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Shi, W.*; 町田 昌彦; 岡本 孝司*; Luo, X.*; Feng, W.*; Liu, X.*
Reliability Engineering & System Safety, 272, Part1, p.112538_1 - 112538_18, 2026/08
深刻な原子力事故時における緊急対応の信頼性は、放射性線源分布をリアルタイムで確実に監視できるかどうかに大きく依存する。しかし、この安全機能は、監視の死角を生じさせる物理的制約や動的な放出を追跡するには静的手法が不十分であるという問題によって大きく制約されている。本研究では、線源推定の信頼性およびロバスト性を向上させるため、時間正則化を導入したLASSO回帰に基づく動的再構成フレームワークを提案する。具体的には、スライディングウィンドウ型の時間ペナルティ機構を導入し、時間ステップ間の線源変化に対して
ノルム制約を課すことで、物理的連続性を確保する。また、放射線遮蔽や時間的に変動する強度によるバイアスを補正するため、寄与行列および測定ベクトルを正規化した。検証には、内部遮蔽を有する二室モデルを用い、PHITS(モンテカルロシミュレーション)を用いて実施した結果、遠隔測定データから動的線源を高精度に再構成できることが示された。時間正則化は、空間エイリアシングを抑制し、状況認識能力を向上させる。スライディングウィンドウ幅
(正則化なし)の場合、ホットスポット位置は大きく変動し、平均絶対誤差の変動量は約
であった。一方、
では空間的一貫性が改善され、誤差変動量は
程度まで低減した。比較解析の結果、精度と計算コストのバランスの観点から
が最適であることが示された。本研究は、困難な条件下においても線源位置および強度を高精度で追跡可能とする、動的ハザード評価のためのより信頼性の高い手法を提示するものである。提案手法は、原子力施設における緊急時管理のレジリエンスと安全性を向上させる意思決定支援ツールとしての活用が期待される。
Luu, V. N.; 谷口 良徳; 宇田川 豊; 田崎 雄大; 勝山 仁哉
Annals of Nuclear Energy, 230, p.112114_1 - 112114_14, 2026/06
被引用回数:1 パーセンタイル:98.37(Nuclear Science & Technology)Fracture behavior of chromium (Cr) coated cladding under loss of coolant accident (LOCA) conditions was investigated utilizing the FEMAXI fuel performance code. Cr coating degradation models were introduced to FEMAXI to calculate oxygen diffusion behavior within the cladding tube. The FEMAXI code reasonably simulated the observed evolution of cladding metallic and oxide layers under the simulated LOCA conditions, accounting for factors such as wall thinning due to cladding high temperature creep, Cr layer thinning by Cr
O
formation and Cr/Zr interdiffusion, weight increase by oxygen absorption, associated oxide growth, and increased oxygen concentration in
-Zr phase. According to sensitivity analyses of the cladding oxygen concentration, where the effects of wall thickness change and eutectic reactions were taken into account, the fracture condition of the Cr-coated cladding samples can be reasonably modelled by the fracture criteria based on the remaining
-Zr thickness with an oxygen concentration of
0.9 wt%.
谷口 良徳; Luu, V. N.; 田崎 雄大; 宇田川 豊; 勝山 仁哉
Annals of Nuclear Energy, 231, p.112177_1 - 112177_16, 2026/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)Advanced technology fuels (ATF) with improved oxidation resistance are under development to enhance the safety of light water reactors. Cr-coated Zr alloy cladding, a promising near-term ATF, exhibits excellent oxidation resistance below the Cr-Zr eutectic temperature. However, its gradual loss of protective effect over time, even without mechanical damage, indicates the need to understand its degradation mechanisms. This article presents a phenomenological model describing degradation due to high-temperature oxidation, focusing on Zr ingress into the Cr coating and the formation of oxygen pathways that accelerate oxygen uptake into the Zr matrix. The model was validated against experimental data at 1200
C and 1300
C, reproducing key trends such as oxide growth, weight gain, and oxygen concentration profiles. Applying the same parameters to a different PVD-coated cladding test gave reasonable agreement at 1200
C, while discrepancies at 1300
C suggest Cr-Zr eutectic reactions from local temperature variations, highlighting the model's sensitivity near the eutectic point.
