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田中 知*; 高津 英幸
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.865 - 869, 2008/12
被引用回数:14 パーセンタイル:65.14(Nuclear Science & Technology)ITER計画が建設段階に入ろうとしており、また、並行して、日欧協力の下、幅広いアプローチ活動が開始されており、世界の核融合計画は新たな段階に移ろうとしている。我が国の原子力委員会では、このような動きを受けて、第三段階基本計画のレビューを行い、同基本計画設定後の10年間の研究開発活動を評価するとともに、今後の研究開発活動の進め方を検討した。その中で、ITERの運転開始後7, 8年後にはITERの技術目標が達成しうるであろうとの判断の下、核融合エネルギー利用の早期実現を目指して、ITERの次の段階である原型炉に対して必要となる研究開発のポルトフォリオとロードマップを提示した。本論文では、このような我が国の核融合政策の下に、おもに核融合炉工学の観点から、原型炉に向けて必要となる最小限の研究開発項目とロードマップを示し、その中で、ITER計画や幅広いアプローチ活動の役割を論じる。
洲 亘; 磯部 兼嗣; 山西 敏彦
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1044 - 1048, 2008/12
被引用回数:48 パーセンタイル:92.85(Nuclear Science & Technology)タングステンでのブリスタリング挙動と滞留挙動の解明が炉心プラズマへの不純物制御やトリチウム滞留量の制御にとって重要である。本研究では、高フラックス・低エネルギーの重水素プラズマ照射によるタングステンのブリスタリングと重水素滞留の温度依存性を調べた。315Kにおいては、入射フルエンスが10D/m
になっても、まれな低ドームのブリスタしか観測されなかった。温度の上昇とともにブリスタの数も増えるし、そのドームも高くなった。500K付近になると、2種類のブリスタが現れた。大きいブリスタ(数十ミクロンまで)と微細なブリスタ(数ミクロン以下)は、両方ともそのドーム高さと外径との比率が従来報告値の一桁以上であった。600K以上になるとブリスタの数が減るが、1000Kにおいてはブリスタが観測されなかった。また、高フルエンス照射後昇温脱離実験により、重水素滞留量が500K付近に最大値を持っていることを確認した。タングステンの温度を制御することで水素同位体プラズマによるブリスタリングと水素滞留を抑制できることを明らかにした。
今野 力; 落合 謙太郎; 和田 政行*; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1774 - 1781, 2008/12
被引用回数:14 パーセンタイル:65.14(Nuclear Science & Technology)原子力機構FNSではこれまでにDT中性子による数多くの核データ検証積分ベンチマーク実験(単純組成・単純形状実験,飛行時間法実験,増殖ブランケット実験)を行ってきた。ここ数年で、新たに核データライブラリーJENDL-3.3, FENDL-2.1, JEFF-3.1及びENDF/B-VII.0が公開されているが、積分ベンチマーク実験の解析を通して、これらの核データライブラリーの妥当性検証を行うことが不可欠である。そこで、われわれは原子力機構FNSで実施した種々のベンチマーク実験の解析をFENDL-2.1及び他の最新の核データライブラリーを用いて行った。この解析にはモンテカルロコードMCNP-4Cを用いた。得られた計算結果を実験結果と比較するとともに、計算結果どうしの比較も行った。一部の実験を除いてJENDL-3.3, FENDL-2.1, JEFF-3.1及びENDF/B-VII.0の計算結果はほとんど一致し、実験結果をよく再現した。
廣瀬 貴規; 榎枝 幹男; 荻原 寛之; 谷川 博康; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1176 - 1180, 2008/12
被引用回数:16 パーセンタイル:69.07(Nuclear Science & Technology)熱間等方圧加圧(HIP)法を用いて、低放射化フェライト鋼(F82H)製の実規模ITERテストブランケット構造物第一壁を試作し、工業的に実施可能な方法で第一壁構造物を製作する見通しを得た。本研究では、HIP接合に影響を及ぼす組み立て時の部品間の隙間を極小化する加工方法を明らかにした。さらに構造材料F82Hの材料特性を損なわないHIP処理条件を確立した。これにより、優れた寸法精度と材料特性を両立させるブランケット構造物を製作することに成功した。
