検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 45 件中 1件目~20件目を表示

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

発表言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

Changes in sulfur metabolism in mouse brains following radon inhalation

神崎 訓枝; 迫田 晃弘; 片岡 隆浩*; Sun, L.*; 田中 裕史; 大津 厳生*; 山岡 聖典*

International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(17), p.10750_1 - 10750_14, 2022/09

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.55(Environmental Sciences)

活性イオウ分子種(RSS)は、酸化ストレスに深く関連して抗炎症作用があると報告されているが、放射線被ばく後のRSSの変化についてはまだわかっていない。そこで、本研究では、ラドン吸入後のマウス脳中のRSSに注目し、関連代謝物を網羅的に解析した。その結果、酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンの割合、グルタチオンおよびシステインのRSSの割合はラドン吸入によって増加した。本研究でのラドン曝露は非常に低線量であったが、その酸化ストレス下でイオウイオンがグルタチオンやシステインに結合したと考えられる。また、我々は、機械学習を用いた代謝物の変化の総合的な評価により、ラドン吸入による特徴的な変化を明示した。本研究の結果は、RSSがラドン吸入の酸化ストレスに対する生体防御機構をもたらす可能性を示唆した。

論文

Organ dose reconstruction applicable for a Japanese nuclear worker cohort; J-EPISODE

古田 裕繁*; 佐藤 薫; 西出 朱美*; 工藤 伸一*; 三枝 新*

Health Physics, 121(5), p.471 - 483, 2021/11

 被引用回数:3 パーセンタイル:29.36(Environmental Sciences)

従来、国内の放射線業務従事者の低線量放射線被ばくによる発がん等の健康影響は、個人線量計の指示値(個人線量当量: Hp(10))と疾病情報を用いた疫学的解析によって推定されていた(J-EPISODE: the Japanese Epidemiological Study on Low-Dose Radiation Effects)。一方、放射線被ばくによる発がんは臓器線量に依存するため、放射線防護の目的で使用されるHp(10)を用いて発がん率等を推定することは適切でなかった。そこで本研究では、放射線業務従事者のHp(10)から臓器線量を推定する手法を新たに構築した。構築した推定手法では、着用個人線量計の応答特性、被ばくジオメトリ・エネルギー、体格等のパラメーターを考慮することで、国内の放射線業務従事者を対象とした疫学的解析を可能にした。今後、構築した臓器線量推定方法を用いて、放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターにより管理・保存されている被ばく線量データを解析することにより、国内の放射線業務従事者における低線量放射線被ばくによる健康影響の推定に利用する予定である。

論文

放射線生物学でのデータ可視化の有用性; 自己組織化マップによる放射線の生体応答解析

神崎 訓枝

放射線生物研究, 56(3), p.295 - 307, 2021/09

低線量放射線の生体影響は、様々な要因が絡み合い複雑である。生命維持のためのその反応は単純ではない。そこで、動物実験を行って得られた分析結果を自己組織化マップ(Self-organizing maps: SOM)を用いて可視化し、これまでとは違った視点から低線量放射線の生体影響を評価した研究成果を報告する。例えば、低線量放射線の影響は明確なクラスタリングが不可能なデータであったが、SOMでの解析により複数の指標を総合的に評価し、直感的にデータの特徴を把握することが可能となった。本稿では、実例を挙げ、機械学習を用いて放射線生体影響のデータを可視化した成果とその有用性を議論する。

論文

低線量リスクに関する放射線防護の考え方

高原 省五

放射線生物研究, 55(2), p.162 - 172, 2020/06

本稿は、低線量リスク委員会(日本保健物理学会と日本放射線影響学会の合同委員会)での取り組みを取りまとめた報告書の一部である。本委員会では、低線量リスクの放射線安全規制の基盤となる放射線疫学から放射線生物学の現状認識、さらには、社会的背景との関連性をも検討して、これらの知見が放射線安全規制にどのように繋がっているのか、放射線科学の生物, 疫学, リスク,防護の各専門分野を超えたコンセンサスレポートを作成した。本稿ではこれらの議論から得られた成果のうち、低線量リスクに関する放射線防護の基本的な考え方を取りまとめたものである。1985年にレントゲンにより放射線が発見されて以降、どのような健康影響が生じてきたのか、また、どのようにしてそれらの影響から人々を防護してきたのかについて整理した。また、福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえながら現在の放射線防護体系の基本的考え方を整理しつつ、今後の事故後対応に向けた課題を抽出した。

