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Brumm, S.*; Gabrielli, F.*; Sanchez Espinoza, V.*; Stakhanova, A.*; Groudev, P.*; Petrova, P.*; Vryashkova, P.*; Ou, P.*; Zhang, W.*; Malkhasyan, A.*; et al.
Annals of Nuclear Energy, 211, p.110962_1 - 110962_16, 2025/02
被引用回数:0The completed Horizon-2020 project on "Management and Uncertainties of Severe Accidents (MUSA)" has reviewed uncertainty sources and Uncertainty Quantification methodology for the purpose of assessing Severe Accidents (SA). The key motivation of the project has been to bring the advantages of the Best Estimate Plus Uncertainty approach to the field of Severe Accident. The applications brought together a large group of participants that set out to apply uncertainty analysis (UA) within their field of SA modelling expertise, in particular reactor types, but also SA code used (ASTEC, MELCOR, etc.), uncertainty quantification tools used (DAKOTA, RAVEN, etc.), detailed accident scenarios, and in some cases SAM actions. This paper synthesizes the reactor-application work at the end of the project. Analyses of 23 partners are sorted into different categories, depending on whether their main goal is/are (i) uncertainty bands of simulation results; (ii) the understanding of dominating uncertainties in specific sub-models of the SA code; (iii) improving the understanding of specific accident scenarios, with or without the application of SAM actions; or, (iv) a demonstration of the tools used and developed, and of the capability to carry out an uncertainty analysis in the presence of the challenges faced. The partners' experiences made during the project have been evaluated and are presented as good practice recommendations. The paper ends with conclusions on the level of readiness of UA in SA modelling, on the determination of governing uncertainties, and on the analysis of SAM actions.
寺阪 祐太; 佐藤 優樹; 古田 禄大*; 久保 信*; 一場 雄太*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1070(2), p.170021_1 - 170021_9, 2025/01
We have developed a method to directly detect Sr/Y under a high gamma ray background using a liquid light guide Cherenkov counter. Cherenkov radiation has the characteristic that the angle of radiation varies depending on the energy of the charged particles. Using this feature, we have developed a surface contamination detector capable of discriminating between 662 keV gamma rays from Cs and beta rays from Sr/Y through time-of-flight analysis of the Cherenkov radiation generated inside the liquid light guide. With this detector, we conducted a measurement test of Sr/Y inside the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Unit 3 reactor building and achieved the first in-situ detection of Sr/Y under a high gamma-ray background.
高橋 嘉夫*; 山口 瑛子; 蓬田 匠
Treatise on Geochemistry, 3rd edition, Vol.6, 46 Pages, 2025/00
放射性核種の環境地球化学は、近年の測定技術などの発展に伴い、さまざまな研究対象へ新しいアプローチが展開されている。本レビュー論文では、放射性核種の環境地球化学分野における過去1015年間のいくつかのトピックについて議論した。特に、2011年の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性核種の移行に関する研究、X線吸収微細構造分光法の開発と放射性核種の地球化学過程への応用の2つのトピックを中心に取り上げて概説している。
郡司 智; 荒木 祥平; 井澤 一彦; 須山 賢也
Annals of Nuclear Energy, 209, p.110783_1 - 110783_7, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)燃料デブリの組成や性状は不確実であるため、臨界安全性評価に使用される計算コードや核データを検証するには臨界実験が必要である。このため、原子力機構は、臨界集合体STACYの改造を行っている。STACY更新炉の初臨界は2024年春に予定されている。本稿では、STACY更新炉の初臨界時の基本炉心構成仕様の特性について事前解析の結果を報告する。初臨界時には中性子減速条件の異なる2種類の格子板(格子間隔は1.50cmと1.27cm)を用意される。一方で、利用可能なUO燃料棒の数には制限がある。これらの実験的制約を満たす最初の臨界のための炉心構成は、計算解析によって設計された。最適減速条件に近い1.50cmピッチの格子板を備えた円柱形の炉心構成では、臨界に達するには253本の燃料棒が必要となる。1.27cmピッチの格子板については、ピッチを2倍にして2.54cmピッチの炉心構成を検討した。この場合、臨界に達するには213本の燃料棒が必要となる。さらに、燃料デブリの様態をシミュレートするために、鉄またはコンクリート模擬棒を使用した実験炉心構成についても検討した。本稿では、これらの炉心構成と炉心特性の解析結果を示す。
三浦 泰人*; 宮本 慎太郎*; 丸山 一平*; Aili, A.*; 佐藤 拓未; 永江 勇二; 五十嵐 豪*
Case Studies in Construction Materials, 21, p.e03571_1 - e03571_14, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Construction & Building Technology)In this study, the expansion behavior of cement materials after high-temperature heating and water immersion was observed experimentally. Two experiments were conducted using mortar specimens with different sand-to-cement ratios subjected to different high-temperature histories up to 1000C. In Case 1, the specimens were immersed in water after high-temperature heating and then cooled naturally; in Case 2, the specimens were immersed in water at high temperatures without the cooling process. Based on the results, it was confirmed that lime expansion due to the rehydration of CaO by heating occurred in Case 1. In contrast, dynamic continuous explosive spalling occurred in Case 2 because of water penetration into the specimen at a high temperature. The explosive spalling in water observed in Case 2 is a phenomenon that has not been reported to date. Possible failure mechanisms for lime expansion and continuous expansive spalling in water are suggested.