落合 謙太郎; 佐藤 聡; 和田 政行*; 飯田 浩正; 高倉 耕祐; 沓掛 忠三; 田中 滋; 阿部 雄一; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1725 - 1728, 2008/12
被引用回数:1 パーセンタイル:9.62(Nuclear Science & Technology)ITER/ITAタスクにおいて、ITER真空容器壁と水平ポートプラグの境界にあるギャップ構造を模擬した体系によるDT中性子ストリーミング実験を実施した。ギャップ空間の高速及び低速中性子を測定するためにマイクロフィッションチェンバーと放射化箔による核分裂率及び反応率測定を行った。実験解析にはモンテカルロ計算コードMCNP4C並びにSn計算コードTORT, Attilaを用いた。核データライブラリはFENDL-2.1を採用した。実験結果から以下のことが明らかになった。(1)MCNP, TORT及びAttilaによる高速中性子輸送計算は深さ約100cmまで精度よく評価できる。(2)Sn計算コードTORT及びAttilaではupward biasedあるいはlast collided線源計算手法が不可欠である。
鶴 大悟; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1238 - 1243, 2008/12
被引用回数:6 パーセンタイル:38.49(Nuclear Science & Technology)本報では、水冷却固体増殖テストブランケットモジュール(WCSB TBM)の加熱事象に対する安全評価、及び特にBe-水化学反応に対する安全確保の方策について述べる。3つの代表事象シーケンスに対して、一次元伝熱解析を実施した。プラズマ運転中のTBM冷却喪失事象では、TBMの温度が全体的に上昇し、第一壁温度の上昇により、ディスラプションが発生しプラズマが停止する。この際に化学反応が活性化しないように、予想される最高温度条件でも冷却管が破断しないような設計が求められる。プラズマ運転中のTBM内冷却材浸入事象では、Be-水化学反応の熱負荷がTBMに加えられる。冷却材浸入により冷却材の一部が冷却系から失われるが、冷却系は稼動を継続することが求められる。冷却材浸入後の外部電源喪失事象では、事象が収束することを確認した。
鶴 大悟; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1747 - 1752, 2008/12
被引用回数:12 パーセンタイル:59.93(Nuclear Science & Technology)本報では、日本の水冷却固体増殖テストブランケットモジュール(WCSB TBM)の安全評価活動の現状を報告する。核発熱及び放射能生成のソースターム見積りのために、中性子束,トリチウム生成率,核発熱,崩壊熱及び廃棄物の放射能を算出した。従事者被爆(ORE)評価のために、ペブルベッド内トリチウム,パージガス内トリチウム,冷却系内に透過したトリチウム,冷却系内放射化腐食生成物(ACP)といったRIインベントリーを算出した。FMEAを実施し、安全評価を必要とする事象を選定し、さらにその中から他の事象を包絡する代表事象(PIE)を選定した。選定されたPIEは、RI放出,加圧,加熱の3つのグループに分類される。RI放出に関しては、真空容器内RI(トリチウム及び放射化ダスト),パージガス内RI(トリチウム),冷却系内RI(トリチウム及びACP)といった3つのインベントリーごとに、最大放出量を見積った。加圧に関しては、冷却系配管の破断による隣接区画の加圧事象の数値解析を行った。
佐藤 聡; 落合 謙太郎; 和田 政行*; 今野 力; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1304 - 1308, 2008/12
