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佐藤 薫; 古田 琢哉; 佐藤 大樹; 津田 修一
PLOS ONE (Internet), 19(10), p.e0309753_1 - e0309753_26, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)これまでに、放射線事故や医療被ばくの線量評価を目的とした数値ファントムとして、標準日本人体型の成人男性(JM-103)及び成人女性(JF-103)のボクセルファントムを開発した。しかし、JM-103及びJF-103は記述形式や解像度の制約により、被ばく時の姿勢を考慮した線量評価に対応できない課題があった。そこで本研究では、JM-103及びJF-103をベースとして、柔軟な変形が可能なポリゴンメッシュ形式の成人日本人ファントム(男性:JPM、女性:JPF)を開発した。JPM及びJPFには、1mm厚以下の微小な放射性感受性領域を有する皮膚及び水晶体の詳細モデルが組み込まれている。光子または電子を外部から前方照射する場合について、実効線量、皮膚及び水晶体(全領域及び放射性感受性領域)の線量を計算した結果、皮膚及び水晶体の全領域の計算結果について、JPM及びJPFはJM-103及びJF-103及びICRP等の文献値と矛盾しないことを確認した。さらに、これまで計算できなかった放射線感受性の高い微小な部位における線量を計算するとともに、その入射エネルギー依存性評価が可能となった。今後、構築したJPM及びJPFに現在開発中の姿勢変形技術を適用することによって、被ばく時の姿勢を考慮した、個人に対する詳細な線量評価手法を開発する予定である。
佐藤 大樹; Petoussi-Henss, N.*
PLOS ONE (Internet), 19(9), p.e0310552_1 - e0310552_15, 2024/09
被引用回数:2 パーセンタイル:53.22(Multidisciplinary Sciences)環境に存在する放射性核種に対する線量評価において、核種の放射能濃度を外部被ばく線量率に換算する線量率係数は極めて重要である。国際放射線防護委員会(ICRP)は、土壌中の様々な深さに分布している97元素1252核種に対する線量率係数を整備し公開している。しかし、ICRPのデータは、放射性壊変によって生成される系列核種の線量寄与は含まれず、土壌中に一様分布する体積線源にも未対応であったため、公衆の長期被ばくで問題となっている自然起源放射性物質(NORM)を含む埋立地土壌での線量評価に適用できなかった。そこで本研究は、ICRPのデータと手法に基づき、土壌中で実効的な無限深さまで一様に分布した核種に対して、新たに線量率係数を整備した。さらに、NORMに含まれるトリウム系列およびウラン系列の核種に対してもデータ提供した。得られた結果は、過去研究にある幾つかの核種に対する結果と比較され、約10%以内で一致することを確認した。これにより、ICRPのデータおよび手法に基づき、一様体積線源に対する系統的なデータ整備に成功した。本成果はNORMによる公衆の長期被ばくの線量評価に大いに貢献する。
岩元 洋介; 佐藤 達彦
PLOS ONE (Internet), 17(11), p.e0276364_1 - e0276364_16, 2022/11
被引用回数:6 パーセンタイル:53.26(Multidisciplinary Sciences)宇宙探査等の放射線環境下で使用される半導体デバイスの寿命を決定する指標として、非電離エネルギー損失から算出される変位損傷量(DDD)が利用されている。近年は、分子動力学シミュレーションから得られる材料の欠陥生成効率を考慮した、新しい指標の実効DDDが提案されている。そこで本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードシステムPHITSにおいて、代表的な半導体材料である炭化ケイ素(SiC)、ヒ化インジウム(InAs)、ヒ化ガリウム(GaAs)、及び窒化ガリウム(GaN)に対して、従来のDDDと実効DDDを計算できる手法を開発した。その結果、ヒ素化合物であるInAs及びGaAsにおいて、アモルファス化により欠陥数が増える効果を含む実効DDDが従来のDDDよりも約2倍大きくなること、SiCにおいては欠陥の再結合によりその関係が逆転することがわかった。本計算手法とPHITSの宇宙線線源機能を活用することで、宇宙探査等の放射線環境下における半導体デバイスの放射線損傷評価が可能となる。
土肥 輝美; 飯島 和毅; 町田 昌彦; 数納 広哉*; 大村 嘉人*; 藤原 健壮; 木村 茂*; 菅野 太志*
PLOS ONE (Internet), 17(7), p.e0271035_1 - e0271035_21, 2022/07
被引用回数:4 パーセンタイル:27.80(Multidisciplinary Sciences)Many lichens are well known to accumulate radiocaesium and, thus acting as biomonitors of contamination levels. Here, we use autoradiography and demonstrate for the first time microscale localisation of radiocaesium within thallus tissues to investigate the radiocaesium forms and their accumulation mechanism. The radiocaesium was localised in the brown pigmented parts i.e., melanin-like substances, in the lower cortex of lichen thallus. Quantum chemical calculations showed that functional group of melanin-like substances can chelate Cs
ion, which indicates that the Cs
ions form complexes with the substances. Based on these findings, we suggest that radiocaesium ions may be retained stably in melanin-like substances for long periods (two to six years) due to steric factors, such as those seen in porphyrin-like structures and
multimer formation in the lower cortex.
