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小沢 和巳; 谷川 博康; 森貞 好昭*; 藤井 英俊*
Fusion Engineering and Design, 98-99, p.2054 - 2057, 2015/10
被引用回数:1 パーセンタイル:10.34(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト鋼(F82H)は先進核融合炉の構造材料候補である。第一壁ならびにダイバータではプラズマスパッタ抑制のため、タングステン被膜が必須とされている。F82H鋼に、真空プラズマ溶射法でタングステン(W)を皮膜し、その後摩擦攪拌処理(FSP)にて強化した試料に対しイオン照射実験を実施し、WとF82Hの各要素のイオン照射後の硬さと微細組織に及ぼす細粒化の影響を調べた。これまでの結果からは、800C、5.4dpaでイオン照射したFSP-W皮膜の顕著な照射硬化は認められていない。
安堂 正己; 野澤 貴史; 廣瀬 貴規; 谷川 博康; 若井 栄一; Stoller, R. E.*; Myers, J.*
Fusion Science and Technology, 68(3), p.648 - 651, 2015/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28(Nuclear Science & Technology)照射下クリープに及ぼすヘリウムの影響を調べるために、F82H鋼およびボロン添加したF82H鋼の圧力管を準備し、573Kおよび673Kにて6dpaまでの中性子照射を行った。照射後、これらの圧力管の径を非接触型レーザーシステムにて測定し、クリープひずみの解析を行った。この結果、573K, 673Kにて照射されたF82H鋼のクリープひずみは約260MPaおよび170MPaの応力までそれぞれ直線的に増加することがわかった。特に673K照射材では、いくらかのBN添加F82H鋼のクリープひずみは、ヘリウムの発生しない
BN添加F82H鋼に比べて増加する傾向にあった。この原因として、ボロンによって発生したヘリウムによりバブルが形成し、わずかなスウェリングが生じたためと考えられる。
若井 栄一; 安堂 正己; 大久保 成彰
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.11, p.104 - 112, 2015/03
核融合原型炉のための低放射化フェライト鋼は1980年代から開発が進められている。この鋼は核融合原型炉の第一壁や構造材料及びIFMIFのターゲットアセンブリやターゲット背面壁の第一候補材料となっている。本研究では、この鋼に関する2つの課題を調べた。その概略を以下に示す。(1)照射損傷を含む、低放射化フェライト鋼の微細組織や強度特性への初期熱処理は、核融合原型炉の設計に大変重要である。(2)この鋼の微細組織や強度特性へ及ぼすHeやH生成の効果は核融合原型炉の設計評価に本質的なものであり、我々はIFMIFのような核融合模擬照射環境下でこの鋼を調べ、評価をしなければならないと考えられる
古谷 一幸; 若井 栄一; 宮本 賢治*; 秋場 真人; 杉本 昌義
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.494 - 499, 2007/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)本研究は、F82H鋼による増殖ブランケット構造体部分モックアップのHIP接合部の微細組織観察,元素分析、及び中性子照射後の機械特性に関するものである。非照射段階において、HIP接合部のTEM観察及びTEM-EDX分析などを行った結果、HIP境界には母相の結晶粒界と同等のMC
が多数認められた。JMTRにて約523Kで約2dpaまでの中性子照射の後、295Kと523Kにて引張り試験を行った結果、照射後引張り特性はIEA材と比較しやや低下したものの、破断部の金相観察の結果、HIP境界での破断は生じていないことを明らかにした。
Kulsartov, T. V.*; 林 君夫; 中道 勝*; Afanasyev, S. E.*; Shestakov, V. P.*; Chikhray, Y. V.*; Kenzhin, E. A.*; Kolbaenkov, A. N.*
