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佐藤 里奈; 吉村 和也; 眞田 幸尚; 三上 智; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 金井塚 清一*; 佐藤 哲朗*; 森 翼*; 高木 毬衣*
Environmental Science & Technology, 194, p.109148_1 - 109148_8, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)周辺線量当量による個人の外部被ばく線量評価は、個人線量計が適用できない、予測的及び遡及的な評価に用いられる。しかし、様々なパラメータを用いるため個人線量測定による評価よりも誤差を含む傾向がある。そこで本研究では、周辺線量当量から個人の外部被ばく線量を精度良く評価するため、生活パターンと、建物や乗り物による遮蔽効果を考慮して実効線量を評価するモデルを作成した。モデルパラメータは、2020から2021年に福島第一原子力発電所の被災地域で測定した屋内外の環境放射線のロバストなデータセットを基に評価した。モデルの精度は、2020年に福島県内で測定した106人日の個人線量と比較し評価した。モデルによる推定実効線量は、実測個人線量をよく表し、モデルが個人線量計と同様に個人の被ばく線量推計に活用できることが示された。さらに、このモデルは、環境放射線データを用いることで、個人の被ばく線量を予測的及び遡及的に精度良く評価でき、放射線防護に有用なツールである。
涌井 隆; 斎藤 滋; 二川 正敏
Materials, 17(23), p.5925_1 - 5925_14, 2024/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)照射された材料の延性特性は、その構造的完全性に関連する重要な指標の1つである。これらの特性は、通常、照射環境下で照射された材料に引張試験を実施することによって決定される。押込み試験は、延性特性を簡単かつ迅速に評価するために使用され、Swift型の材料構成方程式の定数は、カルマンフィルターを使用した逆解析によって同定された。胴体された定数を用いて数値引張実験を実施し、公称応力およびひずみ曲線を取得した。さらに、全伸びを評価するための2つの方法を提案した。2つの方法で評価された最小全伸びはともに10%となった。イオン照射された材料の評価結果は、照射された材料の引張試験結果と同様の結果が得られた。
守田 圭介; 青木 健; 清水 厚志; 佐藤 博之
Proceedings of 31st International Conference on Nuclear Engineering (ICONE31) (Internet), 6 Pages, 2024/11
High temperature gas-cooled reactor (HTGR) is expected to use nuclear heat to wide range of industrial applications such as hydrogen production, which is capable of high temperature heat supply with inherent safe characteristics. JAEA started a High Temperature engineering Test Reactor (HTTR) heat application test project to develop coupling technologies between HTGR and a hydrogen production plant necessary to achieve large-scale, carbon-free hydrogen production. One of the key technologies is a safety evaluation method which can simulate an impact of explosion hazards induced in the hydrogen production plant on reactor facility because HTGR hydrogen production system contains large amount of combustible gases such as hydrogen. A computational fluid dynamics code FLACS has been sufficiently validated for dispersion and explosion of combustible gases such as hydrogen and methane worldwide, however, only few attempts have been made for validation of analysis in closed area with small space. A leak of combustible gases to the piping in HTGR hydrogen production system may occur in case of abnormal condition in hydrogen production plant and therefore an explosion in the piping must be considered. This paper describes the validation of FLACS by analyzing explosion experiments in straight piping and complex piping aiming to establish a safety evaluation method for analyzing explosions of combustible gases in piping.