佐久間 一幸; 操上 広志; Wainwright, Haruko*; 谷森 奏一郎*; 長尾 郁弥; 越智 康太郎; 眞田 幸尚; 斎藤 公明
Journal of Environmental Radioactivity, 280, p.107554_1 - 107554_11, 2024/12
被引用回数:0本研究では航空機サーベイ、走行サーベイ、歩行サーベイ、定点サーベイといった複数タイプの測定結果を用いて、2011年から2022年を対象に福島地区の空間線量率統合マップを作成した。福島内の避難指示解除区域を考慮しつつ、Wainwright et al. (2017, 2019)で開発されたベイズ地球統計学手法を福島第一原子力発電所から80km圏内及び福島県全域へ適用した。統合マップは森林域の空間線量率の過小評価を修正し、既往の研究に比べ、より広範かつ複数年を対象に再現性の高いマップを作成することができた。本研究の結果は一般公衆への詳細な被ばく評価に使われることが期待される。
廃炉環境国際共同研究センター; 東海国立大学機構*
JAEA-Review 2024-027, 77 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「無線UWBとカメラ画像分析を組合せたリアルタイム3D位置測位・組込システムの開発・評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、原子炉建屋内の空間線量計測における人やロボットによる10㎝精度未満での簡易リアルタイム3D位置測位を目標とし、最新普及技術である『無線UWB(Ultra Width Band)』と『複数カメラ物体認識』の2種類を組合せた組込システムの実現を目指している。その中で、岐阜大学・福島高専グループがカメラ撮影機能・カメラ分析機能・無線通信機能を有する組込装置を開発し、それら複数装置用いて、カメラ画像群の分析に基づくリアルタイム3D位置測位の実現を目指す。東京大学・LocationMind(株)グループが、UWBリアルタイム位置測位技術の原子炉建屋内へ適用を行い、安定性向上技術の開発を試みる。なお、名古屋大学グループが電磁波吸収材料を使用し、ハード面からの無線UWB安定化の検証を担当する。そして耐放射線評価は、原科研グループ・福島高専グループが協力して行う。
廃炉環境国際共同研究センター; 横浜国立大学*
JAEA-Review 2024-024, 88 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「障害物等による劣悪環境下でも通信可能なパッシブ無線通信方式の開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、上記無線通信システム実現のための基地局とセンサノード、センサ位置特定アルゴリズム、電磁波遮蔽領域に対する無線エリア形成手法を開発した。基地局アンテナとしては、ダウンリンクに2.45GHz、アップリンクに2倍高調波である4.9GHzを用いる基地局アンテナを開発した。またこれに対応するセンサノードを開発した。また開発した回路およびアンテナが放射線の影響を受けずに動作することを確認した。センサ位置特定アルゴリズムに関する研究としては、原子炉建屋内など対象エリア内のロボットや作業者の位置を可視化および座標化するための多重波電波トモグラフィー法を計算機シミュレーションにより開発し、単純な実験室環境での測定による動作確認を行った。また高分解能測定系構築と信号処理手法として、伝搬特性の類似した到来波同士をクラスタ化する手法を開発し、求められたクラスタから電波伝搬メカニズムを同定し、多重波経路を求める手法を構築した。電磁波遮蔽領域に対する無線エリア形成手法に関する研究として、原子炉格納容器内のような電波遮蔽領域に対してペネトレーションを無線リンク確立手段とした導波路およびアンテナ素子を開発した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-021, 126 Pages, 2024/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「ジオポリマー等によるPCV下部の止水・補修及び安定化に関する研究」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、PCV底部の止水及び補修を目的として、改良したジオポリマーや超重泥水によりジェットデフレクター等を止水し、併せてドライウェル下部を補修する施工法を提案する。また、堆積状況など未解明な状況にある現場施工の選択肢を増やすため、止水・補修材の対象部位周辺への局所的施工のみならず、ペデスタル外の広範囲にわたる施工についても検討し、最新の熱流動シミュレーション法により、工法実現性を評価する。広範囲に施工する場合には、ペデスタル外に流出した燃料デブリや堆積物は止水・補修材で被覆されて廃棄体となる。このため、燃料デブリの成層化状態等性状を実験及び解析により把握した上で、廃棄体を安定化する方策を検討するとともに、核種浸出性を含めた廃棄体の長期寿命を評価する。
結城 光平*; 堀口 直樹; 吉田 啓之; 結城 和久*
Proceedings of 31st International Conference on Nuclear Engineering (ICONE31) (Internet), 4 Pages, 2024/11
