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西田 明美
no journal, ,
ここ数年、原子力プラントにおいて予期しえなかった事象が相次いで起こり、その安全保守性に対して従来以上に高い信頼性が求められている。しかしながら、実際の原子力プラント等を用いた保全管理実験や経年運転検証実験には膨大な費用と年月が必要である。そこで、進展著しい計算科学の力を活用して安全かつ効率的に原子力プラントの保全性評価を行おうという試みがなされるようになってきている。センターでは、将来的な原子力耐震情報管制システム構築を見据え、原子力プラント3次元シミュレーションの研究開発に取り組んでいる。3次元仮想振動台と呼んでいる本技術は、原子力プラントの機器,建屋,地盤の連成を考慮した実環境下での原子力プラント全体規模の数値シミュレーションを最終目標とする。本発表では、東京工業大学で開催された「シェル・空間構造物の応答制御と減衰に関する研究」WSにおいて、3次元仮想振動台実現のための要素技術として研究開発された組立構造解析法の並列分散環境におけるシステム構築について述べ、約2億自由度を有する実プラント主要冷却設備への適用例を示し、中期計画の中で達成された成果の普及に貢献する。
原 雅人
no journal, ,
換気立坑の湧水対策として、基底礫岩部を対象としたポストグラウチング試験施工を実施し、その湧水抑制効果に関する基礎データを取得した。
三輪 幸夫
no journal, ,
軽水炉ではBWR又はPWRで腐食環境が酸化性又は還元性と異なるにもかかわらず、ステンレス鋼で(照射誘起)応力腐食割れが生じている。この点について、方位像顕微鏡を用いた粒界の耐食性の観点からのJAEAの研究結果を紹介し、耐食性劣化の小さい粒界でもき裂が進展することを明らかにした。次に、腐食環境や粒界耐食性の違いにもかかわらず粒界型応力腐食割れが生じていることから、応力の影響についての研究状況を紹介した。実機で生じている割れは開口が小さいことから、局所的な応力を測定する必要があると考え、JAEAで開発した方位像顕微鏡を用いミクロな塑性ひずみ(応力に相当)を測定する技術の紹介を行い、溶接継ぎ手のき裂のひずみ分布測定の結果を報告した。そして、粒界き裂先端には大きな塑性ひずみが加わることを明らかにし、局所的な塑性ひずみが応力腐食割れの重要な因子の1つである可能性を示唆した。一方、マクロな応力の影響についてJAEAが調べた研究成果についても紹介した。応力を与えて照射した試験片でも照射後の応力腐食割れ感受性には応力の影響は見られないこと、応力が負荷されることで照射硬化や粒界での耐食性劣化が抑制されることを明らかにした。後者の結果は先の結果の応力の重要性を補償する結果とは成り得ず、ミクロからマクロへのマルチスケールでの機構解明のための研究が重要であることを議論した。
田村 文彦; Schnase, A.; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 高木 昭*; 原 圭吾*; 穴見 昌三*; 絵面 栄二*
no journal, ,
J-PARCの速い繰り返しのシンクロトロン(RCS)は大強度陽子ビーム電流を扱うために、非常に安定で正確なローレベルRF制御(LLRF)システムを必要とする。MA装荷の低いQ値の空胴が用いられ、2つのハーモニックの重畳のRF信号で空胴がドライブされる。ハーモニックは、加速及びバンチの整形に用いられる。DDSを基本としたフルデジタルのシステムが用いられ、DDSによって生成される各ハーモニック信号の同期は容易である。LLRFシステムのデザイン及び構成について述べる。ビームの安定化のためのフィードバック、ビームローディング補償などから構成される。製作中のモジュール群についても述べる。
羽柴 公博; 松井 裕哉; 佐藤 稔紀; 瀬野 康弘
no journal, ,
地下構造物の長期的な挙動と安定性を評価するには、岩石の時間依存性挙動の解明が重要である。しかし、岩石の時間依存性や粘弾性的性質に関する研究成果は数多く報告されているものの、時間依存性に及ぼす応力履歴の影響に関する知見は少ない。そこで本研究では、凝灰岩と珪質岩を用いて多段階クリープ試験を行った。第1段階と第2段階のクリープ応力や第1段階のクリープ継続時間を種々変化させて、クリープ挙動に及ぼす応力履歴の影響を検討した。その結果、第1段階のクリープの影響により、第2段階の初期クリープ歪速度が小さくなる場合があることがわかった。さらに、第1段階と第2段階のクリープ応力の差が小さく、第1段階のクリープ継続時間が長いほど、第2段階に及ぼす応力履歴の影響が大きくなることがわかった。凝灰岩と珪質岩の試験結果を比較したところ、珪質岩の方が、クリープ挙動に及ぼす応力履歴の影響の程度が大きいことがわかった。
