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端 邦樹; 塙 悟史; 知見 康弘; 内田 俊介
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(4), p.448 - 458, 2024/04
被引用回数:1 パーセンタイル:25.62(Nuclear Science & Technology)PWR一次冷却水中の腐食環境評価の1つの主要な目的は、主な構造材への悪影響を抑えつつ、PWSCCを抑制するための最適水素濃度を決定することにある。この目的に資するため、本研究ではラジオリシス解析と腐食電位(ECP)解析を併用したECP評価手法を提案した。この手法は元々BWRを対象に整備したものであるが、若干のプログラムやパラメータの修正を加えつつ、BWRとは異なる水化学パラメータ(pH、温度、線質)を考慮することにより、PWR用に拡張した。修正箇所には、線の影響やLi
とH
のアノード分極曲線への影響等を考慮した点が含まれる。本報告は、このうちPWR条件下(高pH、
線存在下)のラジオリシス解析結果について議論するものである。特にH
O
に着目し、水素添加量に対する挙動を計算した。解析の結果、ラジオリシス由来の水和電子が高pH環境下でH
O
の抑制に寄与することがわかった。ここで得られた解析結果を後続のECP評価に活用し、次報にてPWR環境下のECP評価を行う。
佐藤 智徳; 端 邦樹; 加藤 千明; 五十嵐 誉廣
材料と環境, 73(4), p.102 - 109, 2024/04
放射線照射下でのSCCき裂水質における溶存酸素濃度の寄与と深さ方向の水質分布を評価するため、隙間付与ステンレス鋼のガンマ線照射下試験およびラジオリシス解析を実施した。その結果、溶存酸素濃度によらず隙間内全域にFeO
が形成されることを確認した。また、照射下では、き裂内でラジオリシスにより直接生成された酸化剤種は被膜成長で消費され、放射線環境下でもき裂内ではアニオン濃縮が発生することが推定された。
熊谷 友多
放射線化学(インターネット), (115), p.43 - 49, 2023/04
ウラン酸化物の放射線による酸化と水への溶解反応に関する研究は、使用済核燃料の地層処分を背景として進められてきた。またその知見は、原子炉過酷事故で形成される燃料デブリの化学的な安定性を検討する基礎となっている。本稿ではウラン酸化物の放射線よる化学反応について既往研究についても取り上げ、受賞対象となった研究の背景や意義について紹介する。
端 邦樹; 木村 敦*; 田口 光正*; 佐藤 智徳; 加藤 千明; 渡邉 豊*
材料と環境, 72(4), p.126 - 130, 2023/04
気液共存試料中の鉄鋼材料の照射下腐食環境における気相のラジオリシスの影響について調べるため、気液比や気相中の酸素濃度を変化させた条件の気液二相系試料へのガンマ線照射実験を行い、照射後の放射線分解生成物等の生成量の測定を行った。照射後の試料溶液には過酸化水素や硝酸イオン,亜硝酸イオンの生成が見られた。硝酸イオン,亜硝酸イオンの生成量は気相の比率が大きい気液比条件で酸素濃度が高い場合に多くなり、気相における酸素と窒素が関与する反応が硝酸生成の主要因であると考えられた。試料の一部を鉛で遮蔽することで液相の吸収線量を気相の吸収線量の1/100倍に抑え、気相のラジオリシス影響を相対的に大きくした状態で、液相のラジオリシス現象を観察した。液相のラジオリシスが気相を考慮しない通常の水のラジオリシスと同様の傾向を示したことから、気相の放射線影響を100倍に高めた今回の体系において、気相ラジオリシス由来の硝酸イオン,亜硝酸イオンが液相のラジオリシスに与える影響は限定的であることが示された。
熊谷 友多; 日下 良二; 中田 正美; 渡邉 雅之; 秋山 大輔*; 桐島 陽*; 佐藤 修彰*; 佐々木 隆之*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(8), p.961 - 971, 2022/08
被引用回数:3 パーセンタイル:42.88(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所事故では核燃料と被覆管,構造材料が高温で反応し、燃料デブリが形成されたと考えられる。この燃料デブリが水の放射線分解の影響により経年変化する可能性を調べるため、模擬燃料デブリを用いて過酸化水素水溶液への浸漬試験を行った。その結果、過酸化水素の反応により、ウランが溶出し、ウラニル過酸化物が析出することが分かった。また、模擬燃料デブリ試料のうちウランとジルコニウムの酸化物固溶体を主成分とする試料では、他の試料と比較してウランの溶出は遅く、ウラニル過酸化物の析出も観測されなかった。この結果から、ウランとジルコニウムの酸化物固溶体は過酸化水素に対して安定性が高いことを明らかにした。
