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瀬川 智臣; 川口 浩一; 石井 克典; 鈴木 政浩; 深澤 智典*; 福井 国博*
粉体工学会誌, 57(9), p.485 - 494, 2020/09
使用済燃料の再処理工程において、硝酸ウラニル・硝酸プルトニウム混合溶液をマイクロ波加熱脱硝法により混合酸化物粉末に転換している。ラボスケールの基礎実験において研究開発された知見に基づき、工学規模への適用性の評価や金属硝酸塩水溶液の様々なマイクロ波加熱脱硝特性データを取得するため、硝酸セリウム,硝酸コバルト,硝酸銅水溶液を用いてマイクロ波加熱特性及び金属酸化物粉末特性の研究を行った。脱硝反応の進行速度は位置により差がみられ、周縁部の方が中心部に比べて脱硝反応が速く進行した。硝酸セリウム水溶液ではポーラスな硬い乾固体、硝酸コバルト水溶液では発泡乾固体、硝酸銅水溶液では粉末状生成物が得られることが分かった。生成物の脱硝率及び平均粒子径は、硝酸セリウム水溶液,硝酸コバルト水溶液,硝酸銅水溶液の順に大きくなることを確認した。数値シミュレーションにより、金属硝酸塩水溶液の底面周縁部はマイクロ波により加熱されやすく、脱硝反応が周縁部から開始する実験結果と一致することを明らかにした。
中村 康雄; 中谷 隆良
JAEA-Technology 2014-048, 18 Pages, 2015/03
日本原子力研究開発機構の余裕深度処分対象廃棄物のうち、再処理施設から発生するアスファルト固化体には硝酸塩が含まれており、この廃棄体を余裕深度処分する場合、硝酸塩も放射性物質と同様に地表水へ移行し環境影響が懸念される。硝酸塩は、環境基本法第十六条の規定で示されている水質の汚濁に関わる環境基準で定められた水質基準で規制対象となる物質(硝酸性及び亜硝酸性窒素)である。こうした有害物質の扱いについては、「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査の基本的考え方(平成22年8月、原子力安全委員会)」では、"なお、非放射性の有害物質そのものの環境影響については、(中略)必要に応じ国あるいはその他関連する機関が定める規定に準じて別途考慮されなければならない"とされている。本報告では、硝酸塩が地下水とともに生活圏へ移行した場合の地表水中の硝酸性窒素濃度について計算し、環境基準を満足することを確認した。また、多重バリアで構成される処分システムにおいて、廃棄体層の間隙率及び移行経路上の分配係数の違いによる影響についても評価を行い、天然バリアにおける分配係数が評価点における硝酸性窒素濃度に感度があることを確認した。
阿部 英樹*; Ye, J.*; 今井 基晴*; 吉井 賢資; 松下 明行*; 北澤 英明*
Journal of Crystal Growth, 241(3), p.347 - 351, 2002/06
被引用回数:10 パーセンタイル:58.77(Crystallography)銀-鉛酸化物AgPbOの単結晶をAg(NO)とPb(NO)の混合溶融硝酸塩から常圧下で合成した。得られた結晶の結晶構造解析から、従来報告されているP31m構造を有することを確認した。これまでの本物質の合成は高圧酸素下で行われているが、硝酸塩の高い酸化力によって本物質が常圧下で合成されたものと考えられる。
小林 師; 村田 栄一*; 澤幡 佳和*; 斎藤 晶*
JNC TN8430 2001-002, 43 Pages, 2001/02
現在、東海再処理施設内で建設計画を進めている低放射性廃棄物処理技術開発施設(以下LWTF)の液処理系プロセスでは、低放射性廃液中の塩(NaNO3等)と放射性核種を分離し、それぞれ「硝酸塩蒸発固化体」、「スラリー蒸発固化体」として保管・貯蔵される。このプロセスにより、従来の「アスファルト固化法」に比べ、大きな減容比を得ることができる。本報では、このLWTF液処理系プロセスと同様の処理を工学規模の装置を用いて行い、過去の基礎試験結果から得られたLWTF運転上の設定値との比較を行った。その結果、LWTF液処理系プロセスにおける「ヨウ素不溶化・プレフィルタろ過工程」、「限外ろ過(I)工程」、「前処理工程」、「共沈・限外ろ過(II)工程」、「共沈・限外ろ過(III)工程」のそれぞれの工程において、LWTF運転上の設定値が妥当であることを確認した。
