橋本 竹治

no journal, , 

リビングアニオン重合では、反応中に触媒や重合末端が形成する超分子構造が重要な役割を担うことが知られている。本研究では、中性子小角散乱(SANS),ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC),紫外可視分光法(UV-Vis)による複合測定システムを活用して、フォスファゼン触媒(PZN)によるメチルメタクリレートのリビングアニオン重合過程をその場観察し、触媒・助触媒・重合末端が形成する超分子構造を明らかにし、重合メカニズムを検討した。PZN溶液のSANS観察では、PZN1分子より大きな散乱体の存在が確認され、PZNカチオンが会合して存在していることが示唆された。PZN溶液に助触媒Irgacure 184を加えると過剰な散乱が現れ、Irgacure 184がPZN会合体に取り込まれた複合構造の形成が示唆された。さらにモノマーを加えると重合反応が進行し、リビングポリマー溶液が得られた。リビングポリマー溶液のSANS観察では、GPCで見積もられた分子量と同程度の分子量のポリマー鎖が、PZN/IRG会合体と共存していることが示唆された。溶液を空気中の水分と接触させて失活させると、紫外可視スペクトルに大きな変化が現れたが、SANS曲線に変化は観察されなかった。これらのことから、本系においてリビングポリマーは会合せずに単独で存在していることが示された。

口頭

ポリメタクリル酸メチル-ポリスチレンジブロック共重合体の可逆的付加-脱離連鎖移動重合過程の観察; 中性子超小角散乱法によるその場・実時間観察

元川 竜平; 小泉 智; 飯田 優羽; Zhao, Y.; 川勝 年洋; 橋本 竹治

no journal, , 

可逆的付加-脱離連鎖移動重合法によりポリメタクリル酸メチルとポリスチレンからなるジブロック共重合体を合成し、この重合過程について中性子超小角散乱法によるその場・実時間観察を行った。この結果、均一溶液下でのジブロック共重合体の成長,重合反応誘起相分離構造の出現を、小角散乱の時間変化として追跡することに成功した。さらに、メゾスケールの重合反応誘起相分離構造の形成を詳細に解析した結果、はじめにマクロ相分離構造が出現し、これに追随して出現するミクロ相分離構造の形成が、ラジカル重合の生長反応速度と相関関係を持つことを実験的に初めて見いだすことに成功したので、この結果について発表する。さらに、中性子超小角散乱とクロマトグラフィー法を融合した実験手法は、不均一重合反応下で起こる相分離現象を観察するための強力な手段となることをアピールする。

口頭

中性子散乱用ハイブリッドアンビル技術の開発と応用

長壁 豊隆

no journal, , 

われわれは3GPa以上での単結晶中性子磁気回折実験を実現するため、超硬(WC)アンビルとサファイアアンビルとを組合せたハイブリッドアンビル技術の開発を行っている。このハイブリッドアンビルの利点は、ガスケットの変形量が少ないため加圧効率が良いこと、試料空間を大幅に拡大できること、透明なサファイア側から試料の観察やルビー蛍光法が使えること、などが挙げられる。一方、WC を採用したため、バックグラウンドの増加,中性子吸収,核反射ピークによる汚染等の悪影響もある。われわれは最適圧力媒体の探索も同時に行い、これまでにグリセリン媒体を使ったテスト実験で7GPaの静水圧を発生させ、6.2GPaでの磁気回折実験に成功した。ハイブリッドアンビルの応用例として、充填スクッテルダイト化合物PrFe$$_{4}$$P$$_{12}$$及び価数転移物質YbInCu$$_{4}$$に対する単結晶磁気回折実験の結果を紹介する。