熊谷 友多; 日下 良二; 中田 正美; 渡邉 雅之; 秋山 大輔*; 桐島 陽*; 佐藤 修彰*; 佐々木 隆之*
放射線化学(インターネット), (113), p.61 - 64, 2022/04
東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故では燃料や被覆管、構造材料等が高温で反応して燃料デブリが形成されたとみられている。1F炉内は注水や地下水の流入で湿潤な環境にあり、放射線による水の分解が継続していると考えられ、これが燃料デブリの化学的な性状に影響する可能性がある。1F燃料デブリの組成や形状については、いまだに十分な情報が得られていないが、炉内や周辺で採取された微粒子の分析結果では、様々な組成が観測されており、事故進展における温度履歴や物質移動の複雑さを反映していると考えられる。1Fサンプルのように複雑組成の混合物については、水の放射線分解が与える影響に関する知見が乏しい。そこで、水の放射線分解の影響として想定すべき燃料デブリの性状変化を明らかにするため、模擬デブリ試料を用いてHO
水溶液への浸漬試験を行った。その結果、H
O
の反応により、模擬デブリ試料からウランが溶出し、過酸化ウラニルの形成が進むことが分かった。またUO
相の固溶体形成によるH
O
に対する安定化が観測された。これらの酸化劣化の過程は、ウラン含有相の反応性や安定性に基づいて説明できることを明らかにした。
端 邦樹
材料と環境, 70(12), p.468 - 473, 2021/12
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水中の腐食環境の評価においては、建屋内が放射線環境下にあるため、水の放射線分解(ラジオリシス)により生成する過酸化水素(HO
)等の酸化剤の影響を考慮する必要がある。ラジオリシス過程及びそれにより発生する酸化剤の生成量は水質や放射線の線質などに依って変化する。そのため、この10年間、水の放射線分解に寄与しうる様々な要因(海水成分、酸化物の表面の作用、
核種等)を対象に研究が進められてきた。本稿では、汚染水中の腐食環境のより深い理解に繋げるため、これらの要因のラジオリシス影響について解説する。
佐藤 智徳; 小松 篤史; 中野 純一*; 山本 正弘*
材料と環境, 70(12), p.457 - 461, 2021/12
福島第一原子力発電所(1F)の原子炉格納容器(PCV)は、事故後、放射線照射下で海水成分を含むような腐食環境にさらされることになった。このような環境では、溶存酸素のほかに、水の放射線分解(ラジオリシス)により過酸化水素が生成される。過酸化水素の生成量はラジオリシス解析により推測可能である。ガンマ線照射環境下での炭素鋼の腐食試験が実施された。その結果より、PCVで実施されているN2パージはガンマ線照射下での炭素鋼腐食の抑制にも効果的であることが確認された。また、実験結果をラジオリシス解析をもとに整理した。その結果、ガンマ線照射下での炭素鋼の腐食は、非照射下での酸素、過酸化水素の共存環境下での炭素鋼の腐食と同様に、酸素と過酸化水素の各拡散限界電流の和で決定されることが確認された。
熊谷 友多
放射線化学(インターネット), (107), p.77 - 78, 2019/04
過酷事故および直接地層処分における核燃料の化学変化を理解する基礎として、二酸化ウランの水溶液中での酸化的溶解反応を調べた。この反応は、使用済核燃料から発される放射線が周囲の水を分解し、過酸化水素などの酸化剤を発生されることから始まる。この酸化剤が二酸化ウランの表面を水溶性の高い6価の状態とすることで、核燃料の母材である二酸化ウランが溶解する。本研究では、この酸化と溶解の反応過程において、過酸化水素の反応が二酸化ウランの表面に反応中間体を形成する可能性を調べた。そのために、反応過程における過酸化水素濃度の減少とウラン濃度の増加を時間分解で測定した。その結果、過酸化水素を高濃度にすることで、二酸化ウラン表面での過酸化水素の分解が活性化されること、一方で反応速度が低下することが分かった。これらの結果は、二酸化ウランの表面の反応性の変化を示しており、反応中間体が表面に蓄積されることを示唆する。
熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
Journal of Physical Chemistry C, 123(15), p.9919 - 9925, 2019/04
被引用回数:23 パーセンタイル:62.05(Chemistry, Physical)ウランの酸化還元による化学的な変化は環境中のウランの動態を支配する重要な反応であり、特に4価の二酸化ウランが6価のウラニルイオンに酸化され水に溶けだす反応は使用済燃料等の環境中における化学的な安定性を評価する上で重要な反応である。この酸化による二酸化ウランの水への溶出について、二酸化ウランの過定比性の影響を調べるため、過酸化水素および線照射による反応を調べ、定比のUO
と過定比のUO
との間で反応挙動を比較した。その結果、定比のUO
は酸化還元反応に高い活性を示し、表面の酸化反応は速やかに進み、酸化反応の進展とともに徐々にウランの溶出が加速されることが観測された。一方で、過定比のUO
は反応性は低いものの、酸化反応が生じると速やかにウランが溶出することが分かった。また、過酸化水素による反応と
線照射による反応を比較した結果、ウランの溶出ダイナミクスは酸化剤の濃度に依存して変化することが分かった。そのため、使用済燃料等で想定される放射線による酸化反応を検討する場合、高濃度の酸化剤を用いた試験では、ウランの溶出反応を過小評価する可能性があることを明らかにした。
Fidalgo, A. B.*; 熊谷 友多; Jonsson, M.*
Journal of Coordination Chemistry, 71(11-13), p.1799 - 1807, 2018/07
被引用回数:34 パーセンタイル:88.65(Chemistry, Inorganic & Nuclear)二酸化ウランは水中では表面から酸化され、徐々に溶出する。放射線環境下では、水の放射線分解で生じる過酸化水素が二酸化ウランを速やかに酸化するため、溶出が促進される。この過酸化水素による二酸化ウランの酸化反応においては、過酸化水素がウランを酸化せずに分解する副反応が生じることが知られていたが、その反応スキームは分かっていなかった。そこで、この二酸化ウランと過酸化水素の反応について、ウランが酸化された後に速やかに溶出する溶液条件において、過酸化水素濃度に対する依存性を調べた。その結果、過酸化水素の濃度が高くなるにつれて、反応速度定数が下がり、ウランの溶出収率も低くなることが観測された。これは、表面に反応中間体が蓄積され、反応が阻害されたことを示唆する。本研究で用いたウランの溶出が促進される溶液条件では、酸化されたウランが表面に蓄積されることは考えにくいことから、この反応挙動の変化は表面ヒドロキシルラジカルの蓄積による現象であると推定した。
熊谷 友多; 高野 公秀; 渡邉 雅之
Journal of Nuclear Materials, 497, p.54 - 59, 2017/12
被引用回数:15 パーセンタイル:77.68(Materials Science, Multidisciplinary)ウラン・ジルコニウム酸化物固溶体[(U,Zr)O]のH
O
との反応についての理解は、(U,Zr)O
組成を持つ溶融燃料の放射線環境下での劣化を評価するためには不可欠である。そこで、(U,Zr)O
粉末試料を用いて、H
O
によるUの溶出を調べた。H
O
反応量に対するU溶出の収率を測定した結果、(U,Zr)O
のU溶出収率はUO
と比べて著しく低いことが明らかになった。そのメカニズムを調べるため、H
O
の反応によるO
の発生を測定したところ、O
発生量とH
O
消費量は1:2の比であり、H
O
の不均化反応の化学量論と一致した。この結果から、(U,Zr)O
のH
O
による酸化的溶解が抑制された理由は、不均化反応への触媒活性と考えられる。さらに、同時に行った(U,Zr)O
のラマン分光分析の結果も触媒的不均化反応を支持しており、これらの結果から、H
O
による酸化的溶解反応に対して、(U,Zr)O
はUO
よりもはるかに安定であることが明らかになった。
本岡 隆文; 上野 文義
材料と環境, 64(6), p.220 - 223, 2015/06
低線量率での塩化物水溶液中での炭素鋼の腐食挙動を、500Gy/hの線照射下で塩化物イオン濃度の異なる塩化物水溶液を用いた腐食試験により調査した。照射により腐食速度は増大し、腐食速度はある塩化物イオン濃度で極大となった。腐食増大には塩化物水溶液の放射線分解で生成する酸化性化学種が関与していた。主な酸化性化学種は酸素と過酸化水素であり、放射線下での炭素鋼の腐食は酸素と過酸化水素の拡散過程に支配されていた。腐食速度の塩化物イオン濃度依存性と酸化性化学種濃度の塩化物イオン濃度依存性には良い対応関係が認められた。
