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田中 正暁; 堂田 哲広; 浜瀬 枝里菜; 桑垣 一紀; 森 健郎; 岡島 智史; 菊地 紀宏; 吉村 一夫; 松下 健太郎; 橋立 竜太; et al.
日本機械学会論文集(インターネット), 91(943), p.24-00229_1 - 24-00229_12, 2025/03
先進型原子炉システムの設計最適化や安全評価を支援する「AI支援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)」の一部として、設計基準事象までの設計課題に適用する「ARKADIA-Design」の整備を進めてきた。本報では、ARKADIA-Designにおける、炉心設計及び炉構造設計、並びに保全に関わる点検工程の最適化プロセスの実装状況と、最適化検討とともに個別評価におけるプラント挙動の解析に必要な複数の解析コードの連成解析を含む解析評価技術の開発状況を報告する。
高見澤 悠; Lu, K.*; Li, Y.
International Journal of Pressure Vessels and Piping, 210, p.105219_1 - 105219_7, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Engineering, Multidisciplinary)確率論的破壊力学(PFM)に基づく原子炉圧力容器(RPV)の構造健全性評価では、RPVの中性子照射脆化について、脆化予測の平均値と不確かさの両方を考慮することが極めて重要である。通常、脆化予測の不確かさは正規分布で与えられ、その標準偏差は脆化予測手法の開発に使用されたすべてのデータの測定値と予測値の残差から決定される。したがって、中性子照射量、周辺のデータの数やばらつきにかかわらず、同一の標準偏差が仮定される。日本原子力研究開発機構では、機械学習とベイズ統計に基づくノンパラメトリックベイズ(BNP)法を用いた脆化評価手法を開発し、PFM解析コードに導入した。BNP法は、実測データのばらつきが大きく、データ数が少ない場合に有意な不確かさを推定するため、データの希少性に応じた確率分布を予測することができ、より合理的な不確かさを与えることができる。本研究では、高経年化した日本の加圧水型軽水炉におけるRPVを対象としたPFM解析を実施し、異なる脆化評価手法や不確かさがRPVの破損頻度に及ぼす影響について調べた。その結果、BNP法に基づく脆化評価手法を用いた場合に、破損頻度が高くなるものの、その差はわずかであることから、既存の脆化評価手法の妥当性を示した。
中村 詔司; 遠藤 駿典; Rovira Leveroni, G.; 木村 敦; 芝原 雄司*
KURNS Progress Report 2023, P. 46, 2024/07
本研究は、生成放射能を評価するために、廃止措置で問題となる核種について熱中性子捕獲断面積を測定するものである。本件では、対象核種の中からFe、
Erおよび
Hfを選定し、京大原子炉にて放射化法によりそれらの熱中性子捕獲断面積を測定した。今回、
Fe(n,
)
Fe反応について1.23
0.03 barn、
Er(n,
)
Er反応について8.19
0.35 barnを、そして
Hf(n,
)
Hf反応について13.57
0.14 barnを得た。また、Hf試料の測定において副産物として、
Hf(n,
)
Hf反応について0.427
0.006 barnを得た。評価済みデータライブラリに採用されているデータは、今回得られた結果の不確かさ以上に違うことを明らかにした。
下平 昌樹; 山口 義仁; 岩田 景子; 勝山 仁哉; 知見 康弘
Proceedings of ASME 2024 Pressure Vessels & Piping Conference (PVP 2024) (Internet), 10 Pages, 2024/07
日本電気協会規格(JEAC)4206では、加圧熱衝撃事象時の原子炉圧力容器(RPV)の非延性破壊を防止するため、材料の破壊靭性が亀裂先端に生じる応力拡大係数を上回ることが要求されている。破壊靭性は、通常板幅に対して深い亀裂を有するコンパクトテンション(C(T))試験片を用いて評価されるのに対して、応力拡大係数はRPVの板厚に対して浅いステンレスオーバーレイクラッド(クラッド)下亀裂を想定して算出される。さらに、破壊靭性試験は単軸荷重によって行われるのに対して、RPVの想定亀裂には熱応力及び内圧による二軸の荷重が負荷される。このような亀裂深さやクラッドの有無、荷重負荷条件の違いは、亀裂先端の塑性拘束状態を変化させ、破壊靭性値評価に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、現行のRPVの構造健全性評価手法の保守性を定量的に評価するため、クラッド下亀裂を有する大型試験体を用いた多軸破壊試験を計画している。本報告では、多軸破壊試験の実施に向けた試験体形状や荷重負荷方法の検討内容及び当該試験の参照データとなる予備試験結果について報告する。予備試験では、亀裂の深さや形状を変えた試験体を用いた破壊試験を行い、浅い亀裂を有する試験体ではC(T)試験片に比べて破壊靭性値が高めに評価されることを示した。さらに、亀裂先端の拘束状態に依存せずに破壊靭性値を予測可能なローカルアプローチを用いて多軸試験体で得られる破壊靭性値の予測を行った。その結果、多軸試験体で得られる破壊靭性値は、JEAC4206に基づいて設定される破壊靭性遷移曲線に対して、十分な裕度を有することを示した。