論文

Knowledge discovery of suppressive effect of disease and increased anti-oxidative function by low-dose radiation using self-organizing map

神崎 訓枝; 片岡 隆浩*; 小橋 佑介*; 柚木 勇人*; 石田 毅*; 迫田 晃弘; 石森 有; 山岡 聖典*

Radioisotopes, 67(2), p.43 - 57, 2018/02

これまで低線量放射線はマウス諸臓器中で抗酸化機能を亢進し、酸化ストレス関連疾患を抑制することを報告してきた。しかしながら、それらの結果は対象疾患も低線量放射線による処置の条件も様々で、有効性が立証された治療法は確立されていない。そこで、本研究では、それらの結果から低線量放射線の健康効果を明らかにすることを目的とし、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の新規適応症を探索した。データの解析には自己組織化マップ(SOM)を用い、不安定な抗酸化機能の変化を自己組織化マップの曖昧な表現で視覚的に直感的に捉えることにより、出力された疾患抑制効果と抗酸化機能亢進の関連性を検討した。その結果、ラドン療法の適応症である疼痛への効果には明らかな線量依存性があることがわかり、肝疾患や脳疾患においても、線量依存性はないもののその効果を期待できると予測できた。本研究は、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の応用に貢献できると考える。

論文

「保物セミナー2016」印象記

真辺 健太郎

保健物理, 52(1), p.35 - 38, 2017/03

平成28年11月2日に大阪科学技術センターで「保物セミナー2016」が開催され、150名の参加があった。今回のセミナーは、「防護量と実用量 最新の動向」、「福島から考えるこれからのリスクコミュニケーション」及び「低線量放射線のヒトへの影響」の3つのテーマで構成されていた。各テーマでは、その分野の著名な専門家により、最新の動向や問題解決に向けた提案等の講演があった。他に、原子力規制庁の専門官による「放射線障害防止法関係の最近の動向」と題する特別講演があり、最近のトラブル事象や立入検査の実施状況、IAEAの総合的規制評価サービスを受け入れた結果等が紹介された。セミナーでは、各講演に対して、現在あるいは今後に想定される課題について参加者より質疑があり、その解決策等に関する議論も展開された。本稿は、セミナーでの講演や議論の概要、各テーマ等に関する著者の所感を取りまとめたものである。

論文

水産環境の放射性物質汚染による健康影響

小林 泰彦

海洋と生物, 36(3), p.269 - 276, 2014/06

The problem of the health effect to the humans by the radioactive contamination of fishery environment after the Fukushima Dai-ichi NPP accident results in the increase in the internal exposure dose by the ingestion of the marine product which the radioactive material mixed, and the problem of a healthy risk of being based on it. What is most important is the evaluation of a dose but not the existence of a radioactive material. The radioactive material, which polluted agricultural products and marine products, is ultralow volume to the extent that it is undetectable at all, if they are not giving off radiation. There cannot be any concern of hazardous property as an element. The internal exposure dose (committed effective dose) presumed to increase by eating the marine product is extraordinarily low. Supposing there would be a health effect by the radioactive contamination of fishery environment, it will be restricted to the increase in the carcinogenic risk by low dose radiation exposure. And the relation between a dose of radiation and a health effect can be learned from experience of the past, such as studies on mortality in the Life Span Study (LSS) cohort of atomic bomb survivors, and a Chernobyl accident.

論文

原研・高崎研の重イオンマイクロビームの現状

小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 坂下 哲哉; 柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 横田 裕一郎; 古澤 佳也*

KEK Proceedings 2005-5, p.6 - 8, 2005/10

環境ラドン被曝や銀河宇宙線など極低フルエンス率の高LET重イオンによる生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、原研・高崎研では、個別の培養細胞に照準して正確な個数の重イオンを照射し、その影響を経時的に観察する実験システムを開発している。今回、照射前に試料を自動スキャンして細胞を検出するオフライン顕微鏡及び取得した座標データに従ってビーム位置に標的細胞を移動するオンライン顕微鏡の各々の試料ステージを更新し、従来は$$pm$$10$$mu$$m以上の誤差があった試料移動の位置再現精度が$$pm$$1$$mu$$mに向上した。これによって、多数の標的細胞を次々に自動照準して連続的にシングルイオン照射することが可能になった。併せて、最近の細胞照射実験の結果についても報告する。