福本 雅弘; 西川 義朗*; 加川 昭夫; 河村 和廣
JNC TN8400 2001-002, 23 Pages, 2000/12
TRU廃棄物処分研究におけるアスファルト固化体の影響評価の一環として、放射線(線)によるアスファルトの劣化により生成する可溶性有機物の種類と濃度について確認した。また、硝酸塩の影響についても合わせて確認した。その結果、放射線(アスファルトが処分環境で100万年の期間に受ける線の吸収線量に相当する10MGy)によるアスファルトの劣化により生成される可溶性有機物のギ酸、酢酸及びシュウ酸濃度はそれぞれ、約50mg/dm3、約30mg/dm3及び約2mg/dm3とValckeらがEurobitum(ブローンアスファルト、MexphaltR85/40)の放射線分解の劣化生成物の影響をPuとAmを用いた試験により実施し、Boom Clay間隙水中のPuとAm溶解度は増加しなかったと示した時のギ酸、酢酸、シュウ酸の濃度より低濃度の溶出であった。また、硝酸イオンが多量に存在しても、TOC、ギ酸、酢酸、シュウ酸濃度の変化は微量であった。すなわち、放射線により硝酸イオンが亜硝酸イオンとなる過程でアスファルトの酸化的分解を促進することにより、錯体の有機配位子となりうるギ酸、酢酸を溶出させることは少ないといえる。このことから、アスファルト固化体の放射線(線)による劣化により溶出してくる可溶性有機物とTRU核種との錯体形成によるTRU核種の溶解度上昇、TRU核種の分配係数低下は限定的である。
嶺 達也*; 三原 守弘; 大井 貴夫
JNC TN8430 2000-009, 35 Pages, 2000/07
TRU廃棄物の処分方法として、地層処分施設へ埋設する方法が検討されている。使用済核燃料の再処理埋設より発生するTRU廃棄物である低レベルプロセス濃縮廃液の固化体には、多量の硝酸塩が含まれている。硝酸塩は微生物の脱窒作用により、最終的に窒素まで還元される可能性がある。このため、嫌気条件での微生物による硝酸塩の脱窒にともなって発生する窒素が人工バリアの破壊や人工バリア中の汚染水の押し出しといった物理的な影響を与える可能性があることが指摘されている。したがって、脱窒能を有する微生物(以下、脱窒細菌と記す)が処分システムに与える影響は重要であると考えられる。本研究では、高アルカリ、還元性となる処分環境に対する脱窒細菌の耐性を調査することを目的として、脱窒細菌としてPseudomonas denitrificansを使用し、pH及びEhが脱窒細菌の活性に与える影響を把握するための実験的研究を実施した。その結果、pHが脱窒細菌の活性に与える影響については、本研究で使用した脱窒細菌では、pHが中性より高くなるにつれて低下し、pH=9.5以上では定量下限値以下となることが示された。Ehが脱窒細菌の活性に与える影響については、把握することはできなかったが、試験条件が還元環境に制御されていれば、脱窒細菌は活性を持つことが明らかとなった。いずれにしても、pHが12.5程度の高アルカリとなる処分環境条件においては、本研究で使用した脱窒細菌の活性はEhにかかわらず、中性領域での活性と比較すると小さくなると考えられた。
竹内 正行; 石橋 祐三; 大橋 和夫; 永井 崇之; 武田 誠一郎; 山本 一也
PNC TN8410 98-063, 48 Pages, 1997/12
