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吉田 尚生; 大野 卓也; 吉田 涼一朗; 天野 祐希; 阿部 仁
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(11), p.1256 - 1264, 2020/11
被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発乾固事故では、ルテニウム(Ru)の挙動が重要視されている。これはRuが四酸化ルテニウム(RuO)等の揮発性化合物を生成し、硝酸(HNO
),水(H
O)等の共存ガスとともに環境中に放出される可能性があるためである。この事故事象の安全評価に資するため、気体状RuO
(RuO
(g))の分解・化学形変化挙動を、温度や共存ガスの組成をパラメータとした様々な条件下で実験的に評価した。結果として、RuO
(g)は気相条件によって多様な挙動を示した。乾燥空気や水蒸気を用いた実験ではRuO
(g)の分解が観察された。一方、HNO
を含む混合ガスを用いた実験では、RuO
(g)の分解はほとんど観測されず、化学形を保持した。
舘野 春香; 佐藤 匠; 津幡 靖宏; 林 博和
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(3), p.224 - 235, 2020/03
被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)階層型燃料サイクル概念に基づく、加速器駆動システムを用いた長寿命マイナーアクチノイド(MA)核変換技術の研究開発が行われている。MA核変換用燃料としては、窒化ジルコニウムを不活性母材とするMAとPuの窒化物固溶体が第一候補とされている。乾式再処理は、高い比放射能及び崩壊熱を有する使用済窒化物燃料から残留MAを回収する方法として適している。再処理プロセスの主工程である溶融塩電解精製により、使用済窒化物燃料が陽極溶解され、アクチノイドが液体カドミウム陰極に一括回収される。その際、MA回収率と回収MA中の不純物(希土類元素)濃度の目標値が達成できるように再処理プロセスを設計する必要がある。本研究では、プロセス設計において重要な知見を得るために、使用済窒化物燃料の乾式再処理における物質収支評価を行った。処理条件の変更による物質フロー及び発生廃棄物量への影響を調べた。
Baron, P.*; Cornet, S. M.*; Collins, E. D.*; DeAngelis, G.*; Del Cul, G.*; Fedorov, Y.*; Glatz, J. P.*; Ignatiev, V.*; 井上 正*; Khaperskaya, A.*; et al.
Progress in Nuclear Energy, 117, p.103091_1 - 103091_24, 2019/11
被引用回数:4 パーセンタイル:28.97(Nuclear Science & Technology)本論文では、将来のクローズド燃料サイクルにおける使用済燃料のための分離プロセスに対する国際的リビューの結果が、技術成熟度評価の結果ととともに示されている。本研究は、ORCD/NEAで組織された燃料リサイクル化学に関する専門家グループによって実施されたものである。本研究の特徴的な点は、分離プロセスを使用済燃料中の分離対象元素(ウラン, ウラン-プルトニウム, マイナーアクチノイド, 発熱性元素等)別の分離階層により区分けして評価したことであり、これに使用済燃料の前処理プロセスの評価を加えている。分離プロセスとしては湿式プロセスと乾式プロセスの両者をカバーしている。
日下 良二; 渡邉 雅之
Physical Chemistry Chemical Physics, 20(47), p.29588 - 29590, 2018/12
被引用回数:6 パーセンタイル:39.62(Chemistry, Physical)リン酸トリブチル(TBP)によるウラニルイオン(UO)の溶媒抽出のメカニズムを理解することは、使用済核燃料の処理技術および廃棄技術の発展の一助になると考えられる。これまでに水相中のウラニルイオンは、TBPが多く存在する有機相と水相の界面に吸着され、界面でTBPと錯体を形成し、有機相に抽出されると考えられてきた。本研究では、振動和周波数発生(VSFG)分光法を用いることによってウラニル-TBP錯体が界面で形成しないことを示し、硝酸ウラニル(UO