論文

分子生物学的基盤に基づく低線量放射線影響評価に関する研究; 委託研究を終了して

斎藤 公明

原安協だより, (205), 11 Pages, 2005/04

保健物理部では、平成元年度より、「低線量放射線の安全評価に関する研究」という名称で原子力安全研究協会(原安協)への研究委託を2期延べ10年間にわたり実施し、平成11年からは「分子生物学的基盤に基づく低線量放射線影響評価に関する研究」と名称を変更して、さらに5年間の研究委託を平成15年度まで実施した。本委託研究で得られた成果の抜粋が原安協だよりでシリーズ記事として紹介された。本シリーズを終えるにあたって、委託元である原研の立場からの総括を記述したものである。

論文

Microbeams of heavy charged particles

小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 古澤 佳也*; 青木 瑞穂*; Shao, C.*; 横田 裕一郎; 坂下 哲哉; 松本 孔貴*; 柿崎 竹彦; et al.

宇宙生物科学, 18(4), p.235 - 240, 2004/12

銀河宇宙線のように、低フルエンス・低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、高エネルギー重イオンマイクロビームを顕微鏡観察下の生物試料に照射するために原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射・観察する実験系を開発した。標的細胞を貫通したイオンのエネルギーと個数をシンチレータ/フォトマルを用いて測定することによって、重イオンを1個ずつカウントしながら正確に照射することが可能となった。さらに、CR-39を直ちに37$$^{circ}$$Cでエッチングして各標的細胞における実際のイオン飛跡を可視化すると同時に、その飛跡が可視化されたCR-39上で細胞の照射後培養と観察を継続する方法を確立した。国内外の重粒子線のマイクロビーム開発の歴史を概観し、細胞核へのシングルイオンヒット効果やバイスタンダー効果に関する最近の研究成果をレビューする。

論文

System of cell irradiation with a defined number of heavy ions, 3

小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 坂下 哲哉

宇宙生物科学, 18(3), p.186 - 187, 2004/11

銀河宇宙線のように、低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射し、その影響を経時的に観察する実験システムを開発している。今回、照射前に試料を自動スキャンして細胞を検出するオフライン顕微鏡及び取得した座標データに従ってビーム位置に標的細胞を移動するオンライン顕微鏡の各々の試料ステージ更新し、従来は$$pm$$10$$mu$$m以上の誤差があった試料移動の位置再現精度が$$pm$$1$$mu$$mに向上したことにより、多数の標的細胞を次々に自動照準して連続的にシングルイオン照射することが可能になった。併せて、最近の細胞照射実験結果について報告する。

論文

Comparison of COTS SRAMs and SDRAMs on total ionizing dose tolerance

竹内 広一郎*; 秋山 正嗣*; 平尾 敏雄

Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.195 - 199, 2004/10

民生用半導体部品の宇宙適用検証のためには、実用環境に近い低線量率照射場で半導体部品の劣化評価を行い、劣化に及ぼす線量率の影響を明らかにする必要がある。本研究では、衛星に搭載が計画されている民生用半導体素子のSRAMとSDRAMに対し、原研高崎研の低線量率コバルト照射施設を使用し劣化評価試験を実施した。照射線量率は0.5Gy/h$$sim$$50Gy/hの範囲で変化させ累積線量は300Gyとした。その結果、300Gyまでの照射量では、両部品とも十分な耐性があることが確認できた。本ワークショップでは、これら照射効果の解析について発表し、試験方法に関する議論を行う。

論文

放射線でつくる夢のPTFE; 高機能・高靱性化を実現

宇田川 昂*; 池田 重利*; 八木 敏明

放射線と産業, (103), p.54 - 58, 2004/09

典型的な放射線分解型の高分子材料として知られているポリテトラフルオロエチレン(PTFE,テフロンの名で知られているフッ素樹脂)について、原料粉末の段階で1kGyを照射し、その後、溶融圧縮成形して得られる成型品は未照射品に比べ、破断伸びが約1.6倍、引き裂き強度が2倍、耐折性は50倍向上することが明らかとなった。また、PTFE延伸多孔質体を低線量照射することにより、多孔質膜の孔経を任意にコントロールできる技術を見いだした。

論文

Detection of DNA damage induced by heavy ion irradiation in the individual cells with comet assay

和田 成一; 夏堀 雅宏*; 伊藤 伸彦*; 舟山 知夫; 小林 泰彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.553 - 556, 2003/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:27.25(Instruments & Instrumentation)