玉田 正男
no journal, ,
高分子の放射線加工によるモノづくりでは、高分子材料に電子線などの放射線を照射して生成した活性種により開始されるグラフト重合,橋かけ反応などを利用する。グラフト重合で作製した高性能の金属捕集材は、ホタテなどの海産廃棄物からのカドミウム除去や海水からウランなどの有用金属を回収に利用される。また、橋かけ反応では、ポリ乳酸などの生分解性高分子の耐熱性を向上させることができる。
松橋 信平
no journal, ,
植物ポジトロンイメージング法は、生きた植物内での栄養成分や環境汚染物の動態を動画像として視覚化できる、世界にも類を見ないユニークな研究手法である。この手法は、植物生理学,植物栄養学分野における基礎的な研究において強力なツールとなるが、植物産業分野においても活用できる可能性がある。ポジトロンイメージング画像データの定量的な解析技術を開発することにより、これまで長時間を必要としたり、判断が困難だった機能に着目したスクリーニングへの応用が可能であり、めざましい勢いで競争が繰り広げられている植物の育種産業において、短時間で正確な有用植物を選抜する全く新しい手法を提供できる。
小林 泰彦
no journal, ,
放射線によるエネルギー付与は、ほとんどの場合、荷電粒子によって与えられる。荷電粒子によるエネルギー付与はトラック構造を持ち、時間的・空間的に離散的で、粒子の電荷や運動エネルギー(速度)に依存する。従来のマクロな捉え方による吸収線量やLETといった量では、その不均一性の記述や生物効果の評価基準として不十分である。さらに、バイスタンダー効果のように、同一細胞集団内でヒット細胞から非ヒット細胞に放射線作用が伝達される現象が存在することは、放射線の生物作用をますます複雑なものにしている。マイクロビームはこういった不確実性をできる限り明確にして、個々の細胞に対する真の放射線生物学的効果を追求できる可能性を持ったツールである。そこでわれわれは、重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。低線量放射線被曝において混在する照射細胞と非照射細胞を明確に区別して個々の細胞の放射線応答を解析することにより、バイスタンダー効果や線質効果などの放射線の生物作用の分子機構を明らかにして行く。
菖蒲田 義博
no journal, ,
J-PARCのrapid cycling synchrotron(RCS)の入射部では、ビームの強度を上げるためにH-入射が採用されている。ダクトの側面には穴があいていて、この穴を通してフォイルの出し入れがなされる。本来このような穴は、ビームのインピーダンスの観点からみても、ビームが通ることによる入射機器への影響からみても閉じられている方が望ましい。しかし、技術的な問題でこれを閉じることは難しい。そこで、この穴を通したビームと入射部との相互作用について考慮する必要がある。ここでは、フォイルのついた入射部をビームが通過した場合に立つ場の計算方法を示す。注目している系はビームダクトにフォイル軸を軸とした同軸のダクトがつながったものである。この系は対称ではないが、穴の部分を双極子で近似することでビームダクトとフォイル部を分けて計算できる。この方法を使うことで、入射部フォイルのインピーダンスのビームへの影響が軽微であること。さらに、入射部に高周波の電流が流れることがわかる。
羽田 一彦; 西 宏; 廣瀬 貴規; 毛利 憲介; 青木 庄治*; 和田 正彦*; 山道 哲雄*
no journal, ,
ITER真空容器内構造機器に使用される構造材料の一つとして、析出強化型銅合金であるCu-Cr-Zr合金の使用が検討されている。本合金は溶体化処理後の焼き入れによりCr-Zrを固溶体化しその後時効処理により微細なCr-Zr析出物を析出させ高強度を得ているが、析出強化型であることからこのときの加工熱処理条件、特に溶体化焼き入れ速度の差異により、大幅に強度特性が変化することが危惧されている。そこで、本研究では、溶体化焼き入れ速度の条件を変化させ、その後時効処理を施した後、引張試験により強度を測定し、本銅合金に及ぼす溶体化焼き入れ速度条件等の影響を調査した。その結果、溶体化焼き入れ速度に関して1
C/sと10
C/sの間で時効処理後の引張強さが顕著に変化することが判明した。これにより、本合金を材料のみならずHIP等により熱履歴過程を経て部材として製作され、強度部材として溶体化熱処理を施す必要のある場合には、溶体化焼き入れ速度の確認が製品強度を保証するうえで重要であることが明確になった。