香田 有哉; 松野 広樹; 松嶌 聡; 窪田 晋太郎; 戸田 圭哉; 中村 保之
JAEA-Review 2024-003, 38 Pages, 2024/06
新型転換炉原型炉ふげん(以下「ふげん」という。)は、廃止措置に係る技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県における研究開発の拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、日本原子力研究開発機構外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、令和5年度に開催した第41回ふげん廃止措置技術専門委員会において「ふげん」から報告した「廃止措置の状況」、「蒸気ドラムの解体及び除染について」、「汚染機器解体における放射線管理の知見等」、「放射性廃棄物でない廃棄物(NR)に関する汚染部位の特定・分離の実績と考察」及び「原子炉解体に向けた技術開発計画について」について資料集としてまとめたものである。
田中 正暁; 堂田 哲広; 浜瀬 枝里菜; 桑垣 一紀; 森 健郎; 岡島 智史; 菊地 紀宏; 吉村 一夫; 松下 健太郎; 橋立 竜太; et al.
第28回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2024/06
先進型原子炉システムの設計最適化や安全評価を支援する「AI支援型革新炉ライフサイクル最適化手法(ARKADIA)」の一部として、設計基準事象までの設計課題に適用する「ARKADIA-Design」の整備を進めてきた。本報では、今後の開発課題とともに、ARKADIA-Designにおける、炉心設計及び炉構造設計、並びに保全に関わる点検工程の最適化プロセスの実装状況と、最適化検討とともに個別評価におけるプラント挙動の解析に必要な複数の解析コードの連成解析技術の整備状況を報告する。
中山 梓介; 岩本 修; 木村 敦
EPJ Web of Conferences, 294, p.07001_1 - 07001_6, 2024/04
溶融塩炉などの革新型原子炉の減速材として黒鉛の利用が考えられている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を与える。革新型原子炉の開発に貢献するため、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則の評価を行った。格子振動に起因する非弾性散乱成分は、第一原理シミュレーションから求めたフォノン状態密度に基づいて評価した。シミュレーションは理想的な結晶黒鉛に対して行った。結晶構造に起因する干渉性弾性散乱成分は、J-PARC/MLF施設で実施された中性子透過実験および散乱実験に基づいて評価した。中性子透過実験との比較においては、空孔などの結晶よりも大きな構造に起因する中性子小角散乱の定量が重要であることがわかった。以上の方法に基づいて、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則データを評価した。
二神 敏; 安藤 勝訓; 山野 秀将
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
To enhance resilience of next-generation nuclear structures, it is necessary to develop design methodology that mitigates impacts of failure caused by extremely high temperature conditions which might lead to a severe accident. In this study, structural analysis under extreme high temperature was conducted in a next-generation SFR with hanged reactor vessel (RV). This study has conducted the detailed structural analysis of the RV and GV in the loop-type SFR using the FINAS/STAR code. And CV was simply modeled to confirm the constraint effect on the deformation (expansion) of RV. From the structural analysis results under high temperature condition at LOHRS, deformation behavior and the areas that should be focused on to mitigate impacts of failure were understood. And CV constraint effect was confirmed to enhance the structural resilience.
