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佐藤 渉*; 小松田 沙也加*; 長 明彦; 佐藤 哲也; 大久保 嘉高*
Hyperfine Interactions, 237(1), p.113_1 - 113_6, 2016/12
被引用回数:2 パーセンタイル:29.15局所磁気および構造の研究を目的に、ペロブスカイト型マンガン酸化物 (
250K)に導入した
Cd (
Cd)および
Cd(
In)プローブ核における磁気超微細場と電場勾配を、時間微分摂動角相関分光法を用いて測定した。77Kの強磁性相において、La/Ca Aサイト上の非磁性
Cd核では、ごくわずかなsupertransferred magnetic hyperfine field(SMHF)(
0.014T)が明確な電場勾配とともに観察された。この現象は、我々が以前Aサイトの
Ceプローブ核について測定した大きな磁気超微細場(
=6.9T)が、隣接するMnイオンからのSMHFによって配向された4
スピンの寄与に由来することを示唆している。
吉井 賢資; 阿部 英樹*; 池田 直*
Journal of Solid State Chemistry, 178(12), p.3615 - 3623, 2005/12
被引用回数:22 パーセンタイル:34.04(Chemistry, Inorganic & Nuclear)小さい希土類イオンを含むペロブスカイトマンガン酸化物Ca
MnO
(
=Ho, Er, Tm, Yb and Lu)が斜方晶構造を取ることを見いだした。電気抵抗測定から、これらの酸化物が絶縁性であり、小さな磁気抵抗効果しか示さないことがわかった。磁化測定からは、マンガン電子の電荷秩序温度・反強磁性転移温度・グラス状態転移温度の3つが存在することがわかった。これらの物性について、結晶構造などと関連付けて議論する。
吉井 賢資; 中村 彰夫; 水牧 仁一朗*; 谷田 肇*; 河村 直己*; 阿部 英樹*; 石井 慶信; 下条 豊; 森井 幸生
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 272-276(Suppl.), p.e609 - e611, 2004/05
被引用回数:4 パーセンタイル:73.41(Materials Science, Multidisciplinary)ペロブスカイトCaMnOは150Kに反強磁性を示す絶縁体であるが、最近、Mnサイトを一部Ruに置き換えることによって、強磁性を示すとともに金属的になることが示された。本研究では、低温において、強磁性を示すCaMn
Ru
O
の磁気構造について中性子散乱を用いて調べた。常温での構造は単斜晶
2
/
ペロブスカイト構造であった。低温での磁気ピークを含めた回折パターンは、強磁性と反強磁性ドメインの共存を仮定することでフィットできた。放射光を用いたX線吸収スペクトル測定からは、Ruの平均原子価が4から5+の間であることがわかった。このことは、過去の論文における、Ru
の存在によってMnイオン間の強磁性相互作用が強められるという提案を支持する。
河村 繕範; 小西 哲之; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 45(1), p.33 - 40, 2004/01
被引用回数:22 パーセンタイル:18.07(Nuclear Science & Technology)核融合炉の効率的なブランケットトリチウム回収システムの実現を目指して、プロトン導電性固体電解質膜を用いた電気化学水素ポンプの研究開発を進めている。水素ポンプを用いたブランケットトリチウム回収システムの利点の一つは、一つのコンポーネントで水素同位体と水蒸気の同時処理が期待できることである。本研究では、ペロブスカイト型プロトン導電性セラミックであるSrCeYb
O
を用いた水素ポンプにより、水分子中の水素抽出特性についての実験研究を行った。水分子からの水素抽出には、水の分解エネルギーに相当するしきい値が存在する。その値は873Kで500
600mV程度で、水蒸気分圧の増加に伴い減少する傾向が見られたが、理論値よりやや低い値となることがわかった。また、H
-H
O混合ガスのポンピングについては、H