Batsaikhan, M.; 大場 弘則*; 狩野 貴宏; 赤岡 克昭; 若井田 育夫*; 岩田 圭弘; 坂本 寛*
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 41(4), p.1324 - 1335, 2026/04
被引用回数:0This study presents the development and application of a fiber optic laser-induced breakdown spectroscopy system designed for remote, in situ analysis of nuclear fuel debris at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (FDNPS). The system was deployed for the first time in a hot cell under high radiation to analyse an actual Boiling Water Reactors spent fuel sample as an exemplar of FDNPS fuel debris. The system successfully identified the main fuel components along with several long lived fission products and related markers such as Sr, Cs, Mo, Ba, and Rb. The emission intensity of the Ba, Rb, and Cs near the periphery region was slightly higher than at the center of the fuel. This indicates a higher concentration of these elements in that area.
O
solution熊谷 友多; 日下 良二; 高野 公秀; 渡邉 雅之
Journal of Nuclear Materials, 625, p.156553_1 - 156553_7, 2026/04
被引用回数:0U-Zr酸化物固溶体は、重大な原子炉事故時に形成される燃料デブリ中に一般的に含まれる相である。本研究では、放射線分解により生成する主要な酸化剤である過酸化水素に対するU-Zr酸化物固溶体の耐性を研究した。過酸化水素との繰り返し接触により、ウランの溶解は初期に進行するが次第に抑制され、ジルコニウムの溶解はより緩やかに進行した。ラマン分光およびX線回折により、表面の化学変化は限定的であり、ウラニル過酸化物の生成もわずかであった。表面に酸化還元活性サイトが存在するとした反応速度論モデルにより実験結果を再現した。解析の結果は反応活性サイトの表面密度は低いことを示唆した。これらの結果は、U-Zr酸化物固溶体の高い耐久性が保護被膜の形成によるものではなく、表面の酸化還元反応性の低さ自体に起因することを示唆する。
Zn
北澤 崇文; 志村 恭通*; 鬼丸 孝博*; 土田 駿*; 久保 勝規; 芳賀 芳範; 酒井 宏典; 常盤 欣文; 神戸 振作; 徳永 陽
Physical Review Research (Internet), 8(2), p.023009_1 - 023009_14, 2026/04
We investigated electron-nuclear spin entanglement in the paramagnetic ground state of the Ho-based cubic compound HoCo
Zn
. From analyses of magnetization and specific heat data, we determined the cubic crystalline electric field (CEF) parameters, the magnetic exchange constant, and the hyperfine coupling constant between the 4
magnetic moment and the
Ho nuclear spin. Our results show that the
CEF ground state is split by the hyperfine coupling, with an energy width of 1.3~K at 0~T, and that the true paramagnetic ground state is a quasi-sextet arising primarily from entanglement between the
-electron effective spin
and the
Ho nuclear spin
. We further demonstrate that, depending on the CEF parameters, the paramagnetic ground state can switch to an electron-nuclear coupled dectet. These findings underscore the importance of accurately identifying the electron-nuclear level scheme for understanding the low-temperature properties of rare-earth compounds containing spin-active nuclei.