青柳 和平; 尾崎 裕介; 田村 友識; 石井 英一
Proceedings of 4th International Conference on Coupled Processes in Fractured Geological Media; Observation, Modeling, and Application (CouFrac2024) (Internet), 10 Pages, 2024/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分場建設時に空洞周辺に生じる掘削損傷領域が放射性核種の選択的移行経路になりうることから、掘削損傷領域の評価が重要となる。過去の研究では、割れ目に作用する平均有効応力を引張強度で除した、Ductility Index(DI)というパラメータにより透水性を評価できる可能性があることが示されている。本研究では、幌延深地層研究センターの350m調査坑道を対象として坑道周辺のDIの分布を検討することで、掘削損傷領域の透水量係数を予測した結果、水理試験により得られた結果を内包する予測結果を得た。さらに、これから建設が予定されている500m調査坑道を対象としてDIに基づき掘削損傷領域の透水量係数を予測した。結果として、500m調査坑道では、350m調査坑道と比較して掘削損傷領域に生じる割れ目の透水量係数が1桁程度小さいことが確認された。これは、深度500mは、深度350mと比較して地圧状態が高いことにより割れ目が閉塞されやすいことを反映したものであると考えられる。
Plaais, A.*; Bouly, F.*; Froidefond, E.*; Lagniel, J.-M.*; Normand, G.*; Orduz, A. K.*; Yee-Rendon, B.; De Keukeleere, L.*; Van De Walle, J.*
Proceedings of 32nd Linear Accelerator Conference (LINAC 2024) (Internet), p.563 - 568, 2024/10
高出力粒子加速器にとって信頼性は重要である。特に加速器駆動システム(ADS)では、ビームの停止が原子炉の稼働率に大きく影響し、停止の多くは、加速空洞やその関連システムの損失に起因する。空洞に起因するビーム停止は、リニアックの他の空洞を再調整することで補償できる。しかし、理想的な補償設定を見つけることは、ビームダイナミクスと多目的最適化を伴う難しい課題であり、対象のリニアックによって大きく異なる問題が生じる。SPIRAL2リニアックでは、多くの空洞が補償のために動員され、探索空間は非常に多くの次元を持ち、ビーム進行方向の許容マージンがかなり低い。MYRRHAやJAEAで検討を進めているADS用リニアックには、最適化を容易にする特定の耐故障設計を適用しているものの、空洞は数秒で再調整する必要がある。そこで我々は、任意のリニアックのすべての空洞障害に対する補償設定を自動的かつ体系的に見つけるツールであるLightWinを開発した。本研究では、LightWinの最新の開発状況と、SPIRAL2とADSリニアック用に開発した補償戦略について、ビームダイナミクスと数学的な観点から紹介する。
竹田 武司; 柴田 大受
JAEA-Review 2024-040, 29 Pages, 2024/09
日本の第6次エネルギー基本計画では、2050年までのカーボンニュートラルを目指したエネルギー政策の道筋を示すことが重要なテーマとなっている。2030年に向けた日本の原子力研究開発(R&D)への政策対応には、国際連携による2030年までの小型モジュール炉(SMR)技術の実証が盛り込まれている。これを踏まえ、脱炭素化と経済成長を同時に達成するGreen Transformation (GX)の実現に向けて、今後10年を見据えた取組の基本方針が取りまとめられた。海外に目を向けると、米国、カナダ、欧州、中国、ロシアを中心に、重工メーカーやR&D機関のみならずベンチャー企業も含めて、国際的にSMRのR&D活動が活発である。このような状況下で、原子力機関(NEA)の原子力施設安全委員会(CSNI)は、SMRの安全性への影響評価を支援するために、SMRに関する専門家グループ(EGSMR)を招集した。EGSMRの取組として、SMRの導入や研究活動に関する最新情報の収集を主目的とした数回にわたるアンケートへの回答の提出が求められた。これに対して、筆頭著者から、JAEAに加えて日立GEニュークリア・エナジー株式会社、三菱重工業株式会社からの情報に基づき回答した。アンケートに対する日本の回答の多くは、CSNI Technical Opinion Paper No.21 (TOP-21)のベースとなる情報である。本報告書では、整理した公開可能な日本のアンケート回答と付加情報を示し、TOP-21の記載内容の一部を補完した。これにより、EGSMRの活動(2022-2023年)を中心とした日本におけるSMRに関するR&Dの調査結果をまとめた。本報告書は、SMRに関する今後の国際協力の議論や国内外の原子力分野の人材育成に役立てることを目的としている。この中で、日本の革新炉のR&Dの主なトピックスとして、高温ガス炉(HTGR)とナトリウム冷却高速炉(SFR)に関して、実用化に必要な技術と現状のギャップを同定している。また、HTGRと水素製造施設の相互接続に関連して、水素製造施設からの可燃性ガスの漏洩と異常発生が安全性に与える影響等について整理している。
廃炉環境国際共同研究センター; 海上・港湾・航空技術研究所*
JAEA-Review 2024-020, 77 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「無人航走体を用いた燃料デブリサンプルリターン技術の研究開発」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、日英共同研究体制の下、耐放射線性を持ちつつ中性子検出効率を向上させた中性子検出器と、強力な切削能と収集能を持ったエンドエフェクタ並びにマニピュレータを融合させた燃料デブリサンプリング装置を開発し、それらを無人航走体へ搭載させた燃料デブリサンプリングシステムを構築することを目指したものである。さらに、システム位置を同定する測位システムと、光学カメラ、ソナー、今回開発する中性子検出器の計数情報を仮想現実システムへ投影させる技術を開発し、遠隔操作技術の向上に貢献する技術開発を行った。日本側が担当した燃料デブリマッピングツールの開発では、1)高耐放射線小型高効率中性子センサの開発、2)UUVプラットホームの開発、3)放射線環境シミュレーション及び積算中性子線量計の特性評価を実施した。実施項目1)ではシリコン半導体検出器に微細構造を施して中性子の感度を上げ、ガンマ線の感度を下げたMSNDの特性評価と専用集積回路を開発し、小型高効率中性子センサを実現した。実施項目2)では、燃料デブリマッピングツール構成要素(中性子センサ、水中カメラ、ソナー、LiDAR)が連動するための通信制御系とUUVプラットホームとのインターフェースを完成させた。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-010, 112 Pages, 2024/08