高松 邦吉
革新的冷却技術; メカニズムから素子・材料・システム開発まで, p.179 - 183, 2024/01
高温ガス炉は優れた安全性を有しており、原子炉冷却材が喪失するような事故時においても、炉心における崩壊熱や残留熱を原子炉圧力容器(RPV)外表面から放熱でき、燃料温度は制限値を超えることなく静定する。一方、RPVから放出された熱を最終ヒートシンクまで輸送する冷却システムに関しては、ポンプ等による水の強制循環を用いた能動的システムや、大気の自然循環を用いた受動的システムが提案されている。しがしながら、冷却性能が動的機器の動作や気象条件の影響を受けるという課題があった。本稿では、これらの課題解決を目的に提案されている放射冷却を用いた新たな冷却システム概念の概要や、当該概念の成立性確認を目的とした解析と実験の結果を紹介する。
熊田 高之; 元川 竜平; 大場 洋次郎; 中川 洋; 関根 由莉奈; Micheau, C.; 上田 祐生; 杉田 剛; 美留町 厚; 佐々木 未来; et al.
Journal of Applied Crystallography, 56(6), p.1776 - 1783, 2023/12
被引用回数:16 パーセンタイル:97.10(Chemistry, Multidisciplinary)既存のメイン検出器および高位置分解能フォトマル検出器に加えて新規に導入した前面検出器を組み合わせることにより、波数0.002nmから6nm
にわたる散乱を3つの光学機器配置により切れ目なく測定できるようになった。またグラフィカルユーザーインターフェースの導入と併せて装置のユーザビリティが大幅に向上した。
内堀 昭寛; 堂田 哲広; 青柳 光裕; 曽根原 正晃; 曽我部 丞司; 岡野 靖; 高田 孝*; 田中 正暁; 江沼 康弘; 若井 隆純; et al.
Nuclear Engineering and Design, 413, p.112492_1 - 112492_10, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:46.61(Nuclear Science & Technology)ナトリウム冷却高速炉に代表される革新炉に対し、安全性評価やそれに基づく設計最適化を自動で行うARKADIAを開発している。通常運転もしくは設計基準事象の範囲で設計最適化を行うARKADIA-Designについては、核特性-熱流動-炉心変形のマルチレベル連成解析手法等を中心技術として開発し、その基本的機能を確認した。シビアアクシデントまで含む範囲で安全性評価を行うARKADIA-Safetyの基盤技術として、炉内/炉外事象一貫解析手法の整備を進め、仮想的なシビアアクシデント事象を解析することで基本的機能を確認した。また、炉外事象に対する解析モデルの高度化、設計最適解の探索工程を合理化するAI技術の開発に着手した。
相馬 康孝; 五十嵐 誉廣
第70回材料と環境討論会講演集(CD-ROM), p.199 - 202, 2023/10
高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)内部では酸性の腐食環境(クレビス環境)が形成すると考えられることから、SCC挙動を解明するためにはクレビス環境においての腐食挙動解明が重要である。過去にわれわれはクレビス内部の導電率を測定し、すき間腐食が発生する場合としない場合でそれぞれ380S/cm、1600
S/cmの数値を得たことから、本研究ではこれらの数値に対応する環境をそれぞれクレビス環境I(pH
=4.41)、及びII(pH
=3.13)とし、それぞれの環境中におけるFe-xCr-20Ni(x=16.9, 19.8, 22.9, 24.3, 25.9)の腐食挙動を調べた。この結果、クレビス模擬環境Iではすべての合金組成で不働態化が見られた一方、クレビス模擬環境IIではx=16.9、及び19.8で粒界の割れを伴う激しい腐食が見られ、厚い酸化皮膜が形成した。一方、x=22.9以上では酸化皮膜成長は抑制され、明確な分極曲線上に明確な不働態域が形成された。
福井 康人
日本原子力学会誌ATOMO, 65(9), p.564 - 567, 2023/09
本稿では、国際法が原子力発電所への武力攻撃を抑止できるかについて、現行の国際法に基づいて解説する。第1点目として、現行の国際法は原子力発電所への武力攻撃についてどのように定められているか。第2点目として、現行の国際法は、原子力発電所への武力攻撃を抑止できるような効力を持っているのか。第3点目として、もし国際法がそのような効力を持っていないのであれば、どのような枠組みや対応が必要か。第4点目として、日本の原子力発電所に適用した場合にはどのようになるかとの4点から述べる。
山野 秀将; 二神 敏; 安藤 勝訓
Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.23-00043_1 - 23-00043_12, 2023/08
本研究では、多目的有限要素解析コードFINAS/STARを用いて、ループ型ナトリウム冷却高速炉の原子炉容器の詳細構造解析を実施し、超高温時における変形挙動を理解するとともに、破損への影響を緩和するのに注目すべき部位を同定することを目的としている。解析では、減圧を仮定し、原子炉容器を通常運転状態からナトリウム沸点まで20時間かけて加熱させた。本解析により、発生応力は有意ではなく、破損判定基準を十分に下回ることが示された。構造破損緩和の観点で、原子炉容器上部銅が重要な部位として同定された。原子炉容器は最終的には16cmも下方に変形するも、破損には至らなかった。この効果は長期にわたり原子炉容器ナトリウム液位を維持することができ、それにより、原子炉容器のレジリエンス向上につながる。
堂田 哲広; 加藤 慎也; 浜瀬 枝里菜; 桑垣 一紀; 菊地 紀宏; 大釜 和也; 吉村 一夫; 吉川 龍志; 横山 賢治; 上羽 智之; et al.