福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2025-013, 206 Pages, 2026/03
東京電力株式会社福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和6年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点サーベイ、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。山間部モニタリングへの無人航空機の適用可能性を確認するため、山間部における無人航空機の基礎性能試験を実施した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。令和6年度調査での走行サーベイや歩行サーベイ等により取得した空間線量率分布データを階層ベイズ統計手法を用いて統合し、福島第一原発から80km圏内及び福島県内の空間線量率統合マップを作成した。令和6年度測定結果のWEBサイトでの公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析を実施した。避難指示解除区域への帰還後に想定される複数の代表的な生活行動パターンを設定し、積算の被ばく線量を算出するとともに当該地方自治体・住民に向けた説明資料を作成した。令和6年度調査や原子力規制庁等で実施した環境モニタリングの測定データの一部をCSV等の形式で保存した。モニタリング地点の重要度を相対的に評価するスコアマップを作成するとともに、過去からのスコアの変化要因について考察しモニタリング地点の重点化及び最適化のための基礎評価を実施した。海水中のトリチウム濃度の評価結果を原子力規制庁へ報告する体制を構築・運用し、ALPS処理水の海洋への放出前後のトリチウム濃度の変動に着目して解析評価した。総合モニタリング計画に基づき実施された海域モニタリングの測定結果を集約するとともに、過去からの変動などに関して解析評価を行った。
原子力科学研究所
JAEA-Review 2025-061, 183 Pages, 2026/03
原子力科学研究所(原科研)は、保安管理部、放射線管理部、工務技術部、研究炉加速器技術部、臨界ホット試験技術部、バックエンド技術部の6部及び計画管理部に加えて、先端基礎研究センター、原子力基礎工学研究センター、原子力エネルギー基盤連携センター及び物質科学研究センターで構成され、各部署は、中長期計画の達成に向け、施設管理、研究技術開発などを行ってきたが、令和6年4月1日に計画管理部を改編したプロモーション・オフィス、11月1日に研究炉加速器技術部と臨界ホット試験技術部を統合した研究基盤技術部を発足させ強力に活動を進めている。本報告書は、今後の研究開発や事業推進に資するため、令和6年度の原科研の活動(各センターでの研究開発活動を除く)並びに原科研を拠点とする廃炉環境国際共同研究センター、安全研究センター、原子力人材育成センターなどが原科研の諸施設を利用して実施した研究開発及び原子力人材育成活動の実績を記録したものである。
広田 憲亮
JAEA-Review 2025-054, 132 Pages, 2026/03
近年、カーボンニュートラル実現のため、各国で原子力発電所の運転延長や新設が議論されている。日本では、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故後、新規制基準を満たした軽水炉のみが再稼働を果たしているが、想定以上に審査に時間を要している。特に再稼働した軽水炉の多くは加圧水型軽水炉(PWR)であり、福島第一原子力発電所の炉型である沸騰水型軽水炉(BWR)の再稼働は遅れている。ところで、原子力発電所での応力腐食割れ(SCC)は、これら原子力発電所の安全性を脅かす問題であり、材料や環境条件によってその影響が異なる。特に、SUS304やSUS316等のステンレス鋼は酸化皮膜や残留応力の存在により、クラックが発生しやすい。これまでの対策として、材料組成の改良や圧縮残留応力を付与するレーザピーニング等が試みられてきたが、高温環境下で長期間圧縮残留応力を保持していられるか否かはいまだ不透明である。そこで、本研究では、SCC抑制の新たなアプローチとして、結晶粒微細化加工技術に注目し、ステンレス鋼の結晶粒微細化を可能とする創製プロセスを確立した。次に、この創製されたステンレス鋼を用いて、原子炉運転環境下でのSCCによるクラック発生に及ぼす結晶粒微細化の影響を系統的に分析し、SCC発生抑制効果について、そのメカニズムを調査した。さらに、実用的な観点で、表層部のみに結晶粒微細化プロセスを適用する方法を提案し、そのSCC抑制効果を評価した。これらの結果は、原子力発電所の長期運転時のSCC抑制に大きく貢献するとともに、シュラウド構造部材の長寿命化に重要な役割を果たす技術であると期待される。
星野 雅人; 佐々木 仁史; 堀越 秀彦*; 谷 康輔*
JAEA-Review 2025-047, 122 Pages, 2026/03
幌延深地層研究センターは、深地層研究のための地下坑道等の研究施設、またその研究内容を解説するための施設と研究者が揃っており、敷地内には、実際の人工バリアを実規模で体感できる工学研究施設もあり、高レベル放射性廃棄物の地層処分について詳しく知るための国内最高の環境を有する施設である。これらの優位性を生かし、来場する国民各層を対象として高レベル放射性廃棄物に対する漠然とした疑問、不安などの意見について、アンケート等を活用した広聴を行っている。今回、2024年4月から2025年1月までに収集したアンケート等の意見(回答者2,830人)について統計分析の結果を報告する。
松井 哲也; 下平 昌樹; 山口 義仁; 外山 健; 勝山 仁哉
JAEA-Research 2025-017, 41 Pages, 2026/03