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.701 - 705, 2006/02
被引用回数:38 パーセンタイル:91.91(Nuclear Science & Technology)核融合炉構造材料へのセラミック被覆は、トリチウム透過防止膜として使用されることが考えられている。本研究では、リン酸クロム(CrPO)を含む酸化クロム-二酸化ケイ素のセラミック皮膜がある場合とない場合におけるF82H鋼について、水素及び重水素透過実験を行った。まず第1段階として、300
600
Cの100
1000Paの水素及び重水素雰囲気において、皮膜のないF82H鋼中の透過実験を行った。得られた拡散係数,透過定数及び溶解度は、以前に公刊されている値と良い一致を示した。第2段階としては、皮膜を施したF82H鋼中について、400
600
C, 1000
1500Paの重水素雰囲気において、上と同様な透過実験を行い、皮膜の透過低減係数(PRF)を算出した。600
Cにおける透過低減係数は約400であった。この値は、同じ皮膜を316ステンレス鋼に施した場合の透過低減係数(約1000)に匹敵する値である。本発表は、国際科学技術センター(ISTC)によるパートナープロジェクト(K-1047p)として実施した研究の成果の一部を発表するものである。
林 孝夫; 飛田 健次; 西尾 敏; 池田 一貴*; 中森 裕子*; 折茂 慎一*; 発電実証プラント検討チーム
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1285 - 1290, 2006/02
被引用回数:20 パーセンタイル:79.69(Nuclear Science & Technology)核融合炉先進遮蔽材料としての金属水素化物及びホウ化水素の中性子遮蔽性能を評価するために中性子輸送計算を行った。これらの水素化物はポリエチレンや液体水素よりも水素含有密度が高く、一般的な遮蔽材よりも優れた遮蔽性能を示した。水素解離圧の温度依存性からZrHとTiH
は1気圧において640
C以下で水素を放出することなく使用可能である。ZrH
とMg(BH
)
は、鉄水混合材料よりも遮蔽体の厚さをそれぞれ30%と20%減らすことができる。水素化物とF82Hとの混合により
線の遮蔽性能が高くなる。中性子及び
線の遮蔽性能は以下の順で小さくなる:ZrH
Mg(BH
)
and F82H
TiH
and F82H
water and F82H。
若井 栄一; 大塚 英男*; 松川 真吾; 古谷 一幸*; 谷川 博康; 岡 桂一朗*; 大貫 惣明*; 山本 敏雄*; 高田 文樹; 實川 資朗
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1077 - 1084, 2006/02
被引用回数:11 パーセンタイル:61.34(Nuclear Science & Technology)微小試験片の試験技術は核融合炉材料の強度特性を調べるために発展しているが、これは特に、IFMIFでは照射スペースが小さくならざるを得ないことに由来している。本研究ではF82H鋼を用いて微小な曲げ試験片(ノッチ部に疲労予亀裂入)であるt/2の1/3PCCVN(pre-cracked Charpy V-Notch)とDFMB(deformation and fracture mini bend)を作製し、これらの曲げ試験片の靭性を評価するための新しい試験装置の開発について紹介する。本装置は約-180Cから300
Cまでの範囲で、変位量を高精度に制御して試験できるように設計した。また、室温でこれらの試験片を用いて静的破壊靭性試験を行い、大きめのサイズを持つ0.18DCT試験片の試験結果との比較を行った。加えて、t/2-CVNと1/3CVN及びt/2-1/3CVN片を用いて、衝撃試験によって得られた吸収エネルギーの温度変化から延性脆性遷移温度(DBTT)を評価し、t/2-1/3CVNのDBTTは大きい試験片の場合より約30
C低くなる結果を得た。他方、微小引張り試験やスモールパンチ試験による強度とDBTT等の評価も同様に進めた。
鈴木 哲; 榎枝 幹男; 秦野 歳久; 廣瀬 貴規; 林 君夫; 谷川 尚; 落合 謙太郎; 西谷 健夫; 飛田 健次; 秋場 真人
Nuclear Fusion, 46(2), p.285 - 290, 2006/02