の透過が水蒸気分解より優先して生じ、水蒸気分解のしきい値は水素分圧の増加に伴い増加する傾向が見られた。これらの結果から、一段の水素ポンプによる水素同位体及び水蒸気の同時処理を実証したが、同時処理を行うためには、比較的高く印加電圧を設定する必要があることが見込まれる。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Physical Review B, 67(9), p.094408_1 - 094408_8, 2003/03
被引用回数:36 パーセンタイル:17.77(Materials Science, Multidisciplinary)Sr
Co
Ru
O
(
=La, Pr, Nd, Sm, 及び Eu)の構造・磁性・電気伝導について調べた。結晶構造はほとんどの物質で斜方晶ペロブスカイト構造Pnmaであった。Ruをドープしていない酸化物(x=0)はキュリー温度が250から140Kの強磁性金属であるが、Ruをドープすることによって強磁性が抑えられるとともに金属性が消失し絶縁体になることがわかった。逆帯磁率データからは、Ruドープにより磁気相互作用が反強磁性的になることが見出された。また、
Sr
Co
Ru
O
(
=Sm 及びEu)では、50-60Kにスピングラス的挙動が見られた。磁性におけるこの変化をRuドープによるCoのスピン状態などと関連付けて説明した。
吉井 賢資; 水牧 仁一朗*; 中村 彰夫; 阿部 英樹*
Journal of Solid State Chemistry, 171(1-2), p.345 - 348, 2003/02
被引用回数:9 パーセンタイル:67.34(Chemistry, Inorganic & Nuclear)EuDy
TiO
の構造と磁性について調べた。x=0及びx=1の酸化物は共に絶縁体であり、おのおの6Kでの反強磁性及び64Kでの強磁性を示す。結晶構造はx
0.4では正方晶、それより大きいxでは斜方晶であった。混晶領域では金属強磁性の発現が見られ、これはx=0及び1の系とまったく異なる性質である。これは、Ti伝導電子を介する希土類モーメント間の相互作用による強磁性であると推測した。また、Euイオンの原子価は酸化物では珍しい2+であることが磁化測定からわかった。発表では一部の試料における放射光吸収分光データについても触れる。
西畑 保雄; 田中 裕久*
SPring-8利用者情報, 7(6), p.359 - 363, 2002/11
自動車排ガス中に含まれる窒素酸化物,一酸化炭素,未燃焼燃料などの有毒ガスを浄化するために触媒変換器が広く用いられている。しかしながら実際は、使用中における貴金属粒子の成長が起こるために活性が劣化する。劣化しない触媒は自動車工業における賢者の石である。古代インド哲学と薬学の知恵(アーユルヴェーダ)を参考にし、新しい自己再生するペロブスカイト構造の触媒を開発した。LaFeCo
Pd
O
は最新式のガソリンエンジンからの排ガスの酸化還元雰囲気の自然な変動と直接相互作用することにより、特別な操作を行うことなしに、自己再生を行う。ペロブスカイト結晶の内外をパラジウムが行き来することにより、パラジウムの粒成長を抑制することができる。そのような自己再生現象により、インテリジェント触媒という、将来の自動車触媒の開発に新しい概念を提唱する。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Journal of Alloys and Compounds, 343(1-2), p.199 - 203, 2002/09
被引用回数:6 パーセンタイル:54.37(Chemistry, Physical)ペロブスカイトCeTiV
O
の構造と磁性について調べた(0
x
1)。x=0及びx=1の系は、いずれも斜方晶Pnma構造を有し、Ti及びVスピンが反強磁性転移を起こすことが知られている。本系の結晶構造は0
x
1の範囲で斜方晶Pnmaであった。また、磁化測定から、磁化及び磁気転移温度ともにx=0.5付近で最小となることがわかった。これら混晶試料に対するAC帯磁率測定から、低温において、スピングラスあるいはクラスターガラスといったランダム状態が発生していることがわかった。これは既報の類似系LaV
Mn
O
での結果と本質的に同じである。
水牧 仁一朗*; 吉井 賢資; 河村 直己*; 中沢 誠*
