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論文

4f電子系化合物EuPtSiで実現する磁気スキルミオン格子

金子 耕士; 垣花 将司*; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*

波紋, 30(3), p.160 - 165, 2020/08

MnSiと同じ空間群に属する4$$f$$電子系化合物EuPtSiについて、磁気特性を調べた。単結晶中性子回折実験の結果、MnSiとEuPtSiの磁気構造に多くの共通点を見出した。この結果は、EuPtSiが4$$f$$電子系で初めて磁気スキルミオン格子を示す物質であることを示している。

論文

中性子透過率スペクトルを利用した中性子散乱実験および中性子イメージング

大場 洋次郎

波紋, 30(2), p.90 - 93, 2020/05

中性子透過率スペクトルにおいては中性子散乱による透過率の減少が観測される。したがって、中性子散乱による減衰成分を解析することにより、中性子透過率スペクトルから中性子散乱と同様に構造の情報を取得することが可能になる。本稿では、中性子透過率スペクトルに含まれる小角散乱による減衰成分の解析法について解説する。また、磁気回折と液体の散乱による減衰成分の解析についても述べ、中性子透過イメージング等への応用について議論する。

論文

偏極スーパーミラーのさらなる高性能化を目指して

丸山 龍治

波紋, 30(1), p.45 - 50, 2020/02

サイエンスの様々な分野において偏極中性子散乱の果たす役割は益々増大しており、J-PARC MLFでの偏極中性子ビーム利用の高度化のため原子力機構では偏極スーパーミラーの高性能化に関する研究開発を進めている。本稿では、それらの研究において近年得られたいくつかの成果を報告する。

論文

中性子溶液散乱; 現在・過去・未来

杉山 正明*; 井上 倫太郎*; 中川 洋; 齋尾 智英*

波紋, 30(1), p.16 - 25, 2020/02

中性子は生体高分子の構造とダイナミクスを解析するためのプローブである。この総説では中性子がどのように活用されてきたかをまとめる。そして、溶液散乱により、統合構造生物学の最近のトレンドにどのように効果的に活用すべきかを議論する。

論文

「波紋」から先人に学ぶ

武田 全康

波紋, 30(1), p.7 - 8, 2020/02

JRR-3は2018年11月7日付けで原子炉設置変更許可を取得し、原子炉建屋の屋根などの耐震工事を経て、2021年の早期に運転再開を果たす。研究用原子炉を使った中性子科学の将来は、JRR-3の運転再開後にいかに社会的インパクトのある成果を創出できるかにかかっている。この状況において、我々は、波紋に掲載された過去の記事から多くのことを学ぶことができる。

論文

コヒーレントQENSと時空相関解析による液体Biの異常構造の検出

川北 至信; 菊地 龍弥*

波紋, 29(2), p.91 - 94, 2019/05

ビスマスは結晶相ではパイエルス歪に基づいた二重層状構造を有する。液相では、単純な充填モデルでは解釈できない複雑な静的構造を示し、パイエルス歪が液体中にも残っているのではないかと考えられてきた。我々は、J-PARC物質・生命科学実験施設に設置されたBL14アマテラス分光器を用いて液体Biの中性子準弾性散乱(QENS)を測定し、そのコヒーレントQENSを解析した。時空相関関数から、長距離側に肩構造をもつ最近接分布が4つの成分からなり、30ピコ秒程度の長い緩和時間を示す長短2種類の相関と、ピコ秒以下の短い緩和時間をもつ中間的な距離の相関および最も長い距離をもつ相関があることが分かった。このことは、液体Bi中に層状構造が存在する直接的な証拠になる。本記事では、上記の成果とともに、時空相関関数によってコヒーレントQENSを解析する手法について報告している。

論文

中性子輸送

田村 格良

波紋, 28(4), p.204 - 207, 2018/11

中性子導管は中性子ビームを輸送するデバイスの一つである。中性子導管の使用することで、中性子源より遠方へ中性子ビームを輸送可能となったため、実験用の広いスペースが得られ、数多くの実験装置に中性子を供給することができるようになった。曲導管を使用することで$$gamma$$線及び高速中性子を除去することができ、必要なエネルギー領域の中性子だけを取り出すことができるので、実験のS/Nが向上した。さらに、曲導管を応用して中性子ビームの分岐をおこなっている。また、実験装置に供給する中性子ビームの発散角度及び強度の制御のために中性子導管は使用されている。

