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柴田 大受; 角田 淳弥; 馬場 信一; 山地 雅俊*; 石原 正博; 伊与久 達夫; 辻 延昌*
Key Engineering Materials, 297-300, p.728 - 733, 2005/11
熱・機械的特性に優れるセラミックス材料は、高温ガス炉の炉内構造物への適用が期待されている。結晶粒径を微細化した3モル%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体(3Y-TZP)セラミックスは、高温での超塑性現象を利用した圧延加工が可能であり有望な材料であるが、強度に関するデータは炉内構造物へ適用するために必要な設計基準を作るうえでは十分でない。本研究では、3Y-TZPセラミックスについて、室温で引張り,曲げ,圧縮試験を実施し、得られた強度データに基づき設計基準の概念検討を行った。その結果、平均の引張り強度は曲げ強度よりかなり小さく、応力条件下での正方晶から単斜晶への相変体機構を考慮することが重要であることを示した。また、得られた強度データをWeibull理論により確率論的に検討し、ジルコニア製構造物に対する設計基準の概念を提案した。
森山 清史; 丸山 結; 宇佐美 力*; 中村 秀夫
JAERI-Research 2005-017, 173 Pages, 2005/08
水プール中における融体ジェットの分裂は、軽水炉シビアアクシデント時における水蒸気爆発の粗混合過程及びデブリ冷却性に関連する重要な現象である。高温の酸化物及び鋼材の融体ジェットの水プール中における分裂挙動に関する実験を行った。目的は、ジェット分裂長さ及び分裂によって生じる融体液滴のサイズ分布,これらに対する融体物性の影響に関するデータを得ることである。また、融体ジェット分裂機構の検討に有用な、融体ジェットを取り巻く蒸気カラムの流れの強さや、これと融体液滴サイズの関係に関するデータの取得を試みた。実験では酸化ジルコニウム・酸化アルミニウム混合物とステンレス鋼の融体ジェット(水面で直径17mm,速度
7.8m/s)を深さ2.1m又は0.6mで種々のサブクール度を持つ水プールに落下させた。 本実験の結果及び既存の実験データを用いた検討により、融体ジェット分裂長さ,融体ジェットが完全に分裂しない浅いプールの場合の分裂割合、及び、ジェット分裂によって生じる融体液滴サイズに関する相関式を得た。
音部 治幹; 中村 彰夫; 山下 利之; 湊 和生
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.329 - 334, 2005/02
被引用回数:23 パーセンタイル:66.15(Chemistry, Multidisciplinary)パイロクロア型ジルコニアは、原子力工学分野で、高レベル放射性廃棄物の処分形として大きな研究興味を惹いている。本研究では、パイロクロアCeZr
O
の酸素ポテンシャル(g(O
))と酸素不定比組成(x)と温度(T)の関係をemf測定法で明らかにした。また、その関係をもとに、xが既知のサンプルを作製して、その格子定数(a0)をXRD法で測定した。a0は、xの増加に伴いスムーズに減少した。これは、酸素イオンが格子中に挿入されることによって、Ce
がCe
になったためである。
菊池 誠*; 本橋 嘉信*; 伊藤 勉*; 佐久間 隆昭*; 柴田 大受; 馬場 信一; 石原 正博; 沢 和弘; 北条 智博*; 辻 延昌*
日本機械学会関東支部茨城講演会(2004)講演論文集(No.040-3), p.57 - 58, 2004/09
将来の高温ガス炉への応用が期待されている超塑性3Y-TZP(3mol%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体)について、その超塑性変形特性を調べ、SEM観察により微細構造の変化による影響を検討した。その結果、高ひずみ速度での超塑性変形では、加工軟化が生じ、その原因として超塑性変形時に生成するフラットキャビティが実断面積を低下させるためであることを明らかにした。また、フラットキャビティは超塑性変形中に荷重を除くことで消滅させることができ、その場合2倍以上の伸びを達成できることがわかった。
柴田 大受; 石原 正博; 本橋 嘉信*; 伊藤 勉*; 馬場 信一; 菊池 誠*
Materials Transactions, 45(8), p.2580 - 2583, 2004/08
