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天野 由記; 岩月 輝希; 井岡 聖一郎*; 笹尾 英嗣
原子力バックエンド研究, 14(1), p.61 - 67, 2007/12
微生物は地下の酸化還元環境の形成及び維持にどのような影響を及ぼすのだろうか?日本原子力研究開発機構では、「水-岩石(有機物)-微生物」システムにおいて微生物を考慮に入れた岩盤の酸化還元緩衝能力の評価を試みている。本報告では、微生物影響の評価のために実施した天然環境調査の結果を紹介するとともに、今後の課題を示した。
佐々木 紀樹; 曽根 智之; 野中 一晴; 山口 大美
no journal, ,
焼却処理に替わる有機系廃棄物の処理技術として、水蒸気改質処理法の開発を実施している。水蒸気改質処理法は、焼却処理に比べて煤やチャーが発生しにくい、排ガス処理系が小さい等の特徴を持っている。処理装置は、廃棄物中の有機物のガス化を行うガス化装置,ガス化した有機物の酸化分解を行う主反応器,排ガス中のハロゲン化水素,リン酸等の除去を行う排ガス処理系から構成される。天然ウラン0.07g/Lを含む廃溶媒(TBPとn-ドデカンの混合物)約200Lを処理し、廃溶媒中のウランのほぼ全量がガス化装置で回収されること及びTBPの分解により生成するリン酸の99%以上がウランと分離されて回収されることを確認した。
宇埜 正美*; 黒崎 健*; 山中 伸介*; 湊 和生
no journal, ,
窒化物燃料と乾式再処理に基づく核燃料サイクルに関する技術開発の一環として、模擬核分裂生成物を添加したウラン窒化物(UN)の熱物性を評価した。模擬FPとしてNd, Pd又はMoを燃焼度50及び200GWd/t相当分添加したUNについて、その熱膨張及び熱伝導度を測定し、その影響を調べた。熱伝導度では、Nd及びPd添加により低下するが、Moでは顕著な変化は認められなかった。
水津 祐一; 清水 義雄; 村上 龍敏; 由利 明哉
no journal, ,
原子力機構のMOX燃料施設の加工事業許可申請に伴い、最新の知見・情報を踏まえ臨界安全設計の再整理を行った。単一ユニットの区分,臨界管理因子の選定及び核的制限値の設定の考え方を紹介する。
由利 明哉; 清水 義雄; 水津 祐一; 村上 龍敏; 蜷川 純一
no journal, ,
MOX燃料施設の臨界安全にかかわる異常を技術的に検討し「起こる可能性の十分小さい異常が、二つ以上同時に発生しない限り臨界に達しない」ことを確認した。いわゆる二重偶発性の原理の対応方法の一例として紹介する。
丸山 龍治; 山崎 大; 海老澤 徹*; 曽山 和彦
no journal, ,
中性子スーパーミラーは、研究用原子炉や核破砕型パルス中性子源で発生する中性子を効率的に実験装置まで輸送し、さらに必要な位置で分岐及び集束させるうえで重要となる中性子光学素子である。J-PARCにおける大強度パルス中性子源等で用いられる中性子光学機器の製造のために、0.2m
の成膜可能面積を持つ大面積イオンビームスパッタ装置が導入され、これを用いてスーパーミラーの開発を行っている。その結果、NiC/Ti多層膜の導入により、Niの3倍の臨界角を持つスーパーミラーで85%以上の高反射率が実現された。多層膜界面をX線散漫散乱により観察することによるNiC膜導入の効果の評価を行ったので、その実験結果について報告する。
小川 隆; 大木 繁夫; 水野 朋保
no journal, ,
「高速増殖炉サイクルの実用化戦絡調査研究」におけるナトリウム冷却酸化物燃料炉心の設計検討は、多重リサイクルTRU組成を基本として、MA含有率の高い軽水炉使用済燃料から回収したTRUを用いた場合の炉心特性への影響についても評価を行ってきた。本発表は、FBR実用炉に対する設計要求としてMA含有燃料の受け入れが明確化したことに対応して、軽水炉使用済燃料のTRU組成をもとに設定した設計検討用のTRU組成を条件(燃料MA含有率3wt%)として行った大型酸化物燃料炉心の設計検討について報告するものである。MA含有燃料を用いた炉心の仕様は、多重リサイクルTRU組成を条件として構築した「高速増殖炉サイクルの実用化戦絡調査研究」フェーズII代表炉心の上部軸ブラ厚さと下部ガスプレナム長さを変更したのみであり、炉心特性はすべての設計条件を満足しており増殖比1.1、全炉心取出平均燃焼度93GWd/t、運転サイクル長さ26.3か月、ボイド反応度5.7