(NO
)
)が、界面を通過した後に有機相においてUO
(NO
)
(TBP)
を形成して抽出が完了することを示唆した。
河野 壮馬; 山田 博之; 後藤 敦志*; 山崎 勝幸; 中村 仁宣; 北尾 貴彦
日本核物質管理学会第39回年次大会論文集(インターネット), 2 Pages, 2018/11
近年、コンピュータシステムの脆弱性を狙った侵害事例が多発しており、サイバーセキュリティが着目されつつある。サイバー攻撃を行う者の可能性として、外部者がネットワークを通じて施設外のコンピュータから実行する「外部脅威」と、内部者が施設内のコンピュータを直接操作して不正行為を実行する「内部脅威」が挙げられる。東海再処理施設では、重要度の高いコンピュータシステムはインターネットと繋がっておらず、各々の施設に独立して設置されており互いに物理的に繋がっていないことから、外部脅威によるサイバー攻撃の可能性は極めて低いと考えられる。これらのことから、東海再処理施設では主として内部脅威に着目した適切なサイバーセキュリティ対策を実現すべく検討を進めている。本論文では、東海再処理施設で実施しているサイバーセキュリティ対策のうち、内部脅威対策を中心に紹介する。
松島 怜達; 佐藤 史紀; 齋藤 恭央; 新 大軌*
Proceedings of 3rd International Symposium on Cement-based Materials for Nuclear Wastes (NUWCEM 2018) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2018/10
東海再処理施設では、発生する低放射性の液体廃棄物及び固体廃棄物を処理する施設としてLWTFを建設し、コールド試験を実施している。本施設では、当初、液体廃棄物の処理に伴って発生する核種分離後の硝酸廃液に対し、ホウ酸塩を用いて固化体とすることとしていた。しかし、現在は、環境負荷低減のために廃液内の硝酸根を分解する必要があり、硝酸塩を炭酸塩に置換した後、セメント固化体とする計画として、設備導入に向けた検討を進めている。現在、この廃液に対するセメント固化技術開発として、高炉スラグ(BFS)を主成分としたセメント材の適用検討を行っている。本発表では実規模(200Lドラム缶スケール)で試験を行った結果についてまとめたものを報告する。
須田 一則
エネルギーレビュー, 38(10), p.38 - 41, 2018/09
日本は原子力の研究開発, 利用及び協力を実施する上で、原子力技術の保有国,資源国及びこれから原子力発電を実施する国と二国間原子力協力協定を締結してきている。その根幹となる日米原子力協力協定について、事業者の観点から、協力の起点となった1955年協定から現協定に至る変遷、米国の原子力・核不拡散政策、米国の核不拡散強化が日本に与えた影響の例として東海再処理交渉を取り上げるとともに、長年にわたる原子力の平和利用に係る政府、事業者の協力やその意義について紹介する。
後藤 雄一; 山本 昌彦; 久野 剛彦; 稲田 聡
日本保全学会第15回学術講演会要旨集, p.489 - 492, 2018/07
東海再処理施設分析所の放射性廃液は、受入れバルブ付きの配管を介して廃液受槽に一時保管され、送液バルブ付きの配管により廃液処理施設へ移送する。これらのバルブは、平成16年にシール材の劣化(廃液の漏えい)が確認され、シール材の材質をポリエチレン製からテフロン製に変更し、平成28年度には定期更新を行った。本件は、使用済みバルブシール材の物性値を調査し、放射性物質濃度等と劣化度との関連性を評価した。
深谷 裕司; 後藤 実; 大橋 弘史; 西原 哲夫; 津幡 靖宏; 松村 達郎
Annals of Nuclear Energy, 116, p.224 - 234, 2018/06