日本原子力研究開発機構安全研究センターでは、2024年度より先進的な検査・構造健全性評価技術に関する基盤研究を進めており、その一環として超音波シミュレータによる模擬探傷画像及び機械学習を活用して超音波探傷結果診断技術を開発予定である。本研究では、そこで用いる超音波シミュレータの適用性を検証するため、シミュレータによるフェーズドアレイ超音波探傷での解析結果と実機事例を比較した。実機事例として、数少ない公開結果である2020年に報告された関西電力大飯発電所3号機加圧器スプレイライン配管溶接部における粒界割れの超音波探傷結果を比較対象とした。配管溶接部に対する入射角45
のフェーズドアレイリニアスキャンを模擬した解析において、亀裂によるコーナーエコー及び端部エコーはその亀裂の位置に正しく検出された。一方、解析において溶接金属部内に強い柱状晶伝搬エコーが検出され、その強度は柱状晶異方性の対称軸角度への依存性が高いことがわかった。また、入射角31
の場合にも強い柱状晶伝搬エコーが得られ、その柱状晶伝搬エコーは亀裂のコーナーエコーと繋がって、配管内表面における亀裂位置から溶接内部にまたがる形状であった。これは、実機事例とよく一致していることから、フェーズドアレイの入射角31
で実測された溶接内部エコーの原因としては柱状晶伝搬エコーも考えられる可能性が示唆された。
西原 健司; 福島 昌宏; 阿部 拓海; 方野 量太; Yee-Rendon, B.; 岩元 大樹; 菅原 隆徳; 大林 寛生; 斎藤 滋
JAEA-Research 2025-013, 125 Pages, 2026/03
マイナーアクチノイドの分離変換を目的とした商用加速器駆動未臨界システム(ADS)の前段階となるパイロットADSの概念設計を行った。パイロットADSの炉心出力は200MWとし、安全評価の結果、深い未臨界度と安全棒を備える設計とした。炉心設計、加速器設計、ターゲット設計、炉内機器設計を行い、具体的な概念を明らかにした。
岡本 成利; 米野 憲; 瀬谷 敦雅; 稲葉 秀樹*; 寺門 信一*; 樋口 真史*
JAEA-Data/Code 2025-022, 497 Pages, 2026/03
核燃料サイクル工学研究所のプルトニウム燃料第三開発室等のプルトニウム燃料施設の使用変更許可申請(以下「許認可」という。)において、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX: Mixed Oxide)を取り扱うグローブボックスおよび設備・機器の臨界安全設計には、様々な臨界計算コードを使用している。最も新しいものでは、SCALE4.4コードシステムに内蔵されている3次元モンテカルロ計算コードKENO-V.aおよび27群ENDF/B-IVの中性子断面積ライブラリを用いている。SCALE4.4は1998年に米国オークリッジ国立研究所(以下「ORNL」という。)によってリリースされてから、既に27年が経過している。その間も、ORNLは機能の改良等を継続的に行っており、2024年にはSCALE6.3.2がリリースされている。新規のMOX燃料施設等を設計・建設する場合は、上記のような最新知見を踏まえた臨界計算コードにより許認可を取得することが望ましいが、そのためには信頼性が十分高いことを検証することが必要である。そこで、2018年にリリースされたSCALE6.2.3のうち、臨界計算シーケンスKENO-V.aおよびKENO-VIの2バージョンについて、252群ENDF/B-VII.1中性子断面積ライブラリ(v7-252n)を用いて、過去に実施された臨界実験体系におけるベンチマーク計算を実施し、推定臨界下限増倍率を算出した。その結果、MOX燃料施設の臨界安全設計において、信頼度が十分に高い臨界計算コードとして使用できる見通しを得た。
-ray beam measurementsOmer, M.; 静間 俊行*; 小泉 光生; 平 義隆*; Zen, H.*; 大垣 英明*; 羽島 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 240, p.113467_1 - 113467_8, 2026/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)Coaxial high-purity germanium detectors are widely used in applications requiring high-resolution
-ray spectroscopy. However, the internal structure of these detectors, particularly the geometry of the inactive volumes inside the detector core, can significantly influence their performance in beam detection configurations. This study investigates the impact of detector structure on the spectral response to pencil-like
-ray beams, based on a comparison of
-ray spectra measured with two coaxial high-purity germanium detectors that have similar active volumes but distinct internal geometries. Experimental measurements were conducted at the UVSOR synchrotron facility using collimated laser Compton scattered
-ray beams with an energy of
