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Neudatchin, S. V.*; 滝塚 知典; 林 伸彦; 諫山 明彦; 白井 浩; 藤田 隆明; 鎌田 裕; 小出 芳彦; 鈴木 隆博
Nuclear Fusion, 44(9), p.945 - 953, 2004/09
JT-60Uの正磁気シア放電においてq=3面の近傍で内部輸送障壁(ITB)が形成されることが知られている。JT-60Uの負磁気シアプラズマにおいては、極小q値(qmin)が3.5, 3, 2.5, 2のときのITB形成に対する役割はよくわかっていなかった。ITB事象(ITBの中または近傍で起きる非局所的な閉じ込めの分岐現象)が正及び負磁気シアプラズマで観測されている。十分加熱パワーが大きいとき、ITB事象はqminが有理数でも非有理数でも発生する。このとき電子温度とイオン温度の時間空間変動は類似しており、電子とイオンの輸送機構が同様であることが示唆された。負磁気シアモードにおいてqminが3を通過するとき、改善と劣化の周期的ITB事象の後に強いITBが形成されるのを見いだした。低パワーのときのITB事象はqminが有理数のときにのみ観測された。弱い負磁気シア放電において、イオン温度の上昇がよく観測されているが、qmin=3.5のときに急激な電子温度上昇があるのを見いだした。低パワーのときに見られる電子温度とイオン温度の挙動の相違は、電子とイオンの輸送の非連携性を示唆している。
坂本 宜照; 鈴木 隆博; 井手 俊介; 小出 芳彦; 竹永 秀信; 鎌田 裕; 藤田 隆明; 福田 武司; 滝塚 知典; 白井 浩; et al.
Nuclear Fusion, 44(8), p.876 - 882, 2004/08
被引用回数:34 パーセンタイル:71.27(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいてイオン熱拡散係数の径電場シアに対する応答を調べ、以下の結果を見いだした。(1)正磁気シアプラズマでは、コア部のイオン熱拡散係数は加熱パワーに対してLモード,弱いITB,強いITBへと変化することを示す。しかしながら負磁気シアプラズマでは、加熱パワー増大に伴うイオン熱拡散係数の上昇は観測されない。(2)正磁気シア及び負磁気シアプラズマの弱いITBにおけるイオン熱拡散係数は径電場シアの増大に伴い緩やかに低減する。弱いITBから強いITBへの変化において実効的な径電場シアの閾値が存在する。(3)負磁気シアプラズマにおける実効的な径電場シアの閾値は正磁気シアプラズマよりも小さい。
鈴木 隆博; 井手 俊介; 濱松 清隆; 諫山 明彦; 藤田 隆明; Petty, C. C.*; 池田 佳隆; 梶原 健*; 内藤 磨; 関 正美; et al.
Nuclear Fusion, 44(7), p.699 - 708, 2004/05
被引用回数:32 パーセンタイル:69.35(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおける電子サイクロトロン(EC)波による加熱と電流駆動についての研究を発表する。LH波により生成された負磁気シアプラズマの中心部にEC波を入射し、26keVの電子温度を達成した。規格化小半径0.3程度までの広い領域で電子温度は24keVを超える。電子温度16keVまでの範囲でEC波による電流駆動効率を調べ、電流駆動効率が電子温度に比例することがわかった。規格化電流駆動効率は0.16であった。捕捉粒子効果はEC波の吸収位置に依存し規格化電流駆動効率を減少させると考えられ、不安定性の抑制等のために必要な駆動電流と加熱パワーの評価に影響する。そのための吸収位置に対する依存性を調べた。トーラスの弱磁場側での吸収ではに顕著な減少が観測された。Fokker-Planck計算と合致することから捕捉粒子効果を同定した。
大山 直幸; 朝倉 伸幸; Chankin, A. V.; 及川 聡洋; 杉原 正芳; 竹永 秀信; 伊丹 潔; 三浦 幸俊; 鎌田 裕; 篠原 孝司; et al.