被引用回数:1 パーセンタイル:75.54(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉の高レベル廃棄物減容及び処分場専有面積低減のための処分法及び処分シナリオの最適化を行った。高温ガス炉は廃棄物発生体積及び処分場専有面積低減に対し、軽水炉と比較し有利な特徴(高燃焼度、高熱効率、ピンインブロック型燃料)を持つこと、およびこれらの減容が可能であることが先行研究で分かっている。本研究では、シナリオの最適化、地層処分場のレイアウトをKBS-3H概念に基づいた横置きに基づき(先行研究では、KBS-3Vに基づいた竪置き)評価した。その結果、直接処分において、横置きを採用しただけで専有面積の20%減を確認した。40年冷却期間を延長することにより、専有面積の50%が低減できる。再処理時は燃料取り出しから再処理までの冷却期間を1.5年延長するだけで廃棄体発生体数の20%削減ができる。専有面積については、処分までの冷却期間を40年延長することにより80%の低減が可能である。さらに、核変換を行わずに4群分離技術のみを導入した場合、150年冷却の冷却を想定すると専有面積は90%削減できることが分かった。
北尾 貴彦; 竹内 良勝; 木村 隆志; 小島 順二; 塩谷 聡; 田崎 隆; 中村 仁宣
日本核物質管理学会第38回年次大会論文集(インターネット), 9 Pages, 2018/04
日本原子力研究開発機構(JAEA)東海再処理施設は、防護区分I施設を複数有しており、より強固な核セキュリティの確保が要求されている。施設の核セキュリティを継続的に確保し強化するには、組織及び個人による能動的な核セキュリティ文化の醸成が不可欠である。そこで、東海再処理施設では、国際原子力機関(IAEA)の核セキュリティ文化に関するガイドラインにおいて、効果的な核セキュリティ文化の基礎となる信念及び態度である、「確実な脅威の存在及び核セキュリティの重要性の認識」を根付かせるための組織としての諸活動として、核セキュリティに特化した教育、少人数グループによる事例研究トレーニング、啓蒙ポスター作成、経営層による現場巡視等の活動を実施している。本報告は、東海再処理施設の核セキュリティ文化醸成に係る従業員起点のボトムアップ及び経営層からの階層的なトップダウンによる双方向の活動の評価及び改善に係る紹介、並びに今後の取り組むべき課題について紹介する。
岡野 正紀; 秋山 和樹; 田口 克也; 永里 良彦; 大森 栄一
デコミッショニング技報, (57), p.53 - 64, 2018/03
東海再処理施設は1971年6月に建設が開始され、使用済燃料を用いたホット試験を1977年9月に開始した。電気事業者との再処理役務契約を無事完遂した。それ以来2007年5月までの約30年間にわたり約1,140トンの使用済燃料を再処理した。東海再処理施設については、2014年9月の「日本原子力研究開発機構改革報告書」において、費用対効果を勘案して廃止措置へ移行する方針を示した。これらを踏まえ、2017年6月に東海再処理施設の廃止措置計画認可申請書を原子力規制委員会に提出した。本廃止措置計画では、廃止措置の進め方、リスク低減の取組み、廃止措置の実施区分等を含む廃止措置の基本方針、使用済燃料と放射性廃棄物の管理、廃止措置に要する資金、廃止措置の工程を定めている。そのうち、廃止措置工程として、約30施設の管理区域解除までの計画を取りまとめ、約70年の期間が必要となることを示している。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 69, 2018/03
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、低レベル放射性廃液をセメント固化し廃棄体を作製することを計画している。本研究では、作製したセメント固化体からの水素発生量を検討するため、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト60線照射施設にて、セメント試料の線照射試験を行い、水素生成G値を測定した。その結果、スラリ固化体(充てん率10
50wt%)のG値は、約0.03(n/100eV)であり、スラリ廃液を充てんしていない場合に比べて、およそ半分に低下した。硝酸イオンは、水素生成を抑制する効果があり、スラリ中に含まれる硝酸塩の影響でG値は低下したと考えられる。また、炭酸塩固化体(充てん率10wt%)のG値は、約0.14(n/100eV)であったが、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体では、それよりも低いG値であった。XRD結果から、塩の充てん率が高くなるほど、Na