Surface Review and Letters, 9(2), p.855 - 859, 2002/04
被引用回数:1 パーセンタイル:91.84(Chemistry, Physical)コバルトを含む強磁性ペロブスカイト酸化物LaSr
CoO
に対し、磁気円二色性(MCD)スペクトルをCoの1s及び2p吸収端、及びLaの3d吸収端で測定した。Coの3d電子の軌道磁気モーメントは、Sr置換量とともに増大した。また、Laの4f軌道はスピン編極していないが、5d電子には編極が見られた。これは、La5dとCo3d電子の混成によるものである。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Physica B; Condensed Matter, 312-313(1-4), p.791 - 792, 2002/03
被引用回数:6 パーセンタイル:63.59(Physics, Condensed Matter)CaRuOの磁性を調べた。磁化の温度依存性には、85K近傍に磁気転移による屈曲点が見られた。6Kにおける磁化の緩和測定からは、磁化が時間の対数に比例して変化する現象が見られた。これは過去の文献に示唆されたスピングラスの存在と一致する。しかし、交流磁化測定では、スピングラスに見られるような帯磁率ピークは見られず、今後、単結晶による磁気構造の測定などが必要と考えられる。
吉井 賢資; 中村 彰夫
Recent Research Developments in Physics, 3, p.758 - 776, 2002/00
本論文では、いくつかの遷移金属ペロブスカイト酸化物の磁性についてレビューする。紹介されるのは、(1)混晶Ti酸化物LaSm
TiO
及びLn
Nd
TiO
(Ln=Ce及びPr)における磁化ピーク,(2)クロム酸化物La
Pr
CrO
及びGdCrO
における磁化の反転,(3)アルカリ土類金属置換したコバルト酸化物Ln
Sr
CoO
(Ln=La, Pr, Nd, Sm及びEu)における金属強磁性、である。これらの系における実験結果は、3d及び4f元素を含む酸化物の磁気的性質における結晶化学的ファクターの重用性を示唆する。
吉井 賢資; 中村 彰夫; 石井 慶信; 森井 幸生
Journal of Solid State Chemistry, 162(1), p.84 - 89, 2001/11
被引用回数:90 パーセンタイル:3.81(Chemistry, Inorganic & Nuclear)ペロブスカイトLaPr
CrO
の磁性を調べた。xが0から1の範囲内で結晶構造はどれも斜方晶Pnmaであった。Xの全領域で反強磁性磁気転移が見られた。ネール温度はxを増やすともに288Kから240Kへと減少した。混晶試料においては、230K以下で、磁化の符号がマイナスになる現象が見られた。これは、磁化の方向と磁場の方向が逆向きであることを示し、磁性体の通常の挙動とは異なる。温度を下げるとこの磁化の値は下がりつづける。X=0.8の試料では、マイナス磁化の最大絶対値は、230K以上における正磁化の最大値の250倍にも達した。中性子回折からは、Crスピンがy軸方向に反強磁性整列していることがわかった。GdCrO
における類似現象から、マイナス磁化の起源はPrスピンがCrスピンと逆向きとなったためと推測した。
吉井 賢資
Journal of Solid State Chemistry, 159(1), p.204 - 208, 2001/08
被引用回数:148 パーセンタイル:1.31(Chemistry, Inorganic & Nuclear)GdCrOが大きな負の磁化を示すことを見いだした。この現象は、外部磁場約500Oe以下での弱磁場冷却下で磁化を測定したときに観測された。クロムスピンの弱強磁性秩序は文献どおりに170Kに観測される。この温度以下に試料を冷却すると、160K付近で磁化はいったん正にピークを示し、再び減少する。130K近傍において、磁化の値がゼロとなる。磁化は25Kまで減少し続ける。すなわち磁化の値はマイナス符号を持ち、外部磁化の方向と逆向きである。これは、通常の磁性体の挙動と異なる。25Kでの磁化の絶対値は正符号磁化の最大絶対値の30倍にも達した。本現象は、ガドリニウムスピンがクロムのそれに対して逆方向になっているためと考えた。磁化は25K以下で再び増加し、10K以下では再び正符号となった。