福島第一原子力発電所の燃料デブリは浸漬状態で冷却されている。しかし、予期せぬ水位低下が発生した場合、冷却水が多孔質構造を持つ高温の燃料デブリに接触する。このような場合、燃料デブリを早急に冷やす必要があるが、固液接触時の毛細管現象といった熱挙動は不明である。本論文では、基礎研究として、1mm以下の小孔を有する金属多孔体に接触した後の液滴蒸発特性を評価した。実験では、液滴のライフタイム曲線を得るために、孔径1, 40, 100umのブロンズまたはステンレス多孔体を用いた。実験結果から、発生した蒸気が小孔から排出されることで、多孔質体表面ではライデンフロスト現象が抑制されることがわかった。さらに、ブロンズ多孔質体では多孔質体の温度上昇と共に毛細管現象が観察され、これは微細な構造を持つ酸化膜が生成されたためであった。一方、ステンレス多孔体では低い濡れ性のため、毛細管現象は起こらず、液滴が小孔に吸い込まれて広がることはなかった。このことから、燃料デブリがステンレス多孔体と同じ特性を持つ場合には、毛細管現象による急冷を期待できないことが示された。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-026, 80 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和元年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和4年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、Feと錯形成能を有するシデロフォアであるdesferrioxamine (DFO)あるいは代替物とFe、Uの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路を用いた溶解試験、Fe酸化物への収着へのシデロフォアなどの影響、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。更に、模擬デブリの劣化を時間の関数として表すモデルを作成し、計算を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 自然科学研究機構*
JAEA-Review 2024-025, 33 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、中赤外レーザーを用いたキャビティリングダウン計測システムによる「濃度60Bq/ccレベル」トリチウム水短時間計測の原理実証を成果目的とする。令和3年度は、上記目標を達成するため(1)キャビティリングダウン装置に関する研究及び(2)環境条件下における水素同位体組成評価と標準試料作製(再委託先:弘前大学)を行った。核融合科学研究所の計測実験棟2F実験室に光学ベンチを用意し、ガスセル中に充填した重水の中赤外光源を用いた吸収分光計測に成功した。次にキャビティリングダウン計測必須なレーザー光源を開発した。キャビティリングダウン計測において、光源性能は計測精度に支配的であるため、波長4.0m帯の量子カスケードレーザーを光増幅器等で出力を向上させた。波長4.0m帯の量子カスケードレーザーを独自開発の光増幅器によって、レーザー出力を200mWから870mWへ向上させた。(2)においては、複数の試薬会社より市販されている重水標準溶液を利用して水素同位体標準溶液作製を進めるとともに、安定水素同位体比及びトリチウム濃度を決定した。加えて、市販の重水試薬を用いて、約100Bq/Lの標準試料を作製した。次に、これまでに開発を進めてきたトリチウム測定用高時間分解能大気水蒸気捕集装置を用いて、実験室内だけでなく屋外の大気水蒸気捕集を行い、水素同位体比存在量(H/D)を求めた。
廃炉環境国際共同研究センター; 京都大学*
JAEA-Review 2024-023, 78 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和4年度に採択された研究課題のうち、「高放射線耐性の低照度用太陽電池を利用した放射線場マッピング観測システム開発」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、自立・遠隔で駆動するセンサーを応用した放射線場マッピングが可能なシステムを開発することで、PCV内の放射線情報を網羅的かつリアルタイムで取得し、非常に透過性が高く事故の要因となりえるガンマ線や中性子などの漏洩監視により作業員や住民に対する安全性を担保可能なシステムを実環境に実装するための実証研究を行うものである。太陽電池型線量計は、宇宙用太陽電池として開発されてきた高放射線耐性を有する半導体素子を利用した自立駆動形の省電力・小型センサーとして開発を進めており、PCVへの適応可能性について議論してきた。CIGS太陽電池型線量計をベースとして1F実装に向けた素子の高機能化及びシステム化が必要となる。高機能化として、さらなる難アクセス箇所への探索を目指したフレキシブルシート化、マッピングモニタリングシステム開発基盤となる多接続化及び再臨界事故評価システム開発に向けたガンマ線・中性子検出構造の最適化を実施している。令和4年度では、CIGS太陽電池素子構造をベースとしたフレキシル素子の作製設備の整備及びガラス基板CIGS素子を用いた試作機による初期特性をガンマ線、電子線及び中性子線照射試験により解明する。中性子検出構造においては、変換材料のホウ素を塗布による成膜を検討しており、粉末材料粒径の調製条件の解明や、塗布法及び溶剤条件に関する選定を行う。