/U
酸化還元平衡に関する研究永井 崇之; 上原 章寛*; 白井 理*; 山名 元*
no journal, ,
現在、溶媒にNaCl-2CsCl溶融塩を用いた使用済核燃料の酸化物電解法プロセスの研究が進められている。このプロセスでは、NaCl-2CsCl中のUO
等をUO
等の酸化物形態で陰極に電解析出させ回収する。しかし、電極に炭素系材料を用いるため、UO
がCと反応してU
を生成する可能性がある。そこで、本研究ではNaCl-2CsCl中のU
/U
酸化還元平衡反応を調べ、U
共存条件でもUO
電解析出に影響しないことを確認した。なお、当該環境でMo等の電極を用いた電気化学測定を行った場合、電極材料の腐食溶出が想定されることから、電解分光測定によりU
/U
酸化還元平衡電位を求め、W電極を用いたCV測定による結果と比較した。
安達 基泰; 玉田 太郎; 佐藤 勝也*; 鳴海 一成; 黒木 良太
no journal, ,
放射線抵抗性細菌デイノコッカスは、ヒト細胞の1000倍もの放射線抵抗性を示す。PprAはデイノコッカスより単離された新規なDNA修復促進蛋白質であり、高度放射線抵抗性において最も重要な役割を担っていることがこれまでに報告されている(1)。既にPprAは、別の新規な蛋白質(PprI)の発現誘導下にあること,2本鎖DNAをつなぐ作用(リガーゼ活性)を促進すること、及びDNAに結合能を有することが判明している。本研究では、PprAの構造と機能の関係を解明し、PprAの医療や産業への応用を推進するために、原子分解能レベルの詳細な立体構造解析を目的として研究を推進している。まず、大腸菌発現系を用いて得られたPprAの精製条件の検討を行い、大量調製する方法を確立した。この試料を用いて、結晶化条件をスクリーニングしたところ、微少なPprA単体の結晶化に成功した。PprAとDNAの結合をさまざまな角度から検討した結果、PprAとDNAの複合体において、PprAは1分子のDNA(pUC19,2686bp)に少なくとも280分子結合できることを明らかにした。また、2本鎖DNAの末端あるいはその単鎖部分に切断がある(ニックがある)場合、複数のDNA分子が結合して複合体を形成する可能性を示した。これらのことは、PprAの会合構造と機能発現に関係する重要な知見である。
中のポジトロニウム形成小室 葉; 平出 哲也; 鈴木 良一*; 大平 俊行*; 村松 誠*
no journal, ,
パラ-ポジトロニウム成分からの消滅
線はほかの過程からの消滅
線に比べ、ドップラー広がりが小さい。パラ-ポジトロニウムからの消滅過程と考えられる初期の成分において短寿命側でドップラー広がりが大きくなる現象(Young-ageブロードニング)があるが、この現象は、ポジトロニウムの熱化、ポジトロニウムの遅延形成の影響によると考えられるが、実験により、遅延形成の存在を示すことに成功した。
W/
Reジェネレーター橋本 和幸; 菱沼 行男*; 石川 幸治*; 照沼 仁*; 蓼沼 克嘉*; 内田 昇二*; 松岡 弘充
no journal, ,
レニウム-188は、高エネルギーの
線を放出する等がん治療用として優れた核特性を持ち、さらに、
W(半減期69.4日)の娘核種として生成し、入手が容易であるため、がん治療用RIとして注目されている。しかしながら、得られる
Wの比放射能が低いため、アルミナカラムを使用した従来のジェネレーターでは、カラム容積が大きくなり、溶出した
Reの放射能濃度が低くなる問題点がある。
Reの放射能濃度の向上を目指して、旧原研と化研が共同で開発したモリブデンの吸着容量がアルミナの100倍以上もあるジルコニウム系無機高分子PZCの
W/
Reジェネレーターへの応用可能かどうか、基礎的な検討を行った。
WのPZCカラムへの吸着収率,
Reのカラムからの長期溶離安定性,
WのPZCカラムからの脱離の確認、そして、PZCから溶離した
ReのHydroxyethylidene Diphosphonic Acid(HEDP)とMercaptoacetyltriglycine(MAG3)への標識を試みた結果、長期間における
WのPZCへの安定した吸着,
ReのPZCからの溶離安定性及び良好な標識率が確認でき実用化の可能性が示唆された。
山岸 信寛; 青柳 哲雄; 長谷川 幸弘; 中島 憲宏; 谷 正之
no journal, ,