吉井 賢資; 阿部 英樹*; 中村 彰夫
Materials Research Bulletin, 36(7-8), p.1447 - 1454, 2001/06
被引用回数:39 パーセンタイル:19.82(Materials Science, Multidisciplinary)LnSr
CoO
(Ln=Pr, Nd, Sm and Eu)の磁性と伝導について調べた。Srを含まないLnCoO
は磁気転移を示さない絶縁体として知られている。次の結果が得られた。(1)結晶構造はPr
Sr
CoO
tが単結晶(P2
/n),Nd
Sr
CoO
及びSm
Sr
CoO
が斜方晶(Pnma),Eu
Sr
CoO
は立方晶(Pm3m)である。(2)いずれの系も低温で強磁性転移を起こす。強磁性転移温度は、Lnイオンを重くするとともに233Kから155Kへと低下する。(3)いずれの系も300K以下では金属的である。(2)(3)は、対応するBa置換系Ln
Ba
CoO
の挙動と異なる。Ln
Ba
CoO
は、強磁性転移より下の温度で反強磁性転移を起こし、350K近傍の金属-絶縁体転移のためこの温度以下で絶縁体である。この違いは結晶構造の違いに由来するものと考えた。
吉井 賢資; 筒井 智嗣; 中村 彰夫
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 226-230(Part.1), p.829 - 830, 2001/05
ペロブスカイトコバルト酸化物PrA
CoO
(x
0.5, A=Sr and Ba)に付き、その構造及び磁性について調べた。(1)結晶構造は斜方晶Pnmaである。A=Srでは、格子定数はxに対して単調増加するが、A=Baではb軸長のみx=0.4で最大となる。(2)x=0では、磁気秩序は観測されない。xを増加するとともに、x
0.2で明瞭な強磁性転移が観測される。A=Srでは、キュリー温度はxの増加とともに240Kまで単調増加する。一方、A=Baではx=0.3-0.4で最大190Kとなる。(3)低温での磁気緩和及び交流帯磁率測定から、観測された強磁性転移にはスピングラスなどのランダム状態が共存する。上記(2)キュリー温度の挙動の違いについては、(1)の結晶構造の結果をもとに、交換相互作用の変化と関連し解釈した。また(3)は類似系La
Sr
CoO
の結果と定性的に同様である。
吉井 賢資; 阿部 英樹*; 筒井 智嗣; 中村 彰夫
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 226-230(Part.1), p.900 - 901, 2001/05
希土類欠損ペロブスカイトLnTiO
(x
0.33, Ln=Ce and Pr)に付き、その構造・磁性・伝導について調べた。x=0の系は、TiサイトにTi
スピンを持ち、ネール温度約120Kを示す絶縁体である。また、x=0.33の系は、バンド絶縁体である。Ce
TiO
及びPr
TiO
の両系で定性的に共通の現象が見られた。それらは以下の通りである。(1)x
0.2の範囲での結晶構造は斜方晶Pnma、それ以上では斜方晶Pmmmである。(2)xを増すとともに、ネール温度及び低温での磁化は単調に減少する。xが約0.2以上で磁気秩序はほぼ消失する。(3)xが0.1近傍以上では、系は絶縁体から金属に変化する。また、xが0.3近傍での伝導は、温度の1/4乗に比例するVariable range hopping的であった。ただし、絶縁体-金属転移点のxの値などについては、両系ではわずかな違いが見られた。これらは、Lnイオンの半径の違いと関連して解釈した。
佐藤 剛*; 山崎 哲*; 山下 利之; 松井 恒雄*; 長崎 正雅*
Journal of Nuclear Materials, 294(1-2), p.135 - 140, 2001/04
被引用回数:2 パーセンタイル:79.11(Materials Science, Multidisciplinary)プルトニウムを添加したペロブスカイト型構造のCaTiOの熱的安定性を評価するため、x=0,0.2の試料のエンタルピーを室温から1180Kまでの範囲でカルベ型熱量計を用い投下法により測定した。得られたエンタルピー値には不連続面はみられず相変態がないことから、このエンタルピー値を温度の多項式でフィッティングし、これを温度で微分することにより定圧比熱容量Cpを求めた。(Ca