横山 賢治; 羽様 平; 谷中 裕; 大木 繁夫
JAEA-Data/Code 2024-007, 41 Pages, 2024/10
汎用炉心解析システムMARBLEの第3版であるMARBLE3を開発した。MARBLEの開発ではオブジェクト指向スクリプト言語Pythonを用いており、これまでの開発ではPythonバージョン2(Python2)を用いていたが、Pythonのバージョンアップの後方非互換性の問題により、Pythonの最新版であるPythonバージョン3(Python3)では、MARBLEを動作させることができなくなっていた。このため、MARBLE3の開発では全面的に改修を行って、Python3で動作するように整備した。また、MARBLE3では、新しく開発された解析コードのカプセル化や新しく提案された計算手法等の組み込みを行うとともに、メンテナンス性や拡張性、柔軟性の観点からユーザインターフェースの拡張やソルバーの再実装等を行った。MARBLE3では、新規に開発された3次元六角/三角体系輸送計算コードMINISTRIVer.7(MINISTRI7)と3次元六角/三角体系拡散計算コードD-MINISTRIを利用できるように整備した。これらのコードは、MARBLEのサブシステムである核特性解析システムSCHEMEや高速炉燃焼解析システムOPRHEUSで利用できる。また、MARBLEに組み込まれている炉心解析システムCBGのユーザインターフェースを拡張して、CBGの2次元RZ体系の拡散計算ソルバーや輸送計算ソルバーをSCHEME上で利用できるように整備した。一方、計算手法についても改良を加えた。MARBLE3では、チェビシェフ有理関数近似法に基づく燃焼計算手法の改良に関する論文やミニマックス多項式近似法に基づく燃焼計算手法に関する論文で提案された計算手法を利用できるように、燃焼計算ソルバーの機能拡張を行った。また、メンテナンス性の観点から、MARBLE2で導入された一点炉動特性ソルバーPOINTKINETICSを廃止して、MARBLE3ではKINETICSソルバーとして新たに整備し直した。
佐藤 優樹
Applied Radiation and Isotopes, 212, p.111421_1 - 111421_8, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Inorganic & Nuclear)At the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, radiation sources released in the accident were deposited on various equipment and building structures. During decommissioning, it is crucial to understand the distribution of radiation sources and ambient dose equivalent rates to reduce worker exposure and implement detailed work planning. In this study, the author introduces a method for visualizing radiation sources, estimates their radioactivity using a Compton camera, and derives the dose rate around the radiation sources. In the demonstration test, the Compton camera was used to visualize radioactive hotspots caused by Cs radiation sources deposited in the outdoor environment and estimated the radioactivity. Furthermore, the dose rate around the hotspots was calculated from the estimated radioactivity, which confirmed that the calculated dose rate correlated with the dose rate measured using a survey meter. This approach is novel, where a series of analyses were conducted using the Compton camera to visualize radioactive hotspots, estimate the radioactivity, and derive the dose rate in the surrounding environment.