Proceedings of 20th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-20) (Internet), p.946 - 959, 2023/08
安全かつ経済的で持続可能な先進的原子炉を実現するために革新的設計システム(ARKADIA)を開発している。本論文では、ARKADIAの一部である設計研究のためのARKADIA-Designに着目し、炉心設計の数値解析手法の妥当性確認について紹介する。ARKADIA-Designでは、炉物理、熱流動、炉心構造、燃料ピン挙動の解析コードを組み合わせたマルチフィジックス解析により、ナトリウム冷却高速炉の炉心性能を解析する。これらの解析の妥当性を確認するため、実験データ及び信頼できる数値解析結果を選定し、検証マトリックスを作成する。解析コードのモデル及び検証マトリクスの代表的な確認解析について説明する。
山口 義仁; 高見澤 悠; 勝山 仁哉; Li, Y.
Proceedings of ASME 2023 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2023) (Internet), 9 Pages, 2023/07
原子炉圧力容器のノズル部の健全性評価において、ノズルコーナー亀裂に対する応力拡大係数が重要なパラメータである。これまで、ノズルコーナーの表面亀裂に対する様々な応力拡大係数解が提案されてきたが、その多くは亀裂の最深点にのみ着目しており、ノズルコーナーの形状寸法に関する情報は明らかになっていない。ノズルコーナー亀裂を対象とした既往の疲労試験結果によると、亀裂表面点における進展量は、最深点よりも大きいことが明らかとなっている。このことから、亀裂表面点の応力拡大係数は最深点よりも高い可能性がある。これらより、本研究では、健全性評価の信頼性を高めるため、有限要素解析を通じて、ノズルコーナーの形状寸法とき裂サイズに対応した、表面点と最深点の両方の応力拡大係数解を提案する。
土谷 邦彦
日本原子力学会誌ATOMO, 65(6), p.393 - 397, 2023/06
「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、経済社会の変革に係る施策について検討する「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」において、原子力発電の本格活用に向け、原子力発電所の再稼働や新増設等を進める姿勢が鮮明に示された。我が国の原子力開発やその人材育成を担う「研究基盤施設である材料試験炉」は重要な役割を果すものであり、原子炉用燃料・材料の開発に貢献してきた材料試験炉(JMTR)に蓄積された照射/照射後試験技術を紹介する。
坂野 雅樹*; 舩谷 俊平*; 高松 邦吉
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 7 Pages, 2023/05
本研究では、放射冷却を採用した原子炉圧力容器(RPV)の受動的冷却設備の安全性に関する基礎的研究を行う。本研究の目的は、自然災害が発生した場合でも、放射冷却を採用したRPVの受動的冷却設備は、安全で信頼できることを実証することである。そこで、いくつかのステンレス製の容器を使って、実機の受動的冷却設備の約1/20スケールである実験装置を製作した。実験装置内の発熱体の表面はRPVの表面を模擬しており、その発熱体は実験装置内で自然対流と輻射を発生させる。そこで実機と実験装置のグラスホフ数を比較したところ、いずれも乱流であることを確認し、スケールモデルである実験装置から価値の高い実験結果を得られることに成功した。また実験の結果から、定格運転時にRPV表面から放散される熱を確実に除去できることを実証できた。
吉田 健太*; 外山 健*; 井上 耕治*; 永井 康介*; 下平 昌樹
まてりあ, 62(3), p.154 - 158, 2023/03