被引用回数:2 パーセンタイル:7.3(Physics, Fluids & Plasmas)原研におけるITER用水冷固体増殖方式テストブランケット・モジュール(TBM)に関する要素技術開発の最新の成果について報告する。TBMの製作技術開発に関しては、低放射化フェライト鋼F82HのHIP成型時の結晶粒の粗大化対策として成形後の熱処理法を改善し、1150Cでの均質化後に930
Cで焼きならしを行うことによって十分な細粒を得ることができた。第1壁アーマ接合技術開発に関しては、F82H基板にタングステンアーマを固相接合法の1つである熱間単軸圧縮を適用することにより、直接接合可能なことを明らかにした。また、F82H製第1壁試験体の熱疲労試験を行い、ITERダイバータと同様の疲労寿命評価法が適用可能であることを示した。一方、増殖材開発に関しては、Li
TiO
ペブルの圧縮荷重下における有効熱伝導率測定装置を開発し、その測定を実施した。原研におけるTBM開発は上記のような要素的な研究開発の進捗により、製作技術開発や設計データの取得が完了し、今後、工学規模の技術開発を展開する段階に到達した。
江里 幸一郎; 鈴木 哲; 大楽 正幸; 秋場 真人
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.313 - 318, 2005/11
被引用回数:9 パーセンタイル:54.12(Nuclear Science & Technology)発電実証プラント用ダイバータへの適用性を調べるため、冷却面にねじ加工を施したF82H製スクリュウ管の入射限界熱流束(ICHF)実験を実施した。F82Hは低放射化フェライト鋼の1種であり、設計が進められている発電実証プラントにおける構造材候補となっている。本スクリュウ管のねじ形状はM10ピッチ1.5mmであり、F82H製円管,純銅製円管の内表面に加工されている。F82H製スクリュウ管のICHFは、純銅製管の値と比較して40-50%に低減した。例えば、冷却水条件1MPa・室温・4m/sにおいて、純銅製管では25MW/mであるのに対し、F82H製管のICHFは13MW/m
であった。しかしながら、このICHF値は発電実証プラントダイバータの設計値(13MW/m
)を上回るものであり、F28Hスクリュウ管がダイバータ冷却への適用できる可能性があることを示す。ICHF減少の原因を調べるため壁面の熱伝導解析を行ったところ、F82H製スクリュウ管ではその低熱伝導率のため入射した熱流束が伝熱面において集中していることがわかった。これらのことから、実機適用の場合高熱伝導材であるタングステンなどで被覆させ入射熱流束の集中を緩和させることが有効であると考えられる。
若井 栄一; 實川 資朗; 富田 英樹*; 古谷 一幸; 佐藤 通隆*; 岡 桂一朗*; 田中 典幸*; 高田 文樹; 山本 敏雄*; 加藤 佳明; et al.
Journal of Nuclear Materials, 343(1-3), p.285 - 296, 2005/08
被引用回数:46 パーセンタイル:93.81(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化マルテンサイト鋼F82Hの照射硬化と脆化に及ぼすHe生成効果とその生成量依存性を引張試験片(SS-3)と破壊靭性試験片(0.18DCT)を用いて評価した。中性子照射はJMTR炉にて250Cで約2.2dpaまで行った。本研究ではHeを材料中に生成させるためにボロン10を添加した。He生成量を変数にするため、ボロン10とボロン11の配合比(0:1, 1:1, 1:0)を変えて、ボロン添加総量を60mass ppmに揃えた3種類の添加材を作製し、照射前後の特性を比較してボロンの化学的な効果を最小限に抑えた。また、これらの試料での生成He量は約5, 150, 300appmである。一方、ボロンの効果を完全に排除した50MeVのサイクロトロン照射実験も行った。この方法ではボロンを添加しないF82H鋼を用い、直径3mm,厚さ0.3mmのTEM片に約120
Cで約85appmのHeを均一に注入した後、スモールパンチ試験によって強度特性を評価した。この弾き出し損傷量は約0.03dpaであった。これらの試験結果から中性子照射後の降伏応力と最大引張応力はHe生成量の増加に伴ってやや増大した。また、中性子照射後の延性脆性遷移温度(DBTT)は40
Cから150