宇宙環境における高LET重粒子線被曝の生物影響を解明するためには、低線量・低フルエンスの重イオン照射によって細胞に誘導されるDNA損傷を正しく解析する必要がある。しかし、低フルエンスの重イオンはランダムにヒットするため、細胞に対する重粒子1個の生物学的効果を直接に検出することはこれまで困難だった。そこで、個々の細胞ごとのDNA損傷を評価することが可能なコメットアッセイ法を用いるとともに、同時に各細胞での重イオンのヒット位置を飛跡検出器CR-39を用いて直接に検出することが可能な方法を開発し、動物培養細胞の核にヒットしたイオン粒子数と、その細胞に生じたDNA損傷の程度を同時に検出する方法を確立した。そして、異なるLET値を有するいくつかの重粒子線照射によって細胞に誘導されたDNA損傷を定量的に解析し、照射したイオンのLET値との関連を解析した。

論文

低線量放射線安全評価のためのデータベースDRESAの構築

三枝 新*

RIST News, (32), p.2 - 11, 2001/10

日本原子力研究所は低線量放射線の安全性評価を検討するための科学的基盤を提供する目的で、放射線生物学,放射線リスク評価及び放射線防護に関する種々の情報を整理・解説し、その背景となる科学的データをまとめたデータベースDRESA(Database for Radiation Exposure and Safety Assessment)の開発を行った。本稿ではその登録データのタイトルと内容,データのファイル構成,データベースシステムの構造を解説した。さらに電子化データベース構築の可能性と問題点について検討を行い、WWW公開型データベースの利点及び欠点についても考察を行った。

論文

Methylxanthine sensitization of human colon cancer cells to $$^{186}$$Re-labeled monoclonal antibody

絹谷 清剛*; 横山 邦彦*; 久藤 美保*; 笠原 善仁*; 小林 勝利; 本石 章司; 小野間 克行; 分校 久志*; 道岸 隆敏*; 利波 紀久*

Journal of Nuclear Medicine, 42(4), p.596 - 600, 2001/04

正常p53遺伝子の欠けた腫瘍細胞は、電離放射線照射によるDNA障害を受けると細胞周期のG2期において停止し、その障害を修復することにより、放射線耐性を示す。methylxanthine誘導体がG2停止を阻害し、放射線増感効果を示すことが知られているものの、放射性アイソトープによる低線量率$$beta$$線照射に対する影響に関する情報は乏しいのが現状である。本研究の目的は、$$beta$$線照射に対するmethylxanthine誘導体の効果を観察し、内照射療法への応用の可否を検討することにある。LS180ヒト大腸癌細胞を、$$^{186}$$Re-MAG3あるいは$$^{186}$$Re-MAG3標識大腸癌A7抗体(0~25$$mu$$Ci/ml)により、pentoxifyllineあるいはCaffeineの存在下に照射し、細胞生存曲線を得て、methylxanthine誘導体による効果比を算出した。対照として、高線量率X線照(0~4Gy,1.4Gy/min)における効果比と比較した結果、$$^{186}$$Reの$$beta$$線の殺細胞効果が大きい可能性がある。

論文

国際放射線防護学会第10回国際会議(IRPA10); 会議成功を今後の放射線防護の展開へ

加藤 正平

放計協ニュース, (27), p.2 - 3, 2001/03

2000年5月広島にて開催された、国際放射線防護学会第10回国際会議の概要をのべ、主な成果として、ICRPの見直しの議論、低線量放射線影響の議論、放射線廃棄物処分等の問題などのトピックス、アジア・オセアニア地区放射線防護協議会の設立を紹介するとともに、市民セミナー、平和セミナーなどの市民との交流を紹介した。

報告書

花崗岩地域における自然放射性核種の挙動と分布に関する研究(III)