(目的)再処理溶液中に存在する特有の金属種として、プルトニウムに着目し、硝酸プルトニウム溶液環境中でのステンレス鋼材料の腐食挙動について調査する。(方法)硝酸プルトニウム溶液を試験液に、R-SUS304ULCを供試材に使用し、材料浸漬試験、電気化学試験、吸光光度法による溶液中プルトニウムのin-situ原子価分析を東海事業所高レベル放射性物質研究施設で実施した。浸漬試験後の供試材は放射能測定による表面付着量の評価を行った後に、動燃大洗工学センターの照射燃料集合体試験施設において、詳細な材料表面分析を実施した。(結果)(1)硝酸中に共存するプルトニウムはステンレス鋼の腐食を促進する方向に作用し、過不働態腐食に帰属する粒界選択型の腐食形態が観察された。(2)イオンマイクロアナライザおよびX線マイクロアナライザによる分析結果から、浸漬試験片表面にプルトニウムは検出されなかった。(3)電気化学試験結果から、溶液温度が上昇するにつれて、R-SUS304ULCの腐食電位はより貴になり、不働態から過不働態域に移行する傾向を示した。また、その時のアノード電流密度は腐食速度を反映し、増大する傾向を示した。(4)溶液中プルトニウムのin-situ原子価分析結果より、当該環境(硝酸濃度3M,Pu濃度10g/l)では、313343K(4070)からプルトニウム(VI)が酸化生成する傾向が認められた。(結論)プルトニウムの影響によって進行するステンレス鋼の過不働態腐食は、材料表面におけるプルトニウムの還元反応(VIIV)と密接に関連するものと考えられる。また、酸化剤として作用するプルトニウム(VI)は本溶液環境において、温度の影響を受け、硝酸によって酸化されることで生成することが分かった。
渡部 雅之; 小山 智造; 田中 康正; 駒 義和; 根本 慎一
PNC TN8410 97-120, 53 Pages, 1997/03
先進的核燃料リサイクルに係わる研究開発の一環として、三価のアクチニドとランタニド元素の分離技術の試験研究を進めている。CMPO-TBP混合溶媒/DTPA-塩析剤溶液系に基づく分離法(SETFICS法)について、温度と塩析剤に着目したコールド試験を行い、以下の結果を得た。(1)DTPA混合溶液系における分配比の温度依存性の把握分配比は温度上昇とともに低下する。この傾向は、主にCMPOによる抽出反応とDTPAの酸解離反応による。分離条件としては低温が有効である。(2)硝酸逆抽出液への硝酸ヒドロキシルアミンの適用性評価NaNO3と同様の分配比が得られる。硝酸逆抽出工程への適用は可能と考えられる。(3)種々の硝酸塩溶液による三価金属の相互分離への影響評価アルカリ土類金属溶液では分配比が低く、硝酸Al溶液では分離係数が低い。pH、硝酸イオン濃度、温度に対する依存性はNaNO3の場合と同様である。希土類元素の分配比は、硝酸塩の種類により次のような大小関係となる。一価陽イオン種KRbHANNaLi二価陽イオン種MgSrCa全体AlKRbHANMgNaLiSrCa理由としては、DTPA-金属の錯生成反応とCMPOによる抽出反応に関する塩析剤陽イオンとLn元素間での競合が考えられる。分離係数もわずかながら変化する。小さい陽イオン半径の硝酸塩溶液で分離係数が大きくなる。また、分離係数が大きい場合にこの傾向が顕著となる。
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PNC TJ1635 95-001, 9 Pages, 1995/03
セリウム硝酸塩水溶液を種々の条件で噴霧熱分解して得られた酸化セリウム粉体を以下の測定により評価した:熱重量/示差熱分析、粉末X線回折、比表面積、タップ密度、安息角、圧密体密度、気孔径分布、粉末X線回折により粉体中に依存する結晶層は酸化セリウムのみであることが確認されたが、熱重量分析によりかなり高温(800程度)まで重量減少が続き、硝酸根が残留していることが示された。重量減少量は高温で調製された粉体ほど少ない。比表面積は調製温度が高くなるほど小さく(一次粒径が大きく)なる傾向を示した。X線回折の回折線の半値幅と比表面積には対応関係があった。タップ回数を増やして行ったときのタップ密度の変化の仕方には二つのパターンが見られた。第一のグループの粉体はタップ回数とともにタップ密度が単調に増加し、第二のグループの粉体ではある回数まで密度が増加した後一定となった。安息角の測定は粉体の流動性の目安となるが、流動性の高い粉体がタップ密度の第二グループの粉体に対応した。タップ密度の最も高かった粉体は最も流動性の低い粉体であった。高い圧密体密度が得られた粉体もタップ密度の第二グループの粉体に対応した。これらタップ密度、安息角、圧密体密度の測定値は粉体の粒径と粒子間の相互作用を反映したものと考えられるが、与えられた調製条件(原料水溶液濃度、調製温度)との間には系統的な関係は見いだせなかった。気孔径は0.02mと0.085mにピークを持つバイモーダル分布を示した。
