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深谷 有喜
表面科学, 37(11), p.547 - 552, 2016/11
本稿では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法による金属基板上のグラフェンとシリセン(グラフェンのシリコン版)の構造決定について紹介する。グラフェン(シリセン)におけるバックリング(座屈構造)の有無や基板との間隔は、基板上に吸着したグラフェン(シリセン)の物性の起源を調べるうえで重要な因子である。本研究では、TRHEPDの表面敏感性を利用して、CoとCu基板上のグラフェンとAg基板上のシリセンにおけるこれらの構造パラメータを決定した。
朝岡 秀人; 魚住 雄輝
表面科学, 37(9), p.446 - 450, 2016/09
表面に存在するストレスは成長原子の拡散、吸着過程などのカイネティクスを変化させるため、表面ストレスの解明・制御がナノ構造創製のために有力な手段となる。反射高速電子回折法と基板たわみ測定による、表面構造とストレスの同時観測により、水素終端Si(111)11表面へのGe成長に伴う水素脱離過程と、Si(111)7
7表面への水素原子の吸着過程のストレスをその場測定した。これらの結果、水素終端Si(111)1
1表面が、引っ張りストレスを有するSi(111)7
7表面から1.6-1.7N/m(=J/m
)、or 1.3-1.4eV/(1
1 unit cell)表面エネルギーを緩和した状態であることが明らかとなり、表面数原子層で構成される微小領域の表面再構成構造に内在するストレスを捉えることに成功した。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
表面科学, 37(9), p.451 - 456, 2016/09
本論文では、30年間構造が確定しなかった、触媒の担体として知られるルチル型の二酸化チタン表面の構造解析について報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、陽電子の回折スポット強度の視射角依存性の測定および、動力学的回折理論に基づく強度解析を行った。その結果、最近Wangらが理論的に提唱した構造モデルを用いると実験結果をよく説明できることがわかった。
菅野 了次*; 平山 雅章*; 鈴木 耕太*; 田村 和久
表面科学, 37(2), p.52 - 59, 2016/02
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、軽量化が可能であることから、携帯デバイスから自動車、航空機まで搭載されている電池デバイスである。リチウムイオン電池は利用している化学反応の仕組み上、電池容量には理論的な上限が存在する。一方で、実際の電池性能は、充放電を繰り返すことで低下していくことが知られている。電池性能の低下の原因は電解液と電極材料の界面の構造変化に基づいていることが多い。したがって、電池性能を最大限引き出すには、電解液・電極界面の構造を解析し、何が起きているかを精密に調べる必要がある。そこで本解説では、これまで放射光を用いて電解液・電極界面を調べた結果について紹介する。
坂本 友和*; 岸 浩史*; 山口 進*; 田中 裕久*; 松村 大樹; 田村 和久; 西畑 保雄
表面科学, 37(2), p.78 - 83, 2016/02
自動車のゼロエミッション化は、環境対策技術における重要な取り組みの1つであり、そのうえで燃料電池車の開発は重要となっている。燃料電池車が普及する上で重要なのは、燃料コストが低く、インフラ整備が容易であることであり、これを満たすのは、電池材料が非貴金属で構成可能であり燃料が液体である、ヒドラジンを燃料とするアニオン形燃料電池である。我々はこのヒドラジンを燃料とするアニオン形燃料電池を開発しており、すでに2013年に試作車が完成する段階まで進んでいる。本稿では、燃料電池の心臓部である、電極触媒の開発について解説する。
池田 隆司; Hou, Z.*; Chai, G.-L.*; 寺倉 清之*
表面科学, 36(7), p.345 - 350, 2015/07