森嶋 彌重*; 古賀 妙子*

JNC TJ1400 2000-008, 82 Pages, 2000/03

JNC-TJ1400-2000-008.pdf:3.05MB

環境中にはカリウム・40をはじめウラン系列、トリウム系列などの自然放射性核種が広く分布しているが、一様な分布はしていないことから大地よりの環境$$gamma$$線として、またラドンの発生源として種々の形態で生活環境に関与し時間的にも空間的にも大きく変動している。わが国では一般的に、花崗岩地域が多い西日本では放射線量率は高いので、自然放射線に対する理解を深め、花崗岩などの高自然放射線地域における自然放射性核種の挙動と分布を明らかにするために環境調査を行う。調査する地域としては、特に、中国地方の花崗岩地域である島根県太田市池田鉱泉地域、鳥取県東伯郡三朝温泉地域、近畿地方で奈良県奈良布鉢伏地域、奈良県字陀郡室生地域、兵庫県神戸市有馬温泉、兵庫県川西市、関東地方で山梨県巨摩郡増富温泉及び対照地域としては東大阪市を含む大阪府周辺とし、ラドンおよび崩壊生成核種を含む自然放射性核種の環境中における挙動と分布に関する検討を行ったので、その結果を報告する。(1)ラドンの測定は、長い設置期間が必要であるが取扱が容易なカップ式ラドン・トロンモニタ、活性炭捕集によるピコラド法および30ml容のシンチセルの瞬時捕集によるパイロンラドンモニタ等の方法により検討した。積分型ラドンモニタは固体飛跡検出器として硝酸セルロース(コダック社製LR‐115type2)を用いた。ラドンモニタのそれぞれの特性により、カップ法は3ケ月間以上の設置捕集のため最小検出限界が高く感度が悪いが、設置期間中の平均濃度が得られ、他の方法では24時間又は瞬時の短期間の平均ラドン濃度となる。ピコラド法は検出器が小さく、捕集も容易で簡便な測定で同時に多数測定が可能なため分布図などの作成に有効である。(2)三朝温泉地域における1999年12月まで約5年間に実施した空気中ラドン濃度は各地域毎の平均値で、屋外ではND$$sim$$150Bq/m$$^{3}$$、屋内ラドン濃度は8$$sim$$194Bq/mm$$^{3}$$と幅広く変動し、一般に屋内濃度が屋外濃度より高く、その比は1.1$$sim$$2.3に変動している。測定した地域の内、三朝地区、旭地区(竹田川沿)および竹田地区天神川沿い(竹田川上流の一部)が高く、三朝温泉地区の東南部小鹿地区および三徳地区では低濃度であった。これを地質図と比較して見ると、高ラドン濃度を示した旭、竹田、三朝温泉地域は花崗岩層に位置し、低ラドン濃度を示した小鹿、三徳地域は火山岩(安山岩及び玄武岩)層に位置していることが分かった。花崗岩層に位置する地域のラドン濃度は火山岩層に位置するラドン濃度の、屋内においては2$$sim$$3倍、屋外においては2倍となり、地層の違いによりラドン濃度が変化することがわかった。

論文

アラニン線量計の低線量率・長時間照射下の特性; 放射線環境下で使用される有機材料の余寿命予測

春山 保幸; 橘 宏行; 小嶋 拓治; 岡本 次郎*; 柏崎 茂*; 松山 茂樹*; 柳生 秀樹*

Radioisotopes, 44(8), p.507 - 513, 1995/08

原子力施設等の放射線場で用いられている機器部品や電線被覆材等の耐放射線性の評価および余寿命の予測に必要な線量測定のため、アラニン/ESR線量計の低線量率、長時間照射下の特性を明らかにした。線量率0.45Gy/h、1.97Gy/hで総線量a/kGy、1kGyを25$$^{circ}$$Cから80$$^{circ}$$Cの異なる温度で照射した模擬環境下で、アラニン線量計の有効性を調べた。また、照射中及び照射後の温度を変えて線量応答の安定性も明らかにした。アラニン線量計の線量応答は、0.45Gy/h、2000hの低線量率・長時間照射下においても、60$$^{circ}$$C程度までであればその線量応答値は1kGyまで線量に直線的に比例し増加した。この線量率及び照射温度範囲では、補正なしで積算線量測定が可能であることが明らかとなった。線量応答値は照射中の温度に依存し、線量率の0.45及び1.97Gy/hで総線量0.1kGy及び1kGyでは、温度係数0.1%/$$^{circ}$$Cの直線関係を示した。

論文

Recent progress in application of JAERI alanine/ESR dosimetry system

小嶋 拓治

JAERI-Conf 95-003, 0, p.362 - 366, 1995/03

アラニン/ESR(電子スピン共鳴)線量測定法は、広い線量範囲を安定かつ高精密に測定できる特徴をもっており、$$gamma$$線・X線用のロッド素子、電子・荷電粒子用フィルム素子及び簡便な線量計リーダをすでに開発したが、これらは主として100Gy以上の放射線プロセスレベルを対象としている。この測定法は、組成が生体組織に近い、積算線量測定が可能である特徴もあり、これを活した応用として、数Gy~100Gyの放射線治療分野、0.5Gy/hの低線量率放射線場、イオンビームを用いた放射線高度利用研究などにおける線量測定について、その実効性や線量の不確かさ評価等の検討を行った最近の研究成果を報告する。

45 件中 1件目~20件目を表示