論文

遮蔽

前川 藤夫

波紋, 28(4), p.208 - 211, 2018/11

中性子及び付随する$$gamma$$線の遮蔽は、研究者の放射線安全及びバックグラウンド低減による良い実験データ取得の観点で重要である。本稿では、中性子遮蔽の基礎、中性子及び$$gamma$$線遮蔽の物理と適切な材料、そしてJ-PARC MLFの1-MW核破砕中性子源遮蔽の概念設計例について解説する。

論文

偏極中性子

平賀 晴弘*; 山口 泰男*; 丸山 龍治; 奥 隆之; 猪野 隆*

波紋, 28(3), p.144 - 149, 2018/08

サイエンスの様々な分野において偏極中性子散乱の果たす役割は益々増大しており、J-PARC MLFでの偏極中性子ビーム利用の高度化のため原子力機構等では偏極スーパーミラーや$$^3$$Heスピンフィルターの高性能化に関する研究開発を進めている。本稿では、当該分野に馴染みのないMLFユーザーや当該分野の初心者を対象とし、中性子ビーム偏極手法の基本的な原理や研究開発の現状について総説する。

論文

中性子の減速,1; 原子炉中性子源

新居 昌至

波紋, 28(2), p.99 - 102, 2018/05

日本中性子科学会の学会誌「波紋」の入門講座「中性子のつくりかた」において、原子炉中性子源から発生する中性子の熱中性子及び冷中性子への減速について解説する。

論文

ダイナミクス解析装置DNAの実用化; 背面反射結晶アナライザー型高エネルギー分解能中性子分光器の系譜

柴田 薫

波紋, 28(1), p.26 - 28, 2018/02

背面散乱中性子分光器の系譜とダイナミクス解析装置DNAの仕様を簡単に紹介する。DNA分光器は大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)のパルス中性子源に設置されたSi結晶アナライザーを用いた飛行時間型(TOF)背面散乱分光器(n-BSS)である。DNA分光器と同系の、世界中で稼働中もしくは稼働していた主な研究用原子炉線源設置型およびパルス線源設置型の背面反射結晶アナライザー型高エネルギー分解能中性子分光器の概要を説明し、その中でのDNA分光器の特徴について解説した。

論文

大型加速器を用いた核破砕中性子源

羽賀 勝洋

波紋, 27(4), p.155 - 158, 2017/11

高出力加速器を用いたパルス核破砕中性子源は、物質科学や生命科学の分野において最先端の研究を行うために適した高強度で幅の狭い良質な中性子を供給できる有用な装置である。このシステムでは、高出力加速器で作り出すkWからMWオーダーの陽子ビームを重金属の標的に入射し、標的原子核との核破砕反応により大量の中性子を生成し、この中性子を減速材や反射体で熱・冷中性子に減速し、先端的な中性子実験装置群に供給する。本稿では主にJ-PARCのパルス核破砕中性子源を例に、中性子ビームを生成するしくみと中性子源の構造の概要、水銀標的等の標的の工学的設計手法、パルス陽子ビームの入射により水銀中で発生する最大40MPaにも達する圧力波による標的容器の損傷を低減する方法などの技術課題について、水銀標的システムを例に取りながら解説する。

論文

高温高圧下での鉄-ケイ酸塩-水系の中性子回折その場観察

飯塚 理子*; 八木 健彦*; 後藤 弘匡*; 奥地 拓生*; 服部 高典; 佐野 亜沙美

波紋, 27(3), p.104 - 108, 2017/08

水素は太陽系で最も豊富にある元素で、地球核に含まれる軽元素の最も有力な候補である。しかしながら水素は、X線では見えないこと、常圧下では鉄から簡単に抜け出てしまうことから、その溶解量やプロセスは未知である。本研究では、J-PARCのPLANETを用い、鉄-含水鉱物系の高温高圧下中性子その場観察実験を行った。その結果、約4GPaで含水鉱物の分解によって生じた水が鉄と反応し鉄酸化物と鉄水素化物を生成することを確認した。この時生じた鉄水素化物は、さらに温度を挙げても安定であった。この反応は1000Kで起きたが、その他の物質に関して融解は起きなかった。このことは、地球形成期初期に水素が、他の軽元素に先んじて鉄に溶けることを示唆している。

論文

RI中性子線源

古渡 意彦

波紋, 27(3), p.109 - 112, 2017/08

中性子の発見以降、種々の放射性同位元素(RI)を用いる中性子線源が利用されてきた。RIを用いる中性子発生では、($$alpha$$,n)反応、($$gamma$$,n)反応及び核分裂反応が利用され、これらの核反応で生じた中性子を用いる。現在のところ、$$^{241}$$Am-Be線源及び$$^{252}$$Cf線源のみが市販で利用可能なRI中性子線源であり、線源ごとの個体差の少ない中性子放出、比較的長い半減期による中性子放出の安定性、及び中性子放出に伴う混在$$gamma$$線の割合が少ないことが特徴である。本稿においては、これらのRI中性子線源を用いる中性子標準の構築について述べ、中性子標準で不可欠となる、全中性子放出量及び中性子放出の角度依存の測定について概説する。