CO
を含んだセメント生成物(Pirssonite)が多く見られ、Na
CO
のG値は、CaCO
よりも小さいため、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体のG値は小さくなったと考えられる。
佐野 雄一; 安倍 弘; 高畠 容子
あいちシンクロトロン光センター2017年度公共等利用成果報告書(インターネット), 1 Pages, 2018/00
再処理工程での腐食機構の解明及び腐食抑制方法の提案を目的として、海水成分を含む硝酸溶液中におけるRuの存在形態に共存物質が及ぼす影響について評価を行った。Ruを対象としたXAFS測定の結果、塩化物イオンとの相互作用に起因すると推定されるRu近傍の構造変化が観測され、硝酸溶液中におけるRuの腐食促進作用に何らかの影響を及ぼすことが示唆された。
玉置 等史; 吉田 一雄; 阿部 仁; 杉山 智之; 丸山 結
Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2017 (ASRAM 2017) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2017/11
高レベル放射性廃液の蒸発乾固事故は再処理施設において想定されるシビアアクシデントの一つである。この事故は事故進展の特徴を踏まえ、3段階に分割できる。この事故による放射性物質の環境への放出量を評価するためには、それぞれの段階において、核分裂性物質の液相から気相への移行量や壁等への沈着量を評価することが重要である。本論文では、放射性物質の放出量評価のために様々な実験等の研究をレビューし、現時点での本事故に対する放射性物質放出量評価の現状を紹介するとともに、原子力機構における最近の本事故に対するシミュレーションコードの開発状況について説明を行う。
堀籠 和志; 田口 茂郎; 西田 直樹; 後藤 雄一; 稲田 聡; 久野 剛彦
日本保全学会第14回学術講演会要旨集, p.381 - 384, 2017/08
東海再処理施設では、プルトニウム等の核燃料物質を安全に取り扱うため、閉じ込め機能(負圧)を有するグローブボックス(GB)が設置されており、各GBには、グローブを取り付けるためのグローブポート(ベークライト製)が取り付けられている。グローブポートには、グローブをグローブポートに直接取り付けるタイプと、インナーリングと呼ばれる塩ビ製の環に取り付けたグローブをグローブポートに挿入して取り付けるタイプ(以下、押し込み式グローブポート)の2種類が使われている。平成28年4月に、押し込み式グローブポートの1基に2ヵ所の割れが東海再処理施設において初めて確認された。なお、割れによるGB内の負圧の異常や、GB外への放射性物質の漏えいは確認されなかった。グローブポートは、ポートとポート押さえでパネルを挟み込む形で、ポートとポート押さえをネジで固定することによりGBパネルに取り付けられている。このため、固定ネジを取外すことでグローブポートは取り外しが可能な構造ではあるが、グローブポートをそのまま取外した場合、閉じ込め機能が破れ、GB内の放射性物質を拡散させる恐れがあるため、拡散防止措置を講じた上で、グローブポートの交換を実施する必要があった。そこで今回、GB内部の汚染をコントロールしながらグローブポートを更新する手法を確立した。本発表では、その交換手法について報告する。
筒井 菜緒; 伴 康俊; 佐川 浩; 石井 翔; 松村 達郎
Solvent Extraction and Ion Exchange, 35(6), p.439 - 449, 2017/08
被引用回数:3 パーセンタイル:77.12(Chemistry, Multidisciplinary),
-ジ(2-エチルヘキシル)オクタンアミド(DEHOA)による硝酸溶液中のウランに対する単段のバッチ抽出試験を行い、U(VI)の分配比計算式として
= 1.1
を導出した。硝酸の分配についても評価を行い、分配比計算式として