Cの範囲にあり、He生成量の増加に伴って高温にシフトした。また、サイクロトロンHe照射法によっても同様のHeによるDBTTシフト効果が確認できた。
若井 栄一; 佐藤 通隆*; 大久保 成彰; 沢井 友次; 芝 清之; 實川 資朗
日本金属学会誌, 69(6), p.460 - 464, 2005/06
被引用回数:1 パーセンタイル:100本研究ではFe-8Cr-2W-0.1C系のマルテンサイト鋼F82Hに約60ppmのBを添加させた材料と約60ppmのBと約200ppmのNを複合添加させた材料を作製し、その微細組織と強度特性を評価した。これらの鋼材中のBの偏析を防ぐために、熱処理に関しては950Cまたは1000
Cで約10分間焼ならしを行った後、水中に急冷するなどの措置を施した。その後、約780
Cで30分間焼きもどしを行った。これらの熱処理後、各試料の微細組織観察やSIMSによるBやNの分布測定を行うとともに、引張試験とシャルピー衝撃試験等を行った。B添加材とB+N複合添加材の引張特性は添加していない材料とほぼ同一であったが、衝撃試験では無添加材に比べて空冷したB添加材の延性脆性遷移温度(DBTT)が70
C程度上昇するとともに、ボロンの分布の局在化がSIMSによって観察された。焼きならし温度から急冷したB添加材のDBTTの上昇量は30
C程度になり、ボロンの局在化の度合いも減少した。一方、BとNを複合添加した材料ではDBTTの上昇がなく、Bの局在的な偏りがさらに減少した。また、酸化物や窒化ボロンは観察されなかった。
吉田 肇; 古作 泰雄*; 榎枝 幹男; 阿部 哲也; 秋場 真人
JAERI-Research 2005-003, 13 Pages, 2005/03
核融合炉におけるトリチウム漏洩量見積りの高精度化に資するため、低放射化フェライト鋼の水素透過速度を真空熱天秤法で測定した。本測定法では、水素ガスを封入した低放射化フェライト鋼F82H製の試料カプセルを用意し、試料カプセルを真空中で等温加熱して、試料カプセルを透過しカプセル表面から脱離する水素を以下の2つの独立した方法で測定する。すなわち、試料カプセルの正味の重量減少量と、試料カプセルからの水素脱離による排気ガス分析である。このような手法で測定の信頼性を増すことが可能である。本実験条件で、正味の重量減少量から求めた水素透過速度と排気ガス分析から求めた値の比は、1/4から1/1であった。本実験を通して、真空熱天秤法がF82Hの水素透過速度を評価するために有効な手段であることが示された。
若井 栄一; 田口 富嗣; 山本 敏雄*; 富田 英樹*; 高田 文樹; 實川 資朗
Materials Transactions, 46(3), p.481 - 486, 2005/03
被引用回数:7 パーセンタイル:52.19(Materials Science, Multidisciplinary)F82H鋼の照射硬化に関するヘリウム生成量依存性を照射温度の関数として調べた。照射量は約2dpaである。本研究に用いた試料はアイソトープ調整したボロン、すなわちB,
B及び
Bと
Bを50%ずつ混合させた3種類をそれぞれ60wtppm添加したものである。照射によって生成されたヘリウム量は約15から330appmであった。照射後、引張り試験を行った結果、いずれの照射温度においても照射硬化が生じたが、
B添加による硬化の増加は300
C照射材のみでわずかに生じたが、150
C照射材では観察されなかった。
B添加による硬化の促進効果は照射温度に依存して生じると考えられる。他方、焼もどし時間に対する照射硬化の変化は、150
Cで2dpa照射したF82H鋼の引張り特性から解析し、照射による硬化量は焼き戻し時間と温度の増加に伴って増加することがわかった。また、延性脆性遷移温度と降伏応力の照射による変化を解析した結果、照射後のF82H鋼の強度特性は照射前に行う焼き戻し時間や温度の調整によってその性能を向上させることができることがわかった。
田口 富嗣; 實川 資朗; 佐藤 道隆*; 松川 真吾*; 若井 栄一; 芝 清之
Journal of Nuclear Materials, 335(3), p.457 - 461, 2004/12