論文

中性子透過率スペクトル測定を利用した新しい中性子散乱実験

大場 洋次郎*; 諸岡 聡; 佐藤 博隆*; 佐藤 信浩*; 井上 倫太郎*; 杉山 正明*

波紋, 26(4), p.170 - 173, 2016/11

Based on the time-of-light (TOF) technique, new generation pulsed neutron sources enable novel neutron scattering experiments. Using small-angle neutron scattering (SANS) at the pulsed neutron sources, simultaneous measurements of SANS and Bragg edge transmission can be performed. From the SANS profiles, the precipitates and inclusions in metals and alloys are characterized, while the Bragg edge transmission spectra give crystallographic information about the matrix. This is a powerful tool for quantitative characterization of the microstructures in the metals and alloys. The neutron transmission experiments have potential for further development. Magnetic Bragg edge transmission analysis will be useful for magnetic materials. These new neutron scattering techniques enhance the usability and flexibility of neutron scattering experiments.

論文

超高圧中性子回折装置PLANETがいかにしてつくられたか?

服部 高典; 佐野 亜沙美; 有馬 寛*

波紋, 26(2), p.85 - 90, 2016/05

PLANETは世界初の高温高圧実験を主眼においた中性子粉末回折ビームラインである。このビームライン専用にデザインされた6軸プレスを用いることで、10GPa, 2000Kでのデータ測定が定常的にできるようになっている。本稿では、PLANETがどのようにしてつくられたのか紹介する。

論文

中性子実験装置J-PARC編,15; MLF計算環境

中谷 健; 稲村 泰弘

波紋, 26(1), p.42 - 45, 2016/02

J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では建設当初からMLF計算環境グループが組織され、このグループによりMLFの中性子実験装置のためのイベントデータ収集システム、データ解析ライブラリ、実験制御ソフトウェアフレームワークが開発、運用されている。本入門講座では、MLF計算環境グループにより新規に開発された、大強度中性子を最大限利用するための汎用イベントデータ収集システム、様々な実験装置で多次元データ解析を可能にするデータ解析フレームワーク、実験監視および多種多様かつ大容量データの取り扱いを遠隔から可能にする外部アクセス計算環境について報告する。

論文

渡邊昇先生に教えていただいたこと

鈴谷 賢太郎

波紋, 26(1), p.18 - 20, 2016/02

渡邊昇先生に御指導いただいた1990年前後の思い出をまとめた。高エネルギー加速器研究機構中性子散乱実験施設(KENS)において、パルス中性子小/中角散乱装置の建設と利用研究について渡邊先生の御指導を受けた。新しい測定装置を考案・建設し、理論研究と実験を重ねながら、データ解析手法まで開発していくという装置建設の基本を教えていただいた。

論文

MLF試料環境

麻生 智一; 山内 康弘; 河村 聖子

波紋, 25(4), p.283 - 287, 2015/11

In the neutron scattering facility, sample environment is one of the important factor. In Materials and Life Science Experimental Facility (MLF) of J-PARC, sample environment team has been officially organized with succeeding the previous ad hoc sample environment team, aiming to measure safety on sample environment in MLF comprehensively and to perform efficient user support in sample environment. In MLF, each beamline (BL) has its own sample environment equipment that is dedicated for the instrument, while some pieces of BL-common sample environment equipment are prepared by the sample environment team. MLF users can also carry in their own equipment or devices for their experiment. All the equipment and devices are allowed to be introduced after passing the safety examination in MLF.

論文

中性子ラジオグラフィ

飯倉 寛; 酒井 卓郎; 松林 政仁

波紋, 25(4), p.277 - 282, 2015/11

中性子ラジオグラフィに関する入門講座として、原理の説明から、JRR-3に設置されている熱中性子ラジオグラフィ装置(TNRF)の概要や測定手法の説明、さらに実際に行われている応用研究や技術開発に関して簡潔に紹介したものである。中性子ラジオグラフィは非破壊分析技術として、学術研究だけでなく産業界への応用など、幅広い分野で利用されており、TNRFにおいては利用者の多様なニーズに対応すべく、様々な技術開発が行われてきた。本稿は、中性子利用の初心者に向けて、これらの概要をまとめたものである。

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