= 0.12
を得た。さらに、DEHOAのU(VI)抽出の時間依存性及びU(VI)負荷容量評価のためのバッチ試験も行った。DEHOAによるU(VI)抽出は数分以内に抽出平衡に達し、DEHOAと硝酸の濃度がそれぞれ1.5及び3Mのときの負荷容量は0.71Mであった。
安倍 弘; 西塚 雄介*; 佐野 雄一; 内田 直樹; 飯嶋 静香
QST-M-2; QST Takasaki Annual Report 2015, P. 90, 2017/03
東京電力福島第一原子力発電所に貯槽されている使用済み燃料は、海水注入により、海水環境に曝されている。このため、当該燃料を再処理する場合には、海水成分が工程に同伴することが予想され、その影響について調査する必要がある。我々は、高放射性廃液貯槽材料に対する線照射環境における腐食評価を実施し、海水が腐食に大きな影響を及ぼさないことを明らかにした。
山本 正弘
材料と環境, 66(1), p.3 - 12, 2017/01
腐食現象の発生メカニズムを明らかにするために、実験室的に実環境での腐食を再現するシミュレーション試験法を検討してきた。本稿では、海洋環境と原子力施設を例にこの手法に関して紹介する。海洋での腐食については、干満帯直下で見られる腐食極大に着目した。実環境を再現する試験を実施した結果、この領域では干潮時には、干満帯部をカソードとして腐食が進行し、満潮時には海中部深くをカソードとした腐食が進行し、長期間アノードが固定する現象が観察された。これは、アノード溶解が継続することで環境が変化して、腐食し続ける、いわゆる、「とけぐせ」と呼ばれる腐食現象と考えられる。原子力施設については、高い放射線環境での腐食解析や電気化学測定が可能な装置を駆使してきた。一例は、核燃料再処理施設でのNpの混入による腐食加速現象が、Npがステンレス鋼表面で還元され腐食が進行し、還元されたNp
がバルク溶液中に再酸化されるため、微量のNp混入でも腐食が加速されることを示した。また、軽水炉内での放射線環境で生成する過酸化水素の影響についても評価する手法に関しても紹介した。
竹内 正行; 粟飯原 はるか; 中原 将海; 田中 耕太郎*
Procedia Chemistry, 21, p.182 - 189, 2016/12
被引用回数:1 パーセンタイル:26.04再処理溶液での沈殿挙動を評価するため、電解質熱力学モデルによるシミュレーション技術の開発を実施した。シミュレーション結果については、非放射性の10元素共存の模擬高レベル放射性廃液や3元素共存系のPu-Mo-Zr溶液での実験結果と比較し、その信頼性を検証した。その結果、シミュレーションと実験結果は沈殿物の大部分がモリブデン酸ジルコニウム二水和物であることを示しており、シミュレーション結果は実験系における沈殿物の化学形態や量のデータを良く再現していた。以上より、本研究では熱力学シミュレーションが再処理溶液からの沈殿状況を評価する有効なツールであることを示した。
深谷 裕司; 西原 哲夫
Nuclear Engineering and Design, 307, p.188 - 196, 2016/10
被引用回数:2 パーセンタイル:69.72(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉の高燃焼度、熱効率による高レベル放射性廃棄物の減容及び処分場専有面積の低減効果の研究を行った。ヘリウム冷却黒鉛減速商用高温ガス炉はGTHTR300として設計され、その特徴には、120GWd/t程度の非常に高い燃焼度、50%程度の高い熱効率、およびピンインブロック型燃料があげられる。このピンインブロック型燃料は再処理時の黒鉛処理量低減のために導入された経緯があり、本研究では、この特徴を直接処分に利用した効率の高い廃棄物装荷法を提案する。結果として、直接処分に対し、高温ガス炉の発電量当たりのキャニスター発生体数とその処分場専有面積は、軽水炉の代表ケースに対し60%減となることが分かった。これは、高い燃焼度、発電効率、少ないTRU発生量と提案した効果的な廃棄物装荷法によるものである。一方で、再処理時の高レベル廃棄物のキャニスター発生体数とその処分場専有面積に関しては、発電効率の30%程度高い高温ガス炉のものが軽水炉に比較し30%低減することが確認できた。