山田 進; 町田 昌彦; 谷村 直樹*
EPJ Web of Conferences, 302, p.16004_1 - 16004_10, 2024/10
原子炉建屋の廃炉を安全に行うためには、放射線源の分布を知ることが重要である。適切な位置で観測された空間線量値が用意できれば、LASSOを用いることで線源の分布を推定できることが報告されている。しかしながら、事前に適切な観測点の位置を知ることは難しい。そこで、LASSOによって推定した線源分布の事前分布からベイジアンLASSOを用いて事後分布を求め、その事後分布から追加する観測点の候補位置における空間線量値の予測分布を評価し、この予測分布の分散に基づいて追加する観測点位置を決定する方法を提案した。この方法を用いることで、多くのケースにおいて、ランダムで観測点を追加するよりも少ない観測点の追加で線源を推定できることが確認できた。
Vauchy, R.; 廣岡 瞬; 堀井 雄太; 小笠原 誠洋*; 砂押 剛雄*; 山田 忠久*; 田村 哲也*; 村上 龍敏
Journal of Nuclear Materials, 599, p.155233_1 - 155233_11, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)UPuO (y=0.30および0.45)およびPuOにおける蛍石の溶出/再結合は、示差走査熱量測定を使用して調査された。結果は、プルトニアを除いて、文献データと比較的よく一致している。我々の値は、Pu-Oの混和ギャップの臨界温度が以前に報告されたものより3050K低いことを示している。最後に、体系的な実験手順により、低化学量論的U0PuO、UPuO、およびPuO二酸化物に存在するソルバスの軌跡を精密化することができた。
田崎 雄大; 成川 隆文; 宇田川 豊
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(10), p.1349 - 1359, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)This study developed a probabilistic determination model with respect to cladding high-temperature burst conditions based on the Bayesian statistical method to reasonably evaluate fuel behaviors under loss-of-coolant accident conditions, including fuel fragmentation, relocation, and dispersal. The candidate models were based on the widely accepted empirical model established based on nonirradiated fuel cladding data. Explanatory variables were added to improve the applicability of these models with respect to irradiated materials and generalization performance. The posterior predictive distribution of each candidate model was evaluated using Bayesian estimation comprising 238 sets of high-temperature burst test data. The generalization performance was evaluated using information criteria. The results of model evaluation showed improved predictive performance by considering the effect of hydrogen content. A comparison with burnup as an alternative explanatory variable confirmed that hydrogen content was the better parameter and other burnup-associated effects, such as irradiation hardening of the metal matrix and oxide growth (reduction of the metal matrix), were less dominant under burst conditions.
寺田 敦彦; 永石 隆二
Nuclear Technology, 210(10), p.1871 - 1887, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)表面の平滑なガラスビーズ層と細孔を有する真砂土層中に漏洩した水素の拡散挙動について、CFDによる実験結果の照合解析を行い、流れの特性を明らかにした。ガラスビーズ層と真砂土層において、漏洩点からの表層(空気層と粒子層の境界面)までの濃度の広がり方は同様な傾向を示すが、真砂土層の方が表層面近傍での空気層中の水素濃度は低下する傾向がみられた。真砂土層中の拡散挙動シミュレーションでは、透気係数や拡散係数の感度が実験結果の再現性に影響することが示唆された。また、空気層中に流出した水素の滞留を抑制する簡易な自然換気プロセスの検証を試計算し、見通しを示した。
中島 慎介*; Moro, A.*; 小松 廉*; Faragasso, A.*; 松日楽 信人*; Woo, H.*; 川端 邦明; 山下 淳*; 淺間 一*
Proceedings of International Topical Workshop on Fukushima-Daiichi Decommissioning Research 2024 (FDR2024) (Internet), 4 Pages, 2024/10
Fuel debris retrieval at the bottom of the primary containment vessel (PCV) is one of the significant tasks for the decommissioning of the nuclear power plant and in particular for 1F. It is challenging for conventional manipulators to perform the retrieval process due to the presence of radiation, water leakage, and poor lighting conditions. We tackle those problems with the design and fabrication of a novel mechanical manipulator and its control and navigation algorithm. Continuous Variable Transmission (CVT)-based actuation improves the robot's shock resistance. AI-based navigation algorithm enables semiautonomous navigation and grasping in the cluttered environment inside the PCV.