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論文

幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開,1; 幌延深地層研究計画における国際共同プロジェクトの重要性

青柳 和平; 舘 幸男

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.124 - 127, 2024/12

日本原子力研究開発機構は、幌延深地層研究センターの地下施設を活用した「幌延国際プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)」を、8つの国・地域から11の機関の参加を得て開始した。本プロジェクトの主要な目的は、地層処分のための先進的な安全評価技術や工学技術に関わる研究開発の成果の最大化や、次世代の研究者/技術者の育成による知識の継承である。本プロジェクトでは、1)物質移行試験、2)処分技術の実証と体系化、3)実規模の人工バリアシステムの解体試験の3つの研究タスクに取り組んでいる。これらのタスクでは、実際に坑道を掘削して原位置試験を実施しながら、解析手法や調査手法の妥当性を検証していく。この点は、HIPの特徴的で独創的な側面であり、上記の3つの研究課題は国際的にみても難易度の高いチャレンジングなものである。以上の点から、HIPは地下研究施設を活用した国際協力の良好事例となり得る。

論文

亀裂性堆積岩を対象とした地下水流動解析における有効間隙率の与え方; 北海道幌延に分布する声問層と稚内層浅部の事例

宮川 和也; 石井 英一; 今井 久*; 平井 哲*; 大野 宏和; 中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.82 - 95, 2024/12

高レベル放射性廃棄物の処分地の選定過程における概要調査では、地下水の涵養域から流出域までを包含する数km-数十kmの広域を対象とした地下水流動解析により、地下水の移行時間・経路が評価される。亀裂の発達する岩盤中の地下水の移行時間を解析的に求める上で、岩盤の水理学的有効間隙率は感度の高いパラメータである。堆積岩ではボーリング調査における原位置水理試験から得られた亀裂の透水性を岩盤の透水性として扱う一方で、コア試料を用いて浮力法などの室内試験から得られた健岩部の間隙率を水理学的有効間隙率として扱うなど、有効間隙率の考え方が明確ではない。本研究では亀裂の発達する堆積岩である声問層および稚内層浅部を例として、亀裂の開口幅を基に推定した有効間隙率を用いた場合の移行時間を、観測結果と比較することで、有効間隙率の推定方法を検討した。その結果、亀裂の開口幅を基に推定した有効間隙率を用いた場合、観測結果と整合的な移行時間が得られた。その時の有効間隙率は、健岩部の間隙率と比較して1-3桁小さい値であった。多孔質な健岩部と割れ目からなる水みちネットワークを有する堆積岩の場合、亀裂の開口幅を基に有効間隙率を推定することが有効であることが示された。

論文

幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開,3; タスクB:処分技術の実証と体系化

早野 明

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.134 - 139, 2024/12

高レベル放射性廃棄物の処分場の設計・建設では、坑道スケール$$sim$$ピットスケールの岩盤に分布する断層・割れ目や坑道掘削後に生じる掘削損傷領域が、処分坑道などの施工性や人工バリアの長期安定性などに及ぼす影響を考慮しながら、処分坑道や処分ピット(処分孔)を合理的に配置するために、指標を設定することが考えられている。また、掘削される坑道やその周辺岩盤に発生する掘削損傷領域が水みちになることで地上と地下施設が直結する物質移行経路となることを防ぐために、坑道埋め戻しや止水プラグといった坑道シーリング技術による対策が考えられている。幌延国際共同プロジェクトのタスクBでは、新第三紀堆積岩類を対象とした幌延深地層研究センターの地下施設での調査・施工を事例に、処分坑道や処分孔を配置するための指標設定を試行するとともに、処分場の設計・施工・操業・閉鎖などに関連する技術オプションを体系的に例示する。現在、国内外の既存事例や参加機関から提供される情報に基づき、処分坑道や処分孔の配置および人工バリアの定置に関連して、岩盤の力学的強度低下、湧水による処分坑道・処分孔への影響、あるいは人工バリアへの影響に着目し、これらに関連する特徴を予測する解析に取り組んでいる。この予測の妥当性を確認するための500m試験坑道8、9での調査・施工・試験、および350m試験坑道6での坑道埋め戻しと止水プラグ設置の実規模スケールの施工試験は、今後、HIPのフェーズ2において実施される。

論文

幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開,4; タスクC: 実規模の人工バリアシステムの解体試験