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)これまでに行われてきたFNSでのDT中性子照射ブランケット核特性実験において、線源の周囲に反射体を設置した実験及びベリリウムと接している増殖材層の後側境界面付近でのトリチウム生成率の計算値は、測定値を10%以上過大評価した。これらの過大評価の原因として、鉄やベリリウムの後方散乱中性子に問題がある可能性を指摘した。本研究では、核データライブラリーFENDL-2.1の鉄及びベリリウムの後方散乱断面積に関する角度分布を変更して、これまで行ったブランケット核特性実験の再評価を行い、過大評価が改善されるかどうかを調べた。0.11MeV以下の入射中性子に対するFeの弾性散乱の角度分布の後方部分を一様に50%減らした結果、反射体付き実験における過大評価が約5%改善した。また0.62
14.94MeVの入射中性子に対する
Beの弾性散乱の角度分布の後方部分を一様に20%及び30%減らした結果、ベリリウムと接している増殖材層の後側境界面付近での過大評価が3
6%改善した。これらの結果、弾性散乱の角度分布を変更することにより、トリチウム生成率予測精度を改善させることができることがわかった。
河村 繕範; 大西 祥広*; 奥野 健二*; 山西 敏彦
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1384 - 1387, 2008/12
被引用回数:14 パーセンタイル:65.14(Nuclear Science & Technology)低温分離カラムを擁するガスクロマトグラフは水素同位体分析手段の一つである。しかし、液体窒素でカラムを冷却するため分析時間が長く取り回しにも難がある。比較的高い温度で十分な水素同位体分離性能を示すカラムの開発は、この弱点を解決する方法の一つである。モルデナイトは合成ゼオライトの一種で、比較的高い温度で水素同位体を分離できることが報告されているが、水素同位体吸脱着特性は明らかではない。そこで、水素同位体吸脱着特性把握の一環として、本研究ではモルデナイトの分離カラムを作成して水素同位体の分離性能を調べ、クロマトグラフから物質移動係数を求めた。本研究で作成したカラムは144KではHとD
をほぼ完全に分離できたが195Kでは分離できなかった。本実験結果は水素同位体を比較的高い温度で分離できる合成ゼオライトの存在の可能性を示すものである。また、カラム材の開発においては水素同位体分離に影響をする要因の特定が重要である。
松川 誠; 菊池 満; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 林 孝夫; 東島 智; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井手 俊介; 石田 真一; et al.
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.795 - 803, 2008/12
被引用回数:17 パーセンタイル:70.80(Nuclear Science & Technology)JT-60SAは、日欧の幅広いアプローチの下で建設する完全超伝導トカマク装置で、ITERや原型炉への貢献を目指している。2007年の両極の国会批准後、実質的には既に建設段階に移行している。JT-60SAは、既存の建屋,電源,プラズマ加熱装置,計測装置などの、JT-60U設備の最大限の有効利用が前提であり、完全に新作する主たる機器は本体装置のみである。最大プラズマは電流5.5MAで、プラズマ主半径3.06m,アスペクト比2.65,非円形度1.76,三確度0.36である。最大プラズマ加熱入力41MW,プラズマ電流のフラットトップ時間は100秒間である。本論文では、トカマク装置本体だけでなく、プラズマ加熱装置や遠隔保守装置の設計などについても言及するとともに、EUとの技術的な議論を踏まえて行った超伝導導体に関する最近の設計変更案などを紹介し、装置の全体像を明らかにする。
中道 勝; 石塚 悦男; 島川 聡司; 菅 智史*
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1321 - 1325, 2008/12
被引用回数:2 パーセンタイル:16.27(Nuclear Science & Technology)国際熱核融合実験炉(ITER)では、原型炉用ブランケット開発のため、テストブランケットモジュール(TBM)を取付けトリチウム生成・回収特性などを評価する。このTBM開発のため、材料試験炉(JMTR)を用いて、ITERパルス運転を模擬した照射試験(ブランケット照射試験)が計画されており、その照射試験体開発のため、耐放射線性を有する小型モータの開発を実施した。本モータ開発においては、構成部材を耐放射線性の高い材料に変更することに加えて、有機系潤滑剤を使用しない構造にすることによって、耐放射線性を格段に向上させることに成功した。照射試験の結果、本モータは、市販モータの仕様限度の約700倍の線照射量まで照射しても健全であることが明らかになった。