石井 弓美子*; 三浦 輝*; Jo, J.*; 辻 英樹*; 斎藤 梨絵; 小荒井 一真; 萩原 大樹; 漆舘 理之*; 錦織 達啓*; 和田 敏裕*; et al.
PLOS ONE (Internet), 17(5), p.e0268629_1 - e0268629_17, 2022/05
被引用回数:7 パーセンタイル:41.40(Multidisciplinary Sciences)本研究では、福島県太田川で採集した解虫性トビケラ(Stenopsyche marmorata)および肉食性ヘビトンボ(Protohermes grandis)幼虫の水生昆虫個体におけるCs放射能濃度のばらつきを調査した。トビケラ幼虫は散発的に高い放射能を示したが、ヘビトンボ幼虫ではばらつきは見られなかった。オートラジオグラフィーと走査型電子顕微鏡による分析から、これらのトビケラ幼虫試料には、不溶性のCs含有ケイ酸塩ガラス粒子である放射性Cs含有微粒子(CsMPs)が含まれていることが確認された。また、CsMPsはトビケラ幼虫の餌となりうるペリフィトンや漂流粒子状有機物にも含まれており、幼虫はCsMPsを同サイズの餌粒子とともに摂取している可能性が示唆された。淡水生態系におけるCsMPsの分布や生物による取り込みは比較的知られていないが、本研究はCsMPsが水生昆虫に取り込まれることを実証している。
湯口 貴史*; 五十公野 裕也*; 笹尾 英嗣
PLOS ONE (Internet), 16(5), p.e0251198_1 - e0251198_17, 2021/05
被引用回数:5 パーセンタイル:28.09(Multidisciplinary Sciences)本研究は、割れ目の発生と発達の過程を明らかにする目的で、結晶質岩中のラージスケール割れ目と、鉱物の変質と微小空隙の関係を明らかにした。鉱物の変質の程度を定量的に評価するため、黒雲母の緑泥石化に着目し、変質領域と非変質領域の面積比から変質パラメータを定義した。その結果、ラージスケール割れ目の発達する岩石領域では変質パラメータと微小空隙がともに大きくなる傾向を見出した。これらの結果から、変質パラメータが現在と将来の割れ目分布の評価に有効となることを明らかにした。
土肥 輝美; 大村 嘉人*; 吉村 和也; 佐々木 隆之*; 藤原 健壮; 金井塚 清一*; 中間 茂雄; 飯島 和毅
PLOS ONE (Internet), 16(5), p.e0251828_1 - e0251828_16, 2021/05
被引用回数:9 パーセンタイル:40.51(Multidisciplinary Sciences)We investigated the radiocaesium content of nine epiphytic foliose lichens species and the adjacent barks at the boundary of the FDNPS six years after the accident in 2011. The Cs-inventory were determined to compare Cs retentions of lichens and barks under the same growth conditions. The
Cs -inventory of lichens were respectively 7.9- and 3.8-times greater than the adjacent barks. Furthermore, we examined the Cs distribution within these samples using autoradiography (AR) and on the surfaces with an EPMA. AR results showed strong local spotting and heterogeneous distributions of radioactivity in both the lichen and bark samples, although the intensities were lower in the barks. In addition, radioactivity was distributed more towards the inwards of the lichen samples than the peripheries. This suggests that lichen can retain
Cs that is chemically immobilized in particulates intracellularly, unlike bark.