、ドップラ係数-4.5E-3%Tdk/dTである。
宇都 成昭; 岡野 靖; 永沼 正行; 水野 朋保; 林 秀行
no journal, ,
50MWe出力ナトリウム冷却金属燃料炉心の「長寿命追求型概念」について行った設計研究の成果を報告する。本概念は燃料無交換と高原子炉出口温度(水素製造の観点)の達成を目指すものである。照射実績を重視して燃料スミア密度の上限を75%としたうえで、炉心・燃料仕様を調整することによって、炉心寿命30年、原子炉出口温度550
Cを達成する可能性があることがわかった。炉心寿命中に交換不要な制御棒及び遮へい体の成立性について検討した結果、B
Cを吸収材とする制御棒において、炉心寿命中に吸収体-被覆管機械的相互作用が発生し得ないこと、遮へい性能の向上と炉心コンパクト化の観点から選定したZr-H遮へい要素において、炉心寿命中における被覆管からの水素透過量が適切に抑えられる可能性があることがわかった。
大木 繁夫; 宇都 成昭; 水野 朋保; 林 秀行; 田中 健哉
no journal, ,
高速炉におけるMA装荷方法としては、中性子経済及び炉設計の観点から炉心部への均質装荷が最良とされている。一方で、炉心特性への影響回避,燃料製造上のメリットから、ブランケットへの装荷を指向する考え方もある。本検討ではブランケットへのMA装荷方法の弱点であるMA変換率の低さを補うため、軸方向ブランケット領域に厚みの薄いMAターゲットを配置する方法を提案し、炉心設計成立性の見通しを評価した。
市川 史郎; 本岡 隆文; 加藤 千明; 山本 正弘; 木内 清; 上野 文義
no journal, ,
核燃料再処理施設の機器のうち、蒸発缶等のステンレス鋼製機器について、沸騰硝酸環境における腐食による劣化と腐食機構の検討を行い、寿命評価技術の確立を進めてきた。われわれは、酸回収蒸発缶のモックアップ試験体を製作し、伝熱管の長時間の腐食進展傾向を把握するとともに腐食機構に関する検討を行った。
佐藤 達彦; 遠藤 章; 仁井田 浩二*; 保田 浩志*
no journal, ,
航空機乗務員の宇宙線被ばく線量を評価するため、大気中における宇宙線スペクトル予測モデルを確立した。また、確立したモデルを用いて、大気中の任意地点における宇宙線被ばく線量計算プログラムEXPACSを開発した。
逢坂 正彦; 安達 淳*; 黒崎 健*; 宇埜 正美*; 山中 伸介*
no journal, ,
分子動力学シミュレーションにより、酸素組成不定比を有するトリア固溶体の欠陥構造について検討を行った。トリアと希土類酸化物の種々の組成の固溶体について計算を行った結果、金属-酸素-金属クラスター欠陥の生成が示唆された。
眞田 幸尚; 辻村 憲雄; 清水 義雄; 井崎 賢二; 神 和美; 三上 智; 小林 博英; 川井 啓一*
no journal, ,
国内外の規定基準類を調査し対象施設の特徴を考慮した臨界警報装置の配置設計を行った。本設計の結果をもとに、プルトニウム転換技術開発施設の臨界警報装置を更新する予定である。
赤堀 光雄; 高野 公秀; 荒井 康夫; 湊 和生
no journal, ,
窒化物燃料の物性値整備の一環として、窒化ウラン(UN)に核分裂生成物としてNd及びMoを添加した模擬照射済み窒化物燃料の定常圧縮クリープ速度を測定し、その影響を明らかにした。950
Cでは、Mo添加UN及びNd+Mo添加UNペレットともに、UNペレットの定常クリープ速度に比べて低下し、応力指数もMo及びNd+Moの添加量が増加するに伴い低下することが確認された。一方、1300
Cでは、Mo添加及びNd+Mo添加UNペレットともに、UNペレットの定常クリープ速度に比べて増大し、添加によりクリープが加速されることがわかった。
乙坂 重嘉; 小林 卓也; 外川 織彦
no journal, ,