小川 宏明; 杉江 達夫; 河西 敏*; 勝沼 淳*; 原 玲丞*; 武山 芸英*; 草間 義紀
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1405 - 1409, 2008/12
被引用回数:16 パーセンタイル:69.07(Nuclear Science & Technology)ダイバータ不純物モニターは、ITERのダイバータ部から発光する不純物イオン,重水素及びトリチウムのスペクトル線の強度分布を測定し、不純物制御及びダイバータ制御に使用するデータを提供するための計測装置である。これまで進めてきた光学設計をもとに、シャッターを含めた先端部光学系の機械設計を行い、ITERで想定される核発熱を仮定した熱解析を行った。その結果、十分な冷却流路を確保し、ミラーホルダーを熱伝導率の高い銅合金で製作することにより、ミラーを熱伝導のみで冷却できることを明らかにした。本モニターでは、広い波長範囲(2001000nm)で色収差を補正したカセグレン型集光光学系やマイクロ光学素子(マイクロレトローリフレクターアレイ,マイクロレンズアレイ)等の新しい光学機器を使用する光学設計を採用した。そこで、これらの機器の試作・試験を行った。試作したマイクロレトローリフレクターアレイの反射率は17%(波長:400nm)
27%(波長:850nm)であり、感度較正に必要な反射光強度が得られる見通しであることを確認した。また、試作したカセグレン型望集光光学系の焦点距離は設計値と2%以内で一致しており、良好な結像特性が得られた。
中平 昌隆; 武田 信和; 角舘 聡; 小野塚 正紀*
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1578 - 1582, 2008/12
被引用回数:5 パーセンタイル:33.53(Nuclear Science & Technology)ITER真空容器の構造と製作法は国際チームで検討されてきたが、製作上の課題を有し、コスト削減が望まれる。本論文では、日本の提案する製作法と現設計の差異を示し、実規模部分モデルにおける一連の製作方法を紹介する。また、実規模部分モデルの製作試験から得られた結果として、非破壊試験,溶接変形,製作上明らかとなった課題などを提示する。
武田 信和; 角舘 聡; 中平 昌隆; 柴沼 清; Tesini, A.*
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1837 - 1840, 2008/12
被引用回数:14 パーセンタイル:65.14(Nuclear Science & Technology)ITERでは、DT反応によって生じる中性子が構造物を放射化するため、真空容器内機器の保守は遠隔装置によって実施する必要がある。遠隔装置を運用する際、保守対象機器あるいは真空容器との衝突回避は最重要課題である。このため、これらの機器の配置状況を把握することは必要不可欠であり、真空容器内における視覚情報を取得することが最も望ましい。しかし、高放射線環境下であることを考慮すると、カメラを設置することは難しく、また、保守対象機器と真空容器とのインターフェイスは対象機器自身あるいはほかの機器によって視線を遮られることが多いため、視覚情報のみによってこれらの接触状況を把握することは困難である。以上の理由から、真空容器内における各機器の位置情報等を把握するためのシミュレータは核融合における遠隔保守システムにおいて必要不可欠である。著者らは一般的な3Dロボットシミュレーションソフトウエアである"ENVISION"を用いて、ITERブランケット遠隔保守システム用シミュレータを構築した。シミュレータはITER工学設計活動期間中にブランケット保守システムの一部として開発されたマニピュレータの制御装置に接続されており、LANを通じて得られるモータの位置データを用いてマニピュレータとブランケットモジュールの位置を再現できる。さらにシミュレータは、ブランケットモジュールをスクリーン上で半透明にすることによりその背後で行われる接続操作を示す等、仮想的な視覚情報を提供することも可能である。また、実際の運転前に保守手順を確認することにも用いられる。
中村 博雄; Agostini, P.*; 荒 邦章; Cevolani, S.*; 千田 輝夫*; Ciotti, M.*; 深田 智*; 古谷 一幸*; Garin, P.*; Gessii, A.*; et al.