佐藤 大樹; 中山 浩成; 古田 琢哉; 吉廣 保*; 坂本 健作
PLOS ONE (Internet), 16(1), p.e0245932_1 - e0245932_26, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:20.79(Multidisciplinary Sciences)本研究では、大気および土壌に不均一に分布する放射性核種からのガンマ線による外部被ばく線量評価のための計算モデルSIBYLを開発した。SIBYLは、原子力機構が開発した局所域大気拡散モデルLOHDIM-LESに接続し、LOHDIM-LESが予測した放射性核種の分布に従い地表面での線量率分布を計算できる。原子力緊急時における利用で要求される計算速度と精度を実現するため、汎用放射線輸送計算コードPHITSを用いて膨大な計算資源を要する3次元放射線輸送計算を予め行い、その結果を線量計算に利用するデータベースとして整備した。また、SIBYLは、ビル等の障害物による減衰や地表面の標高変化を考慮した線量評価ができるという特長がある。そこで、排気塔からのKrの大気放出および都市部での
Csの拡散を想定した5ケースに対して、SIBYLで地表面の線量率分布を計算し、その結果をPHITSによる線量率分布の評価結果と比較して、SIBYLの信頼性と性能を検証した。その結果、評価地域の大部分で両者の評価結果は10%以内で一致し、かつSYBILはPHITSに対して約100倍以上高速に線量を評価し、緊急時にも適用可能であることを確認した。
大野 卓也; 田代 信介; 天野 祐希; 吉田 尚生; 吉田 涼一朗; 阿部 仁
PLOS ONE (Internet), 16(1), p.e0245303_1 - e0245303_16, 2021/01
被引用回数:3 パーセンタイル:11.14(Multidisciplinary Sciences)火災時に原子力施設から漏れる放射性物質の量を評価する際には、グローブボックスの閉じ込め機能がどのように失われるかを考慮する必要がある。その一環として、この研究では、炎からの入熱によるグローブボックス材料の重量減少とそれに伴う熱分解ガスの放出を一貫して評価するモデルの構築を試みた。材料の重量減少はグローブボックスの壁材の減肉を示唆しており、熱分解ガスの放出は延焼が発生する可能性を示唆する。本研究では研究対象をグローブボックスパネルとして使用されるポリメチルメタクリレート(PMMA)とした。PMMAの熱重量分析では、熱分解による重量減少を予測するアレニウス式に代入するパラメーターを決定した。ここでは、PMMAの熱分解挙動が3つのステージに区分され、それぞれ62kJ/mol, 250kJ/mol、および265kJ/molの活性化エネルギーが導出された。また、ガス組成の定量分析により、PMMAから放出される熱分解ガスの組成は100%メタクリル酸メチルとして近似できることが明らかになった。この結果は、メタクリル酸メチルの放出量を上述のアレニウス式により推定できることを示唆する。このようなガス放出量の推定モデルの妥当性を確認するために、密封容器試験を実施した。この試験では、封入した材料が熱分解していくに従い容器内のガス分子の数が増加していく様を、内圧の変化を測定することで観察した。観察されたガス分子の増加挙動はアレニウスの式から推定されたものと同様であり、我々のモデルの有効性を示した。さらに、比較のためにビスフェノールAポリカーボネート(PC)についても同様の試験を実行した。PCの場合、密封容器試験で観察されるガス分子の数はモデルによる推定値よりも多くなる傾向が見られた。
坂下 哲哉*; 佐藤 達彦; 浜田 信行*
PLOS ONE (Internet), 14(8), p.e0221579_1 - e0221579_20, 2019/08
被引用回数:10 パーセンタイル:48.00(Multidisciplinary Sciences)放射線被ばくに起因する白内障発症をより確実に防ぐため、国際放射線防護委員会は眼の水晶体線量限度値の引き下げを提案している。しかしながら、白内障発症のメカニズムや線量応答は明らかになっていない。そこで本研究では、個々の細胞動態に基づいて白内障発症率を計算する数理モデルを開発し、そのモデルで使用するパラメータを白内障自然発症に対する疫学データから決定した。そして、決定したパラメータを用いて、放射線被ばくに起因する白内障発症率の線量応答関数を推定した。本モデルは、今後、白内障に対する放射線防護指針を改訂する際、極めて有用となる。
春間 俊克*; 山路 恵子*; 小川 和義*; 升屋 勇人*; 関根 由莉奈; 香西 直文
PLOS ONE (Internet), 14(2), p.e0212644_1 - e0212644_16, 2019/02
被引用回数:27 パーセンタイル:76.68(Multidisciplinary Sciences)すすきは鉱山跡地に生える先駆植物である。すすきは、植物性シデロフォアを生産することによって、鉱山跡地の有害元素であるAlを無毒化する。すすきの根に内生する微生物であるC. cupreumは、シデロフォアを生産することによってすすきのAl耐性を向上させる。われわれは、C. cupreumが生産するシデロフォアがoosporeinであると同定した。oosporeinがAlを無毒化することを明らかにした。C. cupreumを無菌状態のすすきに接種すると、芽の生長が促進され、Al耐性が向上した。
初川 雄一*; 早川 岳人*; 塚田 和明; 橋本 和幸*; 佐藤 哲也; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 谷森 達*; 園田 真也*; 株木 重人*; et al.