加藤 千明; 佐藤 智徳; 上野 文義; 山岸 功; 山本 正弘
材料と環境2015講演集(CD-ROM), p.83 - 86, 2015/05
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理に用いた使用済み吸着塔の局部腐食発生条件に関する基礎的検討として、ガンマ線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験を行った。ステンレス鋼の定常自然浸漬電位はガンマ線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従いその電位が上昇した。一方、ゼオライト共存系ではガンマ線照射下の電位上昇が抑制された。ガンマ線照射下におけるステンレス鋼の電位上昇機構は放射線により生じるHO
がステンレス鋼のカソード反応を活性化するためであり、ゼオライトはH
O
の生成を抑制するために電位が低下することを明らかにした。ステンレス鋼の局部腐食発生電位は、照射の有無、ゼオライトの種類や接触により大きく変化しないことから、ゼオライト共存はガンマ線照射下において定常自然浸漬電位を低下させ、局部腐食発生リスクを低減できることが期待できることを明らかにした。
佐藤 智徳; 山本 正弘; 塚田 隆; 加藤 千明
材料と環境, 64(3), p.91 - 97, 2015/03
沸騰水型軽水炉(BWR)一次冷却系の冷却水は、水質管理により高純度な水質が維持される。さらに、水の放射線分解により生成される過酸化水素が酸化剤種として存在している。そこで、このような高温水中でのステンレス鋼のさらされている腐食環境を評価するため、支持電解質を添加せず、過酸化水素のみを添加した高温純水中に浸漬させたステンレス鋼の電気化学インピーダンス測定を実施した。過酸化水素の濃度条件を変えて測定した結果、測定された電気化学インピーダンスに顕著な変化が確認された。取得した結果の等価回路解析により、溶液抵抗、分極抵抗を同定した。同定された溶液抵抗をもとに、作用極と対極間の電流線分布に関して3次元有限要素法による解析を実施し、セル定数の補正を実施した結果、導電率として4.410
S/cmが取得された。過酸化水素濃度を変化させた時の分極抵抗の変化から、分極抵抗の逆数が過酸化水素濃度の一次関数となることが示された。これは、ステンレス鋼表面の腐食電流が過酸化水素の拡散限界電流により決定されていることを示している。過酸化水素の高温水中での拡散係数の同定を実施した結果、1.5
10
cm
/sが取得された。これは沸騰水型軽水炉条件における過酸化水素の拡散係数として従来用いられた酸素の高温水中での拡散係数の約2倍となった。
山本 正弘; 中野 純一; 小松 篤史; 佐藤 智徳; 塚田 隆
Proceedings of 19th International Corrosion Congress (19th ICC) (CD-ROM), 6 Pages, 2014/11
福島第一原子力発電所事故対応において、圧力容器や格納容器の腐食が重要な課題である。現状不確定な要因としてこれらの金属の腐食に対する放射線の影響がある。そこで、線照射下でのこれらの金属の腐食試験を実施した。また、試験後の酸素や過酸化水素量も測定した。試験結果より、放射線の影響で腐食量が増加すること、また腐食と酸素や過酸化水素の量が対応していることが明らかになった。さらに、電気化学的試験より、過酸化水素の拡散係数は酸素の0.75倍であり、酸素と過酸化水素量より腐食速度が予測可能であることが分かった。
永石 隆二; 井上 将男; 日野 竜太郎; 小川 徹
Proceedings of 2014 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2014) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10
福島第一原子力発電所事故では破損した原子炉施設の冷却のために海水を使ったため、スリーマイル島原子力発電所の冷却水喪失事故とは異なり、事故後に発生した汚染水に海水成分が含まれた。これに伴い、腐食や水素発生と密接に関係する、海水の放射線分解の反応計算がいくつかのグループによって行われたが、それらは1次収量や放射線誘起反応の塩濃度依存性(塩効果)を考慮していないため、広範囲の塩濃度に対して適用できない。そこで、本研究では、1次収量の塩効果を示す定常照射実験の結果、並びに反応の塩効果を示すパルス照射実験(パルスラジオリシス)の結果をもとに、海水の希釈及び濃厚系での放射線分解挙動に関する考察を試みた。