Nuclear Fusion, 44(5), p.582 - 592, 2004/05
被引用回数:46 パーセンタイル:79.62(Physics, Fluids & Plasmas)ELMによるペデスタル崩壊の物理機構を理解することは、ELMに伴う瞬間的な熱・粒子パルスによるダイバータ板の損傷を防ぐために重要である。このようなELM研究を行うため、マイクロ波反射計,FIR干渉計,D線計測,磁気プローブ等の高時間分解を持つ計測器を組合せ、ELMにより密度分布が崩壊していく過程を詳細に計測した。その結果、ELMによる密度ペデスタルの崩壊が、前兆振動フェーズ,崩壊フェーズ,回復フェーズ,緩和フェーズの大きく4つに分けられること及びそれらの時間スケールを明らかにするとともに、崩壊が弱磁場側赤道面近傍に局在化していることを示した。ELMにより吐き出された熱・粒子について、スクレイプオフ層を観測する2本のマッハプローブとダイバータ領域を観測する高速赤外カメラにより計測した。弱磁場側赤道面とX点の2か所のプローブ間でイオン飽和電流のピークの時間が異なっており、この時間遅れはスクレイプオフ層を磁力線に沿って粒子が移動する時間と同程度である。また、ダイバータ板への瞬間的な熱負荷の時間幅は、X点プローブのイオン飽和電流が増加している時間と対応する。これらのことから、ELMによる熱負荷の主な部分は対流的な輸送によりダイバータ板へ到達するものと考えられる。
朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 櫻井 真治; Porter, G. D.*; Rognlien, T. D.*; Rensink, M. E.*; 清水 勝宏; 東島 智; 久保 博孝
Nuclear Fusion, 44(4), p.503 - 512, 2004/04
被引用回数:75 パーセンタイル:89.65(Physics, Fluids & Plasmas)境界層(SOL)におけるプラズマ流は粒子排気や不純物制御へ影響し、その発生機構の解明とダイバータ・プラズマへの影響の評価が求められている。本論文は、プラズマ流の方向や速度を2か所での測定結果から明らかにするとともに、ダイバータへ輸送される粒子束を、強磁場側と低磁場側で初めて定量的に評価した。さらに、ドリフト効果を導入したSOLプラズマ・シミュレーション計算(UEDGE)を行い、測定された流速分布や逆流の発生などの現象が、定性的に再現されることを見いだした。さらに、プライベート部におけるドリフト流による粒子束も評価し、ダイバータ粒子束の内外非対称性が発生する原因であることを明らかにした。実験炉ITERにおけるダイバータ設計の最適化のために、ドリフト効果の検討が必要であることを示唆した。さらに、ガスパフとダイバータ排気を行う際、高磁場側でのSOL流と粒子束が増加することにより、主プラズマ中の不純物イオンを低減することを初めて明らかにした。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 江里 幸一郎; 濱田 一弥; 市毛 尚志; 礒野 高明; et al.
Nuclear Fusion, 44(2), p.329 - 334, 2004/02
超伝導トカマク装置へのJT-60改修が計画されている。原型炉に繋がる先進的な核融合技術として、JT-60改修装置(JT-60SC)の設計のために超伝導マグネット技術やプラズマ対向機器を開発した。JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル用として、高い臨界電流密度を可能とする、高い銅比4のニオブアルミ超伝導素線を新規に開発し、量産化に成功した。この素線と、突合せ溶接で作った全長30mの丸穴四角のステンレス製コンジットを用いて、実機サイズのケーブル・イン・コンジット導体を製作した。この導体を使用して、リアクト&ワインド法(熱処理後に巻線作業を行う製作方法)を実証するR&Dを進めている。ニオブアルミ導体の歪み劣化が小さいことを利用したこの製作方法は、将来の大型コイル製作の技術的な信頼性向上と低コストに繋がる先進的な超伝導技術として注目されている。JT-60SCのダイバータへの熱負荷10-15MW/mに耐える機器として、スクリュウ管を銅製ヒートシンクに設け、これと炭素繊維複合材,緩衝材を一体ロウ付けすることで、良好なプラズマ対向機器を開発した。電子ビーム照射試験により、この対向機器は従来のスワール管の場合と比較して約1.5倍の高い熱伝達率を達成することを明らかにした。