根本 剛; 大内 仁; 岡田 尚; 鈴木 徹; 近藤 勲; 高橋 芳晴
PNC TN8410 91-105, 27 Pages, 1991/05
再処理プロセスまたはスクラップ燃料回収プロセスにおいて,溶媒抽出工程で使用し劣化した溶媒は,炭酸ナトリウム溶液を主成分とする溶媒再生法で処理している。しかし,この処理に伴って発生する硝酸ナトリウムを含む二次副生物の低減化が重要な課題になっている。現在,これらの課題を解決するため,溶媒抽出工程の短縮化,抽出装置での有機相/水相の分離時間の短縮化,ソルトフリー溶媒再生技術の開発等が検討されている。我々は,溶媒抽出工程の短縮化の一つとして,低温晶析法の分配工程への分離・精製の可能性について技術開発を進めている。この低温晶析法を定量的に評価するために,分離・精製時の硝酸ウラニルあるいは硝酸プルトニウム中に含まれる微量成分の挙動が重要な要素になる。これまでの既存文献では,低温領域での硝酸濃度をパラメータとした硝酸塩の溶解度についての測定値がほとんどない。今回,室温から-30までの温度範囲における一部の硝酸塩(Cs,Sr,Ce,Nd,Zr)の溶解度を測定し,温度-硝酸濃度を変数とする溶解度を数式化した。また,硝酸ウラニル溶液については,既存の文献値を用いて数式化した。今後,引き続き核分裂生成物の硝酸塩についての溶解度を測定し,数式化したデータを蓄積することにより,低温晶析法の分離・精製の可能性を定量的に解析するデータにすると共に,低温技術開発の基礎データとして活用できるものと考える。
高橋 武士*; 間野 正*; 大鷹 秀生
PNC TN1410 91-034, 10 Pages, 1991/05
シリカゲル吸着剤は揮発性ルテニウムの除去に有効であることが知られており、捕集性能に関する研究が諸外国で行われている。しかし、これらの研究は試験範囲が限定されており、水分濃度による影響等に対するデータが乏しく、このため本研究では各種パラメータがシリカゲル吸着剤のルテニウム除去性能に及ぼす影響を検討した。研究の結果、除去性能は吸着温度、水分濃度、滞留時間等により影響されるが、適切な条件を採用することで除染係数(DF)として約1x10/SUP3が期待できることが確認された。
伊藤 義之; 松島 怜達; 高野 雅人; 鈴木 達也*; 宮部 慎介*; 佐久間 貴志*
no journal, ,
結晶性シリコチタネート(ピュアセラム)のCs及びSr吸着特性を把握するため、吸着等温線の測定を行った結果、ピュアセラムはゼオライトよりも平衡吸着量が大きく、CsとSrを同時吸着材として有効であることが分かった。本吸着材を用いて実機吸着塔(LWTF)と同様の通液条件でカラム通液試験を行った結果、前報よりも破過容量が大きい結果が得られ、実機への適用に有効な吸着材であることが分かった。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 橋本 崇紀*; 鈴木 達也*; 宮部 慎介*; 佐久間 貴志*; 菊地 香織*; 出水 丈志*
no journal, ,
本研究では、東海・再処理施設内の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)の吸着塔で使用するCs及びSr吸着材の検討を行っている。吸着対象の廃液は、約5mol/Lの高濃度硝酸塩廃液でありCa等も含むため、Cs及びSr吸着材は、高い選択性等を必要とする。本報では、福島第1原子力発電所の汚染水処理に使用され、CsやSrを同時に吸着できるケイチタン酸塩系の吸着材(ピュアセラム)のLWTF吸着塔への適用を検討するため、2本の吸着カラムを連結させたカラム試験を行った。その結果、Csは破過し難く、前回の報告と同様に破過容量が大きいことが分かった。Srの5%破過容量は、前回の報告と比べて約2倍となり、破過容量の向上が図れる見通しを得た。
