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天野 由記; 岩月 輝希; 井岡 聖一郎*; 笹尾 英嗣
原子力バックエンド研究, 14(1), p.61 - 67, 2007/12
微生物は地下の酸化還元環境の形成及び維持にどのような影響を及ぼすのだろうか?日本原子力研究開発機構では、「水-岩石(有機物)-微生物」システムにおいて微生物を考慮に入れた岩盤の酸化還元緩衝能力の評価を試みている。本報告では、微生物影響の評価のために実施した天然環境調査の結果を紹介するとともに、今後の課題を示した。
渡部 陽子; 木名瀬 栄; 斎藤 公明
no journal, ,
体内に摂取された放射性核種の一部は尿中に排泄されるため、膀胱の線量評価は重要である。より正確な線量評価を行うために、膀胱の放射線感受性の高い細胞である基底細胞を考慮した膀胱簡易モデルを構築し、光子,電子に対する基底細胞や膀胱壁全体の比吸収割合(SAF)をモンテカルロシミュレーションにより評価した。続いて、評価したSAFを用いてベータ線放出核種36核種について単位放射能あたりの標的組織の平均吸収線量を求めた。その結果、膀胱の線量評価をより正確に行ううえで、標的組織として基底細胞を考慮することや、ベータ線スペクトルを考慮した線量評価を行うことが重要であることがわかったので報告する。
川原 啓孝; 高松 操; 青山 卓史; 黒羽 隆也*
no journal, ,
高速実験炉「常陽」では、ATWS事象を模擬し、高速炉におけるフィードバック反応度を検証するための安全特性試験を計画している。当該計画を策定に向けた第1ステップとして、過渡時プラント特性試験を実施し、評価ツールである「常陽」プラント動特性解析コードMimir-N2を検証した。
菅原 隆徳; 西原 健司; 辻本 和文; 大井川 宏之
no journal, ,
ADSで使用されるビーム窓は、未臨界炉と陽子ビーム導入管の境界を成すため、非常に厳しい環境下での使用が想定されている。本研究では、腐食及び照射の影響を考慮しても十分に成立しうるビーム窓概念を提案するための予備検討として、現在の設計条件におけるビーム窓厚さの成立範囲を検討した。評価では「発電用原子力設備規格設計・建設規格」に基づき、クラス1機器としての成立性確保を目標とした。評価には、ビーム窓を中空の半球と見なした簡易モデルを使用した。検討の結果、ビーム窓厚さを2.0mm以上にすると挫屈に対する成立性は確保できるが、ビーム窓内の発熱が増加するため、材料の適用温度を考慮すると3.1mm以下にする必要があることがわかった。今回の挫屈評価は熱応力を考慮していないため、今後この点を考慮した詳細な挫屈解析が必要である。
西原 健司; 中山 真一; 大井川 宏之
no journal, ,
階層型分離変換技術の導入によって、高レベル廃棄物(HLW)から発熱性の核種,白金族、及びアクチノイド核種が取り除かれ、残ったHLWは従来技術であるガラス固化を適用可能である。このガラス固化体の発熱は従来HLWガラス固化体に比べて大きく低減されていることから、現在のTRU廃棄物と同様に大坑道に集積定置して地層処分する可能性を検討した。
根本 義之; 内一 哲哉*; 欅田 理*; 永江 勇二; 高屋 茂; 海老根 典也; 塚田 隆
no journal, ,
これまでの研究により、原子炉構造材のオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC)を、き裂の発生以前に電磁気的手法によって予兆診断できる可能性が指摘されている。そのため、本研究においては照射誘起偏析によって生成する、結晶粒界における幅数nmのCr欠乏領域を熱処理によって模擬した試験片を用いて、高温水中低歪み速度引張り(SSRT)試験及び、導電率,静的/動的電磁特性の評価、また渦電流法,交流磁化法等による電磁気特性評価等を行った。高温水中SSRT試験によって得られた粒界破面率(SCC感受性)は偏析量に依存して上昇していた。また、偏析量に依存して渦電流信号の値が大きくなる傾向を示した。さらに動的電磁特性の評価の結果得られた比透磁率の値も偏析量に依存して高くなっていた。これらの結果から、IASCC感受性と電磁特性の相関関係の要因の一つが、結晶粒界における照射誘起偏析によるCr欠乏領域の生成である可能性が示された。
岩永 宏平; 倉田 有司; 大井川 宏之; 関本 博*
no journal, ,
本研究では、加速器駆動システム(ADS)に特有の問題である高い出力ピーキングを低減することを目的にADSの炉心核設計を行った。ピーキング係数は燃料被覆管温度に対して直接に影響する。出力ピーキングの低減方策としては、燃料ピン径や燃料希釈材割合の調整による炉心の多領域化並びに、サイクルごとの燃料希釈材割合の調整について検討を行った。その結果、一領域炉心に比べて約120度の被覆管表面温度の低減が可能であることがわかった。