嶋田 道也; Mukhovatov, V.*; Federici, G.*; Gribov, Y.*; Kukushkin, A.*; 村上 好樹*; Polevoi, A. R.*; Pustovitov, V. D.*; 仙石 盛夫; 杉原 正芳
Nuclear Fusion, 44(2), p.350 - 356, 2004/02
ITERの誘導運転において10以上のQを達成することの確実性をさらに向上させた。経験則による解析によると、ITERでは十分な裕度をもって10以上のQを達成できる。理論モデルを用いた解析によれば、10以上のQを達成するためには2-4keV以上の周辺ペデスタル温度が必要であるが、ペデスタルの比例則によると、この程度のペデスタル温度は達成可能である。タイプIのELMに伴う熱負荷は高密度運転によって許容範囲に低減できる可能性がある。もし必要であればダイバータ板をさらに傾斜させ、さらに熱流束密度を低減させることもできる。高密度側からペレット入射によってQを増加させELM熱負荷を低減できる可能性がある。また閉じ込め性能とベータ値への要求度がより少ない定常運転シナリオを開発した。このような運転領域で必要となる抵抗性壁モードの安定化は、真空容器が二重構造を持つことを考慮しても現有のコイル及び電源で実現可能であることを明らかにした。
井手 俊介; 鈴木 隆博; 坂本 宜照; 竹永 秀信; 藤田 隆明; 大山 直幸; 諫山 明彦; 小出 芳彦; 鎌田 裕; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 44(1), p.87 - 92, 2004/01
被引用回数:20 パーセンタイル:53.93(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、高閉じ込めの負磁気シア放電において、電流分布の制御性と閉じ込めとの関連を調べた。その結果、周辺電流駆動により閉じ込め性能に重要な内部輸送障壁の位置を広げることができ、それにより閉じ込め性能を改善できうることを示した。また、中心電流駆動を組合せることにより、負磁気シア領域での安全係数を下げることができることを示した。これらの電流駆動を組合せることにより完全電流駆動を実現するとともに、ITERの先進運転シナリオで要求されている高閉じ込め性能を高規格化密度領域で実証した。一方、電子加熱が主体となる領域での内部輸送障壁の性質を調べた。高閉じ込め負磁気シアプラズマにおいては、電子加熱割合が増加しても内部輸送障壁や閉じ込め性能に大きな影響を与えないことを明らかにした。正磁気シアプラズマにおいては、電子加熱により内部輸送障壁が減衰あるいは消滅する場合が有ることを明らかにした。炉心プラズマでは電子加熱が主体となるため、これら得られた知見は重要である。
藤田 隆明; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 43(12), p.1527 - 1539, 2003/12
被引用回数:32 パーセンタイル:67.38(Physics, Fluids & Plasmas)高総合性能に向けての最近のJT-60Uの結果を炉心相当条件への見通しに力点をおいて報告する。負イオン源中性粒子ビーム及び電子サイクロトロン波のパワーはそれぞれ、6.2MW,3MWに達した。完全非誘導電流駆動の高ポロイダルベータHモードが1.8MAで得られ、核融合三重積は3.1E20mkeVsに達した。実時間制御を用いた新古典テアリングモードの抑制に成功し、規格化ベータの改善が得られた。電流ホールの安定な存在が観測された。DT等価核融合エネルギー増倍率0.8を0.55秒間維持した。負イオン源中性粒子ビーム及び低域混成波を用いて高自発電流割合の負磁気シアプラズマにおける電流分布制御を実証した。中心ソレノイドコイルを用いずに高い自発電流割合及び内部輸送障壁を有するプラズマを生成する新しい運転シナリオを開発した。新しいタイプのアルヴェン固有モードを提案し、それにより観測された周波数の時間的変化を説明できることがわかった。高ポロイダルベータモードにおいて電子サイクロトロン波によりアルゴンを排出した。
神谷 健作; 木村 晴行; 小川 宏明; 川島 寿人; 都筑 和泰; 佐藤 正泰; 三浦 幸俊; JFT-2Mグループ