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島第一発電所2、3号機の事故進展シナリオに基づくFP・デブリ挙動の不確かさ低減と炉内汚染状況・デブリ性状の把握」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、シールドプラグ下高線量の原因究明、事故時のCs移行経路や、Csの構造材付着・堆積状態の解明及び先行溶落したと推定される金属リッチデブリ特性評価を行うため、事故進展最確シナリオ評価に基づく材料科学的アプローチを行っている。令和4年度は、3号機RPVの炉心損傷進展においてMoやIを含んだCs系化学種が気相安定条件、3号機PCVではCsとコンクリート成分の相互反応で形成する可能性のあるCs-Si-Al-O系化合物の生成条件などを整理した。Cs含有物質や金属デブリ模擬物質やコンクリートを用いた水蒸気雰囲気における熱分析試験を実施し、金属表面ではCrやFe系化合物が、酸化物表面ではSiやAlなどの成分を含む化合物が化学吸着する傾向があることが分かった。Csを含有するエアロゾルに関して、CsO-Fe
O
系融体の粘度測定を行い、生成浮遊機構解明を進めた。
永塚 健太郎; 野口 弘喜; 長住 達; 野本 恭信; 清水 厚志; 佐藤 博之; 西原 哲夫; 坂場 成昭
Nuclear Engineering and Design, 425, p.113338_1 - 113338_11, 2024/08
被引用回数:1 パーセンタイル:75.38(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉は固有の安全性を有し、二酸化炭素を排出することなく大量の水素や高温の熱供給が可能なことから、産業分野の脱炭素化に貢献できる。本報では、原子力機構で進めるHTTR(高温工学試験研究炉)を利用した炉心強制冷却喪失(LOFC)試験等の研究開発成果に加え、現在設計を進めるHTTRを用いた水素製造実証試験(HTTR-熱利用試験)の計画を紹介する。加えて、2030年代後半の運転開始に向け、基本設計が進められている高温ガス炉実証炉計画を紹介する。
バックエンド技術部
JAEA-Review 2024-004, 124 Pages, 2024/07
本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門原子力科学研究所バックエンド技術部における2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)の活動をまとめたものであり、所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発及び研究成果の概要を取りまとめた。2022年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約262m、不燃性固体廃棄物が約113m
、液体廃棄物が約203m
(希釈処理約72m
を含む)であった。新たな保管体の発生数は、200Lドラム缶換算527本であった。公益社団法人日本アイソトープ協会への保管体の返還作業及び保管廃棄していた廃棄物の減容処理を行うことにより、保管体数の削減に取り組んだ結果、最終的に2022年度末の累積保管体数は2021年度から3,902本減の122,925本となった。保管廃棄施設・Lの保管体健全性確認作業は、本格運用を継続して実施した。また、放射性廃棄物処理場が新規制基準に適合していることの確認を受けるため、設計及び工事方法の認可申請を原子力規制庁に対し、順次、実施した。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟において、機器の撤去等を実施した。バックエンドに関連する研究・技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けて、採取した廃棄物試料の放射能分析を実施した。また福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業について、埋立完了後のモニタリングを継続した。
沖田 将一朗; 櫻井 辰大*; 江崎 巌*; 都木 克之*; 中野 貴之*; 日野 正裕*
KURNS Progress Report 2023, P. 97, 2024/07
BGaN semiconductor neutron detectors are currently under development at Shizuoka University as promising compact and high-temperature resistant neutron detectors. In this experiment, we observe the pulsed detection signals for thermal neutron beams irradiated to the BGaN semiconductor neutron detectors installed on a high-temperature hot plate wih ambient temperatures of 300 Celsius degree. This experiment is performed in the cold neutron beam line (CN-3) in KUR, which has relatively low background noise and can irradiate low-energy neutrons for sensitive detection. As a result, clear pulsed detection signals were successfully found several times per hour for both detectors. These results suggest that BGaN semiconductor neutron detectors demonstrate the operability at around 300 Celsius degree at least.