カーボンアロイ触媒は固体高分子形燃料電池の白金代替正極触媒として有望視されている。我々は第一原理に基づいた分子動力学シミュレーションによりカーボンアロイ触媒における酸素還元反応機構を調べてきた。本稿では我々のシミュレーションにより示唆されたカーボンアロイ触媒の活性点での可能な酸素還元反応機構を紹介する。
寺内 正己*; 今園 孝志; 小池 雅人
表面科学, 36(4), p.184 - 188, 2015/04
バルク試料の状態分析を目的とし、汎用走査型電子顕微鏡(SEM)への回折格子を用いた軟X線発光分光装置(SXES)の導入を行った。この分光装置は、透過型電子顕微鏡(TEM)での軟X線分光において実績のある、不等間隔溝回折格子を用いた斜入射平面結像型分光光学系を有している。マグネシウムのL発光(50eV)において、透過型電子顕微鏡での高分解能電子エネルギー損失分光法のエネルギー分解能に匹敵する0.13eVが得られる。バルク試料からのMg-L, Si-L, B-K, Ti-L発光の測定において、固体のバンド構造の特徴を示すスペクトル測定に成功した。
小貫 薫; 野口 弘喜; 田中 伸幸; 竹上 弘彰; 久保 真治
表面科学, 36(2), p.80 - 85, 2015/02
水の熱化学分解による水素製造について、特にISプロセスに関する要素技術の研究開発状況を紹介する。熱化学水素製造法は熱エネルギーにより水を分解し水素を製造する。高温吸熱反応と低温発熱反応の反応サイクルが水分解に必要な自由エネルギーを生み出す。多くのプロセス構成が提案されてきたが、硫酸分解反応を高温吸熱反応に用いる硫黄系と呼ばれる一群の熱化学プロセスは常に研究者の関心を集めてきた。ISプロセスは硫黄系プロセスを代表する熱化学プロセスであり、これまでに、ISプロセスによる連続水分解の可能性が検証され、また、過酷なプロセス環境で用いる耐食性装置材料の候補材料も選定されている。現在、水素製造能力向上を目指して、分離膜技術の適用及び高性能触媒の開発研究が行われている。また、セラミックスのような候補材料を用いた反応器の開発が進められている。
奥村 雅彦; 中村 博樹; 町田 昌彦
表面科学, 34(3), p.135 - 142, 2013/03
第一原理計算を用いて、福島環境修復に関する2つの課題に対し研究した成果を報告した。一つ目では、なぜ、セシウムが土壌の表層に強く吸着され、長年に渡り留まり続けるかその原因となっている粘土鉱物への吸着を原子・分子レベルから評価し、二つ目では、汚染水処理に投入されているゼオライトが、なぜセシウムを選択的に吸着できるかその原子・分子レベルからのメカニズム解明を行った。以上、得られた結果をもとに、前者では雲母様粘土鉱物のエッジでのセシウムとの陽イオン交換によるエッジ状態の安定性を言及することで吸着交換及び脱着機構を論じ、後者では、さらに優れたゼオライト合成のためのガイドラインを提案した。
江坂 文孝; 間柄 正明; 鈴木 大輔; 宮本 ユタカ; 木村 貴海
表面科学, 34(3), p.125 - 130, 2013/03
環境試料中の核物質を含む個々の微粒子の分析は、その起源を知るうえで重要な情報を与える。本稿では、ウランやプルトニウムなどの核物質を含む粒子の分析法について述べる。われわれは、環境試料中の核物質含有粒子を検知する方法として、X線検出器を備えた電子顕微鏡,固体飛跡検出器,二次イオン質量分析を用いた。さらに、それら検知した粒子に対して、二次イオン質量分析,表面電離質量分析,誘導結合プラズマ質量分析により同位体比測定を行った。これら各方法の相補的な利用は、個々の粒子の迅速、精確な分析のうえで非常に有効である。
近藤 寛*; 寺岡 有殿
第54回表面科学基礎講座; 表面・界面分析の基礎と応用テキスト, p.109 - 128, 2012/10
表面分析のプローブとして光(電磁波)もよく使われる。赤外線からX線まで、それぞれのエネルギーに応じて表面分析への応用方法や対象が異なる。本講では特にシンクロトロン軌道放射光(以下、「放射光」)のX線吸収分光測定への応用について解説する。主な放射光施設を紹介し、円軌道放射,蛇行起動放射,フィリングパターン,トップアップ運転について述べる。また、放射光ビームライン技術,分光技術について概説する。さらに、X線吸収端近傍微細構造分光について、その原理を詳しく解説し、分子配向の解析例を紹介する。さらに広域X線吸収分光についての原理を解説し、分子の吸着サイト解析への応用について紹介する。