大野 宏和

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.140 - 143, 2024/12

高レベル放射性廃物の地層処分において、人工バリア定置後のニアフィールドにおいては、廃棄体の発熱、地下水の浸潤とそれに伴う緩衝材の膨潤応力の発生、間隙水の化学的特性の変化、オーバーパックの腐食など複数の現象が相互に影響し合った複雑な系となることが予想される。地層処分の安全評価においては、このような熱-水-応力-化学連成現象(THMC連成現象)を予測するための解析コードの整備が重要となる。幌延深地層研究センターの地下施設(幌延URL)の深度350m調査坑道では、処分孔竪置き方式の実規模大の人工バリアを堆積岩に定置し、坑道の一部を埋め戻した人工バリア性能確認試験を実施し、ニアフィールドの過渡期状態変遷の評価に必要なデータを緩衝材や埋め戻し材中に設置したセンサーで取得している。幌延国際共同プロジェクトのタスクCは、それらのデータに加えて、人工バリア性能確認試験の解体試験で取得されるデータを用いて、連成現象の理解や解析コードの検証を国際共同プロジェクトとして実施するものである。

論文

幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開,2; タスクA: 物質移行試験

尾崎 裕介

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.128 - 133, 2024/12

幌延国際共同プロジェクトのタスクAでは、幌延深地層研究センターの地下施設の深度250mの声問層において物質移行に関する調査を実施している。タスクAでは高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価に不可欠な物質移行評価に資するため、原位置トレーサー試験結果から岩盤内における物質移行時の現象をより適切に表現可能なモデルを構築するとともに、異なる地質環境で得られたデータやモデルの適用可能性について議論することを目的としている。タスクAのフェーズ1は、原位置試験の計画立案、室内試験、原位置試験の実施、解析評価の4つのサブタスクから構成される。これらのサブタスクは、参加機関が協力して取り組んでおり、本発表では、タスクAのサブタスクの現状と協力状況を紹介する。

論文

地球表層環境のヨウ素129研究の現状と考察; 地質環境長期安定性評価に向けて

三ツ口 丈裕; 岡部 宣章*; 國分 陽子; 松崎 浩之*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.96 - 110, 2024/12

高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、その処分システムが持つべき隔離機能が数万年間は自然現象で損なわれる恐れのないサイト選定をすることが前提であるとともに、サイト固有の地質環境やその長期的変化を見込んだ上で合理的な処分システムを構築する必要がある。近年、日本国の地質環境の長期安定性を評価する目的で、本邦の地下流体(深部地下水、温泉水、油田や天然ガス田に付随する鹹水など)の元素・同位体組成の研究が進められており、ヨウ素およびその放射性同位体であるヨウ素129($$^{129}$$I: 半減期1,570万年)もその研究対象に含まれている。本総説では、地球表層の様々な天然物質のヨウ素含有量およびヨウ素129/127同位体比($$^{129}$$I/$$^{127}$$I比)に関する知見、試料の前処理・測定法、日本国内の地下流体の$$^{129}$$I/$$^{127}$$I比データについて概説し、さらに、そのデータの解釈・問題点および不確実性、そして地質環境長期安定性評価に向けた示唆について述べる。

論文

竪置き・ブロック方式における緩衝材の流出量評価手法の検討

菊池 広人*; 宇田 俊秋*; 林 大介*; 江守 稔*; 木村 駿

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(1), p.11 - 20, 2024/06

高レベル放射性廃棄物の地層処分において検討されている緩衝材ブロックを用いた処分孔竪置き方式では、緩衝材定置後から処分坑道の埋戻し材の施工完了までの間に、処分孔内へ流入する地下水の排水に伴い緩衝材の一部が流出し、人工バリアとしての機能に影響を及ぼす可能性が懸念されている。本研究は、SKBが提案するErosion modelを基に、わが国の地質環境への適用性を確認するとともに、工学的な判断(処分孔の利用可否や適切な対策の選択)を支援するための、緩衝材の流出量をより適切に評価できるモデルの開発手法の枠組みの構築を試みた。幌延URLの試験孔を利用した原位置流出試験により、Erosion modelの基となる定流量条件による要素試験とは異なる、時間経過に伴う地下水の流量の低下や、緩衝材の流出が停止する現象を確認した。これらの現象から湧水量、周辺岩盤と処分孔の水頭差、水質、材料の特性、処分孔内の状態などの影響因子を把握した。これらの知見を踏まえて、原位置で把握が可能な情報である孔内外水頭差および孔内湧水量、緩衝材の流出が懸念される期間を主な引数とした流出量評価モデルを、水頭差を制御した定水位での要素試験に基づき整備した。本検討において構築した流出量評価モデルは、Erosion modelに比べてより現実的な評価に近づけることができた。また、一連の取組を通して流出量評価モデルの開発手法を構築するとともに今後の課題について整理した。