棚井 憲治; 藤田 朝雄
no journal, ,
幌延深地層研究計画では、平成17年度に第1段階の地上からの調査研究を終了し、その成果の取りまとめを実施した。ここでは、地上からの調査研究によって得られたデータに基づき設計手法の適用性検討を行った。その結果、設計手法に関しては、第2次取りまとめにおいて示された考え方が適用可能であり、具体的な地質環境をもとにした現実的な設計フローが提示できた。また、人工バリアの長期健全性評価に関しては、第2次取りまとめ以降のモデルの改良や入力パラメータの充足により、手法そのものの信頼性の向上が図られ、その手法が適用可能であることがわかった。
清水 義雄; 水津 祐一; 村上 龍敏; 由利 明哉
no journal, ,
原子力機構のMOX燃料施設の質量管理を行う単一ユニットに核的制限値を設定するにあたり、核的制限値の設定条件となる臨界因子の変動を考慮している。臨界上は核分裂性核種であるPu-239及びPu-241の量が重要であるが、工程が乾式であるためPu-240の高速核分裂の影響も確認すべく、プルトニウム同位体組成の変動評価を行い、核的制限値の設定条件とするプルトニウム同位体組成(Pu-239/Pu-240/Pu-241=80/10/10)の妥当性を確認した。
篠原 正憲
no journal, ,
高温工学試験研究炉(HTTR)での主冷却設備の機器・配管系解析モデルで、30MWでの運転中の熱変位を推定評価した。その結果、機器に設置されているオイルスナバの低速抵抗力を最適化することで熱変位挙動を再現できることを確認した。
佐々木 紀樹; 曽根 智之; 野中 一晴; 山口 大美
no journal, ,
焼却処理に替わる有機系廃棄物の処理技術として、水蒸気改質処理法の開発を実施している。水蒸気改質処理法は、焼却処理に比べて煤やチャーが発生しにくい、排ガス処理系が小さい等の特徴を持っている。処理装置は、廃棄物中の有機物のガス化を行うガス化装置,ガス化した有機物の酸化分解を行う主反応器,排ガス中のハロゲン化水素,リン酸等の除去を行う排ガス処理系から構成される。天然ウラン0.07g/Lを含む廃溶媒(TBPとn-ドデカンの混合物)約200Lを処理し、廃溶媒中のウランのほぼ全量がガス化装置で回収されること及びTBPの分解により生成するリン酸の99%以上がウランと分離されて回収されることを確認した。
乙坂 重嘉; 小林 卓也; 外川 織彦
no journal, ,
原子力機構で開発・高度化を進めている物質移行予測コード(SEA-GEARN)で用いるパラメータのうち、対象海域ごとに決定すべきものの種類と、これらを効率的に取得・決定するための方法を提案する。SEA-GEARNは、溶存相,LPM(大型粒子)相及び、堆積物相の3つのサブモデルで構成されるが、ここではLPM相及び堆積物相でのパラメータについて議論する。堆積物相で必要なパラメータは、堆積物の現場密度,底層海水が堆積物に作用する深度,堆積物の空隙率で、対象海域で堆積物を採取し、一般的なキューブ法による含水率測定等により求めた。いずれのパラメータも、得られた値の海域による違いは小さく、堆積物相パラメータについては、対象海域の広範囲での代表値を求めることでおおむね決定できることがわかった。海水中の粒子濃度,粒子組成,沈降速度といったLPM相でのパラメータは、現場濾過装置実験やセジメントトラップ実験等によって求められ、日本近海におけるLPM濃度は少なくとも2桁の範囲で変化すること、その大幅な変化は有光層内(海洋表面から100m程度)と海底堆積物直上の高濁度層でのみ見られることなどがわかった。
岩月 輝希; 太田 久仁雄; 濱 克宏; 國丸 貴紀
no journal, ,
幌延深地層研究計画の第2段階(坑道を掘削しながら行う調査研究段階)の調査研究の現状の結果と今後の研究計画について概説する。
久野 祐輔; 松本 史朗*; 鈴木 徹; 黒沢 明; 駿河谷 直樹; 角 美香; 石川 文隆
no journal, ,
核物質管理にかかわる計量・保障措置分析はIAEA保障措置協定の要求を満たすうえで非常に重要な役割を果たしてきた。これまでプルトニウムを中心とした核燃料サイクルでは、日本原子力研究開発機構の再処理施設,プルトニウム燃料製造施設などにおいて高いレベルの計量・保障措置分析技術が確立された。しかしながら、当技術基盤となるべき品質保証(QA)体系は必ずしも統一されたものでなく、個々の施設により少なからず相違があるのが現状である。核燃料サイクルの本格化(大規模化)に伴い、IAEAとの協定下で約束されている「国際技術標準レベル」の測定による報告を実行していくためには、今後、国内において共通した技術基準(ガイドライン)を確立し、品質保証レベルを維持向上していくことが不可欠である。そのため国内統一的なQAガイドラインを策定することを目的に、日本原子力学会(核物質管理学会協賛)をベースに保障措置分析技術にかかわる専門委員会を設け、国内全般の核物質計量・保障措置における品質保証基盤作りを図ることを計画している。本発表では当構想について活動計画を紹介する。