PLOS ONE (Internet), 13(12), p.e0208909_1 - e0208909_12, 2018/12
被引用回数:3 パーセンタイル:25.74(Multidisciplinary Sciences)電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を用いて放射性同位元素Tcの画像撮像を実施した。
Tcは、204, 582, 835keVの3本の
線を放出し、濃縮同位体
Moを用いて
Mo(p,n)
Tc反応で合成される。濃縮
Mo同位体三酸化物の再利用について実験を実施し、再生率70
90%を達成した。画像は3本の
線それぞれを用いて解析し取得した。その結果、
線エネルギーが高いほど空間分解能が向上することが判り、
Tcのような高エネルギー
線放出核を利用することで、ETCCが人体の深部の組織や器官の医療画像撮像に有効であることを示唆する結果を得た。
小川 達彦; 八巻 徹也*; 佐藤 達彦
PLOS ONE (Internet), 13(8), p.e0202011_1 - e0202011_19, 2018/08
被引用回数:15 パーセンタイル:78.29(Multidisciplinary Sciences)シンチレータは、電子線, 線,陽子,重イオンなどの多様な種類の放射線を検知するために広く利用され、付与されたエネルギー量に応じた光を発する。シンチレータにおいては、エネルギー付与密度の高い重イオンのような粒子に対してはクエンチング現象が起こり、エネルギー付与量と比して発光が少なくなることが知られている。さらに、クエンチング現象は励起した蛍光分子が他の蛍光分子にエネルギーを受け渡すメカニズム(F
rster効果)によって発生すると推測されている。そこで本研究では、様々なエネルギー・線種の放射線の照射を受けたシンチレータ内でのエネルギー付与を飛跡構造計算コードRITRACKSや汎用放射線輸送計算コードPHITSのT-SED機能により計算し、励起する蛍光分子の空間配置や量を予測した。この計算結果に基づき、各励起分子に対してF
rster効果が発生する確率を計算し、励起した分子のうち発光する分子の数を計算した。その結果、電子入射の場合は入射エネルギーと発光量が比例するが、陽子入射の場合は入射エネルギーに対して発光量が非線形に増加し、特に低エネルギーの重イオンに対してはその非線形性がより強くなる実験値を正確に再現することができた。
佐藤 達彦
PLOS ONE (Internet), 11(8), p.e0160390_1 - e0160390_22, 2016/08
被引用回数:100 パーセンタイル:94.59(Multidisciplinary Sciences)大気圏内任意地点における角度微分宇宙線フラックスを瞬時に計算可能な解析モデルPARMA4.0を開発した。PARMA4.0は、これまでに開発したPARMA3.0に新しく提案した天頂角分布計算モデルを組み合わせたものであり、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて実施した空気シャワーシミュレーション結果に基づいている。天頂角が大きい領域の地上レベルのミューオンの角度分布は、実験データに基づき導入した関数により決定する。PARMA4.0の精度については、実測データに基づいて様々な地上の条件で検証した。この拡張により、宇宙線検出器設計、ミューオンラジオグラフィー、宇宙線中性子を用いた地質分析など、PARMAモデルの応用範囲の拡張が期待できる。なお、PARMA4.0は宇宙線スペクトル計算システムEXPACSで利用が可能である。
藤原 悟; 荒木 克哉*; 松尾 龍人; 八木 寿梓*; 山田 武*; 柴田 薫; 望月 秀樹*
PLOS ONE (Internet), 11(4), p.e0151447_1 - e0151447_17, 2016/04
被引用回数:26 パーセンタイル:63.64(Multidisciplinary Sciences)Filamentous aggregates (amyloid fibrils) of the protein -synuclein (
-Syn) are related to the pathogenesis of Parkinson's disease. To understand the pathogenesis mechanism of this disease, the mechanism of the amyloid fibril formation of
-Syn must be elucidated. As a first step toward this ultimate goal, dynamical behavior of
-Syn in the monomeric and the fibril states was investigated using quasielastic neutron scattering (QENS). Analysis of the QENS spectra of solution samples of