論文

原位置トレーサー試験による堆積岩中の掘削損傷領域内の移流分散評価

武田 匡樹; 石井 英一

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(1), p.3 - 10, 2024/06

高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価では、処分坑道やアクセス坑道における掘削損傷領域内の核種移行特性の把握が重要な課題となる。岩盤中の核種移行特性を評価する上でトレーサー試験が有効であるものの、堆積岩中の掘削損傷領域を対象としたトレーサー試験の事例は著者らの知る限りではない。著者らは幌延深地層研究センターの地下施設において珪質泥岩中の掘削損傷領域の割れ目を対象とした孔間トレーサー試験を実施し、縦方向分散長の評価を行った。トレーサー試験データに基づき、一次元移流分散解析を行った結果、破過曲線を概ね再現でき、4.2mの試験スケールに対し縦方向分散長として0.12mが導出された。これは、試験スケールの100分の1$$sim$$10分の1に相当し、天然の割れ目や岩盤基質部で経験的に知られる試験スケールと縦方向分散長との関係と同様であった。今回の試験により、天然の割れ目や岩盤基質部と同様な移流分散効果を堆積岩中の掘削損傷領域内でも想定できると考えられた。また、従来の原位置トレーサー試験手法により堆積岩中の掘削損傷領域内の移流分散効果を評価できることが確認できた。

論文

JAEAの廃止措置における人材育成

瀧谷 啓晃

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 30(2), p.66 - 71, 2023/12

日本原子力研究開発機構(JAEA)では、所期の研究目標の達成や施設の老朽化等によって、現存する原子力施設の半数が廃止措置に移行しており、原子力施設の解体から放射性廃棄物の処理処分までの廃止措置に係るバックエンド対策を安全かつ効率的、合理的に実施していかなければならない。バックエンド統括本部では、各拠点と連携して、総合的なバックエンド対策計画の企画・推進及び研究施設等廃棄物の埋設事業の推進に取り組むとともに、バックエンド対策に係る共通的な課題の解決に向けた技術開発や人材育成等に取り組んでいる。廃止措置は長期間にわたるプロジェクトであることから、将来にわたって専門人材を確保していくことが重要である。本稿ではJAEAにおける廃止措置に係る人材育成の取り組みについて紹介する。

論文

核燃料サイクルとバックエンドの基礎

坂本 義昭

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 30(1), p.15 - 18, 2023/06

原子力発電を行うための一連のプロセス全体を核燃料サイクルと呼ぶが、その各プロセスからは様々な種類の放射性廃棄物が発生する。これらの放射性廃棄物はこれらの一連の施設の操業及び廃止措置から発生し、放射能濃度やその性状に応じて適切な処理と処分が行われる。ここでは、基本的な核燃料サイクルの概要及びバックエンドと呼ばれる放射性廃棄物(核燃料サイクル以外の施設での放射性物質の利用による放射性廃棄物も含む)の処理・処分の基礎について概説する。

論文

瑞浪超深地層研究所の調査データに基づく割れ目調査手法の検討

笹尾 英嗣

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.112 - 118, 2022/12

花崗岩などの結晶質岩では、割れ目が地下水や物質の移行経路となることから、高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、割れ目の頻度や走向傾斜などの情報を把握することが重要である。地表からのボーリング調査では、割れ目の走向傾斜とボーリング孔の交差角に起因する捕捉率により、ボーリング調査で確認される割れ目に関する情報は不確実性を有する。そこで、瑞浪超深地層研究所の立坑掘削時の壁面調査で取得された割れ目分布に関するデータに基づいて、割れ目分布を限られた調査量で効率的に把握できるボーリング調査方法を検討した。その結果、鉛直孔では高角度傾斜の割れ目の捕捉率が低いが、傾斜孔では割れ目の捕捉数が上昇するとともに高角度傾斜割れ目の捕捉率が上昇することから、鉛直孔よりも傾斜孔の方が割れ目分布を効率良く把握できると考えられた。しかし、割れ目の卓越方位は深度によって変化するため、ボーリングの掘削方位を一義的に決定することは困難である。一方で、地表露頭における割れ目の走向傾斜は、換気立坑で観察された割れ目面の平均方位とほぼ同じであることから、ボーリングの掘削方位は地表調査の結果に基づくことが望ましいと考えられた。