被引用回数:3 パーセンタイル:27.02(Materials Science, Multidisciplinary)3mol%のイットリアを含有する正方晶ジルコニア多結晶体(3Y-TZP)に1.610
J以上のエネルギーの高速中性子を2.5
10
(軽照射)及び4.3
10
(重照射)m
まで照射した。照射による3Y-TZPの有意な体積膨張は無かった。照射後の試験片の超塑性特性を1623から1773Kの温度範囲で、5.0
10
から1.67
10
s
の初期ひずみ速度での引張試験により調べた。その結果、照射後の試験片の破断伸びは、非照射の試験片と比較して極めて小さいことがわかった。また、照射後の試験片は、781(軽照射)と693(重照射)kJ・mol
という極めて大きい超塑性変形の活性化エネルギーを示した。中性子照射による3Y-TZP中のはじき出し損傷がこれらの主要な原因の一つと考えられる。
山下 利之; 蔵本 賢一; 白数 訓子; 中野 佳洋; 秋江 拓志; 長島 久雄; 木村 康彦; 大道 敏彦*
Journal of Nuclear Materials, 320(1-2), p.126 - 132, 2003/07
被引用回数:10 パーセンタイル:56.76(Materials Science, Multidisciplinary)岩石型燃料の照射安定性を調べるために、2回の照射試験を実施した。最初の試験ではディスク型燃料を、2回目はペレット型燃料を用いた。スエリング,ガス放出率及び相変化を、パンクチャー試験,被覆管外径測定並びに金相試験により調べた。イットリア安定化ジルコニア(YSZ)単相型燃料は、低いガス放出率(3%以下)、無視しうるスエリング及び組織変化など、優れた照射挙動を示した。粒子分散型燃料は、粉末混合型燃料と比べ、スエリングは小さいが高いガス放出率を示した。本照射試験において、スピネルの分解と引き続く組織変化が初めて観察され、これは1700K以上で発生すると考えられる。スピネルマトリクス燃料のガス放出率は、燃料最高温度を1700K以下にすることで、コランダム型燃料と同等までに低減できると考えられる。スピネルマトリクスの照射損傷領域は、YSZ球表面に限定されていることがわかった。
本橋 嘉信*; 小林 友和*; Harjo, S.*; 佐久間 隆昭*; 柴田 大受; 石原 正博; 馬場 信一; 星屋 泰二
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.144 - 147, 2003/05
被引用回数:4 パーセンタイル:33.82(Instruments & Instrumentation)3Y-TZP(3mol%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体)セラミックスに130MeVのZrイオンを、日本原子力研究所東海研究所のTANDEM加速器を用いて照射した。照射量は3.5
10
及び2.1
10
ions/m
であった。照射によって生じた残留応力と機械的特性の変化、さらにその後の焼鈍効果について調べた。照射後の試験片表面について、残留圧縮応力の発生及び硬さと破壊靭性の増加が観察された。その後に実施した焼鈍では、これらの物性は焼鈍温度の増加に伴い徐々に低下し、1173K付近では非照射状態の値に戻った。硬さと破壊靱性の増加の主たる原因は、照射表面に生じた残留圧縮応力であると考えられる。
柴田 大受; 石原 正博; 本橋 嘉信*; 馬場 信一; 星屋 泰二; 小林 友和*; Harjo, S.*; 佐久間 隆昭*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.139 - 143, 2003/05
被引用回数:4 パーセンタイル:33.82(Instruments & Instrumentation)3Y-TZP(3mol%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体)セラミックスの超塑性変形特性に及ぼすZrイオン照射の影響について調べた。まず、3Y-TZP試験片に、日本原子力研究所東海研究所のTANDEM加速器を用いて+11価,130MeVのZrイオンを3.510
及び2.1
10
ions/m
まで照射した。TRIMコードによる解析では、最大の照射損傷は試料表面から約10