口頭

ニオブ酸化物ナノシートの水分散コロイド溶液における階層構造

山口 大輔; 宮元 展義; 小泉 智; 中戸 晃之*; 眞山 博幸*; 辻井 薫*; 橋本 竹治

no journal, , 

中性子,X線を使った超小角散乱,小角散乱法を相補的に活用し1nmから10$$mu$$mの5桁に渡る空間スケールを横断的に観察することで、層状ニオブ酸化物結晶K$$_{4}$$Nb$$_{6}$$O$$_{17}$$を水中で剥離して得られるナノシート(厚み1.6nm)が形成する液晶構造、及びその構造階層性を解明した。また、ニオブ酸化物ナノシートのコロイド状態と類似したフラクタル構造を有すると考えられる、ポーラスシリカの構造を原子力機構所属の中性子小角散乱装置SANS-J-IIに新たに導入された集光型デバイスを活用して観察した。その結果、ポーラスシリカとニオブ酸化物ナノシートのコロイド状態は同程度のフラクタル次元を有することが確認され、これまで困難であったコロイド状態におけるナノシートの空間分布の可視化という問題に対し、ポーラスシリカの顕微鏡観察との対比という方法により解決の糸口をつかんだので、その成果についても報告する。

口頭

溶媒コントラスト変化法を活用した中性子超小角散乱法による赤血球の階層構造の観察

岩瀬 裕希; 小泉 智

no journal, , 

JRR-3において実現した集光型偏極中性子超小角散乱装置SANS-J-IIと二結晶型中性子超小角散乱装置PNOを併用して、赤血球の階層構造と機能の相関について研究を行った。赤血球、及びその主な構成要素のサイズは、数ナノメートルから数マイクロメートルと広い空間スケールに渡る。SANS-J-IIとPNOを併用することで、これらの構造を万遍なく捉えることが可能となる。さらに各構成要素を選択的にその場観測するために、溶媒コントラスト変化法を活用した。中性子超小角散乱法によるその場観察に加え、光学顕微鏡による観察も相補的に行った。測定の結果、赤血球の外径だけでなく、赤血球の細胞膜の厚み,赤血球内のヘモグロビンの分布の様子、さらに赤血球内の含水率を定量化することに成功した。これらはSANS-J-IIとPNOの併用による広範囲波数Q領域測定と、中性子散乱の最大の特徴であるコントラスト変化法を組合せることで、初めて得られた成果であり、中性子科学会年会で発表することに値する成果であると考え、今回発表を行う。

口頭

結晶PDF解析法でみた光相変化記録材料Ge$$_{2}$$Sb$$_{2}$$Te$$_{5}$$のナノ構造

社本 真一; 樹神 克明; 飯久保 智; 田口 富嗣; 山田 昇*; Proffen, T.*

no journal, , 

パルス中性子の特徴を利用した構造解析法の一つである結晶PDF解析法を用いた研究例として、光相変化記録材料DVD-RAMとして実用化されているGe$$_{2}$$Sb$$_{2}$$Te$$_{5}$$の結晶相とナノ相の局所構造解析を紹介する。ナノ相は格子定数が広がっており、GeSb$$_{2}$$Te$$_{4}$$と思われ、この異なる組成が結晶成長の核となる理由から、この系では核生成により結晶成長を起こすことがわかった。またそのアモルファス中に埋もれたナノ粒子の粒径分布を求める新しい試みについても報告する。

口頭

超イオン導電性材料における特異な低エネルギーダイナミクス

中村 充孝

no journal, , 

これまでにわれわれは、Ag系超イオン導電性ガラスの中性子非弾性散乱実験により高いイオン伝導度を示す試料ほど過剰な低エネルギー励起が観測され、2$AA $^{-1}$$程度以上での特異なダイナミクスを示すことを見いだしてきた。これらのガラス試料での結果を踏まえて、最近われわれは典型的な結晶性超イオン導電性材料であるAgIについても中性子非弾性散乱実験を実施し、転移点前後(420K)での低エネルギーダイナミクスの詳細な比較を行った。その結果、高いイオン伝導度を示す高温相にのみ過剰な低エネルギー励起が現れることを見いだし、結晶AgIにおける低エネルギー励起もまた、2.2$AA $^{-1}$$付近に現れる特徴的なダイナミクスに起因することがわかった。このように、ガラス及び結晶での超イオン導電性材料で見いだされた低エネルギー領域での動的相関は、固体電解質全体に普遍的な現象である可能性も考えられ、非常に興味深い。講演では、大強度パルス中性子ビームでの中性子非弾性散乱実験により明らかにされた超イオン導電性材料(ガラスと結晶双方)の特異な低エネルギーダイナミクスについて紹介し、超イオン導電性材料の伝導機構について考察を行う。

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