原子力機構で開発・高度化を進めている物質移行予測コード(SEA-GEARN)で用いるパラメータのうち、対象海域ごとに決定すべきものの種類と、これらを効率的に取得・決定するための方法を提案する。SEA-GEARNは、溶存相,LPM(大型粒子)相及び、堆積物相の3つのサブモデルで構成されるが、ここではLPM相及び堆積物相でのパラメータについて議論する。堆積物相で必要なパラメータは、堆積物の現場密度,底層海水が堆積物に作用する深度,堆積物の空隙率で、対象海域で堆積物を採取し、一般的なキューブ法による含水率測定等により求めた。いずれのパラメータも、得られた値の海域による違いは小さく、堆積物相パラメータについては、対象海域の広範囲での代表値を求めることでおおむね決定できることがわかった。海水中の粒子濃度,粒子組成,沈降速度といったLPM相でのパラメータは、現場濾過装置実験やセジメントトラップ実験等によって求められ、日本近海におけるLPM濃度は少なくとも2桁の範囲で変化すること、その大幅な変化は有光層内(海洋表面から100m程度)と海底堆積物直上の高濁度層でのみ見られることなどがわかった。
横山 賢治; 石川 眞; 巽 雅洋*; 兵頭 秀昭*
no journal, ,
高速炉用オブジェクト統合型解析システムのニーズと基本構成概念(本シリーズ(1))に基づき、開発を進めている高速炉炉物理解析のための次世代解析システムMARBLEの目的及び計画を報告する。また、燃焼感度解析システム(本シリーズ(3), (4))で開発したカプセル化フレームワークを拡張し、C++による新規コードとFORTRANによる従来コードをスクリプト言語Pythonから制御することで、炉物理解析で必要となるステップ解析(格子計算,炉心計算,燃焼計算等)に適したフレームワークを実装できることを示す。
兵頭 秀昭*; 巽 雅洋*; 横山 賢治; 石川 眞
no journal, ,
オブジェクト指向設計に基づき、簡便かつ拡張性の高い高速炉実機燃焼解析システムの設計と予備的実装を行った。システムに必要な機能の要件を抽出し、システムの基本設計と幾何形状関連のクラスの実装を行った。実装されたクラスに対して、簡略な入力を元に燃焼解析に必要な体系が構築できることを確認した。
大塚 伊知郎; 山口 徹治; 飯田 芳久; 瀧 洋; 田中 忠夫; 中山 真一
no journal, ,
炭素鋼は高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおけるオーバーパックの有力な候補材である。炭素鋼の腐食は安全評価上重要なニアフィールドの間隙水組成を決める要因の一つであるため、処分環境下での炭素鋼の腐食現象の解明、特に腐食生成物の化学的性質に関する知見は重要である。水酸化炭酸鉄は、近年の研究で処分環境下で腐食生成物として生成することが報じられているにもかかわらず、その溶解度積などの基礎的なデータが得られていない。本研究では、水酸化炭酸鉄の熱力学データ取得の一環として、処分環境を模擬した条件下で炭素鋼の浸漬試験を行い、腐食生成物を同定するとともに、試験液の分析から溶解度積を決定した。炭酸水素ナトリウム水溶液中に炭素鋼を60日間浸漬したところ、0.1M及び0.0018Mの水溶液中では腐食生成物として水酸化炭酸鉄が生成することがわかった。試験液の組成分析から決定した溶解度積は、log
=-28.2(0.1M)及び、-28.5(0.0018M)であった。
石川 淳; 黒澤 直弘*; 森山 清史; 丸山 結; 中村 秀夫; 渡部 厚*
no journal, ,
シビアアクシデント晩期におけるソースタームの評価及び防護対策等の検討には、格納容器内でスプレイ等によって一旦液相に溶解したヨウ素が、放射線場における化学変化により格納容器気相に再放出される現象を考慮する必要がある。原子力機構では、本現象解明及び防護対策にかかわる技術的基礎情報の検討を目的に、ガス状ヨウ素基礎試験を実施している。その一環として、シビアアクシデント解析コードTHALES2及び遮蔽計算コードQADの2つの計算コードの連携により、BWR4/Mark-Iプラントのシビアアクシデント晩期の事故シナリオの多様性を考慮し、ヨウ素化学挙動にかかわる格納容器内環境条件(圧力,温度,照射線量)の検討をした。
小林 嗣幸
no journal, ,
金属電解法で発生した使用済溶融塩中のTRUを向流多段抽出によって液体金属中に回収する場合の分離性能に関する新たな理論的検討を実施した。洗浄ステージの効果について検討した結果、抽出ステージが4段程度以下の場合すべてを抽出ステージとした方が除染係数(DF)が高いことが判明した。使用済塩中のTRU濃度については、濃度が高い方がDFが大きくなることや4段程度の段数ではPuとNp, Am, Cmの相互分離は難しいことがわかった。