MeV. Monte Carlo simulations using the Geant4 toolkit were performed to refine the detector models and replicate experimental results. The results reveal that the front layer thickness and the presence of structural elements such as the cold finger strongly affect the spectral features, particularly the appearance of a coincidence sum peak of the annihilation radiation at 1.022 MeV. Off-axis irradiation significantly improves the detection efficiency and reduces undesired induced interactions within inactive volumes. Additionally, the observed pair production signatures are validated through the available theoretical cross section data, confirming the dominant role of internal structures in shaping the detector response under beam geometry. These findings are essential for optimizing detector configurations in precision
-ray beam experiments. This work is a contribution of the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) to the International Atomic Energy Agency (IAEA) under the agreement of the coordinated research program (CRP), J02015 (Facilitation of Safe and Secure Trade Using Nuclear Detection Technology - Detection of RN and Other Contraband). A part of this work was conducted at the BL1U of UVSOR Synchrotron Facility, Institute for Molecular Science (IMS program 23IMS6602).
河津 諒平
JAEA-Technology 2025-014, 48 Pages, 2026/02
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という。)では、日本における原子力の総合研究開発機関として原子力に係わる様々な分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。原子力機構のスーパーコンピュータシステムHPE SGI8600(以下、「大型計算機システム」という。)はデジタルツイン、機械学習、ビックデータ処理等の技術進展を背景に高まっている計算需要に応える重要インフラとして令和2年12月に導入したものであり、原子力機構の研究開発の推進において欠くことのできないものとなっている。大型計算機システムにおけるプログラムの実行タスク(以下、「ジョブ運用」という。)を効率化することは、計算資源の効率的な利用、すなわち、研究開発の効率化において有用である。ジョブ運用の効率化に向け、プログラム実行の待機時間(以下、「ジョブ待機時間」という。)を調査することにより、運用開始段階では分かれていたジョブの実行リストを管理するクラス(以下、「キュークラス」という。)の統合を行えばジョブ待機時間が改善され、運用が効率化されると推定された。そのことから、キュークラスの統合を令和4年度より施行することとした。本報告書では、ジョブ運用の効率化のために行った大型計算機システムの利用情報の分析からキュークラス統合までの流れ、キュークラス統合前後のジョブ待機時間の変化について報告する。
宇佐美 博士; 伊藤 倫太郎; 眞田 幸尚
JAEA-Review 2025-050, 57 Pages, 2026/02
東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置は、長期にわたるプロジェクトであり、このようなプロジェクトを遂行していくには、今後の廃止措置を担う若い技術者や研究者の育成が必要かつ喫緊の課題となっている。この課題に対し、福島廃炉安全工学研究所廃炉環境国際共同研究センターでは、廃炉研究に取り組んでいる学生のための「次世代イニシアティブ廃炉技術カンファレンス(Conference for R&D Initiative on Nuclear Decommissioning Technology by the Next Generation: NDEC)」を2016年から継続的に開催してきている。NDECは、人材育成と若手研究者ネットワーク形成を目的とした学生の研究成果発表の場であり、廃止措置に関係する若者が互いに成果を発表し、切磋琢磨することで研究活動に対するモチベーションを高めることを目的として実施している。第10回目となるNDEC-10を、2025年2月26日(水)-27日(木)の2日間にわたり、福井県敦賀市の文化交流センター「プラザ萬象」で開催した。本報告集は、これらの発表内容をまとめ、NDECの活動を広く周知するために公開するものである。
Ji, Y.-Y.*; Ji, W.*; Kim, K.*; Kim, M. J.*; 越智 康太郎; 森下 祐樹; 眞田 幸尚
Radiation Physics and Chemistry, 244, p.113781_1 - 113781_12, 2026/02
被引用回数:0UAVによる空中