mの位置に現れた。次に照射後の試験片の機械的特性及び超塑性特性を高温での曲げ試験により調べた。その結果、超塑性変形の活性化エネルギーが照射量の増加に伴い増加することがわかった。この増加の原因としては、照射により注入した余剰なZrイオンが、3T-TZPセラミックスを構成している陽イオンの拡散を抑制し、その結果、拡散に支配される粒界すべりのための緩和機構を妨げたことが考えられる。
音部 治幹; 中村 彰夫; 山下 利之; 小川 徹
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.652 - 655, 2002/11
パイロクロア型ジルコニアは高レベル放射性核廃棄物の処分形として幅広く研究されている。われわれは、 P-type ZrPu(Ce)
O
の酸素ポテンシャル (
g(O
))を測定するために、立方晶ジルコニアセンサーを用いたEMF測定装置を開発した。P-type Zr
Ce
O
は、1078Kで
g(O
)と組成xの関係が、xが0.34より大の時とxが0.34より小の時で異なった振舞いをすることがわかった。これは、x=0.34付近で酸素イオンと酸素空孔の秩序の仕方や度合いが変化したことを示しているのかもしれない。また、いろいろなxで763Kから1078Kの間で
g(O
)と温度の関係を測定して、そこから酸素の部分モルエンタルピー
h(O
)とエントロピー
s(O
)を導出した。P-type Zr
Ce
O
の
h(
)と
s(O
)は、蛍石型CeO
とは大きく異なっていることがわかった。同様な実験をP-type Zr
Pu
O
でも進めており、その結果は、上述したP-type Zr
Ce
O
の結果と比較する。
山下 利之; 蔵本 賢一; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 白数 訓子; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 大道 敏彦*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(8), p.865 - 871, 2002/08
被引用回数:25 パーセンタイル:81.69(Nuclear Science & Technology)余剰プルトニウムの効率的な利用と廃棄のための新しいオプションを提案するため、岩石型プルトニウム燃料とその軽水炉中での燃焼技術に関する研究を行った。岩石型燃料はイナートマトリクス燃料の一種で、安定化ジルコニア,スピネルやコランダムなどの鉱物類似化合物から構成される。重核分裂片による照射損傷を軽減するため、粒子分散型燃料を考案した。照射試験により、スエリング,ガス放出,微細組織変化に関する知見が得られた。岩石型プルトニウム燃料装荷炉心が有する本来的な短所は、ウランやトリウムなどの共鳴物質を添加することで改善され、改善炉心の過渡時における特性は通常の軽水炉炉心と同等となった。反応度事故条件下における岩石型燃料棒の破損しきい値は軽水炉燃料と同等であることが、パルス照射試験により確認された。
Wan, C.*; 柴田 大受; 馬場 信一; 石原 正博; 星屋 泰二; 本橋 嘉信*
熱物性, 16(2), p.58 - 63, 2002/06
超塑性変形が3Y-TZP(3モル%イットリアを含む正方晶ジルコニア多結晶体)の比熱に与える影響を実験的に調べた。まず、超塑性変形によるキャビティー含有量の異なる試験片を制作し、超塑性変形させた試験片の比熱をDSC法により制作した。比熱を測定した温度範囲は473Kから1273Kである。なお、キャビティーの含有量は、最大3.4%である。比熱測定の結果、温度の増加とともに3Y-TZPの比熱の上昇が観測された。また、超塑性変形は3Y-TZPセラミック材料の比熱にほとんど影響を与えないことが明らかとなった。
日浦 寛雄*; 山浦 高幸; 本橋 嘉信*; 小檜山 守*
日本原子力学会和文論文誌, 1(2), p.202 - 208, 2002/06
原子炉燃料中の酸素ポテンシャルの炉内測定を可能とする酸素センサの開発を行った。本センサは、CaOで安定化したジルコニア電解質の両側に標準極と測定極を接触させて酸素濃淡電池を構成し、発生する起電力から測定極となる燃料中の酸素ポテンシャルを推定する。本開発試験では、センサ標準極にNi/NiO, 測定極には燃料の代わりにFe/FeOを用いることとし、さらに長寿命化対策を考慮してセンサを設計・試作して、その起電力特性を炉外試験及びJMTRでの照射下その場試験において調べた。炉外試験では、700