原子炉圧力容器(RPV)の中性子照射脆化因子の一つである直径3nm程度の微細な転位ループを高精度に分析するために開発したウィークビーム走査透過型電子顕微鏡(WB-STEM)に関する解説を行うとともに、当該手法と3次元アトムプローブ法(APT)及び陽電子消滅法(PAS)を組み合わせた最先端の照射脆化研究について紹介する。WB-STEMは材料内部に存在する特定の格子欠陥に対して最適な電子線の収束角及び検出角を設定することによって、従来透過型電子顕微鏡での観察が困難であった微細な転位ループの定量評価を可能にする手法である。この手法を用いて10n/m
程度の低照射量から10
n/m
を上回る高照射量まで複数照射量条件で照射された欧州加圧水型軽水炉の監視試験片中の転位ループを分析し、APTやPASで分析した溶質原子クラスターとの比較を行った。その結果、8.2
10
n/m
から1.2
10
n/m
の高照射量領域において転位ループの数密度が顕著に増加することを明らかにした。また、測定された転位ループ及び溶質原子クラスターの数密度や寸法からモデル式に基づいて、これら微細組織の脆化への寄与を評価し、高照射量領域において転位ループが脆化に大きく寄与する可能性を示した。
高見澤 悠; Lu, K.; 勝山 仁哉; 眞崎 浩一*; 宮本 裕平*; Li, Y.
JAEA-Data/Code 2022-006, 221 Pages, 2023/02
原子炉圧力容器(RPV: Reactor Pressure Vessel)は原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する重要機器の1つであり、中性子照射等に伴う高経年化を考慮した構造健全性確保が極めて重要である。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA: Japan Atomic Energy Agency)では、RPVの構造健全性評価に関する研究の一環として、確率論的破壊力学(PFM: Probabilistic Fracture Mechanics)解析コードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進めている。本コードは、加圧水型軽水炉(PWR: Pressurized Water Reactor)及び沸騰水型軽水炉(BWR: Boiling Water Reactor)を対象に、影響因子が持つ不確実さを考慮し、加圧熱衝撃(PTS: Pressurized Thermal Shock)事象や低温過圧事象(LTOP: Low-Temperature Over Pressure)等の過渡によるRPVの炉心領域部の破損確率や破損頻度を求めるものである。破壊力学や確率論的計算手法等に関する最新知見や国内RPVに適した評価手法・評価モデルを踏まえ、新規解析機能の導入を進めるとともに、系統的なコード検証活動を通じて信頼性向上を図ってきた。平成12年度に公開したPASCALでは、PWRのPTS事象を対象に、RPVの破損確率を解析する基本的な枠組みを整備した。平成18年度に公開したPASCAL2では、内部亀裂の評価手法や様々な非破壊検査による亀裂の検出性に関する評価モデル等を導入し、過渡事象データベースを整備した。平成22年度に公開したPASCAL3では、肉盛溶接クラッド部に着目して、亀裂の評価機能等を改良した。平成29年度に公開したPASCAL4では、応力拡大係数解や破壊靭性の不確実さを考慮した評価モデル等の改良により解析機能の高度化を図るとともに、影響因子の不確実さを認識論的不確実さと偶然的不確実さに分類し、不確実さを考慮した信頼度評価機能等を整備した。平成30年度以降は、これまでPWRのPTS事象を対象としたRPV内面側亀裂の評価機能に加えて、BWRの起動事象、LTOP事象等を想定したRPV外面側亀裂の評価機能等の整備を進めてきた。これらの機能整備を踏まえ、国内PWR及びBWRのRPVを対象とした確率論的健全性評価に資する解析コードとして、PASCAL5へとバージョンアップした。PASCAL5はPFM解析モジュールであるPASCAL-RV、PASCAL-RVの入力データの生成やRPV炉心領域部を対象とした破損頻度の算出を行うモジュールであるPASCAL-Manager、付録として附属する簡易的な熱応力解析を