線スペクトロメトリは迅速な放射線マッピングを可能にするが、飛行高度による減衰、視野効果、汚染の不均一性、地形条件により地上線量率の定量評価は難しい。本研究では福島第一原子力発電所周辺でホバリング飛行による校正と地上測定を組み合わせた実用的手法を開発した。二重指数モデルで高度補正係数を導出し、三脚およびバックパック測定と比較した結果、不均一サイトでの補正は系統誤差を生むが、均一サイトでの校正により一致が改善された。適切な補正を用いれば、UAV空中測定は信頼できる線量率分布評価が可能である。
中嶋 瞭太; 酒井 達弥; 谷 陸; 半田 雄一; 砂押 瑞穂*; 井上 秀毅*; 山田 悟志; 清水 修
JAEA-Technology 2025-012, 39 Pages, 2026/01
再処理特別研究棟は1996年から廃止措置に移行し、施設内の設備・機器の解体作業を実施してきた。2022年10月からのグローブボックス等の解体撤去作業では、埋設施設へ処分する際に要求される技術上の基準に適合する廃棄体を作製することを目的として、「解体物分別マニュアル」を作成し、発生した解体廃棄物の分別・仕分け作業を実施した。本報告は、「解体物分別マニュアル」に従い実施したグローブボックス等の解体撤去作業で発生した解体廃棄物の分別・仕分けの結果及び得られた知見についてまとめたものである。
システム計算科学センター 高性能計算技術利用推進室
JAEA-Review 2025-044, 140 Pages, 2026/01
日本原子力研究開発機構では、原子力の総合的研究開発機関として原子力に係わるさまざまな分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。日本原子力研究開発機構における計算科学技術を活用した研究開発の論文発表は、過去十数年にわたり、毎年度、全体の約2割を占めている。大型計算機システムはこの計算科学技術を支える重要なインフラとなっている。大型計算機システムは、第4期中長期計画にて重点化して取り組むとされた「安全性向上等の革新的技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献」、「原子力科学技術に係る多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出」、「東京電力福島第一原子力発電所事故の対処に係わる研究開発の推進」、「高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する技術開発の着実な実施」、「原子力安全規制行政及び原子力防災に対する支援とそのための安全研究の推進」等の研究開発活動に利用された。本報告は、令和6年度における大型計算機システムを利用した研究開発の成果を中心に、それを支える利用支援、利用実績、システムの概要等をまとめたものである。
丸山 修平; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(1), p.31 - 44, 2026/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)This study proposes new hybrid data assimilation (DA) methods to effectively use experimental data represented in two different ways in the DA process for reducing nuclear-data-induced uncertainties. Conventional DA methods often assume a linear model, where data in a DA database are represented by their differential coefficients, i.e., nuclear data sensitivity coefficients. In contrast, more rigorous and versatile DA methods based on sampling techniques have been proposed recently. These sampling-based DA methods describe data for DA using results derived from direct transport calculations performed with perturbed nuclear data samples. The proposed hybrid DA methods simultaneously use both types of data described by sensitivity coefficients and sampling results and thus are called "hybrid." Two hybrid DA methods are proposed herein: the simple hybrid DA and efficient hybrid DA methods. Among these, the simple method is based on a straightforward concept that uses a random sampling technique. In contrast, the efficient method employs a more technical method that effectively combines a new deterministic sampling technique with sensitivity coefficients to reduce statistical uncertainties associated with the simple method. The efficient method is expected to be a candidate to achieve high precision and rigorous DA with a realistic sample size.