Tsai, Y. H.*; 小畠 雅明; 福田 竜生; 谷田 肇; 小林 徹; 山下 良之*
Applied Physics Letters, 124(11), p.112105_1 - 112105_5, 2024/03
被引用回数:1 パーセンタイル:62.87(Physics, Applied)Recently, gallium oxide (GaO
) has attracted much attention as an ultra-wide bandgap semiconductor with a bandgap of about 5 eV. In order to control device properties, it is important to clarify the chemical state of dopants and doping sites. X-ray absorption near edge structure (XANES) and hard X-ray photoemission spectroscopy were used to investigate the dopant sites and chemical states of Sn in Sn-doped
-Ga
O
(001) samples. The results show that the chemical state of the Sn dopant is the Sn
oxidation state and that the bond lengths around the Sn dopant atoms are longer due to the relaxation effect after Sn dopant insertion. Comparison of experimental and simulated XANES spectra indicates that the octahedral Ga substitution site in
-Ga
O
(001) is the active site of the Sn dopant.
前田 茂貴
放射線科学フロンティア, (5), P. 17, 2024/02
Ac-225は医薬品向け放出核種として注目されており、今後需要が増えることが見込まれる。創薬分野の研究開発のみならず経済安全保障の観点でも国産化が急務である。「常陽」では、Ac-225製造の技術基盤を確立するため、「常陽」に隣接するPIE施設への照射装置の迅速な払出し技術の確立、Ra-226の中性子照射によるAc-225製造量評価、Ra-226からAc-225を効率的に回収するための分離プロセスを検討している。本発表では、国産化への国内の動き、原子力機構の取り組み、「常陽」での照射、試料移送、化学処理、医療側ニーズへの対応を検討した結果の見通しについて報告する。
Riyana, E. S.; 奥村 啓介; 坂本 雅洋; 松村 太伊知; 寺島 顕一; 神野 郁夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(2), p.269 - 276, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)We investigated the possibility of estimating the effective neutron multiplication factor () of the fuel debris inside the canister and primary containment vessel (PCV) of Unit 2 of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F) using remote gas-radioactivity measurement via simulation-based calculations. Our results demonstrate an almost linear correlation between
and the
Kr-to-
Xe activity ratio with respect to various fuel debris compositions. This correlation is maintained regardless of geometries such as the fuel debris canister and the PCV.
山中 高光*; 中本 有紀*; 坂田 雅文*; 清水 克哉*; 服部 高典
Physics and Chemistry of Minerals, 51(1), p.4_1 - 4_10, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)FeTiOイルメナイトの中性子及び放射光X線回折と電気伝導度測定を高圧下で行った。イルメナイトの構造は28GPaまで保持された。構造解析の結果、8GPa以下ではFeO
は圧縮され、TiO
はほとんど圧縮されないことが分かった。抵抗率は、金属イオン対の中で原子間距離が最も短いFe-Ti方向で最も小さかった。c軸に垂直な方向の抵抗率は圧力とともに単調減少するが、c軸に沿った抵抗率は圧力とともに山なりとなった。最大エントロピー解析の結果、Fe
(3
)の電子配置はTi
(3
)よりも圧縮下で大きく変化することがわかった。異方的な電気伝導度とFe-Ti原子間距離の非一様な圧縮は、Feイオンの高スピン状態から中間スピン状態へのスピン転移によって説明できるかもしれない。
末次 祥大*; 酒井 宏典; Opletal, P.; 常盤 欣文; 芳賀 芳範; 他12名*
Science Advances (Internet), 10(6), p.eadk3772_1 - eadk3772_6, 2024/02
被引用回数:9 パーセンタイル:97.71(Multidisciplinary Sciences)The superconducting gap structure of UTe was determined by the thermal conductivity measurement on ultra-clean UTe
single crystals. The result demonstrates the absence of nodes around the
-axis, contrary to the previous study. The finding reveals that UTe
is likely to be a long-sought three-dimensional strong topological superconductor.