被引用回数:10 パーセンタイル:56.72(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉用構造材料の候補材料である、F82H鋼及び2%Ni添加F82H鋼の照射後引張試験を室温で行った。F82H及び2%Ni添加F82Hは、米国オークリッジ国立研究所のHFIR炉において、300Cで最大20dpaまで照射された。引張試験中、継続して試料のネッキング部分の画像をビデオカメラで記録した。これら画像及び荷重変位曲線から、試料の真応力-真歪曲線を求め、中性子照射による試料の硬化挙動を評価した。その結果、欠陥導入型の硬化が照射によりおもに生じたが、300
Cで照射されたF82Hにおいては、同じflow stressレベルでは、歪硬化に対して強く影響を及ぼさないことを明らかにした。しかしながら、2%添加F82Hでは、照射が歪硬化に強く影響を及ぼすことがわかった。
安堂 正己; 若井 栄一; 沢井 友次; 松川 真吾; 内藤 明*; 實川 資朗; 岡 桂一朗*; 田中 典幸*; 大貫 惣明*
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.159 - 161, 2004/11
ブランケット構造材料の候補材料である低放射化フェライト鋼では、照射による靭性の低下(延性脆性遷移温度の上昇)が重要な課題となっている。本研究では、低放射化フェライト鋼F82Hに対して、照射硬化が、靭性の低下と大きな関連を有することに着目し、特にヘリウムによる硬化促進及び高照射量での硬化挙動について、TIARAによる多重ビーム照射を用いて調べた。まずヘリウムがない場合における、照射硬化の照射量依存性を調べた結果、633Kにおいては、30dpaまで硬化は増加する傾向にあるが、それ以上の照射量においては飽和傾向を示すことが明らかとなった。さらに同照射温度にて、ヘリウムが照射硬化の促進に及ぼす影響について、ヘリウム注入比を10/100appmとしてそれぞれ比較した結果、1000appmを超えるとわずかな硬化の促進が見られるが、約3300appm(ヘリウム注入条件100appmHe/dpa)の場合においては、20%程度の硬化量の促進が生じることがわかった。
古谷 一幸
JAERI-Research 2004-013, 165 Pages, 2004/09
本研究の目的は、これまでのHIP接合に関する基礎研究成果をブランケットの構造体部分(第一壁)の製作に応用した場合の問題点を明らかにし、その対処法を提案することにある。主な成果は次の通り。(1)低放射化フェライト鋼F82Hによる第一壁の矩形冷却配管を、一般的な配管製造法(角ダイス引き抜き法及び角ロール成型法)により製造可能であることを実証した。(2)第一壁の部分実規模モックアップをHIP接合法により製作し、接合部の引張り特性が母材部と同等であることを明らかにするとともに、衝撃特性が大幅に劣化する問題を有していることを明らかにした。(3)靭性劣化の要因は、接合部における結晶粒の粗大化,脆性破壊、及びボイドの成長不足であることを明らかにするとともに、これらを生じさせる因子には、初期ギャップ,不適切な表面粗さ,初期ギャップに起因する元素の拡散不足、及び表面の汚れがあり、これら因子が靭性劣化に複合的に寄与していることを見いだした。(4)劣化した靭性を大幅に改善可能な再熱処理法を見いだすとともに、靭性劣化因子の排除により母材部と同等の靭性が得られることを実証した。(5)接合部の引張り特性はITERレベルの約2dpaまでは大きく劣化しないことを明らかにした。
物質科学研究部; 核融合工学部(東海駐在)
JAERI-Review 2004-018, 97 Pages, 2004/08
低放射化フェライト鋼F82H及び数種の類似鋼を対象に、ここ数年間に渡り照射挙動の評価を精力的に実施してきた。この結果、使用下限温度の明確化と照射による劣化への対策等を得ることを目指す高照射量実験について、(1)弾き出し損傷にして20dpaまで、延性脆性遷移温度(DBTT)の上昇への照射効果の評価を達成し、また、同位体調整したニッケルやホウ素の微量添加手法を用い、(2)DBTT上昇へのHe原子の助長効果についての実験的解析を進め、さらに、(3)高温高圧水中低速引張試験により、環境割れへの照射効果等の概要を得ることができた。加えて、照射後試験装置の開発や関連研究の進捗が得られた。本報告書は、これらの結果をまとめたものである。なお、得られた結果は、低放射化フェライト鋼が核融合炉への使用に対し高い適合性を持つことを示している。
谷川 博康; 橋本 直幸*; 酒瀬川 英雄*; Klueh, R. L.*; Sokolov, M. A.*; 芝 清之; 實川 資朗; 香山 晃*