Nuclear Fusion, 43(10), p.1214 - 1219, 2003/10
JFT-2M装置において、第一壁のボロン化後に高リサイクリング定常(HRS)H-modeが得られる新しい運転領域を開拓した。このH-modeは定常性を有しており、大きなELMが無いのでダイバータ板への熱負荷を低減でき、グリーンワルド密度(nGW)の約70%付近までの高密度運転が可能である(閉じ込め改善度: 1.5)。HRS H-mode遷移時にコヒーレント成分を有する特徴的な磁場揺動が観測されており、その運転領域は比較的高い中性粒子圧力下での高密度(ne/nGW0.4)で観測され易いが、広い範囲の安全係数q95(2q953付近の低q95でも)で得られている。HRS H-mode境界の最大の特徴は、プラズマコア部の閉じ込め改善モードと両立可能な点にある。今回、HRS H-mode境界に内部輸送障壁(ITB)を重畳させることによって、過渡的ながら規格化ベータ値()が~3に達する高性能プラズマを得ている。
竹永 秀信; 東島 智; 大山 直幸; Bruskin, L. G.; 小出 芳彦; 井手 俊介; 白井 浩; 坂本 宜照; 鈴木 隆博; Hill, K. W.*; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1235 - 1245, 2003/10
被引用回数:73 パーセンタイル:88.55(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シア及び高モードプラズマにおける内部輸送障壁(ITB)での粒子と熱輸送の関係について系統的に調べた。ヘリウムと炭素はITB内側で蓄積しないが、重不純物のアルゴンはITB内側で蓄積することを明らかにした。ヘリウムの拡散係数とイオンの熱拡散係数は、高モードプラズマでは、新古典値より5-10倍程度大きく、異常輸送が支配的である。負磁気シアプラズマでは、ヘリウムの拡散係数はイオンの熱拡散係数とともに、異常拡散が支配的な領域から新古典値程度まで減少する。炭素及びアルゴンの密度分布は、イオンの熱拡散係数が新古典値程度まで減少していても、新古典理論から計算される分布より平坦であり、炭素,アルゴンの拡散係数は新古典値より大きい。高モードプラズマに電子サイクロトロン加熱(ECH)を適用した場合に、密度と中心部の軟X線強度が顕著に減少し、アルゴンが中心領域から吐き出されることを見いだした。このとき、密度のITBはほぼ無くなっており、それにより新古典理論で予測される密度勾配によるアルゴンの内向き速度が減少する。負磁気シアプラズマでは、ECHによる明確な密度及び軟X線強度の減少は観測されなかった。このことは、不純物の蓄積を抑えるためには、密度勾配の制御が重要であることを示している。
諫山 明彦; 鎌田 裕; 林 伸彦; 鈴木 隆博; 及川 聡洋; 藤田 隆明; 福田 武司; 井手 俊介; 竹永 秀信; 牛草 健吉; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1272 - 1278, 2003/10
被引用回数:131 パーセンタイル:95.57(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uでは定常高 Hモード放電の最適化を行い、以下の結果を得た。(1)NNBを用いて完全非誘導電流駆動の下で核融合三重積310mskeV(世界最高値)を達成した。この結果は従来の結果を50%上回る。(2)規格化ベータ値が2.7のプラズマをNBや電源の機器限界に近い7.4秒間(エネルギー閉じ込め時間の約60倍)維持した。(3)高規格化ベータ値(=3.05)のプラズマをエネルギー閉じ込め時間の5倍の間維持した。(4)電流分布や圧力分布の最適化により新古典テアリングモードの発生を再現性よく抑制した。(5)電子温度揺動分布から磁気島中心を実時間で検出し電子サイクロトロン電流駆動を行うシステムを開発し、高ベータ領域(=1.1,=1.5)における新古典テアリングモードを完全に安定化した。安定化後ベータ値や閉じ込め改善度が上昇した。
都筑 和泰; 木村 晴行; 川島 寿人; 佐藤 正泰; 神谷 健作; 篠原 孝司; 小川 宏明; 星野 克道; Bakhtiari, M.; 河西 敏; et al.