-Syn shows that diffusive global motions are observed in the monomeric state but largely suppressed in the fibril state. However, the amplitude of the side chain motion is shown to be larger in the fibril state than in the monomeric state. This implies that significant solvent space exists within the fibrils, which is attributed to the
-Syn molecules within the fibrils having a distribution of conformations. The larger amplitude of the side chain motion in the fibril state than in the monomeric state implies that the fibril state is entropically favorable.
佐藤 達彦
PLOS ONE (Internet), 10(12), p.e0144679_1 - e0144679_33, 2015/12
被引用回数:121 パーセンタイル:95.37(Multidisciplinary Sciences)これまでに構築したモデルを拡張し、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSをベースとした大気圏内宇宙線フラックス計算モデルPARMA version3.0を開発した。この開発により、大気圏内任意地点・時間における宇宙線由来の中性子・陽子・電荷が28までのイオン, ミューオン, 電子, 陽電子, 光子フラックスを簡便に計算可能とした。また、PARMA3.0を宇宙線による被ばく線量や電離量評価などに応用し、様々な条件での測定値を精度よく再現できることを確認した。PARMA3.0は、オープンアクセスソフトウェアEXPACSに組み込まれ、誰でも簡単に使うことができる。このような特徴により、新しいバージョンのPARMA/EXPACSは放射線, 地球惑星, 宇宙線科学など様々な分野で重要なツールとなることが期待できる。
河野 秀俊; 白山 一義*; 有村 泰宏*; 立和名 博昭*; 胡桃坂 仁志*
PLOS ONE (Internet), 10(3), p.e0120635_1 - e0120635_15, 2015/03
被引用回数:28 パーセンタイル:64.06(Multidisciplinary Sciences)The dynamics of nucleosomes containing either canonical H3 or its centromere-specific variant CENP-A were investigated using molecular dynamics simulations. The simulations showed that the histone cores were structurally stable during simulation periods of 100 ns and 50 ns, while DNA was highly flexible at the entry and exit regions and partially dissociated from the histone core. In particular, approximately 20-25 bp of DNA at the entry and exit regions of the CENP-A nucleosome exhibited larger fluctuations than DNA at the entry and exit regions of the H3 nucleosome. Our detailed analysis clarified that this difference in dynamics was attributable to a difference in two basic amino acids in theN helix; two arginine (Arg) residues in H3 were substituted by lysine (Lys) residues at the corresponding sites in CENP-A. The difference in the ability to form hydrogen bonds with DNA of these two residues regulated the flexibility of nucleosomal DNA at the entry and exit regions. Our exonuclease III assay consistently revealed that replacement of these two Arg residues in the H3 nucleosome by Lys enhanced endonuclease susceptibility, suggesting that the DNA ends of the CENP-A nucleosome are more flexible than those of the H3 nucleosome. This difference in the dynamics between the two types of nucleosomes may be important for forming higher order structures in different phases.