論文

膨潤圧試験中のベントナイトの膨潤圧変化に与える吸水圧縮挙動の影響

高山 裕介; 佐藤 大介*; 菊池 広人*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.101 - 111, 2022/12

放射性廃棄物の地層処分施設の緩衝材への利用が検討されているベントナイトの膨潤特性を把握するために実施される膨潤圧試験では、給水開始後の時間経過とともに単調に膨潤圧が増加する場合以外にも、一度増加した後に低下する場合など様々な結果が報告されている。本研究では、複数の異なる初期含水比の供試体を用いて膨潤圧試験を実施し、試験中のX線CT測定により、膨潤圧が単調に増加する場合および一時的に低下する場合における供試体内部の湿潤密度分布の時間変化を把握した。その結果、吸水圧縮挙動の発生の有無やその大小が膨潤圧の経時変化の形状に影響を与えることを明らかにした。具体的には、膨潤圧試験において供試体内部での吸水圧縮による変形量が大きいほど試験途中における膨潤圧の一時的な低下量が大きく、吸水圧縮による変形が生じない場合は単調に増加するものと推測された。

論文

JAEAにおける研究開発の現状; 深地層の研究施設計画を中心として

笹尾 英嗣

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.142 - 147, 2022/12

日本原子力研究開発機構(JAEA)では、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発に長年にわたって取り組んできた。本論では、研究開発の現状を紹介する。JAEAは深地層の研究施設を有するわが国で唯一の研究機関であり、本論では特に同施設における研究計画を中心に述べた。わが国における高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発は昭和51年(1976年)に開始され、JAEAをはじめとする研究開発機関によって研究開発が進められてきた。本論では、研究開発の経緯を簡単にまとめるとともに、わが国の地層処分概念を紹介した。

論文

モンモリロナイトの膨潤挙動に及ぼす層間対イオンの影響; 分子動力学シミュレーションによる支配因子の評価

四辻 健治*; 舘 幸男; 佐久間 博*; 河村 雄行*

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(2), p.63 - 81, 2022/12

放射性廃棄物の処分システムにおいて、粘土鉱物を主体とするベントナイトの物理的・化学的挙動を予測するうえで、モンモリロナイトの膨潤現象を理解することは重要である。本論文では、異なる層間対イオンを有するモンモリロナイト層間の結晶膨潤挙動を支配する因子を、分子動力学(molecular dynamics: MD)シミュレーションによって調査した。MDシミュレーションと分析試験の結果の比較から、5種類の単一イオン型(Na$$^{-}$$, K$$^{-}$$, Cs$$^{-}$$, Ca$$^{-}$$, Sr$$^{-}$$)のモンモリロナイト層間への水分子吸着量は、層間対イオンの水和数および層間対イオンの外圏・内圏錯体の差異に強く依存していることが確認された。また、これらの結果のより詳細な分析から、層間における対イオンの水和数は、対イオンの水和自由エネルギー、体積および対イオンの分布状態により決まることが示された。さらに、仮想的に対イオンのパラメータを変動させたMDシミュレーションの結果から、層間対イオンの水和自由エネルギーと電荷とが影響因子として競合することにより外圏錯体率が支配されていることが明らかになった。これらの結果から得られた影響因子を含む経験式によって、層間対イオンの異なるモンモリロナイト層間の膨潤挙動を定量的に予測することが可能となる。

論文

放射性アルミニウム廃棄物の安定化処理技術の開発

関 美沙紀; 藤田 善貴; 藤原 靖幸*; Zhang, J.*; 吉永 尚生*; 佐野 忠史*; 堀 順一*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; et al.