Nuclear Fusion, 43(10), p.1288 - 1293, 2003/10
被引用回数:39 パーセンタイル:73.43(Physics, Fluids & Plasmas)JFT-2Mでは、原型炉のブランケット構造材料の候補である低放射化フェライト鋼とプラズマとの適合性を調べる実験を進めてきている。昨年度にはフェライト鋼内壁を真空容器内に全面的に設置する作業を行い、今年度より実験を開始している。プラズマ生成,制御は問題なく行われ、金属不純物の放出も検出限界以下であった。改善閉じ込め(Hモード)も実現され、そのしきいパワーもこれまでと同等であった。プラズマ安定性に関してもこれまでの所悪影響は観測されておらず、規格化が3を超える放電との共存性も示された。高速イオンのリップル損失に関しても顕著な低減が実証された。以上のように、フェライト鋼の悪影響は小さく、有望な結果を得ている。JFT-2Mでは、その他にも先進的、基礎的な研究を行っている。先進的粒子供給手法であるコンパクトトロイド(CT)入射実験においては、再現性よくプラズマ中へ入射が行われ、CT入射に伴う密度の急上昇が初めて明確に観測された。
河村 弘; 石塚 悦男; 土谷 邦彦; 中道 勝; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中村 和幸; 伊藤 治彦; 中沢 哲也; 高橋 平七郎*; et al.
Nuclear Fusion, 43(8), p.675 - 680, 2003/08
被引用回数:28 パーセンタイル:63.16(Physics, Fluids & Plasmas)核融合原型炉を実現するために、先進ブランケットの設計研究が行われている。これらの設計では、より高い発電効率を目指して冷却材温度を500以上としており、高温に耐え、また高中性子照射量まで使用できるブランケット材料(トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料)の開発が求められている。本論文では、原研及び国内の大学、産業界が共同で実施してきたこれら先進ブランケット材料の開発の現状について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、トリチウム放出特性に悪影響を及す高温での結晶粒径成長を抑制できる材料の開発として、TiOを添加したLiTiOに注目し、湿式造粒法による微小球の製造技術開発を実施した。この結果、固体ブランケットに用いる微小球製造に見通しが得られた。中性子増倍材料に関しては、融点が高く化学的に安定な材料としてベリリウム金属間化合物であるBeTi等に注目し、回転電極法による微小球の製造技術開発及び特性評価を実施した。この結果、ベリリウムの含有量を化学量論値より多くすることにより、延性を増すことによって、微小球の製造に見通しが得られた。また、BeTiはベリリウムより中性子照射によるスエリングが小さいことなど、優れた特性を有していることが明らかとなった。
梅田 尚孝; Grisham, L. R.*; 山本 巧; 栗山 正明; 河合 視己人; 大賀 徳道; 藻垣 和彦; 秋野 昇; 山崎 晴幸*; 薄井 勝富; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.522 - 526, 2003/07
被引用回数:39 パーセンタイル:73.43(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60用負イオンNBIはプラズマ加熱と電流駆動を目的として設計され1996年より運転を行っている。目標性能はビームエネルギー500keV,入射パワー10MW,パルス幅10秒の中性粒子ビームをプラズマに入射することである。今まで、パルス幅はポートリミタの過大な熱負荷のために5.3秒に制限されていた。3.5mの位置での負イオンビームの分布を計測することによって、電極セグメント端部のビームが外側へ偏向していることが明らかになった。引出部下流における凹みによる電界の不整が原因であった。これを改善することによって、端部のビームの偏向を14mradから4mradまで減少させた。この結果、定格の10秒入射をビームエネルギー355keV,入射パワー2.6MWで達成した。
篠原 孝司; 川島 寿人; 都筑 和泰; 浦田 一宏*; 佐藤 正泰; 小川 宏明; 神谷 健作; 笹尾 一; 木村 晴行; 河西 敏; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.586 - 593, 2003/07