堀井 雄太; 廣岡 瞬; 宇野 弘樹*; 小笠原 誠洋*; 田村 哲也*; 山田 忠久*; 古澤 尚也*; 村上 龍敏; 加藤 正人
Journal of Nuclear Materials, 588, p.154799_1 - 154799_20, 2024/01
被引用回数:4 パーセンタイル:82.11(Materials Science, Multidisciplinary)MOX燃料の照射により生成する主要なFPであるNdO
及びSm
O
、模擬FPとして添加したMOXの熱伝導率を評価した。MOX中の模擬FPの均質性の観点から熱伝導率を評価するため、ボールミル法及び溶融法で作製した2種類の粉末を用いて、Nd及びSmの均質性が異なる試料を作製した。模擬FPが均質に固溶した試料では含有量が増加するにしたがってMOXの熱伝導率が低下するが、不均質な模擬FPは影響を及ぼさないことが分かった。熱伝導率に対するNd及びSmの影響を古典的フォノン輸送モデル
=(A+BT)
を用いてNd/Sm依存性を定量的に評価した結果、A(mK/W)=1.70
10
+ 0.93C
+ 1.20C
, B(m/W)=2.39
10
と表された。
今野 力
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.121 - 126, 2024/01
被引用回数:1 パーセンタイル:34.39(Nuclear Science & Technology)JENDL-4.0/HEの中性子と陽子ACEファイルは2017年に作られ、そのうちの22核種の中性子ACEファイルと25核種の陽子ACEファイルがPHITSコードと一緒に公開されている。最近、JENDL-4.0/HEの中性子と陽子ACEファイルに入っている以下の5つのデータに問題があることが見つかった; Nと
OのACEファイル、発熱数、損傷エネルギー生成断面積、2次中性子多重度、核分裂断面積。そこで、これらの問題を修正したJENDL-4.0/HEの新しい中性子と陽子ACEファイルを作成した。この論文では問題点及び新しい中性子と陽子ACEファイルをどのように作成したかについて詳述する。
深堀 智生; 中山 梓介; 片渕 竜也*; 執行 信寛*
日本原子力学会誌ATOMO, 65(12), p.726 - 727, 2023/12
「シグマ」調査専門委員会では、グローバルな原子力研究開発動向を調査・注視しつつ、我が国の核データ活動に対する大所高所からの俯瞰的検討や原子力学会以外の広い分野の内外学術機関との連絡、情報交換や学際協力体制の構築を目指している。本報告では、2021-2022期の主な活動のうち、核データに関する要求リストサイト、人材育成、ロードマップ作成の3件について報告する。
廣岡 瞬; 堀井 雄太; 砂押 剛雄*; 宇野 弘樹*; 山田 忠久*; Vauchy, R.; 林崎 康平; 中道 晋哉; 村上 龍敏; 加藤 正人
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1313 - 1323, 2023/11
被引用回数:5 パーセンタイル:87.90(Nuclear Science & Technology)収率が高く燃料に固溶するFP(模擬FP)としてNdO
及びSm
O
を添加したMOXの焼結試験を行い、焼結後の微細組織を評価した。熱膨張計を用いて取得した焼結中の収縮曲線から、模擬FP含有MOXは通常のMOXよりも高温で焼結が進むことが分かった。焼結後の密度評価及び金相組織の観察から、模擬FP含有MOXは通常のMOXよりも粒成長と高密度化が進むことが分かった。これは、添加元素の影響を受けて一部のUが4価から5価に変化し、拡散速度が大きくなったことが原因と考えられる。また、XRDの結果から焼結後の試料は均質に固溶した結晶構造が示されたが、EPMAによる元素マッピングの結果からは模擬FPの濃度が一様でなく、完全には均質に分布していない微細組織が示された。不均質に分布したNd
O
含有MOXを微粉砕し、再焼結を行う過程を繰り返すことで、均質性が向上し、密度も十分に高い模擬FP含有MOXペレットを作製することができた。