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.2 - 9, 2022/06

材料試験炉(JMTR)の炉心構造材はステンレス鋼の他、アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている。廃止措置に当たって、放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが、その埋設基準はドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび最大放射能を超えないことが要求されている。とくに、Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから、固化体の強度低下、内圧上昇による破損等が課題となっている。本研究では、バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし、コールド試験にて基本的な処理工程を確立した。また、京都大学研究用原子炉(KUR)にてAl試験片を中性子照射し、本処理工程によるAl中に含まれる添加元素や不純物元素で生成する放射性核種の除去特性を調査した。結果として、本処理工程によりAlをアルミナ(Al$$_{2}$$O$$_{3}$$)に変換可能であり、通常の放射性廃棄物の処理方法と同様にセメント系充填剤によって固化できる見通しが得られた。さらに、不溶解残渣物の除去により、廃棄物の放射能量を1$$sim$$2桁減らすことができることが示唆された。

論文

研究施設等廃棄物の放射能インベントリの特徴

坂井 章浩

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.48 - 54, 2022/06

わが国では、原子力利用に伴って、様々な施設から放射性廃棄物が発生している。日本原子力研究開発機構は、原子力機構,大学,民間機関,医療機関等から発生する廃棄物(これらの廃棄物を総称して「研究施設等廃棄物」という)の埋設処分の実施主体として、ピット処分及びトレンチ処分の埋設事業の計画を進めている。本報告では、原子力機構が計画している埋設処分施設の概要を紹介するとともに、埋設対象となる主な研究施設等廃棄物の核種毎の放射能濃度の特徴及びその放射能濃度に対する埋設するための基準の検討状況について概説する。

論文

バックエンド週末基礎講座; 地層処分研究の概要について

山口 正秋

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.38 - 41, 2022/06

本講演では、1970年代から進められてきたわが国の地層処分研究の枠組みとその経緯について概説した。2020年には事業主体による文献調査が開始され、今後は地層処分の基盤技術として工学技術や長期安全性の評価により焦点があたると考えられる。そこで本講演では、研究開発分野のうち工学技術および地層処分システムの性能評価の研究開発の概要を中心に、具体的な評価手法を解説した。さらに、最近の研究事例として隆起・侵食影響評価の高度化にむけた取り組みについて紹介した。

論文

瑞浪超深地層研究所におけるリスク・コミュニケーションに向けた取り組み

大澤 英昭; 松井 秀樹

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 28(2), p.18 - 25, 2021/12

日本原子力研究開発機構・東濃地科学センターでは、国民の皆様の地層処分技術に関する研究開発および地層処分の理解を深めることを目的に、瑞浪超深地層研究所の地下研究施設および地上施設の見学を実施してきた。本稿では、今後の地層処分のリスク・コミュニケーションに活かすことを目指し、これらの施設の見学後に実施しているアンケート調査の2010$$sim$$2019年度(2016年度を除く)の結果を分析した。その結果は、地層処分を少しでも知っていた人は、瑞浪超深地層研究所の見学により、地層処分の適切さをポジティブに評価した可能性があるなど、本施設の見学が地層処分の理解にとって貴重な体験になっていることを示唆している。また、地層処分の安全性についてネガティブに評価する人は原子力や立地選定に関心が高いことが示唆される一方で、地層処分の安全性についてポジティブに評価する人は国民の理解にも関心が高いことを示唆している。また、地層処分の安全性に関しポジティブ、ネガティブに評価する人はともに、将来の長期の安全性について技術的課題と感じる傾向がある。

論文

地層処分の工学技術および性能評価研究

杉浦 佑樹

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 28(1), p.5 - 7, 2021/06

本講演では、地層処分の研究開発分野のうち工学技術および性能評価についての研究開発の概要を解説した。また、性能評価における核種移行のモデル化を取り上げて最新の研究を紹介した。

論文

地層処分における隆起・侵食影響評価のための地形・処分場深度変遷解析ツールの開発

山口 正秋; 加藤 智子; 鈴木 祐二*; 牧野 仁史

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 27(2), p.72 - 82, 2020/12

地層処分の性能評価における隆起・侵食の影響の検討では、地下水流動や処分場から地表への核種移行経路などへの影響の観点から、地形と処分場深度の変化が重要となる。本研究では、初期の地形や隆起速度等の条件や評価期間の想定に対して地形と処分場深度の変化を効率的に評価するためのツール(地形・処分場深度変遷解析ツール)を、簡易的な地形発達シミュレーションモデルを組み込んだArcGISのモデルとして構築した。このような評価は、性能評価における隆起・侵食に起因する地下水流動や地表への核種移行経路への影響の評価に向けて、条件や評価期間に応じた地形や深度の変化についての定量的情報を提示するとともに、性能評価の実施においてどの影響に重点をおくことが効果的・効率的かなどを判断するためにも重要となる。

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