櫛田 慶幸
PLOS ONE (Internet), 10(3), p.e0122331_1 - e0122331_16, 2015/03
被引用回数:8 パーセンタイル:45.73(Multidisciplinary Sciences)本論文では前処理済み行列の条件数を推定する新しい手法を開発した。これにより、現在主流の線形連立一次方程式解法であるクリロフ部分空間法の収束性を向上させ、シミュレーションの時間を短縮することが可能となる。従来、前処理済み行列の条件数を推定するためには、(1)密行列になることを受け入れ実際に前処理行列を作用させるか、(2)ランチョスコネクションと呼ばれるランチョス法に基づき固有値を推定する方法が用いられてきた。しかしながら、(1)はメモリ使用量が膨大になるため実際のシミュレーションで使われる規模の行列では事実上不可能であり、(2)は本論文で示すように計算誤差のため実用には程遠い。このため、本論文ではある行列の逆行列の行列ノルムを推定するHagerの方法に基づき、前処理済み行列の条件数を推定するアルゴリズムを開発した。Matrix Marketから得らるサンプル行列や、ポワソン方程式をFEMで離散化した行列を用いて精度検証を行ったところ、ランチョスコネクションが意味のない推定値をだす条件であっても、新手法は安定していることが示された。また、計算量およびメモリ使用量の解析を行い、計算量は実際のシミュレーションに必要な量の4倍が必要となるが、メモリ使用量についてはほぼ同量しか必要とならないことが示された。これにより、開発した新手法が従来手法(1),(2)の問題点を克服したと言える。
鈴木 庸平*; 今野 祐多*; 福田 朱里*; 小松 大介*; 廣田 明成*; 渡邊 勝明*; 東郷 洋子*; 森川 徳敏*; 萩原 大樹; 青才 大介*; et al.
PLOS ONE (Internet), 9(12), p.e113063_1 - e113063_20, 2014/12
被引用回数:14 パーセンタイル:38.53(Multidisciplinary Sciences)土岐花崗岩が対象として掘削された深層ボーリング孔において、深部地下水中の微生物特性の調査を行った。その結果、低硫酸濃度環境下において、微生物的硫酸還元に伴う硫黄同位体分別が認められた。また、硫黄同位体分別の大きな同位体比および炭素同位体比は、メタン生成菌の活性が低いことを示唆した。これらの特徴は、低栄養環境である深部火成岩中の微生物生態系の特徴と考えられた。
佐藤 達彦; 浜田 信行*
PLOS ONE (Internet), 9(11), p.e114056_1 - e114056_20, 2014/11
被引用回数:12 パーセンタイル:43.12(Multidisciplinary Sciences)様々な線種の電離放射線に照射された細胞の生存率について、標的効果と非標的効果の双方を考慮して推定可能な新たなモデルを開発した。放射線場を特徴づけるための指標として、従来のモデルでよく使われてきたマクロ吸収線量やLETではなく、各細胞核及びその内部構造(ドメイン)におけるミクロ吸収線量の確率密度分布を用いた。これらの確率密度分布は、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSにより計算可能である。標的効果の表現には、以前に確立したDSMK(二重確率論的マイクロドジメトリ動態)モデルを用い、非標的効果の表現には新たなモデルを開発した。開発したモデルの妥当性を調べるため、様々な細胞腫や照射条件に対する生存率について、その生物実験データとモデル計算データを比較した。その結果、モデル計算は広範囲の線量とLETについて生物実験データをよく再現することが示された。標的効果、非標的効果、Bcl-2過剰発現の効果を考慮したこの新たなモデルは、重粒子線治療、密封小線源治療、ホウ素中性子捕獲療法など、様々な先進医療の治療成績と有害事象の評価精度向上に役立つと期待できる。