1000
間の温度変化に対する起電力の温度依存性は理論値とほぼ一致し、起電力経時変化は800
一定の下で980hにわたり4%以内であった。照射下その場試験では、高速中性子(E
1 MeV)照射量8.0
10
m
(照射時間1650h)までの700
900
間の温度変化に対する起電力の温度依存性は炉外試験時に得られた結果とよく一致し、800
一定下での起電力経時変化は理論値の6%以内であった。以上のことから、中性子照射下における燃料中の酸素ポテンシャルの測定が本センサにより可能であることがわかった。
柴田 大受; 石原 正博; 高橋 常夫*; 本橋 嘉信*; 林 君夫
JAERI-Research 2001-024, 24 Pages, 2001/03
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の一環として、超塑性セラミックス材料に関する高温照射試験研究が計画されている。本報告書では、代表的な超塑性セラミックスである正方晶ジルコニア多結晶体(TZP)について、超塑性加工後の試料の変形量と硬さ及びヤング率との関係を微小押し込み試験により評価した。さらに、結晶状態のSEM観察結果から、超塑性変形による微細組織の変化と機械期特性との関連について考案し、以下の結果を得た。(1)硬さ及びヤング率は超塑性変形量の増加に伴い低下し、今回の実験条件では、変形量30%で約1/2に、変形量150%で約1/4になった。(2)超塑性変形量の増加に伴い結晶粒が大きくなり、寸法にばらつきが生じた。(3)結晶粒径の増加が、超塑性変形に伴う硬さ及びヤング率の低下の一因と考えられることを解析的に示した。
石原 正博; 柴田 大受; 馬場 信一; 星屋 泰二; Wan, C.*; 本橋 嘉信*
Proceedings of OECD/NEA 2nd Information Exchange Meeting on Basic Studies in the Field of High-temperature Engineering, p.113 - 124, 2001/00
高温工学に関する先端的基礎研究として大学との共同研究として進めている超塑性セラミックスに関するHTTRを用いた高温照射試験の現状について、超塑性ジルコニアセラミックスの炉外試験の結果を中心に、以下の2つについてまとめたものである。(1)超塑性変形の与える熱物性への影響,(2)超塑性変形の与える機械力学的物性への影響。熱物性への影響では、超塑性変形後の比熱の変化について得られた実測データから、約5%程度の変形では影響が表れないことを示した。また、機械力学的物性への影響では微小硬さ計を用いたダイナミック硬さ及びヤング率測定結果が、超塑性変形による結晶粒の成長や変形による相変化の影響を受けることを述べた。
柴田 大受; 本橋 嘉信*; 石原 正博; 馬場 信一; 林 君夫
JAERI-Review 2000-008, p.31 - 0, 2000/05
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の一環として超塑性セラミックス材料に関する高温照射試験研究が提案されている。本報ではその効率的な実施に資するため、セラミックスの超塑性変形機構を概観し、その代表的な材料である安定化正方晶ジルコニア(TZP)について、中性子照射が超塑性変形挙動に与える影響について検討した。その結果、照射促進拡散により超塑性変形の活性化エネルギーの低下が期待されることを指摘した。また、TZPの初めての中性子照射試験条件として、高速中性子照射量510
n/cm
、照射温度600
程度を選定し、材料試験炉(JMTR)で予備照射試験を実施することとした。さらに、照射によるTZPの放射化量を評価し、熱中性子3
10
n/cm
の照射直後で放射能は10
Bq/gのオーダーであり、1年間で約1/100に減衰することを示した。
C.Degueldre*; 高野 公秀; 大道 敏彦; 福田 幸朔; P.Heimgartner*; T.Graber*
JAERI-Research 97-087, 19 Pages, 1997/11