田村 和久
表面科学, 33(9), p.524 - 529, 2012/09
固液界面は、様々な化学反応の反応場であり、まさに重要な反応場の1つである。固液界面で起こる反応の代表の1つが電気化学反応であり、これは、界面での電子授受を伴う化学反応である。これまでの多くの研究により、電極表面の構造や組成と電気化学反応の反応性との間には強い相関があることが明らかになっている。本稿では、筆者が行ってきたAu上へのBiの電析反応に関する実験を中心に、放射光を用いたSXS法による、電極表面の構造変化のダイナミクスの追跡に関する研究について紹介する。
高橋 正光
表面科学, 33(9), p.507 - 512, 2012/09
結晶成長条件下のGaAs(001)表面構造をその場X線回折により研究した。分子線エピタキシー真空槽とX線回折計とを一体化した装置を用い、ヒ素雰囲気・成長温度下におけるGaAs(001)表面の原子配列を定量的に決定した。放射光の高い角度分解能により、(24)構造から他の構造に相転移するさいの構造の乱れを評価することができた。放射光のエネルギー可変性を利用して、c(4
4)構造の元素選択的な解析が可能になり、Ga-Asダイマー形成の直接的証拠が得られた。
小川 修一*; 山田 貴壽*; 石塚 眞治*; 渡辺 大輝*; 吉越 章隆; 長谷川 雅考*; 寺岡 有殿; 高桑 雄二*
表面科学, 33(8), p.449 - 454, 2012/08
絶縁膜上グラフェンの形成は次世代カーボントランジスタ作製に不可欠である。グラフェンの下地絶縁膜として、バンドギャップや絶縁破壊電圧がSiCよりも大きいダイヤモンドが注目されているが、非破壊でダイヤモンド表面のグラフェン形成を評価することが難しいため、ダイヤモンド表面におけるグラフェン形成過程は未だ明らかになっていない。そこで本研究ではバンドベンディングによる光電子スペクトルのシフトに着目し、グラフェン形成過程を調べた。その結果、ダイヤモンドC(111)表面のグラファイト化は約1120K以上で進行することがわかった。この温度はSiC(0001)表面におけるグラフェン形成温度よりも低温である。また、グラフェン/ダイヤモンド界面には遷移層が存在することが確認された。
吉越 章隆; 寺岡 有殿
表面科学, 33(3), p.172 - 177, 2012/03
酸素分子によるSi(111)-77表面の室温酸化を理解するためには、初期生成物の決定が重要である。酸素結合配置及びSi酸化状態をリアルタイムO 1s及びSi 2p XPSで観察した。Si adatomのバックボンドに酸素原子を一つ有する
構造が最初に形成することがわかった。分子状化学吸着酸素は
構造上の吸着種であることを明らかにした。
-
構造(
はSi adatom上の酸素原子)及び
-
構造(
は侵入酸素原子)が時間経過後に生成することを見いだした。われわれの結果は、表面上のO
移動種の存在を示唆するものである。
山崎 竜也; 山崎 大; 朝岡 秀人; 田口 富嗣; 社本 真一; 豊島 安健*
表面科学, 31(8), p.380 - 385, 2010/08
新機能物質を用いた高集積化デバイス構造の作製には、格子不整合を克服できる新たなヘテロエピタキシー法の開発が重要である。Si基板上にSrTiO(高誘電体ゲート絶縁膜)を形成する際、そのテンプレートとなるSr層の単結晶成長は、Siとの大きな格子不整合のため困難となっていた。それに対してわれわれは、Si表面を水素終端しておくことにより、Siと12%の格子不整合を克服してSr単結晶のヘテロエピタキシャル成長に成功した。そこで大きな格子不整合を克服させた具体的な界面構造に関して検討を行った。1原子層の水素がかかわる埋もれたヘテロ界面構造の検討のため、水素終端Si基板上にSrを蒸着させながら多重内部反射フーリエ変換赤外分光法(MIR-FTIR)により界面Si-H伸縮振動のその場観察を行い、またSrエピ終了後の埋もれたヘテロ界面構造は中性子反射率測定法(NR)を用いて評価した。MIR-FTIRを用いたその場観察では、Sr蒸着量の増加に伴い界面Si-Hの結合状態に変化が認められ、中性子反射率プロファイルには、水素・重水素終端Si基板の散乱長密度に由来する差異が確認された。これらの結果は、埋もれた界面での水素の存在を示しており、その水素が最初の結合状態を変化させてこのヘテロエピ界面の構成要素となっていることを示唆している。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵; 矢板 毅