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.1007 - 1014, 2008/12
被引用回数:20 パーセンタイル:75.81(Nuclear Science & Technology)本報告では、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の液体リチウム(Li)ターゲットの最近の設計について述べる。IFMIFは、核融合材料照射のための加速器型中性子源である。中性子は、重陽子ビームを液体Li流に照射して発生させる。ターゲット系の主な設計要求は、1GW/mの熱負荷除熱のための流速10m/sから20m/sで安定なLi流を実現することである。そのため、2段絞りのノズル及び曲面流が採用され、流動特性は水とLi流実験で確証された。純化系は、コールドトラップ及び2種類のホットトラップから構成されており、トリチウム,ベリリウム7,酸素,窒素,炭素等を、許容量以下に制御する。窒素は10ppm以下に、トリチウムは1ppm以下である。また、信頼性のある長期運転のため、自由表面計測など種々の計測器が設置される。ターゲットアセンブリの背面壁は、50dpa/yの中性子照射を受けるため、遠隔操作で交換可能な構造が不可欠であり、2つの方式が検討中である。
浅井 啓輔*; 湯川 恭平*; 井口 哲夫*; 直井 紀拓*; 渡辺 賢一*; 河原林 順*; 山内 通則*; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1818 - 1821, 2008/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)DTプラズマ中のD/T比は、DD/DT反応によって発生するDD中性子(2.45MeV)とDT中性子(14.1MeV)の測定によりそれらの中性子強度比から求めることができ、測定にはDT中性子中の微量なDD中性子の検出が鍵となる。本研究では、TOF法をベースに、飛行時間を測定するシンチレータ対の前に中性子散乱体(水)を挿入した多重散乱飛行時間中性子スペクトロメータ(MS-TOF)の開発を行っている。本システムは、ビームライン上にアクティブな検出器を持たないことと中性子散乱体中の水素原子核がDT中性子よりもDD中性子に対して大きな弾性散乱断面積を有することを利用して、シンチレータ対に入射する中性子束のDD/DT中性子強度比を向上させることができ、微量DD中性子の検出に有利である。今回は、日本原子力研究開発機構核融合中性子源施設FNSの加速器DT中性子源を用いて、本システムによるDT中性子ビーム中の微量DD中性子検出を試みた。その結果、DT中性子ピークとともにDD中性子ピークも観測できた。また予備的ながら、使用した中性子ビーム中のDD/DT中性子強度比を評価し、妥当な結果を得た。
栗原 研一; Lister, J. B.*; Humphreys, D. A.*; Ferron, J. R.*; Treutterer, W.*; Sartori, F.*; Felton, R.*; Brmond, S.*; Moreau, P.*; JET-EFDA Contributors*
Fusion Engineering and Design, 83(7-9), p.959 - 970, 2008/12
被引用回数:28 パーセンタイル:83.84(Nuclear Science & Technology)ITER建設が開始され将来の核融合発電炉に向けて一歩前進した現在、既存の大型中型トカマク装置は、残された重大な課題である「高性能プラズマ(高圧力,高自発電流割合)の生成と定常維持及び不安定性の完全回避」の方策を見いだすことが求められている。さらにその方策をITERにおける燃焼プラズマ実験で検証されることが必要である。これらの課題が発電炉への主たる障害であることはいわば共通認識であるので、ITERにおけるプラズマ制御システムは、既存のトカマク実験で得られた経験を外挿できる機能と、将来の新たな知見に柔軟に適応できる構造(制御システムの進化)という重要な2面を合わせ持たなければならない。このような趣旨から、まず現在稼働している装置におけるプラズマ制御システムの特徴や機能をソフト/ハード両面からレビューする。次にITERのCODAC設計から要求事項をサーベイする。さらに、プラズマ制御システムにおける柔軟構造の意味を、将来の要求を想定しながら議論する。最後に、将来のプラズマ制御システム像を描き出す。