伊藤 義之; 齋藤 恭央; 篠田 優*; 三村 均*; 松倉 実*; 石崎 英司*
no journal, ,
低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)の吸着処理工程では、約5mol/Lの高濃度硝酸塩廃液からCsやSrを吸着処理するため、Cs吸着材としては、フェロシアン化物を用いた吸着材が有用とされていた。しかし、フェロシアン化物やその造粒に使われるポリアクリロニトリルは、シアノ基を含んでおり、硝酸塩溶液中で使用した場合、それらの放射線分解によるシアン化水素の発生に対する懸念があった。このため、線照射試験を行った結果、フェロシアン化物からのシアンイオン(CN)の生成は、硝酸塩溶液に浸漬した場合に顕著であった。硝酸イオン(NO)は、放射線分解によって亜硝酸イオンとOHラジカル(OH・)を生成し、OH・は、フェロシアン化物を分解しCNを生成させるため、NO存在下では、CNを生成しやすいと考えられる。また、新たな無機系のCs吸着材として、ケイチタン酸塩吸着材(CST(IE-911))の吸着特性を評価した結果、CSTは、フェロシアン化物を用いた吸着材と比較して破過吸着容量等の点で優れた吸着性能を有していることが分かった。
小林 大志*; 佐々木 隆之*; 北村 暁
no journal, ,
硝酸塩がテクネチウム(Tc)の酸化還元挙動に及ぼす影響を明らかにするため、Eh緩衝剤を添加した硝酸ナトリウム(NaNO)水溶液に4価テクネチウム水酸化物固相を添加し、溶解反応を検討した。濃NaNO条件下では溶存Tc濃度が増加し、その傾向はEh緩衝剤により制御された酸化還元電位により概ね解釈できることが分かった。
杤山 修*; 長谷川 和俊*; 原 啓二*; 桐島 陽*; 三原 守弘
no journal, ,
本研究では、硝酸塩含有廃棄物の地層処分における安全性を評価することを目的として廃棄物中の硝酸塩と有機物の酸化還元反応の機構解明のための高感度熱量計による模擬固化体の熱測定及びデータ解析を行い、発熱速度のモデル化検討を行った。アレニウス則に基づく界面反応の擬ゼロ次反応モデルに相変化及び拡散律速を考慮することで、測定された発熱曲線を再現できることが分かった。熱反応暴走の可能性検討において、低温域(200C以下)の微少発熱が重要であることから、今後当該領域における高感度熱測定データの拡充と高精度の反応速度定数の算定を行う必要がある。
野中 宏祐; 三原 守弘; 原 啓二*; 杤山 修*
no journal, ,
硝酸塩と有機物が多量に混在する場合(アスファルト固化体)、特殊な条件下ではこれらが化学反応を起こし、熱反応暴走する可能性がある。地層処分においてはこのような熱反応暴走の可能性を検討することは重要であり、本研究では熱反応暴走に至る最低温度(蓄熱発火温度(SIT: Self-heating Ignition Temperature))について検討した。アスファルト固化体の発熱特性を模擬固化体の熱分析データ(同主題(1)模擬固化体の熱測定及びデータ解析)より定式化し温度解析を行った結果、SITは185Cと評価された。評価されたSITは185Cであることから通常の地層処分環境では熱反応暴走を起こす可能性は低いと考えられるが、SITは固化体の低温域の反応速度定数等に大きく依存するため、今後精度の高いパラメータの取得を行う予定である。
川合 康太*; 中野 義夫*; 竹下 健二*; 永井 崇之; 小林 秀和; 天本 一平; 菖蒲 康夫
no journal, ,
ガラス固化溶融炉内の現象解明を目的として、高レベル廃液の熱分解挙動を検討している。ここでは、模擬高レベル廃液(sHLLW)中のルテニウムの存在がsHLLW中に含まれる他の主要金属硝酸塩の熱分解に与える影響を熱重量分析計を用いて検討を行った。その結果、ランタノイド硝酸塩およびアルカリ金属硝酸塩の熱分解反応に、ルテニウムが触媒として作用している傾向があることが判明した。これによりsHLLWの熱分解挙動が、より正確に再現できるようになった。