表面科学, 29(8), p.489 - 494, 2008/08
極低温で吸着したCH及びCD
分子に、1keVのHe
イオンを照射したときに生成する分子イオン及び中性分子を二次イオン質量分析法により調べた。単層吸着メタンの場合、モノマーイオン(CH
)のみが脱離するが、多層吸着メタンでは、クラスターイオン(C
H
)とともに、アセチレンイオン(C
H
)及びエチレンイオン(C
H
)の脱離も認められた。中性分子の脱離についても同様の結果が得られた。分子生成の機構を明らかにするため、分子イオンの脱離強度の厚み依存性を測定し、固体メタン中でのHe
イオンのエネルギー損失過程のモンテカルロ計算結果と比較した。その結果、モノマーイオンは吸着分子の最表面層から1電子励起で脱離するのに対し、C
H
(n
2)イオンは吸着分子層の内部において原子核衝突で起こるフォノン励起によって生成されることが明らかとなった。
山田 洋一; Girard, A.*; 朝岡 秀人; 山本 博之; 社本 真一
表面科学, 29(7), p.401 - 406, 2008/07
Si(110)は近年改めて研究が進展しつつある。しかしSi(110)は、Siのそのほかの低指数面と比べて研究例が極端に少なく、基礎物性の理解が進んでいない。この要因の一つに、よく定義された清浄表面を再現性よく準備することが困難であったことが挙げられる。Si(110)表面には、162と呼ばれるストライプ状の再構成構造が存在する。通常の清浄表面は複雑な多ドメイン形状をとる。本研究では、表面原子のエレクトロマイグレーションにより、表面の再構成列を一方向に揃えることでSi(110)清浄表面をよく定義された単一ドメイン構造にすることが可能となった。作製された単一ドメインは少なくとも数十
m四方に及ぶ均質な一次元構造を有することがわかった。16
2再構成構造のストライプは単原子ステップと等価であることから、これをテンプレートとした原子・分子ナノワイヤーの作製の可能性が示唆される。また、Si(110)単一ドメインには、二次元カイラリティが導入され、その制御が可能であることも示した。これは本表面上での不斉分子の反応研究の可能性を示唆するものである。
山田 秀尚; 村上 洋; 島田 幸洋
表面科学, 29(7), p.413 - 417, 2008/07
時間分解蛍光X線分光のために、フェムト秒レーザー駆動X線源及びX線集光システムの開発を行った。開発したX線源は10-W/cm
のレーザーパルスに誘起されたプラズマ陰極が電子源のX線管で、10
photons/4
sr/pulseのCu K
線を供給する。そのX線パルスの時間幅は約200nsと測定された。プラズマ陰極の発光分光分析をもとに、このX線パルス時間特性は、X線管の印加電圧に対して静電遮蔽下にあるプラズマ粒子のダイナミクスにより説明された。X線集光システムに関しては、ポリキャピラリレンズによる集光スポットサイズを測定し、レンズによる蛍光X線の増強効果を実証した。
朝岡 秀人; 山崎 竜也; 社本 真一; Arnoldo, A.*; 後藤 成一*; 末光 眞希*
表面科学, 28(9), p.500 - 503, 2007/09
Si/Geのヘテロエピタキシャル成長において格子定数のミスマッチに起因したストレスが界面に発生し、半導体特性や、ナノドット生成に大きな影響を及ぼすため、応用の観点からも詳細なストレス遷移の理解が重要となる。われわれはSi表面上のGeヘテロ成長過程における原子層オーダーのストレス遷移と、反射高速電子回折(RHEED)法を用いた表面構造・成長形態遷移に関する同時観測を行った。その結果、1原子層未満の初期成長とともに明瞭な圧縮応力が観測され、さらには3次元ナノドットへの成長モードへのストレス・表面形態の遷移過程を詳細に捉えることに成功した。