芝間 祐介; 櫻井 真治; 正木 圭; 助川 篤彦; 神永 敦嗣; 逆井 章; 松川 誠
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1605 - 1609, 2008/12
被引用回数:7 パーセンタイル:38.49(Nuclear Science & Technology)JT-60SAクライオスタットの概念設計について報告する。JT-60SAは、重水素運転を想定し、真空容器内コイルを除くすべてのプラズマ閉じ込め磁場コイルを超伝導化する。このため、トカマク装置を設置する本体室内の空間放射化の低減及び超伝導コイルの熱遮蔽の機能を有するクライオスタットを設置する。クライオスタットはこれらの機能に加えて、トカマク装置全体の支持構造であることが要求される。したがって、クライオスタットの構造は、胴体部及び支持架台から成り、付属設備である80K熱遮蔽板,真空排気設備を有する。胴体部及び支持架台は、超伝導コイルに対し真空断熱層を与えるため、高さ15m,半径7mの空間を真空に保つ必要がある。プラズマ計測装置及び加熱装置,各設備の冷却系配管等のアクセスを可能とするため、胴体部の開口率は高く、剛性確保の観点から二重壁構造を採用する。二重壁構造の壁間には、遮蔽材としてボロン添加コンクリートが充填される。支持架台は、トカマク機器の総重量2550トンを支持するため、運転及び地震に対する健全性が要求される。JT-60SAは、既存のプラズマ加熱装置等の周辺設備を再利用するため、クライオスタットは空間的な制限を満足する必要があり、これらに関するJT-60SAの設計概念を明確に示す。
角舘 聡; 武田 信和; 中平 昌隆; 松本 泰弘; 柴沼 清; Tesini, A.*
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1850 - 1855, 2008/12
被引用回数:13 パーセンタイル:62.58(Nuclear Science & Technology)本報では、ITERブランケット遠隔保守機器(保守ロボット)について以下に示す最新の設計及びR&D成果について報告する。(1)ブランケット分割形状の変更により他機器との干渉を回避するため保守ロボットの小型化設計を実施し、軌道回り回転機構歯車にダブルヘリカルギヤの採用等により重量30%減の小型化設計を実現した。(2)ブランケット交換時の視覚情報として3Dシミュレーションモデルを利用した操作系を全体制御系に組込み、真空容器内の周辺状況を把握するためのヒューマンインタフェースを改善し、保守ロボットの操作系を向上させた。(3)保守ロボットで使用される露出した歯車部の潤滑剤(グリース)が真空容器内の機器を汚すことを避ける必要がある。このため、グリースなしのドライ潤滑として耐摩耗特性に優れたDLC(Diamond Like Carbon)膜技術に着目し、歯車への応用を目的にDLC膜の潤滑特性要素試験を実施した。この結果、軟DLCとNi-Cr-Mo材で浸炭処理を施した基材との組合せが最も耐摩耗特性に優れていることが判明した。
川島 寿人; 清水 勝宏; 滝塚 知典; 朝倉 伸幸; 櫻井 真治; 松川 誠; 藤田 隆明
Fusion Engineering and Design, 83(10-12), p.1643 - 1647, 2008/12
被引用回数:18 パーセンタイル:72.65(Nuclear Science & Technology)ITERの支援及びDEMO炉に向けた定常高ベータ化を目指し、JT-60の超伝導化改修装置JT-60SAの設計が進んでいる。われわれは、ITERの下、シングルヌルダイバータ配位を模擬し、適合する下側ダイバータ形状で高い熱,粒子制御性を得るため、ダイバータコードSOLDOR/NEUT2Dを用いて最適化設計の検討を行っている。SOLへの損失パワーを37MW(加熱入力の90%)とした場合、「V型コーナー」を有する垂直ダイバータ板形状において、ガスパフによる非接触化によってダイバータ板熱負荷を5.8MW/mまで低減できることがわかった。これにより、定常運転で想定されるCFC材ダイバータ板の許容熱負荷15MW/m
に比べ十分小さくできた。一方、ダイバータ排気による非接触から接触状態などへの粒子制御性は、ダイバータ板上のストライク点とダイバータ板最下端までの距離(ストライク点距離)を20mmから120mmに上げることによって改善されることを明らかにした。これは、短いストライク点距離で非接触状態が強く主プラズマに影響する場合、ストライク点を上げることによって回復が見込まれる。