システム計算科学センターでは、ITBLプロジェクトの目的の1つである仮想研究環境の実現のため、基盤ソフトウェアとしてITBLシステム基盤ソフトウェアを開発した。本ソフトウェアの通信機構である Starpc(Seamless Thinking Aid Remote Procedure Call)は、複数の組織に所属する研究者が、ファイアウォールを越えてプログラム, データ, 計算機等の資源や、研究成果を共有するために必要な通信機能を備えている。本発表では、パネルやリーフレットを用いた説明及びデモンストレーションにより、ITBLシステム基盤ソフトウェアにおける通信機構の構造,機能及び特徴を説明する。
高野 克敏; 堤 史明; 河野 勝己; 濱田 一弥; 中嶋 秀夫; 奥野 清
no journal, ,
日本原子力研究開発機構は、ITER超伝導コイルで使用される構造材料のデータベース構築及び建設期における構造材料の品質管理を効率よく実施するため、三台の極低温試験装置を新たに設置した。一方、極低温試験装置の軸心の検査については、これまで、あまりデータが公表されておらず、測定上の問題点も不明である。そこで、JIS Z 2277, JIS Z 2283に従い、4枚のひずみゲージを添付した検定用試験片を製作し、室温,液体ヘリウム中におけるこれらの試験装置の軸心を検査した。偏心度の測定では、試験片チャック方式に依存した問題のあることが示され、独自のデータ処理の手法を見いだした。その結果、試験装置の軸心はJIS規格で規定されている偏心度を満たすことを確認した。
杉本 誠; 喜多村 和憲; 濱田 一弥; 中嶋 秀夫; 奥野 清
no journal, ,
ITERトロイダル磁場(TF)コイルの主要構成機器であるコイル巻線及びコイル構造物の調達準備として、巻線製作のスキームを具体化する検討を行っている。コイル巻線は、巻線後熱処理した導体をラジアル・プレートに収納し、これを積層し含浸する。これらのプロセスに必要な加工装置を検討した。さらに本プロセスの後、コイル巻線とコイル容器を一体化する工程で必要な加工装置と巻線支持治具の詳細検討を行い、巻線・コイル容器の一体化手法を具体化した。これら一連の巻線調達スキームを検討した結果、製作スケジュールや工場内レイアウトを明確にし、コイル調達準備として実施すべき試作項目を明らかにした。本件では、これらの成果を発表する。
杉本 誠; 喜多村 和憲; 奥野 清
no journal, ,
ITERトロイダル磁場(TF)コイルの調達にあたり、加工方法や大型の加工装置を具体化する検討を行っている。TFコイルは、重量300トン,高さ14mの非円形Nb
Sn超伝導コイルであり、ITER工学R&Dで実証を行ったTFモデル・コイルに較べ約3倍の大きさを持つため、製作技術の一層のスケール・アップと調達方法の詳細検討が必要である。このためTFコイルの巻線調達仕様を明確にするとともに、コイル製作に必要な加工装置の具体化を行っている。これまで巻線機とカバー・プレート溶接機の概念設計とそれらの精度予測を行ってきた。この結果をさらに進展させ、巻線機とカバー・プレート溶接機の試作を行い、精度予測手法の実証を行う計画である。これらの検討結果と今後の巻線調達の準備計画を報告する。
瀬古 典明
no journal, ,
海洋,河川などに溶け込んでいる希少金属や環境排水中に溶存している有害金属を除去・回収することは資源の確保や環境保全の観点から重要なことである。これらの金属を回収する材料として高速処理が可能で高容量の吸着材の開発が要望されている。本講演では放射線グラフト重合技術を用いて作製した捕集材を帆立のウロからのカドミウムの除去や焼却炉の洗浄水からの鉛除去などへ適合させた例などを紹介する。
永石 隆二; 有阪 真; 木村 貴海; 北辻 章浩
no journal, ,
イオン性液体IL中でのEu(III)イオンの配位状態とその物理化学的挙動を解明するため、負イオン(bis(trifluoromethanesulfonyl)imide=tfsi)と正イオン(イミダゾリウムまたはアンモニウム)を含む疎水性IL中で、Eu(III)の分光及び電気化学特性を水分量の関数として調べた。分光学的研究では、発光寿命から決定したEu(III)の内圏水和数の増加とともに、Eu(III)の配位子場の非対称性を示す発光スペクトルのピーク強度比が減少した。水和数9の場合Eu(III)がIL中で水和イオンのような分光特性を示すこと,水和数9未満でtfsiイオンがEu(III)への内圏配位と励起Eu(III)の消光に関与することを明らかにした。電気化学的研究では、Eu(III)/(II)の酸化波または還元波を測定し、水溶液での結果と比較して、ピーク電位の正側へのシフトとピーク電流の減少をIL中で確認した。これらは、Eu(II)が水溶液中に比べ安定に存在できること,IL中でのEuの動きがILのイオン対により阻害されることを示す。