Journal of Nuclear Materials, 329-333(1), p.283 - 288, 2004/08
被引用回数:18 パーセンタイル:74.74(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化フェライト鋼は、核融合炉ブランケット構造材料の候補材料である。これまでの研究により、300C5dpaの中性子照射による鋼の延性脆性遷移温度がF82H(Fe-8Cr-2W-V-Ta)に比べて、ORNL9Cr-2WVTa及びJLF-1(Fe-9Cr-2W-V-Ta-N)が小さいことが明らかになっている。これらの違いは、照射硬化の影響のみでは説明することができない。また一方、Cr量の違いとして解釈できるものでもない。本研究では、これらの鋼の衝撃特性変化の違いについて、その要因を探るべく、微細組織解析を行った、その結果について報告している。
若井 栄一; 松川 真吾; 山本 敏雄*; 加藤 佳明; 高田 文樹; 杉本 昌義; 實川 資朗
Materials Transactions, 45(8), p.2641 - 2643, 2004/08
被引用回数:6 パーセンタイル:41.37(Materials Science, Multidisciplinary)JMTR炉で300C, 2.3dpaまで中性子照射したF82H鋼の引張り特性に関する破断と硬化の挙動に及ぼすHeの効果を調べた。本研究では材料中にHeを生成させるためにアイソトープ調整したボロンを添加させ、中性子照射中にHe量を約5から330appmまで発生させた。照射後、室温にて引張り試験を行い、破断面をSEMで観察した。その結果、He生成量の増加に伴って硬化量がやや増加したが、絞りは減少傾向にあった。この絞りと破断時の強度から近似的に算出した破断応力は材料中に生成したHe量の増加に伴って減少することがわかった。他方、ボロンと窒素を微量添加したF82H鋼(Fe-8Cr-2W-0.1C-0.3V-0.04Ta)の引張り特性とシャルピー衝撃特性の試験片サイズ効果を調べた。引張り試験には標準的サイズのJIS 14A(平行部径6mm,平行部長さ33mm)と小型サイズのSS-J3(平行部1.2mm
0.77mm,平行部長さ5mm)を用い、シャルピー衝撃試験には標準の1/2t-CVNと小型の1/2t-1/3CVNを用いて評価した。その結果、引張り特性に関しては試験片の小型化による影響はほとんどなかったが、衝撃特性では試験片の小型化によって、破断面の単位面積あたりの吸収エネルギーが低下しただけでなく、DBTT(延性脆性遷移温度)が約12
C低下することがわかった。
谷川 博康; 酒瀬川 英雄*; 橋本 直幸*; Zinkle, S. J.*; Klueh, R. L.*; 香山 晃*
Fusion Materials Semiannual Progress Report for the Period Ending (DOE/ER-0313/35), p.33 - 36, 2004/04
本報告は、日米協力に基づき著者が米国オークリッジ国立研究所において、High Flux Isotope Reactor(HFIR)を用いて行った研究の成果である。JLF-1やORNL9Crの靭性特性は、F82Hに比べて照射後の延性脆性遷移温度変化が小さく、優れていることから、これらの相違をミクロな観点から明らかにする目的で、析出物の分布を解析するために、各種フェライト鋼(F82H-IEA, F82H HT2, JLF-1とORNL9Cr)非照射材より抽出レプリカ試片を準備した。これらの試片について、TEMにより析出物のサイズ分布、SEMにより化学組成の解析が行われた。さらに、後方散乱電子像は、Ta-richな析出物をほかの析出物と分離するのに効果的であることを示した。F82Hについては、主な析出物はM23C6であり、形状は丸状である。一方、JLF-1とORNL9Crでは、析出物は細長い形状であった。MX析出物に関しては、F82Hではほとんど見られないが、非常に大きく、Tiを含んでいた。対照的にJLF-1とORNL9Crでは多くの微小なMX析出物が観察された。JLF-1やORNL9Crの靭性特性は、F82Hに比べて照射後の延性脆性遷移温度変化が小さく優れているが、これらの違いの一因に、Taリッチの析出物(MX系析出物)の存在形態がかかわっている可能性を指摘した。