被引用回数:49 パーセンタイル:79.52(Physics, Fluids & Plasmas)JFT-2MではAdvanced Material Tokamak Experiment (AMTEX) プログラマの第3段階として真空容器内にプラズマをほぼ覆うようにフェライト鋼壁を設置した(FIW)。ポートと周期的な設置が困難なため、磁場構造は、非周期的な複雑リップルとなる。このような複雑リップル下で、その高速イオン損失に与える影響を理解するための実験を行った。FIWではフェライト鋼の厚みを最適化することでトロイダル磁場リップルの強さを小さくしているが、この手法によるトロイダル磁場リップルの低減が観測され、さらに、リップルの低減に伴い、高エネルギー粒子の損失の低減が確認された。また、積極的に磁場構造を変えるために真空容器の外に外部フェライト鋼をつけた実験も行った。結果、局所リップルの役割はリップル井戸のポロイダル断面形状の影響を強く受けることがわかった。さらに、複雑磁場構造を扱えるように改良したOFMCコードと実験結果の比較を行った。実験で使用したさまざまな複雑磁場構造の熱流速について、実験結果と計算結果が良い一致を示した。
石井 康友; 安積 正史; 岸本 泰明; Leboeuf, J. N.*
Nuclear Fusion, 43(7), p.539 - 546, 2003/07
逆転(負)磁気シアプラズマで重要となるダブルティアリングモード(DTM)に新しい磁気再結合現象を伴う非線形不安定化過程が存在することを明らかにした。この非線形不安定化過程は、抵抗性時間スケールでの長時間成長における、磁気島の三角変形に伴った局所的な電流シート(電流点)形成に起因する。その結果引き起こされるDTMの急激な成長領域では、成長率の抵抗値依存性が非常に弱くなることがわかった。この過程は、JT-60Uの負磁気シアプラズマの低ベータディスラプションで観測されている時間遷移現象と対応する可能性がある。
佐藤 聡; 落合 謙太郎; 堀 順一; Verzilov, Y. M.; Klix, A.; 和田 政行*; 寺田 泰陽*; 山内 通則*; 森本 裕一*; 西谷 健夫
Nuclear Fusion, 43(7), p.527 - 530, 2003/07
被引用回数:16 パーセンタイル:45.85(Physics, Fluids & Plasmas)原研FNSのDT核融合中性子線源を用いて、原型炉ブランケットに関する中性子工学実験を行った。ブランケット内トリチウム生成実験とシーケンシャル反応断面積測定実験を行った。「ブランケット内トリチウム生成実験」核融合原型炉の増殖ブランケット模擬体系積分実験を実施し、生成トリチウムに対する測定値と計算値の比較・検討を行った。モンテカルロ中性子輸送計算コードMCNPと核データJENDL-3.2による計算値は実験値より1.2~1.4倍過大評価であり、その原因解明のために、ベリリウムの(n, 2n)反応の二重微分断面積については再検討の必要性を示す結果が得られた。「シーケンシャル反応断面積測定実験」冷却水からの反跳陽子による冷却水配管表面のシーケンシャル反応率を、鉄,銅,チタン,バナジウム,タングステン,鉛に対して測定した。冷却水配管表面のシーケンシャル反応率は、材料自身のシーケンシャル反応率に比べて、一桁以上増加することを明らかにした。
石田 真一; 阿部 勝憲*; 安藤 晃*; Chujo, T.*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 後藤 誠一*; 花田 和明*; 畑山 明聖*; 日野 友明*; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.606 - 613, 2003/07
原型炉の経済性と環境適合性のさらなる向上を図るため、大学等との連携協力によりJT-60を超伝導トカマクへ改修する計画を推進している。目的は、原型炉と同様に強磁性体である低放射化フェライト鋼をプラズマの近くに設置して、高ベータで自発電流割合が高く、高度なダイバータ熱粒子制御を持ち、ディスラプション頻度の少ない定常運転を実現することである。JT-60の既存設備を最大限活用し、新たに導入する超伝導トロイダル及びポロイダル磁場コイルを用いて、主半径2.8m,プラズマ電流4MA,トロイダル磁場3.8Tの高非円形かつ高三角度配位のシングルヌル・プラズマの100秒運転を行う。原型炉の設計例から設定された高い達成目標の実現を目指し、高ベータプラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱粒子制御、及びフェライト鋼のプラズマ適合性の実証という重要課題に取り組むことができるよう設計を行った。
古川 勝; 徳田 伸二; 若谷 誠宏*
Nuclear Fusion, 43(6), p.425 - 429, 2003/06
トロイダルシア流が存在すると、高バルーニングモードの摂動エネルギーの時間発展に減衰フェーズが現れることを数値的に発見した。その減衰が、悪い磁場曲率の領域における指数的成長を上回ると、バルーニングモードは安定化される。この機構を通じて、プラズマ断面形状のD型化,低アスペクト比化、及びトーラス内側のX点の存在は、トロイダルシア流による安定化効果をより強くする。