線用物品表面汚染モニタによる搬出測定にかかわる放射線管理上の検討山外 功太郎; 川崎 将亜; 川松 頼光
no journal, ,
JIS Z4334(2005年改訂)で、表面汚染モニタ校正用線源に、これまでおもに利用されてきた天然ウラン以外の核種が推奨されるようになった。そのため、これまで天然ウラン面積線源を用いて校正されてきたモニタ類も、推奨核種による校正に順次移行することが望ましい。JISの改正に先駆けて、サーベイメータに関する検討は各方面で報告されている。しかしながら、モニタ類に関する報告例はあまりない。そこで、各種面積線源で校正した表面汚染モニタが、放射線管理の実務に与える影響の程度,その問題点を検討した。
小川 隆; 大木 繁夫; 水野 朋保
no journal, ,
「高速増殖炉サイクルの実用化戦絡調査研究」におけるナトリウム冷却酸化物燃料炉心の設計検討は、多重リサイクルTRU組成を基本として、MA含有率の高い軽水炉使用済燃料から回収したTRUを用いた場合の炉心特性への影響についても評価を行ってきた。本発表は、FBR実用炉に対する設計要求としてMA含有燃料の受け入れが明確化したことに対応して、軽水炉使用済燃料のTRU組成をもとに設定した設計検討用のTRU組成を条件(燃料MA含有率3wt%)として行った大型酸化物燃料炉心の設計検討について報告するものである。MA含有燃料を用いた炉心の仕様は、多重リサイクルTRU組成を条件として構築した「高速増殖炉サイクルの実用化戦絡調査研究」フェーズII代表炉心の上部軸ブラ厚さと下部ガスプレナム長さを変更したのみであり、炉心特性はすべての設計条件を満足しており増殖比1.1、全炉心取出平均燃焼度93GWd/t、運転サイクル長さ26.3か月、ボイド反応度5.7
、ドップラ係数-4.5E-3%Tdk/dTである。
宇都 成昭; 岡野 靖; 永沼 正行; 水野 朋保; 林 秀行
no journal, ,
50MWe出力ナトリウム冷却金属燃料炉心の「長寿命追求型概念」について行った設計研究の成果を報告する。本概念は燃料無交換と高原子炉出口温度(水素製造の観点)の達成を目指すものである。照射実績を重視して燃料スミア密度の上限を75%としたうえで、炉心・燃料仕様を調整することによって、炉心寿命30年、原子炉出口温度550
Cを達成する可能性があることがわかった。炉心寿命中に交換不要な制御棒及び遮へい体の成立性について検討した結果、B
Cを吸収材とする制御棒において、炉心寿命中に吸収体-被覆管機械的相互作用が発生し得ないこと、遮へい性能の向上と炉心コンパクト化の観点から選定したZr-H遮へい要素において、炉心寿命中における被覆管からの水素透過量が適切に抑えられる可能性があることがわかった。
鈴木 元衛; 更田 豊志
no journal, ,
軽水炉の高燃焼度燃料の反応度事故を模擬したNSRR実験におけるパルス入力の直後から数秒までの燃料ペレット内に生じる熱応力をRANNSコードにより解析した。パルス入力とともにペレット外周部で強い圧縮応力状態が生じ、その後全体的に引張り応力状態に変化することが明らかとなった。
濱 克宏; 國丸 貴紀; 操上 広志; 舟木 泰智
no journal, ,
幌延深地層研究計画における地上からの調査研究段階(第1段階)では、研究所設置地区周辺を対象に、現場調査などにより地質環境特性データを取得し、地質環境のモデル化を行ってきた。地上からの地質環境調査の目的は、場の理解を深めることに加えて、調査に適用した調査技術の有効性を確認することである。本報告では、これまでに取得した地質・地質構造,岩盤の水理,地下水の地球化学,岩盤力学に関する知見を紹介し、調査技術の有効性の検討結果について述べる。
小林 嗣幸
no journal, ,
金属電解法で発生した使用済溶融塩中のTRUを向流多段抽出によって液体金属中に回収する場合の分離性能に関する新たな理論的検討を実施した。洗浄ステージの効果について検討した結果、抽出ステージが4段程度以下の場合すべてを抽出ステージとした方が除染係数(DF)が高いことが判明した。使用済塩中のTRU濃度については、濃度が高い方がDFが大きくなることや4段程度の段数ではPuとNp, Am, Cmの相互分離は難しいことがわかった。