Pu
)TiO
の熱膨張データと熱力学的関係式を用いて推定したCpと実測Cpには良い相関があることから、本測定Cpは信頼性が高いと考えられる。求めたCpと自由エネルギー関数を用い、(Ca
Pu
)TiO
とCaTiO
のギッブズモル生成自由エネルギーを算定した。
佐藤 剛*; 葉名尻 豊*; 山下 利之; 松井 恒雄*; 長崎 正雅*
Journal of Nuclear Materials, 294(1-2), p.130 - 134, 2001/04
被引用回数:5 パーセンタイル:58.98(Materials Science, Multidisciplinary)TRU固化体として有望なペロブスカイト型構造のCaTiO中へPuO
を固溶させた試料を調製し、Puの固溶限並びに単相試料についての熱膨張をX線回折法により調べた。空気及び真空中加熱の場合のPuの固溶限は5%であるのに対し、水素気流中加熱では20%であった。a,b,c軸それぞれの線熱膨張係数はPu量とともに減少し、また、
という異方性を有することがわかった。これはペロブスカイト構造の歪みを緩和する方向に働くため、格子定数の温度依存性を調べることにより、CaTiO
の斜方晶から正方晶への転移温度を推定した。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 26(1), p.75 - 78, 2001/03
ペロブスカイト型コバルト酸化物LnCoO(Ln: 希土類)は、磁気秩序を示さない絶縁体である。ところが、本系にSrを置換したLn
Sr
CoO
は、xが約0.2-0.3以上の領域で強磁性体となる。この系は磁性・伝導とも特異な挙動を示すことが知られており、近年盛んに研究されている。本研究では、この系のCoサイトを鉄で置換したLn
Sr
Fe
Co
O
(Ln=La及びPr)の構造・磁性・伝導を調べた。結晶構造はLn=Laが菱面体晶、また、Ln=Prが斜方晶ペロブスカイト型であった。直流磁化測定からは、65-75Kに磁気転移が見られた。この転移は、外部磁場を大きくするとともにブロードとなった。交流磁化率からは、磁気転移温度近傍に磁化率ピークが観測された。このピーク温度は交流磁場周波数の変化とともに変動することから、この磁気転移はスピングラス起源と考えられる。電気伝導データからは、両系とも、室温以下で絶縁体的であった。抵抗率の対数が温度の-1/4乗に比例する温度領域が観測された。これは、Fe置換によるランダムネス由来のホッピング伝導の寄与と推測される。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Journal of Solid State Chemistry, 156(2), p.452 - 457, 2001/02
被引用回数:2 パーセンタイル:89.94(Chemistry, Inorganic & Nuclear)ペロブスカイト型チタン及びバナジウム酸化物、LnTiO及びLnVO
(Ln: LaからSmの希土類)は、ネール温度50Kから150Kを示す絶縁体である。本系に関する磁気データはこれまで数多く発表されている。本研究では、これら酸化物間の混晶LnTi
V
O
(Ln=Ce及びPr)について、構造と磁性を調べた。粉末X線測定から、これらの結晶構造は、end compounds (LnTiO
及びLnVO
)と同じく斜方晶ペロブスカイト型(空間群Pnma)である。求められた格子定数の値から、試料は実際にLnTiO
及びLnVO
の混晶であると判断した。混晶生成は、LnTi
V
O
において、xを0.5以外にしたとき、格子定数が連続的に変化することからも確認した。直流磁化測定から、CeTi
V
O
及びPrTi
V
O
の磁気転移は、ともに約50Kで起こることがわかった。これは、LnTiO
及びLnVO
の転移温度120-150Kに比べると明らかに低い。この転移は、外部磁場を大きくするとともに不明瞭となった。交流磁化率測定からは、磁気転移温度近傍に磁化率ピークが観測された。このピーク温度は交流磁場周波数の変化とともに変動することから、この磁気転移はスピングラス起源と判断した。