斎藤 滋; 佐々 敏信; 梅野 誠*; 倉田 有司; 菊地 賢司; 二川 正敏
JAERI-Tech 2004-074, 41 Pages, 2004/12
原子炉で使用した燃料中のマイナーアクチニド(MA)を短寿命の核種に核変換するシステムとして、加速器駆動システム(ADS)の開発が世界各国で進められている。ADSの核破砕ターゲット及び炉心冷却材には鉛ビスマスが検討されている。機器や照射試料に付着した鉛ビスマスを効率よく除去する技術は、被曝低減や交換部品の汚染低減と言った観点から重要な開発項目である。本研究の目的は、鉛ビスマスのさまざまな洗浄方式について洗浄能力・特徴を把握し、目的に応じた方式を提案するための基礎的な知見を得ることである。3種類の洗浄試験の結果、170Cでのシリコンオイル洗浄では細部の鉛ビスマスは除去しきれず、脱脂綿等で擦る必要があった。母材への影響はほとんど見られなかった。混酸(酢酸,過酸化水素,エタノール=1:1:1)洗浄では、浸すだけでほぼ完全に鉛ビスマスは除去されたが、シリコンオイルと比べ母材表面がやや黒ずんでいるように見られた。硝酸洗浄では、浸すだけでほぼ完全に鉛ビスマスは除去されたが、F82Hの母材表面が腐食された。
半沢 正利*; 森岡 信男*; 麓 弘道*; 西村 建二*; 近沢 孝弘*
JNC TJ9400 2000-001, 112 Pages, 2000/02
本研究は、革新的技術アイデアにより経済性の高い高速炉燃料(MOX燃料)再処理プロセスを構築することを目標に、配管施工に係わるコストを大幅に削減できるパイプレスプラントの概念を導入し、且つ溶媒抽出法以外の湿式分離法も考慮した新しいプロセスの可能性を探ることを目的としている。そのため、まず、沈殿法、晶析法、イオン交換法及びパイプレスプラントについて文献調査を行い、これを基に、以下の湿式分離法を採用したプロセス要件に適合するプロセスフロー案の検討を実施した。(1)晶析+過酸化水素沈殿法プロセス(2)シュウ酸沈殿法プロセス(3)マイルドな条件の再処理法プロセス(晶析+沈殿法)(4)晶析+イオン交換法プロセス(5)晶析+溶媒抽出法プロセス上記検討プロセス及び従来プロセスについて、パイプレスプラントへの適合性、安全性、経済性、資源の有効利用性、核不拡散性及び運転・保守・補修性の観点から得失評価を行い、最も合理的なプロセスとして(1)晶析+過酸化水素沈殿法プロセスを選定した。選定プロセスについて、臨界安全評価を行うとともに物質収支図、プロセスフローダイアグラム、主要機器リスト及び移動槽・ステーションの配置概念図を作成することにより、主要物質の物流/物量、主要機器の概念/大きさ及び数量等を明らかにした。
城 昭典*
PNC TJ6614 97-001, 30 Pages, 1997/03
前年度動燃事業団人形峠事業所において、本研究で提案したプロセスで製造されたイエローケーキ中に基準値以上のチタンが混入してくることが確認されたので、本年度はチタン混入の原因究明とその改善対策を最重要目標として研究を進めた。その結果、チタン(IV)はウラン(VI)より強くメチレンホスホン酸型樹脂(RCSP)に吸着されることが明らかになった。また、RCSPに吸着されたチタン(IV)は、溶離率が30-45%程度と低いものの、ウラン(VI)と同様に炭酸ナトリウムにより溶離されることもわかった。これらの結果により、チタン(IV)とウラン(VI)の性質は類似しており、必然的にチタンがウランに混入してくることがわかった。このためチタン(IV)とウラン(VI)の分別溶離法の開発が必要不可欠であると考え、チタン(IV)が過酸化水素-EDTAと安定な三元錯体を形成することに着目して、過酸化水素-EDTA溶液によるチタン(IV)の溶離を検討し、吸着されたチタン(IV)がほぼ定量的に溶離可能であることを認めた。つぎに、ウラン(VI)とチタン(IV)の分別溶離について検討した。チタン(IV)とウラン(VI)を負荷したRCSPカラムに、酢酸ナトリウム、過酸化水素-EDTA、炭酸ナトリウム、水、塩酸の順に通液した結果、チタン(IV)は過酸化水素-EDTAにより、ウラン(IV)は炭酸ナトリウムにより選択的に溶離され、チタン(IV)とウラン(VI)が分別溶離できることがわかった。ただし、チタン(IV)とウラン(VI)の混合系では各金属の溶離率が減少した。