ジルコニアベースのイナートマトリクス及び模擬燃料材の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定し、モデル化した。測定対象は、イットリアとエルビアの一方もしくは両方を含む二元系および三元系、さらにトリアもしくはセリアを加えた四元系とした。添加物による格子定数への影響、酸素原子空孔の大きさと密度を考慮に入れて熱伝導率をモデル化した。モデル化において、格子定数の実測値と、モデルから得られた値を比較検討した。室温から950Kにおいて、ジルコニアとイットリア、エルビア及びセリアとの各固溶体の熱伝導率は、約2W・m-K
であった。これらの均質中のエネルギー輸送について、フォトン伝導とフォノン伝導に基づいて検討した。
大道 敏彦
JAERI-Review 96-008, 13 Pages, 1996/07
岩石型燃料を構成している安定化ZrO、Al
O
及びMgAl
O
の燃料の炉内寿命中における中性子及び核分裂片による損傷を過去の文献を基に評価した。中性子照射ではAl
O
は若干のスエリングを起すが、耐損傷性に優れたZrO
並びにMgAl
O
と同様に結晶の安定性は保たれる。核分裂片による損傷では、Al
O
は燃料の低い温度領域で非晶質化し、大きなスエリングが起こり、MgAl
O
でも非晶質化によるかなりのスエリングの可能性がある。これに対してZrO
は構造安定性が維持される。燃料ふるまいに負の影響をもつ可能性がある非晶質部分の体積を少なくするためには、プルトニウムを含むZrO
の大きな径の粒子をマトリックスであるAl
O
とMgAl
O
中に分散することが効果的であることを示し、このような燃料ペレットのスエリングと熱伝導度を定性的に評価した。
石塚 雅之*; 佐藤 次男*; 遠藤 忠*; 島田 昌彦*; 大野 英雄; 井川 直樹; 長崎 正雅
Journal of the American Ceramic Society, 73(8), p.2523 - 2525, 1990/00
被引用回数:13 パーセンタイル:55.13(Materials Science, Ceramics)YO
を添加して作製した正方晶ジルコニア多結晶体(Y-TZP)は高強度・高靱性を有する材料であり、耐熱性構造材料としての利用に期待されている。耐熱性構造材料として利用する場合、高い熱衝撃抵抗を有することが望ましいが、Y-TZPにおけるその値は熱膨張係数、ヤング率、熱伝導度等の物理的性質から予想される値に比べ著しく小さく、その改善が望まれる。本論文は、こうしたY-TZPに関して、熱応力によって引き起こされた微小亀裂付近の相変態挙動をレーザーラマン分光光度計を用いて分析し、粒子径変化に対する熱衝撃破壊挙動の観点から解析を行なったものである。その結果として、Y-TZPの粒子径が大きくなるに従って、微小亀裂付近の応力誘起相変態量が増加し、従って、熱衝撃抵抗が向上することを見出した。
大野 英雄; 近藤 達男
Proc. 1st Japan Int. SAMPE Symp., p.1622 - 1627, 1989/00
核融合炉開発において多くのセラミックス材料のR&Dが必要とされているが、本稿では現在著者らが研究開発を進めている高強度・低誘電損失セラミックス(SiN
系)ならびにトリチウムリサイクルシステムでのトリチウム水蒸気電解用セラミックス(ZrO
系)に関する研究成果をまとめた。Si
N
系セラミックスをrf窓材として用いる場合、とくに焼結助材の選択は重要であり、MgO添加したSi
N
の9.1GHzにおける誘電特性は500
C付近まで低い値(10
以下)を示し、Al
O
ならびにSiO
などと同様利用可能と考えられる。酸素イオン導伝性セラミックスである立方晶ジルコニアを用いたトリチウム水蒸気電解法はすでに実用化しているが、本稿では材料開発を中心にのべた。
中村 彰夫; J. B. Wagner Jr.*
Proceedings of the Zirconia '86 Tokyo II, p.171 - 192, 1989/00
安定化ジルコニアのイオン伝導度は、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)では3.125%、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)では6.25%近傍の酸素空孔濃度で、むしろ鋭い極大をとるという特異な性質を示す。この組成は、両系共に、置換陽イオン種(Y,Ca
)の陽イオン副格子点上での12.5%の濃度に相当する。酸素空孔と陽イオン置換種間の第一近接及び第二近接位置での静電的相互作用を適切に考慮に入れる事により、上記の様なYSZおよびCSZ系のイオン伝導度の挙動を定量的に説明する理論モデルを提出した。